JPWO2019189758A1 - ポリリジン類縁体を含む、細胞増殖促進用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくとも1つのアミノ基がジカルボン酸でモノ置換されたポリリジンを含む、細胞増殖促進用組成物を提供する。

Description

本発明は、細胞増殖を促進するための組成物に関する。より具体的には、本発明は、ポリリジン類縁体を含む、幹細胞の増殖を促進し得る培地添加用の組成物等に関する。
再生医療技術は目覚ましい発展を遂げており、例えば、2014年には、世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われている。再生医療技術は従来技術では治療が困難であった疾患に対して新たな治療戦略を提供することが可能であると考えられており、さらなる発展が期待されている。
一方で、再生医療は比較的新しい技術であるため解決すべき課題も多い。一例としては、再生医療では、移植可能な組織や臓器を誘導するために大量の幹細胞を要する。そのため幹細胞の大量生産技術を確立する必要が生じるが、幹細胞の大量生産には高価な培地が大量に必要となることから、医療費が高騰する問題も懸念されている。
かかる背景から、より安価で扱いやすい成分を用いた幹細胞培養培地が提案されている(特許文献1)。
ポリリジンは、その結合様式から、ε−ポリリジンとα−ポリリジンに大別される。いずれも必須アミノ酸の一つであるリジンが約15〜35個重合したポリマーである。前者はリジン残基の側鎖に存在するε−アミノ基とα−カルボキシル基との間でペプチド結合によりポリマー化したものであり、後者はα位のアミノ基とα−カルボキシル基との間でペプチド結合によりポリマー化したものである。
ε−ポリリジンは食品添加物の一つとしてよく知られており、保存料として用いられている(特許文献2)。また、α−ポリリジンは、培養細胞の付着性を向上させる目的で、培養容器の表面コート剤としてよく利用されている。また、ポリリジンの細胞培養技術への適用としては、細胞および組織の凍結保存用組成物への応用が報告されている(特許文献3)。
特許第6197947号公報 特開2003−171462号公報 国際公開第2009/157209号
本発明は、安全で安価な材料を用いて、細胞増殖を促進し得る新規手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、ポリリジン(特に、ε−ポリ−L−リジンまたはα−ポリ−L−リジン)のアミノ基をジカルボン酸で修飾したポリリジン類縁体を細胞培養用の培地に溶解させることにより、細胞(特に、幹細胞)の増殖を促進し得ることを見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]少なくとも1つのアミノ基がジカルボン酸でモノ置換されたポリリジンを含む、細胞増殖促進用組成物。
[2]ジカルボン酸が、1種または2種以上である、[1]記載の組成物。
[3]ポリリジンが、ε−ポリ−L−リジンまたはα−ポリ−L−リジンである、[1]または[2]記載の組成物。
[4]ジカルボン酸が、以下の式IIIで示される構造のいずれかである、[1]〜[3]のいずれか記載の組成物。
Figure 2019189758
(式中、Xは、置換基を有していてもよい低級アルキレン基、置換基を有していてもよい低級アルケニレン基、または−X−X−X−であり、XおよびXは置換基を有していてもよい低級アルキレン基であり、Xは単結合、置換基を有していてもよい低級アルキレン基、S、またはOである)。
[5]ジカルボン酸が、コハク酸、グルタル酸、ジグリコール酸、チオジグリコール酸、マレイン酸、およびシトラコン酸からなる群から選択される1種または2種以上である、[4]記載の組成物。
[6]1種または2種以上のジカルボン酸の、ポリリジン中のアミノ基への導入率が、10モル%〜100モル%である、[1]〜[5]のいずれか記載の組成物。
[7]細胞が、幹細胞である、[1]〜[6]のいずれか記載の組成物。
[8]幹細胞が、多能性幹細胞である、[7]記載の組成物。
[9]多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、[8]記載の組成物。
[10][1]〜[6]のいずれか記載の組成物を含む、細胞培養用培地。
[11]細胞が、幹細胞である、[10]記載の培地。
[12]幹細胞が、多能性幹細胞である、[11]記載の培地。
[13]多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、[12]記載の培地。
[14][10]記載の培地において、細胞を培養することを特徴とする、細胞増殖を促進する方法。
[15]細胞が、幹細胞である、[14]記載の方法。
[16]幹細胞が、多能性幹細胞である、[15]記載の方法。
[17]多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、[16]記載の方法。
本発明によれば、簡便に細胞(特に、幹細胞)の増殖を促進できるため、大量の細胞を効率よく、且つ安価に調製することができる。
図1は、ポリリジン類縁体1、8、または20を所定の濃度で含有する培地を用いてiPS細胞を培養したときの細胞数を示す図である。
