WO2024018612A1 - 半導体装置および電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
半導体装置は、第1の駆動信号に従って電力用半導体素子のゲート端子にオンバイアスおよびオフバイアスを印加するゲート電圧制御回路と、第1の駆動信号および第2の駆動信号に従ってオフバイアスの電圧レベルを変更し、変更したオフバイアスの印加期間を制御するオフバイアス電圧制御回路とを備える。
Description
本開示は、半導体装置に関し、電力用半導体素子の駆動に関する。
電力用半導体素子の信頼性に係る問題の一つとして、ゲートの誤点弧がある。ゲート誤点孤が発生すると、電力用インバータにおける誤点弧の生じた一相の上アーム側の高電圧側電源と、下アーム側の低電圧側電源が短絡する。それによって、電源間に大きな短絡電流が流れ、インバータ装置の損失増加を引き起こし、最悪のケースでは熱暴走に至ることもある。
ゲートの誤点弧の対策として、電力用半導体素子のゲート-ソース間に負バイアスを印加する方法が広く知られている。ゲートの誤点弧は対向アーム側の電力用半導体素子のターンオン動作で生じる変位電流により引き起こされる。この変位電流は対向アーム側の電力用変換素子の電圧変化率に比例するので、高速スイッチングになるほど変位電流は増大し、結果としてスイッチング側素子の誤点弧が起こり易くなる。ここで、誤点弧のタイミングに負バイアス印加がなされていると、ゲートしきい値電圧を超える事なく上下アーム素子の短絡を回避でき、負バイアスが大きいほどその誤点弧防止の効果は大きい。
一方で、ゲート-ソース間に負バイアスを印加する場合、従来では電力用半導体素子のオフ動作中において、常に負バイアスを印加するようにゲートを駆動する。このように負バイアスの印加時間が長いと、電力用半導体素子のゲート酸化膜へのストレスがかかる。窒化珪素を材料とした金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(SiC―MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)に関する報告の中で、ゲート酸化膜へのストレスが大きくなると、電力用半導体素子の特性劣化や故障の原因となる報告がなされている。その結果、電力用インバータのシステム全体における信頼性の低下にもつながる。
Andreas Marz, 他3名, "Comparison of SiC MOSFET gate-drive concepts to suppress parasitic turn-on in low inductance power modules", EPE, 2017.
特許文献1では電力用半導体素子のゲート端子に印加する電圧を第1電圧と、第1電圧よりも低い電圧レベルの第2電圧との2電圧を有している。電力用半導体素子のターンオフ動作は第1電圧を用いて行われるが、第1電圧は一般的にゲート端子に印加する負バイアスよりも電圧は大きくない。つまり、電力用半導体素子のスイッチング損失は、第2電圧を用いる場合よりも増大してしまう。一方で第1電圧を大きくすると、スイッチング損失はターンオン動作の高速化により改善するが、ターンオフ動作後のデッドタイムを含む、対向アーム側の電力用半導体素子のターンオン動作の終了まで、第1電圧よりも電圧の大きな負バイアス(例えば第2電圧)を、ゲートに印加し続けなければならない。よって、前述のゲート酸化膜へのストレスの問題が浮上してしまい、電力変換器全体の信頼性は低下してしまうという背反関係がある。
非特許文献1の場合、電力用半導体素子のターンオフ動作開始から対向アーム側の電力用半導体素子のターンオン動作終了までの期間に渡り、自アーム素子のゲート端子に負バイアスを印加する。つまりデッドタイム期間とスイッチングの期間は、自アーム素子のゲート端子に負バイアスを印加し続ける。従ってデッドタイムの設定値が大きいシステム等においてはゲート酸化膜へのストレス軽減の効果が不十分となる可能性が懸念される。
本開示は、上記の課題を解決するためのものであって、電力用半導体素子の信頼性の向上を図ることが可能な半導体装置および電力変換装置を提供することを目的とする。
ある実施の形態に従う半導体装置は、第1の駆動信号に従って電力用半導体素子のゲート端子にオンバイアスおよびオフバイアスを印加するゲート電圧制御回路と、第1の駆動信号および第2の駆動信号に従ってオフバイアスの電圧レベルを変更し、変更したオフバイアスの印加期間を制御するオフバイアス電圧制御回路とを備える。
ある実施の形態に従う電力変換装置は、第1の電力用半導体素子と、第1の電力用半導体素子と直列に接続された対向アーム側に設けられる第2の電力用半導体素子と、第1および第2の電力用半導体素子にそれぞれ対応して設けられ、第1および第2の駆動信号に従って対応する電力用半導体素子を駆動する第1および第2のゲート駆動回路とを備える。各ゲート駆動回路は、対応する駆動信号に従って電力用半導体素子のゲート端子にオンバイアスおよびオフバイアスを印加するゲート電圧制御回路と、第1および第2の駆動信号に従ってオフバイアスの電圧レベルを変更し、変更したオフバイアスの印加期間を制御するオフバイアス電圧制御回路とを含む。
本開示に従う半導体装置および電力変換装置は、電力用半導体素子の信頼性の向上を図ることが可能である。
実施の形態1.
以下に、本開示の一例である電力用の半導体装置のゲート駆動回路について説明する。
以下に、本開示の一例である電力用の半導体装置のゲート駆動回路について説明する。
図1は、実施の形態1に従うゲート駆動回路100の機能を説明するためのブロック図である。
図1を参照して、ゲート駆動回路100は、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2の入力に従って、直流高圧電源の間に接続された電力用半導体素子10のゲートを制御する。具体的には、ゲート駆動回路100は、電力用半導体素子10のオンオフ動作を切り替えるいわゆるスイッチング動作を制御する。
電力用半導体素子10は、電力変換装置のインバータ回路における主回路のスイッチング素子に該当する。例えば、2in1のハーフブリッジ回路、4in1のフルブリッジ回路、あるいは6in1の三相インバータの1素子である。これらの回路構成は、PWM制御によりインバータ出力電圧を作るので、オフ動作中の素子にはドレイン-ソース間に数百V以上の高電圧が印加されることになる。また、オン動作中の素子には電力変換装置のシステムに応じた大電流が通流する。これらの動作状態は、外部駆動信号IN1に従い電力用半導体素子10をオンオフするゲート電圧が制御される。
ゲート駆動回路100は、ゲート電圧制御回路20と、オフバイアス電圧制御回路30とを含む。
ゲート電圧制御回路20は、電力用半導体素子10のゲートのオンバイアスとオフバイアスを制御する。
ゲート電圧制御回路20は、第1制御回路21と、第1切替回路22とを含む。
第1制御回路21は、入力される外部駆動信号IN1に応じて、電力用半導体素子10が所望のスイッチング動作を行うようにゲート制御信号を制御する。具体的には、電力用半導体素子10がオンすべき期間でゲート制御信号を「1」に設定し、電力用半導体素子10がオフすべき期間ではゲート制御信号を「0」に設定する。これら2値の電圧信号は、ロジック回路の5V系、3・3V系等の通信用信号源でパルス波形を生成することで構成することができる。
第1制御回路21は、入力される外部駆動信号IN1に応じて、電力用半導体素子10が所望のスイッチング動作を行うようにゲート制御信号を制御する。具体的には、電力用半導体素子10がオンすべき期間でゲート制御信号を「1」に設定し、電力用半導体素子10がオフすべき期間ではゲート制御信号を「0」に設定する。これら2値の電圧信号は、ロジック回路の5V系、3・3V系等の通信用信号源でパルス波形を生成することで構成することができる。
第1切替回路22は、電力用半導体素子10のゲートと、第1制御回路21との間に配置される。第1切替回路22のハイサイドは正電圧源Vddに接続され、ローサイドは第2切替回路32に接続される。
第1切替回路22は、NPNトランジスタ22Aと、PNPトランジスタ22Bと、抵抗素子22Cとを含む。
NPNトランジスタ22AとPNPトランジスタ22Bとは直列に接続される。
NPNトランジスタ22Aは、正電圧源Vddと接続され、出力ノードと接続される。
NPNトランジスタ22Aは、正電圧源Vddと接続され、出力ノードと接続される。
PNPトランジスタ22Bは、出力ノードと、第2切替回路32の出力ノードと接続される。
NPNトランジスタ22AおよびPNPトランジスタ22Bのゲートは、抵抗素子22Cを介して第1制御回路21と接続される。
第1切替回路22は、第1制御回路21から出力されるゲート制御信号に応じて電流経路を切り替えることができる。これにより、電力用半導体素子10のゲート電流が流れる経路が変わるため、即ちゲートの充電と放電とを切り替える事と同義となる。よって、第1切替回路22は、電力用半導体素子10のゲートへ印加するゲート電圧を切り替え、電力用半導体素子10のオンオフ動作を制御する働きをする。
