JP2012217342A - 多能性幹細胞その他の分散浮遊可能な細胞用の凍結保存液および凍結保存法 - Google Patents

多能性幹細胞その他の分散浮遊可能な細胞用の凍結保存液および凍結保存法 Download PDF

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Abstract

【課題】再生医療に応用可能なヒト多能性幹細胞を、ジメチルスルホキシドなどの有害な凍結保存剤や動物由来成分を用いずに安全に効率よく凍結保存可能な凍結保存用組成物および凍結保存方法を提供する。
【解決手段】ε-ポリ-L-リジンに無水コハク酸を反応させて、ε-ポリ-L-リジンのアミノ基の60%以上をカルボキシル基に変換する。このようにして得た高分子化合物を、生理的食塩水などに5〜7.5w/w%溶解させ、エチレングリコール6〜7.5M、スクロース0.75Mを含有した溶液としたガラス化液とする。この組成により低温での水の結晶化が抑制され、-70〜-300℃/minの冷却速度域で安定なガラス状態が得られるため、効率の高い凍結保存が可能となった。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒトや動物の多能性幹細胞、その他の幹細胞、生殖細胞、膵島細胞などといった、コロニーまたはシングルセルの単位で分散液中に浮遊分散させることが可能な細胞を凍結保存するための方法及びそのための凍結保存液に関する。特には、幹細胞などの、コロニーにて培養及び保存することが適切な細胞を保存するにあたり凍結解凍障害を軽減可能な凍結保存法及びそのための保存液に関する。
近年の再生医療の飛躍的研究の発展に伴い、ヒト由来多能性幹細胞の医療応用研究が盛んとなってきている。ヒト多能性幹細胞にはおもに胚性幹(ES)細胞、人工多能性幹(iPS)細胞などがあり、特にiPS細胞の発明により、再生医療応用のみならず創薬スクリーニングなど様々な面での応用が現実味を帯びてきている。例えば疾患特異的iPS細胞などにより遺伝的疾患の機序解明および治療薬の創出などが期待されている。再生医療への応用では各種有用細胞への分化研究が盛んに行われており、例えば網膜や神経などに分化させての移植が現実味を帯びてきている。ただし、これらの再生医療応用は、臨床研究としての第一歩であり、あくまで特定の患者へのオーダーメイド医療となり、広い意味での臨床応用すなわち誰もがアクセスできる医療としてはまだまだクリアしていくべき課題は多い。
例えば、皮膚などの細胞を採取してからiPS細胞を樹立するまでに1ヶ月から2ヶ月の期間が必要で、さらにそれから必要な幹細胞に分化誘導をするため、かなりの待機時間が必要とされる。しかしその場合、急な疾患や事故などには対応できないという問題がある。そこで、iPS細胞のバンキングが提案されている。その場合2つの問題点が存在する。免疫拒絶と保存技術である。患者の細胞からiPS細胞を樹立した場合は、本人の細胞であるため拒絶は起こらない。しかしバンキングするということは他者の細胞を移植に使用するということであるため、確実に免疫反応が起こる。しかし、異なるHLA型の細胞から樹立したiPS細胞をある程度集めてバンキングすることで、免疫反応をできるだけ低減させることが可能である。もう一つの問題が保存効率である。ヒトES細胞やiPS細胞は凍結に対する感受性が高く、凍結保存が困難とされている。通常ヒトES細胞やiPS細胞はシングルセルに分散させるとアポトーシスを起こすため、コロニーにて培養する。従って凍結時にもコロニー単位で凍結を行うことが一般的である。しかしコロニーは細胞集団であるため均一に凍結することが困難であり、通常のセルラインのように10%ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液にて-80℃フリーザー中に放置するような緩慢凍結法では解凍後の生存率が1%以下というように実用に耐えないぐらいに低い。一方でROCK阻害剤を用いてES細胞やiPS細胞のアポトーシスを阻害することでシングルセルの状態にて凍結する方法も提案されている。しかしROCK阻害剤は傷付いた細胞がアポトーシスによって排除されるという細胞のクオリティコントロールを正常に働かなくすることから、問題のある細胞が生き残ることとなり、細胞の質が低下するおそれがある。そこで、ROCK阻害剤を用いずにコロニーの状態で高い効率で凍結保存する方法が求められている。これまでに同じく凍結保存が困難な受精卵などの保存法としてガラス化法が開発されている。この方法は溶質濃度と凍結スピードを高め、水の結晶化を抑えることで、それに付随する物理的ダメージを抑制する方法である。ヒトES細胞ではDMSO、アセトアミド、プロピレングリコールの混合液であるDAP213というガラス化液を用いた方法で20%前後の回復率が得られたという報告がある。回復率とは、コロニーの懸濁液を未凍結系と凍結系に分け、解凍して数日間培養した凍結系の総細胞数を未凍結系で同期間培養した際の総細胞数で除した値を指し、この数値が大きいほど凍結効率が高いと考える。DAP213を用いたガラス化液は緩慢凍結法の1%以下に比べると格段に高くなっており、実用性に耐えうる数字であるため、日本ではヒトESやiPS細胞の凍結保存にはこの方法がよく使われている。
