WO2023119476A1 - 前２輪リーン車両 - Google Patents

Abstract

リンク機構及び荷重伝達機構を有する前２輪リーン車両において、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を提供する。前２輪リーン車両１は、左に旋回する際には左に傾斜し、右に旋回する際には右に傾斜する車両である。前２輪リーン車両１は、車体フレーム２１と、左前輪３１と、右前輪３２と、ハンドルバー６５１と、ステアリングシャフト６５２と、後輪４と、リンク機構５と、左足載置部８１１及び右足載置部８２１を有し、左足載置部８１１を介してリンク機構５の左部に荷重を伝達可能であり且つ右足載置部８２１を介してリンク機構５の右部に荷重を伝達可能である荷重伝達機構８と、後輪４に対して回転駆動力を与えるモータ２２２と、モータ２２２の駆動を制御するコントローラ２３と、を有する。コントローラ２３は、前２輪リーン車両１を後進させるように、モータ２２２の駆動を制御する。

Description

前２輪リーン車両

　本発明は、前２輪リーン車両に関する。

　車体フレームと、車両を前から見て左右方向に並ぶ左前輪及び右前輪と、リンク機構とを備えた車両が知られている。このような車両として、例えば特許文献１には、車体フレームと、左前輪及び右前輪と、ハンドルと、前記ハンドルに接続されて前記左前輪及び前記右前輪を操舵するステアリングシャフトと、後輪と、リンク機構とを備えた前２輪リーン車両が開示されている。

　また、前記特許文献１に開示された前２輪リーン車両は、前記リンク機構に荷重を伝達する荷重伝達機構を備えている。すなわち、前記前２輪リーン車両は、前記前２輪リーン車両に搭乗する運転者の左足が載置される左足載置部及び前記運転者の右足が載置される右足載置部を有し、前記左足載置部を介して前記リンク機構の左部に荷重を伝達可能であり且つ前記右足載置部を介して前記リンク機構の右部に荷重を伝達可能であり、また、前記右足載置部を介して前記リンク機構の左部に荷重を伝達可能であり且つ前記左足載置部を介して前記リンク機構の右部に荷重を伝達可能である荷重伝達機構を備えている。

国際公開２０２０／１１１２５５号

　前記特許文献１に開示された前２輪リーン車両は、軽量且つ小型である。そのため、運転者が左足載置部から左足を下して右足載置部から右足を下すことにより、運転者は前記前２輪リーン車両を容易に移動させることができる。このように、前記前２輪リーン車両の移動は、比較的容易である。

　上述の前２輪リーン車両は、軽量且つ小型であるため、手軽に扱える移動体としての利用が期待されている。そのため、前記前２輪リーン車両の利用シーンにおいて、容易に移動可能なシーンを増やすことが求められている。

　本発明は、リンク機構及び荷重伝達機構を有する前２輪リーン車両において、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を提供することを目的とする。

　本発明者らは、リンク機構及び荷重伝達機構を有するリーン車両において、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両について検討した。

　本発明者らは、鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。

　本発明の一実施形態に係る前２輪リーン車両は、左に旋回する際には左に傾斜し、右に旋回する際には右に傾斜する車両である。前記前２輪リーン車両は、車体フレームと、前記車体フレームの左右方向において前記車体フレームの左に位置する左前輪と、前記車体フレームの左右方向において前記車体フレームの右に位置する右前輪と、前記前２輪車両に搭乗する運転者が把持するハンドルと、前記ハンドルに接続され且つ前記車体フレームの前部に回転軸線を中心として回転可能に支持され、前記ハンドルとともに前記回転軸線回りに回転して前記左前輪及び前記右前輪を操舵するステアリングシャフトと、前記左前輪及び前記右前輪よりも後ろに位置する少なくとも一つの後輪と、前記車体フレームの前部に支持され、前記車体フレームの左右方向において左及び右への傾斜を許容するリンク機構と、前記左前輪と前記後輪との間に位置し、前記運転者の左足が載置される左足載置部と、前記右前輪と前記後輪との間に位置し、前記運転者の右足が載置される右足載置部と、を有し、前記左足載置部を介して前記リンク機構の左部に荷重を伝達可能であり且つ前記右足載置部を介して前記リンク機構の右部に荷重を伝達可能であり、または、前記右足載置部を介して前記リンク機構の左部に荷重を伝達可能であり且つ前記左足載置部を介して前記リンク機構の右部に荷重を伝達可能である、荷重伝達機構と、前記左前輪及び前記右前輪、または、前記後輪のうち少なくとも一方に対して回転駆動力を与える車輪駆動部と、前記車輪駆動部の駆動を制御する駆動制御部と、を有する。前記駆動制御部は、前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する。

　これにより、車体フレームの左右方向において左及び右への傾斜を許容するリンク機構と、前記リンク機構に左足載置部及び右足載置部を介して荷重を伝達可能な荷重伝達機構とを有する前２輪リーン車両を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記駆動制御部は、前記左足載置部に左足を載置するとともに前記右足載置部に右足を載置して前記車体フレームの左右方向に操作可能に前記ハンドルを把持する運転者が乗車している前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する。

　これにより、運転者が、左足載置部に左足を載置するとともに右足載置部に右足を載置し、車体フレームの左右方向に操作可能にハンドルを把持して乗車している前２輪リーン車両を、後進させることができる。したがって、前記運転者が前記左足載置部から左足を下すことなく且つ前記右足載置部から右足を下すことなく、前記前２輪リーン車両を後進させることができる。

　よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記駆動制御部は、前記運転者の指示に応じて前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する。

　これにより、運転者の指示に応じて前２輪リーン車両を後進させることができる。したがって、前記運転者の意図に応じて前記前２輪リーン車両を後進させることができる。

　よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記駆動制御部は、前記運転者が前２輪リーン車両に乗車している状態で行った前記運転者の指示に応じて、前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する。

　これにより、運転者が前２輪リーン車両に乗車している状態で行った前記運転者の指示に応じて、前２輪リーン車両を後進させることができる。したがって、前記運転者が前記前２輪リーン車両に乗車した状態で、前記運転者の意図に応じて前記前２輪リーン車両を後進させることができる。

　よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御部は、前記運転者の動作に応じて前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する。

　これにより、運転者の動作に応じて前２輪リーン車両を後進させることができる。したがって、前記運転者の意図に応じて前記前２輪リーン車両を後進させることができる。

　よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記運転者の動作は、前記前２輪リーン車両を後進させる後進操作子に対する入力操作、前記前２輪リーン車両の前後進を切り替える前後進切り替え操作子に対する切り替え操作及び前記車輪駆動部を駆動させる駆動操作子に対する入力操作、または、前記前２輪リーン車両の後進に関する音声指示のいずれか一つを含む。前記駆動制御部は、前記運転者の動作を検出した際に、前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する。

　これにより、後進操作子に対する入力操作、前後進切り替え操作子に対する切り替え操作及び駆動操作子に対する入力操作、または、音声指示のいずれか一つに応じて、前２輪リーン車両を後進させることができる。したがって、前記運転者の意図に応じて前記前２輪リーン車両を後進させることができる。

　よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記後進操作子は、前記前２輪リーン車両を前進させる前進操作子とは別の操作子である。これにより、運転者は、前進操作子と後進操作子とを容易に識別することができる。よって、運転者の前２輪リーン車両の操作性を向上できる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記前進操作子は、前記ハンドルにおいて前記車体フレームの左右方向中央よりも右に設けられている。前記後進操作子は、前記ハンドルにおいて前記車体フレームの左右方向中央よりも左に設けられている。

　これにより、運転者は、前進操作子と後進操作子とを容易に識別することができる。よって、運転者の前２輪リーン車両の操作性をより向上できる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記後進操作子は、ボタンスイッチである。これにより、運転者は、ボタンスイッチを押すだけで、前２輪リーン車両を後進させることができる。よって、運転者の前２輪リーン車両の操作性を向上できる。

　他の観点によれば、前２輪リーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ハンドルは、前記車体フレームの左右方向中央よりも左に位置する左把持部と、前記車体フレームの左右方向中央よりも右に位置する右把持部と、を有する。前記駆動制御部は、前記運転者が左手によって前記左把持部を把持し且つ右手によって前記右把持部を把持した状態で前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する。

　これにより、運転者が前２輪リーン車両に乗車した姿勢で、前記前２輪リーン車両を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。

　本明細書で使用される「及び／または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。

　本明細書において、「含む、備える（including）」「含む、備える（comprising）」または「有する（having）」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの１つまたは複数を含むことができる。

　本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。

　他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語（技術用語及び科学用語を含む）は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。

　一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。

　本発明の説明においては、いくつもの技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の１つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。

　したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。

　本明細書では、本発明に係る前２輪リーン車両の実施形態について説明する。

　以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。

　よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。

　［前２輪リーン車両］
　本明細書において、前２輪リーン車両とは、左前輪及び右前輪を有し、傾斜姿勢で旋回する車両である。具体的には、前記前２輪リーン車両は、車両の左右方向において、左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜する車両である。前記前２輪リーン車両は、一人乗りの車両であってもよいし、複数人が乗車可能な車両であってもよい。なお、前記前２輪リーン車両は、二輪車だけでなく、三輪車または四輪車など、傾斜姿勢で旋回する全ての車両を含む。

　［運転者の指示］
　本明細書において、運転者の指示とは、前記運転者が前２輪リーン車両を後進させる際に、制御部に対して行う入力指示を意味する。前記入力指示は、前記前２輪リーン車両の後進に関する運転者の操作入力であってもよいし、運転者の操作入力を伴わない意思表示だけであってもよい。

　［運転者が前２輪リーン車両に乗車している状態］
　本明細書において、運転者が前２輪リーン車両に乗車している状態とは、前記運転者が左足載置部に左足を載置するとともに右足載置部に右足を載置し、且つ、車体フレームの左右方向に操作可能なように左手によってハンドルの左把持部を把持するとともに右手によって前記ハンドルの右把持部を把持している状態を意味する。なお、前記左把持部は、前記ハンドルにおいて、前記車体フレームの左右方向中央よりも左に位置する。前記右把持部は、前記ハンドルにおいて、前記車体フレームの左右方向中央よりも右に位置する。

　［運転者の動作］
　本明細書において、運転者の動作とは、前２輪リーン車両に乗車している前記運転者が前記前２輪リーン車両を後進させる際に、入力操作部に対して行う入力動作を意味する。前記入力操作部は、例えば、後進操作子、前進後進切り替え操作子、駆動操作子、音声入力部などを含む。前記運転者の動作は、例えば、後進操作子の操作、前進後進切り替え操作子及び駆動操作子の操作入力、音声指示などを含む。前記後進操作子は、前２輪リーン車両を後進させる際に入力操作される操作子である。前記前後進切り替え操作子は、前２輪リーン車両の前進と後進とを切り替える際に入力操作される操作子である。前記駆動操作子は、車輪駆動部を駆動させる際に入力操作される操作子である。

　本発明の一実施形態によれば、リンク機構及び荷重伝達機構を有する前２輪リーン車両において、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を提供することができる。

図１は、実施形態に係る前２輪リーン車両の全体構成の概略を示す左側面図である。 図２は、前２輪リーン車両を前から見た場合の車両前部の構成を示す正面図である。 図３は、前２輪リーン車両の概略構成を示す上面図である。 図４は、前２輪リーン車両の概略構成を示す背面図である。 図５は、左に傾斜した状態のリーン車両の概略構成を示す正面図である。 図６は、左に傾斜した状態のリーン車両の概略構成を示す背面図である。 図７は、前進用スロットル装置を車体フレームの後ろから見た図である。 図８は、コントローラの概略構成を示す機能ブロック図である。 図９は、コントローラの後進制御の概略を示すフローチャートである。 図１０は、運転者が前２輪リーン車両に乗車している状態で、前記前２輪リーン車両が後進している様子を模式的に示す図である。 図１１は、前２輪リーン車両の左側面図と運転者が乗車した状態の前２輪リーン車両が後進している様子を示す図とを並べて示す図である。

　以下で、実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。

　以下、図中の矢印Ｆは、前２輪リーン車両１の前方向を示す。図中の矢印Ｂは、前２輪リーン車両１の後方向を示す。図中の矢印Ｕは、前２輪リーン車両１の上方向を示す。図中の矢印Ｄは、前２輪リーン車両１の下方向を示す。図中の矢印Ｒは、前２輪リーン車両１の右方向を示す。図中の矢印Ｌは、前２輪リーン車両１の左方向を示す。また、前２輪リーン車両１の前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、前２輪リーン車両１に乗車した運転者から見た場合に、前２輪リーン車両１を基準とした前後方向、左右方向及び上下方向を意味する。

　本実施形態の前２輪リーン車両１は、鉛直方向に対して車体フレーム２１を左右方向に傾斜させて旋回する。そのため、上述の前２輪リーン車両１を基準とした方向に加え、車体フレーム２１を基準とした方向を以下のように定める。図中の矢印ＦＦは、車体フレーム２１の前方向を示す。図中の矢印ＦＢは、車体フレーム２１の後方向を示す。図中の矢印ＦＵは、車体フレーム２１の上方向を示す。図中の矢印ＦＤは、車体フレーム２１の下方向を示す。図中の矢印ＦＲは、車体フレーム２１の右方向を示す。図中の矢印ＦＬは、車体フレーム２１の左方向を示す。また、車体フレーム２１の前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、前２輪リーン車両１に乗車した運転者から見た場合に、車体フレーム２１を基準とした前後方向、左右方向及び上下方向を意味する。

　（全体構成）
　図１は、実施形態に係る前２輪リーン車両１の全体構成の概略を示す左側面図である。この図１では、説明のために、前２輪リーン車両１は、カバー等が外された状態で図示されている。前２輪リーン車両１は、車両本体２と、左右一対の前輪３と、後輪４と、リンク機構５と、操舵機構６と、傾斜抑制機構７（図５参照）と、荷重伝達機構８とを備えている。すなわち、この実施形態における前２輪リーン車両１は、左右一対の前輪３を有する三輪車である。また、前２輪リーン車両１は、左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜する車両である。

　なお、前２輪リーン車両１には、運転者が着座するシートが設けられていない。すなわち、前２輪リーン車両１は、運転者が立った状態で乗車する、いわゆる立ち乗り車両である。また、前２輪リーン車両１には、後輪４を支持するリアアームが設けられていない。前２輪リーン車両１の後輪４は、後述の車体フレーム２１によって支持されている。また、前２輪リーン車両１には、前輪３及び後輪４を変位可能に弾性支持する緩衝装置が設けられていない。前２輪リーン車両１の前輪３及び後輪４は、後述の車体フレーム２１に対して緩衝装置を介さずに支持されている。

　車両本体２は、車体フレーム２１と、パワーユニット２２と、コントローラ２３とを備えている。図１において、車体フレーム２１は直立状態である。以下の説明において、図１を参照する場合には、車体フレーム２１は直立状態を前提としている。なお、車体フレーム２１が直立状態とは、車体フレーム２１の上下方向が鉛直方向と同じ状態を意味する。

　図１に示すように、車体フレーム２１は、パワーユニット２２等を支持している。車体フレーム２１は、ヘッドパイプ２１１と、メインフレーム２１２とを備えている。

　ヘッドパイプ２１１は、前２輪リーン車両１の前部に位置する。前２輪リーン車両１を左から見て、ヘッドパイプ２１１の上部は、車体フレーム２１の前後方向において、ヘッドパイプ２１１の下部よりも後ろに位置する。ヘッドパイプ２１１の周囲には、リンク機構５が配置されている。ヘッドパイプ２１１には、後述のステアリングシャフト６５２が回転可能に挿入されている。

　メインフレーム２１２は、ヘッドパイプ２１１に接続されている。メインフレーム２１２は、車体フレーム２１の前後方向において、ヘッドパイプ２１１よりも後ろに位置する。メインフレーム２１２は、パワーユニット２２を支持している。メインフレーム２１２の後端部は、後輪４を、車輪軸４１を中心として回転可能に支持している。

　メインフレーム２１２は、アッパーフレーム２１３と、アンダーフレーム２１４とを備えている。

　アッパーフレーム２１３は、車体フレーム２１を左から見て、ヘッドパイプ２１１から後輪４に向かって、車体フレーム２１の前後方向における後ろ且つ車体フレーム２１の上下方向における下に延びている。アッパーフレーム２１３の後端部は、後輪４の左右にそれぞれ位置するように２つに分岐されている。すなわち、アッパーフレーム２１３は、後輪４の左に位置するアッパーフレーム左後端部２１３ａ及び後輪４の右に位置するアッパーフレーム右後端部２１３ｂを有する。アッパーフレーム左後端部２１３ａ及びアッパーフレーム右後端部２１３ｂは、後述のアンダーフレーム左後端部２１４ｃ及びアンダーフレーム右後端部２１４ｄとともに、後輪４を支持する。パワーユニット２２は、アッパーフレーム２１３に支持されている。

　アンダーフレーム２１４は、アンダーフレーム前部２１４ａと、アンダーフレーム後部２１４ｂとを有する。アンダーフレーム前部２１４ａは、車体フレーム２１を左から見て、ヘッドパイプ２１１から車体フレーム２１の前後方向における後ろ且つ車体フレーム２１の上下方向における下に延びている。アンダーフレーム前部２１４ａの前端部は、ヘッドパイプ２１１に接続されている。

　アンダーフレーム後部２１４ｂは、車体フレーム２１の前後方向において、アンダーフレーム前部２１４ａの後端部から後ろに延びている。アンダーフレーム後部２１４ｂの後端部は、後輪４の左右にそれぞれ位置するように２つに分岐されている。すなわち、アンダーフレーム後部２１４ｂは、後輪４の左に位置するアンダーフレーム左後端部２１４ｃ及び後輪４の右に位置するアンダーフレーム右後端部２１４ｄを有する。

