以下で、実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
以下、図中の矢印Fは、前2輪リーン車両1の前方向を示す。図中の矢印Bは、前2輪リーン車両1の後方向を示す。図中の矢印Uは、前2輪リーン車両1の上方向を示す。図中の矢印Dは、前2輪リーン車両1の下方向を示す。図中の矢印Rは、前2輪リーン車両1の右方向を示す。図中の矢印Lは、前2輪リーン車両1の左方向を示す。また、前2輪リーン車両1の前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、前2輪リーン車両1を運転する運転者から見た場合に、前2輪リーン車両1を基準とした前後左右、左右方向及び上下方向を意味する。
本実施形態の前2輪リーン車両1は、鉛直方向に対して車体フレームを左右方向に傾斜させて旋回する。そのため、上述の車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向を以下のように定める。図中の矢印FFは、車体フレームの前方向を示す。図中の矢印FBは、車体フレームの後方向を示す。図中の矢印FUは、車体フレームの上方向を示す。図中の矢印FDは、車体フレームの下方向を示す。図中の矢印FRは、車体フレームの右方向を示す。図中の矢印FLは、車体フレームの左方向を示す。また、車体フレームの前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、前2輪リーン車両を運転する運転者から見た場合に、車体フレームを基準とした前後方向、左右方向及び上下方向を意味する。
(全体構成)
図1は、実施形態に係る前2輪リーン車両1の全体構成の概略を示す左側面図である。また、図1は、前2輪リーン車両1において、車体カバーを外した状態を示す左側面図である。前2輪リーン車両1は、車両本体2と、左右一対の前輪3と、後輪4と、リンク機構5と、操舵機構6と、荷重伝達機構8と、規制機構9と、前輪ブレーキ機構11と、後輪ブレーキ機構12と、ハンドル調整機構13と、メータ14と、スロットル装置15(図2参照)と、連動機構16(図9参照)と、ロック機構17と、コントローラ18とを備えている。すなわち、この実施形態における前2輪リーン車両1は、左右一対の前輪3を有する三輪車である。また、前2輪リーン車両1は、左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜する車両である。
車両本体2は、車体フレーム21と、パワーユニット22とを備えている。図1において、車体フレーム21は直立状態である。以下の説明において、図1を参照する場合には、車体フレーム21は直立状態を前提としている。なお、車体フレーム21が直立状態とは、車体フレーム21の上下方向が鉛直方向と同じ状態を意味する。
車体フレーム21は、パワーユニット22等を支持している。車体フレーム21は、ヘッドパイプ211(リンク支持部)と、メインフレーム212とを備えている。
ヘッドパイプ211は、前2輪リーン車両1の前部に位置する。前2輪リーン車両1を左から見て、ヘッドパイプ211の上部は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211の下部よりも後ろに位置する。ヘッドパイプ211の周囲には、リンク機構5が配置されている。ヘッドパイプ211には、後述のステアリングシャフト652が回転可能に挿入されている。
メインフレーム212は、ヘッドパイプ211に接続されている。メインフレーム212は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211よりも後ろに位置する。メインフレーム212は、パワーユニット22を支持している。メインフレーム212の後端部は、後輪4を、車輪軸41を中心として回転可能に支持している。
メインフレーム212は、アッパーフレーム213と、アンダーフレーム214とを備えている。
アッパーフレーム213は、車体フレーム21を左から見て、ヘッドパイプ211から後輪4に向かって、車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。アッパーフレーム213の後端部は、後述のアンダーフレーム後部214bとともに、後輪4を支持する。パワーユニット22は、アッパーフレーム213に支持されている。
アンダーフレーム214は、アンダーフレーム前部214aと、アンダーフレーム後部214bとを有する。アンダーフレーム前部214aは、車体フレーム21を左から見て、ヘッドパイプ211から車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。アンダーフレーム前部214aの前端部は、ヘッドパイプ211に接続されている。アンダーフレーム後部214bは、車体フレーム21の前後方向において、アンダーフレーム前部214aの後端部から後ろに延びている。アンダーフレーム後部214bの後端部は、アッパーフレーム213とともに、後輪4を支持する。
このように、メインフレーム212がアッパーフレーム213及びアンダーフレーム214を有することにより、メインフレーム212の強度及び剛性を向上することができる。なお、メインフレームにおける車体フレームの上下方向の高さをより低くする場合には、メインフレームはアンダーフレームのみを有していてもよい。
図2は、前2輪リーン車両1の前部を前方から見た正面図である。また、図2は、前2輪リーン車両1において、車体カバーを外した状態を示す正面図である。図2において、車体フレーム21は、直立状態である。以下の説明において、図2を参照する場合には、車体フレーム21は直立状態を前提としている。
図1及び図2に示すように、左右一対の前輪3は、車体フレーム21の上下方向において、ヘッドパイプ211及びリンク機構5よりも下に位置する。図2に示すように、左右一対の前輪3は、後述する左懸架部61及び右懸架部62によって、支持されている。
左右一対の前輪3には、それぞれ、前輪ブレーキ機構11によって制動力が付与される。図2に示すように、前輪ブレーキ機構11は、前輪ブレーキディスク111と、前輪ブレーキキャリパ112と、前輪ブレーキホース(図示省略)と、前輪ブレーキレバー114とを有する。
前輪ブレーキディスク111は、円盤状の部材であり、前輪3とともに回転する。前輪ブレーキキャリパ112は、左懸架部61及び右懸架部62にそれぞれ取り付けられている。前輪ブレーキキャリパ112は、前記前輪ブレーキホース内の油圧を変えることによって動作する。前記前輪ブレーキホース内の油圧は、ハンドルバー651に設けられた前輪ブレーキレバー114の操作に応じて変化する。よって、前輪ブレーキキャリパ112は、前輪ブレーキレバー114の操作に応じて、前輪ブレーキディスク111を厚み方向に挟みこんで前輪ブレーキディスク111に摩擦力を与える。
上述のように、左右一対の前輪3に設けられた前輪ブレーキキャリパ112が油圧によって駆動するため、前輪ブレーキキャリパ112に対して前記前輪ブレーキホースが延びる方向を自由に変更することができる。よって、前輪ブレーキキャリパ112のレイアウトの自由度を確保できる。
図1に示すように、後輪4は、車体フレーム21の前後方向において、左右一対の前輪3よりも後ろに位置する。後輪4には、後輪ブレーキ機構12によって制動力が付与される。
後輪ブレーキ機構12は、後輪ブレーキディスク121と、後輪ブレーキキャリパ122と、後輪ブレーキワイヤ123と、後輪ブレーキレバー124(図2参照)とを有する。
後輪ブレーキディスク121は、円盤状の部材であり、後輪4とともに回転する。後輪ブレーキキャリパ122は、メインフレーム212の後端部に取り付けられている。後輪ブレーキキャリパ122は、後輪ブレーキワイヤ123を介して後輪ブレーキレバー124の操作が伝達されることによって動作する。よって、後輪ブレーキキャリパ122は、後輪ブレーキレバー124の操作に応じて、後輪ブレーキディスク121を厚み方向に挟みこんで後輪ブレーキディスク121に摩擦力を与える。
後輪4は、ロック機構17によって回転を規制可能である。このロック機構17は、図3に示すように、ロック状態で後輪4が貫通するリング部171と、リング部171を周方向に回転可能に保持しつつ、ロック状態でリング部171を固定する固定部172とを有する。すなわち、ロック機構17は、いわゆるリング式のロック機構である。
本実施形態では、固定部172は、ロック状態では、ソレノイドによってリング部171の移動を規制する。後述するメータ14の電源操作部142で電源がON状態になった際に、固定部172のソレノイドが駆動することによりリング部171のロックを解除する。なお、固定部172によってリング部171を固定する際には、手動でリング部171を周方向に回転させて固定部172の固定位置まで移動させる。
車体フレーム21の上下方向において、後輪4の上には、リアフェンダー42が位置する。リアフェンダー42は、メインフレーム212に固定されている。リアフェンダー42は、メインフレーム212から車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における上に延びている。
なお、リアフェンダーは、支柱によって車輪軸41に固定されていてもよい。リアフェンダーは、支柱によってメインフレーム212に固定されていてもよい。リアフェンダーは、車輪軸41及びメインフレーム212の両方に固定されていてもよい。リアフェンダーは、車体フレーム21の前後方向において、前部と後部とに分離されていてもよい。この場合、リアフェンダーの前部は、メインフレーム212等に固定される。リアフェンダーの後部は、車輪軸41等に固定される。また、リアフェンダーにテールライトが一体で設けられていてもよい。
パワーユニット22は、前2輪リーン車両1を走行させる駆動力を発生する。図1に示すように、パワーユニット22は、車体フレーム21の前後方向において、後輪4の車輪軸41よりも前に位置する。パワーユニット22は、車体フレーム21に固定されている。パワーユニット22は、図示しないモータ及びバッテリ221を含む。本実施形態では、前記モータは、後輪4のホイール4a内に配置されている。前記モータには、車体フレーム21のアッパーフレーム213に固定されたバッテリ221から電力が供給される。
図2に示すように、左右一対の前輪3は、左前輪31と、右前輪32とを含む。左前輪31は、車体フレーム21の左右方向において、車体フレーム21の一部であるヘッドパイプ211よりも左に位置する。右前輪32は、車体フレーム21の左右方向において、ヘッドパイプ211よりも右に位置する。すなわち、左前輪31及び右前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並んで位置する。
図2に示すように、左前輪31は、左懸架部61に接続されている。詳しくは、左前輪31は、左懸架部61の下部に接続されている。左前輪31は、左懸架部61に、左車軸311を中心として回転可能に支持されている。左車軸311は、左懸架部61の下部に、車体フレーム21の左右方向に延びるように配置されている。
右前輪32は、右懸架部62に接続されている。詳しくは、右前輪32は、右懸架部62の下部に接続されている。右前輪32は、右懸架部62に、右車軸321を中心として回転可能に支持されている。右車軸321は、右懸架部62の下部に、車体フレーム21の左右方向に延びるように配置されている。
車体フレーム21の上下方向において、左前輪31の上には、左フロントフェンダー33が位置する。車体フレーム21の上下方向において、右前輪32の上には、右フロントフェンダー34が位置する。左フロントフェンダー33は、左前輪31の左車軸311に固定されている。右フロントフェンダー34は、右前輪32の右車軸321に固定されている。
