JPH0733508B2 - フォトクロミック組成物 - Google Patents

フォトクロミック組成物

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JPH0733508B2
JPH0733508B2 JP25780089A JP25780089A JPH0733508B2 JP H0733508 B2 JPH0733508 B2 JP H0733508B2 JP 25780089 A JP25780089 A JP 25780089A JP 25780089 A JP25780089 A JP 25780089A JP H0733508 B2 JPH0733508 B2 JP H0733508B2
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隆 田中
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、長期の使用によっても色調の変化の小さいフ
ォトクロミック組成物に関する。
(従来技術) フォトクロミズムとは、ここ数年来注目をひいてきた現
象であって、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光の
ような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わ
り、光の照射をやめて暗所におくと元の色にもどる可逆
作用のことである。この性質を有する化合物は、フォト
クロミック化合物と呼ばれ従来から色々の構造の化合物
が合成され提案されてきたが、その構造には特別な共通
の骨格は認められない。
フォトクロミック化合物としては、クロメン又はその誘
導体が知られている。クロメン又はその誘導体の色調
は、橙〜黄である。一方、フルギド化合物又はフルギミ
ド化合物もフォトクロミック化合物としてよく知られて
おり、これらの化合物の色調は橙色〜青である。
これらの化合物を夫々単独で用いた場合には、所望する
色調が得られない場合がある。置に、フォトクロミック
レンズとして用いる場合には、グレー、アンバー、ブラ
ウン等の色調が好まれるが、これらの色調は、上記した
化合物単独では得られない。そこで、本発明者らは前記
したクロメン又はその誘導体とフルギド化合物又はフル
ギミド化合物とを混合した結果、グレー、アンバー、ブ
ラウンをはじめ、その他、様々な混合色に発色させるこ
とに成功した。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、これら2種のフォトクロミック化合物の
混合物は、長期によって徐々に色調が変化していくこと
がわかった。この原因について、本発明者らが検討した
結果、前記したフルギド化合物またはフルギミド化合物
は、クロメン又はその誘導体よりも発色−消色の繰返し
耐久性が短いため、長期の使用によって、先にフルギド
化合物又はフルギミド化合物の方が発色しなくなるため
であることがわかった。
そこで、本発明者らは、ブルギド化合物又はフルギミド
化合物の発色−消色の繰返し耐久性を伸ばして、クロメ
ン又はその誘導体のそれとほぼ同程度とすることができ
れば、長期にわたって色調の変化が生じないフォトクロ
ミック化合物の混合物が得られると考えた。そして、フ
ルギド化合物又はフルギミド化合物の発色−消色の繰返
し耐久性を向上させるために鋭意研究を行なった。
(課題を解決するための手段) その結果、フルギド化合物又はフルギミド化合物に紫外
線安定剤を組み合わせることによって、これら化合物の
フォトクロミック性の耐久性が向上し、さらに、クロメ
ン又はその誘導体も紫外線安定剤によって耐久性が向上
し、これら2種の化合物の耐久性がほぼ同程度となるこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、 (a) クロメン又はその誘導体 100重量部 (b) フルギド化合物又はフルギミド化合物 0.01〜10000重量部 及び (c) 紫外線安定剤 0.01〜10000重量部 よりなることを特徴とするフォトクロミック組成物であ
る。
本発明のフォトクロミック組成物の(a)成分であるク
ロメンは下記式 で示される化合物である。また、クロメン誘導体は、上
記のクロメンの骨格を有する化合物が何ら制限なく採用
される。本発明においては、特に下記式〔A〕又は
〔B〕で示されるクロメン又はその誘導体が優れたフォ
トクロミック性を有するために好適に用いられる。
上記一般式〔A〕及び〔B〕中、 で示される基は置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基
又は置換若しくは非置換の不飽和複素環基である。芳香
族炭化水素基を具体的に例示すると、ベンゼン環、ナフ
タレン環、フェナントレン環、アントラセン環等のベン
ゼン環1個またはその2〜4個の縮合環から誘導される
2価の基が挙げられる。また、上記の芳香族炭化水素基
に水酸基、ニトロ基、シアノ基、フルオロアルキル基、
置換アミノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ
基、−R8−S−R9〔但し、R8はアルキレン基又はO−R11n(但し、R
11はアルキレン基であり、nは正の整数である。)であ
り、R9及びR10は、夫々同種又は異種のアルキル基であ
り、Xは 又は である。〕、フェニル基又はチェニル基、フリル基若し
くはピロリル基等の複素環基が1個または2個以上置換
した置換芳香族炭化水素基を挙げることができる。
また、 で示される上記の不飽和複素環基としては、酸素、イオ
ウ、窒素原子を含む5員環、6員環またはこれらにベン
ゼン環が縮合した複素環基が挙げられる。具体的には、
ピリジン環、キノリン環、ピロール環等の含窒素複素
環;フラン環、ベンゾフラン環等の含酸素複素環;チオ
フェン環、ベンゾチオフェン環等の含イオウ含素環等か
ら誘導される2価の複素環基が挙げられる。さらに、こ
れらの不飽和複素環基に、前記した芳香族炭化水素基の
説明で述べた置換基が置換した置換不飽和複素環基も、
本発明に於いて何ら制限なく採用される。
さらに、前記一般式〔A〕及び〔B〕中、R4,R5,R6及び
R7で示される基は、夫々、同種又は異種の水素原子、ア
ルキル基、アラルキル基、アリール基、又は置換アミノ
基である。上記のアルキル基は、特に限定されないが、
一般には炭素数1〜20、好ましくは1〜6であることが
好適である。アラルキル基中のアルキレン基は、一般に
炭素数1〜10、好ましくは1〜4のものが好適である。
これらアルキル基及びアラルキル基をより具体的に例示
すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、
フェニルブチル基等である。また、アリール基として
は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフ
チル基等が好適である。
さらに、前記一般式〔A〕及び〔B〕中、R4,R5,R6及び
R7で示される置換アミノ基は、一般式 で示される。
ここでR12、R13で示される基は、R12とR13の内いずれか
一方が水素原子で他はアルキル基であるか、又は、それ
ぞれ同一又は異なったアルキル基を示す。該アルキル基
としては、特に限定されないが、具体的には、上記した
アルキル基の例と同様な基を採用することができる。さ
らに、R14は、テトラメチレン基、ペンタメチレン基な
どの炭素原子数3〜6のアルキレン基; −CH2OCH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2O(CH2
−などの炭素原子数3〜6のオキシアルキレン基;−CH
2SCH2CH2−、CH2S(CH2−、−CH2CH2SCH2CH2−など
の炭素原子数3〜6のチオアルキレン基; などの炭素原子数3〜6のアゾアルキレン基等が好適に
採用される。
前記一般式〔B〕中、 で示される基は、ノルボルニリデン基 、置換ノルボルニリデン基、ビシクロ〔3.3.1〕9−ノ
ニリデン基 、置換ビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基、アダマン
チリデン基 又は置換アダマンチリデン基である。その置換基の具体
例としては、例えば、ヒドロキシ基;メチルアミノ基、
ジエチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エト
キシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキ
シ基;ベンジルオキシ基等の炭素数7〜15のアラルコキ
シ基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基等の炭素数6〜
16のアリールオキシ基;メチル基、エチル基、t−ブチ
ル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基;フッ素、塩
素、シュウ素等のハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ
ル基;エトキシカルボニル基等の炭素数2〜10のアルコ
キシカルボニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1
または2のハロゲン置換アルキル基;ニトロ基;フェニ
ル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニル
エチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙
げられ、また、これらの置換基は1置換体として含まれ
るもののみならず、2置換以上の複数個の置換基を有す
る多置換体として含まれてもよく、さらには多置換体に
おける置換基は同種であっても、異種であっても何ら支
障はなく、置換基の位置については目的あるいは用途に
応じて変えられる。
前記したクロメン又はその誘導体の中でも、前記一般式
〔A〕及び〔B〕中の が、二環以上の縮合環であることが発色濃度が高いため
に好ましい。中でもクロメン誘導体の7,8位に環が縮合
した化合物がより好ましい。また、前記一般式〔B〕に
おいて、クロメン誘導体の5,6位に環が縮合した化合物
も好適に用いられる。
本発明のフォトクロミック組成物の(b)成分は、フル
ギド化合物又はフルギミド化合物である。フルギド化合
物は、下記式 で示される構造を有し、フォトクロミック性を有する化
合物が何ら制限なく採用される。また、フルギミド化合
物は、下記式 で示される構造を有し、フォトクロミック性を有する化
合物が何ら制限なく採用される。
本発明においては、フルギド化合物又はフルギミド化合
物としては、下記式で示される化合物が一般に用いられ
る。
式中 は、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭
化水素基または2価の不飽和複素環基 R1は、それぞれ置換基を有していてもよい1価の炭化水
素基または1価の複素環基 は、それぞれ置換基を有していてもよいノルボルニリデ
ン基またはアダマンチリデン基 Xは、酸素原子、 基N−R2 基N−A1−B1−(A2m(B2nR3 基N−A3−A4または 基N−A3−R4を示す。
前記一般式〔I〕において、 の基は、芳香族炭化水素基または不飽和複素環基であっ
て、これらの基は多くとも5個、好ましくは3個までの
置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基として
は、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜14個を有する
ものであり、かかる芳香族炭化水素環を形成する環の例
としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン
環が挙げられる。
また、不飽和複素環基としては、窒素原子、酸素原子お
よび硫黄原子の如きヘテロ原子の少なくとも1種を1個
含む5員環または6員環の単環複素環基或いはこれらに
ベンゼン環またはシクロヘキセン環が縮合した形の縮合
複素環基が示される。かかる複素環基を形成している環
としては、例えばピロール環、ピリジン環、キノリン
環、イソキノリン環などの含窒素複素環;フラン環、ベ
ンゾフラン環、ピラン環などの含酸素複素環;チオフェ
ン環、ベンゾチオフェン環などの含硫黄複素環が挙げら
れる。
前述したように、 で示される芳香族炭化水素基または不飽和複素環基に
は、多くとも5個、好ましくは3個までの置換基が含有
されていてもよい。かかる置換基の例としては、フッ
素、塩素、臭素、沃素の如きハロゲン原子;ヒドロキシ
ル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;カルボキシル
基;メチルアミノ基;ジエチルアミノ基の如き炭素数1
〜4のアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピ
ル基、t−ブチル基の如き炭素数1〜4の低級アルキル
基;トリフルオロメチル基、2−クロロエチル基などの
ハロゲン原子を1〜3個有するハロゲン化低級アルキル
基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基の如き炭
素数1〜4の低級アルコキシ基;フェニル基、ナフチル
基、トリル基の如き炭素数6〜10のアリール基;フェノ
キシ基、1−ナフトキシ基の如き炭素数6〜14のアリー
ルオキシ基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニル
プロピル基の如き炭素数7〜15のアラルキル基;ベンジ
ルオキシ基、フェニルプロポキシ基の如き炭素数7〜15
のアラルコキシ基および炭素数1〜4のアルキルチオ基
