JP2020120649A - 細胞増殖用組成物 - Google Patents

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彩子 相原
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卓巳 岩脇
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Kazutaka Matoba
一隆 的場
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Miyuki Uni
巳由紀 宇仁
憲子 齊藤
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憲子 齊藤
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Abstract

【課題】細胞の増殖を促進し得る化合物の提供。【解決手段】下記式(I)で示される化合物の光学活性体、またはその塩を含む、培地添加用組成物:{式中、各記号は明細書中で定義される通りである。}。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞増殖用組成物等に関する。
近年、細胞を用いた実験は、生命現象の作用機序の解明や疾患の治療法の確立等を目的として、生命科学分野をはじめとする多くの分野において極めて頻繁に行われている。例えば、創薬の分野における一例として、治療標的となるがん細胞に対して候補化合物を作用させ、がん細胞の増殖を抑制し得る化合物をスクリーニングする方法がある。かかるスクリーニングにおいては、数万種の候補化合物をスクリーニングすることもあり、このような態様では均質な細胞を大量に準備する必要がある。しかし、ヒト等の高等生物の細胞は、比較的分裂が早い細胞であっても1日程度の期間を要し、また、がん細胞や幹細胞には1回の細胞分裂に要する期間が数か月以上にも及ぶものも存在し、迅速な細胞調達を妨げる要因となっている。かかる背景から、分裂の遅い細胞の増殖を促進し得る手段の構築が求められており、例えば、特定の構造を有するチオール化合物が造血前駆細胞の増殖を促進することや、ポリプレニル系化合物が肝細胞の増殖を促進すること等が報告されている(特許文献1、2)。
一方で、創薬スクリーニングの分野において、近年、細胞の3次元培養が注目されている。3次元培養は、in vitroとin vivoの中間を担う細胞培養技術である。3次元培養では、細胞はスフェア(スフェロイドともいう)等の立体構造を形成し得、従って、通常の2次元培養と比較して、より生体に近いアッセイが可能となり得る。従って、3次元培養は、2次元培養を用いた創薬スクリーニングでは特定できなかった疾患治療用化合物を特定できる可能性がある(非特許文献1)。
かかる背景から、本発明者らは3次元培養下の細胞の増殖を促進し得る化合物を探索し、その結果、本発明者らが新規に合成した新規化合物が、3次元培養下における細胞の増殖を極めて良好に促進させることができた(特許文献3)。
特表平11−504000号公報 国際公開第2008/155920号 PCT/JP2018/028205号
Breslin S et al, Drug Discov Today. 2013 Mar;18(5-6):240-9.
本発明は、3次元培養下の細胞の増殖を促進し得る化合物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、本発明者らが新規に合成した新規化合物の光学異性体のうち、特定の光学異性体が3次元培養下の細胞の増殖を顕著に促進することを見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記式(I)で示される化合物の光学活性体、またはその塩を含む、培地添加用組成物:
{式中、Xは、単結合、−CHCOO−、−CONH−、または−NHCO−であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または−Y−W−Z−Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Wは、酸素原子、硫黄原子またはN(R)であり、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2である。}。
[2]Xが、−NHCO−である、[1]に記載の組成物。
[3]Rが、炭素数1〜6のアルキル基であり、nが0である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]Rが、−Y−W−Z−Arであり、Yが、炭素数1〜6のアルキル基を有するメチレン基であり、Wが、N(R)であり、Zが、単結合であり、Arが、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]アリール基が、フェニル基である、[4]に記載の組成物。
[6]光学活性体がR体である、[5]に記載の組成物。
[7]式(I)で示される化合物が、以下からなる群から選択される化合物である、[6]に記載の組成物。

[8]Rが、−Y−W−Z−Arであり、Yが、単結合であり、Wが、N(R)であり、Rが、水素原子であり、Zが、炭素数1〜6のアルキル基を有するメチレン基であり、Arが、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[9]アリール基が、水酸基で置換されているフェニル基である、[8]に記載の組成物。
[10]光学活性体がR体である、[9]に記載の組成物。
[11]式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物である、[10]に記載の組成物。
[12]細胞増殖促進用である、[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]細胞が、正常細胞株、がん細胞株および幹細胞からなる群から選択される、[12]に記載の組成物。
[14]スフェア形成、オルガノイド形成、またはCyst形成の促進に用いられる、[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載の培地添加用組成物を含む、培地。
[16][1]〜[14]のいずれかに記載の培地添加用組成物を培地へ添加することを含む、細胞増殖を促進させる方法。
[17]細胞が、正常細胞株、がん細胞株および幹細胞からなる群から選択される、[16]に記載の方法。
本発明によれば、3次元培養下における細胞の増殖を促進し得る。
図1は、本発明組成物を添加した培地において培養されたMDCK細胞のCyst形成を、共焦点蛍光顕微鏡を用いて観察した図である。
本明細書において使用する用語を以下に定義する。
本明細書において、n−はノルマル、i−はイソ、sec−はセカンダリーおよびtert−はターシャリーを各々意味する。また、本明細書において、o−はオルト、m−はメタおよびp−はパラを各々意味する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。「ハロゲノ基」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードである。
「アルキル基」および「炭素数1〜10のアルキル基」とは、直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等の基が挙げられる。「炭素数1〜6のアルキル基」とは、直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル等の基が挙げられる。
「アリール基」とは、少なくとも1つの環が芳香族であり、各環が5〜8の環原子を有する単環式、二環式、三環式および四環式炭素環式基が挙げられ、具体的には、フェニル、インデニル、ナフチル、フルオレニル等が挙げられる。特に、アリール基は、炭素数6〜10の環であるフェニル、インデニル、ナフチルであり得る。
「アルキレン基」および「炭素数1〜6のアルキレン基」とは、直鎖または分岐状のアルキレン基を意味し、具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の基が挙げられる。
「アルキル基」、「アリール基」および「アルキレン基」は、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば以下が挙げられる。尚、「アルキル基」の場合には下記(1)〜(40)が挙げられ、「アリール基」および「アルキレン基」の場合には下記(1)〜(41)が挙げられる。
(1)ハロゲノ基、
(2)水酸基、
(3)シアノ基、
(4)ニトロ基、
(5)カルボキシル基、
(6)アルケニル基(C2−10アルケニル基;例、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニル、ヘプテニル、ブタジエニル、ヘキサトリエニル、およびその各異性体)、
(7)アルキニル基(C2−10アルキニル基;例、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、および、その各異性体)、
(8)ハロゲノアルキル基(例、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、およびその各異性体)、
(9)環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでもよい)(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル)、
(10)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(11)ヘテロアリール基(例、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル)、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾイミダゾリル)、
(12)アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2−ペンチルオキシ、3−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ)、
(13)アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、イソペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、2−ペンチルチオ、3−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、2−ヘキシルチオ)、
(14)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(15)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、(16)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(17)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(18)環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでもよい)オキシ基(例、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、アジリジニルオキシ、アゼチジニルオキシ、ピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ、モルホリニルオキシ)、
(19)アリールオキシ基(例、アリール基(上記(10)と同義)が酸素原子に結合した基)、(20)ヘテロアリールオキシ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(21)ハロゲノアルコキシ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(22)ハロゲノアルキルチオ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が硫黄原子に結合した基)、
(23)水酸基で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(24)アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、(25)アミノ基、
(26)アルキル基でモノまたはジ置換されたアミノ基、
ここで、「アルキル基」とは、C1−6アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル等が挙げられる。
(27)カルバモイル基、
(28)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル)、
(29)スルファモイル基、
(30)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたスルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、エチルメチルスルファモイル)、
(31)アルカノイル基(例、水素原子若しくはアルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(32)アロイル基(例、アリール基(上記(10)と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(33)アルキルスルホニルアミノ基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(34)アリールスルホニルアミノ基(例、アリール基(上記(10)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(35)へテロアリールスルホニルアミノ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(36)アシルアミノ基(例、アシル基で置換されたアミノ基)、
ここで、「アシル基」とは、C1−6アルキル基、またはC6−10アリール基を有するアシル基である。ここで、「C1−6アルキル基」とは、上記「アルキル基」のうち、炭素数が1〜6のものであり、「C6−10アリール基」とは、上記「アリール基」のうち、炭素数が6〜10のものである。アシル基としては、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、バレロイル基、イソバレロイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる、
(37)アルコキシカルボニルアミノ基(例、アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換されたカルボニルアミノ基)、
(38)アルキルスルホニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニル基)、
(39)アルキルスルフィニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルフィニル基)、
(40)アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、
(41)アルキル基(C1−10アルキル基;例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル等)等が挙げられる。
置換基が2以上存在する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(I)に示される化合物は、塩の形態であってもよい。前記式(I)で表される化合物の塩としては、例えば、塩酸及び臭化水素酸等の無機酸との塩ならびに酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸及び安息香酸等の有機酸との塩が挙げられる。
式(I)に示される化合物は、置換基の種類によってはEの立体配置を有するE体およびZの立体配置を有するZ体の幾何異性体が存在する場合がある。本発明はこれらE体、Z体またはE体およびZ体を任意の割合で含む混合物を包含するものである。
[合成方法1]式(I)に示される化合物の合成
{式中、Xは、単結合、−CHCOO−、−CONH−、または−NHCO−であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または−Y−W−Z−Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Wは、酸素原子、硫黄原子またはN(R)であり、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2である。}
上記式(I)に示される化合物は、下記反応式で表されるように、ケトン化合物(k)とHN−X−R(式中、XおよびRは前記の意味を表し、例えば、ヒドラジド化合物等)とを反応させることにより合成することができる。前記原料それぞれを1当量ずつ用い、トルエン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中、100℃以上の温度範囲で、1時間から3日間反応を行なうのが好ましい。
[反応式1]
(式中、R、R、R、Xおよびnは、前記の意味を表す。)
上記、kおよび100のうちのあるものは、市販品として購入が可能であり、それ以外のものも公知の合成方法に準じて合成することができる。
[合成方法2]ケトン化合物およびヒドラジド化合物の組合せからなる化合物の合成
前記、合成方法1に準じた方法で、HN−X−Rのうち、Xが−NHCO−であり、Rが−Y−W−Z−Arであり、WがN(R)であり、Yが置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、R、R、R、Z、Arおよびnが前記の意味を表すヒドラジド化合物を用いることにより、式(I)に示される化合物うち、ケトン化合物およびヒドラジド化合物の組合せからなる化合物を合成することができる。
上記、ヒドラジド化合物のあるものは、市販品として購入が可能であり、それ以外のものも公知の合成方法に準じて合成することができる。
[合成方法3]ケトン化合物およびアミン化合物の組合せからなる化合物の合成
前記のケトン化合物(k)[例えば、2’,4’−ジヒドロキシ−3’−メチルプロピオフェノン(k−1)等]と、HN−X−Rのうち、Xが単結合または−CHCOO−であり、Rが前記の意味を表す所望の一級アミン[例えば、n−オクチルアミン(A−3)等]またはその塩[例えば、グリシンエチル塩酸塩(A−1)等]を用いることにより、式(I)に示される化合物のうち、ケトン化合物およびアミン化合物の組合せからなる化合物を合成することができる。前記原料それぞれを1当量ずつ用い、トルエン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中、100℃以上の温度範囲で、1時間から24時間反応を行なうのが好ましい。アミンの塩としては、塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等を用いることができる。
