JP2006256401A - 3輪型乗用移動台車 - Google Patents

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Abstract

【課題】 利用者の意思に沿って操行方向を自由に制御することができ、かつ、静止時に
安定し、バランスを保持するための力をより少なくした3輪乗用移動台車を提供する。
【解決手段】 基台3と、搭乗台4と、基台3と搭乗台4との間の所定の箇所に取り付け
られ基台3と搭乗台4とを連結する弾性体と、一対の前車輪5a,5bと、1輪の後車輪
6と、一対の前車輪5a,5bを独立して駆動するモータと、モータの回転角度を検出す
る回転角度センサと、基台の前後左右方向のバランスを検出する傾斜角センサと、搭乗台
4の基台3に対する前後左右方向の相対角度を検出する搭乗台傾斜検出手段と、各センサ
の信号に基づいてモータの回転を制御する制御手段とを備え、制御手段は、当該利用者の
前後左右方向の重心位置を検出し、その重心位置を示す信号を用いて、前後方向の移動加
速度を制御すると共に、左右方向の操行制御を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハンドルを持たず、前後移動又は左右移動を人間の体重移動のみによって行
う3輪型乗用移動台車に関し、特に、前車輪は独立駆動される一対の平行2輪車、後車輪
はキャスタ状の1輪車で構成される3輪型乗用移動台車に関する。
従来より、台車を備えた平行2輪車の各々の車輪を、互いに独立して作動するモータに
より駆動するとともに、台車に乗った利用者を含めた台車にかかる重力バランスを検出し
て各モータの作動を制御し、台車を自立可能とするとともに、利用者の前後方向の重心移
動を検出することにより前後進の意思及びその程度を推定して台車全体の前後進制御を行
い、更に利用者による別途操作指示により操行方向の制御を行うようにした平行2輪乗用
台車が提案され、一部実用化がなされている。
このような平行2輪型の2輪型乗用移動台車として、SEGWAY(登録商標)という
スクータが存在する。この乗り物は人が立って乗る車輪型倒立振子タイプの電動スクータ
ーで、人間の体の傾斜によって前後に動き、ハンドル部のスロットル操作でステアリング
が切れるものである。平行2輪のため、前後のバランスはモータの制御によって自動的に
行う。
この平行2輪型乗用台車の一例について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、平行2輪形式のスクータの外観を示す斜視図であり、図9は、その制御システ
ム構成を示すブロック図である。
図8(a)に示すように、この平行2輪形式のスクータにおいては、台車41の両側に
各々が互いに平行に、かつ台車41に対して独立して回転可能に支持した車輪42,43
を備え、台車41にアルミニウム製ステアリングロッド44を固定している。
また、図8(b)にその主要構成部品を分解状態で示しているように、台車41は、ケ
ーシング45の両側に第1モータ46及び第2モータ47を備え、その下方に配置するバ
ッテリ48,48をその駆動電源とし、各モータに対応する車輪42,43を減速機を介し
て駆動している。このモータは、2馬力程度のブラシレス形式で、高効率で耐久性が高く
、メンテナンスフリーのものが用いられる。
また、バッテリ48は、ニッカド(NiCd)電池、或いはニッケルメタルハイドライ
ドを用いた電池が採用され、110kg程度の人が34kgの荷物を持って乗っても作動
可能とし、バッテリの1回の充電で最大28km走行可能であり、通常の作動状態では1
7km程度走行可能とし、時速20kmの速度で走行することができるようにしている。
また、これらのモータによる車輪を駆動する部分には減速機を備え、24:1程度の減速
比のヘリカルギアを用いて車輪を駆動している。
ケーシング内には、バランスセンサ50を備え、1自由度につき少なくとも2つのレー
トジャイロによりその作動を検出し、合計5個のレートジャイロを備えており、また、傾
斜センサ(加速度センサ)を備えている。更に、一対の制御回路基板51を備えており、
この制御回路基板51は、上記ジャイロと傾斜センサの信号等の種々の信号を入力して両
モータ46,47の正逆方向の回転制御を行い、車輪型倒立振り子の安定化制御法によっ
てこの台車を自立可能としている。また、ステアリングロッド44の上端にはハンドル5
2を備え、このハンドル52の片側に設けたグリップ53を回転操作することにより、両
側のモータの回転速度を調整し、ステアリングを可能としている。