などが挙げられる。これらの置換基は、同種であっても
異種であってもよく、また位置は特に制限されない。
上記 は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、炭
素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のアルキル
基及び炭素数1〜4のアルコキシ基よりなる群から選ば
れた原子または基の少なくとも1個によって、それぞれ
の場合に置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基
または2価の不飽和複素環基であるのが好ましい。
また、上記 が、上記した各置換基の1〜3個によってそれぞれの場
合に置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基ま
たは窒素原子、酸素原子及び硫黄原子を1個含有する5
員環または6員環の単環複素環或いは該複素環基にベン
ゼン環またはシクロヘキセン環が縮合した縮合複素環基
であるのは一層好ましい。
さらに上記 が、2価のベンゼン環、複素原子を1個含有する5員環
または6員環の単環複素環またはこの複素環にベンゼン
環或いはシクロヘキセン環が縮合した形の縮合複素環で
あるものが好ましい。これらベンゼン環、単環複素環ま
たは縮合複素環には、前記した置換基が1〜2個含まれ
ているものも同様に好ましい態様である。
前記一般式〔I〕におけるR1は、それぞれ置換基を有し
ていてもよい1価の炭化水素基または1価の複素環基で
ある。
かかるR1の炭化水素基としては脂肪族、脂環族または芳
香族炭化水素のいずれであってもよいが、具体例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の如き
炭素数1〜20、好ましくは1〜6のアルキル基;フェニ
ル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基の如き炭素数
6〜14のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、
フェニルプロピル基、フェニルブチル基の如き炭素数1
〜10、好ましくは1〜4のアルキレン基を有するアルキ
ル基が好適である。
またR1の複素環基としては、窒素原子、酸素原子および
硫黄原子の如きヘテロ原子の少なくとも1種を1〜3
個、好ましくは1または2個含む5員環または6員環の
単環複素環基或いはこれにベンゼンが縮合した縮合複素
環基が好ましい。かかる複素環基の具体例としては、前
の定義において説明した不飽和複素環基の例示の他にさ
らに飽和ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、
ピロリジン環、インドリン環、クロマン環などの飽和複
素環基を挙げることができる。
前記したR1の炭化水素基または複素環基には置換基を有
していても特に差支えない。かかる置換基は、炭化水素
基または複素環基に対し、多くとも5個、好ましくは3
個まで含有することが好ましく、置換基の具体例として
は、前記 において説明したものと同じ置換基を例示することがで
きる。
上記R1として好ましいのは、ハロゲン原子、炭素数1〜
4のアルコキシ基またはフェニル基で置換されていても
よい炭素数1〜20のアルキル基;ハロゲン原子または炭
素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素
数6〜10のアリール基;または窒素原子、炭素原子及び
硫黄原子を1〜3個、殊に1個含有する5員環または6
員環の単環複素環基或いは該複素環基にベンゼン環が縮
合した縮合複素環基、殊に単環複素環基である。
さらに上記R1として特に好ましいのは、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数
6〜10のアリール基である。
本発明における前記一般式〔I〕において、 は、それぞれ置換基を有していてもよいノルボルニリデ
ン基またはアダマンチリデン基を意味する。ここでノル
ボルニリデン基は下記式 で表わされ、またアダマンチリデン基は下記式で表わさ
れる。
上記式は、いずれも置換基を有さないノルボルニリデン
基およびアダマンチリデン基の骨格構造を示したもので
ある。これらノルボルニリデン基またはアダマンチリデ
ン基は、上記式の水素原子が置換基により置換されてい
てもよく、その数は1個またはそれ以上であってもよ
い。置換基を有する場合、その種類、数及び位置は、目
的および用途によって任意に選択される。また複数の置
換基を有する場合、同一の置換基であってもよく、また
異種の置換基であってもよい。
上記ノルボルニリデン基またはアダマンチリデン基の置
換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メチルアミノ
基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜4のアルキルアミ
ノ基;メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等の
炭素数1〜4のアルコキシ基;ベンジルオキシ基等の炭
素数7〜15のアラルコキシ基;フェノキシ基、1−ナフ
トキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;メチル
基、エチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の低級ア
ルキル基;フッ素、塩素、シュウ素等のハロゲ原子;シ
アノ基;カルボキシル基;エトキシカルボニル等の炭素
数2〜10のアルコキシカルボニル基;トリフルオロメチ
ル基等の炭素数1または2のハロゲン置換アルキル基;
ニトロ基;フェニル基、トリル基等の炭素数6〜10のア
リール基;フェニルエチル基、フェニルプロピル基等の
炭素数7〜9のアラルキル基等が挙げられる。
これら置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子、ヒ
ドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4
のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル
基、炭素数7〜9のアラルキル基または炭素数6〜10の
アリール基である。
本発明における前記一般式〔I〕においてXは、酸素原
子(−O−)、N−R2、 基N−A1−B1−(A2m(B2nR3、 基N−A3−A4または基N−A3−R4を示す。
また、一般式〔I〕において、Xが 基N−A1−B1−(A2m(B2nR3、 基N−A3−A4または基N−A3−R4、特に 基N−A3−R4または 基N−A1−B1−(A2m(B2nR3(但し、R3はハロ
ゲン原子、シアノ基およびニトロ基よりなる群から選ば
れた1〜3個の原子又は置換されていてもよい炭素数1
