明 細 書
シリンダブ口ックとクランクケースの組付構造及び組付方法 技 術 分 野
本発明は、 エンジンのシリンダブロックとクランクケースとの組付けに際し適 用される組付構造及び組付方法に関するものである。
背 景 技 術
図 4に示すように、 一般的なエンジン 2 1においては、 シリンダブロック 2 2 の下部にクランクケース 2 3を組み付け、 それら後端面 2 4 , 2 5にトランスミ ッシヨンケース 2 6を組付けるようになつている。 シリンダブロック 2 2とクラ ンクケース 2 3との組付けに際しては、 シリンダブロック 2 2から突出されたダ ゥエル 2 7を、 クランクケース 2 3に形成されたダウエル穴 2 8に挿入し、 互い の位置決めを行いつつ、 両者を互いに接合しボル卜で締結するようになっている。 なおこれらダウエル 2 7とダウエル穴 2 8との配置関係は逆の場合もある。 また ダウエルの代わりにリ一マボルトやピン等を用いて位置決めを行うこともある (実開昭 64-34448号公報参照) 。 さらにトランスミ ツシヨンケース 2 6の代わり にフライホイールハウジングが組み付けられることもある。 図中 2 9はシリンダ へッ ド、 3 0はオイルパンを示す。
ところで、 シリンダブロック 2 2とクランクケース 2 3との後端面 2 4 , 2 5 は、 トランスミッシヨンケース 2 6を接合させる接合面となるため、 組付後には 面一にされなければならない。 仮に図 5に示すように、 後端面 2 4, 2 5同士に 段差 0ができてしまうと、 接合部に隙間が生じたりボルトやフランジの損傷を招 いたりする。
上記構造において、 ダウエル 2 7の軸心間距離は Χ ± ί^ 、 ダウエル穴 2 8の 穴心間距離は X土 α 2 である。 特に後方のダウエル 2 7の軸心と後端面 2 4との 距離は Y i /S 、 後方のダウエル穴 2 8の穴心と後端面 2 5との距離は Υ ± ^ 2 である。 このとき段差 0は 0 =土 + β 2 ) で定まる。 要するに段差 0をゼ 口にするには、 ダウエル 2 7やダウエル穴 2 8の位置、 寸法等を正確に管理する 必要があり、 高い加工精度、 組立精度が要求され、 結果的にコスト高を招く。
そこで、 本発明の目的は、 コスト高の要因となるダウエル等に代わり、 簡便な 構造及び方法にてシリンダブ口ックとクランクケースとの後端面同士の位置合わ せを行うことにある。
発 明 の 開 示
本発明に係るシリンダプロックとクランクケースの,組付構造は、 シリンダブ口 ック又はクランクケースの少なくとも一方の後端面に位置決め部材を設け、 この 位置決め部材に他方の後端面を当接させつつ、 両者を互いに結合するものである。 ここで、 上記位置決め部材が板状のェンドプレートからなるのが好ましい。 また、 上記位置決め部材が、 これが設けられるシリンダブロック又はクランク ケースの接合面より突出される突出部を有するの力好ましい。
また、 上記位置決め部材がボル卜で取り付けられるのが好ましい。
また、 上記位置決め部材が上記後端面の左右側に一対設けられるのが好ましい。 また、 上記位置決め部材が、 上記トランスミッシヨンケース又は上記フライホ ィ一ルハウジングの開口部を閉塞するダストカバ一部を有するのが好ましい。 また、 上記シリンダブ口ック及び上記クランクケースの後端面が、 トランスミ ッションケース又はフライホイールハウジングを接合させる接合面であるのが好 ましい。
また、 上記シリンダブロック及び上記クランクケースの接合面の一方に位置決 め用突起が、 他方に上記位置決め用突起を嵌合させるための穴が設けられるのが 好ましい。
また、 本発明に係るシリンダブロックとクランクケースの組付方法は、 シリン ダブ口ック又はクランクケースの少なくとも一方の後端面に位置決め部材を設け、 この位置決め部材に他方の後端面を当接させつつ、 両者を互いに結合するもので ある
また、 本発明に係るシリンダブロックとクランクケースの組付方法は、 シリン ダブ口ック又はクランクケースの少なくとも一方の後端面に位置決め部材を設け、