ケーシング45の上方には、このケーシング45を密閉して覆うことができるシャーシ
54を備え、その上面には利用者が乗るゴム製の踏み台55を備えている。このゴム製の
踏み台55には、ダイヤフラムスイッチを備え、利用者がこの上に乗ると、スイッチがオ
ンしてこの平行2輪形式のスクータが作動状態となり、降りるとオフして作動停止状態と
なるようにしてある。この踏み台の高さは、20cm程度であり、広さは48×64cm
程度である。
また、図8(a)に示すように、ステアリングロッドは、ハンドル52の高さ調整のた
め伸縮自在とし、そのハンドル52にキー67及び表示部68を設け、キー67により盗
難防止機能の他速度制限セット機能も備え、表示部68においては装置のオンオフ状態、
モード状態、バッテリ残量等を表示している。
このような構成をなす平行2輪形式のスクータの制御装置部分の構成については、図9
に示すように左右の車輪42,43を駆動する左右のモータ46,47は、制御装置60内
の左右の各モータ制御部61,62によってその駆動が制御される。制御装置60には、
前記バランスセンサ50におけるレートジャイロ63及び傾斜センサ64、更には踏み台
55の踏み台センサ65の信号が入力し、また、ハンドル52に設けた左右のグリップ5
3における操行用のグリップ操作量センサ66,66の信号、及びキースイッチ67の信
号が入力し、各モータ制御部61,62に対する総合制御を行うと共に、表示部68に対
して表示信号を出力する。
上記のような構成をなす平行2輪形式のスクータにおいては、利用者がキー67を操作
して機器を作動状態にし、この台車41における踏み台65上に乗ると、このスクータの
バランス制御等が作動状態になる。この状態では、レートジャイロと傾斜センサを備えた
バランスセンサ50により台車41上の利用者を含んだ全体の重量バランスを検出し、ま
た台車の傾斜を検出することにより車輪型倒立振り子の安定化制御法によって左右のモー
タ46,47の駆動制御を行い、自立状態を維持している。
また、台車41上における利用者の前後方向の重心移動を検出し、その重心移動が所定
以上の時には利用者がその方向に移動することを希望しているものとして、その移動の程
度に合わせた車輪の回転数調節を行い、希望する速度での前後進を行うようにしている。
更に、利用者はハンドル52の両端に設けた左右のグリップ53の回動をおこなうこと
により、左右の車輪の回転数調節を行い、進行方向を調節するステアリング操作を行うこ
とができるようにしている。
上記のような作動を行わせるため、この装置においては図9に示すような制御システム
を備え、その中心をなす制御装置60には左右のモータ46,47の駆動を制御するモー
タ制御部61,62を備えている。この制御装置60に対してバランスセンサ50のレー
トジャイロ63と傾斜センサ64の信号を入力して車輪型倒立振り子の安定化制御法によ
り自立制御を行う。また、踏み台センサ65の信号を入力し、踏み台65に利用者が乗っ
たか否かを検出する。また、前記傾斜センサ64により前後方向の傾斜を検出して前後進
制御を行い、ハンドル52のグリップ操作量センサ66の信号を入力して左右のモータの
回転数、或いは回転方向を制御し操行制御を行う。更に、ハンドル52上のキースイッチ
67の信号を入力し、更に、ハンドル52上に設けた表示部68に必要な表示を行うこと
ができるようにしている。なお、同軸2輪車における姿勢制御方法に関する技術として下
記の特許文献1が存在する。
特開昭63−305082号公報
しかしながら、従来の平行2輪型乗用移動台車としての平行2輪形式のスクータにおい
ては図8に示すように、台車41からステアリングロッド44を突出させ、その上端部に
設けたハンドル52の片端部にグリップ53を設け、このグリップ53を独立して回動操
作することにより左右の車輪用モータの回転速度を調節してステアリングを行っている。
そのため、比較的身長が低い人でもまた高い人でも、台車41上に立った利用者が容易
にこのステアリング操作を行うことができるように、ハンドル52を比較的低い位置から
高い位置まで延ばすことができるように、ステアリングロッド44を伸縮自在にしておく
必要がある。
従ってハンドル部分をできる限り軽量化するためにアルミニウム合金を用いたとしても
、身長の高い人に合わせてステアリングロッドを構成し、更にハンドルを備えるために、
全体の重量は重くならざるを得ない。また、このようなハンドルを台車上に設けると、全
体が嵩張らざるを得ず、前記のような重量の増大と相まって、この平行2輪乗用移動台車
の持ち運びが困難となり、例えば電車などへの持込、走行路上の段差部分での持ち上げ、