　アンダーフレーム左後端部２１４ｃは、アッパーフレーム左後端部２１３ａに接続されている。このようにアンダーフレーム左後端部２１４ｃ及びアッパーフレーム左後端部２１３ａが接続されることにより、メインフレーム左後端部２１２ａが構成される。アンダーフレーム右後端部２１４ｄは、アッパーフレーム右後端部２１３ｂに接続されている。このようにアンダーフレーム右後端部２１４ｄ及びアッパーフレーム右後端部２１３ｂが接続されることにより、メインフレーム右後端部２１２ｂが構成される。メインフレーム左後端部２１２ａ及びメインフレーム右後端部２１２ｂは、後輪４を支持する。

　このように、メインフレーム２１２がアッパーフレーム２１３及びアンダーフレーム２１４を有することにより、メインフレーム２１２の強度及び剛性を向上することができる。なお、メインフレームにおける車体フレームの上下方向の高さをより低くする場合には、メインフレームはアンダーフレームのみを有していてもよい。

　パワーユニット２２は、前２輪リーン車両１を走行させる駆動力を発生する。図１に示すように、パワーユニット２２は、車体フレーム２１の前後方向において、後輪４の車輪軸４１よりも前に位置する。パワーユニット２２は、車体フレーム２１に固定されている。パワーユニット２２は、バッテリ２２１及びモータ２２２を含む。本実施形態では、モータ２２２は、後輪４のホイール４ａ内に配置されている。モータ２２２には、コントローラ２３を介して、車体フレーム２１のアッパーフレーム２１３に固定されたバッテリ２２１から電力が供給される。バッテリ２２１は、後述する灯火器１０３等の電気部品に対しても電力を供給する。本実施形態では、モータ２２２が車輪駆動部に対応する。

　コントローラ２３は、前２輪リーン車両１の制御を行うとともに、バッテリ２２１からモータ２２２への電力供給を制御する。すなわち、コントローラ２３は、車両制御機能と、インバータ機能とを有する。コントローラ２３は、運転者が前進用スロットル装置９１または後進操作ボタンスイッチ９２を操作した際に、モータ２２２の駆動を制御する。コントローラ２３は、運転者が前進用スロットル装置９１を操作した際に、前進用スロットル装置９１の操作に応じて前２輪リーン車両１が前進するように、モータ２２２の駆動を制御する。コントローラ２３は、運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を操作した際に、前２輪リーン車両１が後進するように、モータ２２２の駆動を制御する。本実施形態では、コントローラ２３が、モータ２２２の駆動を制御する駆動制御部に対応する。なお、コントローラ２３は、前２輪リーン車両１の電気部品の駆動を制御してもよい。

　コントローラ２３は、車体フレーム２１に支持されている。コントローラ２３は、例えば、バッテリ２２１の下方に位置する。コントローラ２３は、前２輪リーン車両１のいずれの位置に設けられてもよい。

　コントローラ２３の詳しい構成については、後述する。

　図２は、車体フレーム２１の前後方向において、前２輪リーン車両１の前部を前から見た正面図である。図４は、車体フレーム２１の前後方向において、前２輪リーン車両１の後部を後ろから見た図である。図２及び図４において、車体フレーム２１は、直立状態である。以下の説明において、図２及び図４を参照する場合には、車体フレーム２１は直立状態を前提としている。

　図１及び図２に示すように、左右一対の前輪３は、車体フレーム２１の上下方向において、ヘッドパイプ２１１及びリンク機構５よりも下に位置する。左右一対の前輪３は、後述する左懸架部６１及び右懸架部６２によって、支持されている。

　後輪４は、車体フレーム２１を前後方向に見て、左前輪３１及び右前輪３２の間に位置し、且つ、車体フレーム２１の前後方向において、左前輪３１及び右前輪３２よりも後ろに位置する。本実施形態では、後輪４の外径は、左右一対の前輪３の外径と同じかそれよりも小さい。

　図２に示すように、左右一対の前輪３は、左前輪３１と、右前輪３２とを含む。左前輪３１は、車体フレーム２１の左右方向において、車体フレーム２１の一部であるヘッドパイプ２１１よりも左に位置する。右前輪３２は、車体フレーム２１の左右方向において、ヘッドパイプ２１１よりも右に位置する。すなわち、左前輪３１及び右前輪３２は、車体フレーム２１の左右方向に並んで位置する。

　左前輪３１は、左懸架部６１に接続されている。詳しくは、左前輪３１は、左懸架部６１の下部に接続されている。左前輪３１は、左懸架部６１に、左車軸３１１を中心として回転可能に支持されている。左車軸３１１は、左懸架部６１の下部に、車体フレーム２１の左右方向に延びるように配置されている。

　右前輪３２は、右懸架部６２に接続されている。詳しくは、右前輪３２は、右懸架部６２の下部に接続されている。右前輪３２は、右懸架部６２に、右車軸３２１を中心として回転可能に支持されている。右車軸３２１は、右懸架部６２の下部に、車体フレーム２１の左右方向に延びるように配置されている。

　リンク機構５は、平行四節リンク（パラレログラムリンクとも呼ばれる）方式のリンク機構である。

　図１及び図２に示すように、リンク機構５は、車体フレーム２１の上下方向において、ハンドルバー６５１よりも下に位置する。リンク機構５は、車体フレーム２１の上下方向において、左前輪３１及び右前輪３２よりも上に位置する。

　リンク機構５は、上クロス部５１と、下クロス部５２と、左サイド部５３と、右サイド部５４とを含む。リンク機構５は、ハンドルバー６５１の操作に伴うステアリングシャフト６５２の中間操舵軸線Ｚを中心とする回転に対して連動しない。すなわち、リンク機構５は、中間操舵軸線Ｚを中心として、車体フレーム２１に対して回転しない。リンク機構５の構成は、国際公開２０２０／１１１２５４に開示されている構成と同様である。そのため、リンク機構５の詳しい説明を省略する。

　リンク機構５において左に位置する部分が左部である。例えば、前記左部は、左サイド部５３を含む。リンク機構５において右に位置する部分が右部である。例えば、前記右部は、右サイド部５４を含む。

　国際公開２０２０／１１１２５４に開示されているリンク機構と同様、本実施形態のリンク機構５においても、上クロス部５１、下クロス部５２、左サイド部５３及び右サイド部５４は、上クロス部５１と下クロス部５２とが相互に平行な姿勢を保ち、且つ、左サイド部５３と右サイド部５４とが相互に平行な姿勢を保つように、車体フレーム２１に支持されている。

　図２に示すように、操舵機構６は、左懸架部６１と、右懸架部６２と、左ブラケット６３と、右ブラケット６４と、操舵部材６５と、操舵力伝達機構６６とを含む。なお、操舵機構６の構成は、国際公開２０２０／１１１２５４に開示されている操舵機構と同様の構成である。よって、操舵機構６の詳しい構成の説明は省略する。よって、操舵機構６を用いた前２輪リーン車両１の操舵動作も、国際公開２０２０／１１１２５４に開示されている操舵動作と同様であるため、詳しい説明を省略する。

　左懸架部６１は、リンク機構５に対して左前輪３１を支持する。左懸架部６１は、中間操舵軸線Ｚが延びる方向に延びている。左懸架部６１の下端部は、左前輪３１を支持している。左懸架部６１の上端部は、左ブラケット６３に固定されている。

　右懸架部６２は、リンク機構５に対して右前輪３２を支持する。右懸架部６２は、中間操舵軸線Ｚが延びる方向に延びている。右懸架部６２の下端部は、右前輪３２を支持している。右懸架部６２の上端部は、右ブラケット６４に固定されている。

　操舵部材６５は、ハンドルバー６５１と、ステアリングシャフト６５２とを含む。

　ハンドルバー６５１は、車体フレーム２１の左右方向に延びる棒状の部材である。車体フレーム２１の左右方向において、ハンドルバー６５１の中央部が、ステアリングシャフト６５２の上部に接続されている。ハンドルバー６５１は、左把持部６５１ａと、右把持部６５１ｂとを有する。左把持部６５１ａは、ハンドルバー６５１において、車体フレーム２１の左右方向中央よりも左に位置する。右把持部６５１ｂは、ハンドルバー６５１において、車体フレーム２１の左右方向中央よりも右に位置する。ハンドルバー６５１が、前２輪リーン車両１のハンドルである。

　ハンドルバー６５１には、前輪ブレーキレバー１１４及び後輪ブレーキレバー１２４が設けられている。すなわち、前２輪リーン車両１は、前輪ブレーキレバー１１４と、後輪ブレーキレバー１２４とを有する。前輪ブレーキレバー１１４は、左把持部６５１ａに設けられている。後輪ブレーキレバー１２４は、右把持部６５１ｂに設けられている。

　なお、特に図示しないが、一対の前輪３には、前輪ブレーキレバー１１４の操作によって作動する前輪ブレーキが設けられている。また、特に図示しないが、後輪４には、後輪ブレーキレバー１２４の操作によって作動する後輪ブレーキが設けられている。

