JP2003171462A - ε−ポリリジンおよびその製造方法、食品添加剤、および食品 - Google Patents

ε−ポリリジンおよびその製造方法、食品添加剤、および食品

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JP2003171462A
JP2003171462A JP2001372896A JP2001372896A JP2003171462A JP 2003171462 A JP2003171462 A JP 2003171462A JP 2001372896 A JP2001372896 A JP 2001372896A JP 2001372896 A JP2001372896 A JP 2001372896A JP 2003171462 A JP2003171462 A JP 2003171462A
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polylysine
epl
food
salt
acid
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JP2001372896A
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Hideji Satake
秀司 佐竹
Hideaki Fukushi
英明 福士
Jun Hiraki
純 平木
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 従来のε−ポリリジンに比べて抗菌効果が
高く、その使用量が少量であっても高い抗菌効果を示す
ε−ポリリジンと、それの効率的な製造方法、および食
品の保存可能期間を延ばすことが可能な食品添加剤、お
よび保存可能期間が延長された食品の提供。 【解決手段】 ε−ポリリジン中の、重合度(n)が2
1以上のε−ポリリジンの割合を90重量%以上とす
る。このε−ポリリジンを食品保存剤に添加する。さら
に該ε−ポリリジンを食品に添加する。ε−ポリリジン
を含有する液体を分子量区分1000以下の限外濾過膜
で処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ε−ポリリジンお
よびその製造方法、食品添加剤、および食品に関する。
【0002】
【従来の技術】ソルビン酸、安息香酸、プロピオン酸な
どの抗菌性化学合成物に比べ、微生物の発酵生産物であ
り天然の抗菌物質であるε−ポリリジンは、その高い安
全性が評価され、主に食品保存料などの用途に広く使用
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ε−ポ
リリジンは前述の抗菌性化合成合物に比べ生産コストが
高く、最終製品の製造費に占めるε−ポリリジンコスト
の割合が大きいことから、経済的な理由によりその用途
が限定されているの現状である。抗菌効果が従来のε−
ポリリジンよりも高く、その使用量が少量であっても高
い抗菌効果を示すε−ポリリジンがあれば、上記のよう
なコスト問題も解決できる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の従
来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、特
定の分子量分布を有するε−ポリリジンであれば、従来
のε−ポリリジンに比べて抗菌効果が高く、その使用量
が少量であっても高い抗菌効果を示すことを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成させた。
【0005】以上の記述から明らかなように、本発明の
目的は、従来のε−ポリリジンに比べて抗菌効果が高
く、より少ない使用量であっても従来と同等の抗菌効果
を得ることができるε−ポリリジンおよびそれの製造方
法、該ε−ポリリジンを含有し食品の保存可能期間を延
ばすことが可能な食品添加剤、該ε−ポリリジンを含有
し保存可能期間が延長されたする食品を提供することに
ある。
【0006】本発明は下記の(1)〜(9)の構成を有
する。 (1)下記一般式(1)で表されるε−ポリリジンにお
いて、重合度(n)が21以上であるε−ポリリジンを
90重量%以上含有するε−ポリリジン。
【0007】(2)重合度(n)が21以上であるε−
ポリリジンの含有割合が95重量%以上である前記第1
項記載のε−ポリリジン。
【0008】(3)重合度(n)が21〜35の範囲で