階段の上り下りに際しての持ち運び、収納などが不便であり、特に女性や子供等の力の弱
い人にはその取り扱いは困難とならざるを得ない。
また、上記従来の平行2輪型乗用台車においては、グリップ53によって操行制御を行
っているため、操行方向の調節時には少なくとも片手でグリップを操作する必要があり、
例えば両手に荷物を持っている時には操作できず、また片手に荷物を持っているときも適
切な操行調節をすることが困難になるという問題がある。
一方、このハンドル部を持たない場合には、静止時に不安定であり、車輪の安定化制御
が必要になるという本質的な問題がある。その結果、車輪のスリップ等の予期せぬ外乱に
脆弱であること、常時モータを作動させる必要があるためエネルギー消費が大きいこと、
煩雑に車輪の回転方向を変えるため駆動用モータの耐久性が低くなること、等が問題にな
る。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ハンドルを設けることなく、利
用者の意思に沿って前後方向及び操行方向を自由に制御することができ、かつ、静止時に
安定し、バランスを保持するための力をより小なくした3輪乗用移動台車を提供すること
を目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の3輪型乗用移動台車は、台車の本
体としての機能を有する基台と、前記基台上に前後左右方向に揺動自在に設けられた搭乗
台と、前記基台と前記搭乗台との間の所定の箇所に取り付けられた弾性体と、前記基台の
前方に独立駆動可能にかつ左右平行に取り付けられた一対の前車輪と、前記基台の後方の
ほぼ中央部に取り付けられた1輪の後車輪と、前記一対の前車輪を独立して駆動する一対
のモータと、前記一対のモータの回転角度を検出する一対の回転角度センサと、前記基台
の前後左右方向の傾斜角度を検出する傾斜角センサと、前記搭乗台の基台に対する左右方
向の相対角度を検出する搭乗台傾斜検出手段と、前記各センサの信号に基づいて前記一対
のモータの回転を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記基台傾斜角センサと
搭乗台傾斜検出手段の信号に基づいて当該利用者の前後左右方向の重心位置を検出するこ
とにより前記台車の前後方向の移動加速度を制御することで利用者のバランス制御と、前
記基台の前後進制御を同時に行う前後進制御部と、前記搭乗台傾斜検出手段の信号に基づ
いて操行制御を行う操行制御部とを備えてなることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の3輪型乗用移動台車に係り、前記搭乗台
傾斜検出手段は、搭乗台に設けた搭乗台傾斜センサと当該搭乗台傾斜センサに対応して基
台に設けた基台傾斜センサの信号により検出するものであることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の3輪型乗用移動台車に係り、前記搭乗台
傾斜検出手段は、基台に対して搭乗台を前後左右方向に傾斜自在に支持する傾動支持部の
傾斜角度を検出するものであることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の3輪型乗用移動台車に係り、前記基台及
び前記搭乗台の重心位置の微小変化を力センサ又はギャップセンサを用いて検出すること
を特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の3輪型乗用移動台車に係り、前記1輪の
後車輪は、キャスター車輪であることを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の3輪型乗用移動台車に係り、前記基台は
略矩形に形成され、当該略矩形の4隅に前記弾性体を取り付けたことを特徴とする。
本発明による3輪型乗用移動台車によれば、従来のもののような搭乗台車から突出する
ハンドルを設ける必要がなく、小型軽量化することができ、路面の段差、或いは階段にお
いて、さらには電車においてこれを持ち運ぶ事が容易になるという効果が得られる。
また、従来のもののような左右のグリップの回転操作により操行調節を行う必要がなく
なり、操行方向を利用者の体重移動によって制御することができるので、両手に荷物を持
って移動することも可能となり、特に手の不自由な人でも容易に利用可能になるという効
果が得られる。
さらに、静止時に安定なシステムであるため乗車時の安全性が高いこと、人間がバラン
スを保持するために必要な前後方向の姿勢を保つための力が少なくて済むため、両足を揃