　図２及び図４に示すように、ハンドルバー６５１には、前進用スロットル装置９１及び後進操作ボタンスイッチ９２が設けられている。すなわち、前２輪リーン車両１は、前進用スロットル装置９１と、後進操作ボタンスイッチ９２とを有する。前進用スロットル装置９１は、ハンドルバー６５１に対して、車体フレーム２１の左右方向中央よりも右に取り付けられている。後進操作ボタンスイッチ９２は、ハンドルバー６５１に対して、車体フレーム２１の左右方向中央よりも左に取り付けられている。本実施形態では、前進用スロットル装置９１が前進操作子に対応し、後進操作ボタンスイッチ９２が後進操作子に対応する。

　図７は、前進用スロットル装置９１の概略構成を示す図である。前進用スロットル装置９１は、前２輪リーン車両１を前進させる際に操作される操作子である。前進用スロットル装置９１は、運転者の指によって操作される。前進用スロットル装置９１は、スロットルレバー９１１と、スロットルレバー支持部９１２とを有する。

　スロットルレバー９１１は、長手方向の両端部に第１端部及び第２端部を有する。スロットルレバー９１１の長手方向の第１端部は、スロットルレバー支持部９１２に、車体フレーム２１の上下方向に延びる回転軸Ｐを中心として回転可能に支持されている。スロットルレバー９１１は、長手方向の第２端部に、運転者の指で押圧する押圧部９１１ａを有する。

　スロットルレバー支持部９１２は、スロットルレバー９１１の長手方向の第１端部を回転可能に支持するとともに、スロットルレバー９１１の回転角度をスロットル信号として出力する。スロットルレバー９１１には、信号線９３が接続されている。信号線９３は、スロットルレバー支持部９１２とコントローラ２３とを電気的に接続する。

　スロットルレバー９１１の操作量は、スロットル信号として、信号線９３を介してコントローラ２３に送信される。コントローラ２３は、前記スロットル信号に応じて、パワーユニット２２を駆動させる。よって、スロットルレバー９１１の操作量に応じて、パワーユニット２２を駆動させることができる。

　このように、運転者の指によって操作可能なスロットルレバー９１１を有する前進用スロットル装置９１を用いて、パワーユニット２２の駆動を制御することにより、スロットル操作の操作性を向上できる。

　後進操作ボタンスイッチ９２は、前２輪リーン車両１を後進させる際に操作される操作子である。後進操作ボタンスイッチ９２は、運転者の指によって操作される。後進操作ボタンスイッチ９２は、押しボタンスイッチである。

　運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を押すと、後進操作ボタンスイッチ９２は、後進信号を出力する。後進操作ボタンスイッチ９２には、信号線９４が接続されている。信号線９４は、後進操作ボタンスイッチ９２とコントローラ２３とを電気的に接続する。後進操作ボタンスイッチ９２から出力された後進信号は、信号線９４を介してコントローラ２３に送信される。コントローラ２３は、前記後進信号に基づいて、前２輪リーン車両１を一定速度で後進させるように、パワーユニット２２を駆動させる。すなわち、運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を押している間、前２輪リーン車両１は後進する。

　以上のように、前進用スロットル装置９１と後進操作ボタンスイッチ９２とを別の操作子によって構成することにより、前２輪リーン車両１を前進または後進させる際に、運転者が誤操作することを防止できる。前進用スロットル装置９１が、ハンドルバー６５１に対して車体フレーム２１の左右方向中央よりも右に取り付けられていて、後進操作ボタンスイッチ９２が、ハンドルバー６５１に対して車体フレーム２１の左右方向中央よりも左に取り付けられているため、運転者の操作性を向上できるとともに、前２輪リーン車両１を前進または後進させる際の誤操作をより確実に防止できる。

　しかも、前２輪リーン車両１の前進の操作を前進用スロットル装置９１によって行うことにより、前２輪リーン車両１の前進の速度を変えることができる。前２輪リーン車両１の後進の操作を後進操作ボタンスイッチ９２によって行うことにより、前２輪リーン車両１を一定速度で後進させることができる。

　運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を押す操作は、運転者のコントローラ２３に対する指示である。すなわち、運転者は、コントローラ２３に対して、前２輪リーン車両１を後進させる指示を行う。このような運転者のコントローラ２３に対する指示は、ボタンスイッチを押す操作だけでなく、レバースイッチのレバー操作及び回転スイッチの回転操作などの入力操作、音声による入力、運転者の視線及び身体の動きなどの運転者の動きなど、コントローラ２３に対する運転者の意思表示を含む。

　本実施形態では、運転者は、前２輪リーン車両１に乗車している状態で、後進操作ボタンスイッチ９２を押す、すなわちコントローラ２３に対して指示する。なお、運転者は、前２輪リーン車両１に乗車せずに遠隔操作等によって、コントローラ２３に対して前２輪リーン車両１の後進を指示してもよい。

　運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を押す操作は、運転者のコントローラ２３に対する動作である。すなわち、運転者は、コントローラ２３に対して、前２輪リーン車両１を後進させる動作を行う。このような運転者のコントローラ２３に対する動作は、スイッチを押す動作だけでなく、操作子の操作、発声、ハンドルバー６５１を後ろに引っ張るなど、運転者がコントローラ２３に意思を入力可能な運転者の動作を含む。

　ステアリングシャフト６５２は、その一部がヘッドパイプ２１１に回転可能に支持されている。ステアリングシャフト６５２は、運転者によるハンドルバー６５１の操作に応じて、中間操舵軸線Ｚ（回転軸線）を中心として回転する。

　前２輪リーン車両１が左または右に傾斜する動作も、既述の国際公開２０２０／１１１２５４に開示されている傾斜動作と同様である。よって、前２輪リーン車両１が左または右に傾斜する動作の詳しい説明は省略する。

　図３は、車体フレーム２１の上下方向において、前２輪リーン車両１を上から見た上面図である。図３において、車体フレーム２１は直立状態である。以下の説明において、図３を参照する場合には、車体フレーム２１は直立状態を前提としている。

　図３及び図４に示すように、荷重伝達機構８は、左足荷重伝達部８１と、右足荷重伝達部８２と、左右連結部材８３とを有する。

　左足荷重伝達部８１は、左足載置部８１１と、左連結部８１２とを有する。左足載置部８１１の少なくとも一部は、左前輪３１の後方に位置する。

　左足載置部８１１は、起立した運転者の左足が載置される左足載置面８１１ａを有する。左連結部８１２は、左足載置部８１１とリンク機構５の左サイド部５３とを連結している。図１に示すように、左連結部８１２は、左サイド部５３から車体フレーム２１の前後方向における後ろ且つ車体フレーム２１の上下方向における下に延びている。左連結部８１２の後端部は、左足載置部８１１に連結されている。左足荷重伝達部８１は、左足載置部８１１を介して入力される運転者の荷重を、左サイド部５３に伝達可能に構成されている。なお、左連結部は、左サイド部と一体でもよい。

　図３及び図４に示すように、右足荷重伝達部８２は、右足載置部８２１と、右連結部８２２とを有する。右足載置部８２１の少なくとも一部は、右前輪３２の後方に位置する。

　右足載置部８２１は、起立した運転者の右足が載置される右足載置面８２１ａを有する。右連結部８２２は、右足載置部８２１とリンク機構５の右サイド部５４とを連結している。右連結部８２２は、右サイド部５４から車体フレーム２１の前後方向における後ろ且つ車体フレーム２１の上下方向における下に延びている。右連結部８２２の後端部は、右足載置部８２１に連結されている。右足荷重伝達部８２は、右足載置部８２１を通じて入力される運転者の荷重を、右サイド部５４に伝達可能に構成されている。なお、右連結部は、右サイド部と一体でもよい。

　上述の構成により、運転者の左足を通じて左足載置部８１１に加えられる荷重と、当該運転者の右足を介して右足載置部８２１に加えられる荷重とを個別に調整することにより、車体フレーム２１の傾斜を制御できる。

　例えば、図５及び図６に示すように車体フレーム２１が前２輪リーン車両１の左に傾斜すると、車体フレーム２１の上下方向において、左サイド部５３は、右サイド部５４よりも上に位置する。図５は、車体フレーム２１が左に傾斜した状態における前２輪リーン車両１を、車体フレーム２１の前から見た正面図である。図６は、車体フレーム２１が左に傾斜した状態における前２輪リーン車両１を、車体フレーム２１の後ろから見た背面図である。なお、図５及び図６では、説明のために、前２輪リーン車両１は、カバー等が外された状態で図示されている。

　左足で左足載置部８１１を通じて左サイド部５３に荷重を加えると、左サイド部５３に対して車体フレーム２１の下方向に変位させる力が作用する。これにより、前２輪リーン車両１の左右方向において、車体フレーム２１が左へ傾斜するのを抑制できる。