ある前記第1項または第2項記載のε−ポリリジン。
【0009】(4)前記第1項〜第3項の何れか1項記
載のε−ポリリジンの塩。
【0010】 ε−ポリリジンの塩が無機塩である前記
第4項記載の塩。
【0011】 ε−ポリリジンの塩が有機酸塩である前
記第4項記載の塩。
【0012】 前記第1項〜第3項の何れか1項記載の
ε−ポリリジンおよび前記第4項〜第6項の何れか1項
記載の塩から選ばれた1種以上を含有する食品保存剤。
【0013】 前記第1項〜第3項の何れか1項記載の
ε−ポリリジンおよび前記第4項〜第6項の何れか1項
記載の塩から選ばれた1種以上を含有する食品。
【0014】 前記第1項〜第3項の何れか1項記載の
ε−ポリリジンの製造方法であって、ε−ポリリジンを
含有する液体を、分子量区分1000以下の限外濾過膜
で処理する工程を有することを特徴とするε−ポリリジ
ンの製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】ε−ポリリジン(以下「EPL」
と記述する。)は、L−リジンが、α位のカルボキシル
基とε位のアミノ基との間で結合しているポリマーであ
る。また、EPLは側鎖にアミノ基が存在することか
ら、水溶液中では該アミノ基がプラスに帯電し、EPL
自身がポリカチオンとなることから抗菌活性を示すと考
えられている。
【0016】本発明に使用するEPLは、化学合成によ
って得られたものであっても、発酵によって得られたた
ものであってもよく、特に限定されるものではないが、
ストレプトマイセス・アルブラス(Streptomy
ces・alblus)や、ストレプトマイセス・ヌー
ルセイ(Streptomyces・noursei)
に代表されるポリリジン生産菌を培地中にて培養し、培
養後の該培地から分離されたEPLは、食品添加物とし
て使用することが可能なほど安全性が高いことから本発
明に好ましく使用することができる。
【0017】また、EPLの発酵生産に用いるポリリジ
ン生産菌についても、本発明においては特に限定される
ものではなく、ストレプトマイセス・アルブラス・サブ
スピーシーズ・リジノポリメラス(Streptomy
ces alblus・ sp ・ Lysinopo
lymerus)No.346−D株(微工研条寄第3
834号)や、ストレプトマイセス・アルブラス・サブ
スピーシーズ・リジノポリメラス(Streptomy
ces alblus・ sp ・ Lysinopo
lymerus)No.11011A−1株(微工研条
寄第1109号)は、EPLの生産性が高いことから本
発明において好ましい菌株である。
【0018】本発明EPLの90重量%以上は、重合度
(n)が21以上のものである。該EPLの90重量%
以上が重合度(n)21以上であれば、従来のEPLを
使用した場合よりも高い抗菌効果を得ることができる。
さらに、重合度(n)21以上のEPLが95重量%以
上である場合には、より高い抗菌効果を得ることができ
る。
【0019】該重合度(n)の上限は特に限定されるも
のではないが、重合度(n)が36以上のEPLを得る
ことは、現時点では困難である。
【0020】重合度(n)が21以上のEPLを90重
量%以上含有するEPLを製造する方法は特に限定され
るものではないが、具体的には、ポリリジン生産菌を培
地中にて培養し、培養後の該培地から遠心分離もしくは
濾過の手段により分離されたEPLを、分子量区分10
00以下の限外濾過膜で濾過処理する方法を挙げること
ができる。
【0021】通常、ポリリジン生産菌を培地中にて培養
し、培養後の該培地から遠心分離もしくは濾過の手段に
より分離されたEPLには、重合度(n)が21を下回
る比較的低重合度のEPLが多く含まれていることか
ら、上記方法は本発明において好ましく用いることがで
きる。
【0022】さらに、該限外濾過処理時に使用する限外
濾過膜の区画分子量は1000以下であれば特に限定さ
れるものではないが、本発明においては1000である
ことが好ましい。
【0023】上記製造方法に使用する限外濾過膜の材質
は特に限定されるものではないが、ポリスルフォン、ポ
リアクリロニトリル、ポリエーテルスルフォン、酢酸セ
ルロース、およびポリオレフィンなどを挙げることがで
きる。
【0024】区画分子量が1000以下の限外濾過膜と
しては、具体的には、フィルトロン・ノバ1K(富士フ
ィルター工業(株)製、商品名)を挙げることができ
る。
【0025】この限外濾過膜を用いた濾過処理は、発酵
の菌体除去後、もしくは精製した後に行っても良いが、
