JPWO2020209007A1 - 電力用半導体素子の駆動回路 - Google Patents

電力用半導体素子の駆動回路 Download PDF

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Abstract

入力端子(11)に入力されるオン・オフの駆動タイミング信号に基づいて、第一主電極と第二主電極の間に流れる主電流を制御するためのゲート電極を有するスイッチング素子(1)のゲート電極に印加するゲート駆動電圧を発生するゲート駆動電圧生成器(30)を備えた電力用半導体素子の駆動回路において、ゲート駆動電圧生成器(30)は、電流を制限する電流制限器(17)と、この電流制限器(17)の両端に印加される電圧の大きさを制限する電圧制限器(56)とが並列に接続されたゲート電流制限回路(3)を備えるようにした。

Description

本願は、電力用半導体素子の駆動回路に関する。
インバータなど、電動機を駆動するための電力変換器は電力用半導体素子であるスイッチング素子のスイッチングにより電力変換を行う。スイッチング素子の駆動に関し、同じ駆動回路状態を維持してもスイッチング時の電流値等によってスイッチング状態が変化してしまうため、余裕をもった設計をする必要があった。この問題を解決して、低損失、低ノイズ化するためには、駆動回路によってスイッチングの際に発生する損失とノイズ発生あるいはスパイク電圧とのトレードオフの関係を制御する必要があった。トレードオフの改善を図るためにはスイッチング時のゲート電流を制御し、スイッチング状態、例えばスイッチング時の電流値が変化した際にスイッチング素子の伝達特性に対応してゲート電圧波形を制御し、ゲート電流の変化を制御する必要がある。
特開2013−229654号公報
ゲート電流を制御するためにゲート抵抗あるいは電源を切り替えるためには、タイミングを調整するための複数の信号およびスイッチが必要となり、制御回路が複雑化してしまう。特許文献1では、スイッチング当初、ゲート電圧を閾値電圧あるいは設定した一定電圧に切り替えるように制御している。しかし、素子温度あるいはスイッチング時の電流値が変わった際、その素子の特性が変化し、設定すべきゲート電圧の大きさが変化するため、スイッチング時の遅れ時間を短縮することに限界がある。また、オフ時の遅れ時間分、短絡発生を防止するためのデッドタイムが必要となり、デッドタイム以内に確実にスイッチング素子をオフする必要がある。また、オン時に過電流が生じた際、ゲート電圧の立ち上がり時間を制限しており、長い期間スイッチング素子が能動領域で動作するため、スイッチング素子の損失が大きくなり、過度の温度上昇を防ぐため、大きな放熱フィンなどが必要となってしまう。
本願は、上記の問題点を解決するための技術を開示するものであり、スイッチング素子の電流値あるいは温度の変化に対して、複雑な制御をせずに、スイッチング損失あるいはノイズの変化が少ない電力用半導体素子の駆動回路を提供することを目的としている。
本願に開示される電力用半導体素子の駆動回路は、入力端子に入力されるオン・オフの駆動タイミング信号に基づいて、第一主電極と第二主電極の間に流れる主電流を制御するためのゲート電極を有するスイッチング素子のゲート電極に印加するゲート駆動電圧を発生するゲート駆動電圧生成器を備え、ゲート駆動電圧生成器は、電流を制限する電流制限器と、この電流制限器の両端に印加される電圧の大きさを制限する電圧制限器とが並列に接続されたゲート電流制限回路を備えたものである。
本願に開示される電力用半導体素子の駆動回路によれば、スイッチング素子の電流値あるいは温度の変化に対して、複雑な制御をせずに、スイッチング損失あるいはノイズの変化が少ない電力用半導体素子の駆動回路を実現できる。
実施の形態1による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。 実施の形態1による電力用半導体素子の駆動回路の電圧制限器の別の例を示す回路図である。 実施の形態1による電力用半導体素子の駆動回路の動作を説明するための線図である。 IGBTの温度特性例を示す線図である。 ツェナーダイオードの降伏電圧の温度係数の例を示す線図である。 実施の形態2による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。 実施の形態3による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。 実施の形態4による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。 実施の形態4による電力用半導体素子の駆動回路の動作を説明するための線図である。 実施の形態5による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。 図11Aおよび図11Bは、実施の形態4、5、6による電力用半導体素子の駆動回路のゲート電圧補正器としての電流源の例を説明する図である。 実施の形態5による電力用半導体素子の駆動回路の動作を説明するための第一の線図である。 実施の形態5による電力用半導体素子の駆動回路の動作を説明するための第二の線図である。 実施の形態5による電力用半導体素子の駆動回路の動作を説明するための第三の線図である。 実施の形態6による電力用半導体素子の駆動回路の動作を説明するための線図である。 実施の形態6による電力用半導体素子の駆動回路の動作による効果を説明するための線図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による電力用半導体素子の駆動回路を示す回路図である。本願においては、電力用半導体素子としてスイッチング素子1がIGBTの場合を例にして説明する。IGBTの場合、第一主電極としてコレクタ電極(単にコレクタとも称する)、第二主電極としてエミッタ電極(単にエミッタとも称する)を備えており、コレクタとエミッタの間に流れる電流をゲート電極に印加する電圧により制御する。本願で開示する技術は、スイッチング素子として、IGBTに限らず、MOSFET等、2つの主電極、すなわち第一主電極と第二主電極の間に流れる電流をゲート電極に印加する電圧により制御する構成の他のスイッチング素子にも適用できる。
本実施の形態1による電力用半導体素子の駆動回路2は、スイッチング素子1をON/OFFするため、入力端子11から入力される駆動タイミング信号に対応してゲート電極の電荷を充放電させて、ゲート端子101の電圧Vgeを制御する。駆動回路2のゲート駆動電圧生成器30は、ゲート電流制限回路3、および駆動電圧振幅制限回路4を備えている。駆動電圧振幅制限回路4は、第一制御電源7、第二制御電源8、入力信号の振幅を第一制御電源7および第二制御電源8の振幅内に制限するためのダイオード9およびダイオード10、入力電流を制限する抵抗R1、駆動タイミング信号Vsを受け信号を増幅するバッファ回路40を備えている。また、駆動回路2は、出力側にゲート抵抗Rgおよび放電抵抗R2を備えている。ゲート電流制限回路3は、駆動電圧振幅制限回路4とスイッチング素子1のゲート端子101との間に配置されており、ゲート電流を制限するための電流制限器17と、電流制限器17と並列に接続された電圧制限器56と、電流制限器17と電圧制限器56の2つの出力を受けてスイッチング素子1のゲート電流を調整するためのコンデンサ(以後ゲート容量調整器)13とを有している。ここでは、電流制限器17は抵抗としている。
入力端子11には、第二主電極であるエミッタ電極の電位と共通の電位となるエミッタ端子20との間に駆動タイミング信号Vsが入力され、駆動電圧振幅制限回路4により、第一制御電源7および第二制御電源8の電圧の振幅に変換された電圧Vsgが駆動電圧振幅制限回路4から出力される。ここで、駆動電圧振幅制限回路4では、ダイオード9、ダイオード10および入力側に抵抗R1を有することにより、入力端子11に入力される駆動タイミング信号Vsの振幅が第一制御電源7および第二制御電源8よりも大きい場合であっても、バッファ回路40に入力される電圧の大きさが制限されて、バッファ回路40が保護される。バッファ回路40としてはオペアンプなどの増幅器、あるいはトランジスタを使用した増幅回路などを用いることができる。