オフバイアス電圧制御回路30は、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2に従って、電力用半導体素子10のオフ動作中にゲートへ印加されるオフバイアスのレベルを制御する。具体的には、オフバイアス電圧制御回路30は、電力用半導体素子10のオフ動作中における電圧レベルなので、正の値の場合には電力用半導体素子10のゲートしきい値電圧を超える可能性があるため、常に0V以下になるよう設定する。
また、オフバイアスのレベルの切り替え数は一例として2つとする。
本実施の形態において、2つのオフバイアスのレベルの切り替えには、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2を用いる。外部駆動信号IN1は、第1制御回路21への入力信号と同じものである。外部駆動信号IN2は、後述する電力用半導体素子10のゲート誤点弧(セルフターンオン現象とも呼ばれる)のタイミング情報を、ゲート駆動回路100へ与える必要がある。外部駆動信号IN2は、外部駆動信号IN1とは別の手段として設けられる。
本実施の形態において、2つのオフバイアスのレベルの切り替えには、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2を用いる。外部駆動信号IN1は、第1制御回路21への入力信号と同じものである。外部駆動信号IN2は、後述する電力用半導体素子10のゲート誤点弧(セルフターンオン現象とも呼ばれる)のタイミング情報を、ゲート駆動回路100へ与える必要がある。外部駆動信号IN2は、外部駆動信号IN1とは別の手段として設けられる。
オフバイアス電圧制御回路30は、第2制御回路31と、第2切替回路32とを含む。
第2制御回路31は、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2の入力に基づいて電力用半導体素子10のゲートに印加されるオフバイアスの電圧レベルとオフバイアスの印加期間を任意に調節可能なオフバイアス電圧制御信号を出力する。具体的な方式については後述する。
第2制御回路31は、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2の入力に基づいて電力用半導体素子10のゲートに印加されるオフバイアスの電圧レベルとオフバイアスの印加期間を任意に調節可能なオフバイアス電圧制御信号を出力する。具体的な方式については後述する。
第2切替回路32は、第2制御回路31と、第1切替回路22と、電力用半導体素子10のソース電極と接続される。
第2切替回路32のハイサイドは、電力用半導体素子10のソース電極に接続され、ローサイドは負電圧源Vnegに接続される。
第2切替回路32は、NPNトランジスタ32Aと、PNPトランジスタ32Bと、抵抗素子32Cとを含む。
NPNトランジスタ32AとPNPトランジスタ32Bとは直列に接続される。
NPNトランジスタ32Aは、電力用半導体素子10のソース電極と接続され、出力ノードと接続される。当該出力ノードは、第1切替回路22と接続される。
NPNトランジスタ32Aは、電力用半導体素子10のソース電極と接続され、出力ノードと接続される。当該出力ノードは、第1切替回路22と接続される。
PNPトランジスタ32Bは、出力ノードと、負電圧源Vnegと接続される。
NPNトランジスタ32AおよびPNPトランジスタ32Bのゲートは、抵抗素子32Cを介して第2制御回路31と接続される。
NPNトランジスタ32AおよびPNPトランジスタ32Bのゲートは、抵抗素子32Cを介して第2制御回路31と接続される。
第2切替回路32は、第2制御回路31によって生成したオフバイアス電圧制御信号に応じてゲートのオフバイアスレベルを切り替える。具体的には、電力用半導体素子10のソース電位を基準とする基準電位Vsと、負電圧源Vnegとを切り替える。即ち、電力用半導体素子10のソース電位を切り替えることにより電力用半導体素子10のゲートへ印加するオフバイアスレベルを切り替える。
以降、必要に応じて基準電位Vs接続の状態を「浅いオフバイアス」、負電圧源Vneg接続の状態を「深いオフバイアス」とも称する。
ただし、電力用半導体素子10のゲートに印加する浅いオフバイアス、深いオフバイアスは、電力用半導体素子10のオフ動作が前提となる。よって、第2切替回路32の動作のみでは一意に決定せず、第1切替回路22が電力用半導体素子10のオフ動作の期間に限り、電力用半導体素子10のゲートに印加する浅いオフバイアス、深いオフバイアスを切り替える。言い換えれば、電力用半導体素子10のゲートに印加されるオフバイアスレベルは、ゲート電圧制御回路20とオフバイアス電圧制御回路30との状態に基づいて制御される。
図示しない構成要素として第1制御回路21、第2制御回路31は、抵抗、コンデンサ、ダイオードといった受動素子、RCフィルタで構成されれば良い。伝達信号を整えるシュミットトリガ素子を備えるようにしても良い。なお、第1制御回路21は伝達信号を一定時間だけ遅延させる遅延線(遅延ICやバッファ回路で実現可能)、第2制御回路31は、伝達信号の論理和(OR)や論理積(AND)といった論理演算を行う論理演算回路を備える。
また、図示しない構成要素として第1切替回路22および第2切替回路32は、上下アームにスイッチング素子が配置されたトーテムポール回路構造で、入力されるゲート制御信号に応じて出力を二段階制御できれば良い。具体的には、上記で説明したハイサイド素子がNPNトランジスタ、ローサイド素子がPNPトランジスタで構成されるプッシュプル回路で構成しても良いし、他の構成を採用するようにしてもよい。
図2は、実施の形態1に従う第1制御回路21および第2制御回路31の具体的構成について説明する図である。
図2を参照して、第1制御回路21は、制御部21Aと遅延回路21Bとを含む。
制御部21Aは、外部駆動信号IN1を入力信号として受け取り、整えた信号を生成する役割を担う。例えば、電圧保持用のコンデンサや、逆導通防止用のダイオード素子、伝達信号を整えるシュミットトリガ素子で実現できる。
制御部21Aは、外部駆動信号IN1を入力信号として受け取り、整えた信号を生成する役割を担う。例えば、電圧保持用のコンデンサや、逆導通防止用のダイオード素子、伝達信号を整えるシュミットトリガ素子で実現できる。
遅延回路21Bは、制御部21Aの出力信号を受け取り、その出力信号をある時間量だけ遅延させ、遅延信号を生成する遅延回路である。例えば、伝達信号を一定時間だけ遅延させる遅延線であればよく、その遅延線はロジックICやバッファ素子で構成されればよい。
このように第1制御回路21を構成することで、図1に示した第1切替回路22へ入力するゲート制御信号は、外部駆動信号IN1を基準にある時間量だけ遅延する。ゲート制御信号の遅延量に応じて、第1切替回路22の動作も同じ時間量だけ遅延させる事が可能である。そのため、電力用半導体素子10のスイッチング動作のタイミングも、全体で同じ時間量だけ遅延する。また、遅延線を構成するロジックICやバッファ素子が、1素子につき複数端子を備えたり、ロジックICとバッファ素子の遅延量を別々にしたり、更にはジャンパピンを用いて回路の接続先を切り替える事で、電力用半導体素子10のゲート遅延量は可変に設定できる。
第2制御回路31は、遅延回路31A,31Bと、インバータIV0,IV1と、AND回路AD0,AD1と、NOR回路NRとを含む。
AND回路AD0は、遅延回路31Aを介する外部駆動信号IN1と、インバータIV0を介する外部駆動信号IN1とを受け取り、AND論理演算結果をNOR回路NRに出力する。
AND回路AD1は、遅延回路31BおよびインバータIV1を介する外部駆動信号IN2と、外部駆動信号IN2とを受け取り、AND論理演算結果をNOR回路NRに出力する。
NOR回路NRは、AND回路AD0およびAD1の入力を受け取り、NOR論理演算結果を出力する。
遅延回路31A,31Bは、遅延信号を生成する遅延回路である。例えば、一般的な遅延時間の調整回路であるRCフィルタで構成されればよく、また、伝達信号を整えるシュミットトリガ素子を備えると尚良い。なお、遅延回路31A,31Bの遅延量はそれぞれ異なるものに調整することが可能である。
NOR回路NRは、通常は、オフバイアス電圧制御信号(「1」)を出力する。
これにより第2切替回路32のNPNトランジスタ32Aはオン動作となっている。
これにより第2切替回路32のNPNトランジスタ32Aはオン動作となっている。
一方、外部駆動信号IN1が「1」から「0」へと変化するのに応じて、AND回路AD0は、遅延回路31Aの遅延量に比例したワンショットパルス信号を出力する。これに応答してNOR回路NRは、ワンショットパルス信号の期間に応答して第2切替回路32のPNPトランジスタ32Bをオン動作させる。