なお、左フロントフェンダーは、後述する左懸架部61に固定されていてもよい。左フロントフェンダーは、支柱によって左車軸311または左懸架部61に固定されていてもよい。左フロントフェンダーは、後述の荷重伝達機構8における左足載置部811または左連結部材812に固定されていてもよい。左フロントフェンダーは、車体フレーム21の前後方向において、前部と後部とに分離されていてもよい。この場合、左フロントフェンダーの前部は、後述する操舵機構6の左ブラケット63等に固定される。左フロントフェンダーの後部は、左足載置部811または左連結部材812に固定されてもよいし、支柱によって左車軸311または左懸架部61に固定されてもよい。
右フロントフェンダーは、後述する右懸架部62に固定されていてもよい。右フロントフェンダーは、支柱によって右車軸321または右懸架部62に固定されていてもよい。右フロントフェンダーは、後述の荷重伝達機構8における右足載置部821または右連結部材822に固定されていてもよい。右フロントフェンダーは、車体フレーム21の前後方向において、前部と後部とに分離されていてもよい。この場合、右フロントフェンダーの前部は、後述する操舵機構6の右ブラケット64等に固定される。右フロントフェンダーの後部は、右足載置部821または右連結部材822に固定されてもよいし、支柱によって右車軸321または右懸架部62に固定されてもよい。
図3は、車体フレーム21の上下方向において、前2輪リーン車両1を上から見た上面図である。図4は、リンク機構5を拡大して示す斜視図である。図3及び図4において、車体フレーム21は直立状態である。以下の説明において、図3及び図4を参照する場合には、車体フレーム21は直立状態を前提としている。
リンク機構5は、平行四節リンク(パラレログラムリンクとも呼ばれる)方式のリンク機構である。
図2に示すように、リンク機構5は、車体フレーム21の上下方向において、ハンドルバー651よりも下に位置する。リンク機構5は、車体フレーム21の上下方向において、左前輪31及び右前輪32よりも上に位置する。
リンク機構5は、上クロス部材51と、下クロス部材52と、左サイド部材53と、右サイド部材54とを含む。リンク機構5は、ハンドルバー651の操作に伴うステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zを中心とする回転に対して連動しない。すなわち、リンク機構5は、中間操舵軸線Zを中心として、車体フレーム21に対して回転しない。
図1に示すように、上クロス部材51は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211よりも後ろに位置する。図2に示すように、上クロス部材51は、車体フレーム21の左右方向に延びている。
図1及び図2に示すように、下クロス部材52は、車体フレーム21の上下方向において、上クロス部材51よりも下に位置する。下クロス部材52は、前下クロス部521(前クロス部)と、後下クロス部522(後クロス部)と、下クロス連結部523,524(図3参照)とを含む。
図1に示すように、前下クロス部521は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211よりも前に位置する。後下クロス部522は、車体フレーム21の前後方向において、ヘッドパイプ211よりも後ろに位置する。前下クロス部521及び後下クロス部522は、それぞれ、車体フレーム21の左右方向に延びている。
図3及び図4に示すように、下クロス連結部523,524は、それぞれ、前下クロス部521と後下クロス部522とを、車体フレーム21の前後方向に連結する。詳しくは、下クロス連結部523は、前下クロス部521と後下クロス部522とを、車体フレーム21の左右方向におけるヘッドパイプ211と左サイド部材53との間の位置で連結する。下クロス連結部524は、前下クロス部521と後下クロス部522とを、車体フレーム21の左右方向におけるヘッドパイプ211と右サイド部材54との間の位置で連結する。
下クロス部材52において、前下クロス部521、後下クロス部522及び下クロス連結部523,524は、一体で形成されている。
以上の構成により、図4に示すように、下クロス部材52は、下クロス連結部523,524の間に、ヘッドパイプ211が貫通する貫通孔52aを有する。また、下クロス部材52は、車体フレーム21の左右方向において、左端部に、左サイド部材53が位置する左切り欠き部52bを有し、右端部に、右サイド部材54が位置する右切り欠き部52cを有する。
図2及び図3に示すように、左サイド部材53は、車体フレーム21の左右方向において、ヘッドパイプ211の左に位置する。左サイド部材53は、車体フレーム21の上下方向において、左前輪31よりも上に位置する。左サイド部材53は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。左サイド部材53は、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。左サイド部材53の上部は、車体フレーム21の前後方向において、左サイド部材53の下部よりも後ろに位置する。
右サイド部材54は、車体フレーム21の左右方向において、ヘッドパイプ211の右に位置する。右サイド部材54は、車体フレーム21の上下方向において、右前輪32よりも上に位置する。右サイド部材54は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。右サイド部材54は、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。右サイド部材54の上部は、車体フレーム21の前後方向において、右サイド部材54の下部よりも後ろに位置する。
図4に示すように、ヘッドパイプ211は、上中間連結部211aと、下中間連結部211bとを有する。
上クロス部材51の中間部は、上中間連結部211aを介してヘッドパイプ211に回転可能に連結されている。すなわち、上クロス部材51は、上中間連結部211aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上中間連結軸線UIを中心として、ヘッドパイプ211に対して回転可能である。
下クロス部材52の中間部は、下中間連結部211bを介してヘッドパイプ211に回転可能に連結されている。すなわち、下クロス部材52は、下中間連結部211bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下中間連結軸線DI(中間軸線)を中心として、ヘッドパイプ211に対して回転可能である。
左サイド部材53は、上左連結部53aと、下左連結部53bとを有する。
上クロス部材51の左端部は、上左連結部53aを介して左サイド部材53に回転可能に連結されている。すなわち、上クロス部材51は、上左連結部53aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上左連結軸線ULを中心として、左サイド部材53に対して回転可能である。
下クロス部材52の左端部は、下左連結部53bを介して左サイド部材53に回転可能に連結されている。すなわち、下クロス部材52は、下左連結部53bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下左連結軸線DL(左軸線)を中心として、左サイド部材53に対して回転可能である。
右サイド部材54は、上右連結部54aと、下右連結部54bとを有する。
上クロス部材51の右端部は、上右連結部54aを介して右サイド部材54に回転可能に連結されている。すなわち、上クロス部材51は、上右連結部54aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上右連結軸線URを中心として、右サイド部材54に対して回転可能である。
下クロス部材52の右端部は、下右連結部54bを介して右サイド部材54に回転可能に連結されている。すなわち、下クロス部材52は、下右連結部54bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下右連結軸線DR(右軸線)を中心として、右サイド部材54に対して回転可能である。
上中間連結軸線UI、上右連結軸線UR、上左連結軸線UL、下中間連結軸線DI、下右連結軸線DR及び下左連結軸線DLは、互いに平行に延びている。上中間連結軸線UI、上右連結軸線UR、上左連結軸線UL、下中間連結軸線DI、下右連結軸線DR及び下左連結軸線DLは、車体フレーム21の上下方向において、左前輪31及び右前輪32よりも上に位置する。
以上説明したように、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53及び右サイド部材54は、上クロス部材51と下クロス部材52とが相互に平行な姿勢を保ち、且つ、左サイド部材53と右サイド部材54とが相互に平行な姿勢を保つように、車体フレーム21に支持されている。
図2に示すように、操舵機構6は、左懸架部61と、右懸架部62と、左ブラケット63と、右ブラケット64と、操舵部材65と、操舵力伝達機構66とを含む。
左懸架部61は、リンク機構5に対して左前輪31を支持する。左懸架部61は、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。左懸架部61の下端部は、左前輪31を支持している。左懸架部61の上端部は、左ブラケット63に固定されている。
左ブラケット63は、その上部に図示しない左回転部材を有する。前記左回転部材は、リンク機構5の左サイド部材53の内部に位置し、左サイド部材53が延びる方向に延びている。前記左回転部材は、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として回転可能である。すなわち、左ブラケット63は、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として回転可能である。左操舵軸線Xは、左サイド部材53が延びる方向に延びている。
図2に示すように、左操舵軸線Xは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。
右ブラケット64は、その上部に図示しない右回転部材を有する。前記右回転部材は、リンク機構5の右サイド部材54の内部に位置し、右サイド部材54が延びる方向に延びている。前記右回転部材は、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として回転可能である。すなわち、右ブラケット64は、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として回転可能である。右操舵軸線Yは、右サイド部材54が延びる方向に延びている。
右懸架部62は、リンク機構5に対して右前輪32を支持する。右懸架部62は、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。右懸架部62の下端部は、右前輪32を支持している。右懸架部62の上端部は、右ブラケット64に固定されている。
図2に示すように、右操舵軸線Yは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。
上述のような構成を有する前2輪リーン車両1のリンク機構5には、第1スペーサ101、第2スペーサ102及び第3スペーサ103が設けられている。
図4に示すように、リンク機構5には、下クロス部材52に対して、ヘッドパイプ211、左サイド部材53及び右サイド部材54が交差する部分に、それぞれ、第1スペーサ101、第2スペーサ102及び第3スペーサ103が設けられている。
