JP2016077057A - 半導体スイッチング素子の駆動回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができ、かつ、半導体スイッチング素子の制御端子に印加するサージ電圧を低減することができる半導体スイッチング素子の駆動回路を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る半導体スイッチング素子の駆動回路1は、半導体スイッチング素子3を駆動するための駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部10と、正電位V+と負電位V−との間に順に直列に接続されており、駆動制御信号に応じて交互にオン状態となる第1及び第2のトランジスタ21,22と、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23と半導体スイッチング素子3の制御端子との間に接続された抵抗素子30と、抵抗素子30に対して並列に接続されたコンデンサ40と、抵抗素子30に対して並列に接続されると共に、コンデンサ40に対して直列に接続されたスイッチ50とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】一実施形態に係る半導体スイッチング素子の駆動回路1は、半導体スイッチング素子3を駆動するための駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部10と、正電位V+と負電位V−との間に順に直列に接続されており、駆動制御信号に応じて交互にオン状態となる第1及び第2のトランジスタ21,22と、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23と半導体スイッチング素子3の制御端子との間に接続された抵抗素子30と、抵抗素子30に対して並列に接続されたコンデンサ40と、抵抗素子30に対して並列に接続されると共に、コンデンサ40に対して直列に接続されたスイッチ50とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体スイッチング素子を駆動するための駆動回路に関するものである。
特許文献1及び2には、電圧駆動型の半導体スイッチング素子を駆動するための駆動回路が開示されている。この種の駆動回路は、正電位と負電位との間に順に直列に接続され、交互にオン状態となる第1及び第2のトランジスタと、第1及び第2のトランジスタの接続点と半導体スイッチング素子のゲート端子との間に接続されたゲート抵抗とを備える。
特許文献1及び2に開示の駆動回路は、複数のコンデンサを用いることによって、半導体スイッチング素子の入力容量を高い電圧で急速に充電させることで、スイッチングスピードを増加させ、スイッチング損失を低減することができる、としている。
また、半導体スイッチング素子のスイッチング損失を低減するためのより簡易な手法として、ゲート抵抗の抵抗値を小さくしたり、ゲート抵抗に並列にスピードアップコンデンサを配置したりすることが知られている。
しかしながら、ゲート抵抗の抵抗値を小さくしたり、ゲート抵抗に並列にスピードアップコンデンサを配置したりすると、半導体スイッチング素子のゲート端子に印加する駆動電圧にサージ電圧(過電圧)が発生してしまう。その結果、半導体スイッチング素子のゲート酸化膜が劣化し、半導体スイッチング素子の寿命が短くなってしまう。
そこで、本発明は、半導体スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができ、かつ、半導体スイッチング素子の制御端子に印加するサージ電圧を低減することができる半導体スイッチング素子の駆動回路を提供することを目的とする。
本発明の半導体スイッチング素子の駆動回路は、半導体スイッチング素子を駆動するための駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と、正電位と負電位との間に順に直列に接続されており、駆動制御信号に応じて、交互にオン状態となる第1及び第2のトランジスタと、第1及び第2のトランジスタの接続点と半導体スイッチング素子の制御端子との間に接続された抵抗素子と、抵抗素子に対して並列に接続されたコンデンサと、抵抗素子に対して並列に接続されると共に、コンデンサに対して直列に接続されたスイッチとを備える。
この半導体スイッチング素子の駆動回路によれば、半導体スイッチング素子をオン状態とするときに、スイッチがオン状態となることによって、コンデンサを介して半導体スイッチング素子の制御端子容量(ゲート容量)に大きな充電電流を供給することができ、制御端子電圧(ゲート電圧)の立ち上がりを早めることができる。すなわち、抵抗素子の抵抗値を小さくすることなく、半導体スイッチング素子の駆動電流を増加することができ、半導体スイッチング素子のスイッチング時間を短縮することができる。したがって、半導体スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができる。