電圧制限器56は、電流制限器17の両端に印加される電圧の範囲を制限するよう、ツェナーダイオード5とツェナーダイオード6の2つのツェナーダイオードが極性の向きを逆にして直列に接続された直列接続体により構成される。ゲート駆動電圧生成器30の出力はゲート抵抗Rgを介してゲート端子101に接続されている。ゲート電極とエミッタ電極の間には放電抵抗R2が接続されている。
電流制限器17は、電流を制限することにより、電流制限器17と電圧制限器56との接続点12、すなわちゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgの変化量を制限する。また、電圧制限器56は電流制限器17が電流を制限する電圧の範囲を制限する。本実施の形態1では電圧制限器56として2つのツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6が極性の向きを逆にして直列に接続されている。この構成により、ツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6の降伏電圧以上の電位差がゲート電流制限回路3の入力側と出力側との間に生じた場合に、電圧制限器56により急峻にゲート容量調整器13が充電される。本実施の形態1では、ゲート電流制限回路3の入力側から出力側に電流が流れたときの降伏電圧、すなわちツェナーダイオード5の降伏電圧をVz_5、ゲート電流制限回路3の出力側から入力側に電流が流れたときの降伏電圧、すなわちツェナーダイオード6の降伏電圧をVz_6とする。
本実施の形態1では電圧制限器56としてツェナーダイオード5とツェナーダイオード6とを極性の向きを逆にして直列に接続することで、電流の向きがどちらの向きにおいても電圧を制限できる構成としている。図2に示すように、ツェナーダイオードとダイオードを極性の向きを逆にして直列に接続した直列接続体を2個、向きを逆に並列に接続したものを電圧制限器56としても、電流の向きがどちらの向きにおいても電圧を制限できる。しかしながら、図1に示す、2つのツェナーダイオードを極性の向きを逆にして直列に接続する構成の方がシンプルな構成となる。また、後述するように、電圧制限器56は、スイッチング素子1と同じモジュール内、あるいはスイッチング素子1と同等の温度になるように同じ基板内に配置するのが好ましいが、このためには図1に示す電圧制限器の構成が有効な構成となる。
図1に示した回路では、ゲート電流の大きさを制限するためゲート容量調整器13とゲート抵抗Rgが接続されているが、この2つは必ず必要なものではなくどちらか片方を備えなくてもよい。さらには、スイッチング素子1のチップ上あるいは素子内の定数を利用できる場合は、両方共備えなくてもよい。
図3は、図1に示した回路の動作を説明するための、各部の電圧・電流の時間変化を示す線図である。最上段の線図では、一点鎖線が駆動電圧振幅制限回路4の出力点14、すなわちゲート電流制限回路3の入力側の電位Vsg、実線がゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vg、破線がスイッチング素子1のゲート電極−エミッタ電極間の電圧、すなわちゲート電圧Vgeを、それぞれスイッチング素子1のエミッタ端子20の電位を0として示している。2段目はスイッチング素子1の第一主電極であるコレクタと第二主電極であるエミッタ間に流れる電流、すなわちコレクタ電流Ic、3段目はスイッチング素子1のコレクタ―エミッタ間の電圧Vce、4段目はスイッチング素子1のゲート電流Igを示している。
入力端子11に駆動タイミング信号としてON信号が入力されたとき、一点鎖線で示すように、ゲート電流制限回路3の入力側、すなわち駆動電圧振幅制限回路4の出力点14に第一制御電源7の電圧に対応した電位Vsgが出力される。第一制御電源7の電圧、すなわち駆動タイミング信号がON時のゲート電流制限回路3の入力側の電位の値からツェナーダイオード5の降伏電圧Vz_5を差し引いた値を第一閾値電圧Vgminとし、このVgminが、スイッチング素子1のスレシホールド電圧(threshold voltage)VthとなるようVz_5の値を設定しておく。この設定により、駆動タイミング信号の立ち上がり時には、実線で示すように、ツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6を通じ、スイッチング素子1のスレシホールド電圧Vthを超えない電位までゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgが上昇する。すなわちゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgが第一閾値電圧Vgminになるとゲート電流制限回路3の入力側と出力側の電位差がツェナーダイオード5で設定された電圧Vz_5以下になるため、電圧制限器56のツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6はオフし、ゲート容量調整器13は電流制限器17を通じ充電される。この際、ゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgの変化は抵抗で構成される電流制限器17とゲート容量調整器13の時定数により制限される。ゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgに遅れて、ゲート電圧VgeがVth以上になるとスイッチング素子1はONし始め、ゲート電圧Vgeの上昇に伴い伝達する電流Icを増やし、Icが所要電流値に至るとスイッチング素子1はミラー期間に移行する。以上のように、駆動タイミング信号がオン信号となったとき、すなわちオン時には、ゲート駆動電圧生成器30の出力電圧Vgが第一閾値電圧Vgmin以下では電流制限器17には電流が流れず、第一閾値電圧Vgmin以上になって電流制限器17により電流が制限されるように、電圧制限器56が電流制限器17の両端の電圧を制限する。これにより、駆動タイミング信号がオン信号となったとき、電圧制限器56が、ゲート駆動電圧生成器30の出力電圧Vgを第一閾値電圧Vgminまで上昇させ、Vgが第一閾値電圧Vgminに上昇後は、電流制限器17に流れる電流により、Vgを上昇させることになる。
ミラー期間はスイッチング素子1のVceが変化する期間であり、その変化率dVce/dtはミラー期間のゲート電流(以後ミラー電流)の大きさに依存する。ミラー期間中のゲート電圧(以後ミラー電圧Vm)は一定であり、Vmは、スイッチング素子の伝達特性に従い、スイッチング時の電流Icの大きさおよび素子の温度によってその値が変化する。しかし、ゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgの変化率dVg/dtが電流制限器17により制限されているため、スイッチング電流あるいは素子温度が変化してもミラー電圧Vmとゲート駆動電圧生成器30の出力の電圧Vgとの電圧差の変化率は変化しない。このため、ミラー期間のゲート電流の大きさはVmが変化しても変わらないため、スイッチング素子1のコレクターエミッタ間電圧Vceは一定の電圧変化率になるように制御される。
以上では第一閾値電圧Vgminは、スイッチング素子1のスレシホールド電圧Vthと等しくするとして説明したが、第一閾値電圧Vgminは必ずしもスレシホールド電圧Vthと等しくなくてもよく、スレシホールド電圧Vth以上に設定すればよい。あるいは、第一閾値電圧Vgminをスレシホールド電圧Vthよりも低く設定しても動作は可能であるが、立ち上がりの遅れ時間が大きくなる。したがって、スイッチングの遅れを低減するためには、第一閾値電圧Vgminはスレシホールド電圧Vth以上の電圧値に設定するのが好ましい。一方、第一閾値電圧Vgminをスレシホールド電圧Vthよりも低く設定した場合、スイッチング電流が流れ始める直後の電流の変化率di/dtを小さく抑えることができる。このため、スイッチング時のリカバリ電流を小さく抑えることができ、発生するノイズを小さく抑えることができる。また、Vgがスレシホールド電圧Vth以下の電圧値にまでしか立ち上がらないため、スレシホールド電圧近傍のdVge/dtを小さく抑えることができるという効果もある。