また、外部駆動信号IN2が「0」から「1」へと変化するのに応じて、AND回路AD1は、遅延回路31Bの遅延量に比例したワンショットパルス信号を出力する。これに応答してNOR回路NRは、ワンショットパルス信号の期間に応答して第2切替回路32のPNPトランジスタ32Bをオン動作させる。
第2制御回路31は、外部駆動信号IN1およびIN2の2つの信号を受け取り、その2つの信号同士を論理和(OR)や論理積(AND)といった論理演算を行い、2つの出力信号から一つのオフバイアス電圧制御信号を生成する論理演算回路である。例えば、1素子のみ内蔵するディスクリートIC素子で構成されても良いし、あるいはロジック機能が2つ備わる2in1のロジックICで構成されてもよい。論理演算するAND素子、OR素子をそれぞれ少なくとも1つだけ備える構成としてもよい。
遅延回路31Aおよび31Bを設けることにより、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2に従うオフバイアス電圧制御信号を生成し、当該信号の時間を調節することが可能である。
具体的には、遅延回路31Aおよび31Bの遅延量に応じた電力用半導体素子10のゲートに印加する深いオフバイアスVnegの印加タイミングおよび印加時間を決定することが可能である。また、遅延回路31Aおよび31BのRCフィルタの抵抗とコンデンサは、可変抵抗器や可変容量で構成されてもよい。そのように構成すると、電力用半導体素子10の深いオフバイアスVnegの印加タイミングおよび印加時間を可変設定することが可能となる。
実施の形態1によると、ゲート電圧制御回路20に含まれる第1制御回路21の内部に制御部21Aと、遅延回路21Bとを備え、オフバイアス電圧制御回路30に含まれる第2制御回路31の内部に遅延回路31A,31Bを設けて、適切なオフバイアスレベル制御信号を生成することができ、電力用半導体素子10の深いオフバイアスVnegの印加タイミングおよび印加時間を決定できる。結果として電力用半導体素子10の信頼性向上を実現する。
次に、実施の形態1に従うゲート駆動回路100の具体的な動作について説明する。
図3は、実施の形態1に従うゲート駆動回路100が電力用半導体素子10のゲートを制御する際のタイミングチャートについて説明する図である。
図3は、実施の形態1に従うゲート駆動回路100が電力用半導体素子10のゲートを制御する際のタイミングチャートについて説明する図である。
図3を参照して、実施の形態1に従うゲート駆動回路100と、比較例との動作の相違点とが示されている。横軸は時間を表し、縦軸は外部駆動信号IN1、外部駆動信号IN2、電力用半導体素子10のゲート電圧Vgsをそれぞれ示す。
時刻t0において、外部駆動信号IN1が「1」から「0」へと変化するのに応じて、ゲート駆動回路100は電力用半導体素子10へのゲート放電をし始める。即ち電力用半導体素子10は、ターンオフ動作をする。オン動作中に充電されたゲート電荷が引き抜かれるので、電力用半導体素子のゲート電圧Vgsは降下し始める。
まず、ゲート電圧Vgsがオンバイアス電圧Vddから急峻に降下する。次に、電力用半導体素子10のドレイン-ソース間電圧Vds(図示せず)が立ち上がり始めると同時に、ゲート電圧Vgsはある一定の電圧値を維持する。この期間をミラー期間と呼び、ドレイン-ソース間電圧Vdsに依存したゲート-ドレイン間の寄生容量の変化が無くなるまで継続する(一般的にSiC-MOSFETの場合、ミラー期間は非常に短い)。ミラー期間終了後、再びゲート電圧Vgsは下降し始め、深いオフバイアスVnegに至ることでターンオフ動作は終了する。ここで、実施の形態1に従うゲート駆動回路と比較例(ここでは特許文献1に従う構成)とでは大きな相違点がある。
一番の大きな相違点としては、深いオフバイアスVnegの有無である。
実施の形態1に従うゲート駆動回路100は、深いオフバイアスVnegをゲートへ印加する機能を備えることで、比較例に従う深いオフバイアス印加機能を持たない場合に比べ、電力用半導体素子10のターンオフ速度が速くなる。時刻t0からミラー期間開始までと、ミラー期間終了時点からターンオフ動作終了までの区間において、ゲート電圧Vgsの変化率dVgs/dtの絶対値は、実施の形態1に従う構成の方が比較例の構成よりも大きい。
実施の形態1に従うゲート駆動回路100は、深いオフバイアスVnegをゲートへ印加する機能を備えることで、比較例に従う深いオフバイアス印加機能を持たない場合に比べ、電力用半導体素子10のターンオフ速度が速くなる。時刻t0からミラー期間開始までと、ミラー期間終了時点からターンオフ動作終了までの区間において、ゲート電圧Vgsの変化率dVgs/dtの絶対値は、実施の形態1に従う構成の方が比較例の構成よりも大きい。
この効果により、電力用半導体素子10のターンオフ損失は改善することが可能になり、電力変換装置の発熱抑制、冷却器の小型化といったメリットを得ることができる。
一方で、比較例に従う構成では浅いオフバイアスVsによるターンオフ動作であるから、電力用半導体素子10のターンオフ損失の低減は不十分であることが懸念される。さらに、ターンオフ動作終了後のゲート電圧Vgsの挙動についても相違点が存在する。
実施の形態1に従う構成は、深いオフバイアスVnegを備えるので、ゲート電圧Vgsは、浅いオフバイアスVsから深いオフバイアスVnegまで下がる。
実施の形態1に従うゲート駆動回路100は、ゲート電圧Vgsが深いオフバイアスVnegに達した時刻t1で、電力用半導体素子10のターンオフ動作は完了する。
実施の形態1に従うゲート駆動回路100の構成によると、時刻t1から深いオフバイアスVnegが電力用半導体素子10のゲートへ印加されるので、前述したゲート酸化膜へのストレスによる特性劣化や故障の原因となる可能性があるが時刻t1から深いオフバイアスVnegが浅いオフバイアスVsへと戻り始める時刻t2までの期間は、電力変換装置のインバータ回路に設定されるデッドタイム期間Td(上側アームと下側アームの両方がオフ動作する)よりも十分に短い。即ち、実際のゲート酸化膜へのストレスは非常に小さい。したがって、電力用半導体素子10の高い信頼性を確保することができる。
本例においては、時刻t0から時刻t2までの期間において、深いオフバイアスVnegが電力用半導体素子10のゲートに印加される。この期間を第1期間と定義する。続いて、時刻t2以降について説明する。
デッドタイム期間Tdにおいて、電力用半導体素子10のゲート電圧Vgsは浅いオフバイアスVsに設定され、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2は「0」に設定される。
ここで、外部駆動信号IN2は、電力用半導体素子10のゲート誤点弧のタイミング、即ち対向アーム素子のターンオンのタイミングを知らせる機能を有する。
したがって、デッドタイム期間Tdの終了時点に外部駆動信号IN2が「0」から「1」へと変化する。
ゲート駆動回路100は、外部駆動信号IN2の変化に従って電力用半導体素子10の対向アーム素子のターンオンのタイミングであると判定し、再び電力用半導体素子10のゲート電圧Vgsは、浅いオフバイアスVsから深いオフバイアスVnegへと変化させる。その後、対向アーム素子がターンオン動作することで、電力用半導体素子10のゲート電圧Vgsは、深いオフバイアスVnegから持ち上がる。ここで、深いオフバイアスVnegの値を、ゲート電圧Vgsの持ち上がりの電圧値よりも大きく設定することで、ゲート電圧Vgsは0Vを超えることはない。つまり、電力用半導体素子10のゲートしきい値電圧に対しても十分な裕度があると言える。
ここで、時刻t3から、実際に電力用半導体素子10の対向アーム素子がターンオン動作を開始するtonの期間は、対向アーム素子へのゲート制御信号の遅延量に一致する。電力用半導体素子10のゲート電圧Vgsに印加する深いオフバイアスVnegが確立するまでの時間を要するので、対向アーム素子へのゲート制御信号の遅延を挿入する。このようにすることで、万全な電力用半導体素子10のゲート誤点弧防止を図ることができる。
電力用半導体素子10の対向アーム素子のターンオン終了後の時刻t4では、再び電力用半導体素子10のゲート電圧Vgsは、深いオフバイアスVnegから浅いオフバイアスVsへと戻り始める。つまり、電力用半導体素子10のゲート酸化膜へかかるストレスは非常に小さい。つまり、時刻t3から時刻t4までの期間は深いオフバイアスVnegが電力用半導体素子10のゲートに印加される。ここで、デッドタイム期間Tdの終了時点から、電力用半導体素子10のゲートに浅いオフバイアスが印加されるまでの期間を第2期間と定義する。つまり、時刻t3から時刻t4までの期間は、第2期間に含まれることになる。
実施の形態1に従うゲート駆動回路100は、電力用半導体素子10の深いオフバイアス印加を適用したスイッチング損失の改善を図りながら、深いオフバイアスの印加時間を第1期間および第2期間の限定的な区間に抑え、電力用半導体素子10の信頼性向上も図ることが可能である。これにより電力用半導体素子の長寿命化につながり、経済的な電力変換器システムを実現することが可能である。
実施の形態2.