また、半導体スイッチング素子の制御端子電圧(ゲート電圧)が供給電圧(第1及び第2のトランジスタの接続点に供給される正電位)まで立ち上がる前にスイッチがオフ状態となることによって、抵抗素子を介して半導体スイッチング素子の制御端子容量(ゲート容量)に充電電流を供給するように切り換えることができる。すなわち、コンデンサの容量を小さくすることなく、抵抗素子と制御端子容量(ゲート容量)との時定数によって制御端子電圧(ゲート電圧)の立ち上がりを緩やかにすることができる。したがって、半導体スイッチング素子の制御端子(ゲート端子)に印加するサージ電圧を低減するとともに、主端子に発生するサージ電圧低減もはかることができる。
上記した半導体スイッチング素子の駆動回路では、半導体スイッチング素子をオン状態とするとき、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値未満である場合にスイッチがオン状態となり、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値以上である場合にスイッチがオフ状態となる形態であってもよい。
この形態によれば、半導体スイッチング素子の制御端子電圧(ゲート電圧)が供給電圧(第1及び第2のトランジスタの接続点に供給される正電位)まで立ち上がる前にスイッチがオフ状態となるので、上記したように、半導体スイッチング素子の制御端子電圧(ゲート電圧)に印加するサージ電圧を低減するとともに、主端子に発生するサージ電圧低減もはかることができる。
また、上記した半導体スイッチング素子の駆動回路では、半導体スイッチング素子をオフ状態とするとき、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値より大きい場合にスイッチがオン状態となり、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値以下である場合にスイッチがオフ状態となる形態であってもよい。
この形態によれば、半導体スイッチング素子をオフ状態とするときに、スイッチがオン状態となることによって、コンデンサを介して半導体スイッチング素子の制御端子容量(ゲート容量)の電荷を早く引き抜くことができ、制御端子電圧(ゲート電圧)の立ち下がりを早めることができる。すなわち、抵抗素子の抵抗値を小さくすることなく、半導体スイッチング素子のスイッチング時間を短縮することができる。したがって、半導体スイッチング素子のスイッチング損失をより低減することができる。
また、半導体スイッチング素子の制御端子電圧(ゲート電圧)が供給電圧(第1及び第2のトランジスタの接続点に供給される負電位)まで立ち下がる前にスイッチがオフ状態となることによって、抵抗素子を介して半導体スイッチング素子の制御端子容量(ゲート容量)の電荷を引き抜くように切り換えることができる。すなわち、コンデンサの容量を小さくすることなく、抵抗素子と制御端子容量(ゲート容量)との時定数によって制御端子電圧(ゲート電圧)の立ち下がりを緩やかにすることができる。したがって、半導体スイッチング素子の制御端子(ゲート端子)に印加するサージ電圧を低減することができる。
また、上記したスイッチはトランジスタを含む形態であってもよい。この形態では、半導体スイッチング素子をオン状態とするとき、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値未満である場合にトランジスタをオン状態とし、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値以上である場合にトランジスタをオフ状態とする制御部を更に備える形態であってもよい。
また、上記した制御部は、半導体スイッチング素子をオフ状態とするとき、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値より大きい場合にトランジスタをオン状態とし、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値以下である場合にトランジスタをオフ状態とする形態であってもよい。
また、上記したスイッチは、互いに逆向きに直列に接続された2つのツェナーダイオードを含む形態であってもよい。この形態では、半導体スイッチング素子をオン状態とするとき、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値未満である場合に2つのツェナーダイオードのうちの正電位に対して逆方向に配置された一方がオン状態となり、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値以上である場合に2つのツェナーダイオードのうちの一方がオフ状態となり、また、半導体スイッチング素子をオフ状態とするとき、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値より大きい場合に2つのツェナーダイオードのうちの負電位に対して逆方向に配置された他方がオン状態となり、半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値以下である場合に2つのツェナーダイオードのうちの他方がオフ状態となり、第1の所定値は、2つのツェナーダイオードのうちの一方のツェナー電圧を正電位から差し引いた値以下であり、第2の所定値は、2つのツェナーダイオードのうちの他方のツェナー電圧を負電位から差し引いた値以上である形態であってもよい。