本明細書において使用する用語を以下に定義する。
「ハロゲノ基」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードである。
本明細書における「低級アルキレン基」とは、炭素数1〜6の、直鎖または分岐状のアルキレン基を意味し、具体的には、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、プロピリデン、n−ブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、sec−ペンチレン、tert−ペンチレン、n−ヘキシレン、sec−ヘキシレン、tert−ヘキシレン等の基が挙げられる。
本明細書における「低級アルケニレン基」とは、炭素数2〜6の、直鎖または分岐状のアルケニレン基を意味し、具体的には、ビニレン、アリレン、プロペニレン、ブテニレン、プレニレン、ブタジエニレン、ペンテニレン、ペンタジエニレン、ヘキセニレン、ヘキサジエニレン等が挙げられる。
「低級アルキレン基」および「低級アルケニレン基」は、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば以下が挙げられる。
(1)ハロゲノ基、
(2)ヒドロキシ基、
(3)シアノ基、
(4)ニトロ基、
(5)カルボキシル基、
(6)アルケニル基(C2−10アルケニル基;例、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニル、ヘプテニル、ブタジエニル、ヘキサトリエニル、およびその各異性体)、
(7)アルキニル基(C2−10アルキニル基;例、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、および、その各異性体)、
(8)ハロゲノアルキル基(例、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、およびその各異性体)、
(9)環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでもよい)(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル)、
(10)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(11)ヘテロアリール基(例、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル)、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾイミダゾリル)、
(12)アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2−ペンチルオキシ、3−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ)、
(13)アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、イソペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、2−ペンチルチオ、3−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、2−ヘキシルチオ)、
(14)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(15)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(16)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(17)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(18)環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでもよい)オキシ基(例、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、アジリジニルオキシ、アゼチジニルオキシ、ピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ、モルホリニルオキシ)、
(19)アリールオキシ基(例、アリール基(上記(10)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(20)ヘテロアリールオキシ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(21)ハロゲノアルコキシ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(22)ハロゲノアルキルチオ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が硫黄原子に結合した基)、