実施の形態2では、電力用半導体素子10と第1切替回路22との間にゲート抵抗制御回路40を備えたゲート駆動回路101の動作について説明する。
実施の形態2では、電力用半導体素子10と第1切替回路22との間にゲート抵抗制御回路40を備えたゲート駆動回路101の動作について説明する。
図4は、実施の形態2に従うゲート駆動回路101について説明する図である。
図4を参照して、ゲート駆動回路101は、実施の形態1に従うゲート駆動回路100と比較して、電力用半導体素子10と第1切替回路22との間にゲート抵抗制御回路40を設けた点が異なる。その他の構成については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
図4を参照して、ゲート駆動回路101は、実施の形態1に従うゲート駆動回路100と比較して、電力用半導体素子10と第1切替回路22との間にゲート抵抗制御回路40を設けた点が異なる。その他の構成については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
ゲート抵抗制御回路40は、ゲート抵抗41と、ゲート抵抗41の両端に並列接続されるバイパス用スイッチング素子42とを含む。
ゲート抵抗41は、電力用半導体素子10のスイッチング速度を調整、詳しくはターンオン速度及び、ターンオフ速度を調整する。
ゲート抵抗41の抵抗値が大きい場合には、スイッチング時のドレイン・ソース間電圧Vdsのサージ電圧、電磁ノイズを低減できるが、スイッチング損失は増大する。反対にゲート抵抗41の抵抗値が小さい場合、ドレイン・ソース間電圧Vdsのサージ電圧、電磁ノイズとスイッチング損失の関係は、抵抗値が大きい場合と逆になる。
バイパス用スイッチング素子42は、ゲート制御信号のON/OFF指令に応じてターンオン動作及び、ターンオフ動作をする。バイパス用スイッチング素子42は、ゲート抵抗41に並列接続する。バイパス用スイッチング素子42のターンオン動作後、ゲート電流はバイパス用スイッチング素子42を流れ、ターンオフ動作後にはゲート抵抗41を流れる。
実施の形態2に従うバイパス用スイッチング素子42をターンオン動作させ、ゲート抵抗41をバイパスさせるタイミングは、深いオフバイアスVnegと浅いオフバイアスVsとのゲートのオフバイアスレベルを切り替える時である。
具体的には、第1期間において、電力用半導体素子10のターンオフ動作終了までは、バイパス用スイッチング素子42はオフ動作を維持し、電力用半導体素子10のターンオフ動作が終了し、深いオフバイアスVnegが確立した時点から、浅いオフバイアスVsへと切り替えるまでバイパス用スイッチング素子42をオン動作させる。
一例として時刻Tb1~Tb2の期間の間、バイパス用スイッチング素子42をオン動作させる。
同様に、実施の形態2に従うバイパス用スイッチング素子42をターンオフ動作させ、ゲート抵抗41を介する経路に切り替えるタイミングは、デッドタイム期間Tdが終了し、対向アーム素子のターンオン動作に備え、浅いオフバイアスVsから深いオフバイアスVnegへと切り替えた時点から、対向アーム素子のターンオン動作開始までとする。
具体的には、第2期間において、浅いオフバイアスVsから深いオフバイアスVnegの確立までの期間では、バイパス用スイッチング素子42はオン動作を維持し、対向アーム素子のターンオン動作の前にはバイパス用スイッチング素子42はオフ動作させる。
一例として時刻T3~Tb3の期間の間、バイパス用スイッチング素子42をオン動作させる。
以上のような、バイパス用スイッチング素子42の動作を行うことで、電力用半導体素子10のゲートに印加する深いオフバイアスVnegと浅いオフバイアスVsの切り替えにのみ、ゲート抵抗41を介さないバイパス経路を活用する。
実施の形態1でも前述の通り、第2切替回路32は、第1切替回路22と連動して動作する。つまり、深いオフバイアスVnegと浅いオフバイアスVsの切り替え速度は、電力用半導体素子10の放電経路の回路定数に依存する。要するにゲート抵抗41の値が大きければ、その値に応じて深いオフバイアスVnegと浅いオフバイアスVsの切り替え速度は遅くなる。実施の形態2は、ゲート抵抗41を介さないバイパス経路を設けたことで、深いオフバイアスVnegと浅いオフバイアスVsの切り替え速度を速くすることが可能である。言い換えれば、好適に電力用半導体素子10のゲートに印加するオフバイアスのレベルおよびタイミングを操作することが可能である。
さらに、ゲートの誤点弧に対してゲート抵抗41が有効である。ゲート抵抗41が小さな値(例えば0オーム)だと、電力用半導体素子10のゲート配線の浮遊インダクタンス成分による振動が生じ、ゲート誤点弧の原因となる可能性があるからである。また、電磁ノイズによる影響を受けやすくなることで、同様にゲート誤点弧の引き金となる可能性がある。これらの現象の対策として、ゲート誤点弧、即ち対向アーム素子のターンオン動作時は、バイパス用スイッチング素子42はオフ動作とし、ゲート抵抗41を介する経路に設定する。
次に、実施の形態2に従うゲート駆動回路101の具体的な動作について説明する。
図5は、実施の形態2に従うゲート駆動回路101が電力用半導体素子のゲートを制御する際のタイミングチャートについて説明する図である。
図5は、実施の形態2に従うゲート駆動回路101が電力用半導体素子のゲートを制御する際のタイミングチャートについて説明する図である。
図5を参照して、実施の形態2に従うゲート駆動回路101と、実施の形態1に従うゲート駆動回路100の基本的な動作については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
時刻t0において、電力用半導体素子10のターンオフ動作が開始する。図示の通りに電力用半導体素子10のゲート電圧は深いオフバイアスVnegまで引き下げられ、時刻t1で深いオフバイアスVnegが確立する。その後、時刻t2において、深いオフバイアスVnegの印加時間を短縮するために、深いオフバイアスVnegから浅いオフバイアスVsへと切り替える。
ここで、実施の形態1に従うゲート駆動回路100との相違点は、第1期間に含まれる時刻t1と時刻t2の間の区間内での時刻tb1において、バイパス用スイッチング素子42がターンオン動作する点である。このように時刻tb1における本実施例の動作を加えることで、電力用半導体素子10のゲート電圧は時刻t2において変化する。具体的には、深いオフバイアスVnegから浅いオフバイアスVsへの切り替え速度が速くなり、図示する通り浅いオフバイアスVsへと素早く戻ることが可能である。浅いオフバイアスVsへ素早く戻ることから、実施の形態1に比べ深いオフバイアスVnegの印加時間は確実に短縮することが可能である。なお、時刻tb2において、バイパス用スイッチング素子42はターンオフ動作する。
また、デッドタイム期間Td経過後、対向アーム素子のターンオン動作のタイミングを知らせる外部駆動信号IN2が「0」から「1」へと変化する。すなわち、時刻t3においてデッドタイム期間Tdは終了する。
時刻t3において、電力用半導体素子10のゲート電圧は、浅いオフバイアスVsから負バイアスVnegへと再び切り替わる。
この時刻t3において、バイパス用スイッチング素子42をターンオン動作させる。これにより、浅いオフバイアスVsから深いオフバイアスVnegへの切り替え速度は、ゲート抵抗41がバイパスされていることから実施の形態1よりも速くなり、図示する通り、素早く電力用半導体素子10のゲートに深いオフバイアスVnegを印加することが可能である。
そして、時刻tb3において、バイパス用スイッチング素子42はターンオフ動作する。
その後の時刻tonに、対向アーム素子がターンオン動作し、電力用半導体素子10ゲート誤点弧が生じる。ここで、第2期間に含まれる時刻t3と時刻tonの間の区間内での時刻tb3において、バイパス用スイッチング素子42がターンオフ動作している。