〜10のアルキル基である。)であるのが、得られる化合
物のフォトクロミック性の耐久性の点からより好まし
い。
一般式〔I〕中のXが、上記した 基N−A1−B1−(A2m(B2nR3のうち、R3がナフ
チル基またはナフチルアルキル基である場合、および基
N−A3−A4である場合は、R3又はR4で示されるナフチ
ル基とイミド基(N−)との間にはさまれた主鎖の原
子数が3〜7個の範囲であることが、フォトクロミック
作用の耐久性に優れた化合物が得られるために好まし
い。
次に、上記XにおけるR2、R3、R4、A1、A2、A3、A4
B1、B2、mおよびnの定義について詳細に説明する。
R2は、水素原子、アルキル基またはアリール基を示し、
該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、n−、iso−またはtert−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げ
られるが、これらの中で炭素数1〜20のもの、さらに炭
素数が1〜10のものが好ましい。また該アリール基とし
ては、例えばフェニル基、トリル基またはナフチル基等
の炭素数6〜10のものが挙げられる。
A1、A2およびA3は、互いに同一であってもよく異なって
いてもよく、アルキレン基、アルキリデン基、シクロア
ルキレン基またはアルキルシクロアルカン−ジイル基で
あることができる。これらの具体例としては、例えば、
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、
トリメチレン基、テトラメチレン基または2,2−ジメチ
ルトリメチレン基などの炭素数1〜10のアルキレン基;
エチリデン基、プロピリデン基またはイソプロピリデン
基などの炭素数2〜10のアルキリデン基;シクロヘキシ
レン基の如き炭素数3〜10のシクロアルキレン基;2−メ
チルシクロヘキサン−α、1−ジイル基 4−メチルシクロヘキサン−α、1−ジイル基 の如き炭素数6〜10のアルキルシクロアルカン−ジイル
基が挙げられる。A1およびA2としては、特に炭素数1〜
6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルキリデン基、炭
素数3〜6のシクロアルキレン基、炭素数6〜7のアル
キルシクロアルカン−ジイル基が好ましい。
B1およびB2は、互いに同一であってもよく、また異なっ
ていてもよく、下記群の7つの結合基から選ばれる。
または mおよびnは、それぞれ独立して0または1を示すが、
0を示すときはA2mまたはB2nは、結合手を意
味する。また、mが0の時はnも0を表わす。
R3は、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、
ナフチル基またはナフチルアルキル基を示す。上記のア
ルキル基の炭素数は特に制限されないが、1〜10である
ことが好ましく、また、ナフチルアルキル基のアルキル
基の炭素数は1〜4が好ましい。
上記した各基の置換基は特に制限されないが、上記アル
キル基は、ハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基より
なる群から選ばれた1〜3個の原子または基で置換され
ていてもよく、また上記ナフチル基またはナフチルアル
キル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1
〜3のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のアルキル基及
び炭素数1〜3のアルコキシ基よりなる群から選ばれた
1〜3個の原子または基で置換されていてもよい。上記
のR3で示されるアルキル基としては、前記R2において例
示したアルキル基と同様のものを使用することができ
る。またナフチルアルキル基としては、ナフチルメチル
基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基またはナフ
チルブチル基等を挙げることができる。
A4は、置換基を有していてもよいナフチル基を示す。置
換基の種類は特に制限されないが、該ナフチル基はハロ
ゲン原子、アミノ基、ニトロ基、炭素数1〜3のアルキ
ルアミノ基、炭素数1〜3のアルキル基および炭素数1
〜3のアルコキシ基よりなる群から選ばれた1〜3個の
原子または基で置換されていてもよい。またR4はハロゲ
ン原子、シアノ基またはニトロ基を表わす。
前記したR3およびA4の定義において、ハロゲン原子とし
てフッ素、塩素または臭素を挙げることができる。
本発明のフォトクロミック組成物の第3の成分は、紫外
線安定剤である。
紫外線安定剤としては、各種プラスチックに添加されて
いる公知の紫外線安定剤が何ら制限なく使用し得る。本
発明において、クロメン又はその誘導体とフルギド化合
物又はフルギミド化合物の双方の耐久性の向上を勘定す
ると、各種の紫外線安定剤の中でも、一重項酸素消光
剤、ヒンダードアミン光安定剤(一分子中にヒンダード
アミン構造とヒンダードフェノール構造とを有する光安
定剤を含む)、ヒンダードフェノール酸化防止剤、イオ
ウ系酸化防止剤が好適に使用される。
これらの中でも、一分子中にヒンダードアミン構造とヒ
ンダードフェノール構造とを持つ光安定剤が最も好まし
く、ついで、その他のヒンダードアミン光安定剤、一重
項酸素消光剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤が、ほ
ぼ同等の効果を持つ。また、これら前記の紫外線安定剤
を2種以上組合せることにより、単独で用いるときより
もさらに良好な効果が得られる。中でも、一分子中にヒ
ンダードアミン構造とヒンダードフェノール構造を持つ
光安定剤に、その他のヒンダードアミン光安定剤、ヒン
ダードフェノール酸化防止剤、又は一重項酸素消光剤を
加えた2種の組合せが好ましい。さらに、一分子中にヒ
ンダードアミン構造とヒンダードフェノール構造を持つ
光安定剤に、その他のヒンダードアミン光安定剤及び一
重項酸素消光剤を加えた3種の組合せは、最も良好な結
果が得られる。
本発明に於いて好適に用いられる一重項酸素消光剤とし
ては、Ni2+有機配位子との錯体、コバルト(III)−ト
リス−ジ−n−ブチルジチオカルバメート、鉄(III)
−ジイソプロピルジチオカルバメートおよびコバルト
(II)−ジイソプロピルジチオカルバメート等を挙げる
ことができる。これらの重項酸素消光剤の中でも、特に
Ni2+と有機配位子との錯体が好ましい。このような錯体
を具体的に示すと、例えば下記のとおりである。
〔2,2−チオビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)フェノラト)ブチルアミン)ニッケル、 ニッケル−ビス〔O−エチル(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)〕ホスフォネート、 ニッケル−ジブチルジチオカルバメート、 ビス〔2,2′−チオビス−4−(1,1,3,3−テトラメチル