本発明によれば、半導体スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができ、かつ、半導体スイッチング素子の制御端子に印加するサージ電圧を低減するとともに、主端子に発生するサージ電圧低減もはかることができる。その結果、半導体スイッチング素子のゲート酸化膜の劣化を抑制し、半導体スイッチング素子の寿命の低下を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
[第1の実施形態]
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体スイッチング素子の駆動回路を示す図である。図1に示す第1の実施形態の駆動回路1は、パワーコンディショナー等の電力変換回路に用いられるMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の電圧駆動型の半導体スイッチング素子3を駆動する。この駆動回路1は、駆動制御信号生成部10と、半導体スイッチング素子駆動用トランジスタ回路20と、抵抗素子30と、コンデンサ40と、スイッチ50と、制御部60とを備える。
駆動制御信号生成部10は、半導体スイッチング素子3を駆動するための駆動制御信号を生成する。駆動制御信号の一例はPWM信号である。駆動制御信号生成部10は、駆動制御信号を半導体スイッチング素子駆動用トランジスタ回路20に供給する。
半導体スイッチング素子駆動用トランジスタ回路20は、正電位V+と負電位V−との間に順に直列に接続された第1及び第2のトランジスタ21,22を含む。例えば、第1のトランジスタ21はn型であり、第2のトランジスタ22はp型である。第1のトランジスタ21のドレイン端子には、例えば+20Vの正電位V+が供給され、第1のトランジスタ21のソース端子は第2のトランジスタ22のソース端子に接続されている。第2のトランジスタ22のドレイン端子には、例えば−6Vの負電位V−が供給される。
第1及び第2のトランジスタ21,22のゲート端子には、駆動制御信号生成部10からの駆動制御信号が供給され、第1及び第2のトランジスタ21,22が交互にオン状態となる。すなわち、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23には、+20Vの正電位V+と−6Vの負電位V−とが交互に供給される。
第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23は、抵抗素子30を介して、半導体スイッチング素子3のゲート端子(制御端子)に接続されている。抵抗素子30は、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23と半導体スイッチング素子3のゲート端子との間に直列に接続された、いわゆるゲート抵抗である。
抵抗素子30には、コンデンサ40とスイッチ50との直列回路が並列に接続されている。コンデンサ40は、ゲート抵抗に対して並列に接続された、いわゆるスピードアップコンデンサである。スイッチ50は、MOSFET等のトランジスタ51を含む。
より具体的には、トランジスタ51のソース端子は、抵抗素子30の一端及び第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に接続されており、トランジスタ51のドレイン端子は、コンデンサ40の一端に接続されている。コンデンサ40の他端は、抵抗素子30の他端及び半導体スイッチング素子3のゲート端子に接続されている。トランジスタ51のゲート端子は、制御部60に接続されている。
制御部60は、半導体スイッチング素子3のゲート電圧をモニタする。制御部60は、半導体スイッチング素子3をオン状態とするとき、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第1の所定値未満である場合にトランジスタ51をオン状態とし、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第1の所定値以上である場合にトランジスタ51をオフ状態とする。
より具体的には、図2に示すように、制御部60は、半導体スイッチング素子3をオフ状態からオン状態とするとき、すなわち、第1のトランジスタ21がオン状態となり、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に+20Vの正電位V+が供給されるとき、トランジスタ51(スイッチ50)をオン状態とする。すると、第1のトランジスタ21、トランジスタ51、コンデンサ40、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの経路に電流が流れ、コンデンサ40を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsに大きな充電電流を供給することができ、ゲート電圧Vgsの立ち上がりを早めることができる。すなわち、半導体スイッチング素子3の駆動電流を増加することができ、半導体スイッチング素子3のスイッチング時間を短縮することができる。
