JP6043274B2 - 前二輪式鞍乗り型揺動車両 - Google Patents
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Description
上記揺動車両において、左右に延びるサスペンションアームが車体フレームの左右中央部で揺動可能に支持される場合、車体がバンクして左右前輪が上下動すると、これらが車体左右内側へ変位する。このため、車体が直立状態にある場合よりも舵角を抑える必要が生じる場合がある。
車体がバンクして旋回走行する場合、通常は左右前輪の舵角が大きくなることはないが、旋回走行時にカウンタステアを当てる場合には、左右前輪の舵角が大きくなる。このとき、特に上方移動した前輪(内輪)は、車体フレームに接近した状態で車体フレーム側に転舵されるため、この前輪を支持する懸架部材と車体フレームとの直接的な接触が懸念される。これは、左右前輪のトレッド幅を増加させることでも回避可能だが、車両の大型化を招いてしまう。
請求項2に記載した発明は、前記フレーム側バンパー部材(91)及びフォーク側バンパー部材(96)の少なくとも一方は、上下に長い縦長に形成されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記フレーム側バンパー部材(91)は、前記車体フレーム(5)の左右中央部(23)に単一に設けられることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記フロントフォーク(28L,28R)の左右内側に索状部材(100)が配索され、前記フォーク側バンパー部材(96)は、前記フロントフォーク(28L,28R)の左右内側から前記索状部材(100)を跨ぐように設けられることを特徴とする。
請求項2に記載した発明によれば、車体のフルバンク時に限らずやや浅いバンク角まで含めた広範囲で両バンパー部材を当接させることができる。
請求項3に記載した発明によれば、左右フロントフォークにそれぞれ設けられるフォーク側バンパー部材と合わせて最小限の部品点数とすることができる。
請求項4に記載した発明によれば、ブレーキ配管等の索状部材をフロントフォークの左右内側に隠すように配索した場合、両バンパー部材が当接するような転舵時には索状部材と車体フレーム側との接触の回避も考慮する必要があるが、フォーク側バンパー部材をフロントフォークの左右内側から索状部材を跨ぐように設けることで、索状部材を目立たないように配索可能とした上で、索状部材と車体フレーム側との接触を別途カバー部材等を設けることなく回避することができる。
図1、図2に示す鞍乗り型車両1は、車体前部に左右一対の前輪(操舵輪)2L,2Rを左右対称に備えるとともに、車体後部の左右中央に単一の後輪(駆動輪)3を備え、かつ車体を左右揺動(ローリング動)可能にした前二輪式の揺動車両として構成される。鞍乗り型車両1は、特に記載がなければ左右対称の構成を有する。また、以下の説明では、特に記載がなければ、左右前輪2L,2Rが水平な路面R上に接地した状態で、後述する前二輪懸架装置4に車重分の荷重が加わった1G状態で、車体が左右揺動角度を0度にした直立状態で、左右前輪2L,2Rの操舵角が0°の直進操舵状態にあるときの構成を説明する。なお、本実施形態では、左右対称の構成には左側の符号に「L」、右側の符号に「R」を付して区別するが、前記「L」、「R」を外した符号のみで示すこともある。
図4、図5を参照し、ヘッドパイプ12には、ステアリングシャフト12aが同軸かつ回動自在に挿通、支持される。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の上方に突出する上端部には、バータイプの操向ハンドル11が取り付けられる。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の下方に突出する下端部には、ステアリングリンク75を連結するボトムブラケット12bが取り付けられる。
フロントサブフレーム23は、上下支持フレーム21,22の軸方向を厚さ方向とした厚板形状をなし、車両側面視でヘッドパイプ12よりも鉛直方向に対する傾斜角を小さくして配置される。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、アッパーアーム24の左右の上外支持軸25aL,25aRの軸線C2aL,C2aR、左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcRを車体左右で結ぶ四角形sq1L’,sq1R’は、それぞれ概ね平行四辺形とされる。これにより、アッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの揺動時には、左右タイロッド78L,78Rも略平行に上下動し、左右前輪2L,2Rの舵角への影響が抑えられる。