しかし、この方法の問題点は20%という回復率が依然として低い点と、手技の困難さにある。回復率が20%ということは、80%もの細胞が死んでしまうことということであり、すなわち凍結に強い細胞が選択されることを意味する。これを繰り返すことで細胞の集団に変化が蓄積されることが可能性として排除できない。従って望むべくは過半数以上の細胞が生存するような凍結法への改良である。また、手技が困難であるということは、DAP213がDMSO 2M、アセトアミド1M、プロピレングリコール3Mという濃度の高い溶液であるため浸透圧が高く、細胞へのダメージが非常に高いため、溶液と細胞との接触時間と細胞毒性との間に強い相関があるために生じる問題である。すなわちDAP213溶液にES/iPS細胞コロニーを懸濁させてからできるだけ早く液体窒素にバイアルごと浸漬させなくては解凍後の回復率に影響するため、熟練が必要であるということである。一般には懸濁に要する時間は10秒程度が望ましく、1秒単位で結果が異なるといわれる。そのような厳密な条件で凍結保存を行わなければならないような技術では、一般化は困難である。さらにDMSOはES細胞の分化に影響を及ぼすといわれ、また、アセトアミドは発ガン性物質である。このように組成にも改良の余地が残されており、必ずしも現状の保存液、保存方法が最適とは決して言えない状況である。
一方、同様にコロニーにて保存または培養される膵島細胞または膵島様細胞についても、膵島バンキングなどを行うための、より良好な保存方法及び保存液が望まれている。
他方、ヒトや動物の生殖細胞や各種幹細胞、さらには、肝細胞などについても、より良好な保存方法及び保存液が望まれている。
特開2011-030557 特開2010-213692 特開2010-273549
現状の凍結保存法であると、特にヒトES/iPS細胞の凍結保存は、解凍後の回復率が低く、手技に熟練が必要で一般化が困難である。また、多くの場合、毒性が高く、分化に影響を及ぼす物質が使用されている。そこで本発明は、解凍後の回復率がこれまでよりも高く、低毒性で分化に影響を及ぼさない成分で構成された凍結保存液を提供するとともに、これを用いることにより手技が簡便で容易に凍結保存が可能であるような凍結保存法を提供することを目的とする。
本発明の凍結保存法は、アミノ基及びカルボン酸基を各繰り返し単位中に有する両性高分子化合物1〜20重量%と、低分子量(分子量1000未満)の糖類0.25M〜1.5Mと、低分子量(分子量1000未満)の非糖類多価アルコール5M〜7Mを溶解させた生理溶液を凍結保存液として用い、該保存液中に細胞のコロニーまたはシングルセル(個々に遊離した細胞)を分散させて、-70℃/min〜-300℃/minにて冷却を行うことを特徴とする。ここで、両性高分子化合物としては、好ましくは、カルボン酸基及びアミノ基を繰り返し単位中に有するポリアミノ酸またはその誘導体を用いる。特に好ましくは、ポリリジンの側鎖アミノ基を部分的に無水カルボン酸付加によりカルボキシル化(エステル化)したカルボキシル化ポリリジンを用いる。なお、本願において、高分子化合物は、数平均分子量が1000以上の化合物をいうこととし、糖類及び非糖類多価アルコールにおける低分子量とは、ポリグリセリンといった分子量分布を有する化合物である場合、数平均分子量が1000未満を意味することとする。また、カルボン酸基の語は、カルボン酸塩の形態のものを含めたカルボキシレート基を意味することとする。
本発明の凍結保存液は、上記の両性高分子化合物1〜20重量%、糖類0.25M〜1.5M、及び非糖類多価アルコール5M〜7Mを含む。
水の再結晶化防止剤としての両性高分子化合物と、低分子量の多価アルコールとからなる凍結保存液を用い、特には多価アルコールとして非糖類多価アルコールと糖類との組み合わせを用いることで、従前のガラス化法よりも緩慢な冷却を行っても、安定なガラス状態を獲得することを可能にする。そのため、クライオチューブやクライオバイアルなどと呼ばれるバイアル、またはその他の容器を液体窒素に直接浸漬することによる急激な冷却を行わなくとも、液体窒素蒸気中またはプログラムフリーザーなどを用いて作成した低温雰囲気下にて凍結することでガラス状態を形成させることが可能となる。また、特には、カルボキシル化ポリリジンなど両性高分子化合物による氷再結晶抑制効果を利用し、保存液のガラス状態を安定化させることで、急冷時および解凍時の結晶化、再結晶化を抑制することから、凍結時および解凍時の細胞へのダメージを低減し、凍結効率を高める効果が期待される。
このような凍結技術により、安全で効率の高いヒトiPS細胞その他の細胞の凍結保存技術を提供することができる。すなわち、再生医療に応用可能なヒトiPS細胞などを当該保存液に浸漬して-150℃雰囲気または液体窒素中もしくは液体窒素蒸気中でガラス状態とし、凍結保存することで毒性の高いジメチルスルホキシド、安全性に問題のある血清タンパクを使用せずに生存率、分化能を維持したまま保存することが可能である。既存の凍害防御剤であるジメチルスルホキシドを使用しないため、凍結する細胞に対する毒性が低く抑えられ、機能を維持したまま長期間凍結保存することが可能である。また、ウシ胎児血清、アルブミンなどのタンパク質成分を使用しないため感染症などの心配がなく、生物製剤によるロット間格差も影響しない。さらには、安全で効率が高く、実験者の手技に影響されずに、また、自動化が可能なヒトES/iPS細胞その他細胞の凍結保存が可能となる。