その後、制御部60は、半導体スイッチング素子3のゲート電圧Vgsが、第1の所定値V1まで上昇したら、トランジスタ51(スイッチ50)をオフ状態とする。すると、第1のトランジスタ21、抵抗素子30、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの経路に電流が流れ、抵抗素子30を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsに充電電流を供給するように切り換えることができ、抵抗素子30とゲート容量Cgsとの時定数によってゲート電圧Vgsの立ち上がりを緩やかにすることができる。
ここで、第1の所定値V1は、+20Vの正電位V+の97.5%以下(すなわち+19.5V以下)であればよく、好ましくは、+20Vの正電位V+の95%以下(すなわち+19V以下)であればよい。
また、制御部60は、半導体スイッチング素子3をオフ状態とするとき、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第2の所定値より大きい場合にトランジスタ51をオン状態とし、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第2の所定値以下である場合にトランジスタ51をオフ状態とする。
より具体的には、図3に示すように、制御部60は、半導体スイッチング素子3をオン状態からオフ状態とするとき、すなわち、第2のトランジスタ22がオン状態となり、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に−6Vの負電位V−が供給されるとき、トランジスタ51(スイッチ50)をオン状態とする。すると、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgs、コンデンサ40、トランジスタ51、第2のトランジスタ22の経路に電流が流れ、コンデンサ40を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの電荷を早く引き抜くことができ、ゲート電圧Vgsの立ち下がりを早めることができる。すなわち、スイッチング時間を短縮することができる。このとき、コンデンサ40の電荷も同時に引き抜くことができる。
なお、本実施形態では、−6Vの負電位V−を用いることにより、半導体スイッチング素子3のゲート容量の電荷及びコンデンサ40の電荷の引き抜きを更に早めることができ、ゲート電圧の立ち下がりを更に早めることができる。
その後、制御部60は、半導体スイッチング素子3のゲート電圧Vgsが第2の所定値V2まで低下したら、トランジスタ51(スイッチ50)をオフ状態とする。すると、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgs、抵抗素子30、第2のトランジスタ22の経路に電流が流れ、抵抗素子30を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの電荷を引き抜くように切り換えることができ、抵抗素子30とゲート容量Cgsとの時定数によってゲート電圧Vgsの立ち下がりを緩やかにすることができる。
ここで、第2の所定値V2は、−6Vの負電位V−の約98.3%以上(すなわち−5.9V以上)であればよく、好ましくは、−6Vの負電位V−の約91.7%以上(すなわち−5.5V以上)であればよい。
以上説明したように、第1の実施形態の半導体スイッチング素子の駆動回路1によれば、半導体スイッチング素子3をオン状態とするときに、トランジスタ51(スイッチ50)がオン状態となることによって、コンデンサ40を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量に大きな充電電流を供給することができ、ゲート電圧の立ち上がりを早めることができる。すなわち、抵抗素子30の抵抗値を小さくすることなく、半導体スイッチング素子3の駆動電流を増加することができ、半導体スイッチング素子3のスイッチング時間を短縮することができる。したがって、半導体スイッチング素子3のスイッチング損失を低減することができる。
また、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が供給電圧(第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に供給される正電位V+)まで立ち上がる前にトランジスタ51(スイッチ50)がオフ状態となることによって、抵抗素子30を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量に充電電流を供給するように切り換えることができる。すなわち、コンデンサ40の容量を小さくすることなく、抵抗素子30とゲート容量との時定数によってゲート電圧の立ち上がりを緩やかにすることができる。したがって、半導体スイッチング素子3のゲート端子に印加するサージ電圧、及び、このサージ電圧(及び、配線のインダクタ、ゲート容量)に起因するリンギングを低減することができる。