上記、一級アミンのあるものは、市販品として購入が可能であり、それ以外のものも公知の合成方法に準じて合成することができる。
[合成方法4]ウレア化合物の合成
前記のケトン化合物(k)[例えば、2’,4’−ジヒドロキシ−3’−メチルプロピオフェノン(k−1)等]を、公知の合成方法に準じて、アンモニアのメタノール溶液に溶解させ、アンモニアガスを注入しながら撹拌することで、イミン化合物(k−1’)を合成し、その後、対応するイソシアネート[例えば、フェニルイソシアネート(A−5)]と反応させることで、式(I)に示される化合物のうち、Xが−CONH−であり、R、R、Rおよびnが前記の意味を表す、ウレア化合物を合成することができる。
上記、イソシアネートのあるものは、市販品として購入が可能であり、それ以外のものも公知の合成方法に準じて合成することができる。
合成方法1〜合成方法4において、反応終了後の反応混合物は、蒸留水を加えて析出させる、または析出しない場合は、有機溶媒抽出後濃縮といった通常の後処理を行ない、目的の化合物を得ることができる。また、精製の必要が生じたときには、再結晶、カラムクロマトグラフ、薄層クロマトグラフ、液体クロマトグラフ分取等の任意の精製方法によって分離、精製することができる。
[光学活性体の取得]
上述の方法により合成される化合物のうち、光学異性体を有するものについては、光学活性体(ユートマー)が存在し得る。光学活性体の取得は、結晶化による方法、酵素反応を用いる方法、又はHPLCを用いる方法(例、光学活性担持法)等の自体公知の方法を用いて行うことができる。また、光学活性体を、不斉合成法等を用いて調製することもできる。尚、本明細書において「光学活性体」とは、少なくとも細胞増殖を促進する活性において、ユートマーと判断される光学異性体を含む概念である。
本明細書における3次元細胞培養(3D細胞培養)とは、例えば、包埋培養法、マイクロキャリア培養法、スフェア培養法などを用いて細胞を3次元的な環境にて培養することを意味する。包埋培養は、マトリゲル(登録商標)、Geltrex(登録商標)、寒天、メチルセルロース、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、アガロース、アルギン酸塩等の固形または半固体のゲル基材の中に細胞を埋め込み、固定させて培養する方法である。マイクロキャリア培養法は、水よりも僅かに重い微粒子(以下、マイクロキャリアともいう)の表面上に細胞を単層に増殖させ、当該微粒子をフラスコ等の培養容器内で撹拌し、浮遊状態での培養を行うものである。スフェア培養は、目的の細胞が、数十〜数百個から成る凝集塊(以下、スフェアまたはスフェロイドともいう)を形成させた後、当該凝集塊を培地中で静置または振とうして培養する方法である。また、本発明における3次元細胞培養(3D細胞培養)として、ヒアルロン酸、脱アシル化ジェランガム、キサンタンガムなどの多糖類又はこれらの派生物を培地中で分散させることにより、不定型な3次元ネットワークを形成させ、これをスキャフォールドとして接着細胞を培地中に浮遊した状態に維持することにより、より生体内に近い3次元的な状態において細胞を培養する手法も用いることができる。この際、3次元細胞培養中の細胞は、該3次元ネットワークにトラップされており沈殿しないため、振とう、回転操作等を要することなく培養することが可能となる。3次元細胞培養は、自体公知の方法により実施することができる(例えば、WO2014/017513を参照)。
化合物
以下に詳述される本発明の組成物、培地、各種方法、及び各種剤に用いる化合物の光学活性体は、式(I):
{式中、Xは、単結合、−CHCOO−、−CONH−、または−NHCO−であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または−Y−W−Z−Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Wは、酸素原子、硫黄原子またはN(R)であり、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2である。}で示される化合物の光学活性体である。以下、本発明の組成物、培地、方法、剤に用いる化合物の光学活性体またはその塩を総称して、「本発明に用いられる光学活性体」とも称する場合がある。
一態様において、前記式(I)中のXが単結合である場合は、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1〜10のアルキル基、特に好ましくは、オクチル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、エチル基)であり、n=0である。
また、Xが−CHCOO−である場合は、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、エチル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、エチル基)であり、Rは、水素原子であるか、あるいは、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基(より好ましくは、置換基を有している炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、ベンジル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、エチル基)であり、n=0である。
また、Xが−CONH−である場合は、Rは、置換基を有していてもよいアリール基(より好ましくは、置換基を有していないアリール基、特に好ましくは、フェニル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは置換基を有していない炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、エチル基)であり、n=0である。
また、Xが−NHCO−である場合は、Rは、−Y−W−Z−Arであり、ここで、Yが、単結合である場合は、Wは、N(R)(より好ましくは、N(R)であって、Rが水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくは、N(R)であって、Rが、水素原子)であるか、酸素原子であり、Zは、単結合または置換基を有していてもよいアルキレン基(より好ましくは、単結合または置換基を有しているアルキレン基、特に好ましくは、メチル基を有するメチレン基)であり、Arは置換基(より好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、メチル基、またはメトキシ基)を有していてもよいアリール基(より好ましくは、水酸基を有するアリール基もしくは置換基を有していないアリール基、特に好ましくは、水酸基を有するフェニル基もしくは置換基を有していないフェニル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、エチル基)であり、n=0である。
また、Xが−NHCO−、かつ、Rが−Y−W−Z−Ar、かつ、Yが、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基(より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、特に好ましくはメチル基又はエチル基で置換されたメチレン基)である場合は、Wは、N(R)(より好ましくは、N(R)であって、式中Rが、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくは、N(R)であって、式中Rが、水素原子)であり、Zは、単結合であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基(より好ましくは、置換基を有しているアリール基、特に好ましくは、ハロゲノ基、水酸基、メチル基もしくはエトキシ基を有する、フェニル基またはナフチル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基)であり、n=0である。
好ましい一態様において、本発明に用いられる光学活性体は、Xが、−NHCO−であり、Rが、炭素数1〜6のアルキル基であり、nが0であり、Rが、−Y−W−Z−Arであり、Yが、炭素数1〜6のアルキル基を有するメチレン基であり、Wが、N(R)であり、Zが、単結合であり、Arが、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基(好ましくは、フェニル基)であり、R体であり得る。また、別の好ましい一態様において、本発明に用いられる光学活性体は、Xが、−NHCO−であり、Rが、炭素数1〜6のアルキル基であり、nが0であり、Rが、−Y−W−Z−Arであり、Yが、単結合であり、Wが、N(R)であり、Rが、水素原子であり、Zが、炭素数1〜6のアルキル基を有するメチレン基であり、Arが、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基であり、R体であり得る。
特に好ましい一態様において、本発明に用いられる光学活性体は、以下で示される化合物の光学活性体であって、且つ、R体の光学異性体である。

培地添加用組成物
本発明は、本発明に用いられる光学活性体を有効成分として含む、培地添加用組成物(以下、「本発明の組成物」と称することがある)を提供する。本発明の組成物は、細胞培地、特に3次元細胞培養培地に添加することにより、細胞増殖の促進、スフェア形成の促進、オルガノイド形成の促進、およびCyst形成の促進のいずれかまたはこれらの任意の組合せを達成することができる。
すなわち、本発明の組成物の用途は、具体的には、以下に例示される:
(1)細胞増殖促進;
(2)スフェア形成促進;
(3)オルガノイド形成促進;
(4)Cyst形成促進;
(5)細胞増殖促進およびスフェア形成促進;
(6)細胞増殖促進およびオルガノイド形成促進;
(7)細胞増殖促進およびCyst形成促進;
(8)スフェア形成促進およびオルガノイド形成促進;
(9)スフェア形成促進およびCyst形成促進;
(10)オルガノイド形成促進およびCyst形成促進;
(11)細胞増殖促進、スフェア形成促進およびオルガノイド形成促進;
(12)細胞増殖促進、スフェア形成促進およびCyst形成促進;
(13)細胞増殖促進、オルガノイド形成促進およびCyst形成促進;
(14)スフェア形成促進、オルガノイド形成促進およびCyst形成促進;または、
(15)細胞増殖促進、スフェア形成促進、オルガノイド形成促進およびCyst形成促進。
本発明の組成物は、有効成分として本発明に用いられる光学活性体を1種、または2種以上を組み合わせて含有していてもよい。
また、本発明の組成物は、本発明に用いられる光学活性体以外のその他の成分を含有していてもよい。本発明の所望の効果を得られる限り特に限定されないが、かかる成分には、例えば、水、生理食塩水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、およびメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール等の各種アルコール、等が含まれ得る。また、本発明の組成物は、必要に応じて滅菌処理を施してもよい。滅菌方法は特に制限はなく、例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅菌、フィルター滅菌等が挙げられる。フィルター滅菌(以下、ろ過滅菌という場合もある)を行う際のフィルター部分の材質は特に制限されないが、例えば、グラスファイバー、ナイロン、PES(ポリエーテルスルホン)、親水性PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。フィルターの細孔の大きさは特に制限されないが、好ましくは、0.1μm〜10μm、より好ましくは、0.1μm〜1μm、最も好ましくは、0.1μm〜0.5μmである。これらの滅菌処理は、当該組成物が固形でも溶液の状態でもよい。
本発明の組成物中の有効成分としての本発明に用いられる光学活性体の配合量は、本発明の組成物を培地(特に、3次元細胞培養培地)に添加した際に、当該培地が、本発明の所望の効果を発揮できる濃度となるものであれば特に限定されない。なお、本発明の所望の効果を発揮できる濃度としては、例えば、本発明に用いられる光学活性体の培地(特に、3次元細胞培養培地)中の濃度の下限値は、通常0.001μM以上、好ましくは0.01μM以上、より好ましくは0.1μM以上、さらに好ましくは1μM以上、特に好ましくは10μM以上であり得る。また、その濃度の上限値は、通常100μM以下、好ましくは50μM以下、特に好ましくは10μM以下であり得る。
本発明の組成物は、提供時あるいは保存時に任意の形状であり得る。当該組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤のような製剤化された固体、適切な溶媒並びに溶解剤で溶解した溶液あるいは懸濁液のような液体、又は基板や担体に結合させた状態であり得る。製剤化される際の添加物としては、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤;乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニット等の賦形剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤;脂肪酸エステル等の界面活性剤;グリセリン等の可塑剤等が挙げられる。これらの添加物は上記のものに限定されることはなく、当業者が利用可能であれば自由に選択することができる。
本発明の組成物の培地(特に、3次元細胞培養培地)への添加により、細胞増殖促進等が達成される細胞種としては、所望の効果を得られる限り特に限定されないが、精子や卵子などの生殖細胞、生体を構成する体細胞、正常細胞株、がん細胞株、前駆細胞、幹細胞、生体から分離され人為的に遺伝子改変が成された細胞、生体から分離され人為的に核が交換された細胞等の細胞種が挙げられる。なお、これらの細胞の由来も特に限定されないが、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、リス、ハムスター、ハタネズミ、カモノハシ、イルカ、クジラ、イヌ、ネコ、ヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ゾウ、コモンマーモセット、リスザル、アカゲザル、チンパンジー、ヒト等の哺乳動物由来の細胞が好ましい。また、細胞が由来する組織または臓器も、本発明の所望の効果を得られる限り特に限定されないが、前記組織としては、皮膚、腎臓、脾臓、副腎、肝臓、肺、卵巣、膵臓、子宮、胃、結腸、小腸、大腸、膀胱、前立腺、精巣、胸腺、筋肉、結合組織、骨、軟骨、血管組織、血液、心臓、眼、脳または神経組織等の組織が挙げられるが、これらに限定されず、また、前記臓器としては、肝臓、肺、腎臓、心臓、膵臓、胃、脾臓、小腸、大腸、生殖器等の臓器が挙げられるが、これらに限定されない。なお、オルガノイド形成の促進を目的とする場合、オルガノイドは小腸由来細胞が好ましい場合がある。また、Cyst形成の促進を目的とする場合、Cystは腎臓由来細胞が好ましい場合がある。
なお、正常細胞株としては、C3H10T1/2(マウス胚線維芽細胞)、HEK293(ヒト胎児腎細胞)、MDBK(ウシ腎臓由来細胞)、MDCK(イヌ腎臓尿細管上皮細胞)、CHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣由来細胞)、Vero細胞(アフリカミドリザル腎臓上皮由来細胞)、NIH3T3(マウス胎児線維芽細胞)、HepaRG(肝細胞、登録商標)、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)、ヒト初代培養肝細胞等が挙げられる。これらの中では、特にMDCK、HUVEC、CHO−K1およびVero細胞が好ましい。また、がん細胞株の例としては、以下に限定されるものではないが、ヒト乳がん細胞株としてHBC−4、BSY−1、BSY−2、MCF−7、MCF−7/ADR RES、HS578T、MDA−MB−231、MDA−MB−435、MDA−N、BT−549、T47D、ヒト子宮頸がん細胞株としてHeLa、ヒト肺がん細胞株としてA549、EKVX、HOP−62、HOP−92、NCI−H23、NCI−H226、NCI−H322M、NCI−H460、NCI−H522、DMS273、DMS114、ヒト大腸がん細胞株としてCaco−2、COLO−205、HCC−2998、HCT−15、HCT−116、HT−29、KM−12、SW−620、WiDr、ヒト前立腺がん細胞株としてDU−145、PC−3、LNCaP、ヒト中枢神経系がん細胞株としてU251、SF−295、SF−539、SF−268、SNB−75、SNB−78、SNB−19、ヒト卵巣がん細胞株としてOVCAR−3、OVCAR−4、OVCAR−5、OVCAR−8、SKOV3、IGROV−1、ヒト腎がん細胞株としてRXF−631L、ACHN、UO−31、SN−12C、A498、CAKI−1、RXF−393L、786−0、TK−10、ヒト胃がん細胞株としてMKN45、MKN28、St−4、MKN−1、MKN−7、MKN−74、皮膚がん細胞株としてLOX−IMVI、LOX、MALME−3M、SK−MEL−2、SK−MEL−5、SK−MEL−28、UACC−62、UACC−257、M14、白血病細胞株としてCCRF−CRM、K562、MOLT−4、HL−60TBRPMI8226、SR、UT7/TPO、Jurkat等が挙げられる。これらの中では、ヒト卵巣がん細胞株SKOV3、ヒト子宮頸がん細胞株HeLa、ヒト悪性黒色腫由来細胞株A375、ヒト上皮様細胞がん由来細胞株A431、ヒト胃腺がん由来細胞株AGS、ヒト前立腺がん由来細胞株LNCap clone FGC、ヒト結腸腺がん由来細胞株HCT116、ヒト肺胞基底上皮腺がん由来細胞株A549、およびヒト前立腺がん由来細胞DU145が特に好ましい。さらに、幹細胞とは、自分自身を複製する能力と他の複数系統の細胞に分化する能力を兼ね備えた細胞であり、その例としては、以下に限定されるものではないが、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞、胚性生殖幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞、腸幹細胞、がん幹細胞、毛包幹細胞などが挙げられる。多能性幹細胞としては、前記幹細胞のうち、ES細胞、胚性生殖幹細胞、iPS細胞が挙げられる。前駆細胞とは、前記幹細胞から特定の体細胞や生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞である。幹細胞としては、iPS細胞および間葉系幹細胞(MSC)が特に好ましい。
一態様において、本発明の組成物を添加した3次元細胞培養培地を用いてMSC等の幹細胞の培養を行う場合、該細胞の形質(例、未分化性)を維持したまま、その細胞増殖を促進することができる。MSCの未分化性の維持は、フローサイトメトリー(FCM)にて細胞表面マーカーの発現を解析することにより確認でき(例えば、WO2016/136986を参照)、MSCの細胞表面マーカーとしてはCD29、CD73、CD90及びCD105などが陽性であることが挙げられる。従って、本発明は、MSC等の幹細胞の大量生産に好適に用いることもできる。