ガラス化液(スクロース0.75M含有)を用いたヒトiPS細胞の回復率に与える、PLL(0.65)とエチレングリコール濃度の影響および冷却温度の影響。 エチレングリコール6.5M、スクロース0.75M、PLL(0.65)7.5%で-99℃/minの冷却条件にて凍結保存したヒトiPS細胞の未分化マーカー発現。アルカリホスファターゼ、Oct-4、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81の発現がすべて陽性である。 エチレングリコール6.5M、スクロース0.75M、PLL(0.65)7.5%(ε-ポリ-L-リジンの遊離アミノ基(側鎖及び末端のアミノ基)のうち65モル%がコハク酸エステルとなっているポリリジンの7.5%水溶液)で-99℃/minの冷却条件にて凍結保存したヒトiPS細胞のin vitro多能性評価。胚様体を作成後、分化誘導をかけたところ、内胚葉由来(AFP)、外胚葉由来(nestin)、中胚葉由来(αSMA)のタンパクの発現が陽性であった。 エチレングリコール6.5M、スクロース0.75M、PLL(0.65)7.5%で-99℃/minの冷却条件にて凍結保存したヒトiPS細胞のin vivo多能性評価。マウス背部皮下への埋植により奇形腫が形成された。中胚葉(軟骨:Cartilage)、外胚葉(神経上皮:neuroprithelium)、内胚葉(内胚葉性上皮:endodermal epithelium)由来の組織の形成が見られる。 エチレングリコール6.5M、スクロース0.75M、PLL(0.65)7.5%で-99℃/minの冷却条件にて凍結保存したヒトiPS細胞の染色体異常評価。G-Band法による染色体像によると、染色体異常は見られなかった。
保存対象となる細胞としては、人工多能性幹(iPS)細胞、胚性幹(ES)細胞などの多能性幹細胞、及び各種の幹細胞の他、膵島から取り出された膵島細胞、膵島前駆細胞などより得られる膵島様細胞、各種の生殖細胞及び生殖器官細胞などが挙げられる。各種の幹細胞には、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞などが挙げられる。また、生殖細胞及び生殖器官細胞には、精子、卵母細胞、子宮内膜細胞、卵管上皮細胞、羊膜細胞、未受精卵細胞及び受精卵細胞などが挙げられる。以上に挙げた細胞種に限らず、場合によっては、内膜細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、肝細胞などを凍結保存することもできる。すなわち、コロニーまたはシングルセルの状態にて保存液または培養液中に分散させることが可能でありさえすれば、本発明の凍結技術を適用することが可能である。
好ましくは、本発明の凍結保存液は、水の再結晶化防止剤として、カチオン性基及びアニオン性基、特にはアミノ基及びカルボン酸基を有する水溶性の両性高分子を実質上1〜20%含み、その他組成は生理食塩水に糖類を0.25〜1M、エチレングリコールやグリセリン、プロピレングリコールなどの低分子量の多価アルコールを6〜8M添加した生理的溶液である。水の再結晶化防止剤としての両性高分子は、特に好ましくはカルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンである。
低分子量の糖類は、特に好ましくは、スクロース(ショ糖;非還元性二糖、水酸基8個)、トレハロース(非還元性二糖)、グルコース(単糖)、ラフィノース(非還元性三糖)などであり、これらからなる群から選ばれる一種以上を用いることができる。低分子量の糖類としては、ラクトース(還元性二糖)、マルトース(麦芽糖;還元性二糖)、マンノース(単糖)、ガラクトース(単糖)、フルクトース(果糖;単糖)なども同様に好適に用いることができ、以上に挙げた糖類化合物からなる群から選ばれる一種以上を適宜に用いることができる。低分子量の糖類としては、これらに限らず、単糖、二糖及び三糖のうちから適宜に選択して用いることができ、場合によっては、オリゴ糖などを部分的に配合することもできる。本発明の凍結保存液中における低分子量の糖類の濃度としては、0.25M〜1.5Mを適した範囲ということができ、好ましくは0.5M〜1Mであり、0.6〜0.9Mを特に好ましい範囲として挙げることができる。なお、単糖、二糖及び三糖のいずれであるかにより、水酸基当量が大きく異なるため、これらの濃度範囲は、二糖に換算した濃度とすることができる。すなわち、水酸基モル数ベースの濃度では、0.03M〜0.2Mを適した範囲ということができ、好ましくは0.06M〜0.13Mであり、0.07M〜0.11Mを特に好ましい範囲として挙げることができる。
