JPH1045732A - ジアリールエテン誘導体及びそれを用いるフォトクロミック材料 - Google Patents
ジアリールエテン誘導体及びそれを用いるフォトクロミック材料Info
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- JPH1045732A JPH1045732A JP21907396A JP21907396A JPH1045732A JP H1045732 A JPH1045732 A JP H1045732A JP 21907396 A JP21907396 A JP 21907396A JP 21907396 A JP21907396 A JP 21907396A JP H1045732 A JPH1045732 A JP H1045732A
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Abstract
れた新規なジアリールエテン誘導体を提供する。 【解決手段】 下記式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 は、それぞれアルキル基、アルコキ
シ基またはアリール基を示す。)で表されるジアリール
エテン誘導体及びその異性体。また、そのジアリールエ
テン誘導体からなるフォトクロミック材料。
Description
エテン誘導体及び光スイッチング素子等のフォトニクス
分野に応用可能なフォトクロミック材料に関するもので
ある。
り化学結合状態の異なる2種の異性体を可逆的に生成す
る分子または分子集合体を含むものであり、その生成す
る異性体により吸収スペクトルあるいは屈折率が変化す
るものである。このフォトクロミック材料が有する物性
の変化を利用して、光記録あるいは光スイッチ素子等の
フォトニクス分野に応用する研究開発が進展している。
一般に、フォトクロミック材料をフォトニクス分野に応
用する際の最大の課題は、繰り返し耐久性を如何に向上
させるかにあり、数十回程度の繰り返しによって劣化す
るようなものでは実用化することは不可能である。
ベンゼン、スピロベンゾピラン等を用いた研究が行われ
てきているが、これらの材料は、繰り返し耐久性に乏し
いという問題を有している。そこで、繰り返し耐久性に
優れたフォトクロミック材料として、ベンゾチオフェン
環をアリール基とするジアリールエテンが報告されてい
るが(K.Uchida et al.Bull.Chem.Soc.Jpn.63,1311(199
0)、M.Hanazawa et al.J.Chem.Soc.Chem.Commun.206(19
92))、チオフェン環を用いると変換率は向上するもの
の、光定常状態においては変換率が低く、また、繰り返
し耐久性に劣るという欠点を有している。
における上記した実情に鑑みてなされたものである。す
なわち、本発明の目的は、フォトクロミック性に優れた
新規なジアリールエテン誘導体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、光による閉環反応の効率が
高く、かつ、繰り返し耐久性に優れたジアリールエテン
誘導体からなるフォトクロミック材料を提供することに
ある。
を達成するため、ジアリールエテン系化合物についてジ
アリールエテンの光閉環反応の収率を向上させるには、
アリール基としてはベンゾチオフェン環よりも小さいヘ
テロ5員環が望ましいこと、その光劣化はエンドパーオ
キシドの生成に起因する(谷口他、日本化学会誌、1138
(1992))ために、エンドパーオキシドを生成しない構造
であること、及び閉環体に熱安定性を付与するには、芳
香族安定化エネルギーの小さいアリール基が求められる
こと等について考慮し、鋭意検討した結果アリール基と
してチアゾールを選択したジアリールエテン系誘導体が
優れたフォトクロミック性能を有することを見出し、本
発明を完成するに至った。
体は、下記式(1)
シ基またはアリール基を示す。)で表される。また、そ
の異性体は、式(1)で表されるジアリールエテン誘導
体に紫外線等を照射する際に形成される互変異性体であ
り、下記式(2)で表されるものである。
シ基またはアリール基を示す。) また、本発明のフォトクロミック材料は、式(1)で表
されるジアリールエテン誘導体からなるものである。
て詳細に説明する。本発明における一般式(1)で表さ
れるジアリールエテン誘導体において、一般式(1)中
のR1 及びR2 は、炭素数1〜6のアルキル基として、
例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル
基、炭素数1〜6のアルコキシ基として、例えば、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ
基、または、アリール基として、例えば、フエニル、ト
リル、キシリル、ビフエニル、ナフチル、4−ヒドロキ
シフェニル、4−アミノフェニル基があげられる。なか
でも、R1 とR2 の組合わせとしては、それぞれ、
(a)メチル基とメチル基、(b)エトキシ基とメチル
基、(c)メトキシ基とフェニル基または(d)メチル
基とフェニル基であることが好ましい。
ルエテン誘導体は、種々の方法により製造できるが、例
えば、下記式(3)で表されるチアゾールハライド誘導
体をリチオ化反応させて得られるチアゾールリチウム誘
導体に、オクタフルオロシクロペンテン(ペルフルオロ