このように、時刻tb3における実施の形態2に従うゲート抵抗制御回路40の動作を加えることで、前述の浮遊インダクタンス、電磁ノイズの影響による電力用半導体素子10のゲート誤点弧を防ぐ事が可能である。具体的には、バイパス用スイッチング素子42をオフ動作させてゲート抵抗41を設けることにより、図示する通り実施の形態1と同等のゲート誤点弧耐量を得ることが可能である。
デッドタイム期間Tdのうちの時刻tb2以降の期間、すなわち、電力用半導体素子10のオフバイアス期間では、ゲート抵抗制御回路40でバイパス用スイッチング素子42をオフ動作させてゲート抵抗41を接続させる。このように電力用半導体素子10のオフ動作中もゲート抵抗41を接続しておくことにより、外的要因によるゲートの振動をダンピングさせることが可能である。その結果、電力用半導体素子10のゲート誤点弧を防ぐことができる。
バイパス用スイッチング素子42のオン動作期間(tb1-tb2、t3-tb3)は、実施の形態1記載の構成要素で設定可能である。具体的には、時刻t0からtb1までの期間を遅延するRCフィルタ、外部駆動信号IN1と外部駆動信号IN2とで1ショットパルスを作成する実施形態1で説明した論理演算回路を組み合わせることにより実現可能である。また、バイパス用スイッチング素子42のオン動作期間(バイパス期間)についても、任意に設定可能であるし、複数箇所に渡るオン動作とオフ動作の切り替えも可能である。
ゲート抵抗41は、一般的なリード抵抗、チップ抵抗といった回路素子で構成され、電力用半導体素子10のスイッチング動作条件に則った回路定数、電力容量であれば良く、ゲート抵抗41を構成する回路素子の個数は、単数・複数を問わないし、或いは直列・並列の回路構成も問わない。バイパス用スイッチング素子42は、電力用半導体素子10のゲート容量に対応さえ出来ていれば、安価なディスクリート回路素子で十分である。バイパス用スイッチング素子42は、高速応答性が高いほど望ましく、ゲートしきい値電圧は高いと誤動作の危険性が減る一方で、高速応答性は低下し、ゲートしきい値電圧が低いと高速応答性が向上する一方で、誤動作の危険性は増すという背反が成立する。
実施の形態2に従うゲート駆動回路101は、電力用半導体素子10と第1切替回路22との間にゲート抵抗制御回路40を備える事で、電力用半導体素子10のゲートに印加する深いオフバイアスVnegの期間をより短縮することが可能である。さらに、浅いオフバイアスVsから深いオフバイアスVnegへの切り替えを高速化することにより電力用半導体素子10の信頼性がより向上する。
したがって、電力用半導体素子10の長寿命化がさらに図られ、経済的な電力変換器システムの利用を推進することが可能である。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1と異なる切替回路の構成について説明する。
実施の形態3では、実施の形態1と異なる切替回路の構成について説明する。
図6は、実施の形態3に従う電力用半導体装置のゲート駆動回路100#の機能を説明するためのブロック図である。
図6を参照して、ゲート駆動回路100#は、ゲート駆動回路100と比較して、ゲート電圧制御回路20をゲート電圧制御回路20#に置換し、オフバイアス電圧制御回路30をオフバイアス電圧制御回路30#に置換した点が異なる。
その他の構成については実施の形態1に従うゲート駆動回路100と同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
ゲート電圧制御回路20#は、ゲート電圧制御回路20と比較して第1制御回路21を第1制御回路21#に置換し、第1切替回路22を第1切替回路22#に置換した点が異なる。
オフバイアス電圧制御回路30#は、オフバイアス電圧制御回路30と比較して第2制御回路31を第2制御回路31#に置換し、第2切替回路32を第2切替回路32#に置換した点が異なる。
第1切替回路22#は、ハイサイドにPMOSFET22Pと、ローサイドにNMOSFET22Nとを含む。
PMOSFET22Pと、NMOSFET22Nとは直列に接続される。
PMOSFET22Pは、正電圧源Vddと接続され、出力ノードと接続される。
PMOSFET22Pは、正電圧源Vddと接続され、出力ノードと接続される。
NMOSFET22Nは、出力ノードと、第2切替回路32の出力ノードと接続される。
第2切替回路32#は、ハイサイドにPMOSFET32Pと、ローサイドにNMOSFET32Nとを含む。
PMOSFET32PとNMOSFET32Nとは直列に接続される。
PMOSFET32Pは、電力用半導体素子10のソース電極と接続され、出力ノードと接続される。当該出力ノードは、第1切替回路22#と接続される。
PMOSFET32Pは、電力用半導体素子10のソース電極と接続され、出力ノードと接続される。当該出力ノードは、第1切替回路22#と接続される。
NMOSFET32Nは、出力ノードと、負電圧源Vnegと接続される。
実施形態3に従う切替回路は、例えばワイドバンドギャップ半導体が適用され、高周波駆動のアプリケーションに適用する電力変換装置に対して、特に有効であると言える。
実施形態3に従う切替回路は、例えばワイドバンドギャップ半導体が適用され、高周波駆動のアプリケーションに適用する電力変換装置に対して、特に有効であると言える。
実施形態3に従うPMOSFET22PおよびNMOSFET22NとPMOSFET32PおよびNMOSFET32Nで構成されるCMOS回路について説明する。
上下アームの素子ともにMOSFETで構成されるので、バイポーラトランジスタで構成される場合に比べ、低消費電力となる。また、電力用インバータのスイッチング周波数が大きくなると、その増加分だけゲート駆動回路のスイッチング回数も増える。すなわち、前述した高周波駆動のアプリケーションに対して、非常に有用である。
PMOSFET22P、NMOSFET22Nの出力ラインは、PMOSFET22Pのハイサイドに印加する電源電圧Vddと、ローサイドの電位(浅いオフバイアスVsか深いオフバイアスVneg)でスイングする。さらに、電源電圧からの入力電圧と、出力ラインの出力電圧の差分によらず一定の駆動能力が得られる。このようなドライブ出力となることで、高い駆動能力を有しながら、安定性も高いゲート駆動回路100#を実現することが可能である。
一方で一般的なプッシュプル回路の場合は、上下アームのトランジスタ素子のゲートしきい値電圧分だけ、出力ラインのスイング範囲が狭くなる。つまり、スイング範囲外の出力電圧の時、プッシュプル回路の出力はフローティング状態となり、不安定な動作を示す。
実施の形態3に従うゲート駆動回路100#は、切替回路をCMOS回路で実現することにより、高い駆動能力、かつ安定な動作を得ることが可能である。これらの効果から、電力用半導体素子10の特性改善が見込まれ、かつゲート電位の揺らぎによる発振現象の抑制につながる。
CMOS回路の長所について上述したが、CMOS回路の短所も存在する。上下アーム素子のスイッチング時に、ハイサイドの電源電圧とローサイドの基準電位の間に貫通電流が流れる可能性がある。この貫通電流が流れることで、ゲート駆動回路100の電力消費量が増大する可能性がある。電力消費量が増えるという事は、高周波駆動の動作には不向きだと言い換えられ、前述したメリットに相反してしまう。
そこで、PMOSFET22P、NMOSFET22NとPMOSFET32P、NMOSFET32Nの前段にて、上下アーム間のデッドタイム期間を生成するようにしてもよい。適切なデッドタイム期間を設けることで、CMOS回路に流れ込む貫通電流を低減させることが可能である。例えば、PMOSFET22P、NMOSFET22NとPMOSFET32P、NMOSFET32Nのゲートに印加する信号をそれぞれ独立に制御するようにしてもよい。
図7は、実施の形態3に従う第1制御回路21#および第2制御回路31#の具体的構成について説明する図である。基本的な素子の構成などは図2に示す第1制御回路21および、第2制御回路31と同様なので、繰り返しの説明は省略する。