(23)ヒドロキシ基で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(24)アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(25)アミノ基、
(26)アルキル基でモノまたはジ置換されたアミノ基、
ここで、「アルキル基」とは、C1−6アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル等が挙げられる。
(27)カルバモイル基、
(28)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル)
(29)スルファモイル基、
(30)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたスルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、エチルメチルスルファモイル)、
(31)アルカノイル基(例、水素原子若しくはアルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(32)アロイル基(例、アリール基(上記(10)と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(33)アルキルスルホニルアミノ基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)
(34)アリールスルホニルアミノ基(例、アリール基(上記(10)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(35)へテロアリールスルホニルアミノ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(36)アシルアミノ基(例、アシル基で置換されたアミノ基)、
ここで、「アシル基」とは、C1−6アルキル基、またはC6−10アリール基を有するアシル基である。ここで、「C1−6アルキル基」とは、上記「アルキル基」のうち、炭素数が1〜6のものであり、「C6−10アリール基」とは、上記「アリール基」のうち、炭素数が6〜10のものである。アシル基としては、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、バレロイル基、イソバレロイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる、
(37)アルコキシカルボニルアミノ基(例、アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換されたカルボニルアミノ基)、
(38)アルキルスルホニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニル基)、
(39)アルキルスルフィニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルフィニル基)、
(40)アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、等が挙げられる。
置換基が2以上存在する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
1.細胞増殖促進用組成物
本発明は、少なくとも1つのアミノ基がジカルボン酸でモノ置換されたポリリジンを含む、細胞増殖促進用組成物(以下、「本発明の組成物」とも称することがある)を提供する。一態様において、本発明の組成物においては、ポリリジンは、1種または2種以上であってもよい。
本発明の組成物に用いられるポリリジンは、ε−ポリ−L−リジン、ε−ポリ−D−リジン、α−ポリ−L−リジン、α−ポリ−D−リジンのいずれであってもよく、また、これらの2種以上の組合せであってもよい。本発明の組成物に用いられるポリリジンとしては、ε−ポリ−L−リジン(式I)またはα−ポリ−L−リジン(式II)が好ましい。
Figure 2019189758
(式中、nは、10〜70(好ましくは、15〜40、より好ましくは20〜40、特に好ましくは、20〜35)の整数である)。
本発明に用いられるε−ポリリジンの数平均分子量は、所望の効果が得られる限り特に限定されないが、通常1,000〜20,000であり、好ましくは1,000〜10,000であり、特に好ましくは、2,000〜5,000であり得る。
Figure 2019189758
(式中、nは、10〜100(好ましくは、20〜100、より好ましくは20〜80、特に好ましくは、60〜80)の整数である)。
本発明に用いられるα−ポリリジンの数平均分子量は、所望の効果が得られる限り特に限定されないが、通常1,000〜20,000であり、好ましくは2,000〜20,000であり、特に好ましくは、7,000〜10,000であり得る。
本発明に用いられるポリリジンは、自体公知の方法により製造することができるほか、市販のものを用いることもできる。市販されるポリリジンの例としては、例えば、「Poly epsilon lysine」(carbosynth Ltd. FP14985)や「Poly−L−Lysine.HCl」(和光純薬工業(株) 339−30753)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明の組成物に用いられるジカルボン酸は、所望の効果を奏する限り特に限定されないが、一態様において、以下の式IIIで示されるジカルボン酸を含む。