OFF時、すなわち駆動タイミング信号の立下り時には、ゲート電極およびゲート容量調整器13から電荷を放電させるため、ゲート電流制限回路3には出力側から入力側に電流が流れる。このため、ゲート電流制限回路3の出力側と入力側の間の電位差が、電圧制限器56のツェナーダイオード6の降伏電圧Vz_6に制限される。ツェナーダイオード6の降伏電圧Vz_6は、スイッチング素子1の許容する最大電流値Icmaxに対応したスイッチング素子1の伝達特性から求められたゲート電圧Vgmaxと、駆動タイミング信号がOFF信号のときの駆動電圧振幅制限回路4の出力電圧Vsgとの差の電圧の値に設定される。この設定により、駆動タイミング信号の立下り時、ゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgは、瞬時にスイッチング素子1の許容する最大電流値に対応したVgmaxとなる。本願において、Vgmaxは第二閾値電圧とも称する。
ゲート駆動電圧生成器30の出力の電位VgがVgmaxとなった後は、電圧制限器56のツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6がOFFとなるため、ゲート電極およびゲート容量調整器13の電荷は電流制限器17を通じ放電される。この際Vgの変化率dVg/dtは電流制限器17とゲート容量調整器13の時定数に制限される。ゲート電圧Vgeがミラー電圧Vmになるとスイッチング素子1はミラー期間に移行するが、ON時と同様にdVg/dtが電流制限器17により制限されているため、ミラー期間のゲート電流はスイッチング時のスイッチング素子の電流値及び素子温度などが変化しても、大きく変化することがないように制御される。ゲート電圧VgeがVm以下になっても、ゲート電圧Vgeの変化率dVge/dtはゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgにより制御されるため、スイッチング時の電流Icのdi/dtの大きさが制限される。スイッチング素子1のdi/dtが制限されているため、スイッチング素子1のダイオードにリカバリ電流が流れる際のリカバリノイズが大きく変化しないように制御される。以上のように、駆動タイミング信号がオフ信号となったとき、すなわちオフ時には、電圧制限器56は、ゲート駆動電圧生成器30の出力電圧Vgが第二閾値電圧Vgmax以下で電流制限器17により電流が制限されるように、電流制限器17の両端の電圧を制限する。これにより、駆動タイミング信号がオフ信号となったとき、電圧制限器56が、ゲート駆動電圧生成器30の出力電圧Vgを第二閾値電圧Vgmaxまで下降させ、Vgが第二閾値電圧Vgmaxに下降後は、電流制限器17に流れる電流により、Vgを下降させることになる。
スイッチング素子1の温度変化時の動作について説明する。図4にスイッチング素子1がIGBTであるときの、異なる温度における伝達特性を示す。図4に示すように、スイッチング素子1のスレシホールド電圧Vthは素子温度が上昇すると低い電圧に変化する。温度が上昇しても、スイッチング素子1が電流を流しうるゲート電圧Vgeの範囲が、ゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgの変化率dVg/dtが制限される電圧範囲から外れないように、制限される電圧範囲が低い電圧側に変化するよう調整する必要がある。この電圧範囲の調整はツェナーダイオードの降伏電圧の温度特性を利用することにより可能となる。温度特性を利用するためのツェナーダイオード5として降伏電圧Vz_5が5.6V以上のツェナーダイオードを使用する。図5は、ツェナーダイオードの温度特性、すなわちツェナーダイオードの降伏電圧と降伏電圧の温度係数(温度変化に対する降伏電圧の変化率)の関係を示す図である。図5に示すように、降伏電圧5.6V以上のツェナーダイオードでは、降伏電圧の温度係数が正である。このため、駆動タイミング信号がON時の駆動電圧振幅制限回路4の出力点14の電位の値からツェナーダイオード5の降伏電圧Vz_5を差し引いた値である第一閾値電圧Vgminは、温度上昇にしたがって自動的に低い値に変化する。すなわち、この第一閾値電圧Vgminの温度変化はVthの温度変化と同じ温度変化傾向となる。スイッチング素子1とツェナーダイオード5との間で大きな温度差が無いようにすれば、温度上昇してスイッチング素子1のVthが下がっても降伏電圧Vz_5が大きくなるため、ゲート電圧が制限される電圧範囲からVthが外れることはない。ツェナーダイオード5が1個のツェナーダイオードだけでは、スイッチング素子1のVthの変化と降伏電圧の温度変化特性が合わない場合、ツェナーダイオード5として、降伏電圧の異なる複数のツェナーダイオードを直列に接続した構成とすることにより、Vthの温度変化に合うようにツェナーダイオード5の温度変化特性を調整することができる。
次にOFF時の動作を説明する。以下では、例として280A時にOFFとなる場合を想定する。280Aといった大きな電流領域では、素子温度上昇に伴いミラー電圧Vmが上昇し、一方スレシホールド電圧Vthは低下する。このため、温度が変化しても第二閾値電圧Vgmaxを変化させなければ、図3においてtdmaxで示す遅れ時間が増加する。遅れ時間の増加を抑制するには、温度上昇に伴って第二閾値電圧Vgmaxが上昇するようにすればよい。ツェナーダイオードの降伏電圧の温度特性を利用することにより、温度上昇に伴って第二閾値電圧Vgmaxが上昇するようにできる。ツェナーダイオード6として温度係数が正のツェナーダイオードを使用する。降伏電圧が5.6V以上のツェナーダイオードは降伏電圧の温度係数が正であるため、温度上昇に対し降伏電圧が上昇する特性となる。これにより、温度上昇した場合、ツェナーダイオード6の降伏電圧が上昇することにより、第二閾値電圧Vgmaxの値が自動的に上昇し、駆動遅れ時間tdmaxの増加が抑制される。
本実施の形態において、ツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6で構成される電圧制限器56はスイッチング素子1と同じ温度になるように、同じモジュール内あるいは同じ冷却ベース板上に実装されることが望ましい。しかしながら、電圧制限器56がスイッチング素子1と同じモジュール内あるいは同じ冷却ベース板上に実装されていなくても、これらの近傍に実装されていれば良い。電圧制限器56が、スイッチング素子1が実装されているモジュールなどの近傍に実装されていれば、モジュール板あるいは冷却ベース板などの雰囲気の温度により、スイッチング素子1の温度が上昇したとき、電圧制限器56の温度も上昇する。このように、電圧制限器56の温度変化の環境が、スイッチング素子1の温度変化の環境と同じとなる位置に電圧制限器56を配置することにより、両者の温度変化傾向が同じになる。もし、電圧制限器56の温度変化がスイッチング素子1の温度変化に比べて小さくなる場合は、例えば複数のツェナーダイオードを直列で構成して温度変化特性を調整したり、少しの温度変化でVz_5およびVz_6が大きく変化するツェナーダイオードを選択したりすればよい。このように、スイッチング素子1と電圧制限器56の温度変化の差を考慮して電圧制限器56の温度特性を調整することで、スイッチング素子1の動作する範囲でdVge/dtの制御範囲が外れないようにすることができる。
以上のように、実施の形態1による電力用半導体素子の駆動回路によれば、スイッチング素子の温度あるいは電流値が変わっても、複雑な制御をすることなく、自動的にdVge/dtの制御範囲が変化するため、スイッチング動作の変動が少ない。このため、例えばデッドタイムの余裕を小さくでき、ひいてはスイッチング損失の変化、あるいはノイズの変化が少ない電力用半導体素子の駆動回路を実現することができる。
実施の形態2.