図7を参照して、第1制御回路21#は、制御部21A#と遅延回路21B#とを含む。
第2制御回路31#は、遅延回路31A#,31B#と、インバータIVと、AND回路ADと、OR回路ORとを含む。
AND回路ADは、遅延回路31B#およびインバータIVを介する外部駆動信号IN2と、素子や付加回路等を介さない外部駆動信号IN2とを受け取り、AND論理演算結果をOR回路ORに出力する。
OR回路ORは、遅延回路31A#を介する外部駆動信号IN1と、AND回路ADの入力とを受け取り、OR論理演算結果を出力する。
遅延回路31A#,31B#は、遅延信号を生成する遅延回路である。例えば、一般的な遅延時間の調整回路であるRCフィルタで構成されればよく、また、伝達信号を整えるシュミットトリガ素子を備えると尚良い。なお、遅延回路31A#,31B#の遅延量はそれぞれ異なるものに調整することが可能である。
OR回路ORは、電力用半導体素子10がスイッチング動作しない定常オンの時、オフバイアス電圧制御信号(「1」)を、スイッチング動作しない定常オフの時、オフバイアス電圧制御信号(「0」)を出力する。
これにより第2切替回路32#のPMOSFET32Pはオン動作およびオフ動作を一定周期で繰り返す。
一方、スイッチング動作する過渡のタイミングでは、オフバイアス電圧制御信号の出力は複雑に変化する。外部駆動信号IN1が「1」から「0」へと変化するのに応じて、OR回路ORは、遅延回路31A#の遅延量に比例した期間だけ「1」の出力を維持する。これに応答してOR回路ORは、「1」の出力維持期間に応答して第2切替回路32#のNMOSFET32Nをオン動作させる。
また、外部駆動信号IN2が「0」から「1」へと変化するのに応じて、AND回路ADは、遅延回路31B#の遅延量に比例したワンショットパルス信号を出力する。これに応答してOR回路ORは、ワンショットパルス信号の期間に応答して第2切替回路32#のNMOSFET32Nをオン動作させる。
本実施の形態によると、ゲート電圧制御回路20に含まれる第1制御回路21の内部にPMOSFET22P、NMOSFET22Nをオフバイアス電圧制御回路30に含まれる第2制御回路31の内部にPMOSFET32P、NMOSFET32Nを備える。これにより、電力用半導体素子10の高い特性を引き出しながら、高周波向けのアプリケーションでの課題であるゲート発振などの抑制を実現できる。
なお、実施形態2に従うゲート抵抗制御回路40の構成をさらに適用することも可能である。
実施の形態4.
実施の形態4では、電力用半導体素子10のゲートに印加するオフバイアスレベルの制御に関する別の形態について説明する。
実施の形態4では、電力用半導体素子10のゲートに印加するオフバイアスレベルの制御に関する別の形態について説明する。
図8は、本開示のゲート駆動回路100を適用したSiC-MOSFETのゲート電圧Vgsの波形について説明する図である。
図8を参照して、深いオフバイアスを印加する期間を調整した場合が示されている。
ここではゲートのオンバイアスは+20V、浅いオフバイアスVsは0V、深いオフバイアスVnegは-5Vにそれぞれ設定している。深いオフバイアスVnegの期間以外は、すべて同一の駆動条件とした。
ここではゲートのオンバイアスは+20V、浅いオフバイアスVsは0V、深いオフバイアスVnegは-5Vにそれぞれ設定している。深いオフバイアスVnegの期間以外は、すべて同一の駆動条件とした。
波形LAは、波形LBと比較してオフバイアスの印加期間が短い場合が示されている。
すなわち、これらの波形は深いオフバイアスVnegの期間が異なる。
すなわち、これらの波形は深いオフバイアスVnegの期間が異なる。
オフバイアス電圧制御回路30に含まれる遅延回路を構成するRCフィルタの時定数を調整することで、深いオフバイアスVnegの期間を調整する。
具体的には、キャパシタの容量を調整することにより遅延回路の遅延量を調整してオフバイアスの印加期間を調整する。
具体的には、遅延回路のキャパシタの容量として2種類の470pFと、680pFを設けた場合に、キャパシタの容量(「470pF」)に設定することにより、深いオフバイアスVnegの期間を短期間に設定することが可能である。これにより、ゲート酸化膜へのストレスをより軽減することが可能である。
例えば、キャパシタを可変容量素子にすることにより最適なキャパシタの容量に設定してオフバイアスVnegの期間を最適な期間に調整することが可能である。
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態2に従うゲート抵抗制御回路40を備えたゲート駆動回路100の動作に関する別の形態について説明する。
実施の形態5では、実施の形態2に従うゲート抵抗制御回路40を備えたゲート駆動回路100の動作に関する別の形態について説明する。
図9は、実施の形態5に従うゲート駆動回路101が電力用半導体素子のゲートを制御する際のタイミングチャートについて説明する図である。
図9を参照して、実施の形態5に従うゲート駆動回路101と、実施の形態2に従うゲート駆動回路100の基本的な動作については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
図5のタイミングチャートと比較して、時刻tonと時刻t4との間に位置する時刻tb4とtb5との期間において、図3で説明したゲート抵抗制御回路40に含まれるバイパス用スイッチング素子42についてターンオン動作させる。
当該動作により、図9に示されるように、電力用半導体素子10のゲート電圧Vgsは、深いオフバイアスVnegから、浅いオフバイアスVsへと素早く切り替わる。これにより、電力用半導体素子10のゲートへの深いオフバイアスVnegの印加時間は、確実に短縮されることになる。
バイパス用スイッチング素子42がターンオン動作する時刻tb4は、電力用半導体素子10の対向アーム素子のターンオン動作終了時点から、時刻t4までの間となるように設定する。当該設定により、対向アーム素子のターンオン期間における電力用半導体素子10ゲートの振動を抑制し、誤点弧の原因になる恐れを回避することが可能である。そして、電力用半導体素子10の深いオフバイアスVnegの印加時間の短縮効果を得ることが可能である。
本実施例は、図4の構成に追加の要素を備えることで実現可能である。追加の要素は、ゲート抵抗制御回路40をゲート抵抗41の値が小さくなるように制御し、バイパス用スイッチング素子42のターンオン動作のタイミングとなる時刻tb3を定める機能を設ける。
具体的には、電力用半導体素子10の対向アーム素子ターンオン動作のタイミングとなる時刻tonのタイミング情報を活用し、時刻tb4を決定する。
例えば、電力用半導体素子10のドレイン電極-ソース電極間に過電圧検出回路、もしくは電圧変化率dVds/dt検出回路を設けることにより時刻tonのタイミング情報を取得することが可能である。あるいは、ゲート電流検出回路を、ゲート抵抗制御回路40に隣接させるように直列接続するようにしてもよい。これらの検出回路の検出情報をオフバイアス電圧制御回路30に含まれる第2制御回路31の信号と同期させることで、時刻tb3の適切なタイミングを調節することが可能である。
あるいは事前に時間設定を済ませたステートタイマーをオフバイアス電圧制御回路30に含まれる第2制御回路31に備えてもよい。事前の実験の実施などにより、例えば電力用半導体素子10の、対向アーム素子ターンオン動作に掛かる時間を計測するなどして、時刻tb4の設定をしてもよい。
実施の形態5においては、実施の形態2に従う構成にさらにゲート抵抗制御回路40に含まれるバイパス用スイッチング素子42がターンオン動作をするタイミングを追加した。それによって、電力用半導体素子10のゲートに印加される深いオフバイアスVnegの印加時間の短縮をより好適に実現することが可能である。
実施の形態6.