Figure 2019189758
(式中、Xは、置換基を有していてもよい低級アルキレン基、置換基を有していてもよい低級アルケニレン基、または−X−X−X−であり、XおよびXは置換基を有していてもよい低級アルキレン基であり、Xは単結合、置換基を有していてもよい低級アルキレン基、S、またはOである)。
一態様において、本発明の組成物に用いられるジカルボン酸は、環状酸無水物を形成し得るジカルボン酸であり、具体的には、コハク酸、グルタル酸、ジグルコール酸、チオジグリコール酸、マレイン酸、またはシトラコン酸であり得る。本発明の特に好ましい態様において、ジカルボン酸は、コハク酸およびグルタル酸であり得る。
式Iまたは式IIに示されるように、ポリリジンは単位構造の側鎖に1級アミノ基を1つ有している。このアミノ基に対してアミド化を介してジカルボン酸を導入することにより、ポリリジンが修飾される(本明細書において、ジカルボン酸で少なくとも1つのアミノ基が修飾されたポリリジンを「ポリリジン類縁体」と称することがある。従って、本発明の組成物は「ポリリジン類縁体を含む、細胞増殖促進用組成物」とも言い換えられ得る)。ポリリジンを修飾するために用いられるジカルボン酸は、上述したジカルボン酸の1種のみであってよく、または2種以上であってもよい。一態様において、ポリリジンを修飾するジカルボン酸の種類は、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、または8種類で有り得る。ポリリジン中の一部の1級アミノ基、または全ての1級アミノ基に対して、1種または2種以上のジカルボン酸を導入することができる。一態様において、ジカルボン酸のポリリジンへの導入率は、所望の効果を奏する限り特に限定されないが、通常、ポリリジン中の1級アミノ基のモル数に対して10モル%〜100モル%、好ましくは20モル%〜100モル%、より好ましくは30モル%〜90モル%、更に好ましくは35モル%〜90モル%、特に好ましくは40モル%〜80モル%であり得る。ジカルボン酸を2種以上用いる場合は、各ジカルボン酸のポリリジンへの導入率の総和が、上記範囲となるようにすればよい。本発明に用いられるポリリジン類縁体の調製方法は、自体公知の方法を用いることができる。簡潔には、以下の実施例で詳細に記述されるように、ポリリジンとジカルボン酸無水物を混合して加熱することにより調製することができるが、これに限定されない。
好ましい一態様において、本発明の組成物に含有されるポリリジン類縁体は、ポリリジンがε−ポリリジンである場合は、コハク酸(導入率10モル%〜95モル%、好ましくは20モル%〜95モル%、より好ましくは40モル%〜95モル%、特に好ましくは50モル%〜95モル%)、グルタル酸(導入率10モル%〜90モル%、好ましくは20モル%〜90モル%、より好ましくは40モル%〜80モル%、特に好ましくは45モル%〜75モル%)、ジグリコール酸(導入率10モル%〜90モル%、好ましくは10モル%〜50モル%、より好ましくは10モル%〜30モル%、特に好ましくは15モル%〜30モル%)、チオジグリコール酸(導入率10モル%〜90モル%、好ましくは20モル%〜90モル%、より好ましくは30モル%〜70モル%、特に好ましくは40モル%〜60モル%)、マレイン酸(導入率10モル%〜90モル%、好ましくは20モル%〜80モル%、より好ましくは30モル%〜60モル%、特に好ましくは50モル%〜60モル%)、シトラコン酸(導入率10モル%〜90モル%、好ましくは20モル%〜90モル%、より好ましくは40モル%〜90モル%、特に好ましくは45モル%〜85モル%)、コハク酸およびチオジグリコール酸の組合せ(導入率10モル%〜90モル%(2種合計)、好ましくは20モル%〜90モル%(2種合計)、より好ましくは40モル%〜70モル%(2種合計)、特に好ましくは50モル%〜60モル%(2種合計))、ならびに、グルタル酸およびシトラコン酸の組合せ(導入率10モル%〜90モル%(2種合計)、好ましくは20モル%〜90モル%(2種合計)、より好ましくは40モル%〜70モル%(2種合計)、特に好ましくは50モル%〜60モル%(2種合計))からなる群から選択されるジカルボンの種類および導入率で修飾されたポリリジンであり得る。また、ポリリジンがα−ポリリジンである場合は、コハク酸(導入率10モル%〜90モル%、好ましくは20モル%〜80モル%、より好ましくは30モル%〜60モル%、特に好ましくは50モル%〜60モル%)で修飾されたポリリジンであり得る。
本発明の組成物中のポリリジン類縁体の配合量は、本発明の所望の効果を発揮できる限り制限されないが、組成物の総重量に対して、通常1〜99.9重量%であり得る。一例としては、本組成物を液体とする場合は、溶解性の点から1〜5%程度とすることができ、また、分散剤とする場合は、70〜90%とすることができるが、これらに限定されない。
