JP2015100287A - 凍結による細胞内分子導入法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)
培養細胞の培地を、
カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液であって、
ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる、被導入分子担持ナノ粒子を添加されて含む凍結保存液に、置換する工程、
被導入分子担持ナノ粒子が添加された凍結保存液とともに、培養細胞を凍結する工程、
を含む、被導入分子を培養細胞に導入する方法。
(2)
培養細胞の培地を、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液であって、ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる、被導入分子担持ナノ粒子を添加されて含む凍結保存液に、置換する工程が、
培養細胞の培地を、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液に置換する工程、
ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる、被導入分子担持ナノ粒子を、置換された凍結保存液に、添加する工程、
を含む工程である、(1)に記載の方法。
(3)
凍結保護剤であるカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンにおいて、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)が0.8〜19の範囲にある、(1)〜(2)のいずれかに記載の方法。
(4)
凍結保護剤であるカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)
凍結保存液が、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを5〜15質量%の濃度で含む培地である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)
ナノ粒子が、10nm〜300nmの範囲の粒径の粒子である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)
ナノ粒子が、自己会合性有機分子による自己会合体である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)
自己会合性有機分子が、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジン、又はリン脂質分子である、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)
ナノ粒子が、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが自己会合してなるナノ粒子、又はリン脂質分子が自己会合してなるリポソームである、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(10)
自己会合性有機分子である、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンにおいて、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置に疎水性部分とカルボキシル基が導入され、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)
自己会合性有機分子である、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンにおいて、
ε−ポリ−L−リジンに残ったアミノ基のモル数x、
アミノ基と疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数y、
アミノ基と無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数z、が、次の数式:
0.01≦y/(x+y+z)≦0.10 (数式1)
0.20≦z/(x+y+z)≦0.80 (数式2)
を満たす、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12)
さらに、x、y、zが、次の数式:
0.30≦(y+z)/(x+y+z)≦0.80 (数式3)
を満たす、(11)に記載の方法。
(13)
被導入分子が、タンパク質分子、又は核酸分子である、(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)
培養細胞を凍結する工程、の後に、
凍結された培養細胞を、解凍する工程、
を含む、(1)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)
(1)〜(14)のいずれかに記載の方法によって、被導入分子が導入された培養細胞を製造する方法。
(21)
疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが自己会合してなるナノ粒子であって、
疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置に疎水性部分とカルボキシル基が導入され、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなり、
ε−ポリ−L−リジンに残ったアミノ基のモル数x、
アミノ基と疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数y、
アミノ基と無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数z、が、次の数式:
0.01≦y/(x+y+z)≦0.10 (数式1)
0.20≦z/(x+y+z)≦0.80 (数式2)
を満たす、ナノ粒子。
(22)
さらに、x、y、zが、次の数式:
0.30≦(y+z)/(x+y+z)≦0.80 (数式3)
を満たす、(21)に記載のナノ粒子。
(23)
ナノ粒子が、10nm〜300nmの範囲の粒径の粒子である、(21)〜(22)のいずれかに記載のナノ粒子。
本発明による、被導入分子を培養細胞に導入する方法は、培養細胞の培地を、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液であって、ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる、被導入分子担持ナノ粒子を添加されて含む凍結保存液に、置換する工程、被導入分子担持ナノ粒子が添加された凍結保存液とともに、培養細胞を凍結する工程、を含む方法によって、行うことができる。