限外濾過膜の汚染を考慮し、精製後に行うのが好まし
い。
【0026】本発明の製造方法においては、該限外濾過
処理の対象物は上記のような培地に限定されるものでは
なく、EPLを含有する液体であれば何れの液体であっ
ても良い。例えば、EPLの水溶液であっても良い。
【0027】本発明のEPLは塩の状態であっても、本
発明EPLと同等の効果を奏する。該EPL塩は、無機
塩であっても有機酸塩であってもよい。無機塩として
は、塩酸、硫酸、またはリン酸との塩などを挙げること
ができる。
【0028】また、有機酸塩としては、クエン酸、グル
コン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、リ
ンゴ酸、アジピン酸、プロピオン酸、ソルビン酸、安息
香酸、およびアスコルビン酸との塩などを挙げることが
できる。
【0029】本発明のEPLおよびその塩の重合度を測
定する方法は特に限定されるものではないが、例えば、
ペアードイオンクロマトグラフィー法を用いることによ
ってEPLの重合度を測定することができる(特開平9
−19288号)。
【0030】本発明のEPLおよびその塩は、従来のも
のよりも高い抗菌効果を有することから、人間をはじめ
とする動物に直接もしくは間接に接触する用途に使用す
ることが好ましい。具体的には、食品保存剤、洗浄剤、
コンタクトレンズケア剤、化粧料、保湿剤、制汗剤、医
薬品、農薬、飼料、薬用クリーム、薬用ローション、シ
ェービング剤、入浴剤、育毛剤、整髪剤、日焼防止剤、
消臭剤、ハミガキ、衣類の仕上剤、フロアケア剤、香
水、黴取剤、清浄(除菌)剤、衣類、布帛、ウェットテ
ィッシュ、コットンシート、吸水性物品、紙、クッキン
グペーパー、樹脂、手袋、便器、ヘアブラシ、および歯
ブラシなどを挙げることができる。
【0031】本発明の食品保存剤は、本発明のEPLお
よびその塩から選ばれた1種以上を含有するものであれ
ば、その組成などは特に限定されるものではない。ま
た、該食品保存剤における本発明のEPLおよびその塩
から選ばれた1種以上の含有割合は特に限定されるもの
ではないが、該食品保存剤に対して0.5〜100重量
%の範囲であることが好ましい。
【0032】本発明の食品保存剤に使用し得る、本発明
のEPLおよびその塩以外の成分は、本発明の効果を損
なわない範囲であれば、何れの成分を用いても良く、具
体的には、食用乳化剤、アミノ酸、アルコール類、プロ
タミン、リゾチーム、有機酸あるいはその塩などを挙げ
ることができる。
【0033】食用乳化剤としては、例えばカプリル酸モ
ノグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ラウン
酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル;蔗
糖モノラウレート、蔗糖モノパルミテト、蔗糖モノステ
アレート等の蔗糖脂肪酸エステル;ソルビタンモノラウ
レート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノ
オレート等のソルビタン脂肪酸エステル;エチレン(プ
ロピレン)グリコールモノステアレート等のエチレン
(プロピレン)グリコール脂肪酸エステル;デカグリセ
リンモノラウレート、テトラグリセリンモノオレート等
のポリグリセリン脂肪酸エステル
【0034】ポリオキシエチレン(プロピレン)ソルビ
タンモノラウレート、ポリオキシエチレン(プロピレ
ン)モノパルミテート、ポリオキシエチレン(プロピレ
ン)モノオレート等のポリオキシエチレン(プロピレ
ン)脂肪酸エステル、卵黄レシチン、大豆レシチン等の
レシチンが挙げられ、本発明においては、これらから選
ばれた1種以上を使用することができる。
【0035】アミノ酸としてはグリシン、アラニン、バ
リン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プ
ロリン、セリン、スレオニン、システィン、シスチン、
メチオニン、トリプトファン、チロシン、ヒドロキシプ
ロリン、アスパラギン、グルタミン等の中性アミノ酸;
リジン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸;
アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸等が挙
げられ、本発明においては、これらから選ばれた1種以
上を使用することができる。