本発明の組成物は、提供時あるいは保存時に任意の形状であり得る。当該組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤のような製剤化された固体、または適切な溶媒に溶解した液体、もしくは基板や単体に結合させた状態であり得る。本発明の組成物を製剤化する際の添加物としては、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤;乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニット等の賦形剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤;脂肪酸エステル等の界面活性剤;グリセリン等の可塑剤等が挙げられる。これらの添加物は上記のものに限定されることはなく、利用可能であれば当業者が自由に選択してよい。
本発明の組成物を溶解させた細胞培養用の培地(培養液を含む)を用いて細胞を培養することで、細胞の増殖を促進することができる。
本発明の組成物は、所望の効果を奏する限り、あらゆる培地に適用することができる。一例としては、DMEM、EMEM、IMDM(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)、GMEM(Glasgow’s MEM)、RPMI−1640、α−MEM、Ham’s Medium F−12、Ham’s Medium F−10、Ham’s Medium F12K、Medium 199、ATCC−CRCM30、DM−160、DM−201、BME、Fischer、McCoy’s 5A、Leibovitz’s L−15、RITC80−7、MCDB105、MCDB107、MCDB131、MCDB153、MCDB201、NCTC109、NCTC135、Waymouth’s MB752/1、CMRL−1066、Williams’ medium E、Brinster’s BMOC−3 Medium、ReproFF2培地(リプロセル社)、StemFit(登録商標)AK培地(味の素株式会社)、TeSRTM−E6(STEMCELL Technologies)、mTeSR1培地(STEMCELL Technologies)、TeSR2培地(STEMCELL Technologies)、RHB培地(StemCells,Inc.)、Improved MEM Zinc Option培地、hESF−GRO培地(ニプロ株式会社)、HESF−DIF培地(ニプロ株式会社)、CSTI−7(株式会社細胞科学研究所)、F−12培地、Essential 8培地(Life Technologies)、Essential 6培地(Life Technologies、DMEM/F12培地、BGJb培地、又はこれらの混合培地等に、本発明の組成物を適用することができる。また、好ましい一態様において、多能性幹細胞培養用の基礎培地である、StemFit(登録商標)AK培地(味の素株式会社)、Essential 8培地(Life Technologies)、mTeSR1培地(STEMCELL Technologies)、TeSR2培地(STEMCELL Technologies)、RHB培地(StemCells,Inc.)、TeSRTM−E6(STEMCELL Technologies)、hESF−GRO培地(ニプロ株式会社)、HESF−DIF培地(ニプロ株式会社)、CSTI−7(株式会社細胞科学研究所)、Essential 6培地(Life Technologies)等に、本発明の組成物を適用することができる。
本発明の組成物の培地への添加量は、所望の効果を奏する限り特に限定されないが、通常、ポリリジン類縁体の培地中の濃度が0.001〜10mg/mL、好ましくは0.005〜5mg/mL、更に好ましくは0.01〜3mg/mL、特に好ましくは0.03〜3mg/mLとなる添加量とすることができる。なお、ポリリジン類縁体の培地中の濃度は、培養条件や培養形態(例えば、接着培養または浮遊培養)等を考慮して適宜変更することができる。
本発明の組成物を溶解させた培地を用いて培養することで増殖が促進される細胞の種類に制限はないが、細胞は幹細胞であることが好ましく、多能性幹細胞であることがより好ましい。
本明細書において「多能性幹細胞」とは、自己複製能及び分化/増殖能を有する未熟な細胞であって、生体を構成する全ての組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。多能性幹細胞の例としては、胚性幹細胞(ES細胞)、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)(Takahashi K et al.,Cell.2007 Nov 30;131(5):861−72)、精子幹細胞(mGS細胞)(Kanatsu−Shinohara M et al.,Biol Reprod.2007 Jan;76(1):55−62)、胚性生殖細胞(Matsui Y et al.,Cell.1992 Sep 4;70(5):841−7)などが挙げられる。