ブチル)フェノラト〕ニッケル その他、フェロコーポレーション社からUV−チェクAM10
5、UV−チェクAM126およびUVチェクAM205の商品名で市
販されているNi錯体を挙げることができる。
また、紫外線安定剤として好適な前記のヒンダードアミ
ン光安定剤を具体的に例示すると次のとおりである。
(C26H52H4)m (コ) (但し、上記式(オ),(カ),(キ),(ク),
(ケ),(コ),(サ),(シ)及び(ス)中、R1,R2,
R4,R5,R6,R7,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16及びR17
はアルキル基であり、R3及びR8は水素原子又はアルキル
基であり、R18はベンゾイル基、アクリロイル基又はメ
タクリロイル基であり、m及びnは、正の整数であ
る。) 上記(オ),(カ),(キ),(ク),(ケ),
(コ),(サ),(シ)及び(ス)中、アルキル基とし
ては、炭素数に特に制限されないが、一般にはこれらの
化合物の入手の容易さ等の理由から1〜12の範囲である
ことが好ましい。
さらに、ヒンダードアミン光安定剤としては、住友化学
(株)製のスミソーブ(Sumisorb)LS−2000及びLS−20
01(いずれも商品名)等を挙げることができる。
また、紫外線安定剤として好適な前記ヒンダードフェノ
ール酸化防止剤を具体的に例示すると次のとおりであ
る。
(但し、上記式(セ),(ソ),(タ),(チ),
(ツ),(テ),(ト),(ナ),(ニ),(ヌ),
(ネ)及び(ノ)中、R1,R2,R4,R5,R6,R7及びR8はアル
キル基であり、R3は水素又はアルキル基であり、R19
水素原子、アルキル基又はアクリロイル基であり、nは
正の整数である。) 上記(セ),(ソ),(タ),(チ),(ツ),
(テ),(ト),(ナ),(ニ),(ヌ),(ネ)及び
(ノ)中、アルキル基としては、炭素数に特に制限され
ないが、一般には、これらの化合物の入手の容易さ等の
理由から、1〜20の範囲であることが好ましい。
また、紫外線安定剤として好適な前記イオウ系2次酸化
防止剤を具体的に例示すると次のとおりである。
(R1−SCH2CH2COOCH24C (ヒ) (但し、上式(ハ),(ヒ),(フ),(ヘ)及び
(ホ)中、R1,R2,R4,R5,R6及びR7はアルキル基であり、
R3は水素原子又はアルキル基である。) 上記(ハ),(ヒ),(フ),(ヘ)及び(ホ)中、ア
ルキル基としては、炭素数に特に制限されないが、一般
には、これら化合物の入手の容易さ等の理由から1〜20
の範囲であることが好ましい。
前記した、クロメン又はその誘導体及びフルギド化合物
又はフルギミド化合物ならびに紫外線安定剤との配合割
合は、クロメン又はその誘導体100重量部に対して、ブ
ルギド化合物又はフルギミド化合物が0.01〜10000重量
部、そして紫外線安定剤が0.01〜10000重量部の範囲で
ある。紫外線安定剤が0.01重量部未満の場合には、フォ
トクロミック性の繰り返し耐久性の改善効果がほとんど
認められず、10000重量部を越える場合には、後述する
樹脂中にフォトクロミック組成物を分散させたときに樹
脂の成形が困難になるため好ましくない。特に、得られ
るフォトクロミック組成物のフォトクロミック性の点か
らは、紫外線安定剤は50〜400重量部の範囲であること
が好ましい。
フルギド化合物又はフルギミド化合物の配合割合は、フ
ォトクロミック組成物の所望する色調に応じて決定すれ
ばよいが、一般にクロメン又はその誘導体との混合によ
り、良好な混合色を期待する場合には、0.05〜200重量
部の範囲から選択することが好ましい。
本発明のフォトクロミック組成物は、種々の高分子マト
リックス中において均一に分散されることにより、上記
した如き所望のフォトクロミック機能を良好に発揮し得
る。このような本発明におけるフォトクロミック組成物
を分散して用いる高分子ムトリックスを構成する合成樹
脂としては、クロメン又はその誘導体及びフルギド化合
物又はフルギミド化合物を均一に分散させ得るものであ
ればよく、光学的に好ましくは例えば、ポリアクリル酸
メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチ
ル、、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリア
クリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
アミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト)、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポ
リ(アリルジグリコールカーボネート)などのポリマ
ー、あるいはこれらのポリマーを形成するモノマー相互
または該モノマーと他のモノマーとを共重合してなるポ
リマーなどが好適に用いられる。このような樹脂に分散
させる本発明のフォトクロミック組成物の添加量は、該
樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.
1〜10重量部である。
本発明のフォトクロミック組成物は、特にフォトクロミ
ックレンズに好適に使用される。フォトクロミックレン
ズを製造する方法は、均一な調光性能が得られる方法で
あれば特に制限なく、具体的に例示すれば、上記のクロ
メン又はその誘導体、フルギド化合物又はフルギミド化
合物、及び紫外線安定剤を均一に分散してなるポリマー
フィルムをレンズ中にサンドウィチする方法がある。あ
るいは、上記フォトクロミック組成物をシリコーン油中
に分散させ、例えば、200℃、15分間かけてレンズ表面
に含浸させ、さらに、その表面を硬化性物質で被覆し、
フォトクロミックレンズにする方法がある。また、上記
のポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を
硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方
法もある。
(効果) 以上に説明したように、本発明のフォトクロミック組成
物は、特に各種の樹脂に均一に分散することによって、
太陽光もしくは水銀灯の光のような紫外線を含む光で無
色から着色もしくは濃色した形態に変化し、その変化が
可逆的で優れた調光性を有している。また、本発明は、
クロメン又はその誘導体、フルギド化合物又はフルギミ
ド化合物、及び紫外線安定剤とを併用することにより、
容易に混合色が得られ、しかも長期の使用によっても混
合色の色調の変化が小さく、さらに着色濃度を低下させ
ずにフォトクロミック性の繰返し耐久性を飛躍的に向上
させることに成功したものである。
従って、本発明にフォトクロミック組成物は、広範囲の