図6は、実施の形態2による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。実施の形態1と異なる点は、電圧制限器56、電流制限器17、ゲート容量調整器13で構成されるゲート電流制限回路3が駆動電圧振幅制限回路4の入力側に接続されている点である。駆動電圧振幅制限回路4は、ゲート駆動電圧生成器30の出力点12の電位Vgがゲート電流制限回路3の出力側の電位になるように制御する。本実施の形態2ではバッファ回路40の電圧ゲインを1として説明するが、ゲインは1でなくても構わず、バッファ回路40のゲイン分、バッファ回路40に入力される信号の振幅を調整し、電圧制限器56のツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6の降伏電圧を調整することにより図3と同様の特性を得ることができる。本実施の形態2は、バッファ回路40の特性として高周波領域のゲインを大きく取れないなど周波数特性を有する場合に適用すると効果がある。この場合、図6に示すように、ゲート電流制限回路3にコンデンサC1を接続する。本実施の形態2においてON時およびOFF時のスイッチング素子1の特性の変化に対する駆動回路2の動作の詳細については実施の形態1と同じである。
第一制御電源7と第二制御電源8の電圧以上の振幅の駆動信号が入力端子11に入力されても、ダイオード9およびダイオード10により入力の振幅が第一制御電源7と第二制御電源8になるように制限される。ONの駆動タイミング信号入力時には、電圧制限器56のツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6を通じ瞬時にVthまでゲート容量調整器13の電圧を上昇させる。この際、コンデンサC1を経由する電流によりゲート容量調整器13が充電されるため、その立ち上がりは急峻となる。バッファ回路40は電流増幅を行い、ゲート駆動電圧生成器30の出力点12の電位VgをVthまで上昇させる。その後はゲート容量調整器13が電流制限器17を介し充電されるため、ゲート容量調整器13のdv/dtが制御され、その電圧を受けてバッファ回路40がゲート駆動電圧生成器30の出力点12の電圧Vgを上昇させる。
この構成により、大きな振幅の信号が入力された際でも、スイッチング素子1の伝達特性の変化があってもdVge/dtが制御されるため、実施の形態1と同様に、温度あるいはスイッチング電流変化時のトレードオフの変化を抑制するように、ゲート駆動電圧生成器30がゲート電流を制御する。この際、ゲート駆動電圧生成器30の出力点12の電位Vgとゲート端子101の電位Vgeとの電位差がスイッチング時の電流の大きさあるいは素子温度により大きく変化しないため、ゲート抵抗Rgにて調整されるゲート電流の大きさの、温度および電流依存性を低減することができる。また、ゲート駆動電圧生成器30の出力点12の電圧Vgの立ち上がり時など、コンデンサC1を電流制限器17と並列に接続することにより、駆動回路2の高周波のゲインを大きくすることができ、駆動回路2のゲインの周波数特性の補正を行うことができる。
実施の形態3.
図7は、実施の形態3による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。実施の形態1と異なる点は、バッファ回路40の入力電圧のクランプ回路として、抵抗R1と、極性の向きが逆に直列に接続されたツェナーダイオード90およびツェナーダイオード100を使用したこと、さらに、電圧制限器56と並列に接続する電流制限器17として、定電流ダイオード71および定電流ダイオード72の2個の定電流ダイオードを、極性を逆に直列に接続した接続体を使用したことである。
ツェナーダイオード90およびツェナーダイオード100は、入力端子11に入力される駆動タイミング信号Vsの振幅が変わってもバッファ回路40に入力される信号の振幅が一定になるように制限する。また、電流制限器17を構成する2個の定電流ダイオードの定電流値として、同じものを用いる。ただし、ON時の電流制限用の定電流ダイオード71とOFF時の電流制限用の定電流ダイオード72の定電流値として異なる値のものを用いて、ON時とOFF時のスイッチング速度を変える構成にしてもかまわない。また、ゲート電流制限回路3は、スイッチング素子1のゲート−エミッタ間にゲート容量調整器13が接続される構成となっているが、ゲート容量調整器13はスイッチング時の速度を調整するものであり、ゲート容量調整器13をなくしてスイッチング素子1のゲートのみが充電される構成としても構わない。また、図7ではバッファ回路40はオペアンプを用い、オペアンプ出力電圧をフィードバックする構成としているが、コンプリメンタリのトランジスタ等を用いたバッファ回路、あるいは入力された信号を増幅するアンプ回路などを使用し、バッファ回路40の出力電圧が制御されるものでもかまわない。図7では電圧制限器56としてツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6の2個のツェナーダイオードが極性の向きが逆に直列に接続された構成となっている。ツェナーダイオードは、降伏電圧の温度係数が正となる降伏電圧が5.6V以上の素子を用いるだけでなく、降伏電圧5.6V以下の素子も組み合わせ、複数のツェナーダイオードにより、温度変化に対する降伏電圧の変化が、スイッチング素子1の伝達特性の温度変化に合った変化となるように調整された構成とすることもできる。
本実施の形態3において、入力端子11に駆動タイミング信号VsとしてON信号が入力されるとバッファ回路40は第一制御電源7の電位を出力する。ON信号入力時には、瞬時にツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6を通じスイッチング素子1のスレシホールド電圧Vthまでゲート容量調整器13の電圧を上昇させ、その後は電流制限器17によりゲート容量調整器13が充電される。本実施の形態3では、Vth以上の領域におけるゲート電流の大きさは電流制限器17により制御されるため、バッファ回路40の出力Vsgとゲート端子101の電位Vgeとの電位差によりゲート電流が変化することが無いため、スイッチング速度は一定に制御される。従来の定電流駆動においては、負バイアス印加時、あるいはVthが大きくOFF時のゲート電圧からVthまでの電位差が大きい場合などに、駆動タイミング信号入力時からスイッチング素子駆動までに遅れ時間が生じていた。一方、実施の形態1あるいは実施の形態2と同様、本実施の形態3においても、素子特性の変化に対してこの遅れ時間を短くするようにゲート駆動電圧生成器30の出力Vgが追随するため、スイッチング時に必要なデッドタイムを短縮することができる。デッドタイムの短縮により、デッドタイムによるスイッチング電源の出力電圧および電流の誤差を低減することができる。また、ツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6を、それぞれ複数のツェナーダイオードが直列に接続された構成とすることで、降伏電圧の変化がスイッチング素子1の伝達特性の温度変化に合うように調整することができる。これにより、ツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6とスイッチング素子1の温度特性、あるいは温度変化のずれなども組みあわせて、温度変化に追随するゲート電流制限回路3を構成することができる。図7に示す、入力にツェナーダイオード90およびツェナーダイオード100を設ける構成、および電流制限器17として2個の定電流ダイオードを用いる構成は、他の実施の形態にも適用することができる。
実施の形態4.