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これらシリンダブ口ック及びクランクケースの接合面の一方に位置決め用突起を、 他方に上記位置決め用突起を嵌合させるための穴を設け、 上記位置決め用突起を 上記穴に嵌合させてシリンダブ口ック及びクランクケースを互いに接合させ、 両 者の粗位置決めを行った後、 両者を相対移動させることにより、 シリンダブロッ ク又はクランクケースの少なくとも一方の後端面を上記位置決め部材に当接させ、 両者を最終的に位置決めし、 この後両者を互いにボルトで結合するものである。 ここで、 上記位置決め部材が板状のェンドブレ一トからなるの力好ましい。 また、 上記位置決め部材が、 これ力設けられるシリンダブロック又はクランク ケースの接合面より突出される突出部を有するのが好ましい。
また、 上記位置決め部材がボル卜で取り付けられるのが好ましい。
また、 上記位置決め部材がシリンダブ口ック及びクランクケースの結合後に取 り外されるの力 <好ましい。
また、 上記位置決め部材が上記後端面の左右側に一対設けられるの力好ましい。 また、 上記位置決め部材が、 上記トランスミッシヨンケース又は上記フライホ ィ一ルハウジングの開口部を閉塞するダストカバ一部を有するのが好ましい。 また、 上記シリンダブ口ック及び上記クランクケースの後端面が、 トランスミ ッシヨンケース又はフライホイールハウジングを接合させる接合面であるのが好 ましい。
また、 本発明に係るシリンダブロックとクランクケースの組付方法は、 クラン クケースの後端面の左右両側に、 その接合面より上方に突出する位置決め部材と してのェンドブレ一トをボル卜で取り付け、 シリンダブ口ック及びクランクケ一 スの接合面の一方にダウエル等の位置決め用突起を、 他方に上記位置決め用突起 を嵌合させるためのダウエル穴等の穴を複数ずつ設け、 上記位置決め用突起を上 記穴に嵌合させてシリンダブロック及びクランクケースを互いに接合させ、 両者 の粗位置決めを行った後、 両者を相対移動させることにより、 シリンダブロック の後端面を上記エンドプレートに当接させ、 両者を最終的に位置決めし、 この後
両者を互 L、にボルトで結合するものである。
上記構造及び方法によれば、 位置決め部材により、 シリンダブ口ックとクラン クケースとの後端面同士を面一に合わせられる。 これにより従来のダウエル等で 正確な位置合わせを行わずに済み、 これらの廃止や減少も可能となって低コスト 化が可能になる。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明に係るシリンダブ口ックとクランクケースの組付構造を示す背 面図である。
図 2は、 同側面図である。
図 3は、 他の実施の形態を示す背面図である。
図 4は、 従来の組付構造を示す側面図である。
図 5は、 後端面の位置ずれの様子を示す拡大側面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図 1及び図 2は、 本発明に係るシリンダブ口ックとクランクケースの組付構造 を示し、 図 1は後方から見たときの図 (背面図) 、 図 2は側方から見たときの図
(側面図) である。 図示するように、 シリンダプロック 1の下部にはクランクケ ース 2が組み付けられ、 これらはそれぞれの接合面 3 , 4で接合され、 図示しな いボルトで締結されるようになっている。 従来同様、 接合面 3, 4の一方にはダ ゥエル等の位置決め用突起が、 他方にはその突起を嵌合させるための穴 (ダウェ ル穴等) が複数設けられる (図示省略) 。 ただし、 後述するように、 これらはあ くまで粗位置決めのために用いられ、寸法精度や配置管理が従来ほど厳密ではな い。
両者の後端面 5, 6はトランスミッシヨンケースやフライホイールハウジング (図示せず) を接合させる接合面とされる。 そしてこれら後端面 5, 6同士は、 位置決め部材としてのェンドプレート 7により正確に位置合わせされ面一とされ ている。 エンドプレート 7は、 ここでは左右側に一対設けられ、 クランクケース 2の後端面 6にそれぞれボルト 8で取り付けられている。 そしてェンドブレート