本明細書において「本発明の組成物」との語は、「本発明の剤」または「本発明の培地添加用剤」との語に置き換えることができる。
培地
本発明は、本発明に用いられる光学活性体または本発明の組成物を含む、培地(以下、「本発明の培地」と称することがある)を提供する。本発明の培地を用いることにより、細胞増殖の促進、スフェア形成の促進、オルガノイド形成の促進、およびCyst形成の促進のいずれかまたはこれらの任意の組合せを達成することができる。なお、本発明の培地は、特に3次元細胞培養培地であることが好ましい。
本発明の培地に有効成分として含まれる本発明に用いられる光学活性体の濃度は、本発明の所望の効果を得られる限り特に限定されないが、例えば、その濃度の下限値は、通常0.001μM以上、好ましくは0.01μM以上、より好ましくは0.1μM以上、さらに好ましくは1μM以上、特に好ましくは10μM以上であり得る。また、その濃度の上限値は、通常100μM以下、好ましくは50μM以下、特に好ましくは10μM以下であり得る。
本発明の培地は、本発明に用いられる光学活性体または本発明の組成物が配合されている以外は、公知の培地の組成と同様とすることができる。
一態様において、本発明の培地は、市販される培地(特に3次元細胞培養培地)に、本発明に用いられる光学活性体または組成物を添加することにより調製することができる。本発明に用いられる光学活性体または本発明の組成物を添加することにより本発明の培地とし得る市販の培地としては、所望の効果を得られる限り特に限定されないが、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium;DMEM)、ハムF12培地(Ham’s Nutrient Mixture F12)、DMEM/F12培地、マッコイ5A培地(McCoy’s 5A medium)、イーグルMEM(Eagle’s Minimum Essential Medium;EMEM)、αMEM(alpha Modified Eagle’s Minimum Essential Medium;αMEM)、MEM(Minimum Essential Medium)、RPMI1640培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;IMDM)、MCDB131培地、ウィリアム培地E、IPL41培地、Fischer’s培地、StemPro34(インビトロジェン社製)、X−VIVO 10(ケンブレックス社製)、X−VIVO 15(ケンブレックス社製)、HPGM(ケンブレックス社製)、StemSpan H3000(ステムセルテクノロジー社製)、StemSpanSFEM(ステムセルテクノロジー社製)、StemlineII(シグマアルドリッチ社製)、QBSF−60(クオリティバイオロジカル社製)、StemProhESCSFM(インビトロジェン社製)、Essential8(登録商標)培地(ギブコ社製)、mTeSR1培地(ステムセルテクノロジー社製)、mTeSR2培地(ステムセルテクノロジー社製)、リプロFF(リプロセル社製)、リプロFF2(リプロセル社製)、StemFit(登録商標)AK02N(味の素社製)、StemFit(登録商標)AK03N(味の素社製)、PSGro hESC/iPSC培地(システムバイオサイエンス社製)、NutriStem(登録商標)培地(バイオロジカルインダストリーズ社製)、CSTI−7培地(細胞科学研究所社製)、MesenPRO RS培地(ギブコ社製)、MF−Medium(登録商標)間葉系幹細胞増殖培地(東洋紡株式会社製)、間葉系幹細胞用培地(プロモセル社製)、Sf−900II(インビトロジェン社製)、Opti−Pro(インビトロジェン社製)等の培地が挙げられる。また、これらの培地に、脱アシル化ジェランガム等の多糖類を添加して3次元細胞培養培地化した培地を用いることができる。このような3次元細胞培養培地としては、例えば、FCeM(登録商標)(和光純薬工業株式会社製)が挙げられるが、これに限定されない。
また、上記の培地に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩素、各種アミノ酸、各種ビタミン、抗生物質、血清、脂肪酸、糖、細胞増殖因子、分化誘導因子、細胞接着因子、抗体、酵素、サイトカイン、ホルモン、レクチン、細胞外マトリックス、生理活性物質等を目的に応じて添加してもよい。
本発明の培地における細胞の培養(特に3次元細胞培養)は、細胞培養に一般的に用いられるシャーレ、フラスコ、プラスチックバック、テフロン(登録商標)バック、ディッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、チャンバースライド、チューブ、トレイ、培養バック、ローラーボトル等の培養容器を用いて実施することができる。培養する(接着性の)細胞が、培養容器へ接着しないよう、これらの培養容器は細胞低接着性であることが望ましい。細胞非接着性の培養容器としては、培養容器の表面が、細胞との接着性を向上させる目的で人工的に処理(例えば、細胞外マトリクス等によるコーティング処理)されていないもの、あるいは培養容器の表面が、細胞との接着性を低減させる目的で人工的に処理されているものを使用できる。このような容器の例としては、スミロンセルタイトプレート(住友ベークライト株式会社製)、PrimeSurface(登録商標)プレート(住友ベークライト株式会社製)、超低接着表面プレート(コーニング社製)、ヌンクロンスフェラプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)等が挙げられるが、これに限定されない。
細胞増殖促進方法、スフェア形成促進方法、オルガノイド形成促進方法、およびCyst形成促進方法
本発明は、本発明に用いられる光学活性体または本発明の組成物を培地へ添加することを含む、細胞増殖を促進する方法、スフェア形成を促進する方法、オルガノイド形成を促進する方法、またはCyst形成を促進する方法(以下、これらをまとめて、「本発明の方法」と称することがある)を提供する。
本発明の方法において用いられる培地は、所望の効果を得られる限り特に限定されない。好ましくは、3次元細胞培養培地である。また、本発明の方法における細胞培養条件(例えば、温度、二酸化炭素濃度、培養期間等)は自体公知の方法を用いればよく、あるいは、目的に応じて、適宜改変してもよい。例えば、細胞を培養する際の温度は、動物細胞であれば通常25℃〜39℃、好ましくは33℃〜39℃(例、37℃)である。二酸化炭素濃度は、通常、培養の雰囲気中、4体積%〜10体積%であり、4体積%〜6体積%が好ましい。培養期間は、通常1乃至35日間であるが、培養の目的に合わせて適宜設定すればよい。
細胞凝集塊(スフェア)を形成させる方法は、特に制限は無く、当業者が適宜選択することができる。その例としては、細胞非接着表面を有する容器を用いた方法、ハンギングドロップ法、旋回培養法、3次元スキャフォールド法、遠心法、電場や磁場による凝集を用いた方法等が挙げられる。例えば、細胞非接着表面を有する容器を用いた方法については、目的の細胞を、細胞接着を阻害する表面処理を施した培養容器中にて培養し、スフェアを形成させることができる。この細胞非接着性培養容器を使用する場合は、まず、目的の細胞を採取した後にその細胞浮遊液を調製し、当該培養容器中に播種して培養を行なう。一週間ほど培養を続けると、細胞は自発的にスフェアを形成する。このとき用いる細胞非接着性表面としては、一般に用いられるシャーレなどの培養容器の表面に、細胞接着を阻害する物質をコートしたものなどを用いることができる。このような物質としては、アガロース、寒天、ポリ−HEMA(ポリ−(2−ハイドロキシ−エチルメタクリレート)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)と他のモノマー(例えばブチルメタクリレート等)との共重合体、ポリ(2−メトキシメチルアクリレート)、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、メビオールジェル(登録商標)などが挙げられるが、細胞毒性がなければ、これらに限定されるものではない。
また、細胞凝集塊(スフェア)を形成させる方法として、NATURE BIOTECHNOLOGY,VOL.28,NO.4,APRIL 2010,361−366、NATURE PROTOCOLS,VOL.6,NO.5,2011,689−700、NATURE PROTOCOLS,VOL.6,NO.5,2011,572−579、Stem Cell Research,7,2011,97−111、Stem Cell Rev and Rep,6,2010,248−259等に記載された方法を用いることもできる。
また、スフェアを形成させる培養の際に用いる培地中に、スフェアの形成を早める、またはその維持を促進する成分を含有させることもできる。このような効果を有する成分の例としては、ジメチルスルホキシド、スーパーオキシドジスムターゼ、セルロプラスミン、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、トコフェロール、フラボノイド、尿酸、ビリルビン、含セレン化合物、トランスフェリン、不飽和脂肪酸、アルブミン、テオフィリン、フォルスコリン、グルカゴン、ジブチルリルcAMPなどを挙げることができる。含セレン化合物としては、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、ジメチルセレニド、セレン化水素、セレノメチオニン、Se− メチルセレノシステイン、セレノシスタチオニン、セレノシステイン、セレノホモシステイン、アデノシン−5’−ホスホセレン酸、Se−アデノシルセレノメチオニン、Y−27632、Fasudil(HA1077)、H−1152、Wf−536等のROCK阻害剤が挙げられる。また、目的とするサイズの均一な細胞凝集塊を得るためには、使用する細胞非付着性培養容器上に、目的とする細胞凝集塊と同一径の複数の凹みを導入することもできる。これらの凹みが互いに接しているか、あるいは目的とする細胞凝集塊の直径の範囲内であれば、細胞を播種した際、播種した細胞は凹みと凹みの間で細胞凝集塊を形成することなく、確実に凹みの中でその容積に応じた大きさの細胞凝集塊を形成し、均一サイズの細胞凝集塊集団を得ることができる。この際の凹みの形状としては半球または円錐上が好ましい。
あるいは、細胞接着性を有する支持体を基にスフェアを形成させることもできる。この様な支持体の例としては、コラーゲン、ポリロタキサン、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ハイドロゲル等を挙げることができる。
また、フィーダー細胞と共培養することにより、スフェアを形成させることもできる。スフェア形成を促進させるためのフィーダー細胞としては、如何なる接着性細胞でも用いることが可能であるが、好適には各種細胞に応じたフィーダー細胞が望ましい。限定されるものではないが、例えば肝臓や軟骨由来の細胞のスフェアを形成させる場合、そのフィーダー細胞の例としてはCOS−1細胞や血管内皮細胞が好適な細胞種として挙げられる。
また、スフェアを形成させる方法としてハンギングドロップ法を選択することもできる。ハンギングドロップ法としては、例えば細胞懸濁液の液滴(容量として10〜50μL程度)を培養容器の蓋等の天井側に点着し、載せた液滴がぶら下がるように逆さの状態で培養する方法が挙げられる。このように培養することで、細胞は平面との接触により受ける影響が最小限となり、液滴の下部においてスフェアを形成する。このような液滴は、GravityPLUS Plate(パーキンエルマー社製)の様な特殊な培養容器を用いて調製することもできる。具体的には、100〜100000個、好ましくは200〜10000個、より好ましくは500〜10000個の細胞を含む液滴を用いてスフェアを調製することができる。スフェアを形成させるためには、6〜48時間培養することが好ましい。
スフェアの大きさは、細胞種及び培養期間によって異なり特に限定されないが、球形状または楕円球形状であるとした際には20μm乃至1000μm、好ましくは40μm乃至500μm、より好ましくは50μm乃至300μm、最も好ましくは80μm乃至200μmの直径を有する。
このようなスフェアは、そのまま静置培養を続けることでも10日以上、好ましくは13日以上、さらに好ましくは30日以上の期間において増殖能を保持し得るが、さらに静置培養中に定期的に機械的分割を行うことで、またはさらに単細胞化処理と凝集を行うことで、実質的に無期限に増殖能を保持し得る。
スフェアの培養に用いられる培養容器は、一般的に動物細胞の培養が可能なものであれば特に限定されないが、例えば、フラスコ、ディッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、チャンバースライド、細胞培養フラスコ、スピナーフラスコ、シャーレ、チューブ、トレイ、培養バック、ローラーボトル、EZSPHERE(AGCテクノグラス社製)、スミロンセルタイトプレート(住友ベークライト社製)等が挙げられる。
これらの培養容器のうち、多数の抗がん剤の評価、医薬品候補化合物又は医薬品の評価を実施する際には、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレートが好適に用いられる。これらのプレートのウェル底形状は、特に制限されないが、平底、U字型、V字型のものを用いることが可能であり、好ましくはU字型のものが用いられる。これらの培養器材の材質は特に制限されないが、例えば、ガラス、ポリ塩化ビニル、セルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン等のプラスチック等が挙げられる。
包埋培養を行う際に用いられる培地は、細胞接着因子を含むことが可能であり、その例としては、マトリゲル(登録商標)、Geltrex(登録商標)、コラーゲン、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、テネイシン、セレクチン、ヒアルロン酸、フィブリン等が挙げられる。これらの細胞接着因子は、2種類以上を組み合わせて添加することもできる。また更に、包埋培養に用いられる培地に対して寒天、グァーガム、タマリンドガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、タマリンドガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アガロース、タマリンドシードガム、プルラン等の増粘剤を更に混合することができる。これらの増粘剤は、2種類以上を組み合わせて添加することもできる。
オルガノイド(幹細胞または前駆細胞を3次元的な環境下で生体外にて培養し、形成されたミニ臓器)またはCyst(上皮細胞により形成される管腔構造)を形成させる方法は、特に制限は無く、当業者が適宜選択することができる。その例としては、上記の包埋培養を用いた方法が挙げられる。具体的には、目的の細胞または組織を、上記の細胞接着因子を含む包埋培養用培地中にて培養し、オルガノイドまたはCystを形成させることができる。例えば、目的の細胞または組織を採取した後にその浮遊液を調製し、包埋培養用の培地中に播種して培養を行なう。3〜14日間培養を続けると、細胞は自発的にオルガノイドまたはCystを形成する。
本発明の方法において用いられる培地(特に3次元細胞培養培地)は、本発明の培地を用いればよい。
本発明の方法における、培地中の本発明に用いられる光学活性体または本発明の組成物の濃度および細胞種等は、「培地添加用組成物」において説明したものと同様である。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
以下に、各化合物の合成方法および構造式を示す。尚、H−NMRはプロトン核磁気共鳴スペクトラムを表し、270MHzまたは400MHzにて、重ジメチルスルホキシド中で測定した。ケミカルシフト値は、重ジメチルスルホキシドの値を2.49ppmとして記載した。また、sとの記載はシングレットを表し、以下同様にbrsはブロードシングレットを、dはダブレットを、ddはダブルダブレットを、tはトリプレットを、qはカルテットを、mはマルチプレットをそれぞれ表す。
[合成例1]ケトンおよびヒドラジドを原料とした化合物の合成
(材料と方法)
以下に図示されるケトン4種[1−(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン−1−オン(以下、k−1と略称する。)、1−(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン−1−オン(以下、k−2と略称する。)、1−(2,4,6−トリヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン−1−オン(以下、k−3と略称する。)、1−(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−メチルブタン−1−オン(以下、k−5と略称する。)]及びヒドラジド10種[2−(フェニルアミノ)アセトヒドラジド(以下、H−1と略称する。)、2−(o−トリルアミノ)アセトヒドラジド(以下、H−2と略称する。)、2−(m−トリルアミノ)アセトヒドラジド(以下、H−3と略称する。)、2−(p−トリルアミノ)アセトヒドラジド(以下、H−4と略称する。)、2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]アセトヒドラジド(以下、H−5と略称する。)、2−(ナフタレン−1−イルアミノ)アセトヒドラジド(以下、H−6と略称する。)、2−(フェニルアミノ)ブタンヒドラジド(以下、H−7と略称する。)、2−[(4−エトキシフェニル)アミノ]アセトヒドラジド(以下、H−9と略称する。)、2−[(4−ヒドロキシフェニル)アミノ]アセトヒドラジド(以下、D−2と略称する。)、2−[(2−ヒドロキシフェニル)アミノ]アセトヒドラジド(以下、D−4と略称する。)]より化合物を合成した。
合成した34化合物を第1表に記載する。表中、Meとの記載はメチルを表し、以下同様に、Etとの記載はエチルを、n−Prはノルマルプロピルを、i−Buはイソブチルを、Phはフェニルを、Naphはナフチルをそれぞれ表す。(Rにおける「−」との記載は無置換を表し、構造式に記載された番号は、(Rの置換位置を表す。
[第1表]
第1表に記載した化合物のH−NMRの測定結果を第2表に記す。
[第2表]
以下に各化合物及び合成中間体の化合物の合成法を記載する。
4種のケトンのうち、k−1、k−2およびk−5については公知の方法により合成が可能である(Sum TH et al., Tetrahedron. 2015 Jul 1;71(26-27): 4557-4564.)。また、10種のヒドラジドのうち、H−1、H−2、H−3、H−4、H−5、H−6、H−9、D−2及びD−4は公知の方法により合成が可能である(Samal RP et al., Chem Biol Drug Des. 2013 Jun;81(6):715-29.等)。従って、以下、k−3およびH−7の合成法につき詳述する。
[k−3の合成]