図8は、実施の形態4による電力用半導体素子の駆動回路の構成を示す回路図である。本実施の形態4では、ゲート抵抗Rgと並列にゲート電圧補正器18が接続されている。ゲート電圧補正器18はゲート駆動電圧生成器30の出力電圧Vgを検出し、その大きさに応じてゲート電圧を補正するよう補正電流Isetを出力するものである。その他の構成は、ゲート電流制限回路3を駆動電圧振幅制限回路4の入力側に備える点で、図6に示した実施の形態2と同様である。
図9は、図8に示した回路の動作を説明するための、各部の電圧・電流の時間変化を示す線図である。ON時およびOFF時の動作において、ゲート電圧がミラー電圧に至るまでの動作は実施の形態2と同様である。ON時、ゲート電圧補正器18は、ゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgが第三閾値電圧Vgmax1以上になると、強制的にスイッチング素子1をオンさせるため、ゲート電流を増加させる方向の補正電流Iset1を出力する。第三閾値電圧Vgmax1は、スイッチング素子1の仕様等により決められる許容されるコレクタ電流の最大値に対応したゲート電圧以上であり、かつゲート電圧VgeがVthからVgmax1に至るまでの間、スイッチング素子1が飽和状態で動作しても破壊されない動作時間と電流の範囲となるよう設定される。これにより、過電流時等において特定時間経過後にエミッタ−コレクタ電圧Vceを低く引き下げることができ、スイッチング素子1がスイッチング時に能動領域で動作したことによる損失により故障してしまうのを防ぐことができる。
OFF時、ゲート電圧補正器18はゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgが第四閾値電圧Vgmin1以下になると、強制的にスイッチング素子1をオフさせるため、ゲート電極の電荷を放電させる方向の補正電流Iset2を出力する。第四閾値電圧Vgmin1は、スイッチング素子1のスレシホールド電圧Vth以下に設定し、この電圧で確実にオフさせることにより、駆動の遅れ時間tdmaxを短くでき、デッドタイムを短縮することができる。ゲート電極の電位Vgeとゲート駆動電圧生成器30の出力の電位Vgの電位差が小さくなりスイッチングが遅くなってしまうことが考えられるため、ゲート電圧Vgeの引き下げ幅を大きくして確実にスイッチング素子1をオフさせる。この際、Vth近傍において急峻にゲート電圧Vgeを引き下げるとリカバリノイズが大きくなってしまうため、オフする時間を考慮しVth以下の余裕をもった電圧に第四閾値電圧Vgmin1を設定する。そして補正電流であるIset2も、リカバリ対策のためゲート電流Igが大きくなりすぎないようにVth近傍のdVge/dtが予め定めた値よりも小さくなるよう制御してIcの電流変化率di/dtを制限する。これによりリカバリ電流のピーク値を小さくでき、スイッチングノイズを抑制することができる。スイッチング素子1であるIGBTはVth付近でIgの変化率が小さくなるため、実施の形態3で説明したように、電流制限器17として定電流ダイオードを使用してゲート電圧Vgeの変化率dVge/dtを一定にすることによってもリカバリ電流のピーク値を小さくすることができる。また、スイッチング素子1としてMOSFETを使用する場合においても、ゲート電圧補正器18により、スレシホールド電圧Vth近傍のゲート電圧Vgeの変化率dVge/dtが小さくなるようにIsetにて制御し、リカバリ電流あるいはコレクタ−エミッタ間電圧Vceに発生する異常電圧のピーク値を低減することができる。
ゲート電圧補正器18は、本実施の形態4の構成に限定されるものではなく、他の実施の形態の回路にも適用でき、適用した場合、上記で説明した、第三閾値電圧Vgmax1、第四閾値電圧Vgmin1、およびVth近傍の動作の効果を得ることができる。
実施の形態5.
図10は、実施の形態5による電力用半導体素子の駆動回路を示す回路図である。本実施の形態5による電力用半導体素子の駆動回路は、スイッチング素子1の温度あるいはスイッチング電流の大きさ、スイッチング時の高周波電流の測定結果などの外部信号に基づいて、ゲート電極に流れる電流を制御する電流源181(ゲート電圧補正器181とも呼ぶ)を備えている。この電流源(ゲート電圧補正器)181は、実施の形態4において図8に示したゲート電圧補正器18と同じ位置に設けられていても良い。実施の形態4におけるゲート電圧補正器18は、ゲート駆動電圧生成器30の出力電圧に基づいて、ゲート電極に流れる電流を制御するよう構成されている。本実施の形態5における電流源(ゲート電圧補正器)181は、上述のように、スイッチング素子1の温度あるいはスイッチング電流の大きさ、スイッチング時の高周波電流の測定結果など外部信号に基づいて出力電流を変化させて、ゲート電極に流れる電流を制御する。電流源181の電流を変化させることにより、ゲート駆動電圧生成器30の出力電圧Vgの変化率dVg/dtを調整することができる。
電流源181は、フォトカプラ、定電流源、電圧源に接続された抵抗など、出力する電流値を変化させることができる構成であれば、どのような電流源であってもよい。電流源181としては、例えば、図11Aに示すようなフォトカプラ182を介して電流を供給する構成の電流源を用いることができる。INPUTに電流を流すことで、INPUT側と絶縁されたOUTPUTに電流を取り出すことができる。負の電流を出力させる場合は、フォトトランジスタのコレクタ側をOUTPUTとし、エミッタ側にマイナス電源を接続すればよい。また、正負両方の電流を出力できるようにするためには、上記の正の電流を出力するフォトカプラと、負の電流を出力するフォトカプラを並列に接続すればよい。以上のような電流源は、実施の形態4におけるゲート電圧補正器18としても用いることができる。また、後述の実施の形態6で説明するように、電流源181を交流電流源とする場合は、図11Bに示すようなトランス183を介して電流を供給する構成の交流電流源を用いることもできる。
実施の形態1〜4では、スイッチング素子1の温度あるいはスイッチング電流の大きさが変わって、ミラー電圧が変わっても、dVg/dtが制御されることによりゲート電流が一定に制御され、スイッチング時の損失が変わらないように制御されている。しかしながらdVg/dtの制御により駆動タイミング信号Vsからスイッチングに至るまでの遅れ時間が問題になってしまう。例えば、スイッチング素子1が定電圧駆動のスイッチング電源に用いられている場合、ミラー電圧が変わることにより駆動タイミング信号の入力からスイッチングが完了するまでの時間に差が生じるため、スイッチング電源の出力電圧に誤差が生じるという問題がある。
本実施の形態5においても、電流制限器17は、出力電流を制限することにより、電流制限器17と電圧制限器56との接続点である出力12、すなわちゲート容量調整器13の電位Vgの変化量を制限する。また、電圧制限器56は電流制限器17がゲート容量調整器13への電流を制限する電圧の範囲を制限する。電圧制限器56は、2つのツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6が極性の向きを逆にして直列に接続された直列接続体により構成されている。この構成により、電流の向きがどちらの向きにおいても電圧を制限できる。また、図2で示したように、ツェナーダイオードとダイオードを極性の向きを逆にして直列に接続した直列接続体を2個、向きを逆に並列に接続したものを電圧制限器56としても、電流の向きがどちらの向きにおいても電圧を制限できる。しかしながら、電圧制限器56として図10に示す2つのツェナーダイオードを極性の向きを逆にして直列に接続する構成の方がシンプルな構成となる。また、電圧制限器56は、スイッチング素子1と同じモジュール内、あるいはスイッチング素子1と同等の温度になるように同じ基板内に配置するのが好ましく、このためには図10に示す電圧制限器56の構成が有効な構成となる。