　逆に、車体フレーム２１が前２輪リーン車両１の右に傾斜すると、車体フレーム２１の上下方向において、右サイド部５４は、左サイド部５３よりも上に位置する。右足で右足載置部８２１を通じて右サイド部５４に荷重を加えると、右サイド部５４に対して車体フレーム２１の下方向に変位させる力が作用する。これにより、前２輪リーン車両１の左右方向において、車体フレーム２１が右に傾斜するのを抑制できる。

　車体フレーム２１が直立状態から左または右に傾斜すると、左足載置部８１１の載置面に対する法線方向及び右足載置部８２１の載置面に対する法線方向が変化する。しかしながら、ヘッドパイプ２１１が延びている方向（中間操舵軸線Ｚが延びている方向）と左足載置部８１１の載置面及び右足載置部８２１の載置面とがなす角度は変化しない。すなわち、左足載置部８１１の載置面に対する法線方向及び右足載置部８２１の載置面に対する法線方向は、車体フレーム２１の上下方向と常に同じである。

　左右連結部材８３は、左足載置部８１１と右足載置部８２１とを、車体フレーム２１の下で車体フレーム２１の左右方向に連結している。車体フレーム２１の左右方向において、左右連結部材８３の中央部は、車体フレーム２１のアンダーフレーム２１４の下部に固定された回転支持部（図示省略）に、アンダーフレーム２１４を中心として回転可能に支持されている。よって、左右連結部材８３は、車体フレーム２１の上下方向において、左足載置部８１１及び右足載置部８２１の上下移動に応じて、上下方向に傾く。

　これにより、左足載置部８１１及び右足載置部８２１は、左足載置部８１１への左足の荷重入力または右足載置部８２１への右足の荷重入力に応じて、連動して上下動する。よって、上述のような左足載置部８１１への左足の荷重入力または右足載置部８２１への右足の荷重入力によって、車体フレーム２１の左または右の傾斜を容易に抑制できる。

　傾斜抑制機構７は、リンク機構５の左及び右の傾斜を抑制する。図５に示すように、傾斜抑制機構７は、傾斜抑制操作子７１と、傾斜抑制ブレーキディスク７２と、図示しないキャリパとを有する。傾斜抑制操作子７１は、ステアリングシャフト６５２に取り付けられたレバー状の部材である。傾斜抑制ブレーキディスク７２は、左右連結部材８３に固定されたＵ字状の板状部材である。前記キャリパは、メインフレーム２１２のアンダーフレーム２１４に固定されている。前記キャリパは、傾斜抑制ブレーキディスク７２を厚み方向に挟み込み可能に構成されている。

　傾斜抑制操作子７１を回転操作することにより、傾斜抑制機構７は、作動状態と非作動状態とに切り替えられる。傾斜抑制機構７が作動状態になると、前記キャリパが駆動して、傾斜抑制ブレーキディスク７２をその厚み方向に挟み込む。これにより、メインフレーム２１２のアンダーフレーム２１４に対する荷重伝達機構８の左右連結部材８３の揺動が抑制される。既述のように、荷重伝達機構８の左連結部８１２は、リンク機構５の左サイド部５３に連結され、荷重伝達機構８の右連結部８２２は、リンク機構５の右サイド部５４に連結されている。よって、上述のように傾斜抑制機構７の傾斜抑制操作子７１を操作して傾斜抑制機構７を作動状態にすることにより、メインフレーム２１２に対するリンク機構５の左及び右の傾斜を抑制することができる。

　前２輪リーン車両１が上述の傾斜抑制機構７を有することにより、運転者が前２輪リーン車両１に乗車する際に、リンク機構５の左及び右の傾斜を傾斜抑制機構７によって抑制することができる。よって、運転者は、前２輪リーン車両１の左足載置部８１１上に左足を容易に載せられるとともに、右足載置部８２１上に右足を容易に載せられる。

　傾斜抑制操作子７１を操作することにより、図示しない前輪ブレーキ及び後輪ブレーキの少なくとも一方も作動してもよい。これにより、傾斜抑制操作子７１は、駐車ブレーキの操作子としても機能する。なお、前２輪リーン車両は、駐車ブレーキの操作子を別に有してしてもよい。また、前２輪リーン車両における他の操作子は、駐車ブレーキの操作子として機能してもよい。

　図１から図３、図５に示すように、前２輪リーン車両１は、左フロントフェンダー３３及び右フロントフェンダー３４を有する。左フロントフェンダー３３は、車体フレーム２１の上下方向において、左前輪３１の上に位置する。左フロントフェンダー３３を左前輪３１の上に配置することで、前２輪リーン車両１の走行時に左前輪３１によって跳ね上げられた水が、運転者の左足にかかるのを左フロントフェンダー３３によって防止できる。

　図２に示すように、右フロントフェンダー３４は、車体フレーム２１の上下方向において、右前輪３２の上に位置する。右フロントフェンダー３４を右前輪３２の上に配置することで、前２輪リーン車両１の走行時に右前輪３２によって跳ね上げられた水が、運転者の左足にかかるのを右フロントフェンダー３４によって防止できる。

　図３及び図４に示すように、前２輪リーン車両１は、左フートガード８４及び右フートガード８５を有する。左フートガード８４は、平面視で三角形の樹脂製板部材である。左フートガード８４は、左足載置部８１１の右端部及び左連結部８１２に固定されている。右フートガード８５は、平面視で三角形の樹脂製板部材である。右フートガード８５は、右足載置部８２１の左端部及び右連結部８２２に固定されている。

　図３、図４及び図６に示すように、前２輪リーン車両１は、左フロントガード８６と、右フロントガード８７とを有する。左フロントガード８６は、平面視で長方形の樹脂製板部材である。左フロントガード８６は、長手方向が左連結部８１２の延びる方向に沿うように、左連結部８１２に固定されている。右フロントガード８７は、平面視で長方形の樹脂製板部材である。右フロントガード８７は、長手方向が右連結部８２２の延びる方向に沿うように、右連結部８２２に固定されている。

　図１、図３、図４及び図６に示すように、前２輪リーン車両１は、リアフェンダー４２を有する。リアフェンダー４２は、車体フレーム２１の上下方向において、後輪４の上に位置する。リアフェンダー４２は、メインフレーム２１２から車体フレーム２１の前後方向における後ろ且つ車体フレーム２１の上下方向における上に延びている。リアフェンダー４２は、樹脂製の部材である。リアフェンダー４２は、前部及び後部で、それぞれメインフレーム２１２に支持されている。

　前２輪リーン車両１は、車体フレーム２１の後端部によって支持され、リアフェンダー４２を含まない後部装備品１００を有する。後部装備品１００は、例えば、ライセンスプレート支持ブラケット１０２、反射部１０１及び灯火器１０３を含む。

　なお、後部装備品１００は、ライセンスプレート支持ブラケット１０２、反射部１０１及び灯火器１０３のうち少なくとも一つの部品を含んでいてもよいし、前２輪リーン車両１の後部に配置される他の部品を含んでいてもよい。また、後部装備品１００は、複数の部品を含んでいてもよいし、一つの部品のみを含んでいてもよい。

　反射部１０１は、前２輪リーン車両１の後ろから入射される光を反射するリフレクタ、前２輪リーン車両１の左または右から入射される光を反射するサイドリフレクタなどを含む。ライセンスプレート支持ブラケット１０２は、ライセンスプレートを支持する、例えば板状または枠状などの部材である。灯火器１０３は、バックライト、ウィンカ、テールライト、ストップライト、ライセンスプレートライトなどのような発光可能な装備品である。なお、灯火器１０３は、前２輪リーン車両１の後ろに位置する路面に画像を映し出すレーザー描写装置を含んでもよい。

　（後進制御）
　次に、上述の構成を有する前２輪リーン車両１の後進について、図８から図１０を用いて説明する。図８は、コントローラ２３の構成のうち、前２輪リーン車両１の後進制御を行う構成を示す機能ブロック図である。図９は、コントローラ２３による前２輪リーン車両１の後進の制御の概略を示すフローチャートである。図１０は、運転者が前２輪リーン車両１に乗車している状態で、前２輪リーン車両１が後進している様子を模式的に示す図である。図１０の図は、図１に示す前２輪リーン車両１の図とともに、図１１にも示す。

　図８に示すように、コントローラ２３は、条件取得部２３１と、条件判定部２３２と、駆動信号生成部２３３とを有する。運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を操作すると、コントローラ２３には、後進操作ボタンスイッチ９２から後進信号が入力される。

　条件取得部２３１は、前２輪リーン車両１の後進を行う条件である後進駆条件に関する情報を取得する。具体的には、条件取得部２３１は、傾斜抑制機構７の作動状態、前２輪リーン車両１の車速、駐車ブレーキの作動状態、前輪ブレーキの作動状態及び後輪ブレーキの作動状態を検出する。