[導入された細胞の製造法]
本発明は、上記方法によって、被導入分子が導入された培養細胞を製造する方法にもある。
本発明によって、被導入分子が導入される培養細胞には特に制約はないが、高い効率の導入を実現するためには、凍結操作時にナノ粒子が細胞表面にアクセスしやすいよう、単細胞分散又は少数の細胞数の細胞塊が分散された形態の培養細胞であることが好ましい。このような細胞として、例えば、免疫系細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞といった細胞がある。
本発明によって、細胞内に導入される分子には特に制約はなく、例えば、タンパク質分子、核酸分子、その他のシグナル性分子がある。タンパク質分子としては、機能性のタンパク質分子、例えば、抗体、酵素、増殖因子、サイトカインなどを挙げることができる。
培養細胞の培地は、培養細胞に応じた培地を使用することができる。このような培地として、例えば、DMEM培地、RPMI培地、イーグル培地などを挙げることができる。
本発明において、凍結に先立って、培養細胞の培地は、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液に置換される。凍結保存液は、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを添加した以外には、培養細胞の培地と同じ成分を含有させて、使用することができる。好適な実施の態様において、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンの濃度は、凍結保存液全体に対して、例えば、1.0質量%〜20質量%の範囲、好ましくは5.0質量%〜15質量%の範囲、さらに好ましくは5.0質量%〜10質量%の範囲とすることができる。
カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンにおいて、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)が、例えば0.8〜19の範囲、好ましくは1.0〜18の範囲、さらに好ましくは1.5〜15の範囲とすることができる。
[カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンの合成]
カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンは、ε−ポリ−L−リジンから出発して、例えば、次のスキーム1にしたがって、合成することができる。
凍結保存液への置換の操作は、公知の技術によって適宜行うことができ、例えば、培養細胞の上清を廃棄した後に、凍結保存液を添加して、培養細胞を分散させてもよい。
ナノ粒子は、ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる被導入分子担持ナノ粒子として、使用される。ナノ粒子は、粒径が、例えば、10nm〜300nmの範囲、10nm〜200nmの範囲、20nm〜200nmの範囲にある。本発明において、ナノ粒子の粒径とは、凍結保存液のpHと塩濃度の条件下で、動的光散乱法による測定(ゼータサイザー、Malvern Instruments Ltd製)によって求められた平均粒子径である。
好適な実施の態様において、ナノ粒子は、自己会合性有機分子による自己会合体であり、例えば、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが自己会合してなるナノ粒子、又はリン脂質分子が自己会合してなるリポソームである。
好適な実施の態様において、ナノ粒子を形成する自己会合性有機分子として、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを使用することができる。このような分子としては、ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置に疎水性部分とカルボキシル基が導入され、ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる分子を使用することができる。好適な実施の態様において、ε−ポリ−L−リジンに残ったアミノ基のモル数x、アミノ基と疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数y、アミノ基と無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数z、が、次の数式:
0.01≦y/(x+y+z)≦0.10 (数式1)
0.20≦z/(x+y+z)≦0.80 (数式2)
を満たすものとすることができ、好ましくは、y/(x+y+z)は、例えば0.02以上、0.03以上、例えば0.09以下、0.07以下、0.05以下とすることができ、z/(x+y+z)は、例えば0.30以上、0.35以上、例えば0.70以下、0.65以下とすることができる。さらに、x、y、zが、次の数式:
0.30≦(y+z)/(x+y+z)≦0.80 (数式3)
を満たすものとすることができ、好ましくは、(y+z)/(x+y+z)は、例えば0.35以上、0.38以上、例えば0.75以下、0.70以下とすることができる。
疎水性部分及びカルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンは、ε−ポリ−L−リジンから出発して、例えば、次のスキーム2にしたがって、合成することができる。
上記の疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジン(疎水化COOH−PLL)は、それ自身の性質として、培地に近似したpH及び塩濃度の条件下で、自己会合体であるナノ粒子を形成することができる。好適な実施の態様において、自己会合体の形成は、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを、CAC(Critical Aggregation Concentration)を測定して、そのCAC濃度以上、好ましくはCACの2倍以上の濃度とすることによって、好適に行うことができ、この測定には公知の手段を使用することができる。好適な実施の態様において、例えば、0.5mg/mLであれば、1.0mg/mLの濃度とすることができる。
この自己会合体(ナノ粒子)は、カルボキシル基の導入率(反射的にアミノ基の残存率)とを制御することによって、ゼータ電位をプラスからマイナスまで広く制御することができ、これによって、マイナスからプラスまでに荷電した広範囲の被導入分子を、好適に担持することができる。例えば、実施例に示すように、プラスに帯電した疎水化COOH−PLLにはBSA(ウシ血清アルブミン)が、マイナスに帯電した疎水化COOH−PLLにはリゾチームが、好適に担持される。被導入分子の担持は、生成した自己会合体(ナノ粒子)に対して、被導入分子を添加することによって、その本来的な性質にしたがって、進行する。