シクロペンテン)を反応させることにより容易に製造す
ることができる。
シ基またはアリール基を示す。Xは臭素原子またはヨウ
素原子を示す。)
詳細な製造方法について説明する。先ず、式(3)で表
されるチアゾールハライド誘導体を、アルキルリチウム
またはリチウムジアルキルアミドと反応させることによ
り、ハロゲンをリチウムに置換したチアゾールリチウム
誘導体が得られる。この反応溶媒としては、テトラヒド
ロフランやジエチルエーテル等のエーテル系溶媒が好ま
しく用いられ、さらに低温における溶媒の凝固を防止す
るために、n−ヘキサン、n−ペンタン等の低級アルカ
ンと混合して用いてもよい。
ジアルキルアミドとしては、n−ブチルリチウム、t−
ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、
リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキ
シルアミド等が挙げられるが、n−ブチルリチウムのヘ
キサン溶液が好適である。リチオ化剤の使用量は、チア
ゾールリチウム誘導体の総量に対し、1.0〜1.2倍
モルであることが好ましい。反応温度は、−45〜−1
20℃の範囲、好ましくは−70〜−110℃の低温で
行う。反応時間は、通常、20分〜3時間の範囲、好ま
しくは30分〜2時間である。
体に、ペルフルオロシクロペンテンを添加して反応させ
る。その際、ペルフルオロシクロペンテンは、チアゾー
ルハライド誘導体の0.5〜0.8倍モル量を用いるこ
とが好ましく、希釈することなく、あるいは、溶媒に希
釈して添加することができる。通常、この反応温度は、
−60〜−110℃の範囲であり、反応時間は30分〜
5時間である。反応終了後には、直ちに水またはアルコ
ール等を加えて反応を完了させてもよいし、または、溶
液温度を室温まで戻してから反応を完結させてもよい
が、低温状態で反応を完了させた方が高収率である。上
記方法で得られた反応生成物を、抽出、カラムクロマト
グラフィー、再結晶等の方法によって分離精製すること
により、本発明の式(1)で表されるジアリールエテン
誘導体を製造することができる。また、本発明の式
(1)で表されるジアリールエテン誘導体に、紫外線等
の比較的短波長の光を照射することにより、式(2)で
表される閉環体が生成する。
ォトクロミック材料として用いた記録層を有する光記録
材料は、公知の方法により容易に得ることができる。例
えば、上記ジアリールエテン誘導体を、ポリエステル樹
脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメチルメタクリル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキ
シ樹脂等の樹脂バインダーと共に、ベンゼン、トルエ
ン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、
アセトン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、四塩化炭素、クロロホルム等の溶媒に
分散または溶解させて、適当な基板上に塗布する方法、
または、ジアリールエテン誘導体を、上記した溶媒に溶
解し、ガラスセル等に封入する方法等によって記録層を
形成することにより、光記録材料とすることができる。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 1,2−ビス(5−エトキシ−2−メチルチアゾール)
ヘキサフルオロシクロペンテンの製造 (1)4−ブロモ−5−エトキシ−2−メチルチアゾー
ルの製造
シ−2−メチルチアゾール2.00g及び溶媒として四
塩化炭素50mlを入れ、この溶液にn−ブロモサクシ
ンイミド(NBS)4gを加えて、しばらく室温で攪拌
した後、反応開始剤のベンゾイルパーオキサイド(BP
O)532.8mgを添加する。この際、反応溶液が茶
色に変色して温度が上昇するので注意する必要がある。
この反応の温度上昇が落ち着いた後、そのまま室温で一
昼夜攪拌する。その後、20%NaOH水溶液を加えて
反応を停止し、酢酸エチルを用いて抽出する。その有機
層を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧
で留去した後、クーゲルロールを用いて蒸留することに
より、上記反応式Aに示すようにして、4−ブロモ−5
−エトキシ−2−メチルチアゾール3.31g(75.
4%)を得た。
メチルチアゾールは、沸点が150〜151℃(38m
mHg)であった。また、その核磁気共鳴スペクトルに
よる分析値(CDCl3 、δ値、ppm)は、200M
Hzにおいて、次のとおりであった。1.43(t,3
H)、2.60(s,3H)、4.13(q,2H)。
メチルチアゾール)ヘキサフルオロシクロペンテンの製
造
に、4−ブロモ−5−エトキシ−2−メチルチアゾール
3.00g(13.5ミリモル)及び乾燥テトラヒドロ
フラン30mlを入れ、これをドライアイス−メタノー
ル浴により反応系を−60℃に冷却する。次に、n−ブ
チルリチウム9.4ml(14.85ミリモル)を、シ
リンジで温度上昇に注意しながら滴下し、−60℃で4
5分間攪拌する。これを薄層クロマトグラフィー(TL
C)によりリチオ化反応が進行していることを確認した
後、オクタフルオロシクロペンテン0.89ml(6.