低分子量の多価アルコールとしては、特に好ましくは、上記のエチレングリコール、グリセリン、及びプロピレングリコールからなる群から選ばれる一種以上である。この中でもエチレングリコールを最も好ましいものとして挙げることができる。低分子量の多価アルコールとしては、上記の他、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトールなどの糖アルコールを好適に用いることができ、また、ジエチレングリコールやトリエチレングリコールを用いることもできる。すなわち、以上に挙げた多価アルコールからなる群から選ばれる一種または二種以上の組み合わせを用いることができる。場合によっては、ポリグリセリンなどの比較的分子量の大きい多価アルコール化合物を部分的に配合することもできる。本発明の凍結保存液中における低分子量の多価アルコールの濃度は、記のエチレングリコール、グリセリン、及びプロピレングリコールを用いる場合、特にはエチレングリコールである場合、約6Mから約7M、特には5.8〜7.3Mであるのが好ましく、最も好ましくは6.3M〜7.3Mである。このような濃度範囲とすることにより、一方ではガラス化状態を安定化させるための充分な効果を得るとともに、他方では、高濃度の多価アルコールによる細胞への悪影響を充分に小さくすることができる。但し、特にはソルビトールなどを用いる場合、水酸基当量が大きく異なるため、水酸基モル数ベースの濃度が、約3Mから3.5Mあまり、特には2.9〜3.7Mであるのが好ましく、最も好ましくは3.1M〜3.7Mである。但し、多価アルコールの種類により、水酸基の数が同じでも水和作用などに相違があるため、多少のずれが生じるものと推測される。
本発明の凍結保存液をなす生理的溶液には、上記の他に、ポリエチレングリコール、フィコール(Ficoll;ショ糖とエピクロロヒドリンとの共重合体)、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、パーコール(Percoll;ポリビニルビロリドンで表面を被覆した粒径15〜30nmのコロイダルシリカの水系分散液)、アルブミンなどの高分子化合物を添加することも可能である。
カルボキシル基を導入したε-ポリ-L-リジンをはじめとする両性高分子化合物は、それ自体で細胞の凍結保護効果がある。その機序としては凍結時の膜保護等複数の原因が考えられるが、その中に氷の再結晶抑制効果が挙げられる。具体的なデータは省略するが本件発明者らが、種々の割合でカルボキシル基を導入したポリリジンを添加した30%スクロース溶液の低温時の氷再結晶を調べたところ、凍結保護活性が得られるカルボキシル基導入割合と氷の再結晶抑制効果に強い相関が見られた。これまでの本件発明者らの研究経過からカルボキシル基の導入割合は50〜80mol%が凍結保護効果および氷再結晶抑制効果が高く、最も適した導入率は60mol%〜70mol%である。
一般の動物培養細胞、樹立細胞、ガン細胞などを保存するための冷却工程においては、緩慢凍結法といわれる凍結法が一般に採用されている。緩慢凍結法では10重量%程度の凍結保護剤の存在下において-1℃/min程度の冷却速度にて凍結する。このことにより細胞内の自由水を脱水し、細胞内の微細構造を破壊することなく凍結保存が可能となる。しかし、ヒトES細胞やiPS細胞はこの方法での凍結効果が低いため、コンセプトの全く異なる凍結法であるガラス化法が推奨されている。ガラス化法(Vitrification法)は溶液の溶質濃度を高めたガラス化液中に細胞を懸濁させ、液体窒素中にバイアルごと浸漬することにより例えば約300℃/minにて急速に凍結することで水の結晶化を防ぎ、ガラス状態で固化させる方法である。この方法により水の膨張などによる細胞への毒性が抑制される。ガラス化保存の問題点の一つとして、溶解時にも急速に解凍しないと、再結晶化が起こり、細胞にダメージが与えられることが挙げられる。そこで、一般には溶解時には液体窒素から出したあと、+37℃に暖めた培地でできるだけ急激に溶解することが推奨されている。しかし、このときに再結晶化をなるべく起こさないためには熟練した技術が必要とされてきた。本発明によるとカルボキシル化ポリリジンなど両性高分子化合物による氷再結晶抑制効果を利用し、保存液のガラス状態を安定化させることで、急冷時および解凍時の結晶化、再結晶化を抑制することから、凍結時および解凍時の細胞へのダメージを低減し、凍結効率を高める効果が期待される。
また、ガラス化液は通常溶質濃度が6M以上という非常に濃厚な水溶液であるため、浸透圧による細胞毒性が強いという問題がある。そのため、DAP213などの既存のES/iPS細胞のガラス化では凍結前の撹拌を15秒程度で行わなければ細胞が死滅してしまうなどの問題が生じ、ここでも実験者の手技が大きく影響してくる。本発明では例えばカルボキシル化ポリリジンとスクロースの添加により溶液の粘度を上げることと、細胞膜保護効果により、浸透圧が与える影響が軽減されることを確認した。この結果から、懸濁に要する時間に余裕が生じ、実験者の手技にほとんど左右されることなく安定したガラス化保存が行える。さらに、凍結時に液体窒素に直接浸漬する方法では自動化などが困難であるが、本発明では当該保存液を用いることによりプログラムフリーザーなどであらかじめ作成しておいた-150℃〜-90℃の雰囲気下にバイアルを入れ同雰囲気温度を維持することにより得られるある程度緩慢な冷却速度下でもガラス化を起こし、効果の高い保存が行われることを示した。すなわち、バイアルを液体窒素に直接投入する際の冷却速度が-200℃/min程度であるのと比較して、その半分の冷却速度においてもガラス状態で固化することが確認された。従って本発明の保存液と保存のための凍結条件を用いれば、安全で効率が高く、実験者の手技に影響されずに、また、自動化が可能なヒトES/iPS細胞の凍結保存が可能となる。