また、第1の実施形態の半導体スイッチング素子の駆動回路1によれば、半導体スイッチング素子3をオフ状態とするときに、トランジスタ51(スイッチ50)がオン状態となることによって、コンデンサ40を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量の電荷を早く引き抜くことができ、ゲート電圧の立ち下がりを早めることができる。すなわち、抵抗素子30の抵抗値を小さくすることなく、半導体スイッチング素子3のスイッチング時間を短縮することができる。したがって、半導体スイッチング素子3のスイッチング損失を低減することができる。
また、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が供給電圧(第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に供給される負電位V−)まで立ち下がる前にトランジスタ51(スイッチ50)がオフ状態となることによって、抵抗素子30を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量の電荷を引き抜くように切り換えることができる。すなわち、コンデンサ40の容量を小さくすることなく、抵抗素子30とゲート容量との時定数によってゲート電圧の立ち下がりを緩やかにすることができる。したがって、半導体スイッチング素子3のゲート端子に印加するサージ電圧、及び、このサージ電圧(及び、配線のインダクタ、ゲート容量)に起因するリンギングを低減することができる。
[第2の実施形態]
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体スイッチング素子の駆動回路を示す図である。図4に示す第2の実施形態の駆動回路1Aは、駆動回路1においてスイッチ50に代えてスイッチ50Aを備える点で第1の実施形態と相違する。第2の実施形態の駆動回路1Aの他の構成は、第1の実施形態の駆動回路1と同様である。
スイッチ50Aは、互いに逆向きに直列に接続された2つのツェナーダイオード52,53を含む。なお、本実施形態では、ツェナーダイオード52が正電位V+に対して逆方向に配置されており、ツェナーダイオード53が負電位V−に対して逆方向に配置されており、ツェナーダイオード52,53の間にコンデンサ40が配置されている。
より具体的には、ツェナーダイオード52のカソードは、抵抗素子30の一端及び第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に接続されており、ツェナーダイオード52のアノードは、コンデンサ40を介して、ツェナーダイオード53のアノードに接続されている。ツェナーダイオード53のカソードは、抵抗素子30の他端及び半導体スイッチング素子3のゲート端子に接続されている。なお、駆動回路1Aでは、上記した駆動回路1における制御部60が不要である。
この駆動回路1Aでは、半導体スイッチング素子3をオン状態とするとき、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第1の所定値未満である場合にツェナーダイオード52がオン状態となり、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第1の所定値以上である場合にツェナーダイオード52がオフ状態となる。
より具体的には、図2同様に、半導体スイッチング素子3をオフ状態からオン状態とするとき、すなわち、第1のトランジスタ21がオン状態となり、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に+20Vの正電位V+が供給されるとき、ツェナーダイオード52の両端にツェナー電圧(降伏電圧)を超える電位差が発生し、ツェナーダイオード52(スイッチ50)がオン状態となる。なお、ツェナーダイオード53にとって、正電位V+は順方向電圧である。すると、第1のトランジスタ21、ツェナーダイオード52、コンデンサ40、ツェナーダイオード53、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの経路に電流が流れ、コンデンサ40を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsに大きな充電電流を供給することができ、ゲート電圧Vgsの立ち上がりを早めることができる。すなわち、半導体スイッチング素子3の駆動電流を増加することができ、半導体スイッチング素子3のスイッチング時間を短縮することができる。
その後、半導体スイッチング素子3のゲート電圧Vgsが、第1の所定値V1まで上昇したら、すなわち、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsに電荷が溜まってくると、ツェナーダイオード52の両端電圧がツェナー電圧(降伏電圧)以下の電位差となり、ツェナーダイオード52(スイッチ50)がオフ状態となる。すると、第1のトランジスタ21、抵抗素子30、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの経路に電流が流れ、抵抗素子30を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsに充電電流を供給するように切り換えることができ、抵抗素子30とゲート容量Cgsとの時定数によってゲート電圧Vgsの立ち上がりを緩やかにすることができる。