本発明において、ナノ粒子として、リン脂質分子が自己会合してなるリポソームを使用することができる。リポソームを形成するリン脂質分子としては、公知のリン脂質を使用することができ、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリンなどの天然のリン脂質、あるいは合成のリン脂質を挙げることができる。特に好ましくはホスファチジルコリン又はその誘導体であり、例えば、Dipalmitoyl phosphatidylcholine(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、Distearoyl phosphatidylcholine(1,2−Distearoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、Dimyristoyl phosphatidylcholine(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、Dioleoyl phosphatidylcholine(1,2−Dioleoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、Dierucoyl phosphatidylcholine(1,2−Dierucoyl−sn−Glycero−3−Phosphocholine)を挙げることができる。これらを使用したリポソームの調製は、公知の手段を使用することができ、例えば、所望の孔径のポアを有するメンブレンを備えたエクストルーダーを使用することによって、調製することができる。
被導入分子担持ナノ粒子は、培養細胞の培地が凍結保存液に置換された後に、凍結保存液に添加することができ、あるいは、培養細胞の培地と置換される凍結保存液に、あらかじめ添加しておくこともできる。
被導入分子担持ナノ粒子が添加された凍結保存液へ、培地が置換された培養細胞は、凍結される。この凍結の条件は、凍結保護剤が有効に作用する条件であれば使用することができ、例えば、フリーザー(例えば、−80℃)の中に置いて、凍結することができる。凍結された細胞は、適宜保存することもできるが、速やかに解凍して、次の操作に供することもできる。
凍結された培養細胞を解凍することによって、被導入分子が細胞内に導入された培養細胞を得ることができる。この解凍の条件は、凍結保護剤が有効に作用する条件であれば使用することができ、例えば、室温に置いて、解凍することができる。解凍された培養細胞は、凍結保存液を培地に置換して、以後の操作を行うことができる。
本発明による細胞内導入メカニズムの詳細は不明であるが、本発明者は、凍結時にナノ粒子が細胞表面近傍に非常に高濃度に濃縮される結果(凍結濃縮の結果)、高い効率の細胞内導入が実現されていると考えており、実験の結果はこれを支持している。この凍結濃縮は物理化学的なメカニズムであるから、被導入分子の種類に制約を受けることなく、幅広いタンパク質、核酸、その他の薬剤に対して、これを使用することができる。
ポリリジン(JNC株式会社製、25%水溶液)10mLにドデセニル無水コハク酸(2−Dodecen−1−ylsuccinic Anhydride, TCI)をアミノ基に対してモル数で3−5%添加、50℃で1時間反応させた。続いて無水コハク酸をアミノ基に対して35−65mol%となるように添加し、50℃で2時間反応させ、疎水化両性電解質高分子を合成した。この溶液を1%濃度となるようにPBSで希釈し、ゼータサイザー(Malvern Instruments Ltd製)で粒子径とゼータ電位を測定した。粒子径はいずれの粒子も約20nmであり、ゼータ電位は導入したカルボキシル基の度合いに応じて−20〜+10mVまで様々な値をとった。0.125%溶液の粒子/PBS分散液をCuグリッドに滴下し、乾燥した後、TEM(日立H−7560、100kV)で観察したところ、約10−20nmの直径の粒子が観察された。
ポリリジン(PLL)にドデセニル無水コハク酸(DDSA)、無水コハク酸(SA)を種々の導入率となるように反応させたものを、それぞれ以下の様に記す。
DDSA導入率3%、SA導入率35%(PLL−DDSA(3)−SA(35))
DDSA導入率3%、SA導入率50%(PLL−DDSA(3)−SA(50))
DDSA導入率3%、SA導入率65%(PLL−DDSA(3)−SA(65))
DDSA導入率5%、SA導入率35%(PLL−DDSA(5)−SA(35))
DDSA導入率5%、SA導入率50%(PLL−DDSA(5)−SA(50))
DDSA導入率5%、SA導入率65%(PLL−DDSA(5)−SA(65))
細胞はマウス線維芽様細胞L929(ATCC)を用いた。細胞を106個採取し、凍結保存液(10%DMSO/培地)もしくは(10%PLL−SA(0.65)/培地)1mlに懸濁させ、そこに1mgあたり約1マイクロgのタンパクを吸着したナノ粒子10mgを添加し、−80℃のフリーザー中で凍結した。解凍後すぐに共晶点顕微鏡でナノ粒子およびタンパク質の吸着を調べた。
ここで、ナノ粒子には100分子に1個の割合でFITCを結合させており、緑色蛍光が観察出来るようにした。また、タンパク質にはテキサスレッドで赤色蛍光のラベルを行った。この結果となる蛍光写真を図3に示す。
解凍後、細胞をシャーレに播種し、1日後同じく共焦点顕微鏡で観察した。この結果を図4に示す。図4は、解凍後、播種した細胞へのタンパクの移行を示す顕微鏡写真である。図4の6枚の写真のうち、上段は、解凍後、細胞をシャーレに播種した直後の顕微鏡写真であり、下段は、1日後の顕微鏡写真である。図4の6枚の写真のうち、右端は、左端と同視野において、リゾチームを標識したテキサスレッドによる赤色蛍光によって観察した蛍光写真であり、中央は、左端と同視野において、ナノ粒子を標識したFITCによる緑色蛍光によって観察した蛍光写真である。左端は、明視野による顕微鏡写真に中央と右端の写真を重ね合わせたものである。図4に見られるように細胞内にナノ粒子、タンパク質の蛍光を観察することができた。つまり、細胞膜に吸着したナノ粒子/タンパク質は細胞内に取り込まれることがわかった。
リポソームは、DOPC(1,2−dioleoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)(Avanti Polar Lipids製)2mgをクロロホルム100マイクロLに溶解し、窒素気流下で乾燥し、フィルムとした後、PBSで懸濁させ、径100nmのフィルターをセットしたエクストルーダー(Avanti Polar Lipids製)で作成した。作成したリポソームは直径約100nm、ゼータ電位−20mVであった。
リポソームへのタンパク質の封入は、エクストルーダーで作成時に各タンパク質をPBS中に4mg/mlで溶解させておくことで行った。
リポソームにはDOPCに対して0.1%の割合でローダミン固定DOPC(Avanti Polar Lipids製)を導入することで赤色蛍光を発するようにしておき、タンパク質にはFITCで標識を行い、緑色蛍光を発するようにしておいた。