図4に示すように、第1スペーサ101は、下クロス部材52とヘッドパイプ211との隙間内に位置するように、下クロス部材52の貫通孔52a内に位置し且つヘッドパイプ211に取り付けられている。すなわち、第1スペーサ101は、下クロス部材52の下クロス連結部523とヘッドパイプ211との隙間内、及び、下クロス部材52の下クロス連結部524とヘッドパイプ211との隙間内に位置する。第1スペーサ101は、球状の樹脂製部材である。ヘッドパイプ211は、第1スペーサ101を径方向に貫通している。
上述の第1スペーサ101により、ヘッドパイプ211と下クロス連結部523,524との隙間に異物が入るのを防止できる。
図4に示すように、第2スペーサ102は、下クロス部材52の下クロス連結部523と左サイド部材53との隙間内に位置するように、下クロス部材52の左切り欠き部52b内に位置し且つ左サイド部材53に取り付けられている。第2スペーサ102は、球状の樹脂製部材である。左サイド部材53は、第2スペーサ102を径方向に貫通している。
上述の第2スペーサ102により、左サイド部材53と下クロス連結部523との隙間に異物が入るのを防止できる。
図4に示すように、第3スペーサ103は、下クロス部材52の下クロス連結部524と右サイド部材54との隙間内に位置するように、下クロス部材52の右切り欠き部52c内に位置し且つ右サイド部材54に取り付けられている。第3スペーサ103は、球状の樹脂製部材である。右サイド部材54は、第3スペーサ103を径方向に貫通している。
上述の第3スペーサ103により、右サイド部材54と下クロス連結部524との隙間に異物が入るのを防止できる。
操舵部材65は、ハンドルバー651と、ステアリングシャフト652とを含む。
ハンドルバー651は、車体フレーム21の左右方向に延びる棒状の部材である。車体フレーム21の左右方向において、ハンドルバー651の中央部が、ステアリングシャフト652の上部に接続されている。ハンドルバー651は、車体フレーム21の左右方向における左端部及び右端部に、それぞれ、運転者が把持する把持部651aを有する。ハンドルバー651が、前2輪リーン車両1のハンドルである。
ステアリングシャフト652は、その一部がヘッドパイプ211に回転可能に支持されている。図1に示すように、ステアリングシャフト652の上部は、車体フレーム21の前後方向において、ステアリングシャフト652の下部よりも後方に位置する。したがって、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zが延びる方向は、前2輪リーン車両1の上下方向に対して、車体フレーム21の前後方向に傾斜している。ステアリングシャフト652は、運転者によるハンドルバー651の操作に応じて、中間操舵軸線Zを中心として回転する。
ステアリングシャフト652の詳しい構成については、後述する。
次に、図2、図3を用いて、操舵機構6の操舵力伝達機構66について説明する。
操舵力伝達機構66は、運転者がハンドルバー651を操作した際の操舵力を、左ブラケット63及び右ブラケット64に伝達する。図3に示すように、操舵力伝達機構66は、中間伝達プレート663と、左伝達プレート664と、右伝達プレート665と、中間ジョイント666と、左ジョイント667と、右ジョイント668と、タイロッド669とを含む。
中間伝達プレート663は、ステアリングシャフト652の下部に接続されている。中間伝達プレート663は、ステアリングシャフト652に対して相対回転不能である。したがって、中間伝達プレート663は、ステアリングシャフト652とともに、ヘッドパイプ211に対して、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zを中心として回転可能である。
左伝達プレート664は、車体フレーム21の左右方向において、中間伝達プレート663の左に位置する。左伝達プレート664は、左ブラケット63の下部に接続されている。左伝達プレート664は、左ブラケット63に対して相対回転不能である。したがって、左伝達プレート664は、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として回転可能である。
右伝達プレート665は、車体フレーム21の左右方向において、中間伝達プレート663の右に位置する。右伝達プレート665は、右ブラケット64の下部に接続されている。右伝達プレート665は、右ブラケット64に対して相対回転不能である。したがって、右伝達プレート665は、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として回転可能である。
図3に示すように、中間ジョイント666は、車体フレーム21の上下方向に延びる中間ジョイント操舵軸部を介して中間伝達プレート663の前部に連結されている。中間伝達プレート663及び中間ジョイント666は、前記中間ジョイント操舵軸部を中心として相対回転可能である。
左ジョイント667は、車体フレーム21の左右方向において、中間ジョイント666よりも左に位置する。左ジョイント667は、車体フレーム21の上下方向に延びる左ジョイント操舵軸部を介して左伝達プレート664の前部に連結されている。左伝達プレート664及び左ジョイント667は、前記左ジョイント操舵軸部を中心として相対回転可能である。
右ジョイント668は、車体フレーム21の左右方向において、中間ジョイント666よりも右に位置する。右ジョイント668は、車体フレームの上下方向に延びる右ジョイント操舵軸部を介して右伝達プレート665の前部に連結されている。右伝達プレート665及び右ジョイント668は、前記右ジョイント操舵軸部を中心として相対回転可能である。
中間ジョイント666の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる中間ジョイント回転軸部666aが設けられている。左ジョイント667の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる左ジョイント回転軸部667aが設けられている。右ジョイント668の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる右ジョイント回転軸部668aが設けられている。
タイロッド669は、車体フレーム21の左右方向に延びている。タイロッド669は、中間ジョイント回転軸部666a、左ジョイント回転軸部667a及び右ジョイント回転軸部668aを介して、中間ジョイント666、左ジョイント667及び右ジョイント668に連結されている。
なお、本実施形態では、タイロッド669は、上クロス部材51と同じ材料によって構成され且つ上クロス部材51と同じ形状である。タイロッドの形状は、上クロス部材と同じ形状でなくてもよい。タイロッドは、上クロス部材と異なる材料によって構成されていてもよい。すなわち、タイロッドは、必要な強度を確保できればどのような材料によって構成されていてもよいし、タイロッドの形状も、必要な強度を確保できればどのような形状であってもよい。
タイロッド669及び中間ジョイント666は、中間ジョイント666の前部に設けられた中間ジョイント回転軸部666aを中心として相対回転可能である。タイロッド669及び左ジョイント667は、左ジョイント667の前部に設けられた左ジョイント回転軸部667aを中心として相対回転可能である。タイロッド669及び右ジョイント668は、右ジョイント668の前部に設けられた右ジョイント回転軸部668aを中心として相対回転可能である。
左伝達プレート664は、左ジョイント667、タイロッド669及び中間ジョイント666を介して、中間伝達プレート663と連結されている。右伝達プレート665は、右ジョイント668、タイロッド669及び中間ジョイント666を介して、中間伝達プレート663と連結されている。左伝達プレート664及び右伝達プレート665は、左ジョイント667、タイロッド669及び右ジョイント668を介して、相互に連結されている。すなわち、タイロッド669は、中間伝達プレート663、左伝達プレート664及び右伝達プレート665を連結している。
次に、図3を参照しつつ、前2輪リーン車両1の操舵動作について説明する。
運転者がハンドルバー651を操作すると、ステアリングシャフト652(図2等参照)は、中間操舵軸線Zを中心としてヘッドパイプ211に対して回転する。左転舵の場合、ステアリングシャフト652は、矢印LTの方向に回転する。ステアリングシャフト652の回転に伴って、中間伝達プレート663は、ヘッドパイプ211に対して、中間操舵軸線Zを中心として矢印LTの方向へ回転する。
中間伝達プレート663の矢印LTの方向への回転に伴って、タイロッド669の中間ジョイント666は、中間伝達プレート663に対して、矢印RTの方向に回転する。これにより、タイロッド669は、その姿勢を維持したまま、車体フレーム21の左右方向における右且つ車体フレーム21の前後方向における後ろへ移動する。
上記のタイロッド669の移動に伴って、左ジョイント667及び右ジョイント668は、それぞれ左伝達プレート664及び右伝達プレート665に対して矢印RT方向に回転する。これにより、タイロッド669が姿勢を維持したまま、左伝達プレート664及び右伝達プレート665は、矢印LTの方向に回転する。
左伝達プレート664が矢印LTの方向に回転すると、左伝達プレート664に対して回転不能である左ブラケット63が、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として、矢印LTの方向に回転する。
右伝達プレート665が矢印LTの方向に回転すると、右伝達プレート665に対して回転不能である右ブラケット64が、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として、矢印LTの方向に回転する。
左ブラケット63が矢印LTの方向に回転すると、左ブラケット63に支持されている左懸架部61が、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として、矢印LTの方向に回転する。左懸架部61が矢印LTの方向に回転すると、左懸架部61に支持されている左前輪31が、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として、矢印LTの方向に回転する。
右ブラケット64が矢印LTの方向に回転すると、右ブラケット64に支持されている右懸架部62が、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として、矢印LTの方向に回転する。右懸架部62が矢印LTの方向に回転すると、右懸架部62に支持されている右前輪32が、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として、矢印LTの方向に回転する。
右転舵するように運転者がハンドルバー651を操作すると、上述した操舵機構6の各要素は、左転舵時とは逆方向に回転する。すなわち、操舵機構6の各要素の動きは、左転舵時と右転舵時とでは、左右の動きが逆になる点が異なる。よって、右転舵時の操舵機構6の動きに関する詳細な説明は省略する。
すなわち、操舵力伝達機構66は、操舵部材65の回転に応じて、左操舵軸線Xを中心として左懸架部61を操舵部材65の回転方向に回転させる。同様に、操舵力伝達機構66は、操舵部材65の回転に応じて、右操舵軸線Yを中心として右懸架部62を操舵部材65の回転方向に回転させる。これにより、操舵力伝達機構66は、運転者による操舵部材65の操作に応じて、操舵力を左前輪31及び右前輪32に伝達する。左前輪31及び右前輪32は、それぞれ、左操舵軸線X及び右操舵軸線Yを中心として、運転者による操舵部材65の操作方向に応じた方向に回転する。
次に、図2及び図6を参照して、前2輪リーン車両1の傾斜動作について説明する。図6は、車体フレーム21が左に傾斜した状態における前2輪リーン車両1の前部を、車体フレーム21の前から見た正面図である。