前述のように、本発明の凍結保存液は、生理的溶液に、カルボキシル化ポリリジンなどの、繰り返し単位中にカチオン性基及びアニオン性基を有する水溶性高分子化合物が1〜50w/w%溶解されてなる。好ましくは2〜20w/w%、特に好ましくは3〜15w/w%溶解されてなる。また、エチレングリコールなどの多価アルコールが3M〜9M、好ましくは5M〜8M、さらに好ましくは6M〜7M溶解されてなる。また、スクロースなどの糖類が0.25M〜1.5M、好ましくは0.5M〜1M含まれてなる。
生理的溶液としては、生理食塩水の他、各種の細胞または組織用の一般的な培養液を用いることができる。例えば、ダルベッコ改変イーグルMEM培地(DMEM)を好ましいものとして挙げることができる。
凍結保護成分である両性高分子化合物は、好ましくは数平均分子量が1000〜100,000、より好ましくは1000〜2万である。好ましい両性高分子化合物であるカルボキシル化ポリアミンポリマーは、ポリアミンポリマーの繰り返し単位に含まれるアミノ基側鎖に、部分的にカルボキシル基が導入されたものである。カルボキシル基を導入するにあたり、無水ジカルボン酸を反応させるのが好ましいが、場合によっては、カルボキシメチル化などであっても良い。ポリアミンのうち、ポリリジンが最も好ましい。
ポリリジンは、ε-ポリ-L-リジンもしくはε-ポリ-D-リジン、α-ポリ-L-リジン、α-ポリ-D-リジンのいずれであっても良い。これらのうち、最も好ましい高分子種として、微生物または酵素により生産される数平均分子量が1000〜2万、特には1000〜1万のε-ポリ-L-リジンを挙げることができる。ε-ポリ-L-リジンは、ストレプトマイセス属(Streptomyces)に属する放線菌により生産されてもっぱら食品添加物として用いられており(http://www.chisso.co.jp/fine/jp/polylisin/index.html)、重合度15〜35のものの他、重合度が20以下のものの生産も試みられている(例えば、特開2003-171463、特開2005-318815)。数平均分子量または数平均重合度の測定は、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)法により、例えば、アトー(株)製の電気泳動装置及びデンシトグラフ(AE-6920V型)を用いて容易に測定することができる。このとき、標準タンパクマーカーを用いる。なお、ポリリジンその他のポリアミノ酸は、加熱処理による高分子量化により分子量3万以上として用いることもできる。しかし、粘度の上昇を防ぐ等の観点から上記の分子量範囲が好ましい。末端のみにフリーのカルボキシル基を有するポリリジンは、側鎖に1級アミノ基のみを有しているが、後述するように無水カルボン酸を用いて部分的にアミド化することで、優れた混和性能ないし可溶化性能を発揮するものと考えられる。特には、無水ジカルボン酸などを反応させて部分的にカルボキシル化することで、優れた性能を発揮することができる。
ポリリジンその他のポリアミンのアミノ基は、好ましくは、部分的に、無水コハク酸によってカルボキシル化される。この際、ポリアミンのアミノ基について、好ましくは50〜99モル%、特には50〜93%、より好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは55〜80モル%、最も好ましくは58〜76モル%をカルボキシル化する。ここで用いられる無水コハク酸に代えて、無水クエン酸、無水グルタル酸、無水リンゴ酸、無水フマル酸、及び無水マレイン酸などの無水ジカルボン酸でも可能である。これらのうち、無水コハク酸を特に好ましいものとして挙げることができる。また、ここで、ポリリジンに代えて、ポリアルギニンやポリアスパラギン酸などといった、アミノ基側鎖を有するアミノ酸からなるポリアミノ酸を用いることもできる。また、場合によっては、キトサンを用いることもできる。
さらには、上記のようなカルボキシル化ポリアミノ酸に代えて、ポリグルタミン酸のカルボン酸側鎖を、部分的にアミノ化したものを用いることもできる。また、場合によっては、ポリアリルアミンのアミノ基を、上記のポリリジンの場合と同様に部分的にカルボキシル化したポリアリルアミンを用いることもできる。すなわち、高分子化合物の繰り返し単位が、アミノ基及びカルボキシル基を共に有するのが特に好ましい。特に好ましい態様において、カルボキシル化またはアミノ化により側鎖にアミド結合部が導入されている。なお、ポリアミンポリマーに対するカルボキシル基の導入に代えて、またはカルボキシル基の導入とともに、スルホネート基などの他のアニオン基を導入することもできる。
本発明の凍結保存液には、必要に応じて、抗酸化剤その他の添加剤が添加することができる。細胞が凍結から解凍される際に酸化ストレスによるダメージを受けると言われており、抗酸化剤を添加することで効果が高まることも期待される。抗酸化剤は例えば、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、ビタミンE、ビタミンC、エピガロカテキンガレートなどのポリフェノール類またはグルタチオンなどが挙げられる。