7は、 クランクケース 2の接合面 4の位置より上方に突出する突出部 9を有して いる。 よってこの突出部 9にシリンダブロック 1の後端面 5を当接させることで、 後端面 5, 6同士を正確に面一に合わせることができる。 いずれのエンドプレー ト 7も、 トランスミッションケース等の組付けの邪魔にならぬよう、 適度な大き さの小片とされ、 位置、 形状等が定められている。 なお後端面 5, 6には、 トラ ンスミッシヨンケース等の位置決め或いは固定を行うべく、 ボルト穴或いはダウ エル、 ダウエル穴等からなる複数の位置決め固定部 1 0が適宜間隔で設けられる。 次に、 この構造におけるシリンダブ口ック 1とクランクケース 2の組付方法を 説明する。 先ず、 クランクケース 2にそれぞれのエンドプレート 7をボルト 8で 取り付け、 次にェンドブレート 7の突出部 9にシリンダブロック 1の後端面 5を 当接ないし突き当てつつ、 シリンダブロック 1とクランクケース 2とを互いに接 合させる。 この接合時、 接合面 3, 4の一方に設けられた突起力 他方に設けら れた穴に嵌合され、 これによつても位置決めがなされる。 ただしこのときの位置 決めはあくまで粗位置決めであって、 即ち、 突起と穴との嵌め合い公差が従来よ り大きいため、 シリンダブロック 1とクランクケース 2とは前後左右 (水平方向) に多少の位置ずれ (相対移動) が可能となっている。 これによりシリンダブロッ ク後端面 5はェンドブレート 7に確実に当接でき、 突起と穴との嵌め合いがェン ドブレ一ト 7による位置決めに何等影響を及ぼさぬようになつている。 こうして 接合が終了した後、 両者を図示しないボルトで締結すれば、 後端面 5, 6同士を 面一とした状態で両者を結合し互レ、に組付けることが可能となる。
このように、 上記構造及び方法にあっては、 一方の後端面 6に設けたエンドプ レート 7で後端面 5, 6同士の位置合わせを行うため、 接合面 3, 4に設けたダ ゥエル等で位置合わせを行う必要がなくなり、 それらの寸法管理等を実質不要と し、 延いてはそれらを廃止、 減少することも可能となる。 要するにエンドプレー ト 7を設けたことによって、 製作に高コストを要するダウエル等に代わり、 簡便 な構造、方法で後端面 5, 6同士の位置合わせを行える。 これによつて高い加工 精度、 組立精度が不要となり、 低コスト化を達成できる。 当然ながら、 後端面 5,
0
6同士が面一となるので、 トランスミッシヨンケースを組付けたときに隙間が空 いたり、 ボルトやフランジ等が損傷することがな L、。
以上の説明で分かるように、 位置決め部材は、 板状のエンドプレート 7に限ら ず他のもの、 例えばステ一状のものであってもよい。 ただし上述のエンドプレー ト 7とすると、 自ずと平面がでているため位置合わせ力容易且つ正確となり、 構 造も簡単なので低コストとなる利点がある。 また、 位置決め部材はシリンダブ口 ック 1の後端面 5に設けることもできるし、 両方の後端面 5, 6に設けることも できるし、 数、 位置等も限定されない。 さらにはシリンダブロック 1とクランク ケース 2との組付後 (締結後) に取り外すことも可能である。 もっともクランク シャフトやフライホイールとの干渉がなければ取り付けたままにしておく方がェ 程削減には有利である。
図 3は他の実施の形態を示し、 ここでは右側に示すエンドプレート 7 Aが、 ト ランスミッシヨンケース又はフライホイールハウジングの前端の開口部を閉塞す るダストカバー部 1 1を一体に有している。 通常、 その開口部は、 别部品である ダストカバ一をトランスミッシヨンケース等に取り付けて閉塞されるが、 ここで はェンドブレ一ト 7 aがダストカバ一を兼用するため、 ダストカバ一を廃止でき 部品点数の削減、 低コスト化が可能となる。
他にも、 本発明の実施の形態については様々なものが考えられる。
産業上の利用の可能性
本発明は、 エンジンのシリンダブ口ックとクランクケースとの組付けに際し適 用 れる。