ここで、第1の所定値V1は、+20Vの正電位V+からツェナーダイオード52のツェナー電圧(降伏電圧)を差し引いた値(例えば、+20V−4.5V=15.5V)である。
また、駆動回路1Aでは、半導体スイッチング素子3をオフ状態とするとき、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第2の所定値より大きい場合にツェナーダイオード53がオン状態となり、半導体スイッチング素子3のゲート電圧が第2の所定値以下である場合にツェナーダイオード53がオフ状態となる。
より具体的には、図3同様に、半導体スイッチング素子3をオン状態からオフ状態とするとき、すなわち、第2のトランジスタ22がオン状態となり、第1及び第2のトランジスタ21,22の接続点23に−6Vの負電位V−が供給されるとき、ツェナーダイオード53の両端にツェナー電圧(降伏電圧)を超える電位差が発生し、ツェナーダイオード53(スイッチ50)がオン状態となる。なお、ツェナーダイオード52にとって、負電位V−は順方向電圧である。すると、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgs、ツェナーダイオード53、コンデンサ40、ツェナーダイオード52、第2のトランジスタ22の経路に電流が流れ、コンデンサ40を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの電荷を早く引き抜くことができ、ゲート電圧Vgsの立ち下がりを早めることができる。すなわち、スイッチング時間を短縮することができる。このとき、コンデンサ40の電荷も同時に引き抜くことができる。
その後、半導体スイッチング素子3のゲート電圧Vgsが第2の所定値V2まで低下したら、すなわち、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの電荷が引き抜かれてくると、ツェナーダイオード53の両端電圧がツェナー電圧(降伏電圧)以下の電位差となり、ツェナーダイオード53(スイッチ50)がオフ状態となる。すると、半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgs、抵抗素子30、第2のトランジスタ22の経路に電流が流れ、抵抗素子30を介して半導体スイッチング素子3のゲート容量Cgsの電荷を引き抜くように切り換えることができ、抵抗素子30とゲート容量Cgsとの時定数によってゲート電圧Vgsの立ち下がりを緩やかにすることができる。
ここで、第2の所定値V2は、−6Vの負電位V−からツェナーダイオード53のツェナー電圧(降伏電圧)を差し引いた値(例えば、−6V+6V=0V)である。
以上説明したように、第2の実施形態の半導体スイッチング素子の駆動回路1Aでも、第1の実施形態の半導体スイッチング素子の駆動回路1と同等の利点を得ることができる。
更に、第2の実施形態の半導体スイッチング素子の駆動回路1Aによれば、スイッチ50を制御するための制御部60が不要である。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、第1の実施形態では、スイッチ50とコンデンサ40との順序が逆であってもよい。また、第2の実施形態では、スイッチ50Aにおけるツェナーダイオード52、ツェナーダイオード52、及び、コンデンサ40の順序が準不同であってもよい。
また、図5に示す駆動回路1Bのように、第2の実施形態の駆動回路1Aにおいてスイッチ50Aに代えてスイッチ50Bを備え、スイッチ50Bはツェナーダイオード53を備えずツェナーダイオード52のみを備える形態であってもよい。なお、図5において、スイッチ50Bにおけるツェナーダイオード52とコンデンサ40との順序は逆であってもよい。この駆動回路1Bによれば、半導体スイッチング素子3をオン状態とするとき、半導体スイッチング素子3のスイッチング損失を低減することができ、かつ、半導体スイッチング素子3のゲート端子に印加するサージ電圧、及び、このサージ電圧(及び、配線のインダクタ、ゲート容量)に起因するリンギングを低減することができる。
また、図6に示す駆動回路1Cのように、第2の実施形態の駆動回路1Aにおいてスイッチ50Aに代えてスイッチ50Cを備え、スイッチ50Cはツェナーダイオード52を備えずツェナーダイオード53のみを備える形態であってもよい。なお、図6において、スイッチ50Cにおけるツェナーダイオード53とコンデンサ40との順序は逆であってもよい。この駆動回路1Cによれば、半導体スイッチング素子をオフ状態とするとき、半導体スイッチング素子3のスイッチング損失を低減することができ、かつ、半導体スイッチング素子3のゲート端子に印加するサージ電圧、及び、このサージ電圧(及び、配線のインダクタ、ゲート容量)に起因するリンギングを低減することができる。