75ミリモル)を3回に分けて添加し、室温まで温度上
昇させる。TLCでフォトクロミック反応を確認した
後、水とジエチルエーテルを用いて反応を停止させる。
この反応生成物をジエチルエーテルで3回抽出し、その
有機層を集めて、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶
媒を減圧で留去した後、5%酢酸エチル/トルエン溶液
の分取用クロマトグラフィー(PLC)で精製し、フォ
トクロミック成分を取出し、酢酸エチルで抽出する。こ
の溶媒を減圧で留去することにより、上記反応式Bに示
すようにして、1,2−ビス(5−エトキシ−2−メチ
ルチアゾール)ヘキサフルオロシクロペンテン452m
g(収率7.31%)を得た。
−メチルチアゾール)ヘキサフルオロシクロペンテン
は、融点が141〜143℃であった。また、その核磁
気共鳴スペクトルによる分析値(CDCl3 、δ値、p
pm)は、200MHzにおいて、次のとおりであつ
た。1.12(t,6H)、2.62(s,6H)、
6.87(q,4H)。また、その元素分析値(%)を
表1に示す。
メチルチアゾール)ヘキサフルオロシクロペンテンを、
ヘキサンに溶解させて紫外線及び可視光線による吸収ス
ペクトルの変化を測定した。その吸収スペクトルの変化
を、図1に示す。この化合物は、331nmの紫外線を
照射すると赤色に着色し、また、これに400nm以上
の可視光線を照射すると消色した。上記の化合物は、赤
色に着色した状態では、2個のチアゾール環の5位同士
が共有結合することにより炭素6員環の閉環体となって
おり、また、消色した状態では、その共有結合のない開
環体となるという、2種の互変異性体を有するものであ
る。また、この吸収スペクトルの変化は、4000回繰
り返しても何ら変ることがなかった。
ヘキサフルオロシクロペンテンの製造 (1)2−フェニル−4−ブロモ−5−メチルチアゾー
ルの製造
25g(4.92ミリモル)を二硫化炭素30mlに溶
解させ、氷水で冷却する。この溶液に臭素0.44ml
(9.70ミリモル)を温度上昇に注意しながら滴下
し、室温で2昼夜攪拌する。その後、水を加えて反応を
停止させ、クロロホルム100mlを用いて抽出する。
その有機層を水及びハイポ水で洗浄し、洗浄された有機
層を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を
減圧で留去する。その残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶媒:酢酸エチル/ヘキサンの9:1混
合溶媒)で精製することにより、上記反応式Cに示すよ
うにして、2−フェニル−4−ブロモ−5−メチルチア
ゾール600mg(収率48%)を得た。
メチルチアゾールの核磁気共鳴スペクトルによる分析値
(CDCl3 、δ値、ppm)は、200MHzにおい
て、次のとおりである。2.49(s,3H)、7.4
5〜7.89(m,5H)。
ェニルチアゾール)ヘキサフルオロシクロペンテンの製
造
アゾール600mg(2.36ミリモル)を乾燥テトラ
ヒドロフラン30mlに溶解させ、反応系を−60℃に
冷却する。これにn−ブチルリチウム1.76mlを温
度上昇に注意しながら滴下し、−60℃に保持して1時
間攪拌する。完全にリチオ化反応が進行したことを確認
した後、オクタフルオロシクロペンテン0.16ml
(1.18ミリモル)を3回に分けて注入して自然に温
度上昇させ、その後、室温で1昼夜攪拌する。これに水
を加えて反応を停止させ、ジエチルエーテル100ml
を用いて抽出する。その有機層を集めて溶媒を減圧で留
去し、その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶媒:酢酸エチル/ヘキサンの9:1混合溶媒)で
精製することにより、上記反応式Dに示すようにして、
1,2−ビス(5−メチル−2−フェニルチアゾール)
ヘキサフルオロシクロペンテン30mg(収率2.97
%)を得た。
フェニルチアゾール)ヘキサフルオロシクロペンテンの
融点は、148〜150℃であり、また、その核磁気共
鳴スペクトルによる分析値(CDCl3 、δ値、pp
m)は、200MHzにおいて、次のとおりである。
1.60〜2.15(s,6H)、7.45〜7.99
(m,10H)。また、その元素分析値(%)を表1に
示す。
ェニルチアゾール)ヘキサフルオロシクロペンテンを、
ヘキサンに溶解させて紫外線及び可視光線による吸収ス
ペクトルの変化を測定した。その吸収スペクトルの変化
を、図2に示す。この化合物は、313nmの紫外線を
照射すると赤色に着色し、また、これに400nm以上
の可視光線を照射すると消色した。上記の化合物は、赤
色に着色した状態では、2個のチアゾール環の5位同士
が共有結合することにより炭素6員環の閉環体となって
おり、また、消色した状態では、その共有結合のない開
環体となっているという、2種の互変異性体を有するも
のである。また、この吸収スペクトルの変化は、400
0回繰り返しても何ら変ることがなかった。
る式(1)で表されるジアリールエテン誘導体は、光に
よる閉環反応の効率が高く、発色と消色の繰り返し耐久
性に優れたフォトクロミック性を有するものであり、光
スイッチング素子等のフォトニクス分野における優れた
性能を有する可逆的記録材料として広範囲に応用できる
極めて有用なものである。
ン誘導体の光吸収スペクトルの変化図である。
ン誘導体の光吸収スペクトルの変化図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (式中、R1 、R2 は、それぞれアルキル基、アルコキ
シ基またはアリール基を示す。で表されるジアリールエ
テン誘導体及びそれらの異性体。 - 【請求項2】 請求項1記載の式(1)で表されるジア
リールエテン誘導体からなるフォトクロミック材料。
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-
1996
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