JP2023007595A - 心筋細胞増殖促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】心筋細胞の増殖を促進するための新しい手段の提供。【解決手段】下記式(I)で表される化合物またはその塩を含む心筋細胞の増殖促進剤。JPEG2023007595000064.jpg4167{式中、各記号は明細書中で定義される通りである。}【選択図】なし
Description
本発明は、心筋細胞の増殖を促進することを特徴とした心疾患の治療方法に関する。
心疾患は、日本を含め各国において高い死因となっている。例えば心不全は、なんらかの心臓の機能障害によりポンプ機能が破綻したことで起こる呼吸困難、倦怠感や浮腫といった諸症状を示す。その要因は心外膜・心筋・心内膜疾患、弁膜症、冠動脈・大静脈疾患、不整脈、内分泌異常など、多岐にわたる。軽症または中等症の場合には、生活習慣の見直しや改善、薬物療法といった治療法が選択されるが、重症の場合には心臓移植以外の方法では予後改善効果が認められていない。しかしながら、心臓移植については恒常的にドナーが不足しており、代替法の開発が期待されている。
そのような状況の中、心疾患の治療のため、患者本人の筋芽細胞やiPS細胞由来の心筋細胞をシート状に加工し、患者の心臓表面に移植する方法が開発されている(非特許文献1・特許文献1)。しかしながら、移植した心筋細胞は生着しておらず、その心機能改善効果は、移植細胞からの分泌物による一時的な作用であることが示唆されている。加えて、移植後の効果は合併症の有無等患者によっても異なり、十分な効果が得られない場合がある。また近年では、心筋細胞の細胞周期を活性化させることにより、心筋細胞移植後の生着効率を向上させる低分子化合物も報告されている(特許文献2)。しかしながら、当該化合物の心筋細胞に対する増殖促進効果並びに心疾患に対する治療効果は報告されていない。
Surg. Today.42(2),181-184 (2012)
本発明は、心筋細胞の増殖を促進するための新規手段などを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、特定の化合物が、心筋細胞の増殖を促進することを見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記式(I):
{式中、Xは、-NHCO-であり、R1は、-Y-NH-Z-Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、R3は、水酸基であり、nは、0、1または2である。}で表される化合物またはその塩を含む、心筋細胞の増殖促進剤。
[2]R2が、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
nが0であり、
Arが、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよいフェニル基、または、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~4個の置換基を有していてもよいピリジル基であり、
Y、およびZが、単結合、またはメチル基およびエチル基から選ばれる1~2個の置換基を有していてもよいメチレン基である、
[1]記載の剤。
[3]前記化合物が、以下からなる群より選択される化合物である、[1]または[2]に記載の剤。
[2]R2が、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
nが0であり、
Arが、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよいフェニル基、または、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~4個の置換基を有していてもよいピリジル基であり、
Y、およびZが、単結合、またはメチル基およびエチル基から選ばれる1~2個の置換基を有していてもよいメチレン基である、
[1]記載の剤。
[3]前記化合物が、以下からなる群より選択される化合物である、[1]または[2]に記載の剤。
および、
[4]前記化合物が、以下からなる群より選択される化合物である、[1]または[2]に記載の剤。
および、
[5]前記化合物が、以下の化合物である、[1]または[2]に記載の剤。
および、
[6]治療有効量の[1]乃至[5]のいずれかに記載の剤を含む、心筋細胞培養用培地組成物。
[7][6]に記載の培地組成物中において心筋細胞を培養することを含む、心筋細胞の増幅方法。
[8]下記、式(I)で示される化合物またはその塩を含む、心疾患の治療剤。
下記式(I):
下記式(I):
{式中、Xは、-NHCO-であり、R1は、-Y-NH-Z-Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、R3は、水酸基であり、nは、0、1または2である。}で表される化合物またはその塩を含む、心疾患の治療剤。
[9]R2が、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
nが0であり、
Arが、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよいフェニル基、または、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~4個の置換基を有していてもよいピリジル基であり、
Y、およびZが、単結合、またはメチル基およびエチル基から選ばれる1~2個の置換基を有していてもよいメチレン基である、
[8]記載の剤。
[10]前記化合物が、以下からなる群より選択される化合物である、[8]または[9]に記載の剤。
[9]R2が、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
nが0であり、
Arが、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよいフェニル基、または、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~4個の置換基を有していてもよいピリジル基であり、
Y、およびZが、単結合、またはメチル基およびエチル基から選ばれる1~2個の置換基を有していてもよいメチレン基である、
[8]記載の剤。
[10]前記化合物が、以下からなる群より選択される化合物である、[8]または[9]に記載の剤。
および、
[11]前記化合物が、以下からなる群より選択される化合物である、[8]または[9]に記載の剤。
および、
[12]前記化合物が、以下の化合物である、[8]または[9]に記載の剤。
および、
本発明によれば、心筋細胞の増殖を効率的に促進することができる。従って、本発明によれば、心筋細胞を大量に製造することができる。また、得られた心筋細胞を心筋移植用の移植片や医薬品等の評価用の細胞として利用することができる。更に、本発明により心筋細胞の増殖が促進されるため、心筋細胞の欠損や障害を伴う心疾患の治療剤として利用することができる。
本明細書において使用する用語を以下に定義する。
本明細書において、n-はノルマル、sec-はセカンダリー及びtert-はターシャリーを各々意味する。また、本明細書において、m-はメタを意味する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
「炭素数1~6のアルキル基」とは、炭素数1~6の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等の基が挙げられる。かかるアルキル基としては、炭素数1~4の低級アルキル基、特にメチル基及びエチル基が好ましい。
「アリール基」とは、少なくとも1つの環が芳香族であり、各環が5~8の環原子を有する単環式、二環式、三環式および四環式炭素環式基が挙げられ、具体的には、フェニル、インデニル、ナフチル、フルオレニル等が挙げられる。特に、アリール基は、C6-10の芳香族のフェニル、インデニル、ナフチルであり得る。
「ヘテロアリール基」とは、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基であり、具体的には、フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基、キノリニル基、ピラジニル基、ナフチリジル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
「炭素数1~6のアルキレン基」とは、炭素数1~6の直鎖の炭素鎖を意味し、具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の基が挙げられる。
「炭素数1~6のアルキル基」、「アリール基」、「ヘテロアリール基」及び「炭素数1~6のアルキレン基」は、それぞれ置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば以下が挙げられる。尚、「炭素数1~6のアルキル基」に対する置換基としては下記(1)~(40)が挙げられ、「アリール基」、「ヘテロアリール基」及び「炭素数1~6のアルキレン基」に対する置換基としては下記(1)~(41)が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、
(2)水酸基、
(3)シアノ基、
(4)ニトロ基、
(5)カルボキシル基、
(6)アルケニル基(C2-10アルケニル基;例、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニル、ヘプテニル、ブタジエニル、ヘキサトリエニル、およびその各異性体)、
(7)アルキニル基(C2-10アルキニル基;例、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、および、その各異性体)、
(8)ハロゲノアルキル基(例、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、およびその各異性体)、
(9)環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでもよい)(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル)、
(10)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(11)ヘテロアリール基(例、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(例、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル)、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾイミダゾリル)、
(12)アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、3-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ)、
(13)アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、イソペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、2-ペンチルチオ、3-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、2-ヘキシルチオ)、
(14)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(15)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(16)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(17)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(18)環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでもよい)オキシ基(例、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、アジリジニルオキシ、アゼチジニルオキシ、ピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ、モルホリニルオキシ)、
(19)アリールオキシ基(例、アリール基(上記(10)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(20)ヘテロアリールオキシ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(21)ハロゲノアルコキシ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(22)ハロゲノアルキルチオ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が硫黄原子に結合した基)、
(23)水酸基で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(24)アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(25)アミノ基、
(26)アルキル基でモノまたはジ置換されたアミノ基、
ここで、「アルキル基」とは、C1-6アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等が挙げられる。