【0036】アルコール類としては、エチルアルコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコール、ベンジルアルコール等が挙げられ、本発明
においては、これらから選ばれた1種以上を使用するこ
とができる。
【0037】有機酸あるいはその塩としては、クエン
酸、グルコン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、コハ
ク酸、リンゴ酸、アジピン酸、プロピオン酸、ソルビン
酸、安息香酸、アスコルビン酸やこれらのナトリウム
塩、カリウム塩、カルシウム塩、鉄塩等が挙げられ、本
発明においては、これらから選ばれた1種以上を使用す
ることができる。
【0038】本発明の食品は、本発明のEPLおよびそ
の塩から選ばれた1種以上を含有するものであれば、そ
の組成などは特に限定されるものではない。また、該食
品における本発明のEPLおよびその塩から選ばれた1
種以上の含有割合は特に限定されるものではないが、該
食品に対して0.01〜0.5重量%の範囲であること
が好ましい。
【0039】本発明の食品は、本発明の効果を損なわな
い範囲であれば、本発明のEPLおよびその塩以外の成
分を含有するものであってもよい。それ以外の成分とし
て具体的には、前述の食用乳化剤、アミノ酸、アルコー
ル類、プロタミン、リゾチーム、有機酸あるいはその塩
などを挙げることができる。
【0040】また、本発明の食品は、本発明の食品保存
剤を含有するものであっても良い。該食品における該食
品保存剤の含有量は特に限定されるものではないが、該
食品に対する本発明のEPLおよびその塩から選ばれた
1種以上の濃度が0.01〜0.5重量%の範囲となれ
ばよい。
【0041】本発明のEPLおよびその塩、もしくは本
発明の食品添加剤を添加する食品は特に限定されるもの
ではないが、具体的には、蒲鉾、竹輪等の水産練り製
品;ソーセージ、ハム等の畜肉製品;魚のひらき等の半
生干し製品;洋菓子類;和菓子類;生麺、茹で麺、中華
麺、日本蕎麦等の麺類;ソース、醤油、味噌、タレ、マ
ヨネーズ等の調味量類;漬け物、佃煮、米飯類、茹で野
菜類、惣菜などを挙げることができる。
【0042】本発明のEPLおよびその塩は、従来のE
PLに比べて抗菌効果が高く、より少ない使用量であっ
ても従来と同等の抗菌効果を得ることができることか
ら、該EPLおよびその塩から選ばれた1種以上、或い
は本発明の食品保存剤を食品に添加した場合、食品の味
と風味を損なうことが少ない。
【0043】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を詳細に説明す
る。本実施例において特に断りがない場合、「%」とは
「重量%」のことである。 1.EPLの製造(EPL−1〜3) (1)使用菌株 ストレプトマイセス属に属するEPL生産菌であるスト
レプトマイセス・アルブラス・サブスピーシーズ・リジ
ノポリメラス(Streptomyces alblu
s・ sp ・ Lysinopolymerus)N
o.11011A−1株(微工研条寄第1109号)を
変性処理して得られ、10mg/ml以上の高濃度のS
−(2−アミノエチル)−L−システインに対して耐性
を有するEPLを顕著に生産するB21021株(寄託
番号FERM P−15193号)をEPLの生産菌と
して用いた。
【0044】(2)EPL生産菌の培養 下記組成の培地を2リットル調製し、3リットルのミニ
ジャーファーメンター(いわしや製)に入れ、これに下
記組成の培地100mlを用いて前培養液(30℃、3
6時間、振とう培養)しておいたB21021株の培養
液を全量接種し、30℃、700rpm、通気量3リッ
トル/分で72時間、好気培養を行いEPL培養液を得
た。
【0045】培養開始後、残存グルコース濃度が1%以
下に低下した時点で、該残存グルコース濃度が5%にな
るようにグルコースを添加した。以後も同様に残存グル
コース濃度が1%以下になった時点で該残存濃度が5%
になるようにグルコースを逐次添加した。硫酸アンモニ
ウムについては、グルコース添加と同時にグルコースの
1/10倍量(重量比)を逐次添加した。また、pHの
調整は、10%アンモニア水を用いて自動調整装置によ
りpH4に維持した。
【0046】<培地組成>グルコース5%、酵母エキス
0.5%、硫酸アンモニウム1%、K2HPO4 0.
08%、KH2PO4 0.136%、MgSO4・7H
20 0.05%、ZnSO4・7H20 0.004
%、FeSO4・7H20 0.003%、pH:6.