　条件取得部２３１は、傾斜抑制機構７の作動状態を、傾斜抑制操作子７１の操作の有無によって検出してもよいし、傾斜抑制機構７の図示しないキャリパの動作の有無によって検出してもよい。傾斜抑制機構７の作動状態とは、傾斜抑制機構７によって前２輪リーン車両１の傾斜が抑制されている状態または抑制されていない状態を意味する。

　条件取得部２３１は、例えば車速計等から、前２輪リーン車両１の車速を取得する。前２輪リーン車両１の車速は、例えば、一対の前輪３及び後輪４の少なくとも一つの車輪の回転数から得られる。

　条件取得部２３１は、駐車ブレーキの作動状態を、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキの作動状態によって検出してもよいし、傾斜抑制操作子７１の操作の有無によって検出してもよい。駐車ブレーキの作動状態とは、駐車ブレーキが作動している状態または作動していない状態を意味する。

　条件取得部２３１は、前輪ブレーキレバー１１４及び後輪ブレーキレバー１２４の操作の有無によって、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキの作動状態を検出する。条件取得部２３１は、前輪ブレーキの作動状態を、前輪ブレーキレバー１１４の操作を前輪ブレーキに伝達する経路上で検出してもよいし、後輪ブレーキの作動状態を、後輪ブレーキレバー１２４の操作を後輪ブレーキに伝達する経路上で検出してもよい。

　条件判定部２３２は、条件取得部２３１が取得した条件が、前２輪リーン車両１の後進が許可される所定の条件を満たしているかどうかを判定する。本実施形態では、前記所定の条件は、傾斜抑制機構７が作動しておらず、且つ、車速がゼロで、且つ、駐車ブレーキが作動しておらず、且つ、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキが作動していないことである。条件判定部２３２は、前記所定の条件が満たされていると判定した場合に、駆動信号生成部２３３に生成指令信号を出力する。

　駆動信号生成部２３３は、条件判定部２３２から生成指令信号が入力されると、前２輪リーン車両１を後進させるようにモータ２２２を駆動させるための駆動信号を生成して、前記駆動信号をパワーユニット２２に出力する。これにより、前２輪リーン車両１を後進させるようにモータ２２２を駆動させることができる。

　次に、コントローラ２３による前２輪リーン車両１の後進制御について、図９を用いて説明する。図９は、コントローラ２３による前２輪リーン車両１の後進制御を示すフローチャートである。

　図９に示すように、コントローラ２３は、まず、後進操作ボタンスイッチ９２から出力される後進信号を検出することにより、運転者が後進の入力操作を行ったことを検知する（ステップＳ１）。次に、コントローラ２３の条件取得部２３１は、傾斜抑制機構７の作動状態を検出する（ステップＳ２）。条件取得部２３１は、前２輪リーン車両１の車速を取得する（ステップＳ３）。条件取得部２３１は、駐車ブレーキの作動状態を検出する（ステップＳ４）。条件取得部２３１は、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキの作動状態を検出する（ステップＳ５）。なお、条件取得部２３１がステップＳ２～Ｓ５を行う順番は、どのような順番であってもよい。

　続くステップＳ６において、コントローラ２３の条件判定部２３２は、ステップＳ２～Ｓ５で得られた情報から、傾斜抑制機構７が作動しておらず、且つ、車速がゼロで、且つ、駐車ブレーキが作動しておらず、且つ、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキが作動していないかどうかを判定する。この判定がＹＥＳの場合には、ステップＳ７に進んで、コントローラ２３の駆動信号生成部２３３は、前２輪リーン車両１を後進させるようにモータ２２２を駆動させる駆動信号を生成して出力する（モータ２２２を後進駆動）。一方、上述の判定がＮＯの場合には、コントローラ２３は、前記駆動信号を生成しないため、モータ２２２を後進駆動しない。その後、このフローを終了する（ＥＮＤ）。

　前２輪リーン車両１は、運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を操作することにより、後進する。この際に、前２輪リーン車両１の運転者は、左足を左足載置部８１１の左足載置面８１１ａ上に載置するとともに右足を右足載置部８２１の右足載置面８２１ａ上に載置して、左手によってハンドルバー６５１の左把持部６５１ａを把持するとともに右手によってハンドルバー６５１の右把持部６５１ｂを把持している。すなわち、前２輪リーン車両１は、運転者が左足を左足載置部８１１の左足載置面８１１ａ上に載置するとともに右足を右足載置部８２１の右足載置面８２１ａ上に載置して、左手によってハンドルバー６５１の左把持部６５１ａを把持するとともに右手によってハンドルバー６５１の右把持部６５１ｂを把持している状態で、後進可能である。

　図１０に示すように、運転者は、上述のように左足を左足載置部８１１の左足載置面８１１ａ上に載置するとともに右足を右足載置部８２１の右足載置面８２１ａ上に載置して、左手によってハンドルバー６５１の左把持部６５１ａを把持するとともに右手によってハンドルバー６５１の右把持部６５１ｂを把持している姿勢で前２輪リーン車両１を後進させる際には、後輪４を視認する。前２輪リーン車両１は、左足載置部８１１及び右足載置部８２１の近く（下を見て後輪４の周辺が確認できるような位置）に後輪４が設けられているため、運転者は、上述の姿勢で、後進する前２輪リーン車両１の後輪４を容易に視認することができる。しかも、前２輪リーン車両１では、後輪４の外径が一対の前輪３の外径と同じかそれよりも小さいため、運転者は、上述の姿勢で、後進する前２輪リーン車両１の後輪４を容易に視認することができる。

　また、運転者は、前２輪リーン車両１が後進する際に、ハンドルバー６５１を車体フレーム２１の左右方向に操作することにより、車体フレーム２１の左右方向のバランスをとることができる。また、運転者は、前２輪リーン車両１が後進する際に、左足載置部８１１の左足載置面８１１ａ上に載置された左足及び右足載置部８２１の右足載置面８２１ａ上に載置された右足にかかる体重のバランスを調整することにより、車体フレーム２１の左右方向のバランスをとることができる。

　前２輪リーン車両１は、傾斜抑制機構７が作動しておらず、且つ、車速がゼロで、且つ、駐車ブレーキが作動しておらず、且つ、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキが作動していないときに、後進操作ボタンスイッチ９２の入力操作に応じて後進可能である。前２輪リーン車両１は、３ｋｍ／ｈ以下で後進する。前２輪リーン車両１は、１．５ｋｍ／ｈ以下で後進してもよい。前２輪リーン車両１は、３ｋｍ／ｈよりも速い速度で後進してもよい。

　前２輪リーン車両１は、後進時に、後部装備品１００の灯火器１０３が点灯してもよい。これにより、前２輪リーン車両１の後進を、周囲に知らせることができる。前２輪リーン車両１は、後進時に、音を出してもよい。

　本実施形態の前２輪リーン車両１は、左に旋回する際には左に傾斜し、右に旋回する際には右に傾斜する車両である。前２輪リーン車両１は、車体フレーム２１と、車体フレーム２１の左右方向において車体フレーム２１の左に位置する左前輪３１と、車体フレーム２１の左右方向において車体フレーム２１の右に位置する右前輪３２と、前２輪リーン車両１に搭乗する運転者が把持するハンドルバー６５１と、ハンドルバー６５１に接続され且つ車体フレーム２１の前部に中間操舵軸線Ｚを中心として回転可能に支持され、ハンドルバー６５１とともに中間操舵軸線Ｚ回りに回転して左前輪３１及び右前輪３２を操舵するステアリングシャフト６５２と、左前輪３１及び右前輪３２よりも後ろに位置する少なくとも一つの後輪４と、車体フレーム２１の前部に支持され、車体フレーム２１の左右方向において左及び右への傾斜を許容するリンク機構５と、左前輪３１と後輪４との間に位置し、前記運転者の左足が載置される左足載置部８１１と、右前輪３２と後輪４との間に位置し、前記運転者の右足が載置される右足載置部８２１と、を有し、左足載置部８１１を介してリンク機構５の左部に荷重を伝達可能であり且つ右足載置部８２１を介してリンク機構５の右部に荷重を伝達可能であり、または、右足載置部８２１を介してリンク機構５の左部に荷重を伝達可能であり且つ左足載置部８１１を介してリンク機構５の右部に荷重を伝達可能である、荷重伝達機構８と、左前輪３１及び右前輪３２、または、後輪４のうち少なくとも一方に対して回転駆動力を与えるモータ２２２と、モータ２２２の駆動を制御するコントローラ２３と、を有する。コントローラ２３は、前２輪リーン車両１を後進させるように、モータ２２２の駆動を制御する。

　これにより、車体フレーム２１の左右方向において左及び右への傾斜を許容するリンク機構５と、リンク機構５に左足載置部８１１及び右足載置部８２１を介して荷重を伝達可能な荷重伝達機構８とを有する前２輪リーン車両１を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両１を実現することができる。

　本実施形態では、コントローラ２３は、左足載置部８１１に左足を載置するとともに右足載置部８２１に右足を載置して車体フレーム２１の左右方向に操作可能にハンドルバー６５１を把持する運転者が乗車している前２輪リーン車両１を後進させるように、モータ２２２の駆動を制御する。