えての乗車が容易となりベース部の前後方向の長さを飛躍的に短くできるという効果が得
られる。
本発明は、ハンドルを持たず、前後移動又はステアリングは基台上に立つ人間の体重移
動のみによって行う3輪型乗用移動台車である。ハードウェア構成は、前車輪が独立駆動
される平行2輪、後車輪が1輪のキャスター車輪の合計3輪の静止時に安定なシステムで
ある。このようなアクチュエータで前後方向に駆動される移動台車は、もし人間が乗車す
ると人間の重心位置とは無関係に駆動されるため、重心位置の高い人間にとっては前後方
向の転倒の危険性が非常に高い。そこで、基台部に力センサ等を搭載することで人間の前
後左右方向の重心位置を検出し、その信号を用いて前後方向の移動加速度を制御すること
で、人間の転倒防止を可能とする制御手法を提案する。前後方向の安定化及び移動制御に
ついては、基台に搭載されている力センサの前後方向の信号を使って、その出力が0にな
るように両車輪を駆動することで可能となる。つまり、前後方向の傾斜に応じた加速度で
基台が駆動されるため、力センサ出力0と傾斜に応じた加速度での移動制御とが同時に実
現される。一方、ステアリングについては左右方向の体重移動を力センサ等により検出し
、その情報を用いて左右の車輪の回転数に差を設けることで行う。すなわち、3輪型乗用
移動台車の機構、前後方向の安定化と移動を同時に実現する制御手法である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る3輪型乗用移動台車の外観を示す概略図であり、図2
(a)は、その正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は上面図を示す。
図1に示すように、この3輪型乗用移動台車1は、ベースとなる基台3と利用者の足を
載置する搭乗台4とからなる台車2と、台車2の前方の左右両側に互いに平行にかつ回動
自在に配置された一対の前車輪5a,5bと、一対の前車輪5a,5bの各々を互いに独立
して回転させる一対のモータ(後述)と、台車2の後方にキャスタ状に配置された1輪の
後車輪6と備えている。搭乗台4は、基台3の傾動支持部(後述)により、基台3に対し
て前後左右方向に自由に傾動可能に支持されている。また、この例では、搭乗台4は、基
台3の上部に配置され、利用者が足を置く箇所としての踏み台9と、必要な信号入力を行
うためのキースイッチ7と、必要な表示を行う表示部8とが設けられている。
図2(a),図2(b)の正面図,側面図に示すように、この搭乗台4と基台3との間に
は、前述した傾動支持部10を中心としてその前後左右部分にスプリング11を設けてお
り、これにより、搭乗台4上に乗った利用者の体重が前後左右方向に移動するとき、搭乗
台4がそれに対応して前後左右に傾斜可能とし、図2(c)の上面図に示すように、搭乗
台4は略矩形状の形状を有し、利用者の重心が搭乗台4のほぼ中央になるように、一対の
前車輪5a,5bと後車輪とで形成される三角形の中心が、搭乗台4のほぼ中心になるよ
うに配置すると好ましい。
図3は、本発明の実施形態に係る3輪型乗用移動台車の内部構成を示す断面図である。
同図に示すように、搭乗台4の下面には、スプリング11と共に、前後左右方向の傾斜
センサ13を設け、基台8には前後左右方向の基台傾斜センサ14を設けている。この両
傾斜センサの信号によって、搭乗台4の基台3に対する相対的な傾斜角度を前後左右方向
に対応して検出することができるようにしている。
基台3には、その左右両側に一対のモータ15,16を備え、各モータによって左右の
前車輪5a,5bを互いに独立して回転可能としている。各モータ15,16には各々回転
角度センサ22,23を設け、モータ15,16の回転角度、すなわちこのモータ15,1
6により図示されない減速機を介して駆動される前車輪5a及び前車輪5bの回転角度を
検出可能としている。また、基台3の下方にはバッテリ17を搭載しており、上方には回
路基板18を備えている。
回路基板18では、搭乗台傾斜センサ13,基台傾斜センサ14,モータ回転角度センサ
22,23からの信号を制御回路で処理し、この3輪型乗用移動台車1の前後左右方向の
移動制御を可能にしている。
図4は、本発明の実施形態に係る3輪型乗用移動台車の制御装置の構成を示すブロック
図である。
上記のような構成からなる3輪型乗用移動台車1においては、上述したような種々のセ
ンサの信号を入力し、所定の作動を行うが、その際には、例えば、図4に示すような制御
システムによって作動させることができる。即ち、制御装置25には制御装置全体の統合
制御を行うソフトウェアで作動するシステム制御部26を備え、搭乗台傾斜センサ(前後