分野に利用でき、例えば、銀塩感光材料に代る各種の記
録記憶材、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記録材
料、レーザー用感光材料などの種々の記録材料として利
用できる。その他、本発明のフォトクロミック組成物は
フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、デ
ィスプレイ材料光量計、装飾などの材料としても利用で
きる。
(実施例) 以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。尚、実施例中の「部」は「重量部」である。
以下の実施例で使用した紫外線安定剤は下記の化合物で
ある。
・シアソーブ(Syasorb)UV1084 (商品名:アメリカンサイアナミド社製) イルガスタブ(Irgastab)2002 (商品名:チバカイギー社製) ・ライレックス(Ralex)NBC (商品名:デュポン社製) ・UV−チェク(Chek)AM101 (商品名:フェロコーポレーション社製) ・UV−チェク(Chek)AM105 (商品名:フェロコーポレーション社製) ・チヌビン(Tinuvin)765 (商品名:チバガイギー社製) ・チヌビン(Tinuvin)144 (商品名:チバガイギー社製) ・キマソーブ(Chimassorb)944 (商品名:チバガイギー社製) ・シアソーブ(Cyasorb)3346 (商品名:アメリカンサイアナミド社製) ・チヌビン(Tinuvin)622 (商品名:チバガイギー社製) ・サノール LS−1114 (商品名:三共社製) ・サノール LS−744 (商品名:三共社製) ・マーク(MARK)LA−82 (商品名:アデカ・アーガス社製) ・マーク(MARK)LA−87 (商品名:アデカ・アーガス社製) ・サノール LS−2626 (商品名:三共(株)社製) ・スミライザー GA−80 (商品名:住友化学社製) ・イルガノックス 1010 (商品名:チバガイギー社製) ・マーク(MARK)AO−50 (商品名:アデカ・アーガス社製) ・スミライザー GM (商品名:住友化学社製) ・スミライザー BBM−S (商品名:住友化学社製) ・スミライザー WX−R (商品名:住友化学社製) ・スミライザー S (商品名:住友化学社製) ・スミライザー BHT (商品名:住友化学社製) ・マーク(MARK)AO−20 (商品名:アデカ・アーガス社製) ・マーク(MARK)AO−30 (商品名:アデカ・アーガス社製) ・マーク(MARK)AO−330 (商品名:アデカ・アーガス社製) ・イルガノックス(Irganox)245 (商品名:ヂバガイギー社製) ・アンチオキシダント(Antioxidant)HPM−12 (商品名:S.F.O.S社製) ・マーク(MARK)AO−23 (商品名:アデカ・アーガス社製) ・スミライザー TP−D (商品名:住友化学製) (H25C12SCH2CH2COOCH24C ・スミライザー TPL−R (商品名:住友化学製) ・スミライザー TPS (商品名:住友化学製) ・スミライザー MB (商品名:住友化学社製) 製造例1 1−ヒドロキシ−2−アセトナフトン10g(0.054mol)
とノルカンファー6.6g(0.06mol)とピロリジン8g(0.1
13mol)とをトルエン300ccに溶解した溶液を調製した。
この混合物を10時間沸騰させ、水を分離した。反応終了
後、トルエンを減圧下で除去し、残ったクロマノン化合
物をアセトンで結晶化させた。次いで、このクロマノン
化合物をメタノール200ccに溶解させ、水素化ホウ素ナ
トリウムを徐々に添加して、クロマノール化合物にし
た。このクロマノール化合物7.47gを二酸化炭素気流中
で無水硫酸銅4.5gと共に150〜160℃で10分間加熱し、茶
色の粘稠な液体をシリカゲル上でのクロマトグラフィー
により精製することにより、下記式のクロメン誘導体6.
3gを得た。
この化合物の元素分析値は、C86.93%、H6.89%、O6.18
%であって、C19H18Oに対する計算値であるC87.02%、H
6.87%、O6.12%に極めてよく一致した。また、プロト
ン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ7.2〜8.3
ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づく6Hのピー
ク、δ5.6〜6.7ppm付近にクロメン環の3位及び4位の
プロトンに基づく2Hのピーク、δ1.2〜2.5ppm付近にノ
ルボルニリデン基のプロトンに基づく10Hの幅広いピー
クを示した。さらに13C−核磁気共鳴スペクトルを測定
したところ、δ27〜52ppm付近にノルボルニリデン基の
炭素に基づくピーク、δ110〜160ppm付近にナフタレン
環の炭素に基づくピーク、δ80〜110ppm付近にクロメン
環の3位及び4位の炭素に基づくピークが現われる。上
記の結果から、単離生成物は、上記の構造式(1)で示
される化合物であることを確認した。
製造例2 1−アセチル−2−ナフトール10g(0.054mol)とビシ
クロ〔3.3.1〕ノナン−9−オン8.29g(0.06mol)とモ
ルホリン8.7g(0.10mol)とをトルエン300ccに溶解した
溶液を調製した。この混合物を5時間沸騰させ、水を分
離した、反応終了後、トルエを減圧下で除去し、残った
クロマノン化合物をアセトンで再結晶させた。次いで、
このクロマノン化合物をメタノール200ccに溶解させ、
水素化リチウムアルミニウムを添加して、クロマノール
化合物にした。このクロマノール化合物6.49gを二酸化
炭素気流中で無水硫酸銅と共に170〜180℃で10分間加熱
し、茶色の粘稠な液体をシリカゲル上でクロマトグラフ
ィーにより精製し、下記式のクロメン誘導体5.8gを得
た。
この化合物の元素分析値は、C86.81%、H7.62%、O5.57
%であって、C21H22Oに対する計算値であるC86.90%、H
7.59%、O5.52%に極めてよく一致した。また、プロト
ン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ7.2〜8.3
ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づく6Hのピー
ク、δ6.0〜7.0ppm付近にクロメン環の3位及び4位の
プロトンに基づく2Hのピーク、δ1.2〜2.5ppm付近にビ
シクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基のプロトンに基づく1
4Hの幅広いピークを示した。さらに、13C−核磁気共鳴
スペクトルを測定したところ、δ27〜55ppmの付近にビ
シクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基の炭素に基づくピー
ク、δ110〜160ppm付近にナフタレン環の炭素に基づく