2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド(2.22g、14.4mmol)をTHF(40mL)に溶解させ、氷冷下NaBHCN(2.7g、43mmol)、酢酸(8mL)を加えて室温で2時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(50mLx2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)、ブライン(50mL)で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50g、酢酸エチル/ヘキサン=20/80〜50/50)で精製し、中間化合物(1.20g、8.56mmol、収率59%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた中間化合物(1.04g,7.42mmol)を、プロピオン酸(7mL)に懸濁させ、プロピオン酸無水物(1.15mL,8.90mmol)、BF−EtO(1.12mL、8.90mmol)を加えて130℃で1時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(100mLx3)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mLx2)、ブライン(100mL)で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜45/55)で精製し、得られた固体をヘキサンで洗浄してk−3(0.41g)を薄橙色固体として得た。ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣を再度中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜50/50)で精製し、k−3(0.70g)を薄橙色固体として得た。以上まとめて、k−3(1.11g、5.66mmol、収率76%)を薄橙色固体として得た。
[H−7の合成]
2−ブロモ酪酸メチル(8.0g、44mmol)、アニリン(8.0mL、88mmol)をトルエン(10mL)に溶解させ、5時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を水(30mL)、2M塩酸(25mL)、水(30mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)、ブライン(30mL)で順次洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g、酢酸エチル/ヘキサン=1/99〜10/90)で精製し、中間化合物(5.11g、26.4mmol、収率60%)を黄色液体として得た。
上記のようにして得られた中間化合物(5.11g、26.4mmol)をメタノール(26mL)に溶解させ、ヒドラジン・1水和物(12.8mL、264mmol)を加えて室温で4.5時間撹拌した。水(150mL)を加えて、塩化メチレン(30mLx5)で抽出した。有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた固体をIPEで洗浄し、H−7(4.60g、23.8mmol、収率90%)を白色固体として得た。
[k−1:H−1の合成]
k−1(100mg、0.555mmol)、H−1(110mg、0.666mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ、100℃で14時間撹拌した。放冷後、蒸留水(11mL)を加え、再度100℃で撹拌後、熱時ろ過してk−1:H−1(70.1mg、0.214mmol、収率39%)を薄黄色固体として得た。
[k−1:H−2の合成]
k−1(50mg、0.28mmol)、H−2(69mg、0.33mmol)をDMSO(0.55mL)に溶解させ100℃で18時間撹拌した。放冷後、蒸留水(6mL)を加えてデカンテーションし、残った固体を塩化メチレン、酢酸エチルで順次洗浄した。得られた残渣をDMSO(0.2mL)に溶解させ、水を加えて析出した固体をメタノールで洗浄し、k−1:H−2(19.6mg、0.0574mmol、収率21%)を薄橙色固体として得た。
[k−1:H−3の合成]
k−1(100mg、0.555mmol)、H−3(119mg、0.666mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で14時間撹拌した。同温で蒸留水(11mL)を加えて放冷後、析出した固体をろ取、メタノールで洗浄してk−1:H−3(98.9mg、0.290mmol、収率52%)を白色固体として得た。
[k−1:H−4の合成]
k−1(50mg、0.28mmol)、H−4(65mg、0.36mmol)をDMSO(0.55mL)に溶解させ100℃で19時間撹拌した。放冷後、蒸留水(6mL)を加えて析出した固体をろ取、酢酸エチルで洗浄してk−1:H−4(28.6mg、0.0838mmol、収率30%)を薄黄色固体として得た。
[k−1:H−5の合成]
k−1(100mg、0.555mmol)、H−5(122mg、0.666mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で14時間撹拌した。同温で蒸留水(11mL)を加えて放冷後、析出した固体をろ取、メタノールで洗浄してk−1:H−5(55.6mg、0.161mmol、収率29%)を薄黄色固体として得た。
[k−1:H−6の合成]
k−1(100mg、0.555mmol)、H−6(143mg、0.666mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で14時間撹拌した。放冷後、蒸留水(11mL)を加えて析出した固体をろ取、塩化メチレンで洗浄してk−1:H−6(86.5mg、0.229mmol、収率41%)を茶色固体として得た。
[k−1:H−7の合成]
k−1(50mg、0.28mmol)、H−7(54mg、0.28mmol)をDMSO(0.55mL)に溶解させ100℃で17時間撹拌した。放冷後、蒸留水(6mL)を加えてデカンテーションし、残渣を塩化メチレン(0.5mL)に溶解させた。ヘキサン(0.5mL)を加えて析出した固体をろ取してk−1:H−7(56.8mg、0.160mmol、収率57%)を白色固体として得た。
[k−1:H−9の合成]
k−1(150mg、0.83mmol)、H−9(226mg、1.08mmol)をDMSO(0.55mL)に懸濁させ100℃で17時間撹拌した。放冷後、蒸留水(20mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜60/40)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−1:H−9(40.2mg、0.108mmol、収率13%)を白色固体として得た。
[k−2:H−1の合成]
k−2(80mg、0.48mmol)、H−1(95.4mg、0.578mmol)をDMSO(1.0mL)に溶解させ100℃で15時間撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えて析出した固体をろ取、塩化メチレンで洗浄してk−2:H−1(80.4mg、0.257mmol、収率53%)を黄色固体として得た。
[k−2:H−2の合成]
k−2(80mg,0.48mmol)、H−2(112mg、0.625mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で19時間撹拌した。放冷後、蒸留水(30mL)、酢酸エチル(30mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜80/20)で精製してk−2:H−2(34mg、0.10mmol、収率21%)を薄黄色固体として得た。
[k−2:H−3の合成]
k−2(80mg、0.48mmol)、H−3(104mg、0.578mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で15時間撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を塩化メチレン(3mL)に溶解させ、ヘキサン(3mL)を加えて析出した固体をろ取した。得られた固体を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=50/50〜80/20)で精製してk−2:H−3(46.9mg、0.143mmol、収率30%)を薄黄色固体として得た。
[k−2:H−4の合成]
k−2(80mg、0.48mmol)、H−4(112mg、0.625mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で19時間撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えてデカンテーションし、残渣を塩化メチレンで洗浄してk−2:H−4(58.7mg、0.179mmol、収率37%)を薄黄色固体として得た。
[k−2:H−5の合成]
k−2(80mg、0.48mmol)、H−5(106mg、0.578mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で15時間撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を塩化メチレン(3mL)に溶解させ、ヘキサン(1mL)を加えて析出した固体をろ取した。得られた固体を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=50/50〜80/20)で精製してk−2:H−5(36.6mg、0.110mmol、収率23%)を白色固体として得た。
[k−2:H−6の合成]
k−2(100mg、0.602mmol)、H−6(155mg、0.722mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で15時間撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を塩化メチレンで洗浄してk−2:H−6(59.3mg、0.163mmol、収率27%)を薄茶色固体として得た。
[k−2:H−7の合成]
k−2(80mg、0.48mmol)、H−7(121mg、0.626mmol)をDMSO(0.55mL)に溶解させ100℃で17時間撹拌した。放冷後、蒸留水(20mL)、酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95〜50/50)で精製してk−2:H−7(109mg、0.319mmol、収率66%)を薄黄色固体として得た。
[k−2:H−9の合成]
k−2(100mg、0.60mmol)、H−9(164mg,0.784mmol)をDMSO(1.2mL)に懸濁させ100℃で18時間撹拌した。放冷後、蒸留水(12mL)、酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜60/40)で精製し、得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−2:H−9(63.1mg、0.177mmol、収率30%)を薄黄色固体として得た。
[k−3:H−1の合成]
k−3(200mg、1.02mmol)、H−1(253mg、1.53mmol)をDMSO(2.0mL)に溶解させ100℃で3日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−3:H−1(25.0mg,0.0728mmol、収率7.1%)を薄茶色固体として得た。
[k−3:H−2の合成]
k−3(200mg、1.02mmol)、H−2(237mg、1.33mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えて析出した固体をろ取し、メタノールで洗浄した。得られた固体を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−3:H−2(10.3mg、0.0288mmol、収率2.8%)を薄茶色固体として得た。
[k−3:H−3の合成]
k−3(200mg、1.02mmol)、H−3(219mg、1.22mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で5日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えて析出した固体をろ取し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−3:H−3(17.9mg、0.0501mmol、収率4.9%)を薄茶色固体として得た。
[k−3:H−4の合成]
k−3(200mg、1.02mmol)、H−4(237mg、1.33mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えて析出した固体をろ取し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−3:H−4(17.9mg、0.0501mmol、収率4.9%)を薄茶色固体として得た。
[k−3:H−5の合成]
k−3(200mg、1.02mmol)、H−5(224mg、1.22mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で6日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を塩化メチレン(3mL)に溶解させ、ヘキサン(1mL)を加えて析出した固体をろ取し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−3:H−5(13.7mg、0.0379mmol、収率3.7%)を薄茶色固体として得た。
[k−3:H−6の合成]
k−3(100mg、0.510mmol)、H−6(121mg、0.561mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−3:H−6(17.0mg、0.0432mmol、収率8.5%)を橙色固体として得た。
[k−3:H−7の合成]
k−3(200mg、1.02mmol)、H−7(256mg、1.33mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で3日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えてデカンテーションし、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄しk−3:H−7(28.3mg、0.762mmol、収率7.5%)を白色固体として得た。
[k−3:H−9の合成]
k−3(200mg,1.02mmol)、H−9(277mg、1.33mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加えて析出した固体をろ別し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=40/60〜70/30)で精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄してk−3:H−9(11.2mg、0.0289mmol、収率2.8%)を薄茶色固体として得た。
[k−5:H−1の合成]
k−5(100mg、0.48mmol)、H−1(95.2mg、0.576mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えて析出した固体をろ取し、塩化メチレン、メタノールで順次洗浄してk−5:H−1(38.1mg、0.107mmol、収率22%)を黄色固体として得た。
[k−5:H−2の合成]
k−5(100mg、0.48mmol)、H−2(112mg、0.625mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で3日撹拌した。蒸留水(10mL)を加えてデカンテーションし、残渣を塩化メチレン(2mL)に溶解させ、芒硝乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣に塩化メチレン(1mL)を加え、超音波に晒して析出した固体をろ取してk−5:H−2(18.6mg、0.0503mmol、収率10%)を黄色固体として得た。
[k−5:H−3の合成]
k−5(100mg、0.480mmol)、H−3(103mg、0.576mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えて析出した固体をろ取し、塩化メチレンで洗浄してk−5:H−3(44.6mg、0.121mmol、収率25%)を黄色固体として得た。
[k−5:H−4の合成]
k−5(100mg,0.480mmol)、H−4(112mg,0.625mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で3日撹拌した。蒸留水(10mL)を加えて析出した固体をろ取し、塩化メチレンで洗浄してk−5:H−4(44.4mg、0.120mmol、収率25%)を黄色固体として得た。
[k−5:H−5の合成]
k−5(100mg、0.480mmol)、H−5(106mg、0.576mmol)をDMSO(2mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えて析出した固体をろ取してk−5:H−5(37.4mg、0.100mmol、収率21%)を黄色固体として得た。
[k−5:H−6の合成]
k−5(100mg、0.480mmol)、H−6(124mg、0.576mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で5日撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えて析出した固体をろ取し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=20/80〜50/50)で精製した。得られた固体をメタノールで洗浄してk−5:H−6(28.1mg、0.0693mmol、収率14%)を薄黄色固体として得た。
[k−5:H−7の合成]
k−5(100mg、0.480mmol)、H−7(121mg、0.626mmol)をDMSO(1mL)に溶解させ100℃で4日撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加えて析出した固体をろ取し、酢酸エチル、塩化メチレン、メタノールで順次洗浄してk−5:H−7(43.6mg、0.114mmol、収率24%)を白色固体として得た。
[k−5:H−9の合成]
k−5(150mg、0.72mmol)、H−9(196mg、0.937mmol)をDMSO(1.4mL)に懸濁させ100℃で3日撹拌した。放冷後、蒸留水(12mL)、塩化メチレン(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜50/50)で精製しk−5:H−9(72.0mg、0.180mmol、収率25%)を薄黄色固体として得た。
また、化合物番号k−1:D−2及びk−1:D−4ついても、上記の合成法に準じた方法により合成することができる。
[合成例2]k−1:A−1の合成