(27)カルバモイル基、
(28)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル)、
(29)スルファモイル基、
(30)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたスルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、エチルメチルスルファモイル)、
(31)アルカノイル基(例、水素原子若しくはアルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(32)アロイル基(例、アリール基(上記(10)と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(33)アルキルスルホニルアミノ基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(34)アリールスルホニルアミノ基(例、アリール基(上記(10)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(35)へテロアリールスルホニルアミノ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(36)アシルアミノ基(例、アシル基で置換されたアミノ基)、
ここで、「アシル基」とは、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、またはC6-10アリール基を有するアシル基である。ここで、「C1-6アルキル基」とは、上記(26)における「アルキル基」と同義であり、「C2-5アルケニル基」とは、上記(6)の「アルケニル基」のうち、炭素数が2~6のものであり、「C6-10アリール基」とは、上記(10)の「アリール基」のうち、炭素数が6~10のものである。アシル基としては、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、バレロイル基、イソバレロイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる、
(37)アルコキシカルボニルアミノ基(例、アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換されたカルボニルアミノ基)、
(38)アルキルスルホニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニル基)、
(39)アルキルスルフィニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルフィニル基)、
(40)アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、
(41)アルキル基(C1-6アルキル基;例、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等)等が挙げられる。
置換基が2以上存在する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
(1)ハロゲン原子、
(2)水酸基、
(3)シアノ基、
(4)ニトロ基、
(5)カルボキシル基、
(6)アルケニル基(C2-10アルケニル基;例、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニル、ヘプテニル、ブタジエニル、ヘキサトリエニル、およびその各異性体)、
(7)アルキニル基(C2-10アルキニル基;例、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、および、その各異性体)、
(8)ハロゲノアルキル基(例、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、およびその各異性体)、
(9)環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでもよい)(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル)、
(10)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(11)ヘテロアリール基(例、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(例、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル)、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾイミダゾリル)、
(12)アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、3-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ)、
(13)アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、イソペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、2-ペンチルチオ、3-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、2-ヘキシルチオ)、
(14)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(15)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(16)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(17)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(18)環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでもよい)オキシ基(例、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、アジリジニルオキシ、アゼチジニルオキシ、ピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ、モルホリニルオキシ)、
(19)アリールオキシ基(例、アリール基(上記(10)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(20)ヘテロアリールオキシ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(21)ハロゲノアルコキシ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(22)ハロゲノアルキルチオ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が硫黄原子に結合した基)、
(23)水酸基で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(24)アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(25)アミノ基、
(26)アルキル基でモノまたはジ置換されたアミノ基、
ここで、「アルキル基」とは、C1-6アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等が挙げられる。
(27)カルバモイル基、
(28)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル)、
(29)スルファモイル基、
(30)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたスルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、エチルメチルスルファモイル)、
(31)アルカノイル基(例、水素原子若しくはアルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(32)アロイル基(例、アリール基(上記(10)と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(33)アルキルスルホニルアミノ基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(34)アリールスルホニルアミノ基(例、アリール基(上記(10)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(35)へテロアリールスルホニルアミノ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(36)アシルアミノ基(例、アシル基で置換されたアミノ基)、
ここで、「アシル基」とは、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、またはC6-10アリール基を有するアシル基である。ここで、「C1-6アルキル基」とは、上記(26)における「アルキル基」と同義であり、「C2-5アルケニル基」とは、上記(6)の「アルケニル基」のうち、炭素数が2~6のものであり、「C6-10アリール基」とは、上記(10)の「アリール基」のうち、炭素数が6~10のものである。アシル基としては、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、バレロイル基、イソバレロイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる、
(37)アルコキシカルボニルアミノ基(例、アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換されたカルボニルアミノ基)、
(38)アルキルスルホニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニル基)、
(39)アルキルスルフィニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルフィニル基)、
(40)アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、
(41)アルキル基(C1-6アルキル基;例、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等)等が挙げられる。
置換基が2以上存在する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(I)で表される化合物は、塩の形態であってもよい。前記式(I)で表される化合物の塩としては、例えば、塩酸及び臭化水素酸等の無機酸との塩ならびに酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸及び安息香酸等の有機酸との塩が挙げられる。これらの塩は、自体公知の方法によって製造される。
式(I)で表される化合物は、置換基の種類によってはEの立体配置を有するE体及びZの立体配置を有するZ体の幾何異性体が存在する場合がある。本発明はこれらE体、Z体またはE体およびZ体を任意の割合で含む混合物を包含するものである。
また、式(I)で表される化合物は、1個又は2個以上の不斉炭素原子の存在に起因する光学活性体が存在する場合があるが、式(I)で表される化合物は全ての光学活性体又はラセミ体を包含する。
[式(I)で表される化合物の合成]
式(I)で表される化合物は、国際公開公報第2019/022222号、国際公開公報第2019/235569号、国際公開公報第2020/158841号及び国際公開公報第2020/184605号などに記載の方法に従ってまたはそれらに準じて得ることができる。例えば、式(I)で表される化合物は、下記反応式1で表されるようにして得ることができる。ここで、ケトン化合物とH2N-X-R1(式中、X及びR1は前記の意味を表し、例えば、ヒドラジド化合物、セミカルバジド化合物等)、それぞれを1当量ずつ用い、トルエン、1,4-ジオキサン、N、N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中、100℃以上の温度範囲で、1時間から3日間反応を行なうのが好ましい。
[反応式1]
式(I)で表される化合物は、国際公開公報第2019/022222号、国際公開公報第2019/235569号、国際公開公報第2020/158841号及び国際公開公報第2020/184605号などに記載の方法に従ってまたはそれらに準じて得ることができる。例えば、式(I)で表される化合物は、下記反応式1で表されるようにして得ることができる。ここで、ケトン化合物とH2N-X-R1(式中、X及びR1は前記の意味を表し、例えば、ヒドラジド化合物、セミカルバジド化合物等)、それぞれを1当量ずつ用い、トルエン、1,4-ジオキサン、N、N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中、100℃以上の温度範囲で、1時間から3日間反応を行なうのが好ましい。
[反応式1]
反応終了後の反応混合物は、蒸留水を加えて析出させる、又は析出しない場合は、有機溶媒抽出後濃縮といった通常の後処理を行ない、目的の特定化合物を得ることができる。また、精製の必要が生じたときには、再結晶、カラムクロマトグラフ、薄層クロマトグラフ、液体クロマトグラフ分取等の任意の精製方法によって分離、精製することができる。
[光学活性体の取得]