　これにより、運転者が、左足載置部８１１に左足を載置するとともに右足載置部８２１に右足を載置し、車体フレーム２１の左右方向に操作可能にハンドルバー６５１を把持して乗車している前２輪リーン車両１を、後進させることができる。したがって、前記運転者が左足載置部８１１から左足を下すことなく且つ右足載置部８２１から右足を下すことなく、前２輪リーン車両１を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両１を実現することができる。

　本実施形態では、コントローラ２３は、前記運転者の指示に応じて前２輪リーン車両１を後進させるように、モータ２２２の駆動を制御する。これにより、運転者の指示に応じて前２輪リーン車両１を後進させることができる。したがって、前記運転者の意図に応じて前２輪リーン車両１を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両１を実現することができる。

　本実施形態では、コントローラ２３は、前記運転者が前２輪リーン車両１に乗車している状態で行った前記運転者の指示に応じて、前２輪リーン車両１を後進させるように、モータ２２２の駆動を制御する。

　これにより、運転者が前２輪リーン車両１に乗車している状態で行った前記運転者の指示に応じて、前２輪リーン車両１を後進させることができる。したがって、前記運転者が前２輪リーン車両１に乗車した状態で、前記運転者の意図に応じて前２輪リーン車両１を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両１を実現することができる。

　本実施形態では、コントローラ２３は、前記運転者の動作に応じて前２輪リーン車両１を後進させるように、モータ２２２の駆動を制御する。これにより、運転者の動作に応じて前２輪リーン車両１を後進させることができる。したがって、前記運転者の意図に応じて前２輪リーン車両１を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両１を実現することができる。

　本実施形態では、後進操作ボタンスイッチ９２は、前２輪リーン車両１を前進させる前進用スロットル装置９１とは別の操作子である。これにより、運転者は、前進用スロットル装置９１と後進操作ボタンスイッチ９２とを容易に識別することができる。よって、運転者の前２輪リーン車両１の操作性を向上できる。

　本実施形態では、前進用スロットル装置９１は、ハンドルバー６５１において車体フレーム２１の左右方向中央よりも右に設けられている。後進操作ボタンスイッチ９２は、ハンドルバー６５１において車体フレーム２１の左右方向中央よりも左に設けられている。

　これにより、運転者は、前進用スロットル装置９１と後進操作ボタンスイッチ９２とを容易に識別することができる。よって、運転者の前２輪リーン車両１の操作性をより向上できる。

　本実施形態では、後進操作ボタンスイッチ９２は、ボタンスイッチである。これにより、運転者は、ボタンスイッチを押すだけで、前２輪リーン車両１を後進させることができる。よって、運転者の前２輪リーン車両１の操作性を向上できる。

　本実施形態では、ハンドルバー６５１は、前２輪リーン車両１の左右方向中央よりも左に位置する左把持部６５１ａと、前２輪リーン車両１の左右方向中央よりも右に位置する右把持部６５１ｂと、を有する。コントローラ２３は、前記運転者が左手によって左把持部６５１ａを把持し且つ右手によって右把持部６５１ｂを把持した状態で前２輪リーン車両１を後進させるように、モータ２２２の駆動を制御する。

　これにより、運転者が前２輪リーン車両１に乗車した姿勢で、前２輪リーン車両１を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両１を実現することができる。

　（その他の実施形態）
　以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。

　前記実施形態では、コントローラ２３は、傾斜抑制機構７が作動しておらず、且つ、車速がゼロで、且つ、駐車ブレーキが作動しておらず、且つ、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキが作動していないときに、後進操作ボタンスイッチ９２の入力操作に応じて前２輪リーン車両１が後進するように、モータ２２２を駆動させる。しかしながら、コントローラは、傾斜抑制機構が作動しているときに、後進操作ボタンスイッチの入力操作に応じて前２輪リーン車両が後進するように、モータを駆動させてもよい。

　前記実施形態では、後進操作ボタンスイッチ９２は、押しボタンスイッチである。しかしながら、後進操作の操作子は、スロットル装置によって構成されていてもよい。この場合には、後進操作の操作子によって、前２輪リーン車両１の後進の速度を調整することができる。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１は、運転者が後進操作ボタンスイッチ９２を押している間、後進する。しかしながら、運転者が後進操作ボタンスイッチを操作した後、運転者が前輪ブレーキレバー及び後輪ブレーキレバーの少なくとも一方を操作するなどのように運転者が停止の指示または動作を行うまでの間、前２輪リーン車両は後進を続けてもよい。

　前記実施形態では、前進用スロットル装置９１は、ハンドルバー６５１において、車体フレーム２１の左右方向中央よりも右に設けられている。後進操作ボタンスイッチ９２は、ハンドルバー６５１において車体フレーム２１の左右方向中央よりも左に設けられている。しかしながら、前進用スロットル装置は、ハンドルバーにおいて車体フレームの左右方向中央よりも右に設けられていてもよい。後進操作ボタンスイッチは、ハンドルバーにおいて車体フレームの左右方向中央よりも左に設けられていてもよい。前進用スロットル装置及び後進操作ボタンスイッチの両方が、ハンドルバーにおいて車体フレームの左右方向中央よりも左または右に設けられていてもよい。なお、前進操作子と後進操作子とが１つの操作子であってもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１は、前進用スロットル装置９１及び後進操作ボタンスイッチ９２を有する。しかしながら、前２輪リーン車両は、前進と後進とを切り替える前後進切り替えスイッチ（前後進切り替え操作子）と、モータを駆動させる駆動スイッチ（駆動操作子）とを有していてもよい。前記前後進切り替えスイッチ及び前記駆動スイッチは、両方がハンドルバーにおいて車体フレームの左右方向中央より右または左に設けられていてもよいし、一方がハンドルバーにおいて車体フレームの左右方向中央より右に設けられ且つ他方がハンドルバーにおいて車体フレームの左右方向中央より左に設けられていてもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１を後進させる際にコントローラ２３に対する運転者の動作は、後進操作ボタンスイッチ９２の入力操作である。しかしながら、コントローラに対する運転者の動作は、前２輪リーン車両を後進させる後進操作ボタンスイッチ（後進操作子）に対する入力操作、前２輪リーン車両の前後進を切り替える前後進切り替えスイッチ（前後進切り替え操作子）の切り替え操作及びモータを駆動させる駆動ボタンスイッチ（駆動操作子）の入力操作、または、前２輪リーン車両の後進に関する音声指示のいずれか一つを含んでいてもよい。コントローラは、前記運転者の動作を検出した際に、前記前２輪リーン車両を後進させるように、モータの駆動を制御する。

　これにより、前記後進操作ボタンスイッチに対する入力操作、前記前後進切り替えスイッチの切り替え操作及び前記駆動ボタンスイッチの入力操作、または、前記音声指示のいずれか一つに応じて、前記前２輪リーン車両を後進させることができる。したがって、前記運転者の意図に応じて前記前２輪リーン車両を後進させることができる。よって、容易に移動可能なシーンを増やすことができる前２輪リーン車両を実現することができる。

　前記実施形態では、前進用スロットル装置９１は、車体フレーム２１の上下方向に延びる回転軸Ｐを中心として回転可能なスロットルレバー９１１を有する。しかしながら、前進用スロットル装置は、車体フレームの左右方向に延びる回転軸を中心として回転可能なスロットルレバーを有していてもよい。

　前記実施形態では、パワーユニット２２のモータ２２２は、後輪４に設けられている。しかしながら、モータは、前輪に設けられていてもよい。

　前記実施形態では、後輪４の外径は、左右一対の前輪３の外径よりも小さい。しかしながら、後輪の外径は、前輪の外径よりも大きくてもよい。

　前記実施形態では、荷重伝達機構８は、左足載置部８１１を介してリンク機構５の左サイド部５３に荷重を伝達可能であり且つ右足載置部８２１を介してリンク機構５の右サイド部５４に荷重を伝達可能である。しかしながら、荷重伝達機構は、右足載置部を介してリンク機構の左サイド部に荷重を伝達可能であり且つ左足載置部を介してリンク機構の右サイド部に荷重を伝達可能であってもよい。また、荷重伝達機構は、リンク機構の左に位置する部分であれば、左サイド部以外に荷重を伝達可能であってもよい。荷重伝達機構は、リンク機構の右に位置する部分であれば、右サイド部以外に荷重を伝達可能であってもよい。

　前記実施形態では、左足載置部８１１は、左連結部８１２によってリンク機構５の左サイド部５３に連結され、右足載置部８２１は、右連結部８２２によってリンク機構５の右サイド部５４に連結されている。しかしながら、左足載置部及び右足載置部の構成は、前記実施形態の構成に限定されず、例えば車体フレームに固定された構成であってもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１は、左フートガード８４及び右フートガード８５を有する。しかしながら、リーン車両は、左フートガードを有していなくてもよい。リーン車両は、右フートガードを有していなくてもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１は、リアフェンダー４２を有する。しかしながら、前２輪リーン車両は、リアフェンダーを有していなくてもよい。