k−1(100mg、0.55mmol)、グリシンエチル塩酸塩(A−1)(100mg、0.72mmol)、酢酸ナトリウム(64mg、0.78mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で2時間撹拌した。放冷後、水(20mL)、酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜50/50)で精製した。得られた固体をIPEで洗浄してk−1:A−1(21.9mg、0.0825mmol、収率15%)を黄色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ9.69(s, 1H), 7.32(d, J=8.1Hz, 1H), 6.30(d, J=10.8Hz, 1H), 5.76(s, 1H), 4.48(s, 2H), 4.19(q, J=8.1Hz, 2H), 2.67(q, J=8.1Hz, 2H), 1.94(s, 3H), 1.24(t, J=8.1Hz, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例3]k−1:A−2の合成
k−1(100mg、0.55mmol)、グリシンベンジルp−トルエンスルホナート(A−2)(243mg、0.721mmol)、酢酸ナトリウム(64mg、0.78mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で2時間撹拌した。放冷後、水(20mL)、酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95〜50/50)で精製した。得られた固体をIPEで洗浄してk−1:A−2(25.0mg、0.0764mmol、収率14%)を黄色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ9.69(s, 1H), 7.45-7.35 (m, 6H), 7.32(d, J=10.8Hz, 1H), 6.31(d, J=10.8Hz, 1H), 5.23(s, 2H), 4.56(s, 2H), 2.70(q, J=8.1Hz, 2H), 1.94(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例4]k−1:A−3の合成
k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ、n−オクチルアミン(A−3)(120mL、0.72mmol)を加えて室温で2時間、100℃で17時間撹拌した。放冷後、水(20mL)、酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=0/100〜20/80)で精製した。得られた固体をIPEで洗浄してk−1:A−3(60.1mg、0.206mmol、収率37%)を黄色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ9.52(s, 1H), 7.25(d, J=8.1Hz, 1H), 6.20(d, J=8.1Hz, 1H), 5.31 (t, J=8.1Hz, 2H), 2.73(q, J=8.1Hz, 2H), 1.90(s, 3H), 1.64(m, 2H), 1.30-1.05(m, 10H), 1.11(t, J=8.1Hz, 3H), 0.86(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例5]k−1:A−5の合成
k−1(300mg、1.7mmol)を2Mアンモニア/メタノール溶液(17mL、33mmol)に溶解させ、室温で1週間撹拌した。その間、毎日アンモニアガスを15分バブリングした。反応溶液を減圧下濃縮し、4−(1−イミノプロピル)−2−メチルベンゼン−1,3−ジオール(k−1’)とk−1の混合物(292mg、k−1’:k−1=1:0.2)を黄土色固体として得た。上記のようにして得られたk−1’とk−1の混合物(292mg)をTHF(6.5mL)に溶解させ、氷冷下、フェニルイソシアネート(A−5)(158mL、1.46mmol)を加えた。同温で30分撹拌後、水(30mL)、酢酸エチル(30mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95〜45/55)で精製した。得られた固体をIPEで洗浄してk−1:A−5(160mg、0.536mmol、2工程収率32%)を薄黄色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ13.74(s, 1H), 10.22(s, 1H), 10.11(s, 1H), 7.63(d, J=8.1Hz, 2H), 7.53 (d, J=8.1Hz, 1H), 7.32 (t, J=8.1Hz, 2H), 7.06 (t, J=8.1Hz, 1H), 6.49 (d, J=8.1Hz, 1H), 2.84(q, J=8.1Hz, 2H), 2.00(s, 3H), 1.24(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例6]k−1:H−10の合成
k−1(100mg,0.55mmol)、4−フェニルセミカルバジド(H−10)(109mg,0.721mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で3.5時間撹拌した。放冷後、水(20mL)、酢酸エチル(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜50/50)で精製した。得られた固体をIPEで洗浄してk−1:H−10(19.1mg、0.0610mmol、収率11%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270MHz):δ13.50(s, 1H), 9.75(s, 1H), 9.59(s, 1H), 8.82(s, 1H), 7.49(d, J=8.1Hz, 2H), 7.30(t, J=8.1Hz, 2H), 7.21(d, J=8.0Hz, 1H), 6.99(t, J=8.1Hz, 1H), 6.39(d, J=8.1Hz, 1H), 2.70(q, J=8.1Hz, 2H), 1.99(s, 3H), 1.14(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例7]k−1:I−1の合成
ヒドラジン一水和物(0.26mL、5.3mmol)を塩化メチレン(5.3mL)に溶解させ、氷冷下ベンジルイソシアネート(101)(0.324 mL、2.63 mmol)をゆっくり加えた。室温で3時間撹拌し、析出した固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、102(352mg、2.13mmol、収率82%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた102(155mg、0.938mmol)、k−1(130mg、0.72mmol)をDMSO(1.4mL)に溶解させ100℃で3.5時間撹拌した。放冷後、蒸留水(10mL)を加え、析出した固体をろ取、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜55/45)にて精製した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:I−1(55mg、0.17mmol、収率24%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz);δ9.59(s, 1H), 9.56(s, 1H), 7.40-7.25(m, 5H), 7.17(d, J=12.0Hz, 1H), 6.84(t, J=8.0Hz, NH), 6.37(d, J=12.0Hz, 1H), 4.34(d, J=8.0Hz, 2H), 2.65(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されな
かった。)
[合成例8]k−1:I−3の合成
ヒドラジン一水和物(0.20mL、4.2mmol)を塩化メチレン(4.2mL)に溶解させ、氷冷下4−クロロベンジルイソシアネート(103)(0.278mL、2.09mmol)をゆっくり加えた。室温で1.5時間撹拌し、析出した固体をろ取後、減圧下乾燥し、104(315mg、1.58mmol、収率75%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた104(187mg、0.937mmol)、k−1(130mg、0.72mmol)をDMSO(1.4mL)に溶解させ100℃で22時間撹拌した。反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜65/35)にて精製し、得られた精製物を酢酸エチルに溶解させ、ヘキサンを加えて析出した固体をろ取後、減圧下乾燥し、k−1:I−3(155mg、0.428mmol、収率59%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz);δ9.63(s, 1H), 9.56(s, 1H), 7.41(d, J=8.0Hz, 2H), 7.34(d, J=8.0Hz, 2H), 7.17(d, J=8.0Hz, 1H), 6.89(t, J=8.0Hz, NH), 6.36(d, J=8.0Hz, 1H), 4.31(d, J=8.0Hz, 2H), 2.65(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例9]k−1:I−6の合成
ヒドラジン一水和物(0.23mL、4.8mmol)を塩化メチレン(8mL)に溶解させ、氷冷下4−メチルベンジルイソシアネート(105)(350mg、2.4mmol)をゆっくり加えた。室温で2時間撹拌し、析出した固体をろ取後、減圧下乾燥し、106(297mg、1.66mmol、収率69%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた106(168mg、0.937mmol)、k―1(130mg、0.72mmol)をDMSO(2.8mL)に懸濁させ100℃で22時間撹拌した。反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜60/40)にて精製し、得られた精製物を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、水(20mL)、飽和食塩水(30mL)で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた固体を塩化メチレンで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:I−6(118mg、0.346mmol、収率48%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz);δ9.56(s, 1H), 9.55(s, 1H), 7.20(d, J=8.0Hz, 2H), 7.16(d, J=8.0Hz, 2H), 7.15(d, J=8.0Hz, 1H), 6.78(t, J=8.0Hz, NH), 6.36(d, J=8.0Hz, 1H), 4.29(d, J=8.0Hz, 2H), 2.64(q, J=8.0Hz, 2H), 2.28(s, 3H), 1.97(s, 3H), 1.07(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例10]k−1:I−7の合成
ヒドラジン一水和物(0.21mL、4.3mmol)を塩化メチレン(4.3mL)に溶解させ、氷冷下4−メトキシベンジルイソシアネート(107)(350mg、2.15mmol)をゆっくり加えた。室温で2時間撹拌し、析出した固体をろ取後、減圧下乾燥し、108(381mg、1.95mmol、収率93%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた108(183mg、0.937mmol)、k−1(130mg、0.72mmol)をDMSO(2.8mL)に懸濁させ100℃で5時間撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加え、析出した固体をろ取、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=15/85〜65/35)にて精製し、得られた固体を塩化メチレンで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:I−7(55.0mg、0.154mmol、収率21%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz);δ9.55(s, 2H), 7.25(d, J=8.0Hz, 2H), 7.16(d, J=8.0Hz, 1H), 6.91(d, J=8.0Hz, 2H), 6.75(t, J=8.0Hz, NH), 6.36(d, J=8.0Hz, 1H), 4.26(d, J=8.0Hz, 2H), 3.73(s, 3H), 2.63(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.07(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
上記の合成法に準じた方法により合成した化合物を第3表に記載する。
[第3表]
また、第3表に記載した化合物のH−NMRの測定結果を第4表に記す。
[第4表]
[合成例11]k−1:B−1の合成
2−ブロモプロピオン酸メチル(109)(500mg、3.0mmol)をDMSO(6mL)に溶解させ、アニリン(0.36mL、3.9mmol)、炭酸カリウム(0.54g、3.9mmol)を加えて室温で21時間撹拌した。酢酸エチル(30mL)、水(50mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=2/98〜15/85)で精製し、110(343mg、1.91mmol、収率64%)を薄黄色液体として得た。
上記のようにして得られた110(340mg、1.9mmol)をメタノール(3.8mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.18mL、3.8mmol)を加えて60℃で24時間撹拌した。ヒドラジン一水和物(0.36mL、7.4mmol)を追加して60℃で更に17時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=0/100〜20/80)で精製し、111(321mg、1.79mmol、収率94%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた111(168mg、0.937mmol)、k−1(130mg、0.72mmol)をDMSO(1.4mL)に溶解させ100℃で19時間撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加え、析出した固体をろ取、乾燥して得られた黄色固体を塩化メチレンで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:B−1(173mg、0.507mmol、収率70%)を薄黄色固体として得た。
1H-NMR(400MHz):δ10.82(s, 1H), 9.71(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.07(t, J=8.0Hz, 2H), 6.63(d, J=8.0Hz, 2H), 6.56(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.93(d, J=12Hz, NH), 4.28(m, 1H), 2.80(q, J=8.0Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.40(d, J=8.0Hz, 3H), 1.03(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例12]k−1:B−2の合成
2−ブロモイソ吉草酸エチル(112)(700mg、3.3mmol)をDMSO(7mL)に溶解させ、アニリン(0.40mL、4.4mmol)、炭酸カリウム(0.60g、4.4mmol)を加えて室温で21時間、80℃で6時間、120℃で20時間撹拌した。酢酸エチル(30mL)、水(50mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=0/100〜5/95)で精製し、113(110mg、0.497mmol、収率15%)を黄色液体として得た。
上記のようにして得られた113(96mg、0.43mmol)をメタノール(1mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.042mL、0.87mmol)を加えて50℃で4時間、ヒドラジン一水和物(0.2mL、4.1mmol)を追加して20時間、ヒドラジン一水和物(0.1mL、2.1mmol)を追加して更に23時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=0/100〜5/95)で精製し、114(80.7mg、0.389mmol、収率90%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた114(75mg、0.36mmol)、k−1(50mg、0.28 mmol)をDMSO(0.6mL)に溶解させ100℃で18時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜75/25)にて精製し、得られた固体を塩化メチレン/IPEで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:B−2(37.6mg、0.102mmol、収率36%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz):δ10.83(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.26(d, J=8.0Hz, 1H), 7.05(t, J=8.0Hz, 2H), 6.71(d, J=8.0Hz, 2H), 6.53(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.78(d, J=12Hz, NH), 3.97(m, 1H), 2.82(q, J=8.0Hz, 2H), 2.03(m, 1H), 1.95(s, 3H), 1.06(t, J=8.0Hz, 3H), 0.97(d, J=8.0Hz, 6H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例13]k−1:B−3の合成
2−ブロモ−n−オクタン酸(115)(600mg、2.7mmol)をメタノール(5.5mL)に溶解させ、濃塩酸(3滴)を加えて50℃で18時間撹拌した。放冷後、ジエチルエーテル(30mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して116(588mg、2.48mmol、収率92%)を黄色液体として得た。