多能性幹細胞は自体公知の方法により入手できる。例えば、胚性幹細胞(ES細胞)は、哺乳動物の胚盤胞中の内部細胞塊を培養する方法(例えばManipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual, Fourth Edition 2014 Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載の方法)、体細胞核移植によって作製された初期胚を培養する方法(Wilmut et al.,Nature.1997 Feb 27;385(6619):810−3、Wakayama et al.,Nature.1998 Jul 23;394(6691):369−74、Wakayama T et al.,Science.2001 Apr 27;292(5517):740−3)などが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに胚性幹細胞は所定の機関から入手することもできる。例えば、ヒトES細胞であるKhES−1細胞、KhES−2細胞およびKhES−3細胞は、京都大学再生医科学研究所より入手可能である。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)の入手方法の例としては、核初期化物質(例えば、Oct3/4,Sox2,c−Myc及びKlf4等)を体細胞へ導入する方法(Takahashi K et al.,Cell.2006 Aug 25;126(4):663−76、WO2007/069666国際公開公報)が挙げられるが、これに限定されない。また、人工多能性幹細胞は、Takahashi K et al.,Nat Protoc.2007;2(12):3081−9、Aoi et al.,Science.2008 Aug 1;321(5889):699−702、Takahashi,K et al.,Cell.2007 Nov 30;131(5):861−72、Yu,J et al.,Science.2007 Dec 21;318(5858):1917−20、Nakagawa,M et al.,Nat Biotechnol.2008 Jan;26(1):101−6、などに記載の方法に準じて作製することができるが、これらに限定されない。
さらに人工多能性幹細胞は所定の機関から入手することもできる。例えばヒトiPS細胞である253G1細胞、201B7細胞は、iPSアカデミアジャパン株式会社から購入することができる。
胚性生殖細胞は、常法に従って始原生殖細胞を単離し、これをLIF、bFGFおよびSCFの存在下で培養することにより誘導することができる。また、mGS細胞はWO2005/100548に記載される方法に準じて、精巣細胞から作製することができる。
多能性幹細胞は、好ましくは胚性幹細胞又は人工多能性幹細胞(iPS細胞)であり、より好ましくは人工多能性幹細胞(iPS細胞)である。
これらの多能性幹細胞の由来は、通常、哺乳動物である。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類、ウサギ等のウサギ目、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の有蹄目、イヌ、ネコ等のネコ目、ヒト、サル、アカゲザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、マウス等のげっ歯類又はヒト等の霊長類由来の多能性幹細胞であり、より好ましくは、ヒト由来の多能性幹細胞であり、最も好ましくは、ヒト人工多能性幹細胞である。
本発明の組成物を溶解させた培地を用いての細胞培養の条件は、自体公知の方法に基づき、適宜設定すればよい。例えば、培養温度は、細胞の増殖促進等の所望の効果を達成し得る限り特に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃である。CO濃度は、約1〜10%、好ましくは約2〜5%である。酸素濃度は、通常1〜40%であるが、培養条件などにより適宜選択される。また、培養形態として、接着培養、浮遊培養、包埋培養、組織培養のいずれを用いてもよい。
2.細胞培養用培地
本発明はまた、本発明の組成物を含む、細胞培養用培地(以下、「本発明の培地」と称することがある)を提供する。
一態様において、本発明の培地は、細胞培養用の培地にポリリジン類縁体を溶解させることにより調製される。細胞培養用の培地は公知または市販の培地であってもよい。公知または市販の培地、および培地に溶解させるポリリジン類縁体の濃度は、「本発明の組成物」において記載したものと同様である。
本発明の培地の形態は、所望の効果が得られる限り特に限定されず、例えば、液体培地、半流動培地、及び固形培地の形態として調製することができる。また、本発明の培地を、粉末状の形態として調製してもよい。粉末状の形態に調製することにより、輸送や保存が容易となり得る。かかる粉末状の培地は、使用直前に滅菌水等を添加し、必要に応じて、メンブレンフィルター等を用いて滅菌することにより、簡便に液体培地とすることができる。本発明の培地は、接着培養、浮遊培養、包埋培養、組織培養等のいずれの培養形態にも用いることができる。
本発明の培地により増殖が促進される細胞の種類は、「本発明の組成物」において記載したものと同様である。
3.細胞培養方法