図2に示すように、直立状態における車体フレーム21の前から前2輪リーン車両1を見たとき、リンク機構5は長方形状である。図6に示すように、傾斜状態における車体フレーム21の前から前2輪リーン車両1を見たとき、リンク機構5は平行四辺形状である。リンク機構5の作動と車体フレーム21の左または右への傾斜とは連動する。
「リンク機構5の作動」とは、リンク機構5の形状が変化することを意味する。リンク機構5の形状変化は、リンク機構5を車体フレーム21の前から見て、上クロス部材51及び下クロス部材52がそれぞれ上中間連結軸線UI及び下中間連結軸線DIを中心としてヘッドパイプ211に対して回転し、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53及び右サイド部材54がそれぞれ上左連結軸線UL、上右連結軸線UR、下左連結軸線DL及び下右連結軸線DRを中心として回転することにより生じる。
例えば、図6に示すように、運転者が前2輪リーン車両1を左に傾斜させると、ヘッドパイプ211が鉛直方向に対して左に傾斜する。ヘッドパイプ211が左に傾斜すると、上クロス部材51は、上中間連結軸線UIを中心として、ヘッドパイプ211に対して、車体フレーム21の前から見て反時計回りに回転する。同様に、ヘッドパイプ211が左に傾斜すると、下クロス部材52は、下中間連結軸線DIを中心として、ヘッドパイプ211に対して、車体フレーム21の前から見て反時計回りに回転する。これにより、上クロス部材51は、下クロス部材52に対して、車体フレーム21の左右方向における左に移動する。
この移動により、上クロス部材51は、上左連結軸線UL及び上右連結軸線URを中心として、それぞれ左サイド部材53及び右サイド部材54に対して、車体フレーム21の前から見て反時計回りに回転する。同様に、下クロス部材52は、下左連結軸線DL及び下右連結軸線DRを中心として、それぞれ左サイド部材53及び右サイド部材54に対して、車体フレーム21の前から見て反時計回りに回転する。これにより、左サイド部材53及び右サイド部材54は、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、鉛直方向に対して前2輪リーン車両1の左に傾斜する。
このとき、下クロス部材52は、タイロッド669に対して、車体フレーム21の左右方向における左に移動する。この移動により、タイロッド669は、中間ジョイント666、左ジョイント667及び右ジョイント668に対し、それぞれ中間ジョイント回転軸部666a、左ジョイント回転軸部667a及び右ジョイント回転軸部668aを中心として回転する。これにより、タイロッド669は、上クロス部材51及び下クロス部材52に対して平行な姿勢を保つ。
前2輪リーン車両1の左右方向において、左サイド部材53の左への傾斜によって、左サイド部材53に支持されている左懸架部61は、左に傾斜する。この傾斜により、左懸架部61に支持されている左前輪31は、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、左に傾斜する。
前2輪リーン車両1の左右方向において、右サイド部材54の左への傾斜によって、右サイド部材54に支持されている右懸架部62は、左に傾斜する。この傾斜によって、右懸架部62に支持されている右前輪32が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、左に傾斜する。
上述の左前輪31及び右前輪32の傾斜動作に関する説明において、上下方向は、鉛直方向を基準としている。しかしながら、前2輪リーン車両1の傾斜動作時(リンク機構5の作動時)においては、車体フレーム21の上下方向と鉛直方向とは一致しない。車体フレーム21の上下方向を基準とした場合、リンク機構5の作動時において、左前輪31及び右前輪32は、車体フレーム21の上下方向における相対位置が変化している。換言すると、リンク機構5は、車体フレーム21の上下方向における左前輪31及び右前輪32の相対位置を変更することにより、鉛直方向に対して前2輪リーン車両1の左または右に車体フレーム21を傾斜させる。これにより、前2輪リーン車両1は左へ旋回する。
運転者が前2輪リーン車両1を右に傾斜させると、上述した前2輪リーン車両1の各要素は右に傾斜する。これにより、前2輪リーン車両1は右へ旋回する。前2輪リーン車両1の各要素の動きは、左傾斜時と右傾斜時とでは、左右の動きが逆になる点が異なる。よって、右傾斜時の前2輪リーン車両1の各要素の動きに関する詳細な説明は省略する。
図3及び図5に示すように、荷重伝達機構8は、左足荷重伝達部81と、右足荷重伝達部82と、左右連結部材83とを有する。
左足荷重伝達部81は、左足載置部811と、左連結部材812とを有する。
左足載置部811上には、起立した運転者の左足が載置される。左連結部材812は、左足載置部811とリンク機構5の左サイド部材53とを連結している。すなわち、左連結部材812は、左サイド部材53を含み且つリンク機構5においてヘッドパイプ211よりも車体フレーム21の左右方向における左に位置する、左部5aに連結されている。図1に示すように、左連結部材812は、左サイド部材53から車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。左連結部材812の後端部は、左足載置部811に連結されている。左足荷重伝達部81は、左足載置部811を通じて入力される運転者の荷重を、左サイド部材53を含むリンク機構5の左部5aに伝達可能に構成されている。
図3及び図5に示すように、右足荷重伝達部82は、右足載置部821と、右連結部材822とを有する。
右足載置部821上には、起立した運転者の右足が載置される。右連結部材822は、右足載置部821とリンク機構5の右サイド部材54とを連結している。すなわち、左連結部材812は、右サイド部材54を含み且つリンク機構5においてヘッドパイプ211よりも車体フレーム21の左右方向における右に位置する、右部5bに連結されている。右連結部材822は、右サイド部材54から車体フレーム21の前後方向における後ろ且つ車体フレーム21の上下方向における下に延びている。右連結部材822の後端部は、右足載置部821に接続されている。右足荷重伝達部82は、右足載置部821を通じて入力される運転者の荷重を、右サイド部材54を含むリンク機構5の右部5bに伝達可能に構成されている。
上述の構成により、運転者の左足を通じて左足載置部811に加えられる荷重と、当該運転者の右足を通じて右足載置部821に加えられる荷重とを個別に調整することにより、車体フレーム21の傾斜を制御できる。
例えば、図6及び図7に示すように車体フレーム21が前2輪リーン車両1の左に傾斜すると、車体フレーム21の上下方向において、左サイド部材53は、右サイド部材54よりも上に位置する。図7は、車体フレーム21が左に傾斜した状態における前2輪リーン車両1の前部を、車体フレーム21の後ろから見た背面図である。
左足で左足載置部811を通じて左サイド部材53に荷重を加えると、左サイド部材53に対して車体フレーム21の下方向に変位させる力が作用する。これにより、前2輪リーン車両1の左右方向において、車体フレーム21が左へ傾斜するのを抑制できる。
逆に、車体フレーム21が前2輪リーン車両1の右に傾斜すると、車体フレーム21の上下方向において、右サイド部材54は、左サイド部材53よりも上に位置する。右足で右足載置部821を通じて右サイド部材54に荷重を加えると、右サイド部材54に対して車体フレーム21の下方向に変位させる力が作用する。これにより、前2輪リーン車両1の左右方向において、車体フレーム21が右に傾斜するのを抑制できる。
車体フレーム21が直立状態から左または右に傾斜すると、左足載置部811の載置面に対する法線方向及び右足載置部821の載置面に対する法線方向が変化する。しかしながら、ヘッドパイプ211が延びている方向(中間操舵軸線Zが延びている方向)と左足載置部811の載置面及び右足載置部821の載置面とがなす角度は変化しない。すなわち、左足載置部811の載置面に対する法線方向及び右足載置部821の載置面に対する法線方向は、車体フレーム21の上下方向と常に同じである。
左右連結部材83は、左足載置部811と右足載置部821とを、車体フレーム21の下で車体フレーム21の左右方向に連結している。車体フレーム21の左右方向において、左右連結部材83の中央部は、車体フレーム21のアンダーフレーム214の下部に固定された回転支持部214cに、アンダーフレーム214を中心として回転可能に支持されている。よって、左右連結部材83は、車体フレーム21の上下方向において、左足載置部811及び右足載置部821の上下移動に応じて、上下方向に傾く。
これにより、左足載置部811及び右足載置部821は、左足載置部811への左足の荷重入力または右足載置部821への右足の荷重入力に応じて、連動して上下動する。よって、上述のような左足載置部811への左足の荷重入力または右足載置部821への右足の荷重入力によって、車体フレーム21の左または右の傾斜を容易に抑制できる。
図1、図2及び図8に示すように、規制機構9は、回転部91と、ストッパ部92と、リーンロックレバー93(図2参照)とを含む。図11は、規制機構9の回転部91及びストッパ部92を拡大して示す斜視図である。
回転部91は、車体フレーム21に対して相対変位する。ストッパ部92は、車体フレーム21に対して相対変位しない。
図2及び図8に示すように、回転部91は、円環の一部が切り欠かれた板部材であり、左足載置部811と右足載置部821とを連結する左右連結部材83に固定されている。詳しくは、図8に示すように、回転部91は、車体フレーム21のアンダーフレーム214及び回転支持部214cを上で跨いだ状態で、両端部が左右連結部材83に固定されている。回転支持部214cは、アンダーフレーム214に設けられ、左右連結部材83を回転可能に支持する。これにより、車体フレーム21に対して左足載置部811及び右足載置部821が車体フレーム21の上下方向に変位した場合に、左右連結部材83とともに回転部91も、回転支持部214cを中心として回転する。
このように、回転部91がアンダーフレーム214の上を跨ぐように配置されることにより、車体フレーム21を低くすることができるとともに、車体フレーム21の左右方向のサイズを小型化することができる。
ストッパ部92は、アンダーフレーム214に固定されている。ストッパ部92は、回転部91の厚み方向に挟み込むキャリパを含む。ストッパ部92は、ステアリングシャフト652に取り付けられたリーンロックレバー93のロック操作によって、回転部91を厚み方向に把持して回転部91に摩擦力を与えるように動作する。ストッパ部92は、リーンロックレバー93の解除操作を行うことにより、回転部91の把持を解除して回転部91に対する摩擦力をゼロまたは低減するように動作する。
ストッパ部92には、リーンロックワイヤ94(図2参照)を介してリーンロックレバー93の操作が入力される。すなわち、ストッパ部92には、リーンロックレバー93に繋がったリーンロックワイヤ94が接続されている。
上述のような構成を有する規制機構9によって、リーンロックレバー93の操作によって、前2輪リーン車両1の車体フレーム21が左または右に傾斜するのを規制することができる。
本実施形態では、リーンロックレバー93の操作によって、規制機構9のストッパ部92が作動するとともに、後輪ブレーキ機構12の後輪ブレーキキャリパ122も作動する。すなわち、リーンロックレバー93の操作によって、規制機構9及び後輪ブレーキ機構12を連動させることができる。
図9は、連動機構16の概略構成を模式的に示す図である。連動機構16は、第1イコライザ161と、第2イコライザ162とを有する。