実施の形態6では、一体型駆動回路102の構成について説明する。
実施の形態6では、一体型駆動回路102の構成について説明する。
図10は、実施の形態6に従う一体型駆動回路102の機能を説明するためのブロック図である。
図10を参照して、実施の形態6に従う一体型駆動回路102は、ゲート駆動回路100と比較して、ゲート駆動回路100Pおよびゲート駆動回路100Nの2つの駆動回路を備え、これら2つのゲート駆動回路を内蔵する一体型の回路とした点である。
一体型とは、例えば電力用半導体素子が直列接続された上下アーム一体であり、図10に示されるように、電力用半導体素子が2in1にパッケージ化されたパワーモジュールによく見るハーフブリッジ回路の構成に適用することが可能である。
互いに直列接続された電力用半導体素子10Pと、電力用半導体素子10Nを、一体型駆動回路102という一つの駆動回路で、上下アームの電力用半導体素子を駆動させる。
入力信号は、外部駆動信号IN1および外部駆動信号IN2である。
実施の形態1で説明したのと同様に対応する電力用半導体素子がオンすべき期間で外部駆動信号INは「1」に設定され、対応する電力用半導体素子がオフすべき期間では外部駆動信号INは「0」に設定されるロジック系のパルス信号であればよい。
実施の形態1で説明したのと同様に対応する電力用半導体素子がオンすべき期間で外部駆動信号INは「1」に設定され、対応する電力用半導体素子がオフすべき期間では外部駆動信号INは「0」に設定されるロジック系のパルス信号であればよい。
ここで、外部駆動信号IN1は、上アーム素子の電力用半導体素子10Pのゲートを制御し、ゲート電圧制御回路20Pに入力される。外部駆動信号IN2は、下アーム素子の電力用半導体素子10Nのゲートを制御し、ゲート電圧制御回路20Nに入力される。
実施の形態1で説明したのと同様に、オフバイアス電圧制御回路30Pには、対向アーム素子である下アーム素子の電力用半導体素子10Nのターンオン動作のタイミングを知らせる外部駆動信号IN2が入力される。オフバイアス電圧制御回路30Nには、対向アーム素子である上アーム素子の電力用半導体素子10Pのターンオン動作のタイミングを知らせる外部駆動信号IN1が入力される。
当該構成により、実施の形態1で説明したゲート駆動回路100と同様の動作が実行される。
一体型駆動回路102に含まれるゲート駆動回路100Pとゲート駆動回路100Nとは、基本的には同じ回路構成であるが、上下アーム素子の電力用半導体素子10P、10Nの間に素子特性のバラつきが存在する場合には、オフバイアス電圧制御回路30Pと30Nとで内部で微調整してもよい。例えばオフバイアス電圧制御回路30Pとオフバイアス電圧制御回路30Nに対して、深いオフバイアスVnegと浅いオフバイアスVsとのタイミング調整を図ることで、より好適な電力用半導体素子の動作を実現できる。
実施の形態6において、外部駆動信号IN1と外部駆動信号IN2とは、例えばフォトカプラや絶縁トランスといった絶縁用素子、もしくはゲート電圧制御回路20Pとゲート電圧制御回路20N、及びオフバイアス電圧制御回路30Pとオフバイアス電圧制御回路30Nとの内部に、十分な絶縁耐量をもつアイソレーション素子を備える。アイソレーション素子は複数入力、複数出力のアイソレーターICでもよく、そのような構成の際にはゲート電圧制御回路20Pとオフバイアス電圧制御回路30Pとの絶縁処理は共通化できる。
ゲート駆動回路100Pに供給する正電圧源Vdd_Pは必ず絶縁電源で構成され、正電圧源Vdd_Pの電位は、接地電位に対してフローティング電位である。また、ゲート駆動回路100Pの内部に備える深いオフバイアスVneg_P及び、浅いオフバイアスVs_Pについても、接地電位に対してフローティング電位である。正電圧源Vdd_Pはフローティング電源なので、例えば三端子レギュレータで任意の電位を作り出し、適切な深いオフバイアスVneg_P及び、浅いオフバイアスVs_Pを生成してもよい。
このような構成を満たすことで、ハーフブリッジ回路において上側アームに相当する電力用半導体素子10Pを、一体型駆動回路102に含まれるゲート駆動回路100Pにより、電気的に安全に動作させることが可能となる。
本例においては、ハーフブリッジ回路の構成について説明するが、例えば電力用半導体素子が6in1にパッケージ化された三相インバータ用のパワーモジュールに対しても実施の形態5に従う方法は適用可能である。
実施の形態6に従う構成は、電力変換装置のハーフブリッジ回路における上下アーム素子を駆動するため、上下アームそれぞれの駆動回路を一体とした一体型駆動回路102を備えた。その結果、外部駆動信号の余計な追加、複雑な処置を必要とせずに上アーム素子の電力用半導体素子10Pおよび下アーム素子の電力用半導体素子10Nを簡易な回路構成による駆動が実現できる。
実施の形態7.