上記のようにして得られた116(585mg、2.47mmol)をDMSO(5mL)に溶解させ、アニリン(0.29mL、3.2mmol)、炭酸カリウム(0.44g、3.2mmol)を加えて室温で21時間、60℃で16時間撹拌した。酢酸エチル(30mL)、水(50mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=1/99〜5/95)で精製し、117(277mg、1.11mmol、収率45%)を黄色液体として得た。
上記のようにして得られた117(256mg、1.08mmol)をメタノール(2.2mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.10mL、2.2mmol)を加えて50℃で4時間、ヒドラジン一水和物(0.50mL、10.3mmol)を追加して20時間、ヒドラジン一水和物(0.25mL、5.2mmol)を追加して更に23時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=0/100〜5/95)で精製し、118(268mg、1.07mmol、収率99%)を薄黄色固体として得た。
上記のようにして得られた118(144mg、0.58mmol)、k−1(80mg、0.44mmol)をDMSO(0.9mL)に溶解させ100℃で18時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95〜75/25)、続けて中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=1/99〜5/95)、にて精製し、得られた固体を塩化メチレン/IPEで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:B−3(88.7mg、0.216mmol、収率49%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz):δ10.82(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.06(t, J=8.0Hz, 2H), 6.65(d, J=8.0Hz, 2H), 6.54(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.87(d, J=8.0Hz, NH), 4.19(m, 1H), 2.81(q, J=8.0Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.73(q, J=8.0Hz, 2H), 1.33(m, 4H), 1.27(m, 4H), 1.03(t, J=8.0Hz, 3H), 0.86(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例14]k−1:B−5の合成
フェニルプルビン酸(119)(1.0g、6.1mmol)をDMF(5mL)に溶解させ、氷冷下DBU(1.0mL、6.7mmol)、ヨウ化メチル(0.42mL、6.7mmol)を加えて室温で3時間撹拌した。酢酸エチル(30mL)、1M塩酸(50mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=0/100〜13/87)で精製し、120a(298mg、1.67mmol、収率27%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた120a(295mg、1.66mmol)をメタノール(6.6mL)、酢酸(0.66mL)、2MエチルアミンTHF溶液(0.87mL、1.7mmol)に溶解させ、氷冷下ピコリンボラン(0.35g、3.3mmol)を加えて室温で2.5時間撹拌した。4M塩酸(3mL)を加えて50℃で30分加熱し、放冷後、酢酸エチル(20mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=2/98〜30/70)で精製し、120b(48.9mg、0.236mmol、収率14%)を得た。
上記のようにして得られた120b(45mg、0.22mmol)をメタノール(0.9mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.021mL、0.43mmol)を加えて50℃で3時間、メタノール(0.9mL)、ヒドラジン一水和物(0.021mL、0.43mmol)を追加して12時間、メタノール(0.9mL)、ヒドラジン一水和物(0.021mL、0.43mmol)を追加して更に3時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=0/100〜20/80)で精製し、120c(32mg、0.15mmol、収率68%)を薄黄色液体として得た。
上記のようにして得られた120c(30mg、0.14mmol)、k−1(25mg、0.14mmol)をDMSO(0.3mL)に溶解させ100℃で18時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=10/90〜60/40)にて精製し、得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:B−5(18.4mg、0.0498mmol、収率36%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz):δ9.72(s, 1H), 7.30-7.10(m, 6H), 6.38(d, J=8.0Hz, 1H), 3.62(m, J=8.0Hz, 1H), 2.86(q, J=8.0Hz, 2H), 2.66(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.04(d, J=8.0Hz, 2H), 0.98(t, J=8.0Hz, 3H), 0.92(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの二つのシグナルとOHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例15]k−1:C−1の合成
Boc−Gly−OH(121)(0.70g、4.0mmol)を塩化メチレン(13mL)に溶解させ、WSC(0.84g、4.4mmol)、フェニルヒドラジン(122)(0.47mL、4.8mmol)を加えて室温で4時間撹拌した。水(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮し得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=15/85〜65/35)にて精製し、123(853mg、3.22mmol、収率81%)を無色アモルファスとして得た。
上記のようにして得られた123(0.64g、2.4mmol)に4M塩酸/ジオキサン(6mL)を加えて室温で3時間撹拌した。析出した固体をろ取し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(アミンシリカゲル30g、メタノール/塩化メチレン=0/100〜8/92)にて精製し、124(290mg、1.76mmol、収率73%)を、薄黄色固体として得た。
上記のようにして得られた124(120mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で22時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=20/80〜90/10)にて精製し、得られた固体を塩化メチレンで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:C−1(20.2mg、0.0617mmol、収率11%)を黄色固体として得た。
1H-NMR(400MHz):δ9.89 (s, 1H), 9.67(s, 1H), 7.83(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.14(t, J=8.0Hz, 2H), 6.77(d, J=8.0Hz, 2H), 6.71(t, J=8.0Hz, 1H), 6.29(d, J=8.0Hz, 1H), 4.35(s, 2H), 2.74(q, J=8.0Hz, 2H), 1.92(s, 3H), 1.13(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例16]k−1:C−2の合成
Boc−Gly−OH(121)(0.70g、4.0mmol)を塩化メチレン(13mL)に溶解させ、WSC(0.84g、4.4mmol)、ベンジルアミン(125)(0.52mL、4.8mmol)を加えて室温で3時間撹拌した。水(20mL)、塩化メチレン(20mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜65/35)にて精製し、126(937mg、3.54mmol、収率89%)を無色液体として得た。
上記のようにして得られた126(0.93g、3.5mmol)にTFA(7mL)を加えて室温で3.5時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(アミンシリカゲル30g、酢酸エチル/塩化メチレン=10/90〜95/5)にて精製し、127(457mg、2.78mmol、収率79%)を、薄黄色液体として得た。
上記のようにして得られた127(120mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で22時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜80/20)にて精製し、得られた固体をIPE、塩化メチレンで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:C−2(29.9mg、0.0908mmol、収率17%)を黄色固体として得た。
1H-NMR(400MHz):δ9.63 (s, 1H), 8.55(m, NH), 7.40-7.20(m, 6H), 6.25(d, J=8.0Hz, 1H), 4.32(d, J=8.0Hz, 2H), 4.29(s, 2H), 2.70(q, J=8.0Hz, 2H), 1.91(s, 3H), 1.09(t, J=8.0Hz, 3H).(OHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例17]k−1:D−1の合成
3−ベンジルオキシアニリン(129)(2.44g、12.2mmol)をDMF(24mL)に溶解させ、酢酸ナトリウム(1.10g、13.5mmol)、ブロモ酢酸エチル(128)(1.49mL、13.5mmol)を加えて室温で4時間撹拌した。水(300mL)、酢酸エチル(150mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50g、酢酸エチル/ヘキサン=2/98〜10/90)にて精製し、130(2.82g、9.88mmol、収率81%)を薄黄色固体として得た。
上記のようにして得られた130(1.0g、3.5mmol)をメタノール(18mL)に懸濁させ、10%Pd/C(0.1g)を加えて水素雰囲気下室温で5時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=3/97〜35/65)にて精製し、131(295mg、1.51mmol、収率43%)を薄黄色液体として得た。
上記のようにして得られた131(0.29g、1.5mmol)をエタノール(3.5mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.32mL、6.5mmol)を加えて60℃で18時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、メタノール/塩化メチレン=1/99〜10/90)で精製した。得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、132(239mg、1.32mmol、収率88%)を薄黄色固体として得た。
上記のようにして得られた132(130mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で21時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=5/95〜50/50)にて精製した。得られた固体を水、およびIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:D−1(95.9mg、0.279mmol、収率51%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ 13.66(s, 1H), 10.76(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.98(s, 1H), 7.25(d, J=10.8Hz, 1H), 6.86(t, J=10.8Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.20-5.95(m, 3H), 5.87(t, J=5.4Hz, NH), 3.88(d, J=5.4Hz, 2H), 2.78(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例18]k−1:D−3の合成
合成例17の工程中で得られた130(1.2g、4.2mmol)をDMF(12mL)に溶解させ、炭酸カリウム(1.16g、8.4mmol)、ヨードエタン(1.35mL、16.8mmol)を加えて100℃で3時間、ヨードエタン(0.7mL、8.7mmol)を追加して1.5時間、室温で20時間撹拌した。水(100mL)、酢酸エチル(50mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=2/98〜10/90)にて精製し、133(1.21g、3.86mmol、収率92%)を無色液体として得た。
上記のようにして得られた化合物133(1.2g、3.9mmol)をメタノール(19mL)に溶解させ、10%Pd/C(0.1g)を加えて水素雰囲気下室温で15時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95〜25/75)にて精製し、134(194mg、0.869mmol、収率22%)を得た。
上記のようにして得られた134(0.20g、0.90mmol)をエタノール(2.2mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.22mL、4.5mmol)を加えて50℃で18時間、ヒドラジン一水和物(0.22mL、4.5mmol)を追加して更に60℃で24時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、メタノール/塩化メチレン=1/99〜6/94)で精製した。得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、135(151mg、0.722mmol、収率80%)を薄黄色固体として得た。
上記のようにして得られた135(150mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で23時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=15/85〜80/20)にて精製した。得られた固体をIPE/塩化メチレン(1/1)の混合溶媒で洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:D−3(118mg、0.318mmol、収率58%)を黄色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ 13.68(s, 1H), 10.78(s, 1H), 9.69(s, 1H), 9.00(s, 1H), 7.26(d, J=8.1Hz, 1H), 6.91(t, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.11(d, J=8.1Hz, 1H), 6.10-6.05(m, 2H), 4.12(s, 2H), 3.42(q, J=8.1Hz, 2H), 2.79(q, J=8.1Hz, 2H), 1.96(s, 3H), 1.13(t, J=8.1Hz, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例19]k−1:E−1の合成
アミノフェノール(137)(500mg、4.6mmol)をTHF(5mL)、水(5mL)に溶解させ、炭酸水素ナトリウム(0.77g、9.2mmol)を加えて氷冷下クロロギ酸フェニル(136)(0.61mL、4.8mmol)をゆっくり滴下した。同温で2時間撹拌し、酢酸エチル(20mL)、2M塩酸(20mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、138(0.94g、4.1mmol、収率89%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた138(0.94g、4.1mmol)をアセトニトリル(4mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(1.0mL、21mmol)を加えて60℃で23時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル30g、メタノール/塩化メチレン=0/100〜12/88)で精製して139(664mg、3.97mmol、収率97%)を薄黄色固体として得た。
上記のようにして得られた139(120mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で16時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜80/20)、続けて中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、メタノール/塩化メチレン=1/99〜5/95)にて精製した。得られた固体をIPEで洗浄してk−1:E−1(19.7mg、0.0598mmol、収率11%)を白色固体として得た。
1H-NMR(400MHz);δ 9.70(s, 1H), 9.60(s, 1H), 9.38(s, 1H), 8.73(s, 1H), 7.21(d, J=8.0Hz, 1H), 7.06(t, J=8.0Hz, 1H), 7.05(s, 1H), 6.82(d, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 2H), 5.76(s, 1H), 2.69(q, J=8.0Hz, 2H), 1.99(s, 3H), 1.13(t, J=8.0Hz, 3H).