図10に示した回路では、ゲート電流の大きさを制限するためゲート容量調整器13とゲート抵抗Rgが接続されているが、この2つは必ず必要なものではなくどちらか片方を備えなくてもよい。さらには、スイッチング素子1のチップ上あるいは素子内の定数を利用できる場合は、両方共備えなくてもよい。
図12は、図10に示した回路の各部の電圧・電流の時間変化を示す線図である。図12の最上段の線図では、一点鎖線が駆動電圧振幅制限回路4の出力点14、すなわちゲート電流制限回路3の入力側の電位Vsg、実線がゲート駆動電圧生成器30の出力点12の電位Vg、破線がスイッチング素子1のゲート電極−エミッタ電極間の電圧Vgeである。各電位はスイッチング素子1のエミッタ端子2の電位を基準として示している。2段目の図はスイッチング素子1の第一主電極であるコレクタと第二主電極であるエミッタとの間に流れる電流すなわちコレクタ電流Ic、3段目の図はスイッチング素子1のコレクタ―エミッタ間の電圧Vce、4段目はスイッチング素子1のゲート電流Igを示している。さらに5段目は、電流源181が出力する電流Isを示している。
入力端子11に駆動タイミング信号VsとしてON信号が入力されたとき、一点鎖線で示すように駆動電圧振幅制限回路4の出力点14には、第一制御電源7の電圧Vccに対応した電位が出力される。駆動タイミング信号VsがON時にはVccからツェナーダイオード5の降伏電圧Vz_5を差し引いた値を第一閾値電圧Vgminとし、このVgminが、スイッチング素子1のスレシホールド電圧Vth以上となるようVz_5の値を設定しておく。この設定により、ON時すなわち駆動タイミング信号Vsの立ち上がり時には、実線で示すように、ツェナーダイオード5およびツェナーダイオード6を通じ、スイッチング素子1のスレシホールド電圧Vth以上の電位Vgminまでゲート電流制限回路3の出力電圧Vgが上昇する。ゲート電流制限回路3の出力電圧Vgが第一閾値電圧Vgmin以上になるとゲート電流制限回路3の入力側と出力側の電位差がツェナーダイオード5で設定された電圧Vz_5以下になるため、ゲート容量調整器13は電流制限器17を通じ充電される。
この際、ゲート電流制限回路3の出力電圧Vgの変化は抵抗で構成される電流制限器17とゲート容量調整器13の時定数により制限される。スイッチング素子1のゲート端子とエミッタ端子との間の電圧すなわちゲート電圧Vgeがスレシホールド電圧Vth以上になるとスイッチング素子1はONし始め、ゲート電圧Vgeの上昇に伴い伝達する電流Icを増やし、Icが所要電流値に至るとスイッチング素子1はミラー期間に移行する。以上のように、ゲート電圧Vgeの変化率dVge/dtが制御されているため、駆動タイミング信号Vsがオン信号となったときから実際のスイッチングが始まるまでの遅れ時間Tdは、例えばスイッチング時の電流が大きくミラー電圧Vmが大きいほど長くなってしまう。逆にOFF時には、ゲート電圧Vgeの変化率dVge/dtが制御されているため、上記条件ではオフ信号入力時からの遅れ時間は短くなる。
以上のように、スイッチングの電流あるいは温度などの条件によりミラー電圧Vmが変化するため、駆動タイミング信号Vsがオン信号となったときから実際のスイッチングに至るまでの遅れ時間Tdが変化する。このため、駆動タイミング信号Vsで指定されたスイッチング時間と実際のスイッチングされる時間に大きな差異が生じてしまう問題がある。この問題を解消するため、本実施の形態ではdVge/dtを調整するための電流源181を設ける。
図12では、ミラー電圧がある値Vmのとき、電流源181の電流Isの値をマイナスとしている状態を示している。この設定により、電流源181が無い場合に比較して、ON時、ゲート電極に充電する単位時間当たりの電荷量が減少するため、立ち上がりが遅くなる。一方、OFF時には、ゲート電極から放電する単位時間当たりの電荷量が増加するため、立下りが速くなる。この例では、電流源181が出力する電流Isの調整により、スイッチングの遅れ時間Tdを、ON時とOFF時で同じになるようにしている。
図13に、図12の状態のときに比較して、スイッチング電流が増加した、あるいは温度が変化した、などにより、ミラー電圧が高くなってVm2となった場合の各部の電圧・電流波形を示す。図13には、Vgの変化として、比較のため、図11の状態でのVgの変化をVg_cとして示している。ミラー電圧が上がると、電流源181が出力する電流値を調整しなければ、ON時は立ち上がり時間が長くなり、OFF時は逆に立下り時間が短くなる。図13では、図11の状態よりも、電流源181から出力するマイナスの電流値を減少させている。電流源181から出力するマイナスの電流値を減少させることにより、ON時のVgの変化率dVg/dtは、図13に示すように、比較として示しているVg_cの変化よりも大きくなり、立ち上がり時間が短縮され、ON時の遅れ時間Tdを図11の状態と同じにすることができる。OFF時には、Vgの変化率dVg/dtは、比較として示しているVg_cの変化率よりも小さくなり、立ち上がり時間が増加し、OFF時の遅れ時間を図11の状態と同じにすることができる。
図14に、図11の状態のときに比較して、スイッチング電流が減少した、あるいは温度が変化した、などにより、ミラー電圧が低くなってVm3となった場合の各部の電圧・電流波形を示す。図14には、Vgの変化として、比較のため、図11の状態でのVgの変化をVg_cとして示している。ミラー電圧が下がると、電流源181が出力する電流値を調整しなければ、ON時は立ち上がり時間が短くなり、OFF時は逆に立下り時間が長くなる。図14では、図11の状態よりも、電流源181から出力するマイナスの電流値を増加させている。電流源181から出力するマイナスの電流値を増加させることにより、ON時のVgの変化率dVg/dtは、図14に示すように、比較として示しているVg_cの変化率よりも小さくなり、立ち上がり時間が増加し、ON時の遅れ時間Tdを図11の状態と同じにすることができる。OFF時には、Vgの変化率dVg/dtは、比較として示しているVg_cの変化率よりも大きくなり、立ち上がり時間が減少し、OFF時の遅れ時間を図11の状態と同じにすることができる。このように、ミラー電圧が変わっても遅れ時間が同じになるように電流源181にて制御することが可能である。
このように駆動タイミング信号Vsで指定されたスイッチング時間と実際のスイッチングされる時間に大きな差異が生じてしまう問題を、本実施の形態では、電流源181の出力電流値を変化させてdVg/dtを調整することにより解消することができる。すなわち、スイッチング素子の温度あるいは電流が変化することによりミラー電圧の大きさが変化した場合、ON時の遅れ時間とOFF時の遅れ時間が同じになるように、スイッチング素子の温度あるいは電流の変化に対応して、電流源181の出力電流値を変化させる。これによりスイッチング電流あるいはスイッチング素子1の温度に対応するミラー電圧の変化による遅れ時間が調整されON、OFFの遅れ時間が一致するように制御することができる。
なお、以上では、電流源181の出力としてマイナスの電流値だけで説明したが、電流源181は、電荷の充電、放電を制御するために設けるため、マイナスに限らず、Vmの変化に対応して、プラスの電流値を出力する必要が生じる場合もあり、マイナスのみ、あるいはプラスのみでよい場合もある。
実施の形態6.