実施の形態7は、上述した実施の形態にかかる電力変換装置を電力変換システムに適用したものである。本開示は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態7として、三相のインバータに本開示を適用した場合について説明する。
実施の形態7は、上述した実施の形態にかかる電力変換装置を電力変換システムに適用したものである。本開示は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態7として、三相のインバータに本開示を適用した場合について説明する。
図11は、実施の形態7に従う電力変換システムの構成を示すブロック図である。
図11を参照して、実施の形態7に従う電力変換システムは、電源1000と、電力変換装置1001と、負荷1004とを含む。電源1000は、直流電源であり、電力変換装置1001に直流電力を供給する。電源1000は種々のもので構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成することができるし、交流系統に接続された整流回路やAC/DCコンバータで構成することとしてもよい。また、電源1000を、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成することとしてもよい。
図11を参照して、実施の形態7に従う電力変換システムは、電源1000と、電力変換装置1001と、負荷1004とを含む。電源1000は、直流電源であり、電力変換装置1001に直流電力を供給する。電源1000は種々のもので構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成することができるし、交流系統に接続された整流回路やAC/DCコンバータで構成することとしてもよい。また、電源1000を、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成することとしてもよい。
電力変換装置1001は、電源1000と負荷1004と間に接続された三相のインバータであり、電源1000から供給された直流電力を交流電力に変換し、負荷1004に交流電力を供給する。電力変換装置1001は、直流電力を交流電力に変換して出力する主変換回路1002と、主変換回路1002を制御する制御信号を主変換回路1002に出力する制御回路1003とを含む。
負荷1004は、電力変換装置1001から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷1004は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機であり、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、鉄道車両、エレベーター、もしくは、空調機器向けの電動機として用いられる。
以下、電力変換装置1001の詳細を説明する。主変換回路1002は、電力用半導体素子と還流ダイオードを備えており(図示せず)、電力用半導体素子がスイッチングすることによって、電源1000から供給される直流電力を交流電力に変換し、負荷1004に供給する。
主変換回路1002の具体的な回路構成は種々のものがあるが、実施の形態にかかる主変換回路1002は2レベルの三相フルブリッジ回路であり、6つの電力用半導体素子とそれぞれの電力用半導体素子に逆並列された6つの還流ダイオードから構成することができる。6つの電力用半導体素子は2つの電力用半導体素子ごとに直列接続され上下アームを構成し、各上下アームはフルブリッジ回路の各相(U相、V相、W相)を構成する。そして、各上下アームの出力端子、すなわち主変換回路1002の3つの出力端子は、負荷1004に接続される。
主変換回路1002は、各電力用半導体素子を駆動する実施の形態1~6で説明したゲート駆動回路を適用することが可能である。
ゲート駆動回路は、主変換回路1002の電力用半導体素子を駆動するゲート制御信号を生成し、主変換回路1002の電力用半導体素子の制御電極に供給する。具体的には、制御回路1003は、電力用半導体素子をオン状態にする外部駆動信号と電力用半導体素子をオフ状態にする外部駆動信号とを各電力用半導体素子の制御電極に出力する。スイッチング素子をオン状態に維持する場合、外部駆動信号は電力用半導体素子の閾値電圧以上の電圧信号(オン信号)であり、スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、外部駆動信号は電力用半導体素子の閾値電圧以下の電圧信号(オフ信号)となる。
制御回路1003は、負荷1004に所望の電力が供給されるよう主変換回路1002の電力用半導体素子を制御する。具体的には、負荷1004に供給すべき電力に基づいて主変換回路1002の各電力用半導体素子がオン状態となるべき時間(オン時間)を算出する。例えば、出力すべき電圧に応じて電力用半導体素子のオン時間を変調するPWM制御によって主変換回路1002を制御することができる。そして、各時点においてオン状態となるべき電力用半導体素子にはオン信号を、オフ状態となるべき電力用半導体素子にはオフ信号が出力されるよう、主変換回路1002が備えるゲート駆動回路に制御指令(外部駆動信号)を出力する。
実施の形態に従う電力変換装置では、主変換回路1002を構成する上記で説明したゲート駆動回路を適用するため、信頼性の向上を図ることが可能である。
本実施の形態では、2レベルの三相インバータに本開示を適用する例を説明したが、本開示は、これに限られるものではなく、種々の電力変換装置に適用することができる。本実施の形態では、2レベルの電力変換装置としたが3レベルやマルチレベルの電力変換装置であっても構わないし、単相負荷に電力を供給する場合には単相のインバータに本開示を適用しても構わない。また、直流負荷等に電力を供給する場合にはDC/DCコンバータやAC/DCコンバータに本開示を適用することも可能である。
また、本開示を適用した電力変換装置は、上述した負荷が電動機の場合に限定されるものではなく、例えば、放電加工機やレーザー加工機、又は誘導加熱調理器や非接触給電システムの電源装置として用いることもでき、さらには太陽光発電システムや蓄電システム等のパワーコンディショナーとして用いることも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。さらに、複数の実施の形態を好適に組み合わせることも問題無いことは言うまでもなく、実施の形態ごとの効果をより高めることで、電力変換装置の効率的かつ、経済的な活用をするのが望ましい。
本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,10N,10P 電力用半導体素子、20,20N,20P ゲート電圧制御回路、21 第1制御回路、22 第1切替回路、30,30N,30P オフバイアス電圧制御回路、31 第2制御回路、32 第2切替回路、40 ゲート抵抗制御回路、41 ゲート抵抗、42 バイパス用スイッチング素子、100,100N,100P,101 ゲート駆動回路、102 一体型駆動回路、1000 電源、1001 電力変換装置、1002 主変換回路、1003 制御回路、1004 負荷。
Claims (10)
- 第1の駆動信号に従って電力用半導体素子のゲート端子にオンバイアスおよびオフバイアスを印加するゲート電圧制御回路と、
前記第1の駆動信号および第2の駆動信号に従ってオフバイアスの電圧レベルを変更し、変更したオフバイアスの印加期間を制御するオフバイアス電圧制御回路とを備える、半導体装置。 - 前記オフバイアス電圧制御回路は、
前記オフバイアスを印加する期間のうち前記第1の駆動信号に従う第1の期間、前記オフバイアスの電圧レベルを変更し、
前記オフバイアスを印加する期間のうち前記第2の駆動信号に従う第2の期間、前記オフバイアスの電圧レベルを変更する、請求項1記載の半導体装置。 - 前記第2の駆動信号は、前記電力用半導体素子と直列に接続された対向アーム側の電力用半導体素子のゲート端子にオンバイアスおよびオフバイアスを印加するための制御信号であり、
前記第2の期間は、デッドタイム期間後の前記対向アーム側の電力用半導体素子のターンオン動作完了期間を含む、請求項2記載の半導体装置。 - 前記オフバイアス電圧制御回路は、前記第1および第2の駆動信号に従って第1のオフバイアスを前記第1のオフバイアスよりも低い第2のオフバイアスに設定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
- 前記電力用半導体素子と前記ゲート電圧制御回路との間に設けられ、前記電力用半導体素子のゲート抵抗を制御するゲート抵抗制御回路をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
- 前記ゲート抵抗制御回路は、前記オフバイアスの電圧レベルを変更する際に前記ゲート抵抗を制御する、請求項5記載の半導体装置。
- 前記ゲート抵抗制御回路は、前記オフバイアスの電圧レベルを変更する前は前記ゲート抵抗を大きく設定し、前記オフバイアスの電圧レベルを変更する際に前記ゲート抵抗を小さく設定する、請求項6記載の半導体装置。
- 前記ゲート抵抗制御回路は、
前記電力用半導体素子と前記ゲート電圧制御回路との間に設けられる抵抗素子と、
前記抵抗素子をバイパスするバイパス回路とを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の半導体装置。 - 前記オフバイアス電圧制御回路は、
前記第1の駆動信号を遅延する第1の遅延回路と、
前記第2の駆動信号を遅延する第2の遅延回路と、
前記第1の遅延回路の遅延信号と、前記第2の遅延回路の遅延信号との組み合わせに基づいて切替信号を生成する論理回路と、
前記切替信号に基づいてオフバイアスの電圧レベルを変更する切替回路とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置。 - 第1の電力用半導体素子と、
前記第1の電力用半導体素子と直列に接続された対向アーム側に設けられる第2の電力用半導体素子と、
前記第1および第2の電力用半導体素子にそれぞれ対応して設けられ、第1および第2の駆動信号に従って対応する電力用半導体素子を駆動する第1および第2のゲート駆動回路とを備え、
各前記ゲート駆動回路は、
対応する駆動信号に従って電力用半導体素子のゲート端子にオンバイアスおよびオフバイアスを印加するゲート電圧制御回路と、
前記第1および第2の駆動信号に従ってオフバイアスの電圧レベルを変更し、変更したオフバイアスの印加期間を制御するオフバイアス電圧制御回路とを含む、電力変換装置。
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PCT/JP2022/028435 WO2024018612A1 (ja) | 2022-07-22 | 2022-07-22 | 半導体装置および電力変換装置 |
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Citations (3)
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---|---|---|---|---|
JP2004015974A (ja) * | 2002-06-11 | 2004-01-15 | Tdk Corp | スイッチング電源装置 |
JP2015012624A (ja) * | 2013-06-26 | 2015-01-19 | 株式会社デンソー | 駆動回路 |
JP2020182334A (ja) * | 2019-04-25 | 2020-11-05 | 株式会社デンソー | 駆動回路 |
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2022
- 2022-07-22 WO PCT/JP2022/028435 patent/WO2024018612A1/ja unknown
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