[合成例20]k−1:F−1の合成
ヒドラジン一水和物(0.58mL、12mmol)を塩化メチレン(6mL)に溶解させ、氷冷下ヘキサメチレンジイソシアネート(140)(0.48mL、3.0mmol)を加えて室温で1.5時間、ヒドラジン一水和物(0.29mL、6.0mmol)を追加して2時間撹拌した。生じた固体をろ取、減圧下乾燥し、141(0.60g、2.6mmol、収率87%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた141(100mg、0.43mmol)、k−1(233mg、1.29mmol)をDMSO(1.4mL)に懸濁させ100℃で20時間撹拌した。放冷後、塩化メチレンを加えて不溶物をろ別し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた固体を塩化メチレンおよび水で洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:F−1(88.6mg、0.159mmol、収率37%)を薄黄色固体として得た。
1H-NMR(400MHz);δ 9.44(s,4H), 7.15(d, J=8.0Hz, 2H), 6.40-6.30(m, 2H), 3.13(q, J=8.0Hz, 4H), 2.63 (q, J=8.0Hz, 4H),1.97(s, 6H), 1.47(m, 4H), 1.38(m, 4H),1.07(t, J=8.0Hz, 6H).
[合成例21]k−1:G−1の合成
N−メチル−アニリン(142)(0.50g、4.7mmol)をエタノール(9mL)に溶解させ、炭酸カリウム(0.97g、7.0mmol)、ブロモ酢酸エチル(128)(0.57mL、5.1mmol)を加えて60℃で21時間撹拌した。不溶物をろ別し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣に酢酸エチル(30mL)、水(30mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=0/100〜5/95)にて精製し143(496mg、2.57mmol、収率55%)を薄黄色液体として得た。
上記のようにして得られた143(0.49g、2.6mmol)をメタノール(5mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.25mL、5.1mmol)を加えて55℃で15時間撹拌した。ヒドラジン一水和物(0.50mL、10mmol)を追加して60℃で更に18時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、144(389mg、2.17mmol、収率83%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた144(130mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で17時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜80/20)にて精製した。得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:G−1(92mg、0.27mmol、収率49%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ 13.64(s, 1H), 10.86(s, 1H), 9.67(s, 1H), 7.24(d, J=10.8Hz, 1H), 7.15(t, J=10.8Hz, 2H), 6.71(d, J=8.1Hz, 2H), 6.62(t, J=8.1Hz, 1H), 6.38(d, J=8.1Hz, 1H), 4.23(s, 2H), 3.04(s, 3H), 2.89(q, J=8.1Hz, 2H), 1.93(s, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例22]k−1:L−1の合成
上記の合成例21に準じた方法により、レゾルシノールを出発原料とし、k−1:L−1(65mg、白色固体)を合成した。
1H-NMR(270MHz);δ 13.63(s, 1H), 10.99(s, 1H), 9.74(s, 1H), 9.46(s, 1H), 7.28(d, J=8.1Hz, 1H), 7.07(t, J=8.1Hz, 1H), 6.45-6.35(m, 4H), 4.72(s, 2H), 2.81(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例23]k−1:M−1の合成
上記の合成例21に準じた方法により、3−メルカプトフェノールを出発原料とし、k−1:M−1(119mg、白色固体)を合成した。
1H-NMR(270MHz);δ13.64(s, 1H), 10.96(s, 1H), 9.72(s, 1H), 9.57(s, 1H), 7.26(d, J=8.1Hz, 1H), 7.11(t, J=8.1Hz, 1H), 6.82(d, J=8.1Hz, 1H), 6.80(s, 1H), 6.62(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 3.88(s, 2H), 2.78(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.06(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例24]k−1:G−2の合成
N−エチル−アニリン(145)(0.50g、4.1mmol)をエタノール(8mL)に溶解させ、炭酸カリウム(0.86g、6.2mmol)、ブロモ酢酸エチル(128)(0.50mL、4.1mmol)を加えて60℃で21時間撹拌した。不溶物をろ別し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣に酢酸エチル(30mL)、水(30mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=0/100〜5/95)にて精製し146(473mg、2.28mmol、収率56%)を薄黄色液体として得た。
上記のようにして得られた146(0.47g、2.3mmol)をメタノール(4.5mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.22mL、4.5mmol)を加えて55℃で15時間撹拌した。ヒドラジン一水和物(0.44mL、9.1mmol)を追加して60℃で更に18時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、147(309mg、1.60mmol、収率70%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた147(140mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で17時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜80/20)にて精製した。得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:G−2(96mg、0.27mmol、収率49%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ 13.66(s, 1H), 10.82(s, 1H), 9.68(s, 1H), 7.25(d, J=8.1Hz, 1H), 7.13(t, J=8.1Hz, 2H), 6.65(d, J=8.1Hz, 2H), 6.59(t, J=8.1Hz, 1H), 6.38(d, J=10.8Hz, 1H), 4.17(s, 2H),3.46(q, J=8.1Hz, 2H), 2.79(q, J=8.1Hz, 2H), 1.94(s, 3H), 1.13(t, J=8.1Hz, 3H), 1.03(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例25]k−1:J−1の合成
氷冷したTHF(10mL)に水素化アルミニウム(1.0g、26mmol)、3−シアノフェノール(148)(0.63g、5.3mmol)を順次加え、室温で1.5時間、60℃で3.5時間撹拌した。放冷後、水素化アルミニウム(1.0g、26mmol)、THF(10mL)を追加して60℃で更に16時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、水(1.5mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)、水(4.5mL)を順次加えて室温で3時間撹拌した。懸濁溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、メタノール/塩化メチレン=0/100〜8/92)にて精製した。得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、149(477mg、3.87mmol、収率73%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた149(200mg、1.6mmol)を塩化メチレン(2mL)、水(2mL)に溶解させ、炭酸水素ナトリウム(0.27g、3.2mmol)を加えて氷冷下クロロギ酸フェニル(136)(0.22mL、1.7mmol)をゆっくり滴下した。室温で20時間撹拌し、酢酸エチル(20mL)、水(20mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95〜35/65)にて精製し150(369mg、1.52mmol、収率95%)を無色液体として得た。
上記のようにして得られた150(365mg、1.50mmol)をアセトニトリル(3.8mL)に懸濁させ、ヒドラジン一水和物(0.18mL、3.8mmol)を加えて室温で2.5時間、ヒドラジン一水和物(0.18mL、3.8mmol)を追加して55℃で更に20時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた固体をIPE/塩化メチレン(3/1)で洗浄後、減圧下乾燥し、151(233mg、1.29mmol、収率86%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた151(130mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で15時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=10/90〜55/45)にて精製した。得られた精製物に水を加えて析出した固体をろ取後、減圧下乾燥し、k−1:J−1(102mg、0.297mmol、収率54%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ13.45(brs, 1H), 9.57(s, 1H), 9.53(s, 1H), 9.36(s, 1H), 7.17(d, J=8.1Hz, 1H), 7.11(d, J=8.1Hz, 1H), 6.80-6.60(m, 4H), 6.37(d, J=8.1Hz, 1H), 4.25(d, J=5.4Hz, 2H), 2.65(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例26]k−1:J−5の合成
4−ベンジル−3−チオセミカルバジド(155)(130mg、0.72mmol)、k−1)(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で17時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95〜80/20)、続けて中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜50/50)にて精製した。得られた固体をIPEで洗浄後、減圧下乾燥し、k−1:J−5(49.9mg、0.145mmol、収率26%)を白色固体として
得た。
1H-NMR(400MHz);δ10.61(brs, 1H), 9.69(s, 1H), 8.43(brs, 1H), 7.40-7.20(m, 6H), 6.40 (d, J=8.0Hz, 1H), 4.78(d, J=8.0Hz, 2H), 2.74(q, J=8.1Hz, 2H), 1.99(s, 3H), 1.09(t, J=8.1Hz, 3H). (NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
[合成例27]k−1:J−6の合成
チオセミカルバジド(152)(0.50g、5.5mmol)をメタノール(5.5mL)に懸濁させ、ヨウ化メチル(0.41mL、6.6mmol)を加えて60℃で1.5時間、反応容器のふたを開けて70℃で50分撹拌した。放冷後、ベンジルアミン(0.61mL、5.5mmol)を加えて55℃で17時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をIPE/塩化メチレン(1/4)の混合溶媒で洗浄した。得られた粗精製物を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(アミンシリカゲル30g、メタノール/塩化メチレン=0/100〜15/85)にて精製し、得られた固体を塩化メチレンで洗浄後、減圧下乾燥し、156(626mg、3.81mmol、収率69%)を橙色固体として得た。
上記のようにして得られた156(120mg、0.72mmol)、k−1(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で27時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=10/90〜80/20)にて精製し、得られた粗精製物に塩化メチレン、水を加えて分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜60/40)にて精製しk−1:J−6(29.9mg、0.0916mmol、収率17%)を黄色アモルファスとして得た。
1H-NMR(270MHz);δ14.51(brs, 1H), 9.39(s, 1H), 7.36-7.05 (m, 6H), 6.32(d, J=8.1Hz, 1H), 6.20 (m, NH), 5.30(brs, NH), 4.34(d, J=5.4Hz, 2H), 2.84(q, J=8.1Hz, 2H), 1.96(s, 3H), 0.96(t, J=8.1Hz, 3H).
[合成例28]k−1:N−1の合成
2−ヒドロキシベンジルアルコール(1.0g、8.1mmol)を塩化メチレン(10mL)、水(10mL)に懸濁させ、炭酸水素ナトリウム(2.0g、24mmol)を加えて氷冷下クロロギ酸フェニル(2.0mL、16mmol)をゆっくり滴下した。徐々に室温まで昇温して5.5時間撹拌し、塩化メチレン(20mL)、水(20mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=2/98〜35/65)にて精製し、3−(ヒドロキシメチル)フェニル フェニル カーボネート(1.45g、5.94mmol、収率73%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた3−(ヒドロキシメチル)フェニル フェニル カーボネートを塩化メチレン(7mL)に溶解させ、ピリジン(0.72mL、8.9mmol)、DMAPを少量加えて氷冷下クロロギ酸フェニル(0.90mL、7.1mmol)をゆっくり滴下した。室温で2時間撹拌し、塩化メチレン(10mL)、水(30mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=3/97〜25/75)にて精製し、3−[(フェノキシカルボニル)オキシ]ベンジル フェニル カーボネート(2.20g、6.04mmol、収率102%)を無色液体として得た。
上記のようにして得られた3−[(フェノキシカルボニル)オキシ]ベンジル フェニル カーボネート(2.2g、6.0mmol)をエタノール(10mL)に懸濁させ、ヒドラジン一水和物(2.9mL、60mmol)を加えて60℃で21時間撹拌した。不溶物をろ別し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、メタノール/塩化メチレン=0/100〜10/90)にて精製し、得られた固体を塩化メチレンで懸濁洗浄して3−ヒドロキシベンジル ヒドラジンカルボキシレート(808mg、4.44mmol、収率74%)を白色固体として得た。
上記のようにして得られた3−ヒドロキシベンジル ヒドラジンカルボキシレート(130mg、0.72mmol)、2’,4’−ジヒドロキシ−3’−メチルプロピオフェノン(100)(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に懸濁させ100℃で22時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=2/98〜30/70)にて精製し、得られた精製物に水を加えて析出した固体をろ取し、k−1:N−1(85.5mg、0.248mmol、収率45%)を白色固体として得た。
1H-NMR(270MHz);δ13.45(brs, 1H), 10.78(brs, 1H), 9.63 (s, 1H), 9.49 (s, 1H), 7.21(d, J=8.1Hz, 1H), 7.18(t, J=8.1Hz, 1H), 6.84(d, J=8.1Hz, 1H), 6.83(s, 1H), 6.73(d, J=8.1Hz, 1H), 6.38(d, J=8.1Hz, 1H), 5.14(s, 2H), 2.75(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.03(t, J=8.1Hz, 3H).