左右方向)13の信号を入力し、基台傾斜センサ(前後左右方向)14の各センサ信号を
入力している。更に、基台3内に設けたキースイッチ7の信号、モータ15の回転を検出
するモータ回転角度センサ22,及びモータ16の回転を検出するモータ回転角度センサ
23の信号を入力している。
また、制御装置25には、特に搭乗台傾斜センサ13、基台傾斜センサ14の信号によ
り車両の前後進を制御する前後進制御部27、車両の進行方向制御する操行制御部29、
及びモータ15の回転数、回転方向を制御するモータ制御部30、同様にモータ16の回
転数、回転方向を制御するモータ制御部31を備えている。また、制御装置25にはキー
スイッチ7の信号を入力し、表示部8に対して必要な表示信号を出力している。
前後左右方向の重心移動の検出方法は、例えば、搭乗台4の中央部の1点を支点に矩形
の4隅をバネ(板バネ、コイルバネ等)で支持し、前後左右方向に揺動可能に基台3に取
り付け、基台3と搭乗台4との間の相対的な前後左右方向の微小変位を前述した搭乗台傾
斜センサ(前後左右方向)13,基台傾斜センサ(前後左右方向)14等により計測する
ことで検出することが可能となる。或いは、この3輪型移動台車1は、傾動支持部10を
中心として、基台3の4隅にスプリング11を配置して搭乗台4を揺動可能にし、基台3
と搭乗台4との微小変位を力センサ又はギャップセンサ等により感知することにより前後
左右方向の重心移動を検出することもできる。
このように、本発明による3輪型乗用移動台車1は、各種センサ(傾斜角度センサ、ギ
ャップセンサ等)や、モータなどが搭載された基台3の両端に独立駆動車輪5a,5b、
キャスタ状の後車輪6が取り付けられている乗用台車で、前後走行に加えてステアリング
走行も可能である。搭乗台は、バネと中央の回転ジョイントを介して基台3上に取り付け
られており、人間の体重のかかり具合によって基台3に対して前後左右方向に傾斜する。
前後左右方向の重心位置は、数箇所に配置された力センサ又はギャップセンサ等により搭
乗台4と基台3との間の距離を計測することで検出可能となる。
以上、説明したように、本発明による3輪型乗用移動台車は、上記のような構成、及び
制御システムを採用することにより、搭乗台4の踏み台9に乗った利用者が前後方向に所
定以上の重心移動を行うときには、前後方向に関しては、搭乗台傾斜センサ13,基台傾
斜センサ14の前後方向の信号とシステム制御部26により推定される前後方向の重心移
動状態を検出し、前後進制御部27がその傾斜の程度を基に左右のモータ15,16を同
方向に回転させ、前後進の制御を行う。また、搭乗台4の踏み台に乗った利用者が左右方
向に所定以上の重心移動を行うときには、搭乗台傾斜センサ13の信号と基台傾斜センサ
14の左右方向の信号により、利用者の上記の体重移動状態を検出し、操行制御部29が
その傾斜の程度を基に左右のモータ15,16を異なる方向、或いは異なる速度で回転さ
せ、進行方向の制御を行う。なお、上記踏み台9には、従来のものと同様に、ダイアフラ
ムスイッチなどを用いてもよい。
次に、図5〜図8を参照して、本発明の実施形態に係る3輪型移動台車の制御方法につ
いて説明する。
上述したように、この実施形態では、前車輪に独立駆動2輪、後車輪にキャスタ車輪、
搭乗台は中央部の1点を支点として4隅をバネ等で支持されており、前後左右の重心移動
は、基台と搭乗台間の相対傾斜角度、あるいは力センサ又はギャップセンサ等で検知する

図5に示すように、人間の足首トルクをT、水平方向の力をF、基台からの鉛直線に対
する足首角度をθ1、目標足首角度をθ1t、人間及び台車の質量をそれぞれmh,mb、人間
の重心回りの慣性モーメントをJh、人間の重心と足首設置点との間の距離をl、台車の
水平方向移動量をxb、重心の地面への投影点のx座標をXzmpとすると、以下のような運
動方程式が成り立つ。
Figure 2006256401
Figure 2006256401
Figure 2006256401
足首トルクTは、上記力センサ等により直接検出可能であり、定常状態では、θ1の1
階微分及び2階微分は無視でき、また、θ1を0点近傍で線形化すると、下式が得られる
Figure 2006256401
制御の際には、トルクセンサ出力を0にするように、Fに制御を施すことで、人間の足
首発生トルクTを0にすることができる。また、実際の制御では、フィルタリング等の工
夫をすればより確実に制御できる。また、上式(4)から、基台3は、人間の傾斜角度に
比例した駆動力、つまり加速度を出力することから、傾斜角度によって前後進を制御でき
ることが分かる。