本発明はまた、本発明の培地において、細胞を培養することを特徴とする細胞増殖を促進する方法(以下、「本発明の方法」と称することがある)を提供する。
本発明の方法は、ポリリジン類縁体を溶解させた培地において細胞を培養することを含む、細胞増殖を促進する方法であり得る。
本発明の方法に用いられる既存の細胞培養用の培地、培地に溶解させるポリリジン類縁体の濃度、増殖が促進される細胞の種類および細胞培養の条件等は、「本発明の組成物」において記載したものと同様である。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]ポリリジン類縁体の調製
以下に示す方法により、様々なポリリジン類縁体を調製した。
ポリリジン類縁体1
ε−ポリ−L−リジン塩酸塩(Carbosynth Ltd. FP14985)2.0g(Lys 1ユニットあたり12.2 mmol)を水30mLに溶解し、塩基性イオン交換樹脂30mL (Amberlite(登録商標)、IRA−400をアルカリ洗浄してフリー体にしたもの)を加えて振とう後、1時間静置した。桐山漏斗を用いて樹脂をろ去し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣を水10mLに溶解させた。コハク酸無水物726mg(7.26mmol、 Lys 1ユニットあたり0.6当量)を加え、60℃で2時間撹拌した。放冷後、凍結乾燥し、ε−ポリ−L−リジンのコハク酸修飾体を白色固体として2.12g得た。
1H-NMR(D2O、400MHz)δ= 1.12-1.53(76.6, m), 1.53-1.90(42.1,m), 2.36-2.62(53.5,m),2.845-3.00(2.55,m), 3.00-3.30(36.5,m), 3.60-3.74(1.0,m), 3.74-3.97(5.5,m), 3.98-4.23(12.4,m)
H−NMRの3.8ppm付近のブロードピークをアシル基未導入のリジン残基α位プロトン、4.1ppm付近のブロードピークをアシル化されたリジン残基α位プロトンと捉え、アシル化導入比率を算出した。
アシル基導入率(ポリリジン類縁体1)=0.69
ポリリジン類縁体2〜19、30、31
以下の表1に示される環状酸無水物の種類および量を用いて、ポリリジン類縁体2〜19、30、31を調製した。ポリリジン類縁体2〜19については、反応条件はポリリジン類縁体1の調製において用いた条件と同様のものを用い、ポリリジン類縁体30、31については、原料としてε−ポリ−L−リジン塩酸塩(Carbosynth Ltd. FP14985、Lys 1ユニットあたり12.2 mmol)の代わりに、公知の方法で合成可能な20量体のε−ポリ−L−リジンTFA塩(Lys 1ユニットあたり11.6 mmol)を用いた。必要に応じて凍結乾燥前にMwCO1000Daの透析チューブで透析を行った。アシル基導入率も同様にして算出した。
Figure 2019189758
ポリリジン類縁体20
α−ポリ−L−リジン塩酸塩(和光純薬339−30753)1.0g(Lys 1ユニットあたり6.1 mmol)を水:アセトニトリル=1:1からなる混合液10mLに溶解し、炭酸水素ナトリウム613mg、コハク酸無水物365mg(Lys 1ユニットあたり0.6当量)を順に加え、60℃で2時間撹拌した。空冷後、反応液を、外液を交換しながら2日間透析し(MWCO=1000)、得られた溶液を凍結乾燥することにより、α−ポリ−L−リジンのコハク酸修飾体を白色個体として906mg得た(アシル基導入率=0.60)。
ポリリジン類縁体21および22
以下の表2に示される環状酸無水物の種類および量を用いて、ポリリジン類縁体21および22を調製した。反応条件はポリリジン類縁体1の調製において用いた条件と同様のものを用い、0.5〜1gの修飾体を20mLの水に溶解後、1M−NaOHでpH7となるように中和後、凍結乾燥することにより合成した。
Figure 2019189758
[実施例2]ポリリジン類縁体の細胞増殖促進効果1(培養後コロニー形成数の評価)
実施例1で調製したポリリジン類縁体を細胞培養培地に溶解させ、その細胞増殖促進効果を確認した。
より詳細には、iPS細胞は、iPSアカデミアジャパン社より購入した201B7株を用いた。細胞培養は、ビトロネクチン(ライフテクノロジー社)をコートした培養容器(日本ベク卜ンディッキンソン製24ウェルセルカルチャープレート)を用い、5%CO、37℃の条件で行った。Essential8培地(インビ卜ロジェン社製)に、被験化合物水溶液を所定の濃度となるよう添加して被験培地とした。これを直ちに、もしくは、4℃中2〜4週間保管した後に、培養に用いることにより、その効果を検討した。iPS細胞懸濁液は600cell/wellとなるよう播種した。播種時に使用する培地にはY−27632を添加(最終濃度10μM、ナカライテスク社製:08945−84)した。播種より2日目にY−27632を添加していない被験培地に交換した。播種より3日後に、接着した細胞の様子を蛍光顕微鏡BZ−X700(キーエンス社)を用いて、取扱説明書に準じて位相差画像を9視野/well(面積0.57cm)撮影した。各wellにおけるコロニー数を、上記装置付属の解析ソフトを用いて計測し、被験化合物を添加せずに同様の培養を行った際のコロニー数と比較した。