スプリング装置35は、ロッド式のストロークガイドとコイルスプリングとを組み合わせたもので、車体の直立状態には、中心軸線(ストローク軸線)C5を車両前面視で車体左右中心線CL上に配置する。スプリング装置35の下端部は、フロントサブフレーム23における上揺動軸25よりも下方かつ下揺動軸27よりも上方となる位置に、上下揺動軸25,27と平行な下連結軸37及び球面軸受け35bを介して揺動可能に連結される。図中符号C6,C7は上下連結軸36,37の中心軸線を示す。
一方、図8(b)、図8(c)に示すように、スプリング装置35は、車体が直立状態から左右に揺動したときには、前記最伸長状態から短縮するようにストロークする。すなわち、図8(b)、図8(c)のスプリング装置35の全長L1,L2は、図8(a)の全長L0よりも短くなる。このときのスプリング装置35が伸長しようとする力が、車体を直立状態に戻そうとする復元力となり、かつ車体のローリング動に対する反力となる。
揺動ダンパー38は、直方体形状のハウジング38a内に扇形状の油室を形成し、この油室内でベーンを揺動させることで減衰力を得る(何れも不図示)。ベーンと一体揺動するダンパー揺動軸39は、ハウジング38aの車体搭載時における前面から前方に突出する。このダンパー揺動軸39の突出部分には、揺動レバー41の基端部が一体揺動可能に取り付けられる。
ダンパー揺動軸39、リンク連結軸42a及びダンパー連結軸43は、上下揺動軸25,27と平行な軸である。図中符号C8はダンパー揺動軸39の中心軸線、符号C8aはリンク連結軸42aの中心軸線、符号C9はダンパー連結軸43の中心軸線をそれぞれ示す。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、ダンパー揺動軸39の軸線C8、リンク連結軸42aの軸線C8a、及びダンパー連結軸43の軸線C9を結ぶ四角形sq2は、概ね平行四辺形とされる。
フォークパイプ66の上部は、車両側面視で操舵軸29よりも鉛直方向に対する角度を大きくしてパイプ挿通部65aに挿通される。フォークパイプ66及びパイプ挿通部65aは、左右前輪2L,2Rの内側端よりも左右内側に配置される。
クッションユニット54は、前輪2の上下動によるトレーリングアーム52の揺動によって、軸線C17に沿ってストロークし、前輪2に入力された衝撃等を吸収するとともに前輪2の上下動を減衰させる。
すなわち、前揺動軸53の軸線C11、前輪車軸57の軸線C12、前後揺動軸60,61の軸線C15,C16を車両側面視で結ぶ四角形sq3は、概ね平行四辺形とされる。
車両側面視におけるキングピン軸線C4の下方への延長部分の路面Rとの交点T1’は、前輪2の接地点T1の前方に位置してトレールを生じさせる。車両側面視におけるキングピン軸線C4の鉛直方向に対する傾斜角はキャスター角となる。前輪車軸57は、車両側面視でキングピン軸線C4の前方にオフセットしている。
ベルクランク部材76の第二アーム76bには、左右タイロッド78L,78Rの左右内側端が左右球面軸受け78aL,78aRを介して連結される。左右タイロッド78L,78Rの左右外側端は、それぞれ左右フォーク本体51のアッパーブラケット65の後部に左右球面軸受け78bL,78bRを介して連結される(図2参照)。
図7(a)に示すように、ステアリングシャフト12aの下端部のボトムブラケット12b、これに連結されるステアリングリンク75、及びベルクランク部材76の第一アーム76aは、平行リンク状に配置される。
すなわち、ステアリング軸線C1、中継軸77の軸線C18(図示都合上、点で示す)、ステアリングリンク75前後の球面軸受け75a,75bの揺動中心75ac,75bcを結ぶ四角形sq4は、概ね平行四辺形とされる。これにより、操向ハンドル11の回動角とベルクランク部材76の回動角とが略同一になる(図7(b)、図7(c)参照)。
すなわち、中継軸77の軸線C18、左右タイロッド78L,78R内外の球面軸受け78aL,78bL,78aR,78bRの揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR、及び左右キングピン軸線C4L,C4Rを車体左右でそれぞれ結ぶ左右の四角形sq5L,sq5Rは、それぞれ軸線C18及び左右キングピン軸線C4L,C4R間の距離が左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR間の距離よりも長く形成される。
車体の左右揺動は、上下揺動軸25,27と平行な前上がりの軸中心になされることから、左右前輪2L,2Rを接地させたまま車体を左右揺動させようとすると、左右前輪2L,2Rが車体に対する上下動に伴い前後方向にも互い違いに移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、車体を左右揺動させようとしてもこの揺動が制限される。