具体的な制御法について説明すると、人間の足首トルクは、下記のようなバネ・ダンパ
系で制御され、目標足首角度θ1Tを変更することで、足首角度を変えると仮定する。
すなわち、人間の足首角度に関するフィードバックゲインをkp、足首角速度に関する
フィードバックゲインをkvとすると、以下の式が成り立つ。
Figure 2006256401
この足首トルクTは、基台3上の力センサ等により検出可能である。そのため、式(4
)より、θ1が推定できることが分かる。
Figure 2006256401
ここで、台車の並進駆動力をF+とし、足首トルクを0にするため、式(4)の足首ト
ルクTを0とおくと、式(7)の関係が成り立つ。
Figure 2006256401
次に、式(6),(7)からθ1を消去することにより、下式(8)の基台3の並進駆動
力を発生することで、足首トルクTを0にすることができる。
Figure 2006256401
式(8)におけるFは、台車の並進駆動力の観測値である。
次に、上述した制御方法によるシミュレーション実験をした結果について説明する。
図6(a),(b)は、初期足首角度θ1を0.0[deg]、目標足首角度θ1tを0
.5[deg](0〜3[sec])、−2.0[deg](10〜13[sec])と
設定した場合のシミュレーション結果を示す図である。
図6(a)は、縦軸に角度[deg]、横軸に時間[sec]をとった場合の台車の移
動量xb、目標足首角度の曲線ts1、足首角度の曲線s1を示す図である。
まず、目標足首角度の曲線ts1を見ると、時間0[sec]で角度0[deg]の位
置で、時間0〜3[sec]の間に角度0.5[deg]上昇し、時間10[deg]ま
でその角度を維持し、時間10〜13[sec]の間に角度−2.0[deg]まで下降
し、時間14[sec]以降は角度−2.0[deg]を維持している。次に、実際の足
首角度の曲線s1においては、目標足首角度の曲線ts1よりも少し遅れた角度に調節さ
れている。そのシミュレーション結果による台車の移動量xbは、最初の0〜3[sec
]の間は殆ど変化はないが、5.6[sec]あたりから立ち上がり、15,16[se
c]あたりで移動量のピークに達し、その後は急速に小さくなることが分かる。
また、図6(b)は、縦軸に力又はトルク[N]又は[Nm]、横軸に時間[sec]
をとった場合のトルクTの変化、力Fの変化を示す図である。
力Fは、0[sec]で0[N]であったものが、5[sec]あたりで7[N]に達
し、そのままの力を11[sec]あたりまで維持し、その後は急下降し、16[sec
]あたりで−25[N]以下になっている。しかしながら、トルクTはその間ずっと0[
Nm]を維持している。
次に、図7(a),(b)は、初期足首角度θ1を0.5[deg]、目標足首角度θ1
tを0.5[deg](0〜10[sec])、−2.0[deg](10〜20[se
c])と設定した場合のシミュレーション結果を示す図である。
図7(a)は、横軸に時間[sec]、縦軸に足首角度の曲線s1[deg]又は台車
の移動量xb[m]をとった場合のシミュレーション結果を示す図である。
初期足首角度θ1は0.5[deg]であるので、足首角度の曲線s1は0.5[de
g]から出発し、0〜10[sec]は、0.5[deg]のままであり、ほぼ平行な直
線になり、10〜20[sec]は目標足首角度θ1tが−2.0[deg]であるので
、実際には11[sec]あたりから曲線を描いて下降している。台車の移動量xbにつ
いては、0から徐々に放物線状に上昇して、15[sec]あたりをピークにして、その
後は放物線上に下降している。
また、図7(b)は、縦軸に力又はトルク[N]又は[Nm]、横軸に時間[sec]
をとった場合のトルクTの変化、力Fの変化を示す図である。
力Fは、初期足首角度θ1が0.5[deg]であるので、当初からほぼ7[N]の力
が加わり、11[sec]を過ぎたあたりで放物線状に下降している。しかしながら、ト
ルクTはその間ずっと0[Nm]を維持している。
以上説明したように、本発明は、利用者の体の重心移動だけで自由に移動できるので、
両手で荷物を持ちながら移動することもできる。従って、持ち運び可能なパーソナルなビ
ークルとして使用することができる。また、利用する場所としては、当初は、テーマパー
ク、動物園等の広大な敷地内での移動用としての導入が考えられるが、改善することによ
り、種々の場所で利用することができ、用途としても、単なる台車だけでなく、人間の乗
用移動用のビークルとして利用することができる。
以上、本発明の3輪型乗用移動台車の実施形態について説明してきたが、本発明は、こ