ピーク、δ80〜110ppm付近にクロメン環の3位及び4位
の炭素に基づくピークが現われる。上記の結果から、単
離生成物は、上記の構造式(2)で示される化合物であ
ることを確認した。
製造例3 下記式で示されるクロマノン化合物3.06g(0.01mol) を無水エーテル50ccに溶解し、0℃までその溶液を冷
し、無水エーテル50cc中で新たに調製したグリニャール
試薬CH3MgCl(0.012mol)をその溶液中に約1時間を要
して滴下した。滴下終了後、室温でさらに2時間撹拌し
た後、冷水中にそのエーテル溶液を静かに注ぎ、エーテ
ルで生成物を抽出し、硫酸マグネシウムでその溶液を乾
燥後、減圧下でエーテルを除去し、クロマノン化合物を
クロマノール化合物に変えた。次いでこのクロマノール
化合物を二酸化炭素気流中で無水硫酸銅と共に200℃で
約10分間加熱し、茶色な粘稠な液体をシリカゲル上でク
ロマトグラフィーにより生成し、下記式のクロメン誘導
体2.47gを得た。
製造例1と同様に元素分析、プロトン核磁気共鳴スペク
トル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測定によって、こ
の化合物が、上記の構造式(3)で示される化合物であ
ることを確認した。
製造例4 1−アセチル−2−ナフトール10g(0.054mol)とノル
カンファー6.6g(0.06mol)とモルホリン8.7g(0.10mo
l)とをトルエン300ccに溶解し、15時間沸騰させ、水を
分離した。反応終了後、トルエンを減圧下で除去し、残
った生成物をアセトンで再結晶させ、下記式で示される
化合物7.53gを得た。
次いで、この化合物7.53gをメタノール100ccに溶解さ
せ、ヨウ化メチルと反応させることにより、下記式で示
されるクロマノン化合物6.95gを得た。
次いで、この生成したクロマノン化合物を製造例3と同
様にして、クロマノール化合物に変え、脱水反応を行な
い、分離、精製後、下記式のクロメン誘導体5.84gを得
た。
製造例1と同様に、元素分析、プロトン核磁気共鳴スペ
クトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測定によって、
この化合物が、上記構造式(4)で示される化合物であ
ることを確認した。
製造例5 5−n−オクチルオキシ−1−ヒドロキシ−2−アセト
ナフトン10g(0.0318mol)とアセトン2.77g(0.0477mo
l)とピロリジン1.13g(0.0159mol)をトルエン100mlに
溶解した溶液を調製した。この混合物を10時間沸騰さ
せ、水を分離した。反応終了後、トルエンを減圧下で除
去し、残ったクロマノン化合物をメタノール100mlに溶
解させ、水素化ホウ素ナトリウムを徐々に添加してクロ
マノール化合物にした。このクロマノール化合物6.0gを
二酸化炭素気流中で無水硫酸銅4.0gと共に150〜160℃で
10分間加熱し、茶色の粘稠な液体をシリカゲル上でのク
ロマトグラフィーにより精製することにより、下記式の
クロメン誘導体3.8gを得た。
製造例1と同様に、元素分析、プロトン核磁気共鳴スペ
クトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測定によって、
この化合物が上記の構造式(5)で示される化合物であ
ることを確認した。
製造例6〜14 製造例1〜5と同様にして第1表に示したクロメン誘導
体を合成した。
得られた生成物について、製造例1と同様な構造確認の
手段を用いて構造解析した結果、第1表に示す構造式で
示される化合物であることを確認した。
製造例15 下記式の3−チエニルエチリデン−2−アダマンチリデ
ンこはく酸無水物3.4g(0.01mol) と下記式のグリシン−メチルエステル17.8g(0.02mol) をトルエンに溶解し、窒素雰囲気下で50℃で2時間加熱
した。反応後、溶媒を除去して塩化アセチルに溶解し、
1時間還流し環化した。得られた化合物をO−ジクロル
ベンゼン中で6時間還流することにより、下記のフルギ
ミド化合物(1)に転位した。この化合物は、溶離液と
してベンゼンとエーテルを用いてシリカゲル上でのクロ
マトグラフィーにより精製され、クロロホルム及びヘキ
サンからの淡黄色針状結晶として27%の収率で得られ
た。この化合物の元素分析値はC66.78%,H6.09%,N3.36
%,O15.8%,S7.96%であって、C23H25O4NSに対する計算
値であるC67.15%,H6.08%,N3.41%,O15.6%,S7.79%で
極めてよく一致した。また、プロトン核磁気共鳴スペク
トルを測定したところ、δ7.0〜8.0ppm付近にアロマテ
ィックなプロトンに基づく2Hのピーク、δ2.7ppmにC
−CH3結合のプロトンに基づく3Hのピーク,δ3.7ppm付
近に 結合のメチル基のプロトンに基づく3Hのピーク,δ1.2
〜2.5ppmにアダマンチリデン基のプロトンに基づく14H
のピーク,δ3〜5ppmに1〜5転位したプロトンとN
−CH2−結合に基づく3Hのピークを示した。
さらに13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMRを測定し
たところ、δ27〜70ppm付近にアダマンチリデン基の炭
素とメチレン鎖の炭素に基づくピーク、δ15.9ppm付近
にメチル基の炭素に基づくピーク、δ110〜160ppm付近
にチオフェン環の炭素に基づくピーク、δ160〜170ppm
付近にC=O結合の炭素に基づくピークが現われる。
上記の結果から、単離生成物は、下記の構造式で示され
るフルギミド化合物(15)であることを確認した。
製造例16 下記式のフルギミド化合物3.4g(0.01mol) をテトラヒドロフランに溶解し、これに金属カリウム1g
を室温で反応させ、下記式のイミドカリ3gを得た。
これと下記式のブロモアセトニトリル1.2g(0.01mol) BrCH2CN をジメチルホルムアミド中で反応させることにより、下
記のフルギミド化合物(16)を得た。この化合物は、溶
離液としてクロロホルムとヘキサンを用いてシリカゲル
上でのクロマトグラフィーにより精製され、ヘキサンか
らの淡黄色結晶として57%の収率で得られた。この化合
物の元素分析値はC69.81%,H5.80%,N7.44%,O8.50%,S
8.46%であって、C22H22N2O2Sに対する計算値であるC6
9.84%,H5.82%,N7.41%,O8.47%,S8.47%に極めてよく
一致した。また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定
したところ、δ7.0〜7.5ppm付近にチオフエン環のプロ
トンに基づく2Hのピーク、δ4.5ppm付近にN−CH2CN
結合のプロトンに基づく2Hのピーク,δ3.7ppm付近に1.
5転位したプロトンに基づく1Hのピーク、δ2.7ppm付近
に−CH3結合のプロトンに基づく3Hのピーク、δ1.3〜2.