上述の方法により合成される化合物のうち、光学異性体を有するものについては、光学活性体(ユートマー)が存在し得る。光学活性体の取得は、結晶化による方法、酵素反応を用いる方法、又はHPLCを用いる方法(例、光学活性担持法)等の自体公知の方法を用いて行うことができる。また、光学活性体を、不斉合成法等を用いて調製することもできる。
上述の方法により合成される化合物のうち、光学異性体を有するものについては、光学活性体(ユートマー)が存在し得る。光学活性体の取得は、結晶化による方法、酵素反応を用いる方法、又はHPLCを用いる方法(例、光学活性担持法)等の自体公知の方法を用いて行うことができる。また、光学活性体を、不斉合成法等を用いて調製することもできる。
[心筋細胞の増殖促進剤]
本発明は、以下の特定化合物またはその塩を含む、心筋細胞の増殖促進剤(以下、「本発明の促進剤」と称することがある)を提供する。本剤を用いることにより、心筋細胞の大量調製を達成することができる:
本発明は、以下の特定化合物またはその塩を含む、心筋細胞の増殖促進剤(以下、「本発明の促進剤」と称することがある)を提供する。本剤を用いることにより、心筋細胞の大量調製を達成することができる:
本発明の促進剤に含まれる化合物は、式(I):
{式中、Xは、-NHCO-であり、R1は、-Y-NH-Z-Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、R3は、水酸基であり、nは、0、1または2である。}で表される化合物、またはその塩である(以下、式(I)で表される化合物またはその塩を総称して、単に「特定化合物」等と称する場合がある)。
Yで示される「置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基」の「炭素数1~6のアルキレン基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、メチレン基、エチレン基またはプロピレン基、より好ましくはメチレン基である。
Yで示される「置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
Yは、好ましくは、CHR6(R6は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基(例、メチル基、エチル基)を示す。)である。
Zで示される「置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基」の「炭素数1~6のアルキレン基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、メチレン基、エチレン基またはプロピレン基、より好ましくはメチレン基である。
Zで示される「置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは、メチル基である。
Zは、好ましくは、CHR7(R7は水素原子または炭素数1~6のアルキル基(例、メチル基)を示す。)である。
好適な態様として、Yが、単結合であり、かつZが、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基である態様、または、Zが、単結合であり、かつYが、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基である態様が挙げられる。
Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、水酸基および炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる置換基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基およびメトキシ基から選ばれる置換基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子および水酸基から選ばれる置換基である。Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」がフェニル基である場合、「置換基」の数は、0、1、2、3、4または5であり、好ましくは、0、1または2である。「置換基を有していてもよいアリール基」の「置換基」の数が2以上である場合は、置換基はそれぞれ同一であってもよく、または異っていてもよい。
Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」としては、好ましくは、フェニル基、水酸基を有するフェニル基、水酸基およびハロゲン原子を有するフェニル基(例、5-フルオロ-3-ヒドロキシフェニル)である。
Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、ピリジル基である。
Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、より好ましくは、塩素原子およびフッ素原子から選ばれる置換基である。Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」がピリジル基である場合、「置換基」の数は、0、1、2、3または4であり、好ましくは、0、1または2であり、より好ましくは0または1である。「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「置換基」の数が2以上である場合は、置換基はそれぞれ同一であってもよく、または異っていてもよい。
Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」としては、好ましくは、ピリジル基、ハロゲン原子を有するピリジル基(例、クロロピリジル、フルオロピリジル)である。
R3は、水酸基である。
nは、0、1、2であり、好ましくは、0である。
Yで示される「置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
Yは、好ましくは、CHR6(R6は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基(例、メチル基、エチル基)を示す。)である。
Zで示される「置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基」の「炭素数1~6のアルキレン基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、メチレン基、エチレン基またはプロピレン基、より好ましくはメチレン基である。
Zで示される「置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは、メチル基である。
Zは、好ましくは、CHR7(R7は水素原子または炭素数1~6のアルキル基(例、メチル基)を示す。)である。
好適な態様として、Yが、単結合であり、かつZが、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基である態様、または、Zが、単結合であり、かつYが、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基である態様が挙げられる。
Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、水酸基および炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる置換基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基およびメトキシ基から選ばれる置換基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子および水酸基から選ばれる置換基である。Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」がフェニル基である場合、「置換基」の数は、0、1、2、3、4または5であり、好ましくは、0、1または2である。「置換基を有していてもよいアリール基」の「置換基」の数が2以上である場合は、置換基はそれぞれ同一であってもよく、または異っていてもよい。
Arで示される「置換基を有していてもよいアリール基」としては、好ましくは、フェニル基、水酸基を有するフェニル基、水酸基およびハロゲン原子を有するフェニル基(例、5-フルオロ-3-ヒドロキシフェニル)である。
Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、ピリジル基である。
Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「置換基」としては、前記例示したものが挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、より好ましくは、塩素原子およびフッ素原子から選ばれる置換基である。Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」がピリジル基である場合、「置換基」の数は、0、1、2、3または4であり、好ましくは、0、1または2であり、より好ましくは0または1である。「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「置換基」の数が2以上である場合は、置換基はそれぞれ同一であってもよく、または異っていてもよい。
Arで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」としては、好ましくは、ピリジル基、ハロゲン原子を有するピリジル基(例、クロロピリジル、フルオロピリジル)である。
R3は、水酸基である。
nは、0、1、2であり、好ましくは、0である。
一態様において、Yが、単結合である場合は、Zは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキレン基、特に好ましくは、メチレン基)であり、Arは、置換基(より好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基、およびメトキシ基から選ばれる置換基)を有していてもよいアリール基(より好ましくは、水酸基を有するアリール基、水酸基およびハロゲン原子を有するアリール基、または置換基を有していないアリール基、特に好ましくはフェニル基、水酸基を有するフェニル基、または水酸基およびハロゲン原子を有するフェニル基(例、5-フルオロ-3-ヒドロキシフェニル))、または置換基(より好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基、およびメトキシ基から選ばれる置換基)を有していてもよいヘテロアリール基(より好ましくは、置換基を有していてもよいピリジル基、特に好ましくは、置換基を有していないピリジル基、ハロゲン原子を有するピリジル基(例、クロロ基を有するピリジル基またはフルオロ基を有するピリジル基))であり、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基、特に好ましくは、エチル基)であり、nは、0、1または2であり、好ましくは、nは0である。
また、一態様において、Yが、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキレン基、特に好ましくはメチレン基、エチレン基またはプロピレン基)である場合は、Zは、単結合であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基(より好ましくは、置換基を有するアリール基、特に好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基およびエトキシ基から選ばれる置換基を有するフェニル基、またはナフチル基)、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基(より好ましくは、ハロゲン原子を有していてもよいヘテロアリール基、特に好ましくは、置換基を有していないピリジル基、ハロゲン原子を有するピリジル基(例、クロロ基を有するピリジル基またはフルオロ基を有するピリジル基))であり、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基、特に好ましくはエチル基)であり、nは、0、1または2であり、好ましくは、nは0である。
式(I)で表される化合物またはその塩は、一態様において、式(I-1):
{式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基、特に好ましくは、エチル基)であり、
R3は、水酸基であり、
nは、0、1または2(好ましくは0)であり、
R4は、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基(好ましくは、水素原子、メチル基、またはエチル基)であり、
R5aは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、水酸基または炭素数1~6のアルコキシ基(好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基またはエトキシ基、より好ましくは、ハロゲン原子または水酸基)であり、
maは、0、1、2、3、4または5(好ましくは、0、1または2)である。maが2以上である場合、R5は、それぞれ同一であってもよく、または異なっていてもよい。}
で表される化合物またはその塩であり得る。
一態様において、式(I-1)で表される化合物またはその塩は、式(I-1’):
R3は、水酸基であり、
nは、0、1または2(好ましくは0)であり、