リーンロックレバー93は、リーンロックワイヤ94及び第1イコライザ161を介してストッパ部92に接続されている。詳しくは、リーンロックワイヤ94は、第1リーンロックワイヤ941と、第2リーンロックワイヤ942とを有する。第1リーンロックワイヤ941は、リーンロックレバー93と第1イコライザ161とを接続する。第2リーンロックワイヤ942は、第1イコライザ161とストッパ部92とを接続する。第1イコライザ161は、第1リーンロックワイヤ941と第2リーンロックワイヤ942との間に位置する。第1リーンロックワイヤ941が第1イコライザ161から延びる方向と第2リーンロックワイヤ942が第1イコライザ161から延びる方向とは、逆方向である。
なお、第1リーンロックワイヤ941の延びる方向と第2リーンロックワイヤ942の延びる方向とが逆方向とは、第1リーンロックワイヤ941の延長線と第2リーンロックワイヤ942の延長線とが重なる場合だけでなく、第1リーンロックワイヤ941の延長線と第2リーンロックワイヤ942の延長線とが交差する場合も含む。第1リーンロックワイヤ941の延長線と第2リーンロックワイヤ942の延長線とが交差する角度は、45度以下が好ましい。
以上の構成により、リーンロックレバー93を操作すると、操作力は、第1リーンロックワイヤ941、第1イコライザ161及び第2リーンロックワイヤ942を介して、ストッパ部92に伝達される。
第1イコライザ161には、第2リーンロックワイヤ942と平行に、連動ブレーキワイヤ163が接続されている。すなわち、連動ブレーキワイヤ163が第1イコライザ161から延びる方向と第1リーンロックワイヤ941が第1イコライザ161から延びる方向とは、逆方向である。連動ブレーキワイヤ163は、第1イコライザ161と第2イコライザ162の第1接続部162aとを接続する。
これにより、リーンロックレバー93を操作した際に生じる操作力は、第1リーンロックワイヤ941、第1イコライザ161及び連動ブレーキワイヤ163を介して、第2イコライザ162に伝達される。
第2イコライザ162は、連動ブレーキワイヤ163に接続される第1接続部162aが位置付けられる第1長穴162bと、後述の第1後輪ブレーキワイヤ1231に接続される第2接続部162cが位置付けられる第2長穴162dとを有する。第1長穴162bの長手方向と第2長穴162dの長手方向とは、同じ方向である。なお、同じ方向とは、第1長穴162bの長手方向と第2長穴162dの長手方向とが平行の場合だけでなく、交差する場合も含む。
第1長穴162bは、連動ブレーキワイヤ163が第2イコライザ162から延びる方向に長い穴である。すなわち、第1接続部162aは、第1長穴162b内を、連動ブレーキワイヤ163が第2イコライザ162から延びる方向に移動可能である。
よって、連動ブレーキワイヤ163を第2イコライザ162に対して引っ張った場合には、連動ブレーキワイヤ163及び第1接続部162aを介して第2イコライザ162に力が伝達される。一方、第2イコライザ162が後述の第1後輪ブレーキワイヤ1231に引っ張られた場合には、第1長穴162b内を第1接続部162aが移動する。よって、連動ブレーキワイヤ163には力は伝達されない。
第2長穴162dは、第1後輪ブレーキワイヤ1231が第2イコライザ162から延びる方向に長い穴である。第2接続部162cは、第2長穴162d内を、第1後輪ブレーキワイヤ1231が第2イコライザ162から延びる方向に移動可能である。
よって、第1後輪ブレーキワイヤ1231を第2イコライザ162に対して引っ張った場合には、第1後輪ブレーキワイヤ1231及び第2接続部162cを介して第2イコライザ162に力が伝達される。一方、第2イコライザ162が連動ブレーキワイヤ163に引っ張られた場合には、第2接続部162cは第2長穴162d内を移動する。よって、第1後輪ブレーキワイヤ1231がたるむのを防止できる。
第2イコライザ162には、連動ブレーキワイヤ163と平行に、後輪ブレーキワイヤ123の第1後輪ブレーキワイヤ1231が接続されている。後輪ブレーキワイヤ123は、第1後輪ブレーキワイヤ1231と、第2後輪ブレーキワイヤ1232とを有する。第1後輪ブレーキワイヤ1231は、第2イコライザ162と後輪ブレーキレバー124とを接続する。第2後輪ブレーキワイヤ1232は、第2イコライザ162と後輪ブレーキキャリパ122とを接続する。第2後輪ブレーキワイヤ1232が第2イコライザ162から延びる方向と、連動ブレーキワイヤ163及び第1後輪ブレーキワイヤ1231が第2イコライザ162から延びる方向とは、逆方向である。
これにより、後輪ブレーキレバー124を操作した際に生じる操作力は、第1後輪ブレーキワイヤ1231、第2イコライザ162及び第2後輪ブレーキワイヤ1232を介して、後輪ブレーキキャリパ122に伝達される。このとき、連動ブレーキワイヤ163が接続された第1接続部162aは、第2イコライザ162の第1長穴162b内を移動するため、連動ブレーキワイヤ163には力は伝達されない。
リーンロックレバー93を操作した際に生じる操作力は、第1リーンロックワイヤ941、第1イコライザ161、連動ブレーキワイヤ163、第2イコライザ162及び第2後輪ブレーキワイヤ1232を介して、後輪ブレーキキャリパ122に伝達される。
以上の構成により、リーンロックレバー93の操作によって、規制機構9のストッパ部92及び後輪ブレーキ機構12の後輪ブレーキキャリパ122を連動させることができる。したがって、前2輪リーン車両1の左右の傾斜及び前後方向の移動を規制した状態で、運転者が前2輪リーン車両1に容易に乗り降りすることができる。
図1から図3、図5に示すように、ハンドルバー651には、メータ14が取り付けられている。メータ14は、前2輪リーン車両1の車両状態、バッテリ残量及び車速等を、運転者に表示する。本実施形態では、図10に示すように、メータ14は、円盤状の本体部141を有する。本体部141は、運転者に対向する位置に円形状の表示面141aを有する。
メータ14は、表示面141aに、電源操作部142と、車両状態表示部143と、バッテリ残量表示部144と、車速表示部145と、リーンロック表示部146とを有する。メータ14には、信号を送信するための信号線149が接続されている(後述の図13参照)。信号線149は、メータ14と後述のコントローラ18とを接続する。
電源操作部142は、運転者の携帯端末等と無線通信することにより、前2輪リーン車両1の電源をONまたはOFFする信号を、コントローラ18に出力する。電源操作部142は、メータ14の表示面141aの中央部に位置する。なお、電源操作部142は、ボタンスイッチであってもよい。
車両状態表示部143は、前2輪リーン車両1の車両状態を表示する。車両状態表示部143は、例えば、走行不可状態などの前2輪リーン車両1の異常状態を表示したり、走行可能だがメンテナンスが必要な場合等に運転者に警告を表示したりする。車両状態表示部143は、前記異常状態を例えば赤色で表示し、前記警告を黄色で表示する。このように、前2輪リーン車両1の車両状態を色で表示することにより、運転者が前2輪リーン車両1の車両状態を容易に把握することができる。車両状態表示部143は、電源操作部142を囲むように円形状に形成されている。
バッテリ残量表示部144は、前2輪リーン車両1のバッテリ221のバッテリ残量を表示する。バッテリ残量表示部144は、例えば、バッテリ221のバッテリ残量に応じて点灯する範囲を変えることにより、バッテリ221のバッテリ残量を表示する。このように、バッテリ残量表示部144がバッテリ221のバッテリ残量を数字ではなく点灯範囲によって表示することにより、運転者がバッテリ221のバッテリ残量を容易に把握することができる。バッテリ残量表示部144は、車両状態表示部143を囲むように円形状に形成されている。
車速表示部145は、前2輪リーン車両1の車速を表示する。車速表示部145は、例えば、前2輪リーン車両1の車速に応じて点灯する範囲を変えることにより、前2輪リーン車両1の車速を表示する。このように、車速表示部145が前2輪リーン車両1の車速を数字ではなく点灯範囲によって表示することにより、運転者が前2輪リーン車両1の車速を容易に把握することができる。車速表示部145は、バッテリ残量表示部144を囲むように円形状に形成されている。
リーンロック表示部146は、後述の規制機構9によって車体フレーム21の左または右の傾斜が規制された状態であるかどうかを表示する。リーンロック表示部146は、例えば、規制機構9によって車体フレーム21の左または右の傾斜が規制されている場合に、点灯する。
図2、図5、及び図11に示すように、ハンドルバー651には、運転者の指によって操作されるスロットル装置15が設けられている。図11に示すように、スロットル装置15は、スロットルレバー151と、スロットルレバー支持部152とを有する。
スロットルレバー151は、長手方向の両端部に第1端部及び第2端部を有する。スロットルレバー151の長手方向の第1端部は、スロットルレバー支持部152に、車体フレーム21の上下方向に延びる回転軸Pを中心として回転可能に支持されている。スロットルレバー151は、長手方向の第2端部に、運転者の指で押圧する押圧部151aを有する。
スロットルレバー支持部152は、スロットルレバー151の長手方向の第1端部を回転可能に支持するとともに、スロットルレバー151の回転角度をスロットル信号として出力する。スロットルレバー151には、信号線159が接続されている。信号線159は、スロットルレバー支持部152と後述のコントローラ18とを接続する。
スロットルレバー151の操作量は、スロットル信号として、信号線159を介して図示しないコントローラに送信される。前記コントローラは、前記スロットル信号に応じて、パワーユニット22を駆動させる。よって、スロットルレバー151の操作量に応じて、パワーユニット22を駆動させることができる。
このように、運転者の指によって操作可能なスロットルレバー151を有するスロットル装置15を用いて、パワーユニット22の駆動を制御することにより、スロットル操作の操作性を向上できる。
また、前2輪リーン車両1が前進だけでなく後進も可能な場合には、図12に示すように、スロットルレバー251の回転方向によって、スロットル装置から前進または後進のスロットル信号を容易に出力することができる。図12は、他のスロットルレバー251の一例を模式的に示す図である。
スロットルレバー251は、長手方向の第2端部に、第1押圧部251a及び第2押圧部251bを有する。第1押圧部251aは、車体フレーム21の前後方向において、第2押圧部251bよりも前に位置する。
運転者がスロットルレバー251の第2押圧部251bを前方に押して、スロットルレバー251を、車体フレーム21の上下方向に延びる回転軸Pを中心として車体フレーム21の前に向かって回転させた際(図12のb1方向に回転)には、スロットルレバー支持部252は、前進のスロットル信号を出力する。運転者がスロットルレバー251の第2押圧部251bを後ろに引いて、スロットルレバー251を、回転軸Pを中心として車体フレーム21の後ろに回転させた際(図12のb2方向に回転)には、スロットルレバー支持部252は、後進のスロットル信号を出力する。これにより、スロットルレバー251の操作によって、前2輪リーン車両1を容易に前進または後進させることができる。
なお、スロットルレバー251を、回転軸Pを中心として、車体フレーム21の後方に回転させた際に、スロットルレバー支持部252から回生ブレーキの信号を出力してもよい。なお、前記回生ブレーキの信号は、図示しないコントローラによってモータに回生運転を行わせる信号である。
コントローラ18は、前2輪リーン車両1の駆動を制御する。具体的には、コントローラ18は、前2輪リーン車両1の車両状態をメータ14に表示させるように、メータ14の表示を制御する。また、コントローラ18は、スロットルレバー151の操作に応じてスロットルレバー支持部152から出力されるスロットル信号に基づいて、パワーユニット22の駆動を制御する。また、コントローラ18は、ロック機構17等の駆動も制御する。
(ステアリングシャフト)
以下で、操舵部材のステアリングシャフト652の構成を、図1、図13から図15を用いて詳しく説明する。