　前記実施形態では、左フロントガード８６と左フートガード８４とは別体である。右フロントガード８７と右フートガード８５とは別体である。しかしながら、左フロントガードと左フートガードとを一体にしてもよい。右フロントガードと右フートガードとを一体にしてもよい。

　前記実施形態では、リンク機構５は、ヘッドパイプ２１１よりも後ろに位置する上クロス部５１を有する。しかしながら、リンク機構は、後上クロス部及びヘッドパイプの前に、前上クロス部を有していてもよい。

　前記実施形態では、リンク機構５は、車体フレーム２１の左右方向において、中間部がヘッドパイプ２１１に回転可能に支持された上クロス部５１及び下クロス部５２を有する。しかしながら、リンク機構は、他の構成を有していてもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１には、運転者が着座するシートが設けられていない。しかしながら、前２輪リーン車両は、シートを有していてもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１には、後輪４を支持するリアアームが設けられていない。しかしながら、前２輪リーン車両は、後輪を支持するリアアームを有していてもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１には、前輪３及び後輪４を変位可能に弾性支持する緩衝装置が設けられていない。しかしながら、リーン車両の前輪が、緩衝装置によって支持されていてもよい。前２輪リーン車両の後輪が、緩衝装置によって支持されていてもよい。

　前記実施形態では、傾斜抑制機構７は、傾斜抑制操作子７１を手動で操作することにより、傾斜抑制機構７の作動状態と非作動状態とを変更する構成を有する。しかしながら、傾斜抑制機構は、リーン車両の状態の検出結果に応じて傾斜抑制機構の作動状態と非作動状態とを自動で変更する構成を有していてもよい。なお、リーン車両は、傾斜抑制機構を有していなくてもよい。

　前記実施形態では、前２輪リーン車両１は、運転者が乗車して操縦する車両である。しかしながら、前２輪リーン車両は、運転者が乗車せずに遠隔で操作する車両であってもよいし、自動運転を行う車両であってもよい。なお、これらの場合、前２輪リーン車両は、ステアリングシャフトを、中間操舵軸線を中心として回転させるアクチュエータを備えているのが好ましい。

１　前２輪リーン車両
２　車両本体
３　前輪
４　後輪
４ａ　ホイール
５　リンク機構
６　操舵機構
７　傾斜抑制機構
８　荷重伝達機構
２１　車体フレーム
２１１　ヘッドパイプ
２１２　メインフレーム
２１２ａ　メインフレーム左後端部
２１２ｂ　メインフレーム右後端部
２１３　アッパーフレーム
２１３ａ　アッパーフレーム左後端部
２１３ｂ　アッパーフレーム右後端部
２１４　アンダーフレーム
２１４ａ　アンダーフレーム前部
２１４ｂ　アンダーフレーム後部
２１４ｃ　アンダーフレーム左後端部
２１４ｄ　アンダーフレーム右後端部
２２　パワーユニット
２２１　バッテリ
２２２　モータ（車輪駆動部）
２３　コントローラ（駆動制御部）
２３１　条件取得部
２３２　条件判定部
２３３　駆動信号生成部
３１　左前輪
３１１　左車軸
３２　右前輪
３２１　右車軸
３３　左フロントフェンダー
３４　右フロントフェンダー
４１　車輪軸
４２　リアフェンダー
５１　上クロス部
５２　下クロス部
５３　左サイド部
５４　右サイド部
６１　左懸架部
６２　右懸架部
６３　左ブラケット
６４　右ブラケット
６５　操舵部材
６５１　ハンドルバー
６５１ａ　左把持部
６５１ｂ　右把持部
６５２　ステアリングシャフト
６６　操舵力伝達機構
７１　傾斜抑制操作子
７２　傾斜抑制ブレーキディスク
８１　左足荷重伝達部
８１１　左足載置部
８１１ａ　左足載置面
８１２　左連結部
８２　右足荷重伝達部
８２１　右足載置部
８２１ａ　右足載置面
８２２　右連結部
８３　左右連結部材
８４　左フートガード
８５　右フートガード
８６　左フロントガード
８７　右フロントガード
９１　前進用スロットル装置
９１１　スロットルレバー
９１１ａ　押圧部
９１２　スロットルレバー支持部
９２　後進操作ボタンスイッチ
９３、９４　信号線
１００　後部装備品
１０１　反射部
１０２　ライセンスプレート支持ブラケット
１０３　灯火器
１１４　前輪ブレーキレバー
１２４　後輪ブレーキレバー
Ｚ　中間操舵軸線（回転軸線）

Claims (10)

1. 　左に旋回する際には左に傾斜し、右に旋回する際には右に傾斜する前２輪リーン車両であって、
   　車体フレームと、
   　前記車体フレームの左右方向において前記車体フレームの左に位置する左前輪と、
   　前記車体フレームの左右方向において前記車体フレームの右に位置する右前輪と、
   　前記前２輪車両に搭乗する運転者が把持するハンドルと、
   　前記ハンドルに接続され且つ前記車体フレームの前部に回転軸線を中心として回転可能に支持され、前記ハンドルとともに前記回転軸線回りに回転して前記左前輪及び前記右前輪を操舵するステアリングシャフトと、
   　前記左前輪及び前記右前輪よりも後ろに位置する少なくとも一つの後輪と、
   　前記車体フレームの前部に支持され、前記車体フレームの左右方向において左及び右への傾斜を許容するリンク機構と、
   　　前記左前輪と前記後輪との間に位置し、前記運転者の左足が載置される左足載置部と、
   　　前記右前輪と前記後輪との間に位置し、前記運転者の右足が載置される右足載置部と、
   を有し、
   　　前記左足載置部を介して前記リンク機構の左部に荷重を伝達可能であり且つ前記右足載置部を介して前記リンク機構の右部に荷重を伝達可能であり、または、前記右足載置部を介して前記リンク機構の左部に荷重を伝達可能であり且つ前記左足載置部を介して前記リンク機構の右部に荷重を伝達可能である、
   荷重伝達機構と、
   　前記左前輪及び前記右前輪、または、前記後輪のうち少なくとも一方に対して回転駆動力を与える車輪駆動部と、
   　前記車輪駆動部の駆動を制御する駆動制御部と、
   を有し、
   　前記駆動制御部は、前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する、
   前２輪リーン車両。
2. 　請求項１に記載の前２輪リーン車両において、
   　前記駆動制御部は、前記左足載置部に左足を載置するとともに前記右足載置部に右足を載置して前記車体フレームの左右方向に操作可能に前記ハンドルを把持する運転者が乗車している前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する、
   前２輪リーン車両。
3. 　請求項１または２に記載の前２輪リーン車両において、
   　前記駆動制御部は、前記運転者の指示に応じて前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する、
   前２輪リーン車両。
4. 　請求項３に記載の前２輪リーン車両において、
   　前記駆動制御部は、前記運転者が前２輪リーン車両に乗車している状態で行った前記運転者の指示に応じて、前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する、
   前２輪リーン車両。
5. 　請求項３または４に記載の前２輪リーン車両において、
   　前記駆動制御部は、前記運転者の動作に応じて前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する、
   前２輪リーン車両。
6. 　請求項５に記載の前２輪リーン車両において、
   　前記運転者の動作は、前記前２輪リーン車両を後進させる後進操作子に対する入力操作、前記前２輪リーン車両の前後進を切り替える前後進切り替え操作子に対する切り替え操作及び前記車輪駆動部を駆動させる駆動操作子に対する入力操作、または、前記前２輪リーン車両の後進に関する音声指示のいずれか一つを含み、
   　前記駆動制御部は、前記運転者の動作を検出した際に、前記前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する、
   前２輪リーン車両。
7. 　請求項６に記載の前２輪リーン車両において、
   　前記後進操作子は、前記前２輪リーン車両を前進させる前進操作子とは別の操作子である、
   前２輪リーン車両。
8. 　請求項７に記載の前２輪リーン車両において、
   　前記前進操作子は、前記ハンドルにおいて前記車体フレームの左右方向中央よりも右に設けられていて、
   　前記後進操作子は、前記ハンドルにおいて前記車体フレームの左右方向中央よりも左に設けられている、
   前２輪リーン車両。
9. 　請求項６から８のいずれか一つに記載の前２輪リーン車両において、
   　前記後進操作子は、ボタンスイッチである、
   前２輪リーン車両。
10. 　請求項１から９のいずれか一つに記載の前２輪リーン車両において、
    　前記ハンドルは、
    　前記車体フレームの左右方向中央よりも左に位置する左把持部と、
    　前記車体フレームの左右方向中央よりも右に位置する右把持部と、
    を有し、
    　前記駆動制御部は、前記運転者が前記左足載置部に左足を載置するとともに前記右足載置部に右足を載置し、且つ、左手によって前記左把持部を把持するとともに右手によって前記右把持部を把持した状態で前２輪リーン車両を後進させるように、前記車輪駆動部の駆動を制御する、
    前２輪リーン車両。

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