R4は、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基(好ましくは、水素原子、メチル基、またはエチル基)であり、
R5aは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、水酸基または炭素数1~6のアルコキシ基(好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基またはエトキシ基、より好ましくは、ハロゲン原子または水酸基)であり、
maは、0、1、2、3、4または5(好ましくは、0、1または2)である。maが2以上である場合、R5は、それぞれ同一であってもよく、または異なっていてもよい。}
で表される化合物またはその塩であり得る。
一態様において、式(I-1)で表される化合物またはその塩は、式(I-1’):
式(I)で表される化合物またはその塩は、一態様において、式(I-2):
{式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基、特に好ましくは、エチル基)であり、
R3は、水酸基であり、
nは、0、1または2(好ましくは、0)であり、
R4は、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基(好ましくは、水素原子、メチル基、またはエチル基)であり、
R5aは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、水酸基または炭素数1~6のアルコキシ基(好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基またはエトキシ基、より好ましくは、ハロゲン原子または水酸基)であり、
maは、0、1、2、3、4または5(好ましくは、0、1または2)である。maが2以上である場合、R5は、それぞれ同一であってもよく、または異なっていてもよい。}
で表される化合物またはその塩であり得る。
R3は、水酸基であり、
nは、0、1または2(好ましくは、0)であり、
R4は、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基(好ましくは、水素原子、メチル基、またはエチル基)であり、
R5aは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、水酸基または炭素数1~6のアルコキシ基(好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基またはエトキシ基、より好ましくは、ハロゲン原子または水酸基)であり、
maは、0、1、2、3、4または5(好ましくは、0、1または2)である。maが2以上である場合、R5は、それぞれ同一であってもよく、または異なっていてもよい。}
で表される化合物またはその塩であり得る。
式(I)で表される化合物またはその塩は、一態様において、式(I-3):
{式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基、特に好ましくは、エチル基)であり、
R3は、水酸基であり、
nは、0、1または2(好ましくは、0)であり、
R4は、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基(好ましくは、水素原子、メチル基、またはエチル基)であり、
R5bは、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子またはフッ素原子)であり、
mbは、0、1、2、3または4(好ましくは、0、1または2、より好ましくは、0または1)である。mbが2以上である場合、R5は、それぞれ同一であってもよく、または異なっていてもよい。}
で表される化合物またはその塩であり得る。
R3は、水酸基であり、
nは、0、1または2(好ましくは、0)であり、
R4は、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基(好ましくは、水素原子、メチル基、またはエチル基)であり、
R5bは、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子またはフッ素原子)であり、
mbは、0、1、2、3または4(好ましくは、0、1または2、より好ましくは、0または1)である。mbが2以上である場合、R5は、それぞれ同一であってもよく、または異なっていてもよい。}
で表される化合物またはその塩であり得る。
本発明の増殖促進剤に配合される、本発明に用いられる特定化合物の量は、所望の効果を得られ得る限り特に限定されないが、通常0.01~100重量%、好ましくは0.1~100重量%、より好ましくは1~100重量%、さらに好ましくは5~100重量%、特に好ましくは10~100重量%で有り得る。
本発明の増殖促進剤は、提供時あるいは保存時に任意の形状であり得る。本発明の増殖促進剤は、固形状、液体状、及びゲル状等の形状であり得る。製剤化される際の溶媒としては、水、生理食塩水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の各種アルコールなどの水性溶媒が挙げられる。製剤化される際の添加物としては、p-ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤;乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニット等の賦形剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤;脂肪酸エステル等の界面活性剤;グリセリン等の可塑剤等が挙げられる。これらの添加物は上記のものに限定されることはなく、当業者が利用可能であれば自由に選択することができる。
また、本発明の増殖促進剤は、必要に応じて滅菌処理を施してもよい。滅菌方法は特に制限はなく、本発明の増殖促進剤の形状に合わせて適宜選択すればよい。滅菌方法としては、例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅菌、フィルター滅菌等が挙げられる。フィルター滅菌(以下、ろ過滅菌という場合もある。)を行う際のフィルター部分の材質は特に制限されないが、例えば、グラスファイバー、ナイロン、PES(ポリエーテルスルホン)、親水性PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。フィルターの細孔の大きさは特に制限されないが、好ましくは、0.1μm~10μm、より好ましくは、0.1μm~1μm、最も好ましくは、0.1μm~0.5μmである。
本発明の増殖促進剤において「心筋細胞を増幅する」とは、心筋細胞の数を増加させることを意味する。尚、本明細書において、本発明の増殖促進剤により増加する心筋細胞の数は、対照となる所定の細胞数と比較して、少なくとも120%以上、少なくとも130%以上、少なくとも140%以上、少なくとも150%以上、少なくとも160%以上、少なくとも170%以上、少なくとも180%以上、少なくとも190%以上、少なくとも200%以上、少なくとも300%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、心筋細胞の数が増大することを意味する。心筋細胞の数の測定は、以下の実施例において説明されるように、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay法やトリパンブルー染色法などの自体公知の方法を用いることができる。
[心筋細胞培養用培地組成物]
本発明はまた、本発明の増殖促進剤を含む、心筋細胞培養用培地組成物(以下、「本発明の培地組成物」と称することがある)を提供する。
本発明はまた、本発明の増殖促進剤を含む、心筋細胞培養用培地組成物(以下、「本発明の培地組成物」と称することがある)を提供する。
本発明の培地組成物は、細胞培養用の培地に本発明に用いられる特定化合物または本発明の増殖促進剤を添加することにより調製される。本発明の培地組成物の調製に用い得る細胞培養用の培地には、以下に例示する市販培地が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の培地組成物に有効成分として含まれる特定化合物の濃度は、本発明の所望の効果を得られる限り特に限定されないが、例えば、その濃度の下限値は、通常0.001μM以上、好ましくは0.01μM以上、より好ましくは0.1μM以上、さらに好ましくは1μM以上、特に好ましくは10μM以上であり得る。また、その濃度の上限値は、通常100μM以下、好ましくは50μM以下、特に好ましくは10μM以下であり得る。
本発明の培地組成物は、本発明に用いられる特定化合物または本発明の培地組成物が配合されている以外は、公知の培地の組成と同様とすることができる。
一態様において、本発明の培地組成物は、市販される培地に、本発明に用いられる特定化合物または本発明の培地添加剤を添加することにより調製することができる。本発明の培地組成物には、本発明に用いられる特定化合物以外に、例えば、水、生理食塩水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、およびメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール等の各種アルコール、等の成分が含まれ得る。また、本発明の培地組成物は、必要に応じて滅菌処理を施してもよい。滅菌方法は特に制限はなく、例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅菌、フィルター滅菌等が挙げられる。フィルター滅菌(以下、ろ過滅菌という場合もある)を行う際のフィルター部分の材質は特に制限されないが、例えば、グラスファイバー、ナイロン、PES(ポリエーテルスルホン)、親水性PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。また、本発明の培地組成物は、提供時あるいは保存時に任意の形状であり得る。当該組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤のような製剤化された固体、適切な溶媒並びに溶解剤で溶解した溶液あるいは懸濁液のような液体、又は基板や担体に結合させた状態であり得る。
本発明に用いられる特定化合物または本発明の培地添加剤を添加することにより本発明の培地組成物とし得る市販の培地としては、所望の効果を得られる限り特に限定されないが、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium;DMEM)、ハムF12培地(Ham’s Nutrient Mixture F12)、DMEM/F12培地、マッコイ5A培地(McCoy’s 5A medium)、イーグルMEM(Eagle’s Minimum Essential Medium;EMEM)、αMEM(alpha Modified Eagle’s Minimum Essential Medium)、MEM(Minimum Essential Medium)、S-MEM(Spinner Modified Eagle’s Minimum Essential Medium)、RPMI1640培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;IMDM)、MCDB131培地、ウィリアム培地E、IPL41培地、Fischer’s培地、StemPro34(インビトロジェン社製)、X-VIVO 10(ケンブレックス社製)、X-VIVO 15(ケンブレックス社製)、HPGM(ケンブレックス社製)、StemlineII(シグマアルドリッチ社製)、QBSF-60(クオリティバイオロジカル社製)、StemProhESCSFM(インビトロジェン社製)、CSTI-7培地(細胞科学研究所社製)、Sf-900II(インビトロジェン社製)、Opti-Pro(インビトロジェン社製)、イーグル基礎培地(Basal Medium Eagle)、199培地、Cardiomyocyte Maintenance Medium(Axol社製)、Rat Cardiac Myocyte Basal Medium(ロンザ社製)、Cardiac Fibroblast Growth Medium-3(ロンザ社製)、Myocyte Growth Medium(PromoCell社製)、iCell(登録商標)Cardiomyocytes Maintenance Medium(富士フイルム和光純薬社製)等の培地が挙げられる。また、これらの培地に、脱アシル化ジェランガム等の多糖類を添加して3次元細胞培養培地化した培地を用いることができる。このような3次元細胞培養培地としては、例えば、FCeM(登録商標、日産化学株式会社製)が挙げられるが、これに限定されない。