図15は実施の形態6による電力用半導体素子の駆動回路の動作を示す各部波形の線図である。駆動回路の構成は図10と同様である。本実施の形態6において実施の形態4、5と異なる点は、電流源181がスイッチングのタイミングに合わさずその大きさを変化させることである。以下では、ゲート容量調整器13が接続される場合について説明するが、ゲート容量調整器13は省略されてもよく、直接スイッチング素子1のゲートに出力電圧Vgが印加される形でも構わない。図14の左に示す線図は、電流源181が正の電流を出力したときの線図である。電流源181の電流により、ON時のゲート電流制限回路3の出力電圧Vgの傾きは大きくなる。そしてゲート電圧Vgeがミラー期間に入った際、VgeとVgの電位差ΔV1が大きくなるよう制御される。これによりミラー電流が大きく供給されることになり、スイッチング時のコレクタエミッタ間電圧の変化率dVce/dtが大きくなるよう制御される。したがって、スイッチング時のスイッチング時間が短縮し損失が低減され、スイッチング時に高い周波数帯の高周波電流が発生することになる。一方図14の右に示す線図のように電流源181が負の電流を出力すると、Vgの変化率dVg/dtは小さくなるよう制限され、VgeとVgの電位差ΔV2が小さくなるよう制御される。これによりdVce/dtが小さくなるよう制御されるため、この際発生するスイッチングノイズは低い周波数帯に制限される。
本実施の形態6では、図15の左の線図の動作と右の線図の動作を繰り返す。図15のIsの線図で示すように、電流源181は正の電流と負の電流を時間軸において交互に出力する、すなわち電流源181は交流電流源を用いる。電流源181は、入力端子11に入力される駆動タイミング信号Vsの周波数よりも遅い変化で正の電流と負の電流を交互に出力する。すなわち電流源181の出力する交流の周波数は、駆動タイミング信号Vsよりも低い周波数である。
以上では、スイッチングのON時を例に説明したが、OFF時も、電流源181から出力される電流を変化させることで、OFF時のスイッチングノイズの周波数が変化する点では、ON時と同様である。
この制御を適用した際の効果を説明するために、図16にスイッチング電源の雑音端子電圧Opの周波数特性を示す。実施の形態1で説明したdVce/dtを一定値に制御する場合、dVce/dtの電流依存性及び温度依存性が低減されるため、「dVce/dt:一定」で示す曲線のように、特定の周波数にノイズピークが発生してしまう。これに対して、図15の左の線図の動作と右の線図の動作を繰り返すことにより、ノイズの周波数帯が変化するため、図16の「dVce/dt:変動」で示す曲線のようにノイズピークを分散させることができる。この制御の場合、ノイズのピークは、電流源181の出力する電流の交流の周波数とその大きさ、周波数を変動させる際の繰り返し周波数により、その効果を制御することができる。すなわち、スイッチング電源の雑音端子電圧Opを測定し、この測定値に基づいて電流源181が出力する交流の周波数を制御することにより、ノイズピークが発生する周波数帯を所望の周波数帯に調整することができる。
本願には、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 スイッチング素子、2 駆動回路、3 ゲート電流制限回路、4 駆動電圧振幅制限回路、5、6 ツェナーダイオード、7 第一制御電源、8 第二制御電源、11 入力端子、12 ゲート駆動電圧生成器の出力点、13 ゲート容量調整器、17 電流制限器、18、181 ゲート電圧補正器、20 エミッタ端子、30 ゲート駆動電圧生成器、56 電圧制限器、101 ゲート端子、182 フォトカプラ、183 トランス、Vgmin 第一閾値電圧、Vgmax 第二閾値電圧、Vgmax1 第三閾値電圧、Vgmin1 第四閾値電圧、Vth スレシホールド電圧
図12は、図10に示した回路の各部の電圧・電流の時間変化を示す線図である。図12の最上段の線図では、一点鎖線が駆動電圧振幅制限回路4の出力点14、すなわちゲート電流制限回路3の入力側の電位Vsg、実線がゲート駆動電圧生成器30の出力点12の電位Vg、破線がスイッチング素子1のゲート電極−エミッタ電極間の電圧Vgeである。各電位はスイッチング素子1のエミッタ端子2の電位を基準として示している。2段目の図はスイッチング素子1の第一主電極であるコレクタと第二主電極であるエミッタとの間に流れる電流すなわちコレクタ電流Ic、3段目の図はスイッチング素子1のコレクタ―エミッタ間の電圧Vce、4段目はスイッチング素子1のゲート電流Igを示している。さらに5段目は、電流源181が出力する電流Isを示している。
図13に、図12の状態のときに比較して、スイッチング電流が増加した、あるいは温度が変化した、などにより、ミラー電圧が高くなってVm2となった場合の各部の電圧・電流波形を示す。図13には、Vgの変化として、比較のため、図1の状態でのVgの変化をVg_cとして示している。ミラー電圧が上がると、電流源181が出力する電流値を調整しなければ、ON時は立ち上がり時間が長くなり、OFF時は逆に立下り時間が短くなる。図13では、図1の状態よりも、電流源181から出力するマイナスの電流値を減少させている。電流源181から出力するマイナスの電流値を減少させることにより、ON時のVgの変化率dVg/dtは、図13に示すように、比較として示しているVg_cの変化よりも大きくなり、立ち上がり時間が短縮され、ON時の遅れ時間Tdを図11の状態と同じにすることができる。OFF時には、Vgの変化率dVg/dtは、比較として示しているVg_cの変化率よりも小さくなり、立ち上がり時間が増加し、OFF時の遅れ時間を図1の状態と同じにすることができる。
図14に、図1の状態のときに比較して、スイッチング電流が減少した、あるいは温度が変化した、などにより、ミラー電圧が低くなってVm3となった場合の各部の電圧・電流波形を示す。図14には、Vgの変化として、比較のため、図1の状態でのVgの変化をVg_cとして示している。ミラー電圧が下がると、電流源181が出力する電流値を調整しなければ、ON時は立ち上がり時間が短くなり、OFF時は逆に立下り時間が長くなる。図14では、図1の状態よりも、電流源181から出力するマイナスの電流値を増加させている。電流源181から出力するマイナスの電流値を増加させることにより、ON時のVgの変化率dVg/dtは、図14に示すように、比較として示しているVg_cの変化率よりも小さくなり、立ち上がり時間が増加し、ON時の遅れ時間Tdを図1の状態と同じにすることができる。OFF時には、Vgの変化率dVg/dtは、比較として示しているVg_cの変化率よりも大きくなり、立ち上がり時間が減少し、OFF時の遅れ時間を図1の状態と同じにすることができる。このように、ミラー電圧が変わっても遅れ時間が同じになるように電流源181にて制御することが可能である。
実施の形態6.