【0047】(3)EPLの培養、分離、精製 EPL−1 前述のEPL培養液から、遠心分離によって菌体を除去
し、上澄み液(菌体除去液)を得た。その後、該菌体除
去液のpHを、10%アンモニア水を用いてpH7.5
に調整した。このpH調製済みの該上澄み液の一部を、
カチオン交換樹脂−1(アンバーライトIRC―5
0)、アニオン交換樹脂(アンバーライトIRA−40
2)、およびカチオン交換樹脂−2(XT−1006)
の各イオン交換樹脂にかけ、EPLの分離、精製を行い
EPL含有精製液を得た。
【0048】その後該EPL精製液1.0Lについて、
富士フィルター工業(株)製の分画分子量1000の限
外濾過膜であるフィルトロン・ノバ1Kを用いて限外濾
過を行った。限外濾過条件は、循環速度:700ml/
min、入口圧:1.0kg/cm、出口圧:0.6
kg/cmである。限外濾過の方法としては、1.0
Lの該EPL精製液が、400mlまで濃縮された時、
該濃縮液に600mlの蒸留水を新たに加え、これを更
に限外濾過を行い400mlまで濃縮した。この濃縮を
3回行い、400mlの濃縮液を得た。該濃縮液に対し
て活性炭処理を行ない脱色液を得た。該脱色液400m
lを凍結乾燥しポリリジンの白色粉末を得た。ここで得
られたEPL(EPL−1)は、重合度(n)が21以
上であるEPLの割合が91.5%のものであった。
【0049】EPL−2 限外濾過膜による濃縮回数を6回にした以外は、EPL
−1に準じてEPLの培養、分離、精製を行いポリリジ
ンの白色粉末を得た。ここで得られたEPL(EPL−
2)は、重合度(n)が21以上であるEPLの割合が
96.0%のものであった。
【0050】EPL−3 前述のEPL培養液から、遠心分離に遠心分離によって
菌体を除去し、上澄み液(菌体除去液)を得た。その
後、該菌体除去液のpHを、10%アンモニア水を用い
てpH7.5に調整した。このpH調製済みの該菌体除
去液の一部を、カチオン交換樹脂−1(アンバーライト
IRC―50)、アニオン交換樹脂(アンバーライトI
RA−402)、およびカチオン交換樹脂−2(XT−
1006)の各イオン交換樹脂で分離、精製し、逆浸透
膜で濃縮、活性炭処理を行ない脱色液を得た。この脱色
液を凍結乾燥しポリリジンの白色粉末を得た。ここで得
られたEPL(EPL−3)は、重合度(n)が21以
上であるEPLの割合が85.0%のものであった。
【0051】(4)EPL濃度の測定 本実施例において培養液中のEPL濃度は、イツアキ
(Itzhaki):アナリティカルバイオケミストリー(Ana
lytical Biochemistry)50,569,1972の方法により測定
した。すなわち、培養液を遠心分離して菌体を除いた
後、菌体除去液(EPL:0〜200μg)2mlと1mMメチ
ルオレンジ水溶液2mlとを混合し、室温で30分間放置
してEPL−メチルオレンジコンプレックスを生じさせ
る。その後、遠心することにより、該EPL−メチルオ
レンジコンプレックスを除いた上澄水の465nmにおける
吸光度を測定し、EPL量を求めた。
【0052】(5)EPL重合度の測定 得られた各EPLの重合度測定には、逆相クロマトグラ
フィー用カラム(L−カラム(ODS):化学品検査協
会製:内径4.6mm、長さ250mm)を用い、展開
溶媒は、10mMリン酸水素ナトリウム、100mM過
塩素酸ナトリウム、10mM過塩素酸ナトリウム、10
mMオクタンスルフォン酸ナトリウムを含む水溶液(A
液)と、10mMリン酸水素ナトリウム、100mM過
塩素酸ナトリウム、10mM過塩素酸ナトリウム、10
mMオクタンスルフォン酸ナトリウムを含むアセトニト
リル50%容量%水溶液(B液)を使用した。
【0053】EPL−1〜3の粉末を用いて、それぞれ
について6.25重量%のEPL水溶液を作製し、該E
PL水溶液20μLを該カラムに供し、展開はA液とB
液の混合液を用い、該展開液を、展開1分後にB液の濃
度が50%(V/V)から55%(V/V)、25分後
に55%(V/V)から70%(V/V)、35分後に
70%(V/V)〜75%(V/V)となるように直線
的に濃度勾配をつけつつ毎分1mlの流速で溶出させ
た。
【0054】経時的にUV検出器により溶出液のアミノ
基の吸収ピークを検出してクロマトグラムを得た。クロ
マトグラム上でEPLは、リジン1残基ごとに分離され
たピークとして検出される。クロマトグラム上の各ピー
クの面積から、各EPLの重合度(n)が21以上であ
るもののEPL全体に占める面積割合(%)を求め、そ
れを重合度(n)が21以上であるものの割合(%)と
した。結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】2.EPLの抗菌効果の測定 (1)最小発育阻止濃度(MIC)の測定 製造したEPL−1〜3のMICを下記の方法にて測定