次に、本発明の凍結保存法の好ましい実施形態によると、上記の凍結保存液に細胞のコロニーまたはシングルセルを分散させ、クライオチューブまたはクライオバイアルと呼ばれる円筒状または円筒の先端側がコニカル状のバイアル中に入れて密栓した後、プログラムフリーザー等の温度調節機器を用いて作成した-150℃〜-90℃の雰囲気下にバイアルを入れ、同雰囲気温度を維持する。ここで用いるバイアルは、一般に、ポリプロピレンなどのプラスチック製であって壁の厚みが例えば0.2〜0.4mmであるが、内径が2〜5mmといった急速凍結用のストロー状のバイアルの他、上記の緩慢凍結法でのバイアルを用いることができる。すなわち、径が10〜20mm、例えば12〜17mmであって、容量が例えば1〜10mLのものを用いることができる。そのため、急速凍結用のバイアルを用いる場合に比べて大量の細胞を効率よく凍結保存することができる。
特には、プログラムフリーザー等により、細胞分散液について、好ましくは-70℃/min〜-150℃/min、特に好ましくは-80℃/min〜-120℃/minでの冷却を容易に行うことができる。この範囲の冷却速度であれば、比較的穏やかにガラス化が進むため均一に固化し、またガラス化が両性高分子化合物の添加により安定化されていることから溶解時の再結晶化によるダメージも抑制することができる。特には、幹細胞などといった、凍結時及び解凍時にダメージを受け易い細胞について、良好な保存を実現することができる。
すなわち、上記の本発明の凍結保存液を用いるとともに、プログラムフリーザー等の温度調節機器を用いて作成した-150℃〜-90℃の雰囲気下にバイアルを入れ同雰囲気温度を維持することにより、安定したガラス化が得られ、半自動化、自動化凍結法を開発することが可能である。
ここで、プログラムフリーザーは、予め設定された冷却プログラムにしたがって自動冷却を行う装置であり、一般に液体窒素に浸漬するなどの冷却浴が不要で複数のバイアルを設置しての自動冷却が可能であることから、凍結保存にかかるコスト及び手数を低減することができる。例えば大陽日酸株式会社のプログラムフリーザー「CMシリーズ」について、使用状況に合わせた適宜の改変を加えて用いることができ、バイブレーション機能などを用いて非常に均一な冷却を行うことができる。
なお、上記の本発明の凍結保存液を用いるならば、バイアルを液体窒素に直接浸漬する方法などにより、従来のガラス化法と同様の-200℃/min〜-300℃/minの冷却速度で冷却を行っても、かなりの凍結保存効果を得ることができる。したがって、本発明の凍結保存液は、-70℃/min〜-300℃/minの冷却速度での凍結保存に用いることができる。
以下、この発明の実施例及び比較例を示す。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1 凍結保存溶液の調整>
ε-ポリ-L-リジン(チッソ社製、分子量4000)は25%水溶液のものを用い、分子中のアミノ基に対し、モル%で0〜100%の無水コハク酸(和光純薬工業製)を添加することでカルボキシル基導入率の異なるポリリジンを作成した。ポリリジン分子中のアミノ基のカルボキシル基への置換率はTNBS法(トリニトロベンゼンスルホン酸法によるアミノ基の定量法)により求めた。(なお、以降、たとえばポリリジンのアミノ基のうち65モル%をカルボキシル基に置換した場合、「PLL(0.65)」と表示することとする。)PLL(0.65)溶液をダルベッコ改変培地(DMEM、シグマアルドリッチ製)に0〜20w/w%となるように添加した。このPLL(0.65)溶液に、添加物としてエチレングリコール(和光純薬)を5〜7.5M、スクロースを0.75Mとなるように添加した。この際、pHが6.4〜8.0の範囲内になるように1Nもしくは5N水酸化ナトリウム水溶液で中和した。一方、比較例の凍結保存溶液としてDAP213を作成した。この際、DMSO、アセトアミド、プロピレングリコールはすべて和光純薬工業製を用い、それぞれ、2M、1M、3Mを生理食塩水に溶解し作成した。
<実施例2 温度降下速度測定>
エチレングリコール6.5M、スクロース0.75M、PLL(0.65)7.5%のガラス化液を1mLクライオバイアル(Simport Plastics)に熱電対を入れ、そのバイアルを液体窒素中に浸漬、もしくは、あらかじめ-150℃にチャンバー内を冷却しておいたプログラムフリーザー(大陽日酸)内に投入、もしくは室温のチャンバーに投入後、液体窒素蒸気を吹き付けて-150℃に急冷した時の温度降下速度を定量した。その結果を表1に示した。
液体窒素直接投入では-294.8℃/minという冷却速度であったが、-150℃雰囲気下投入及び液体窒素吹きつけでは冷却速度が1/3〜1/4程度小さくなることがわかった。
<実施例3 各冷却条件での各種ガラス化液のガラス化状態評価>
エチレングリコール5〜7.5M、スクロース0.75M、PLL(0.65)0〜7.5%の各ガラス化液と、比較例としてDAP213ガラス化液を1.5mLマイクロチューブに200μL添加した状態で実施例2にて得られた3種の冷却条件で冷却し、ガラス化が起きるかどうかを検討した。また、解凍時に室温で放置し、再結晶化が起きるかも評価した。評価法は、目視で判定し、透明なままであればガラス化および再結晶化が起こらなかったとして○評価、白濁すれば結晶化が起きたとみなし×評価、ひび割れや一部白濁などを△評価とした。その結果を表2に示した。