図15は実施の形態6による電力用半導体素子の駆動回路の動作を示す各部波形の線図である。駆動回路の構成は図10と同様である。本実施の形態6において実施の形態4、5と異なる点は、電流源181がスイッチングのタイミングに合わさずその大きさを変化させることである。以下では、ゲート容量調整器13が接続される場合について説明するが、ゲート容量調整器13は省略されてもよく、直接スイッチング素子1のゲートに出力電圧Vgが印加される形でも構わない。図1の左に示す線図は、電流源181が正の電流を出力したときの線図である。電流源181の電流により、ON時のゲート電流制限回路3の出力電圧Vgの傾きは大きくなる。そしてゲート電圧Vgeがミラー期間に入った際、VgeとVgの電位差ΔV1が大きくなるよう制御される。これによりミラー電流が大きく供給されることになり、スイッチング時のコレクタエミッタ間電圧の変化率dVce/dtが大きくなるよう制御される。したがって、スイッチング時のスイッチング時間が短縮し損失が低減され、スイッチング時に高い周波数帯の高周波電流が発生することになる。一方図1の右に示す線図のように電流源181が負の電流を出力すると、Vgの変化率dVg/dtは小さくなるよう制限され、VgeとVgの電位差ΔV2が小さくなるよう制御される。これによりdVce/dtが小さくなるよう制御されるため、この際発生するスイッチングノイズは低い周波数帯に制限される。

Claims (26)

  1. 入力端子に入力されるオン・オフの駆動タイミング信号に基づいて、第一主電極と第二主電極の間に流れる主電流を制御するためのゲート電極を有するスイッチング素子の前記ゲート電極に印加するゲート駆動電圧を発生するゲート駆動電圧生成器を備えた電力用半導体素子の駆動回路において、
    前記ゲート駆動電圧生成器は、電流を制限する電流制限器と、この電流制限器の両端に印加される電圧の大きさを制限する電圧制限器とが並列に接続されたゲート電流制限回路を備えたことを特徴とする電力用半導体素子の駆動回路。
  2. 前記駆動タイミング信号がオン信号となったとき、前記電圧制限器は、前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧を第一閾値電圧まで上昇させ、
    前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧が前記第一閾値電圧に上昇後は、前記電流制限器に流れる電流により、前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  3. 前記第一閾値電圧は、前記スイッチング素子のスレシホールド電圧以上の電圧値であることを特徴とする請求項2に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  4. 前記駆動タイミング信号がオフ信号となったとき、前記電圧制限器は、前記ゲート電流制限回路の出力電圧を第二閾値電圧まで下降させ、
    前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧が前記第二閾値電圧に下降後は、前記電流制限器に流れる電流により、前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧を下降させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  5. 前記電圧制限器は、制限する電圧の大きさの温度変化の温度に対する傾きが、正であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  6. 前記電圧制限器は、2個のツェナーダイオードが極性が逆向きに直列に接続された接続体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  7. 少なくとも一方の極性の前記ツェナーダイオードは、直列に接続された複数のツェナーダイオードで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  8. 前記電圧制限器が、前記スイッチング素子の温度変化の環境と同一の温度変化の環境に配置されていることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  9. 前記電流制限器は抵抗であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  10. 前記電流制限器は、2個の定電流ダイオードが極性が逆向きに直列接続された接続体であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  11. 前記ゲート駆動電圧生成器は、オン時の前記ゲート駆動電圧の値を制限する第一制御電源、およびオフ時の前記ゲート駆動電圧の値を制限する第二制御電源を有する駆動電圧振幅制限回路を備えたことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  12. 前記駆動電圧振幅制限回路は、前記ゲート電流制限回路の入力側に挿入されていることを特徴とする請求項11に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  13. 前記駆動電圧振幅制限回路は、前記ゲート電流制限回路の出力側に挿入されていることを特徴とする請求項11に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  14. 前記ゲート電流制限回路の出力側と、前記第二主電極との間にコンデンサが接続されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  15. 前記ゲート電極に流れる電流を制御するゲート電圧補正器を備えたことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  16. 前記ゲート電圧補正器は、フォトカプラを介して電流を出力できる直流電源であることを特徴とする請求項15に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  17. 前記ゲート電圧補正器は、前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧に基づいて前記ゲート電極に流れる電流を制御することにより前記ゲート電極の電圧を補正することを特徴とする請求項15または16に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  18. 前記ゲート電圧補正器は、前記駆動タイミング信号がオン信号となった後、前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧が第三閾値以上となった場合、前記ゲート電極の電圧が、前記スイッチング素子が強制的にオンされる電圧となるように前記ゲート電極に電流を流すことを特徴とする請求項17に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  19. 前記ゲート電圧補正器は、前記駆動タイミング信号がオフ信号となった後、前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧が第四閾値以下となった場合、前記ゲート電極の電圧が、前記スイッチング素子が強制的にオフされる電圧となるように前記ゲート電極に電流を流すことを特徴とする請求項17または18に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  20. 前記ゲート電圧補正器は、前記駆動タイミング信号がオフ信号となった後、前記ゲート駆動電圧生成器の出力電圧が第四閾値以下となった場合、前記ゲート電極の電圧の変化率が予め定めた値よりも小さくなるよう前記ゲート電極に電流を流すことを特徴とする請求項19に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  21. 前記ゲート電圧補正器は、前記スイッチング素子のミラー電圧の変化に対応して、出力する電流値を変化することを特徴とする請求項15または16に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  22. 前記ゲート電圧補正器は、前記スイッチング素子の温度および前記スイッチング素子の前記主電流の値の少なくとも一つに基づいて、出力する電流値を変化することを特徴とする請求項15または16に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  23. 前記ゲート電圧補正器は、正負の電流を出力できる交流電流源であることを特徴とする請求項15に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  24. 前記交流電流源は、トランスを介して電流を供給する構成であることを特徴とする請求項23に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  25. 前記交流電流源が出力する交流の周波数は、前記駆動タイミング信号のオン・オフの繰り返し周波数よりも低い周波数であることを特徴とする請求項23または24に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  26. 前記スイッチング素子がスイッチング電源を構成するスイッチング素子として接続されており、前記スイッチング電源の雑音端子電圧に基づいて、前記交流電流源の周波数および電流値の少なくとも一つを決定することを特徴とする請求項23または24に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
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