活性強度は、ポリリジン類縁体非添加群に対して3倍以上のコロニーが形成されたものを「++」、1.2倍以上のコロニーが形成されたものを「+」として示した。また、ポリリジン類縁体の添加濃度を併記した。結果を以下表3に示す。
Figure 2019189758
[実施例3]ポリリジン類縁体の細胞増殖促進効果2(培養後細胞数の評価)
iPS細胞は、iPSアカデミアジャパン社より購入した201B7株を用いた。細胞培養は、ビトロネクチン(ライフテクノロジー社)をコートした培養容器(日本ベク卜ンディッキンソン社、Falcon培養シャ一レもしくはFalcon培養プレ一卜)を用い、5% CO/37℃の条件で行った。Essential 8培地(インビ卜ロジェン社製)に、ポリリジン類縁体1、8または20の水溶液を所定の最終濃度となるよう添加して被験培地とした。これを直ちに、もしくは、4℃中2〜4週間保管した後に、培養に用いることにより、その効果を検討した。播種時に使用する培地にはY−27632を添加(最終濃度10μM、ナカライテスク社製:08945−84)した。翌日以降はY−27632を添加していない被験培地で培養した。2〜3日毎に培地交換を行い、6日間培養後、細胞数を測定した。細胞数の測定は、「改訂細胞培養入門ノー卜、77〜83頁、2010年、羊土社」に記載の方法により行い、被験化合物を添加せずに同様の培養を行った際の細胞数と比較した。結果を図1に示す。
[実施例4]ポリリジン類縁体の細胞増殖促進効果3(培養後コロニー形成数の評価)
Essential8の代わりにStemFit(登録商標)AK02を用いる以外は、実施例2と同様の条件で実験を行い、ポリリジン類縁体の細胞増殖促進効果を確認した。活性強度は、ポリリジン類縁体非添加群に対して3倍以上のコロニーが形成されたものを「++」、1.2倍以上のコロニーが形成されたものを「+」として示した。また、ポリリジン類縁体の添加濃度を併記した。結果を以下表4に示す。
Figure 2019189758
本発明によれば、大量の細胞(特に、幹細胞)を効率よく、且つ安価に調製することができるため、再生医療の分野において極めて有益である。
本出願は、日本で出願された特願2018−069852(出願日:2018年3月30日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (17)

  1. 少なくとも1つのアミノ基がジカルボン酸でモノ置換されたポリリジンを含む、細胞増殖促進用組成物。
  2. ジカルボン酸が、1種または2種以上である、請求項1記載の組成物。
  3. ポリリジンが、ε−ポリ−L−リジンまたはα−ポリ−L−リジンである、請求項1または2記載の組成物。
  4. ジカルボン酸が、以下の式IIIで示される構造のいずれかである、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
    Figure 2019189758

    (式中、Xは、置換基を有していてもよい低級アルキレン基、置換基を有していてもよい低級アルケニレン基、または−X−X−X−であり、XおよびXは置換基を有していてもよい低級アルキレン基であり、Xは単結合、置換基を有していてもよい低級アルキレン基、S、またはOである)。
  5. ジカルボン酸が、コハク酸、グルタル酸、ジグリコール酸、チオジグリコール酸、マレイン酸、およびシトラコン酸からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項4記載の組成物。
  6. 1種または2種以上のジカルボン酸の、ポリリジン中のアミノ基への導入率が、10モル%〜100モル%である、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
  7. 細胞が、幹細胞である、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
  8. 幹細胞が、多能性幹細胞である、請求項7記載の組成物。
  9. 多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、請求項8記載の組成物。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物を含む、細胞培養用培地。
  11. 細胞が、幹細胞である、請求項10記載の培地。
  12. 幹細胞が、多能性幹細胞である、請求項11記載の培地。
  13. 多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、請求項12記載の培地。
  14. 請求項10記載の培地において、細胞を培養することを特徴とする、細胞増殖を促進する方法。
  15. 細胞が、幹細胞である、請求項14記載の方法。
  16. 幹細胞が、多能性幹細胞である、請求項15記載の方法。
  17. 多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、請求項16記載の方法。
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