DAP213は-294.8℃/minの冷却速度ではガラス化が起きたが、-99.3℃/minでは不完全なガラス化となり、-72.7℃/minの冷却速度ではガラス化が起きなかった。また、室温放置では再結晶化が進行し、白濁することが確認された。一方、エチレングリコールの濃度を変えたガラス化液の系では、5MではPLL(0.65)を添加しない系では液体窒素に直接投与条件で一部白濁、その他の緩慢ガラス化条件では白濁し、ガラス化されなかった。また、再結晶化はいずれの条件でも起こり、白濁した。しかし、PLL(0.65)を添加することでガラス化が安定し、7.5%添加系においてはいずれの条件でもガラス化することが確認された。しかしながらそのEG濃度ではPLL(0.65)の添加条件下でも再結晶化を防ぐことはできなかった。また、EGの濃度を高めることによりガラス化が安定となることが見て取れ、いずれの条件でもPLL(0.65)の添加濃度依存的にガラス状態の安定化が見られた。特にEG6MではPLL(0.65)の添加効果が顕著であり、無添加ではいずれの条件でも再結晶化が起こるにもかかわらず、7.5%添加することによりいずれの条件でもガラス化が起こり、再結晶化が起こらないことが確認できた。また、EG7M以上ではガラス状態がかなり安定となり、7.5MではPLL(0.65)の添加にかかわらずすべての条件でガラス状態の安定化が見られた。
<実施例4 各ガラス化条件によるヒトiPS細胞の凍結保存>
凍結保存実験に供したヒトiPS細胞は京都大学iPS研究所より供与された253G1株、継代数20〜70までを用いた。
SNL細胞をフィーダー細胞として培養したヒトiPS細胞(1mg/mLコラーゲナーゼタイプIV、1mMCaCl2、0.25%トリプシン/PBS溶液)で5分間処理し、コロニーの状態で回収した。回収したiPS細胞コロニー懸濁液を試験区分の遠心管に分注し、一つは凍結を行わない未凍結区とし、フィーダー細胞上に播種し、培養を行った。また、試験区はそれぞれDAP213および、EG濃度、PLL(0.65)濃度を変化させたスクロース0.75M含有ガラス化液200μLにて30秒間懸濁を行い、上記3種の冷却速度条件にてガラス化保存を行った。解凍はそれぞれ37℃に暖めた培地を1mLバイアルに添加し、素早く撹拌して溶解後、9mLの培地にて洗浄し、フィーダー細胞上で培養を行った。評価は4日間培養を行った時の各条件ごとの総細胞数を、同じ実験群の中の未凍結区の4日間培養を行ったときの総細胞数で除したものを回復率として比較した。その結果を図1に示す。
その結果、DAP213では-294℃/minの場合に20%程度の回復率が得られたが、それ以下の冷却速度ではかなり低い回復率となった。一方、EG系ではすべての濃度でDAP213よりも高い回復率が得られ、また、PLL(0.65)の添加濃度依存的に高い値が得られた。しかしEGが7.5Mの様な高濃度では細胞への毒性が高いため回復率が低下した。興味深いことに、EG6.5Mでは-294℃/minに比べ、-99℃/minの方が回復率が高い系が特にPLL(0.65)添加系で見られた。これは液体窒素に浸漬することであまりに急激な温度変化による体積変化によりひび割れることが多く、そのため、iPS細胞が物理的ダメージを受けることが原因の一つと考えられる。従って-99℃/minの冷却速度であれば比較的穏やかにガラス化が進むため均一に固化し、またガラス化がPLL(0.65)の添加により安定化されていることから溶解時の再結晶化によるダメージも抑制することが可能となり、既存の凍結保存液および方法よりもすぐれた技術であるといえる。
<実施例5 凍結保存ヒトiPS細胞の性質評価>
本発明の手法で凍結保存したヒトiPS細胞がiPS細胞としての機能を解凍後も示すことを確認する必要がある。そこで、まず、EG6.5M、スクロース0.75M、PLL(0.65)7.5%で凍結し、解凍した後のヒトiPS細胞がin vitroにて未分化マーカーを発現しているかを免疫染色法およびアルカリホスファターゼ染色により調べた結果を図2に示す。確認した未分化マーカーはアルカリホスファターゼ、Oct-4、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81である。アルカリホスファターゼはシグマのアルカリホスファターゼ活性キットを用い、赤色発色を光学顕微鏡で観察した。その他の5つの未分化マーカーに関してはそれぞれの一次抗体で処理した後、各抗体に適した二次抗体の蛍光を蛍光顕微鏡で観察した。二次抗体に結合した蛍光色素の関係でOct-4、SSEA-3、TRA-1-60陽性細胞は緑色蛍光、SSEA-4、TRA-1-81陽性細胞は赤色蛍光を発する。図2には、蛍光顕微鏡により得られたカラー画像をRGB分解後、緑色蛍光のものは緑色成分のみ、赤色蛍光のものは赤色成分のみを示す。図2より、すべてのマーカーが陽性であり、本発明法で凍結保存したヒトiPS細胞は未分化能を保っていることが確認された。