また、上記の培地に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩素、各種アミノ酸、各種ビタミン、抗生物質、血清、脂肪酸、糖、細胞増殖因子、分化誘導因子、細胞接着因子、抗体、酵素、サイトカイン、ホルモン、レクチン、細胞外マトリックス、生理活性物質等を目的に応じて添加してもよい。具体的な例としては、ヒト血清、ウシ胎児血清、マトリゲル(登録商標)、塩基性線維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、上皮成長因子、インスリン様成長因子、骨形成蛋白質、Wnt蛋白質、TGF-β、アクチビンA、Nodal、インターフェロン類、インターロイキン類、血管内皮細胞増殖因子、オンコスタチンM、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、β-メルカプトエタノール、Knockout Serum Replacement(KSR、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、N2サプリメント(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、B27サプリメント(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、Glutamax(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、ヒドロコルチゾン、21-ヘミコハク酸、デキサメタゾン、L-グルタミン、ピルビン酸、ニコチンアミド、亜セレン酸、ホスホエタノールアミン、2―アミノエタノール、レチノイン酸受容体アゴニスト、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1阻害剤などが挙げられるが、これに限定されない。
本発明の培地組成物における心筋細胞の培養は、細胞培養に一般的に用いられるシャーレ、フラスコ、プラスチックバック、テフロン(登録商標)バック、ディッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、チャンバースライド、チューブ、トレイ、培養バック、ローラーボトル等の培養容器を用いて実施することができる。これらの培養容器には、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、マトリゲル(登録商標)、Synthemax(登録商標、コーニング社製)、ポリ-L-オルニチン/ラミニン、ポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン等の細胞外マトリックスをコーティングすることができる。心筋細胞は、当該培養容器に対して接着した状態で培養することもできるし、細胞凝集塊(スフェア)を形成した状態で培養することもできる。細胞凝集塊を形成させる際には、細胞が培養容器へ接着しないよう、これらの培養容器は細胞低接着性であることが望ましい。細胞低接着性の培養容器としては、培養容器の表面が、細胞との接着性を向上させる目的で人工的に処理(例えば、細胞外マトリクス等によるコーティング処理)されていないもの、あるいは培養容器の表面が、細胞との接着性を低減させる目的で人工的に処理されているものを使用できる。このような容器の例としては、スミロンセルタイトプレート(住友ベークライト株式会社製)、PrimeSurface(登録商標)プレート(住友ベークライト株式会社製)、超低接着表面プレート(コーニング社製)、ヌンクロンスフェラプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明の培地組成物により、細胞増殖促進等が達成される細胞種としては、心筋細胞が挙げられる。心筋細胞の由来は特に限定されないが、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、リス、ハムスター、ハタネズミ、カモノハシ、イルカ、クジラ、イヌ、ネコ、ヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ゾウ、コモンマーモセット、リスザル、アカゲザル、チンパンジー、ヒト等の哺乳動物由来の細胞が好ましい。本発明において心筋細胞とは、心臓を構成する細胞であり、具体的には、心筋幹細胞、心室筋細胞、心房筋細胞、刺激伝導系心筋細胞等が含有される。心筋幹細胞は自己増殖能を有し、かつ他の心筋細胞に分化しうる能力を有する細胞を意味する。これらの心筋細胞の内、本発明により増殖が促進される細胞としては、心室筋細胞が最も望ましい。心筋細胞は、ウイルスやゲノム編集などで人為的に遺伝子操作をなされたものであってもよい。心筋細胞は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞等の多能性幹細胞から分化誘導して得ることができる。また、線維芽細胞等の生体細胞に心筋細胞の分化に関連した転写因子遺伝子を導入するダイレクトリプログラミング法により得ることができる。更に、遺伝子改変を伴わない方法として、動物個体から得た心筋幹細胞を生体外で培養することにより心筋細胞を誘導して得ることができる。
心筋細胞は、哺乳動物の心臓から単離することができる。例えばヒトの心筋細胞の場合、体内から心臓組織片を採取した後に生理食塩水にて洗浄し、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、トリプシン、パパイン、サーモリシンなどの酵素処理をすることにより心筋細胞を単離することができる。この際、心臓の供給個体の年齢は制限されない。以上の様に単離或いは調製された心筋細胞は、凍結することにより保存できる。
心筋細胞を培養する際の条件(例えば、温度、二酸化炭素濃度、培養期間等)は自体公知の方法を用いればよく、あるいは、目的に応じて、適宜改変してもよい。例えば、心筋細胞を培養する際の温度は、動物細胞であれば通常25℃~39℃、好ましくは33℃~39℃(例、37℃)である。二酸化炭素濃度は、通常、培養の雰囲気中、4体積%~10体積%であり、4体積%~6体積%が好ましい。培養期間は、例えば1乃至35日間であるが、好ましくは1乃至21日間、より好ましくは1乃至14日間であり、最も好ましくは1乃至7日間であり、培養の目的に合わせて適宜設定すればよい。心筋細胞は、心筋トロポニン、Nkx2.5、MYL2、αMHC、IRX4、MYH6等のマーカー遺伝子又は蛋白質の発現を確認することにより同定できる。
心筋細胞を増幅する際には、本発明の培地組成物を用いて心筋細胞を培養すればよい。この際に、細胞培養条件(例えば、化合物濃度、添加剤濃度、阻害剤濃度、温度、二酸化炭素濃度、培養期間等)は本明細書に記載の方法を用いればよく、あるいは、目的に応じて、適宜改変してもよい。心筋細胞の増幅は、細胞数の測定と前記のマーカー遺伝子又は蛋白質の発現解析により確認できる。
[心筋細胞の増幅方法]
本発明はまた、本発明の培地組成物を用いた心筋細胞を増幅する方法を提供する。本発明の方法を用いることにより、心筋細胞を大量に得ることができる。即ち、本発明はまた、本発明の培地組成物を用いた心筋細胞を製造する方法を提供する。以下、本発明の心筋細胞の増幅方法および製造方法を「本発明の方法」と称する場合がある。本発明の方法により得られた心筋細胞は、心臓の疾患を治療するための移植片、医薬品やその候補化合物の評価用細胞として好適に用いることができる。
本発明はまた、本発明の培地組成物を用いた心筋細胞を増幅する方法を提供する。本発明の方法を用いることにより、心筋細胞を大量に得ることができる。即ち、本発明はまた、本発明の培地組成物を用いた心筋細胞を製造する方法を提供する。以下、本発明の心筋細胞の増幅方法および製造方法を「本発明の方法」と称する場合がある。本発明の方法により得られた心筋細胞は、心臓の疾患を治療するための移植片、医薬品やその候補化合物の評価用細胞として好適に用いることができる。
心筋細胞の増幅/製造は、本発明の培地組成物にて心筋細胞を生体外にて培養することにより達成される。心筋細胞の培養方法は、本明細書に記載の方法を用いればよく、あるいは、目的に応じて、適宜改変してもよい。本発明の方法により増幅/製造される心筋細胞としては、iPS細胞から分化した心筋細胞が最も望ましい。
[心疾患治療用組成物]
本発明はまた、本発明の方法により得られた心筋細胞を含む、心疾患の治療用組成物(以下、「本発明の治療用組成物」と称することがある)を提供する。本発明の治療用組成物は、心疾患を罹患する対象に投与することで、疾患を治療することができる。
本発明はまた、本発明の方法により得られた心筋細胞を含む、心疾患の治療用組成物(以下、「本発明の治療用組成物」と称することがある)を提供する。本発明の治療用組成物は、心疾患を罹患する対象に投与することで、疾患を治療することができる。
本発明の治療組成物の対象への移植方法は、所望の効果を得ることができれば特に限定されないが、非常に簡便であることから、疾患部位への注射による移植が好ましい。その際の方法は、特に制限されないが、公知の投与方法を採用することができ、例えば、シリンジ、カニューレ等で注入する方法が挙げられる。また、心筋細胞をシート状にしてから疾患部位に移植することもできる。心筋細胞をシート化するためには、例えば温度応答性ポリマーをコーティングした培養容器上で心筋細胞を培養し、温度を変化させることにより心筋細胞をシート状に取り出すことができる。心筋細胞シートは、心筋細胞シート間にハイドロゲルなどを添加することにより積層化したものを移植することもできる。
本発明の治療用組成物に含まれる心筋細胞は、本発明の方法により得られた心筋細胞であればよい。この際、本発明の治療用組成物に含まれる心筋細胞の含有量は、治療有効量であれば特に限定されず、組成物の形状等を考量して適宜決定すればよい。
本発明の治療用組成物の形状としては、対象に移植可能な形状であれば特に限定されないが、例えば、細胞と適切な分散媒とからなる液体状とすることができる。
本発明の治療用組成物を疾患部位へ移植する量は特に限定されず、治療有効量であればいかなる量であってもよい。治療有効量は、疾患の程度、対象の年齢や体重、投与方法、投与回数、本発明の治療組成物の形状等を考慮の上、適宜決定することができる。
本発明の治療用組成物は、本発明の方法で得られた心筋細胞に加えて、薬学的に許容可能な医薬品添加物を含んでいてもよい。医薬品添加物は、等張化剤、緩衝剤、pH調整剤、安定化剤、キレート剤、防腐剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の治療用組成物が好適に使用される心疾患としては、心不全、慢性心不全、重症心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、心筋症、虚血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、拡張型心筋症、アミロイド心筋症、アルコール性心筋症、ウイルス性心筋症、ストレス誘起性心筋症、心筋炎、先天性障害、遺伝性障害、左室緻密化障害、僧帽弁逸脱症、不整脈源性右室異形成、各種弁狭窄症、各種弁逆流症などが挙げられ、より好ましくは、心不全、慢性心不全、重症心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、心筋症、虚血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、拡張型心筋症、アミロイド心筋症、アルコール性心筋症、ウイルス性心筋症、ストレス誘起性心筋症、心筋炎が挙げられ、さらに好ましくは、心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、肥大型心筋症、拡張型心筋症が挙げられるが、これらに限定されない。
[心疾患の治療剤]
本発明はまた、治療有効量の下記式(I)で表される化合物またはその塩を含む、それを必要とする対象に投与するための、心疾患の治療剤(以下、「本発明の治療剤」と称することがある)を提供する。
本発明はまた、治療有効量の下記式(I)で表される化合物またはその塩を含む、それを必要とする対象に投与するための、心疾患の治療剤(以下、「本発明の治療剤」と称することがある)を提供する。
{式中、Xは、-NHCO-であり、R1は、-Y-NH-Z-Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、R3は、水酸基であり、nは、0、1または2である。}で表される化合物、またはその塩である。
本明細書における「心疾患」とは心臓の異常を引き起こす状態を表す一般的な用語である。例えば、心臓のポンプ機能(全身に血液を送り出す機能)がうまく働かず、全身の血液の循環が滞ってしまう状態を表す。その状態を引き起こす要因としては、加齢、喫煙、薬剤の投与、糖尿病、高血圧、虚血性疾患、心筋症、腎臓病、脂質異常症、感染症等が挙げられるが、これらに制限されない。「心疾患からの回復」とは、低下した心臓のポンプ機能の一部または全てが回復することを表す。心疾患からの回復により、例えば、心臓のポンプ機能の障害に起因する呼吸困難、息切れ、咳き込み、疲れやすさ、手足の冷え、動悸、足のむくみ、意識障害などの症状を緩和または治癒することができる。「心疾患からの回復促進」とは、心臓のポンプ機能が回復に至るまでの期間の短縮または低下した機能の改善を意味する。
本明細書における「心筋細胞の増殖」とは、既存の心筋細胞から新しい心筋細胞が形成される現象を表す。「心筋細胞の増殖促進」とは、新しい心筋細胞の形成の頻度が増えること、新しい心筋細胞が最終的に増えること、新しい心筋細胞が最終的に大きくなることなどを表す。「心筋細胞の増殖促進」により心筋機能の回復が促進されるため、心疾患(例えば、虚血性心疾患、心筋梗塞、肥大型心筋症等)でみられる症状を緩和または治癒することができる。
本発明の治療剤の適用対象は、心疾患を罹患する可能性のある動物であれば特に限定されないが、本発明の促進剤の適用対象は通常哺乳動物であり、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、マウス、ラット等が例示される。好ましくは、本発明の治療剤の適用対象はヒトである。