その後、L929に対してナノ粒子の時と同じようにリポソームを添加して10%PLL−SA(65)存在下で凍結し、解凍後共晶点レーザー顕微鏡で観察した(図5)。図5の6枚の写真において、それぞれ、上段は凍結前、下段は凍結後であり、右端は左端と同視野を、BSAを標識したFITCの緑色蛍光によって観察した蛍光写真であり、中央は左端と同視野を、リポソームを標識したローダミンの赤色蛍光によって観察した蛍光写真である。左端は、明視野の位相差顕微鏡写真である。明らかに、細胞には、解凍後にリポソームおよびBSAの吸着が確認された。
Claims (18)
- 培養細胞の培地を、
カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液であって、
ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる、被導入分子担持ナノ粒子を添加されて含む凍結保存液に、置換する工程、
被導入分子担持ナノ粒子が添加された凍結保存液とともに、培養細胞を凍結する工程、
を含む、被導入分子を培養細胞に導入する方法。 - 培養細胞の培地を、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液であって、ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる、被導入分子担持ナノ粒子を添加されて含む凍結保存液に、置換する工程が、
培養細胞の培地を、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを凍結保護剤として含む凍結保存液に置換する工程、
ナノ粒子を担体として被導入分子が担持されてなる、被導入分子担持ナノ粒子を、置換された凍結保存液に、添加する工程、
を含む工程である、請求項1に記載の方法。 - 凍結保護剤であるカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンにおいて、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)が0.8〜19の範囲にある、請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
- 凍結保護剤であるカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - 凍結保存液が、カルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンを5〜15質量%の濃度で含む培地である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- ナノ粒子が、10nm〜300nmの範囲の粒径の粒子である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- ナノ粒子が、自己会合性有機分子による自己会合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 自己会合性有機分子が、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジン、又はリン脂質分子である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- ナノ粒子が、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが自己会合してなるナノ粒子、又はリン脂質分子が自己会合してなるリポソームである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 自己会合性有機分子である、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンにおいて、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置に疎水性部分とカルボキシル基が導入され、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。 - 自己会合性有機分子である、疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンにおいて、
ε−ポリ−L−リジンに残ったアミノ基のモル数x、
アミノ基と疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数y、
アミノ基と無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数z、が、次の数式:
0.01≦y/(x+y+z)≦0.10 (数式1)
0.20≦z/(x+y+z)≦0.80 (数式2)
を満たす、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。 - さらに、x、y、zが、次の数式:
0.30≦(y+z)/(x+y+z)≦0.80 (数式3)
を満たす、請求項11に記載の方法。 - 被導入分子が、タンパク質分子、又は核酸分子である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
- 培養細胞を凍結する工程、の後に、
凍結された培養細胞を、解凍する工程、
を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の方法によって、被導入分子が導入された培養細胞を製造する方法。
- 疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが自己会合してなるナノ粒子であって、
疎水性部分及びカルボキシル基が導入されたε−ポリ−L−リジンが、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置に疎水性部分とカルボキシル基が導入され、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなり、
ε−ポリ−L−リジンに残ったアミノ基のモル数x、
アミノ基と疎水性部分を有する無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数y、
アミノ基と無水ジカルボン酸との反応によって導入されたカルボキシル基のモル数z、が、次の数式:
0.01≦y/(x+y+z)≦0.10 (数式1)
0.20≦z/(x+y+z)≦0.80 (数式2)
を満たす、ナノ粒子。 - さらに、x、y、zが、次の数式:
0.30≦(y+z)/(x+y+z)≦0.80 (数式3)
を満たす、請求項16に記載のナノ粒子。 - ナノ粒子が、10nm〜300nmの範囲の粒径の粒子である、請求項16〜17のいずれかに記載のナノ粒子。
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