した。なお、微生物は、食品腐敗菌および食中毒原因菌
のうち代表的な、エスケリチア コリ(Escheri
chia coli(IFO13500))、バチルス
セレウス(Bacillus cereus(IFO
13494))、スタフィロコッカスアレウス(Sta
phylococcus aureus(IFO132
76))の3菌種の菌液を使用し、液体培地法により測
定した。培地としてはブレインハートインフュージョン
培地(BHI培地)を使用した。
【0057】BHI培地4.5mlを入れた試験管に、
「(5)EPL重合度の測定」に使用したEPL水溶液
の2倍希釈液を0.5ml添加し撹拌混合した後、該試
験管に、各菌体濃度が5×10個/mlである該菌液
をそれぞれ0.1ml接種し、インキュベーター中にお
いて、30℃で48時間培養した。培養開始24時間
目、および48時間目に各菌の生育を試験管中の液の濁
りとして目視で確認し、各々についてMICを決定し
た。試験数はn=5で行い、その平均値をMICとし
た。結果を表1に示した。
【0058】
【表2】 E.coli :エスケリチア コリ(Escher
ichia coli(IFO13500)) B.cereus:バチルス セレウス(Bacill
us cereus(IFO13494)) S.aureus:スタフィロコッカス アレウス(S
taphylococcus aureus(IFO1
3276))
【0059】表1の結果から、重合度(n)が21以上
であるEPLの割合が90重量%以上であるEPLは、
MIC値が小さく抗菌性が良好であることが明らかとな
った。
【0060】(2)食品保存試験 1)フラワーペーストでの保存試験:実験例1〜4 実験例1 グラニュー糖10g、薄力粉10g、コーンスターチ1
0gを合わせよく混ぜ、牛乳100g、生クリーム20
gを加え、ダマができないようによく混ぜ合わせた。次
に添加成分Aを全材料に対し0.7重量%を添加しよく
かき混ぜた後、焦げないよう弱火で混ぜながら3分加熱
し、バニラエッセンス0.2gを加えよくまぜた。この
ようにして作製したフラワーペーストを室温に20分放
置した後、滅菌済み容器に入れ、15℃にて保存し、経
時的に生菌数を下記方法により測定した。 添加成分A: 食添用デキストリン粉末:34重量% グリシン :62重量% EPL−1 :4重量%
【0061】実験例2 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例1に準じ
て行った。
【0062】実験例3 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例1に準じ
て行った。
【0063】実験例4 添加成分Aを添加しない以外は実験例1に準じて行っ
た。
【0064】2)ハンバーグでの保存試験:実験例5〜
8 実験例5 合い挽き肉400g、炒め玉葱(みじん切り200
g)、卵半個、パン粉20g、牛乳60ml、塩3g、
コショウ少々、それに添加成分Bを全材料に対し1重量
%をよく混ぜ合わせて良くこねた。100g前後のパテ
ィを作り、中心温度80℃で2分間焼いた。焼き上がっ
たハンバーグを室温に20分放置した後、30℃で保存
し、経時的に一般生菌数を下記方法により測定した。 添加成分B: 無水酢酸ナトリウム :60重量% DL−リンゴ酸 :30重量% 食添用デキストリン粉末:8重量% EPL−1 :2重量%
【0065】実験例6 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例5に準じ
て行った。
【0066】実験例7 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例5に準じ
て行った。
【0067】実験例8 添加成分Bを添加しない以外は実験例5に準じて行っ
た。
【0068】3)米飯での保存試験:実験例9〜12 実験例9 生米(浸漬米)150g、水210g、生米(浸漬米)
に対し添加成分C1重量%を添加し良く混合し炊飯し
た。炊き上がった米飯を室温に20分放置した後、30
℃で保存し、経時的に一般生菌数を下記方法により測定
した。 添加成分C: 水 :63重量% 醸造酢 :35重量% EPL−1:2重量%
【0069】実験例10 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例9に準じ
て行った。
【0070】実験例11 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例9に準じ
て行った。
【0071】実験例12 添加成分Cを添加しない以外は実験例9に準じて行っ
た。
【0072】4)すしネタ(甘海老)での保存試験:実
験例13〜16 実験例13 5個の甘海老の殻を剥いた後、添加成分Dの50%希釈
溶液50mlに1個づつ10秒浸漬処理した。浸漬処理