本発明の治療剤は、提供時あるいは保存時に任意の形状であり得る。本発明の促進剤は、固形状、液体状、及びゲル状等の形状であり得る。本発明の促進剤は、通常錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤などの経口投与剤、直腸投与剤、経皮吸収剤あるいは注射剤として投与できる。本剤は1個の治療薬として、あるいはほかの治療薬との混合物として投与できる。それらは有効成分単体で投与してもよいが、一般的には医薬組成物の形態で投与する。それらの医薬組成物は、薬理的、製剤学的に許容しうる添加物を加え、常法により製造することができる。すなわち、経口剤には通常の賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、可塑剤、コーティング剤などの添加物を使用することができる。経口用液剤は、水性または油性懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、エリキシルなどの形態であってもよく、あるいは使用前に水またはほかの適当な溶媒で調製するドライシロップとして供されてもよい。前記の液剤は、懸濁化剤、香料、希釈剤あるいは乳化剤のような通常の添加剤を含むことができる。直腸内投与する場合は座剤として投与することができる。座剤はカカオ脂、ラウリン脂、マクロゴール、グリセロゼラチン、ウィテップゾール、ステアリン酸ナトリウムまたはそれらの混合物など、適当な物質を基剤として用い、必要に応じて乳化剤、懸濁化剤、保存剤などを加えることができる。注射剤は、水性剤形あるいは用時溶解型剤形を形成するために、注射用蒸留水、生理食塩水、5%ブドウ糖溶液、プロピレングリコールなどの溶解剤ないし溶解補助剤、無機塩、有機酸やアミノ酸などのpH調節剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤などの製剤成分が使用される。以下に、本発明の治療剤の製剤例およびその調製方法を例示するが、これらに限定されるものではない。
製剤例1
以下の成分を含有する顆粒剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 10mg
乳糖 700mg
コーンスターチ 274mg
HPC-L 16mg
計 1000mg
以下の成分を含有する顆粒剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 10mg
乳糖 700mg
コーンスターチ 274mg
HPC-L 16mg
計 1000mg
式(I)で表される化合物と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらをV型混合機にて混合する。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)水溶液を添加し、練合、造粒(押し出し造粒 孔径0.5~1mm)した後、乾燥する。得られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ)で篩過し顆粒剤を得る。
製剤例2
以下の成分を含有するカプセル充填用散剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 10mg
乳糖 79mg
コーンスターチ 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
計 100mg
以下の成分を含有するカプセル充填用散剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 10mg
乳糖 79mg
コーンスターチ 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
計 100mg
式(I)で表される化合物と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらとステアリン酸マグネシウムをV型混合機にて混合する。10倍散100mgを5号硬ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例3
以下の成分を含有するカプセル充填用顆粒剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 15mg
乳糖 90mg
コーンスターチ 42mg
HPC-L 3mg
計 150mg
以下の成分を含有するカプセル充填用顆粒剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 15mg
乳糖 90mg
コーンスターチ 42mg
HPC-L 3mg
計 150mg
式(I)で表される化合物と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらをV型混合機にて混合する。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)水溶液を添加し、練合、造粒した後、乾燥する。得られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ)で篩過し整粒し、その150mgを4号硬ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例4
以下の成分を含有する錠剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 10mg
乳糖 90mg
微結晶セルロース 30mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
CMC-Na 15mg
計 150mg
以下の成分を含有する錠剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物 10mg
乳糖 90mg
微結晶セルロース 30mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
CMC-Na 15mg
計 150mg
式(I)で表される化合物と乳糖と微結晶セルロース、CMC-Na(カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩)を60メッシュのふるいに通し、混合する。混合末にステアリン酸マグネシウムを添加し、製剤用混合末を得る。本混合末を直打し錠剤を得る。
製剤例5
静脈用製剤は次のように製造する。
式(I)で表される化合物 100mg
飽和脂肪酸グリセリド 1000mL
静脈用製剤は次のように製造する。
式(I)で表される化合物 100mg
飽和脂肪酸グリセリド 1000mL
式(I)で表される化合物を飽和脂肪酸グリセリドに添加し、静脈用製剤を得る。上記成分の溶液は通常、1分間に1mLの速度で患者に静脈内投与されるが、これに限定されない。
本発明の治療剤をヒトに投与する場合は、その投与量を患者の年齢、性別、状態により決定するが、通常成人の場合は、一般に、1日当たり、患者の体重1kg当たり有効成分が約0.01mgから約500mgとなるように投与される。投与は、単回投与又は複数回投与であり得る。好ましくは、有効成分の投与量は、1日当たり約0.1mg/kgから約250mg/kg、さらに好ましくは1日当たり約0.5mg/kgから約100mg/kgである。一態様において、有効成分の投与量は、1日当たり約0.01mg/kgから約250mg/kg、1日当たり約0.05mg/kgから約100mg/kg、又は1日当たり約0.1mg/kgから約50mg/kgとすることができる。この範囲内において、有効成分の投与量は1日当たり0.05mg/kgから0.5mg/kg、0.5mg/kgから5mg/kg、又は5mg/kgから50mg/kgであってもよい。治療対象の患者の症状を調節するために、経口投与において、有効成分を1mgから1000mg、特に1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、600mg、750mg、800mg、900mg、又は1000mgの用量で含有する製剤を提供することができる。本発明の治療剤は、1日当たり1から4回の計画、好ましくは1日当たり1回又は2回の計画で投与可能である。これらの数値はあくまでも例示であり、投与量は患者の症状などにあわせて決定されるものである。
また、本発明の治療剤は既存の治療剤と組み合わせて投与し、その効果を強化することができる。既存の治療剤の例としては、血管内皮増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、アクチビンAなどが挙げられる。
本発明の治療剤は、心疾患を引き起こす疾患の治療薬と組み合わせて投与することができる。この様な治療薬の例としては、抗血小板薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、末梢血管拡張薬、降圧薬、脂質異常症治療薬、抗糖尿病薬、抗肥満薬、ニコチン代替薬、抗炎症薬などが挙げられる。
加溶媒分解によりまたは生理的条件下のインビボにおいて本発明の薬理学的に活性な化合物を生成する、化学的または代謝的に分解できる基を有する特定化合物の誘導体を、プロドラッグとして利用し得る。適当なプロドラッグを選択する方法および製造する方法は、例えばDesign of Prodrugs(Elsevier,Amsterdam 1985)に記載されている。特定化合物が水酸基を有する化合物である場合は、該化合物と適当なアシルハライドまたは適当な酸無水物とを反応させることによって得られるアシルオキシ誘導体がプロドラッグとして例示される。プロドラッグとして特に好ましいアシルオキシとしては-OCOC2H5、-OCO(t-Bu)、-OCOC15H31、-OCO(m-CO2Na-Ph)、-OCOCH2CH2CO2Na、-OCOCH(NH2)CH3、-OCOCH2N(CH3)2などが挙げられる。特定化合物がアミノ基を有する化合物である場合は、該化合物と適当な酸ハロゲン化物または適当な混合酸無水物とを反応させることによって得られるアミド誘導体がプロドラッグとして例示される。プロドラッグとして特に好ましいアミドとしては、-NHCO(CH2)20OCH3、-NHCOCH(NH2)CH3等が挙げられる。
本発明の治療剤が適用され得る病態としては、心機能の低下を誘引するものであれば特に制限されない。心機能低下を誘引する病態の例としては、加齢、喫煙、薬剤の投与、透析、糖尿病、高血圧、腎不全、脂質異常症等が挙げられる。
本発明の治療剤が好適に使用される心疾患としては、心不全、慢性心不全、重症心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、心筋症、虚血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、拡張型心筋症、アミロイド心筋症、アルコール性心筋症、ウイルス性心筋症、ストレス誘起性心筋症、心筋炎、先天性障害、遺伝性障害、左室緻密化障害、僧帽弁逸脱症、不整脈源性右室異形成、各種弁狭窄症、各種弁逆流症などが挙げられ、より好ましくは、心不全、慢性心不全、重症心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、心筋症、虚血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、拡張型心筋症、アミロイド心筋症、アルコール性心筋症、ウイルス性心筋症、ストレス誘起性心筋症、心筋炎が挙げられ、さらに好ましくは、心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、肥大型心筋症、拡張型心筋症が挙げられるが、これらに限定されない。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
式(I)で表される化合物は、国際公開公報第2019/022222号、国際公開公報第2019/235569号、国際公開公報第2020/158841号及び国際公開公報第2020/184605号などに記載されている。本発明において用いた化合物の例を第1乃至4表に示すが、本発明に用いることが可能な化合物はこれらのみに限定されるものではない。
表中、Meとの記載はメチルを表し、以下同様に、Etとの記載はエチルを表す。OHはヒドロキシ基を、Fはフルオロ基を、Clはクロロ基を表す。なお、R3における「-」との記載は無置換を表す。構造式に記載された番号は、R3またはR5aもしくはR5bの置換位置を表す。
〔第1表〕
〔第2表〕
〔第3表〕
〔第4表〕
式(I)で表される化合物のうち、第1表乃至第4表に記載の化合物の1H-NMRデータを以下に示す。
プロトン核磁気共鳴ケミカルシフト値は、重ジメチルスルホキシドの値を2.49ppmとして、重ジメチルスルホキシド中で、270MHzまたは400MHzにて測定した。尚、表中の記号は下記の意味を表す。s:シングレット、brs:ブロードシングレット、d:ダブレット、dd:ダブルダブレット、t:トリプレット、q:カルテット、m:マルチプレット。
k-1:H-1;270MHz
δ13.98(s, 1H), 11.13(s, 1H), 10.01(s, 1H), 7.58(d, J=8.1Hz, 1H), 7.41(t, J=8.1Hz, 2H), 6.95(d, J=8.1Hz, 2H), 6.89(t, J=8.1Hz, 1H), 6.72(d, J=8.1Hz, 1H), 6.29(t, J=8.1Hz, NH), 4.27(d, J=8.1Hz, 2H), 3.11(q, J=8.1Hz, 2H), 2.29(s, 3H), 1.37(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.98(s, 1H), 11.13(s, 1H), 10.01(s, 1H), 7.58(d, J=8.1Hz, 1H), 7.41(t, J=8.1Hz, 2H), 6.95(d, J=8.1Hz, 2H), 6.89(t, J=8.1Hz, 1H), 6.72(d, J=8.1Hz, 1H), 6.29(t, J=8.1Hz, NH), 4.27(d, J=8.1Hz, 2H), 3.11(q, J=8.1Hz, 2H), 2.29(s, 3H), 1.37(t, J=8.1Hz, 3H).