図13は、ハンドルバー651の高さを変えた場合に、ステアリングシャフト652及びハンドルバー651を拡大して示す図である。図14は、ハンドルバー651の高さを変えた場合に、前2輪リーン車両1を前から見た正面図である。図15は、ハンドルバー651の高さを変えた場合に、前2輪リーン車両1を左から見た左側面図である。
図13から図15において、ハンドルバー651の高さを変えた場合のハンドルバー651及びステアリングシャフト652を一点鎖線で示す。また、図13から図15において、ハンドルバー651の高さを変える方向を白抜き矢印で示す。
図16は、運転者が大人の場合に、運転者の腕の回転範囲とハンドルバー651の位置との関係を模式的に示す左側面図である。図17は、運転者が子供の場合に、運転者の腕の回転範囲とハンドルバー651の位置との関係を模式的に示す左側面図である。図16及び図17において、運転者の腕の上下方向の回転範囲を一点鎖線の矢印で示す。
なお、図20にも、ハンドルバー651の高さを変えた場合の前2輪リーン車両1を示すが、図20に示す構成は、図14及び図15にそれぞれ示す構成と同様である。よって、図20の詳しい説明は省略する。
図13から図15に示すように、車体フレーム21を左から見て、車体フレーム21の上下方向において、ステアリングシャフト652は、中間部分で車体フレーム21の前に向かって折れ曲がっている。すなわち、ステアリングシャフト652のうち前記中間部分よりも上の部分は、車体フレーム21の上下方向に延びている。
具体的には、ステアリングシャフト652は、ステアリングシャフト下部652aと、ステアリングシャフト屈曲部652bと、ステアリングシャフト上部652cとを有する。
ステアリングシャフト下部652aは、一部がヘッドパイプ211に回転可能に支持されているとともに、ヘッドパイプ211から車体フレーム21の上下方向における上且つ車体フレーム21の前後方向における後ろに向かって延びている。すなわち、ステアリングシャフト下部652aは、車体フレーム21の前部に位置するヘッドパイプ211からヘッドパイプ211の延びる方向に延びている。ステアリングシャフト下部652aが延びる方向が、中間操舵軸線Zの軸線方向である。
ステアリングシャフト上部652cは、ステアリングシャフト下部652aの上端部から車体フレーム21の前後方向における前且つ車体フレーム21の上下方向における上に向かって延びている。ステアリングシャフト上部652cの上端部には、ハンドルバー651が接続されている。ハンドルバー651の把持部651aは、車体フレーム21を左から見て、中間操舵軸線Zの延長線に対して、距離Iに位置する。この距離Iは、車体フレーム21を左から見て、把持部651aの上端と中間操舵軸線Zの延長線との最短距離である。距離Iは、ステアリングシャフト652の回転軸線である中間操舵軸線Zに対するオフセット量である。
ステアリングシャフト屈曲部652bは、ステアリングシャフト下部652aの上端部とステアリングシャフト上部652cの下端部との間に位置する。すなわち、ステアリングシャフト屈曲部652bは、ステアリングシャフト下部652aに対して車体フレーム21の前後方向における前且つ車体フレーム21の上下方向における上に向かって屈曲する部分である。
また、ステアリングシャフト652は、ステアリングシャフト上部652cの一部を構成するインナーパイプ653と、ステアリングシャフト上部652cの残部、ステアリングシャフト屈曲部652b及びステアリングシャフト下部652aを構成するアウターパイプ654とを有する。
インナーパイプ653の上部は、ハンドルバー651に接続されている。インナーパイプ653の下部は、アウターパイプ654の上部内に位置する。図1及び図13に示すように、ステアリングシャフト下部652aを構成するアウターパイプ654の下部は、車体フレーム21を左から見て、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。ステアリングシャフト上部652cの残部を構成するアウターパイプ654の上部は、車体フレーム21を左から見て、車体フレーム21の上下方向に延びている。すなわち、アウターパイプ654の上部は、車体フレーム21を左から見て、アウターパイプ654の下部に対して車体フレーム21の前に向かって折れ曲がっている。アウターパイプ654の下部の一部は、ヘッドパイプ211に回転可能に支持されている。
インナーパイプ653とアウターパイプ654とは、アウターパイプ654内にインナーパイプ653の下部が位置付けられた状態で、固定部材131によって固定されている。この固定部材131は、アウターパイプ654の上端部に位置する。すなわち、固定部材131は、ステアリングシャフト上部652cに位置する。固定部材131は、アウターパイプ654の上端部に径方向に締め付け力を加えることにより、アウターパイプ654内でインナーパイプ653を保持する。
なお、固定部材131の構成は、ボルトの締結によって前記締め付け力を生じる構成であってもよいし、レバー操作によるてこの原理を利用して前記締め付け力を生じる構成であってもよい。すなわち、固定部材131は、アウターパイプ654に対してインナーパイプ653を固定可能であれば、どのような構成を有していてもよい。
上述の構成を有するステアリングシャフト652では、図13に示すように、インナーパイプ653の延びる方向において、アウターパイプ654に対するインナーパイプ653の位置を変えることにより、ステアリングシャフト上部652cの長さが変更可能である。すなわち、ステアリングシャフト652は、ステアリングシャフト上部652cをインナーパイプ653の延びる方向に伸縮させることにより、ハンドルバー651の位置を調整可能なハンドル調整機構13を有する。
このようにステアリングシャフト652がハンドル調整機構13を有することにより、図14に示すように、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32との中点Mからハンドルバー651の把持部651aまでの、車体フレーム21の上下方向における距離であるハンドル高さHを、変更することができる。なお、ハンドル高さHは、中点Mから把持部651aの上端までの、車体フレーム21の上下方向における距離である。中点Mは、前2輪リーン車両1が直立した状態で、車体フレーム21を前から見て左前輪31及び右前輪32の回転中心を結んだ線上で且つ車体フレーム21の左右方向における左前輪31のトレッド中心T1と右前輪32のトレッド中心T2とからそれぞれ等距離に位置する点である。
また、上述のようにステアリングシャフト652がハンドル調整機構13を有することにより、車体フレーム21の前後方向において、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zに対するハンドルバー651のオフセット量を変更できる。このオフセット量は、車体フレーム21を左から見て、把持部651aの上端と中間操舵軸線Zの延長線との距離Iである。
前2輪リーン車両1の停止時には、運転者は、ハンドルバー651を車体フレーム21の左右方向に移動させることによって、前2輪リーン車両1の左右方向のバランスをとる。ハンドルバー651の左右方向の移動は、ハンドル高さHに影響を受ける。そのため、ハンドル高さHを調整することにより、車両停止時においてハンドルバー651を左右方向に移動させる際のハンドルバー651の操作感を変えることができる。
また、前2輪リーン車両1が極低速で走行している際には、前2輪リーン車両1のハンドルバー651を回転させることにより、前2輪リーン車両1を旋回させる場合がある。ハンドルバー651の回転は、車体フレーム21の前後方向におけるステアリングシャフト652に対するハンドルバー651のオフセット量(距離I)に影響を受ける。そのため、オフセット量を調整することにより、前2輪リーン車両1が極低速で走行中に、ハンドルバー651を回転させる際のハンドルバー651の操作感を変えることができる。
図16に示すように、運転者が前2輪リーン車両1に乗車した状態では、前2輪リーン車両1に対する運転者の足の位置が決まっている。前2輪リーン車両1に乗車した運転者の腕は、肩を中心として上下方向に回転するため、運転者の腕の回転中心Mは、一義的に決まる。すなわち、前2輪リーン車両1に対する運転者の足の位置が決まれば、運転者の腕の上下方向の回転範囲(図16における一点鎖線の矢印の範囲)も決まる。
運転者の腕の上下方向の回転範囲において、運転者が前2輪リーン車両1を操作しやすいハンドルバー651の位置(以下、ハンドル位置という)が存在する。そのハンドル位置は、運転者の肘の角度がハンドルバー651の左右方向の移動及び回転を許容可能な所定の角度θとなるようなハンドルバー651の位置である。よって、前2輪リーン車両1の操作性の観点から、前2輪リーン車両1のハンドルバー651の位置を、前記ハンドル位置に設定するのが好ましい。
前記ハンドル位置は、ハンドルバー651の移動範囲と、運転者の腕の上下方向の回転範囲とが交わる位置である。よって、上述のように、ハンドル調整機構13によって、ハンドルバー651の上下方向及び前後方向の位置を調整することにより、ハンドルバー651の位置を前記ハンドル位置に設定することができる。
図17に示すように、前2輪リーン車両の運転者が子供の場合でも、運転者が大人の場合(図16の場合)と同様、ハンドル調整機構13によって、ハンドルバー651の上下方向及び前後方向の位置を調整することにより、ハンドルバー651の位置を、運転者が前2輪リーン車両1を操作しやすいハンドル位置に設定することができる。
上述のように、ハンドル調整機構13によってハンドル高さH及びオフセット量を調整することにより、運転者が前2輪リーン車両1を操作しやすいハンドル位置に設定することができる。これにより、前2輪リーン車両1の停止状態から極低速までの速度領域において、ハンドルバー651の操作感を向上することが可能になる。
なお、前記停止時は、車両の速度がゼロを意味する。前記極低速は、前2輪リーン車両1の左または右の傾斜ではなくハンドルバー651の回転によって、前2輪リーン車両1を旋回させる速度を意味する。
図13に示すように、インナーパイプ653及びアウターパイプ654内には、メータ14の2本の信号線149及びスロットル装置15の信号線159が配置されている。メータ14の2本の信号線149及びスロットル装置15の信号線159は、それぞれ、螺旋状に巻かれたカールコード部149a,159aを有する。本実施形態では、メータ14の信号線149のカールコード部149a及びスロットル装置15の信号線159のカールコード部149a,159aは、インナーパイプ653及びアウターパイプ654の少なくとも一方の内部に、配置されている。
これにより、上述のようにハンドル調整機構13によってステアリングシャフト652のインナーパイプ653をアウターパイプ654に対して伸縮させた場合に、メータ14の信号線149及びスロットル装置15の信号線159によって、インナーパイプ653の伸縮が邪魔されるのを防止できる。また、ステアリングシャフト652内に、メータ14の信号線149及びスロットル装置15の信号線159をコンパクトに収容することができる。
しかも、ステアリングシャフト652内にカールコード部149a,159aを配置したため、外部からステアリングシャフト652の内部への電磁波の進入を、ステアリングシャフト652によって抑制できる。これにより、信号線149,159内に送信される信号に、外部の電磁波によってノイズが生じることを抑制できる。よって、外部の電磁波による信号ノイズの発生を防止する部品を少なくしたり省略したりすることができる。したがって、前2輪リーン車両1の製造コストを低減できるとともに、軽量化を図ることができる。
なお、本実施形態では、メータ14の信号線149は2本であるが、1本または3本以上でもよい。また、インナーパイプ653及びアウターパイプ654内に、他の信号線が配置されていてもよい。