そして、1G状態からクッションユニット54をストロークさせてトレーリングアーム52を揺動させると、前輪2は上下動に伴い前後方向にも移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、左右クッションユニット54が別個にストロークすることによる車体の左右揺動が制限される。
一方、図13は、車体がフルバンクに至らない程度にバンクした状態でカウンタステアを当てた状態を示す。このとき、フォーク側バンパー部材96は、その上部の側面をフレーム側バンパー部材91に当接させる。すなわち、図12に対してバンク角が浅くなった分、フロントフォークユニット28及び前輪2の車体左右内側への変位量が少なくなり、カウンタステアの操舵角が増加する。またこのとき、フロントフォークユニット28及び前輪2の上方移動量も少なくなるので、フォーク側バンパー部材96がフレーム側バンパー部材91に対してやや上方に変位した位置で当接する。このように、車体のフルバンク時に限らずやや浅いバンク角まで含めた広範囲で両バンパー部材91,96を当接させることが可能である。なお、カンタステアの操舵角の大きさは、フレーム側バンパー部材91の大きさやフォーク側バンパー部材96の厚さ等により調整可能である。
フォーク側バンパー部材96のみを縦長に形成する構成に限らず、フレーム側バンパー部材91及びフォーク側バンパー部材96の少なくとも一方を縦長に形成する構成であればよい。フロントフォークユニット28の左右内側に配索するブレーキ配管100の本数は問わず、かつブレーキ配管に限定しない。本実施形態ではロアアーム26を左右分割したが、アッパーアーム24を左右分割した構成でもよい。両アーム24,26を左右分割した場合、補強メンバ等を用いて左右アームを繋いだ形態としてもよい。
上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
2L,2R 前輪
5 車体フレーム
23 フロントサブフレーム(左右中央部)
24 アッパーアーム
26L,26R ロアアーム
28L,28R フロントフォークユニット(フロントフォーク)
29L,29R 操舵軸(キングピン軸)
91 フレーム側バンパー部材
96 フォーク側バンパー部材
100 ブレーキ配管(索状部材)
Claims (4)
- 左右一対の前輪(2L,2R)と、
前記左右一対の前輪(2L,2R)をそれぞれ懸架する左右一対のフロントフォーク(28L,28R)と、
前記左右一対のフロントフォーク(28L,28R)をそれぞれ操舵可能に支持する左右一対のキングピン軸(29L,29R)と、
車体フレーム(5)の左右中央部(23)に揺動可能に支持されるとともに、左右外側端部で前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)の上端部をそれぞれ支持するアッパーアーム(24)と、
前記アッパーアーム(24)の下方に設けられ、前記車体フレーム(5)の左右中央部(23)に揺動可能に支持されるとともに、左右外側端部で前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)の下端部をそれぞれ支持するロアアーム(26L,26R)と、を備える前二輪式鞍乗り型揺動車両(1)であって、
前記車体フレーム(5)の左右中央部(23)に取り付けられるフレーム側バンパー部材(91)と、
前記左右一対のフロントフォーク(28L,28R)に取り付けられ、前記左右一対の前輪(2L,2R)の一方が上方移動した状態で他方側に転舵された際に、前記フレーム側バンパー部材(91)に当接するフォーク側バンパー部材(96)と、をさらに備えることを特徴とする前二輪式鞍乗り型揺動車両。 - 前記フレーム側バンパー部材(91)及びフォーク側バンパー部材(96)の少なくとも一方は、上下に長い縦長に形成されることを特徴とする請求項1に記載の前二輪式鞍乗り型揺動車両。
- 前記フレーム側バンパー部材(91)は、前記車体フレーム(5)の左右中央部(23)に単一に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の前二輪式鞍乗り型揺動車両。
- 前記フロントフォーク(28L,28R)の左右内側に索状部材(100)が配索され、
前記フォーク側バンパー部材(96)は、前記フロントフォーク(28L,28R)の左右内側から前記索状部材(100)を跨ぐように設けられることを特徴とする前記請求項1から3の何れか一項に記載の前二輪式鞍乗り型揺動車両。
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