k-1:D-1;270MHz
δ13.66(s, 1H), 10.76(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.98(s, 1H), 7.25(d, J=10.8Hz, 1H), 6.86(t, J=10.8Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.20-5.95(m, 3H), 5.87(t, J=5.4Hz, NH), 3.88(d, J=5.4Hz, 2H), 2.78(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.66(s, 1H), 10.76(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.98(s, 1H), 7.25(d, J=10.8Hz, 1H), 6.86(t, J=10.8Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.20-5.95(m, 3H), 5.87(t, J=5.4Hz, NH), 3.88(d, J=5.4Hz, 2H), 2.78(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
GA-002;400MHz
δ10.82(s, 1H), 9.71(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.07(t, J=8.0Hz, 2H), 6.63(d, J=8.0Hz, 2H), 6.56(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.93(d, J=12Hz, NH), 4.28(m, 1H), 2.80(q, J=8.0Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.40(d, J=8.0Hz, 3H), 1.03(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
δ10.82(s, 1H), 9.71(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.07(t, J=8.0Hz, 2H), 6.63(d, J=8.0Hz, 2H), 6.56(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.93(d, J=12Hz, NH), 4.28(m, 1H), 2.80(q, J=8.0Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.40(d, J=8.0Hz, 3H), 1.03(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
GA-002A;400MHz
δ10.82(s, 1H), 9.71(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.07(t, J=8.0Hz, 2H), 6.63(d, J=8.0Hz, 2H), 6.56(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.93(d, J=12Hz, NH), 4.28(m, 1H), 2.80(q, J=8.0Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.40(d, J=8.0Hz, 3H), 1.03(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
δ10.82(s, 1H), 9.71(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.07(t, J=8.0Hz, 2H), 6.63(d, J=8.0Hz, 2H), 6.56(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.93(d, J=12Hz, NH), 4.28(m, 1H), 2.80(q, J=8.0Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.40(d, J=8.0Hz, 3H), 1.03(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
GA-005A;270MHz
δ13.65(s, 1H), 10.75(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.97(s, 1H), 7.25(d, J=8.1Hz, 1H), 6.83(t, J=8.1Hz, 1H), 6.39(d, J=8.1Hz, 1H), 6.15-5.95(m, 3H), 5.81(d, J=8.1Hz, 1H), 4.18(m, 1H), 2.78(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.37(d, J=8.1Hz, 3H), 1.03(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.65(s, 1H), 10.75(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.97(s, 1H), 7.25(d, J=8.1Hz, 1H), 6.83(t, J=8.1Hz, 1H), 6.39(d, J=8.1Hz, 1H), 6.15-5.95(m, 3H), 5.81(d, J=8.1Hz, 1H), 4.18(m, 1H), 2.78(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.37(d, J=8.1Hz, 3H), 1.03(t, J=8.1Hz, 3H).
k-1:J-1;270MHz
δ13.45(br, 1H), 9.57(s, 1H), 9.53(s, 1H), 9.36(s, 1H), 7.17(d, J=8.1Hz, 1H), 7.11(d, J=8.1Hz, 1H), 6.80-6.70(m, 3H), 6.64(br, NH), 6.37(d, J=8.1Hz, 1H), 4.25(d, J=5.4Hz, 2H), 2.65(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.45(br, 1H), 9.57(s, 1H), 9.53(s, 1H), 9.36(s, 1H), 7.17(d, J=8.1Hz, 1H), 7.11(d, J=8.1Hz, 1H), 6.80-6.70(m, 3H), 6.64(br, NH), 6.37(d, J=8.1Hz, 1H), 4.25(d, J=5.4Hz, 2H), 2.65(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
CE-001;270MHz
δ13.41(s, 1H), 9.87(s, 1H), 9.61(s, 1H), 9.54(s, 1H), 7.17(d, J=8.1Hz, 1H), 6.84(t, J=8.1Hz, 1H), 6.60-6.40(m, 3H), 6.37(d, J=8.1Hz, 1H), 4.26(d, J=8.1Hz, 2H), 2.66(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.41(s, 1H), 9.87(s, 1H), 9.61(s, 1H), 9.54(s, 1H), 7.17(d, J=8.1Hz, 1H), 6.84(t, J=8.1Hz, 1H), 6.60-6.40(m, 3H), 6.37(d, J=8.1Hz, 1H), 4.26(d, J=8.1Hz, 2H), 2.66(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
A-004A;270MHz
δ13.63(s, 1H), 10.91(s, 1H), 9.71(s, 1H), 8.02(d, J=2.7Hz, 1H), 7.79(d, J=5.4Hz, 1H), 7.26(d, J=8.1Hz, 1H), 7.08(t, J=8.1Hz, 1H), 6.94(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.23(d, J=8.1Hz, 1H), 4.33(m, J=8.1Hz, 1H), 2.82(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.42(d, J=8.1Hz, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.63(s, 1H), 10.91(s, 1H), 9.71(s, 1H), 8.02(d, J=2.7Hz, 1H), 7.79(d, J=5.4Hz, 1H), 7.26(d, J=8.1Hz, 1H), 7.08(t, J=8.1Hz, 1H), 6.94(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.23(d, J=8.1Hz, 1H), 4.33(m, J=8.1Hz, 1H), 2.82(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.42(d, J=8.1Hz, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
A-007R;270MHz
δ13.63(s, 1H), 10.97(s, 1H), 9.73(s, 1H), 7.91(brs, 1H), 7.73(brs, 1H), 7.28(d,J=8.1Hz, 1H), 6.81(d, J=13.5Hz, 1H), 6.69(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 4.35(m, 1H), 2.84(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.42(d, J=5.4Hz, 3H), 1.07(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.63(s, 1H), 10.97(s, 1H), 9.73(s, 1H), 7.91(brs, 1H), 7.73(brs, 1H), 7.28(d,J=8.1Hz, 1H), 6.81(d, J=13.5Hz, 1H), 6.69(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 4.35(m, 1H), 2.84(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.42(d, J=5.4Hz, 3H), 1.07(t, J=8.1Hz, 3H).
A-010;270MHz
δ13.64(s, 1H), 10.93(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.53(brs, 1H), 7.27(d, J=8.1Hz, 1H), 7.19(m, 1H), 6.92(m, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.23(d, J=8.1Hz, 1H), 4.31(m, 1H), 2.81(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.41(d, J=8.1Hz, 3H), 1.06(m, 3H).