また、in vitroでの多能性評価として、ヒトiPS細胞から胚様体を形成させ、その後分化誘導をかけることで、三胚葉由来のタンパク発現を確認した。その結果を図3に示した。図3も、図2と同様に、蛍光顕微鏡により得られたカラー画像をRGB分解後、緑色蛍光のもの(Nestin及びαSMA)は緑色成分のみ、赤色蛍光のもの(AFP)は赤色成分のみを示す。αフェトプロテイン(AFP)は肝臓由来のタンパクであり、内胚葉への分化を示している。Nestinは神経由来のタンパク質であり、外胚葉への分化を示している。また、α平滑筋アクチン(αSMA)は筋肉のマーカーであり、中胚葉への分化を示している。これらすべてのマーカーが陽性であることから、in vitroにおいて本発明手法で凍結したiPS細胞は多能性を維持しているということができる。しかし、さらに多能性幹細胞としての分化能を評価する方法としてiPS細胞をマウスに埋植し、奇形腫の形成を見る方法がある。これは、iPS細胞がin vivoにおいても多能性を発揮するかどうかを確認する方法で、ESやiPS細胞の多分化能を確認する上でよく用いられる手法である。本発明保存手法で凍結解凍したヒトiPS細胞を約1×106個を100μLの生理食塩水に懸濁し、SCIDマウス(日本クレア、5週齢雌、n=5)の背部皮下に注射により移植した。10週間後、移植部位に形成された腫瘍を取り出し、ヘマトキシリン−エオジン染色により組織学的に評価を行った。その結果が図4である。図4は、顕微鏡による画像をRGB分解後、緑色成分のみを示す。図4より、形成された腫瘍に中胚葉の軟骨(Cartilage)、外胚葉の神経上皮(Neuroepithelium)、内胚葉の内胚葉性上皮(endodermal epithelium)が確認され、三胚葉由来の組織が混在する奇形腫であることが確認された。すべてのマウス(N=5)で同様の結果であった。これらの未分化能、多能性評価の結果より、本発明の凍結保存用組成物および冷却条件で保存したヒトiPS細胞は多能性幹細胞としての機能が維持されることが確認された。

<実施例6 ヒトiPS細胞の染色体異常評価>
ヒトiPS細胞は移植される可能性があるため、操作技術などにより遺伝子異常が起こることは望ましくない。簡易に遺伝子異常を調べる手段として、染色体異常を評価する手法がある。これにより染色体の欠失や重複などの異常が判別できる。本発明保存液および手法で凍結保存したヒトiPS細胞の形状をG-Band法により調べた結果を図5に示した。この結果より、すべての染色体に異常は見られなかったことから、本発明手法によりヒトiPS細胞は遺伝子異常を引き起こさずに凍結保存可能であった。

Claims (7)

  1. アミノ基及びカルボン酸基を繰り返し単位中に有する両性高分子化合物1〜20重量%と、分子量1000未満の糖類化合物0.25M〜1.5Mと、分子量1000未満の非糖類多価アルコール5M〜7Mとを溶解させた生理溶液を凍結保存液として用い、該保存液中に細胞のコロニーまたはシングルセルを分散させて、-70℃/min〜-150℃/minにて冷却を行うことを特徴とする細胞の凍結保存法。
  2. アミノ基及びカルボン酸基を繰り返し単位中に有する両性高分子化合物1〜20重量%と、分子量1000未満の糖類化合物を水酸基モル数ベースの濃度で0.03M〜0.2Mと、分子量1000未満の非糖類多価アルコールを水酸基モル数ベースの濃度で2.9〜3.7Mとを溶解させた生理溶液を凍結保存液として用い、該保存液中に細胞のコロニーまたはシングルセルを分散させて、-70℃/min〜-300℃/minにて冷却を行うことを特徴とする細胞の凍結保存法。
  3. 前記両性高分子化合物は、ポリアミノ酸の側鎖アミノ基のうちの一部に、無水ジカルボン酸を反応させた形のアミド結合によりカルボン酸基が導入されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の凍結保存法。
  4. 前記糖類化合物がスクロース、トレハロース、グルコース、ラフィノース、ラクトース、マルトース、マンノース、ガラクトース及びフルクトースからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の凍結保存法。
  5. 前記非糖類多価アルコールが、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の凍結保存法。
  6. 細胞のコロニーまたはシングルセルを分散させて凍結保存するための凍結保存液であって、アミノ基及びカルボン酸基を繰り返し単位中に有する両性高分子化合物1〜20重量%と、分子量1000未満の糖類化合物0.25M〜1.5Mと、分子量1000未満の非糖類多価アルコール5M〜7Mとを生理溶液に溶解させてなることを特徴とする凍結保存液。
  7. 前記両性高分子化合物は、繰り返し単位中にアミノ基側鎖を有するポリアミノ酸について、アミノ基の50〜99モル%に無水ジカルボン酸を反応させた形のカルボキシル基を導入した部分カルボキシル化ポリアミノ酸であり、
    前記糖類化合物が、スクロース、トレハロース、グルコース、ラフィノース、ラクトース、マルトース、マンノース、ガラクトース及びフルクトースからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
    前記前記非糖類多価アルコールが、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の凍結保存液。
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