の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態においては、基台と搭乗台間の相対傾斜角度、あるいは力セ
ンサ又はギャップセンサ等を用いたが、これに限定されず、他のセンサを用いて前後方向
、左右方向の重心移動を感知するように構成することもできる。
また、上述した実施形態においては、特に携帯用台車として適するものであるが、より
大型の台車にも適用でき、更に同様の技術を車輪走行可能な脚式ロボットなどのロボット
に対しても適用することができる。
本発明の実施形態に係る3輪型移動台車の外観を示す概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る3輪型移動台車の外形を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明の実施形態に係る3輪型移動台車の内部構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る3輪型移動台車の制御システムを示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る3輪型移動台車の重心移動を説明する概略図である。 本発明の実施形態に係る3輪型移動台車のシミュレーション結果を示す図である。(a)は移動量、(b)は力の経時変化を示す。 本発明の実施形態に係る3輪型移動台車のシミュレーション結果を示す図である。(a)は移動量、(b)は力の経時変化を示す。 従来例の外観を示し、(a)は斜視図、(b)は台車部分の分解斜視図である。 従来例の制御システム構成図である。
符号の説明
1…平行3輪台車、2…台車、3…基台、4…搭乗台、5a,5b…前車輪、6…後車輪
、7…キースイッチ、8…表示部、9…踏み台、10…傾動支持部、11…スプリング、
13…搭乗台傾斜センサ(前後左右方向)、14…基台傾斜センサ(前後左右方向)、1
5,16…モータ、17…バッテリ、18…回路基板、22,23…モータ回転角度センサ
、25…制御装置、26…システム制御部、27…前後進制御部、29…操行制御部

Claims (6)

  1. 台車の本体としての機能を有する基台と、
    前記基台上に前後左右方向に揺動自在に設けられた搭乗台と、
    前記基台と前記搭乗台との間の所定の箇所に取り付けられた弾性体と、
    前記基台の前方に独立駆動可能にかつ左右平行に取り付けられた一対の前車輪と、
    前記基台の後方のほぼ中央部に取り付けられた1輪の後車輪と、
    前記一対の前車輪を独立して駆動する一対のモータと、
    前記一対のモータの回転角度を検出する一対の回転角度センサと、
    前記基台の前後左右方向の傾斜角度を検出する傾斜角センサと、
    前記搭乗台の基台に対する前後左右方向の相対角度を検出する搭乗台傾斜検出手段と、
    前記各センサの信号に基づいて前記一対のモータの回転を制御する制御手段と、
    を備え、前記制御手段は、前記基台傾斜角センサと搭乗台傾斜検出手段の信号に基づい
    て当該利用者の前後左右方向の重心位置を検出することにより前記台車の前後方向の移動
    加速度を制御することで当該利用者のバランス制御と、前記基台の前後進制御を同時に行
    う前後進制御部と、前記搭乗台傾斜検出手段の信号に基づいて操行制御を行う操行制御部
    とを備えてなることを特徴とする3輪型乗用移動台車。
  2. 前記搭乗台傾斜検出手段は、搭乗台に設けた搭乗台傾斜センサと当該搭乗台傾斜センサ
    に対応して基台に設けた基台傾斜センサの信号により検出するものであることを特徴とす
    る請求項1記載の3輪型乗用移動台車。
  3. 前記搭乗台傾斜検出手段は、基台に対して搭乗台を前後左右方向に傾斜自在に支持する
    傾動支持部の傾斜角度を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の3輪型乗用
    移動台車。
  4. 前記基台及び前記搭乗台の重心位置の微小変化を力センサ又はギャップセンサを用いて
    検出することを特徴とする請求項1記載の3輪型乗用移動台車。
  5. 前記1輪の後車輪は、キャスター車輪であることを特徴とする請求項1記載の3輪型乗
    用移動台車。
  6. 前記基台は略矩形に形成され、当該略矩形の4隅に前記弾性体を取り付けたことを特徴
    とする請求項1記載の3輪型乗用移動台車。
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