した甘海老を10℃にて保存し、経時的に一般生菌数を
下記方法により測定した。 添加成分D: 水 :32.5重量% 食用エタノール:67重量% EPL−1 :0.5重量%
【0073】実験例14 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例13に準
じて行った。
【0074】実験例15 EPL−1をEPL−2に代えた以外は実験例13に準
じて行った。
【0075】実験例16 添加成分Dを添加しない以外は実験例13に準じて行っ
た。
【0076】(2)評価方法 各食品の保存性は一般生菌数の測定により評価した。測
定サンプルは24時間毎に無菌的に5gずつサンプリン
グし、ストマッカー用の無菌袋に入れ、さらに45mlの
滅菌水を加え、ストマッカーにかけ10倍希釈液(10
倍乳剤)を作った。該10倍乳剤をもとに順次10倍希
釈し、検液を作り、各希釈段階の検液を1mlペトリフ
ィルムに接種した。接種したペトリフィルムをインキュ
ベーター内、30℃で48時間培養し、ペトリフィルム
中に出現したコロニー数を算定し、保存時間に対する一
般生菌数のグラフを作成し、一般生菌数が10/gに
達するまでの時間をグラフより読み取り、保存可能期間
とした。結果を表2に示す。
【0077】
【表3】
【0078】表2の結果から、重合度(n)が21以上
であるEPLの割合が90重量%以上であるEPL(E
PL−1、EPL−2)を用いた実験例1、2、5、
6、9、10、13、および14においては、保存可能
期間(一般生菌数が10/gに達するまでの時間)が
延長されることが確認された。
【0079】
【発明の効果】従来のEPLに比べて抗菌効果が高く、
その使用量が少量であっても高い抗菌効果を示す。ま
た、本発明のEPLまたは該EPLを含有する食品保存
剤を食品に添加すれば、食品の保存可能期間を延ばすこ
とが可能である。さらに、本発明の製造方法であれば、
本発明のEPLを効率よく製造することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B021 MC01 MK23 MP01 4J001 DA01 DB01 DD13 DD15 EA37 FA03 FB01 FC01 GD06 JA01 JA20 JB01 JB50

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるε−ポリリ
    ジンにおいて、重合度(n)が21以上であるε−ポリ
    リジンを90重量%以上含有するε−ポリリジン。
  2. 【請求項2】 重合度(n)が21以上であるε−ポリ
    リジンの含有割合が95重量%以上である請求項1記載
    のε−ポリリジン。
  3. 【請求項3】 重合度(n)が21〜35の範囲である
    請求項1または2記載のε−ポリリジン。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項記載のε−ポ
    リリジンの塩。
  5. 【請求項5】 ε−ポリリジンの塩が無機塩である請求
    項4記載の塩。
  6. 【請求項6】 ε−ポリリジンの塩が有機酸塩である請
    求項4記載の塩。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3の何れか1項記載のε−ポ
    リリジンおよび請求項4〜6の何れか1項記載の塩から
    選ばれた1種以上を含有する食品保存剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3の何れか1項記載のε−ポ
    リリジンおよび請求項4〜6の何れか1項記載の塩から
    選ばれた1種以上を含有する食品。
  9. 【請求項9】 請求項1〜3の何れか1項記載のε−ポ
    リリジンの製造方法であって、ε−ポリリジンを含有す
    る液体を、分子量区分1000以下の限外濾過膜で処理
    する工程を有することを特徴とするε−ポリリジンの製
    造方法。
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WO2006044906A1 (en) * 2004-10-19 2006-04-27 Mionix Corporation Polylysine-containing food additive and acidic adjuvant
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WO2019189758A1 (ja) 2018-03-30 2019-10-03 味の素株式会社 ポリリジン類縁体を含む、細胞増殖促進用組成物
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