本実施形態では、メータ14及びスロットル装置15が、端末であり、コントローラ18が電装品である。前記端末は、ハンドルバー651に取り付けられ、且つ、車体フレーム21に取り付けられる電装品に信号線を介して接続される部品であれば、他の部品であってもよい。また、前記電装品は、車体フレーム21に取り付けられ、且つ、ハンドルバー651に取り付けられる前記端末に信号線を介して接続される部品であれば、他の部品であってもよい。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
前記実施形態では、ステアリングシャフト上部652cに、アウターパイプ654に対してインナーパイプ653を固定する固定部材131が設けられている。すなわち、ハンドル調整機構13は、ステアリングシャフト上部652cの長さを変えることにより、ハンドルバー651の位置を調整する。
しかしながら、ハンドル調整機構は、ステアリングシャフト下部の長さを変更してもよいし、ステアリングシャフト上部及びステアリング下部の長さを変更してもよい。
図18に、ステアリングシャフト下部の長さを調整可能なハンドル調整機構の一例を示す。なお、図18では、説明のために、左前輪31、ステアリングシャフト1652及びハンドルバー651を模式的に示す。
ステアリングシャフト1652は、ステアリングシャフト下部1652aと、ステアリングシャフト屈曲部1652bと、ステアリングシャフト上部1652cとを有する。
ステアリングシャフト下部1652aは、一部がヘッドパイプ211に回転可能に支持されているとともに、ヘッドパイプ211から車体フレームの上下方向における上且つ車体フレームの前後方向における後ろに向かって延びている。
ステアリングシャフト上部1652cは、ステアリングシャフト下部1652aの上端部から車体フレームの前後方向における前且つ車体フレームの上下方向における上に向かって延びている。ステアリングシャフト上部1652cの上端部には、ハンドルバー651が接続されている。ハンドルバー651の把持部651aは、車体フレームを左から見て、中間操舵軸線Zの延長線に対して、距離Iに位置する。この距離Iは、車体フレームを左から見て、把持部651aの上端と中間操舵軸線Zの延長線との最短距離である。距離Iは、ステアリングシャフト1652の回転軸線である中間操舵軸線Zに対するオフセット量である。
ステアリングシャフト屈曲部1652bは、ステアリングシャフト下部1652aの上端部とステアリングシャフト上部1652cの下端部との間に位置する。すなわち、ステアリングシャフト屈曲部1652bは、ステアリングシャフト下部1652aに対して車体フレームの前後方向における前且つ車体フレームの上下方向における上に向かって屈曲する部分である。
また、ステアリングシャフト1652は、ステアリングシャフト下部1652aの一部を構成するアウターパイプ1654と、ステアリングシャフト上部1652c、ステアリングシャフト屈曲部652b及びステアリングシャフト下部1652aの残部を構成するインナーパイプ1653と、を有する。
インナーパイプ1653の上部は、ハンドルバー651に接続されている。インナーパイプ1653の下部は、アウターパイプ1654の上部内に位置する。図18に示すように、ステアリングシャフト下部1652aを構成するアウターパイプ1654及びインナーパイプ1653の一部は、車体フレームを左から見て、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。ステアリングシャフト上部652cを構成するインナーパイプ1653の上部は、車体フレームを左から見て、車体フレームの上下方向に延びている。すなわち、インナーパイプ1653の上部は、車体フレームを左から見て、インナーパイプ1653の下部に対して車体フレームの前に向かって折れ曲がっている。アウターパイプ1654の下部の一部は、ヘッドパイプ211に回転可能に支持されている。
インナーパイプ1653とアウターパイプ1654とは、アウターパイプ1654内にインナーパイプ1653の下部が位置付けられた状態で、固定部材1131によって固定されている。この固定部材1131は、アウターパイプ1654の上端部に位置する。すなわち、固定部材1131は、ステアリングシャフト下部1652aに位置する。固定部材1131は、アウターパイプ1654の上端部に径方向に締め付け力を加えることにより、アウターパイプ1654内でインナーパイプ1653を保持する。
なお、固定部材1131の構成は、ボルトの締結によって前記締め付け力を生じる構成であってもよいし、レバー操作によるてこの原理を利用して前記締め付け力を生じる構成であってもよい。すなわち、固定部材1131は、アウターパイプ1654に対してインナーパイプ1653を固定可能であれば、どのような構成を有していてもよい。
上述の構成を有するステアリングシャフト1652では、図18に示すように、中間操舵軸線Zの延びる方向において、アウターパイプ1654に対するインナーパイプ1653の位置を変えることにより、ステアリングシャフト下部1652aの長さが変更可能である。すなわち、ステアリングシャフト1652は、ステアリングシャフト下部1652aをインナーパイプ1653の延びる方向に伸縮させることにより、ハンドルバー651の位置を調整可能なハンドル調整機構1013を有する。
このようにステアリングシャフト1652がハンドル調整機構1013を有することにより、図18に示すように、車体フレームの左右方向における左前輪31と右前輪32との中点Mからハンドルバー651の把持部651aまでの、車体フレームの上下方向における距離であるハンドル高さHを、変更することができる。なお、ハンドル高さHの定義は、上述の実施形態におけるハンドル高さHと同様である。
図18に示す例では、ハンドル調整機構1013によってアウターパイプ1654に対するインナーパイプ1653の位置を変更した場合でも、車体フレームの前後方向において、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zの延長線に対するハンドルバー651のオフセット量(距離I)は、変わらない。
上述のように、ハンドル高さHを調整することにより、前2輪リーン車両の停止状態から極低速までの速度領域において、ハンドルバー651の操作感を向上することが可能になる。
図19に、ステアリングシャフト上部及びステアリングシャフト下部の長さを調整可能なハンドル調整機構の一例を示す。なお、図19では、説明のために、左前輪31、ステアリングシャフト2652及びハンドルバー651を模式的に示す。
ステアリングシャフト2652は、ステアリングシャフト下部2652aと、ステアリングシャフト屈曲部2652bと、ステアリングシャフト上部2652cとを有する。
ステアリングシャフト下部2652aは、一部がヘッドパイプ211に回転可能に支持されているとともに、ヘッドパイプ211から車体フレームの上下方向における上且つ車体フレームの前後方向における後ろに向かって延びている。
ステアリングシャフト上部2652cは、ステアリングシャフト下部2652aの上端部から車体フレームの前後方向における前且つ車体フレームの上下方向における上に向かって延びている。ステアリングシャフト上部2652cの上端部には、ハンドルバー651が接続されている。ハンドルバー651の把持部651aは、車体フレームを左から見て、中間操舵軸線Zの延長線に対して、距離Iに位置する。この距離Iは、車体フレームを左から見て、把持部651aの上端と中間操舵軸線Zの延長線との最短距離である。距離Iは、ステアリングシャフト2652の回転軸線である中間操舵軸線Zに対するオフセット量である。
ステアリングシャフト屈曲部2652bは、ステアリングシャフト下部2652aの上端部とステアリングシャフト上部2652cの下端部との間に位置する。すなわち、ステアリングシャフト屈曲部2652bは、ステアリングシャフト下部2652aに対して車体フレームの前後方向における前且つ車体フレームの上下方向における上に向かって屈曲する部分である。
また、ステアリングシャフト2652は、ステアリングシャフト下部2652aの一部を構成するアウターパイプ2654と、ステアリングシャフト上部2652c、ステアリングシャフト屈曲部2652b及びステアリングシャフト下部2652aの残部を構成するインナーパイプ2653と、を有する。
インナーパイプ2653の上部は、ハンドルバー651に接続されている。インナーパイプ2653の下部は、アウターパイプ2654の上部内に位置する。インナーパイプ2653は、軸方向に伸縮可能である。
すなわち、インナーパイプ2653は、第1インナーパイプ2653aと、第2インナーパイプ2653bとを有する。第1インナーパイプ2653aの下部は、第2インナーパイプ2653bの上部内に位置する。第1インナーパイプ2653aと第2インナーパイプ1653bとは、第2インナーパイプ1653b内に第1インナーパイプ1653aの下部が位置付けられた状態で、第1固定部材2131によって固定されている。この第1固定部材2131は、第2インナーパイプ1653bの上端部に位置する。すなわち、第1固定部材2131は、ステアリングシャフト上部2652cに位置する。第1固定部材2131は、第2インナーパイプ1653bの上端部に径方向に締め付け力を加えることにより、第2インナーパイプ1653b内で第1インナーパイプ1653aを保持する。
これにより、第2インナーパイプ2653bに対する第1インナーパイプ2653aの位置を変更することができる。よって、インナーパイプ2653の軸方向の長さを変更することができる。
第1インナーパイプ2653aの上部は、ハンドルバー651に接続されている。第2インナーパイプ1653bの下部は、アウターパイプ2654の上部内に位置する。第1インナーパイプ2653a及び第2インナーパイプ2653bの一部は、ステアリングシャフト上部2652cを構成する。第2インナーパイプ2653bは、ステアリングシャフト屈曲部2652b及びステアリングシャフト下部2652aの一部を構成する。
図19に示すように、ステアリングシャフト下部2652aの一部を構成するアウターパイプ2654及びステアリングシャフト下部2652aの残部を構成する第2インナーパイプ2653bは、車体フレームを左から見て、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。ステアリングシャフト上部2652cを構成するインナーパイプ2653の上部は、車体フレームを左から見て、車体フレームの上下方向に延びている。すなわち、インナーパイプ2653の上部は、車体フレームを左から見て、インナーパイプ2653の下部に対して車体フレームの前に向かって折れ曲がっている。アウターパイプ2654の下部の一部は、ヘッドパイプ211に回転可能に支持されている。
インナーパイプ2653の第2インナーパイプ2653bとアウターパイプ2654とは、アウターパイプ2654内に第2インナーパイプ2653bの下部が位置付けられた状態で、第2固定部材2132によって固定されている。この第2固定部材2132は、アウターパイプ2654の上端部に位置する。すなわち、第2固定部材2132は、ステアリングシャフト下部2652aに位置する。第2固定部材2132は、アウターパイプ2654の上端部に径方向に締め付け力を加えることにより、アウターパイプ2654内で第2インナーパイプ2653bを保持する。
なお、第2固定部材2132の構成は、ボルトの締結によって前記締め付け力を生じる構成であってもよいし、レバー操作によるてこの原理を利用して前記締め付け力を生じる構成であってもよい。すなわち、第2固定部材2132は、アウターパイプ2654に対して第2インナーパイプ2653bを固定可能であれば、どのような構成を有していてもよい。