1,1A,1B,1C…半導体スイッチング素子の駆動回路、3…半導体スイッチング素子、10…駆動制御信号生成部、20…半導体スイッチング素子駆動用トランジスタ回路、21…第1のトランジスタ、22…第2のトランジスタ、23…第1及び第2のトランジスタの接続点、30…抵抗素子(ゲート抵抗)、40…コンデンサ(スピードアップコンデンサ)、50,50A,50B,50C…スイッチ、51…トランジスタ、52,53…ツェナーダイオード、60…制御部。
Claims (8)
- 半導体スイッチング素子の駆動回路であって、
前記半導体スイッチング素子を駆動するための駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と、
正電位と負電位との間に順に直列に接続されており、前記駆動制御信号に応じて、交互にオン状態となる第1及び第2のトランジスタと、
前記第1及び第2のトランジスタの接続点と前記半導体スイッチング素子の制御端子との間に接続された抵抗素子と、
前記抵抗素子に対して並列に接続されたコンデンサと、
前記抵抗素子に対して並列に接続されると共に、前記コンデンサに対して直列に接続されたスイッチと、
を備える、半導体スイッチング素子の駆動回路。 - 前記半導体スイッチング素子をオン状態とするとき、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値未満である場合に前記スイッチがオン状態となり、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が前記第1の所定値以上である場合に前記スイッチがオフ状態となる、請求項1に記載の半導体スイッチング素子の駆動回路。
- 前記半導体スイッチング素子をオフ状態とするとき、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値より大きい場合に前記スイッチがオン状態となり、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が前記第2の所定値以下である場合に前記スイッチがオフ状態となる、請求項1又は2に記載の半導体スイッチング素子の駆動回路。
- 前記スイッチはトランジスタを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体スイッチング素子の駆動回路。
- 前記半導体スイッチング素子をオン状態とするとき、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が前記第1の所定値未満である場合に前記トランジスタをオン状態とし、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が前記第1の所定値以上である場合に前記トランジスタをオフ状態とする制御部を更に備える、請求項4に記載の半導体スイッチング素子の駆動回路。
- 前記制御部は、前記半導体スイッチング素子をオフ状態とするとき、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値より大きい場合に前記トランジスタをオン状態とし、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が前記第2の所定値以下である場合に前記トランジスタをオフ状態とする、請求項5に記載の半導体スイッチング素子の駆動回路。
- 前記スイッチは、互いに逆向きに直列に接続された2つのツェナーダイオードを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体スイッチング素子の駆動回路。
- 前記半導体スイッチング素子をオン状態とするとき、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第1の所定値未満である場合に前記2つのツェナーダイオードのうちの前記正電位に対して逆方向に配置された一方がオン状態となり、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が前記第1の所定値以上である場合に前記2つのツェナーダイオードのうちの前記一方がオフ状態となり、
前記半導体スイッチング素子をオフ状態とするとき、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が第2の所定値より大きい場合に前記2つのツェナーダイオードのうちの前記負電位に対して逆方向に配置された他方がオン状態となり、前記半導体スイッチング素子の制御端子電圧が前記第2の所定値以下である場合に前記2つのツェナーダイオードのうちの前記他方がオフ状態となり、
前記第1の所定値は、前記2つのツェナーダイオードのうちの前記一方のツェナー電圧を前記正電位から差し引いた値以下であり、
前記第2の所定値は、前記2つのツェナーダイオードのうちの前記他方のツェナー電圧を前記負電位から差し引いた値以上である、
請求項7に記載の半導体スイッチング素子の駆動回路。
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