5ppm付近に−CH2−結合のプロトンとアダマンチリデン
基に基づくプロトンの14Hのピークを示した。
さらに13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定
したところ、δ27〜70ppm付近にアダマンチリデン基の
炭素に基づくピーク、δ15.6ppm付近にメチル基の炭素
に基づくピーク,δ110〜160ppm付近にチオフエン環の
炭素に基づくピーク、δ160〜170ppm付近にC=0結
合の炭素に基づくピークが現われる。
上記の結果から、単離生成物は下記の構造式で示される
フルギミド化合物(16)であることを確認した。
実施例1 ベンゼン100部、ポリメタクリル酸メチル10部、製造例
1で得られたクロメン誘導体、製造例58で得られたフル
ギミド化合物及び紫外線安定剤としてシアソーブUV1084
をそれぞれ0.2部、0.2部、及び0.4部を加えて溶解さ
せ、スライドガラス(11.2×3.7cm)上でキャストフィ
ルムをつくった。厚みは0.1mmになるように調製した。
このフォトクロミックフィルムをスガ試験機株式会社製
のキセノンロングライフフェードメーターFAL−25AX−H
Cにより疲労寿命を測定した。
また、目視により色調の変化を観察した。疲労寿命(T
1/2)は、クロメン又はクロメン誘導体とフルギド化合
物又はフルギミド化合物について、夫々の化合物に基づ
く最大吸収波長における吸光度が初期(T0)の吸光度の
1/2に低下するのに要する時間で表わした。但し、T0
びT1/2の吸光度は、いずれも夫々の化合物に基づく最
大吸収波長における未照射フィルムの吸光度を引いた値
であり、また、T0の吸光度は光照射後60秒経過後に測定
した。
結果を第3表に示した。第3表中、T1/2での色調はク
ロメン又はクロメン誘導体のT1/2における色調であ
る。
実施例2〜32 実施例1において、用いた紫外線安定剤の種類を変えた
以外は、すべて実施例1と同様にした。結果を第3表に
示した。
比較例1 実施例1において、紫外線安定剤を用いなかったこと以
外は全て実施例1と同様にした。結果を第3表に示し
た。
実施例33 実施例1において用いたクロメン誘導体とフルギミド化
合物の配合割合を、それぞれ0.5部、及び0.1部と変え、
紫外線安定剤(シアソーブUV1084)を0.6部と変えた以
外は実施例1と同様にした。結果を第4表に示した。
実施例34〜64 実施例33において、紫外線安定剤を変えた以外は実施例
33と同様にした。結果を表4に示した。
比較例2 実施例33において、紫外線安定剤を用いなかった以外は
すべて実施例33と同様にした。結果を第4表に示した。
実施例65 実施例1において用いたクロメン誘導体及びフルギミド
化合物をそれぞれ製造例2のクロメン誘導体及び製造例
57のフルギミド化合物に変えた以外は実施例1と同様に
した。結果を第5表に示した。
実施例66〜96 実施例65において、紫外線安定剤を変えた以外は実施例
65と同様にした。結果を第5表に示した。
比較例3 実施例65において、紫外線安定剤を用いなかった以外は
すべて実施例65と同様にした。結果を第5表に示した。
実施例97 実施例1において、製造例57のフルギミド化合物を加
え、クロメン誘導体、製造例57のフルギミド化合物及び
製造例58のフルギミド化合物のそれぞれの配合割合を0.
2部、0.05部及び0.05部とし、紫外線安定剤を0.3部とし
た以外はすべて実施例1と同様にした。結果を第6表に
示した。
実施例97〜128 実施例97において、紫外線安定剤を変えた以外は実施例
97と同様にした。結果を第6表に示した。
比較例4 実施例97において、紫外線安定剤を用いなかった以外は
すべて実施例97と同様にした。結果を第6表に示した。
実施例129〜144 実施例1,7,13及び18において紫外線安定剤の添加量を変
えた以外はすべての実施例1,7,13及び18と同様にした。
結果を第7表に示した。
実施例145〜164 実施例1、7、13及び18において、クロメン誘導体とフ
ルギミド化合物との合計100重量部に対して、紫外線安
定剤の2種あるいは3種をそれぞれ100重量部ずつ組合
せた以外は、すべて実施例1と同様にした。結果を第8
表に示した。
実施例165〜172 実施例146及び155において、紫外線安定剤の組成比を変
えた以外はすべて実施例146及び155と同様にした。結果
を第9表に示した。
実施例173〜214 実施例155において、クロメン誘導体として製造例3〜1
4の化合物を、また、フルギド化合物又はフルギミド化
合物として製造例15〜56の化合物を任意に組合せた以外
は、実施例155と同様にした。結果を第10表に示す。
参考例1 ベンゼン100部、ポリメタクリル酸メチル10部、製造例
1で得られたクロメン誘導体0.2部を加えて溶解させ、
スライドグラス(11.2×3.7cm)上でキャストフィルム
をつくった。厚みは、0.1mmになるように調製した。こ
のフォトクロミックフィルムに東芝(株)製の水銀ラン
プSHL−100を25℃±1℃で距離10cmで60秒間照射し、こ
のフィルムを発色させ、フォトクロミック特性を測定し
た。フォトクロミック特性は次のようなもので表した。
結果を第11表に示した。ε(60秒);最大吸収波長にお
ける、フィルムの上記条件下での光照射60秒間後の吸光
度。
ε(0秒);光照射時の最大吸収波長における、未照射
フィルムの吸光度。
参考例2〜14 参考例1におけるクロメン誘導体を、製造例2〜14で得
たクロメン誘導体に変えた以外は、すべて参考例1と同
様にした。結果を第11表に示した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) クロメン又はその誘導体 100重量
    部 (b) フルギド化合物又はフルギミド化合物 0.01〜10000重量部 及び (c) 紫外線安定剤 0.01〜10000重量部 よりなることを特徴とするフォトクロミック組成物。
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