δ13.64(s, 1H), 10.93(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.53(brs, 1H), 7.27(d, J=8.1Hz, 1H), 7.19(m, 1H), 6.92(m, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.23(d, J=8.1Hz, 1H), 4.31(m, 1H), 2.81(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.41(d, J=8.1Hz, 3H), 1.06(m, 3H).
A-012;270MHz
δ13.63(s, 1H), 10.95(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.79(d, J=2.7Hz, 1H), 7.27(d, J=8.1Hz, 1H), 7.20(d, J=8.1Hz, 1H), 7.06(m, 1H), 6.48(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz,
1H), 4.33(m, 1H), 2.82(q, J=5.4Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.41(d, J=5.4Hz, 3H), 1.07(t, J=8.1Hz, 3H).
δ13.63(s, 1H), 10.95(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.79(d, J=2.7Hz, 1H), 7.27(d, J=8.1Hz, 1H), 7.20(d, J=8.1Hz, 1H), 7.06(m, 1H), 6.48(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz,
1H), 4.33(m, 1H), 2.82(q, J=5.4Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.41(d, J=5.4Hz, 3H), 1.07(t, J=8.1Hz, 3H).
[実施例1]ヒトiPS細胞由来心室筋細胞を用いた細胞増殖試験
(ヒトiPS細胞由来心室筋細胞解凍)
細胞は、ヒトiPS細胞由来心室筋細胞(Axol社製,#AX2508)を用いた。細胞の解凍には、Cardiomyocyte Maintenance Medium(Axol社製,#AX2530-500;以下、維持培地)に、10%FBS(シグマ・アルドリッチ社製,#F9665)と10μM Y-27632(富士フイルム和光純薬社製,#034-24024)を加えた播種培地を用いた。Axol社推奨プロトコルに従って細胞を解凍し、播種培地に懸濁した。本懸濁液を遠心分離(株式会社トミー精工製、型番LC-200、200×g./5分、室温)後、上清を除き、播種培地を添加して細胞懸濁液を調製した。一部をトリパンブルー(富士フイルム和光純薬社製,#207-17081)で懸濁してTC-20(BIO-RAD社製)にて生細胞数をカウントすることで細胞数を計測した。
(ヒトiPS細胞由来心室筋細胞解凍)
細胞は、ヒトiPS細胞由来心室筋細胞(Axol社製,#AX2508)を用いた。細胞の解凍には、Cardiomyocyte Maintenance Medium(Axol社製,#AX2530-500;以下、維持培地)に、10%FBS(シグマ・アルドリッチ社製,#F9665)と10μM Y-27632(富士フイルム和光純薬社製,#034-24024)を加えた播種培地を用いた。Axol社推奨プロトコルに従って細胞を解凍し、播種培地に懸濁した。本懸濁液を遠心分離(株式会社トミー精工製、型番LC-200、200×g./5分、室温)後、上清を除き、播種培地を添加して細胞懸濁液を調製した。一部をトリパンブルー(富士フイルム和光純薬社製,#207-17081)で懸濁してTC-20(BIO-RAD社製)にて生細胞数をカウントすることで細胞数を計測した。
(単層培養法(2D)での細胞増殖評価)
播種培地にヒトiPS細胞由来心室筋細胞を懸濁した後、Fibronectin(Axol社製,#AX0049)でコーティングした96ウェル平底プレート(Iwaki社,#3860-096)へ、8000cells/100μL/ウェルで播種した。37℃、5%CO2インキュベーターにて一晩培養し、翌日維持培地へ交換した。維持培地には、終濃度10μM(DMSO濃度0.1%)となるように、DMSOに溶解した本発明に用いられる特定化合物を添加した。対照として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。引き続き37℃、5%CO2インキュベーターにて7日間培養した。
播種培地にヒトiPS細胞由来心室筋細胞を懸濁した後、Fibronectin(Axol社製,#AX0049)でコーティングした96ウェル平底プレート(Iwaki社,#3860-096)へ、8000cells/100μL/ウェルで播種した。37℃、5%CO2インキュベーターにて一晩培養し、翌日維持培地へ交換した。維持培地には、終濃度10μM(DMSO濃度0.1%)となるように、DMSOに溶解した本発明に用いられる特定化合物を添加した。対照として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。引き続き37℃、5%CO2インキュベーターにて7日間培養した。
(三次元培養法(3D)での細胞増殖評価)
播種培地にヒトiPS細胞由来心室筋細胞を懸濁した後、96ウェルU底細胞低接着プレート(コーニング社,#4520)へ、500cells/90μL/ウェルで播種した。引き続き、終濃度10μM(DMSO濃度0.1%)となるように、DMSOに溶解した本発明に用いられる特定化合物を10μL/ウェル添加し、37℃、5%CO2インキュベーターにて4日間培養した。対照として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。
播種培地にヒトiPS細胞由来心室筋細胞を懸濁した後、96ウェルU底細胞低接着プレート(コーニング社,#4520)へ、500cells/90μL/ウェルで播種した。引き続き、終濃度10μM(DMSO濃度0.1%)となるように、DMSOに溶解した本発明に用いられる特定化合物を10μL/ウェル添加し、37℃、5%CO2インキュベーターにて4日間培養した。対照として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。
ATP試薬(Promega社製,CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay)を用いて生細胞数を計測した。4日間または7日間培養した培養液に対してATP試薬を100μL/ウェル添加し懸濁させ、懸濁液100μL/ウェルをアッセイ用白色プレート(コーニング社,#3912)へ移した。10分間室温で静置した後、プレートリーダー(パーキンエルマー社,EnSpire)を用いて発光量を測定した。
測定した発光量について、対照群(DMSO)に対する相対値を算出したところ、下記の化合物を添加することで、2Dで発光量が1.2倍以上、3Dで発光量が1.5倍以上増加した。すなわち下記の化合物の添加により細胞数が2Dで1.2倍以上、3Dで1.5倍以上に増加していた。このことから、本発明の培地組成物は、ヒトiPS細胞由来心室筋細胞の増殖促進効果を有していることが示された。
細胞数が1.2倍以上に増加した化合物(2D):
k-1:D-1,k-1:J-1,k-1:H-1,GA-002,GA-002A, GA-005A,A-004A,A-007R,A-010,A-012,CE-001
細胞数が1.5倍以上に増加した化合物(2D):
k-1:D-1,k-1:J-1,GA-002A,A-004A,CE-001
細胞数が1.5倍以上に増加した化合物(3D):
k-1:D-1,k-1:J-1,k-1:H-1,GA-002,GA-002A,A-004A,A-007R,A-010,A-012,CE-001
細胞数が2.0倍以上に増加した化合物(3D):
k-1:D-1,k-1:J-1,k-1:H-1,GA-002,A-004A,A-010,CE-001
k-1:D-1,k-1:J-1,k-1:H-1,GA-002,GA-002A, GA-005A,A-004A,A-007R,A-010,A-012,CE-001
細胞数が1.5倍以上に増加した化合物(2D):
k-1:D-1,k-1:J-1,GA-002A,A-004A,CE-001
細胞数が1.5倍以上に増加した化合物(3D):
k-1:D-1,k-1:J-1,k-1:H-1,GA-002,GA-002A,A-004A,A-007R,A-010,A-012,CE-001
細胞数が2.0倍以上に増加した化合物(3D):
k-1:D-1,k-1:J-1,k-1:H-1,GA-002,A-004A,A-010,CE-001
上記結果より、本発明に用いられる特定化合物の心筋細胞に対する増殖促進効果が示された。
本発明の心筋細胞の増殖促進剤により、心機能の障害を回復させることができる。従って、本発明の心筋細胞の増殖促進剤は、心疾患の治療に好適に用いられ、医療分野において極めて有益である。
Claims (12)
- R2が、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
nが0であり、
Arが、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよいフェニル基、または、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~4個の置換基を有していてもよいピリジル基であり、
Y、およびZが、単結合、またはメチル基およびエチル基から選ばれる1~2個の置換基を有していてもよいメチレン基である、
請求項1記載の剤。 - 治療有効量の請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の剤を含む、心筋細胞培養用培地組成物。
- 請求項6に記載の培地組成物中において心筋細胞を培養することを含む、心筋細胞の増幅方法。
- R2が、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
nが0であり、
Arが、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよいフェニル基、または、ハロゲン原子、水酸基およびメチル基から選ばれる1~4個の置換基を有していてもよいピリジル基であり、
Y、およびZが、単結合、またはメチル基およびエチル基から選ばれる1~2個の置換基を有していてもよいメチレン基である、
請求項8に記載の剤。
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2021
- 2021-07-02 JP JP2021110541A patent/JP2023007595A/ja active Pending
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