上述の構成を有するステアリングシャフト2652では、図19に示すように、第1インナーパイプ2653aの軸方向の長さを変えることにより、ステアリングシャフト上部2652cの長さが変更可能であるとともに、アウターパイプ2654に対する第2インナーパイプ2653bの位置を変えることにより、ステアリングシャフト下部2652aの長さが変更可能である。すなわち、ステアリングシャフト2652は、ステアリングシャフト上部2652cをインナーパイプ2653の軸方向に伸縮させるとともに、ステアリングシャフト下部2652aを中間操舵軸線Zの延びる方向に伸縮させることにより、ハンドルバー651の位置を調整可能なハンドル調整機構2013を有する。
このようにステアリングシャフト2652がハンドル調整機構2013を有することにより、図19に示すように、車体フレームの左右方向における左前輪31と右前輪32との中点Mからハンドルバー651の把持部651aまでの、車体フレームの上下方向における距離であるハンドル高さHを、変更することができる。なお、ハンドル高さHの定義は、上述の実施形態におけるハンドル高さHと同様である。
また、上述のようにステアリングシャフト2652がハンドル調整機構2013を有することにより、車体フレームの前後方向において、ステアリングシャフト2652の中間操舵軸線Zに対するハンドルバー651のオフセット量を変更できる。このオフセット量は、車体フレームを左から見て、把持部651aの上端と中間操舵軸線Zの延長線との距離Iである。
上述のように、ハンドル高さH及びオフセット量を調整することにより、前2輪リーン車両の停止状態から極低速までの速度領域において、ハンドルバー651の操作感を向上することが可能になる。
前記実施形態では、前2輪リーン車両1は、ハンドルとして、車体フレーム21の左右方向に延びる棒状のハンドルバー651を有する。しかしながら、前2輪リーン車両は、左セパレートハンドル及び右セパレートハンドルを有するセパレートタイプのハンドルなど、他の構成のハンドルを有していてもよい。
前記実施形態では、左足荷重伝達部81の左連結部材812は、リンク機構5の左サイド部材53に連結されている。右足荷重伝達部82の右連結部材822は、リンク機構5の右サイド部材54に連結されている。
しかしながら、左連結部材は、車体フレームの左右方向において、リンク機構5のうちヘッドパイプ211よりも左に位置する左部5aに連結されていれば、左サイド部材53以外の部材に連結されていてもよい。すなわち、左連結部材は、リンク機構の左部に連結されていればよい。右連結部材は、車体フレームの左右方向において、リンク機構5のうちヘッドパイプ211よりも右に位置する右部5bに連結されていれば、右サイド部材54以外の部材に連結されていてもよい。すなわち、右連結部材は、リンク機構の右部に連結されていればよい。
また、左連結部材は、右サイド部材を含むリンク機構の右部に連結されていてもよい。右連結部材は、左サイド部材を含むリンク機構の左部に連結されていてもよい。
前記実施形態では、ステアリングシャフト652は、インナーパイプ653と、アウターパイプ654とを有する。しかしながら、ステアリングシャフトは、ハンドル調整機構によってハンドル高さH及びオフセット量を調整可能であれば、同じ太さのパイプを有していてもよい。また、ステアリングシャフトは、太さの異なる複数種類のパイプを有していてもよい。
前記実施形態では、インナーパイプ653の下部は、アウターパイプ654の上部内に位置する。しかしながら、インナーパイプの上部が、アウターパイプの下部内に位置していてもよい。
前記実施形態では、ステアリングシャフト652は、ステアリングシャフト下部652aと、ステアリングシャフト屈曲部652bと、ステアリングシャフト上部652cとを有する。しかしながら、ステアリングシャフトは、ハンドル高さH及びオフセット量を調整可能な構成であれば、例えば、中間操舵軸線に沿って延びる形状など、ステアリング屈曲部を有しない形状であってもよい。
前記実施形態では、第1スペーサ101、第2スペーサ102及び第3スペーサ103は、球状である。しかしながら、第1スペーサ、第2スペーサ及び第3スペーサの少なくとも一つは、円柱状または円錐状などの他の形状であってもよい。
また、前2輪リーン車両は、第1スペーサ、第2スペーサ及び第3スペーサの少なくとも一つを有していてもよいし、第1スペーサ、第2スペーサ及び第3スペーサを有していなくてもよい。
前記実施形態では、リンク機構5は、ヘッドパイプ211よりも後ろに位置する上クロス部材51を有する。しかしながら、リンク機構は、後上クロス部材及びヘッドパイプの前に、前上クロス部材を設けてもよい。
前記実施形態では、リンク機構5は、車体フレーム21の左右方向において、中間部がヘッドパイプ211に回転可能に支持された上クロス部材51及び下クロス部材52を有する。しかしながら、上クロス部材は、左端部がヘッドパイプに回転可能に支持された左上クロス部材と、右端部がヘッドパイプに回転可能に支持された右上クロス部材とを含んでもよい。下クロス部材における前下クロス部材及び後下クロス部材の少なくとも一つは、左端部がヘッドパイプに回転可能に支持された左下クロス部材と、右端部がヘッドパイプに回転可能に支持された右下クロス部材とを含んでもよい。また、リンク機構は、左右独立懸架式のリンク機構であってもよい。すなわち、リンク機構は、車体フレームを前から見てヘッドパイプに対して車体フレームの左右方向の左に位置し且つ前記ヘッドパイプに回転可能に支持された左アーム部と、車体フレームを前から見てヘッドパイプに対して車体フレームの左右方向の右に位置し且つ前記ヘッドパイプに回転可能に支持された右アーム部とを有してもよい。前記左アーム部には、左サイド部材が回転可能に接続されていて、前記右アーム部には、右サイド部材が回転可能に接続されている。
前記実施形態では、規制機構9は、板状の回転部91を厚み方向に把持して回転部91に摩擦力を与えるストッパ部92を有する。しかしながら、規制機構は、前2輪リーン車両の左または右への傾斜を規制可能な構成を有していれば、どのような構成を有していてもよい。
前記実施形態では、前輪ブレーキ機構11は、前輪ブレーキディスク111と、前輪ブレーキキャリパ112とを有する。しかしながら、前輪ブレーキ機構は、左右一対の前輪に対して制動力を与えることができれば、どのような構成を有していてもよい。また、前記実施形態では、前輪ブレーキ機構11は、油圧によって作動するが、油圧以外(例えば、ワイヤなど)によって作動してもよい。
前記実施形態では、後輪ブレーキ機構12は、後輪ブレーキディスク121と、後輪ブレーキキャリパ122とを有する。しかしながら、後輪ブレーキ機構は、後輪に対して制動力を与えることができれば、どのような構成を有していてもよい。また、前記実施形態では、後輪ブレーキ機構12は、後輪ブレーキワイヤ123によって作動するが、ワイヤ以外(例えば油圧など)によって作動してもよい。
前記実施形態では、前2輪リーン車両1は、リーンロックレバー93の操作によって、規制機構9及び後輪ブレーキ機構12を連動させる連動機構16を有する。しかしながら、連動機構は、規制機構と前輪ブレーキ機構とを連動させてもよい。連動機構の構成は、上述の実施形態の構成に限らず、他の構成であってもよい。前2輪リーン車両は、連動機構を有していなくてもよい。
なお、スロットルレバー251を、回転軸Pを中心として、車体フレーム21の後方に回転させた際に、スロットルレバー支持部252から回生ブレーキの信号を出力してもよい。なお、前記回生ブレーキの信号は、コントローラ18によってモータに回生運転を行わせる信号である。
図13に示すように、インナーパイプ653及びアウターパイプ654内には、メータ14の2本の信号線149及びスロットル装置15の信号線159が配置されている。メータ14の2本の信号線149及びスロットル装置15の信号線159は、それぞれ、螺旋状に巻かれたカールコード部149a,159aを有する。本実施形態では、メータ14の信号線149のカールコード部149a及びスロットル装置15の信号線159のカールコード部159aは、インナーパイプ653及びアウターパイプ654の少なくとも一方の内部に、配置されている。
また、ステアリングシャフト1652は、ステアリングシャフト下部1652aの一部を構成するアウターパイプ1654と、ステアリングシャフト上部1652c、ステアリングシャフト屈曲部1652b及びステアリングシャフト下部1652aの残部を構成するインナーパイプ1653と、を有する。
インナーパイプ1653の上部は、ハンドルバー651に接続されている。インナーパイプ1653の下部は、アウターパイプ1654の上部内に位置する。図18に示すように、ステアリングシャフト下部1652aを構成するアウターパイプ1654及びインナーパイプ1653の一部は、車体フレームを左から見て、中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。ステアリングシャフト上部1652cを構成するインナーパイプ1653の上部は、車体フレームを左から見て、車体フレームの上下方向に延びている。すなわち、インナーパイプ1653の上部は、車体フレームを左から見て、インナーパイプ1653の下部に対して車体フレームの前に向かって折れ曲がっている。アウターパイプ1654の下部の一部は、ヘッドパイプ211に回転可能に支持されている。
図18に示す例では、ハンドル調整機構1013によってアウターパイプ1654に対するインナーパイプ1653の位置を変更した場合でも、車体フレームの前後方向において、ステアリングシャフト1652の中間操舵軸線Zの延長線に対するハンドルバー651のオフセット量(距離I)は、変わらない。
すなわち、インナーパイプ2653は、第1インナーパイプ2653aと、第2インナーパイプ2653bとを有する。第1インナーパイプ2653aの下部は、第2インナーパイプ2653bの上部内に位置する。第1インナーパイプ2653aと第2インナーパイプ2653bとは、第2インナーパイプ2653b内に第1インナーパイプ2653aの下部が位置付けられた状態で、第1固定部材2131によって固定されている。この第1固定部材2131は、第2インナーパイプ2653bの上端部に位置する。すなわち、第1固定部材2131は、ステアリングシャフト上部2652cに位置する。第1固定部材2131は、第2インナーパイプ2653bの上端部に径方向に締め付け力を加えることにより、第2インナーパイプ2653b内で第1インナーパイプ2653aを保持する。
前記実施形態では、ステアリングシャフト652は、ステアリングシャフト下部652aと、ステアリングシャフト屈曲部652bと、ステアリングシャフト上部652cとを有する。しかしながら、ステアリングシャフトは、ハンドル高さH及びオフセット量を調整可能な構成であれば、例えば、中間操舵軸線に沿って延びる形状など、ステアリングシャフト屈曲部を有しない形状であってもよい。
前記実施形態では、リンク機構5は、車体フレーム21の左右方向において、中間部がヘッドパイプ211に回転可能に支持された上クロス部材51及び下クロス部材52を有する。しかしながら、上クロス部材は、右端部がヘッドパイプに回転可能に支持された左上クロス部材と、左端部がヘッドパイプに回転可能に支持された右上クロス部材とを含んでもよい。下クロス部材における前下クロス部材及び後下クロス部材の少なくとも一つは、右端部がヘッドパイプに回転可能に支持された左下クロス部材と、左端部がヘッドパイプに回転可能に支持された右下クロス部材とを含んでもよい。また、リンク機構は、左右独立懸架式のリンク機構であってもよい。すなわち、リンク機構は、車体フレームを前から見てヘッドパイプに対して車体フレームの左右方向の左に位置し且つ前記ヘッドパイプに回転可能に支持された左アーム部と、車体フレームを前から見てヘッドパイプに対して車体フレームの左右方向の右に位置し且つ前記ヘッドパイプに回転可能に支持された右アーム部とを有してもよい。前記左アーム部には、左サイド部材が回転可能に接続されていて、前記右アーム部には、右サイド部材が回転可能に接続されている。