以下に、上述の各化合物を用いて行った作用試験の結果を記載する。
[参考例1]細胞増殖活性の検討
上述の各化合物を3次元培地に添加した際の細胞の増殖促進効果を検討した。具体的には、前培養(接着培養)したSKOV3細胞(ヒト卵巣がん由来細胞株)を回収し、3次元細胞培養培地(「FCeM(登録商標)」(日産化学株式会社))に懸濁し、細胞懸濁液を調製した。該細胞懸濁液を384ウェル平底超低接着表面マイクロプレート(コーニング社製、#3827)のウェルに1ウェル当たり1000 cells/40μL/ウェルになるように播種した。プレートに播種された細胞懸濁液を37℃、5%CO下で一晩静置した。次いで、各化合物のDMSO希釈溶液を、終濃度5μM(または、5μMおよび10μMの2段階)となるように4.44μLを添加した(添加後撹拌なし)。各化合物の添加後、37℃、5%CO下で4日間静置培養した。5日目の培養液に対してATP試薬44.4μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay, Promega社製)を添加し懸濁させ、15分間室温で静置した。FlexStation3(Molecular Devices社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、細胞増殖を評価した。
結果を第5表および第6表に示す。なお、増殖率は、対照(化合物を含まないDMSOを添加した細胞)を基準(100%)として算出した。また、表に示される値は、2試験の結果の平均値である。
[第5表]
[第6表]
[参考例2]SKOV3細胞に対する作用の検討1
特許文献1(WO2014/017513)の方法に従い、0.015%(w/v)の脱アシル化ジェランガム(KELCOGEL CG−LA、三昌株式会社製)及び15%(v/v)FBS、100ng/mLヒトHB−EGF(PEPROTECH社製)を含有するMcCoy’s5a培地(シグマアルドリッチ社製)の組成物をホモミキサーにて調製した。また、対照として、脱アシル化ジェランガムを含まない未添加培地組成物を調製した。次いで、ヒト卵巣がん細胞株SKOV3(DSファーマバイオメディカル社製)を上記の脱アシル化ジェランガムを添加した培地組成物に懸濁した後、384ウェル平底超低接着表面マイクロプレート(コーニング社製、#3827)のウェルに1ウェル当たり1000 cells/40μL/ウェルになるように分注した(3次元培養(3D))。単層培養(2D)は、ヒト卵巣がん細胞株SKOV3を上記の脱アシル化ジェランガムを含まない培地組成物に懸濁した後、384ウェル平底マイクロプレート(コーニング社製、#3712)のウェルに1ウェル当たり400個/40μLになるように分注した。各プレートはCOインキュベーター(37℃、5%CO)内にて静置状態で培養した。培養1日目に、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した化合物(k−1:H−
7またはk−1:H−10)を終濃度0、0.5、1、5、10、20μMになるように、それぞれ4.4μLずつ添加し、引き続き培養を4日間継続した。5日目の培養液に対してATP試薬44.4μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay, Promega社製)を添加し懸濁させ、15分間室温で静置した後、FlexStation3(Molecular Devices社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を第7表に示す。本試験の結果、SKOV3細胞を3次元培養(3D)した条件において、k−1:H−7およびk−1:H−10が幅広い濃度で細胞増殖促進作用を示し、さらにSKOV3細胞は培地内でスフェアを形成していた。一方、SKOV3細胞を単層培養(2D)下で培養した場合は、k−1:H−7およびk−1:H−10を培地に添加しても、良好な細胞増殖促進効果は見られなかった。
[第7表]
[参考例3]SKOV3細胞に対する作用の検討2
特許文献1(WO2014/017513)の方法に従い、0.015%(w/v)の脱アシル化ジェランガム(KELCOGEL CG−LA、三昌株式会社製)及び15%(v/v)FBS、30ng/mLヒトEGF(PEPROTECH社製)を含有するMcCoy’s5a培地(シグマアルドリッチ社製)の組成物をFCeM−series Preparation Kit(和光純薬工業社製)にて調製した。また、単層培養として、脱アシル化ジェランガムを含まない未添加培地組成物を調製した。次いで、ヒト卵巣がん細胞株SKOV3(DSファーマバイオメディカル社製)を上記の脱アシル化ジェランガムを添加した培地組成物に懸濁した後、384ウェル平底超低接着表面マイクロプレート(コーニング社製、#3827)のウェルに1ウェル当たり1000 cells/36μL/ウェルになるように分注した(3次元培養(3D))。単層培養(2D)は、ヒト卵巣がん細胞株SKOV3を上記の脱アシル化ジェランガムを含まない培地組成物に懸濁した後、384ウェル平底マイクロプレート(コーニング社製、#3712)のウェルに1ウェル当たり400cells/36μLになるように分注した。分注後に、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した各化合物を終濃度0、1、5、10、20μMになるように、それぞれ4μLずつ添加した。各プレートはCOインキュベーター(37℃、5%CO)内にて静置状態で4日間培養した。4日目の培養液に対してATP試薬40μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し、15分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌した後、EnSpire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を第8表に示す。
[第8表]
本試験の結果、SKOV3細胞を3次元培養(3D)した条件において、k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、k−1:J−1、k−1:D−2、k−1:I−10、及びk−1:N−1が幅広い濃度で細胞増殖促進作用を示し、さらにSKOV3細胞は培地内でスフェアを形成していた。一方、SKOV3細胞を単層培養(2D)下で培養した場合は、k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、k−1:J−1、k−1:D−2、k−1:I−10、及びk−1:N−1を培地に添加しても、良好な細胞増殖促進効果は見られなかった。
[参考例4]小腸オルガノイドへの作用の検討
マウス小腸約20cmを摘出し、氷上で脂肪組織及び血管組織を取り除いた後、PBSで内容物を十分に洗浄、ハサミで切り開き2mm程度に断片化した。15mLのPBSで20回洗浄し、上清を除去後、25mLのGentle Cell Dissociation Reagent(STEMCELL社製)を添加し20rpmで撹拌しながら15分間室温にてインキュベーションした。上清を除去後、沈殿物に10mLの冷0.1% BSA/PBSを添加し3回ピペッティングを行い、上清を70μmセルストレイナー(BD Bioscience社製)で濾過し、ろ液を回収した。残った沈殿物へ同様に0
.1% BSA/PBSの添加とピペッティング、濾過を3回繰り返し、ろ液を4段階分調製した。各ろ液を4℃、290gにて5分間遠心し、上清除去後、10mLの冷0.1% BSA/PBSで再度懸濁し、4℃、200gにて3分間遠心した。上清を除去後、10mLのDMEM/F12(和光純薬社製)を添加して懸濁し、1mLを分取して顕微鏡下で観察し、小腸断片(陰窩、Crypt)が十分にあるろ液を選択し、Crypt数を血球計算板にて計数した。細胞懸濁液と等量の冷Matrigel(登録商標)Matrix GFR(Corning社製)を添加、混合し、すばやく37℃に温めておいた
24ウェルプレートに500crypts/50μL/ウェルとなるよう分注した。プレートを37℃で10分間静置し、ゲル化を完了させ、各ウェルに750μLのIntestiCult(登録商標)Organoid Growth Medium(STEMCELL TECHNOLOGIES社製)を添加し、さらにDMSOに溶解した化合物(k−1:H−7)を終濃度5μMになるよう加えた。コントロールとして化合物未添加のウェルを作成した。7日間培養後、形成された小腸オルガノイドの数と直径を顕微鏡下で計測し、無添加(対照)と比較したものを第9表に示す。本試験の結果、k−1:H−7がマウスの小腸オルガノイド培養においてオルガノイド形成を促進することが明らかになった。この際、オルガノイドの直径は大きく変わっておらず、k−1:H−7の添加によりCryptからのオルガノイド形成率が向上した。
[第9表]
[参考例5]各種ヒトがん細胞への作用1
各種ヒト由来がん細胞を下記の通り各々の培地にて前培養(単層培養)を行った。ヒト子宮頸がん由来細胞株HeLa(American Type Culture Collection(以下、ATCCと記載する。)社製、10%ウシ胎児血清(FBS、Corning社製)含有Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(以下、DMEMと略称する。)(和光純薬工業社製))、ヒト悪性黒色腫由来細胞株A375(ATCC社製、10%FBS含有DMEM)、ヒト上皮様細胞がん由来細胞株A431(ATCC社製、10% FBS及び1%MEM非必須アミノ酸溶液(ME
M Non−Essential Amino Acids solution(以下、NEAAと略称する。)(和光純薬工業社製))含有Eagle's Minimum Essential Medium(以下、EMEMと略称する。)(和光純薬工業社製))、ヒト胃腺がん由来細胞株AGS(DSファーマバイオメディカル社製、10%FBS含有Ham's F−12(和光純薬工業社製))、ヒト前立腺がん由来細胞株LNCaP clone FGC(ATCC社製、10%FBS含有RPMI1640(和光純薬工業社製))、ヒト結腸腺がん由来細胞株HCT116(DSファーマバイオメディカル社製、10%FBS含有McCoy’s 5A Medium(シグマアルドリッチ社製))、ヒト肺胞基底上皮腺がん由来細胞株A549(DSファーマバイオメディカル社製、10%FBS含有DMEM)、ヒト前立腺がん由来細胞DU145(ATCC社製、10%FBS含有EMEM)。対数増殖期にある上記細胞をPBS洗浄後、接着細胞は0.25w/v%トリプシン−1mmol/L EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(和光純薬工業社製)を添加して37℃にて1〜5分間インキュベートして剥離し、各々の培地を添加、遠心して同培地で再懸濁後、各々単細胞にて回収した。
前述の各種細胞を脱アシル化ジェランガム含有または不含の各培地に懸濁し(脱アシル化ジェランガム濃度は0.015 w/v %、ただしRPMI1640のみ0.020 w/v %)、1000〜12000 cells/135 μL/ウェルの細胞濃度にて、96穴低接着U底プレート(Corning社製、脱アシル化ジェランガム不含培地)、または低接着平底プレート(Corning社製、脱アシル化ジェランガム含有培地)に播種した(いずれも3D培養)。37℃、5%COインキュベーターにて一晩静置培養後、化合物(k−1:H−7またはk−1:H−10)のDMSO溶液を、終濃度5μMまたは10μMとなるように、各培地に添加した。各化合物溶液の添加量は、15μL/ウェルであった。対照としては培地に溶解したDMSO溶液を添加した(DMSO終濃度0.1%)。引き続き37℃、5%COインキュベーターにて4日間培養後、WST−8溶液(同仁化学研究所社製)を15μL/ウェルにて添加し、同インキュベーターで1〜2時間反応後、吸光度計(Molecular Devices社製、SPECTRA MAX 190)にて450nmの吸光度を測定し、培地のみの吸光度を差し引くことにより生細胞の数を測定した。更に化合物無添加(対照)の吸光度を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を算出した。化合物無添加(対照)と比較した際に、119%以下の値を示すものを−、120%以上の値を示すものを○、150%以上の値を示すものを◎として第10表に示す。
[第10表]
本試験の結果、複数のがん細胞株においてk−1:H−7およびk−1:H−10が3次元条件下で増殖活性を亢進させることが明らかになった。この際、低接着U底プレート、低接着平底プレートのどちらを用いてもがん細胞株は、スフェアを形成していた。
[参考例6]各種ヒトがん細胞への作用2
各種ヒト由来がん細胞を下記の通り各々の培地にて前培養(単層培養)を行った。ヒト卵巣がん細胞株SKOV3(DSファーマバイオメディカル社製、15%ウシ胎児血清(FBS、Corning社製)含有McCoy’s5a培地(シグマアルドリッチ社製))、ヒト肺胞基底上皮腺がん由来細胞株A549(DSファーマバイオメディカル社製、10%FBS含有DMEM(和光純薬工業社製))、ヒト子宮頸がん由来細胞株HeLa(ATCC社製、10%FBS含有DMEM)、ヒト悪性黒色腫由来細胞株A375(ATCC社製、10%FBS含有DMEM)、ヒト上皮様細胞がん由来細胞株A431(ATCC社製、10% FBS及び1%MEM非必須アミノ酸溶液(MEM NEAA、和光純薬工業社製)含有EMEM(和光純薬工業社製))、ヒト胃腺がん由来細胞株AGS(DSファーマバイオメディカル社製、10%FBS含有Ham's F−12(和光純薬工業社製))、ヒト前立腺がん由来細胞DU145(ATCC社製、10%FBS含有EMEM)。対数増殖期にある上記細胞をPBS洗浄後、接着細胞は0.25w/v %トリプシン−1mmol/L EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(和光純薬工業社製)を添加して37℃にて1〜5分間インキュベートして剥離し、各々の培地を添加、遠心して同培地で再懸濁後、各々単細胞にて回収した。
前述の各種細胞を脱アシル化ジェランガム含有または不含の各培地に懸濁し(脱アシル化ジェランガム濃度は0.015 w/v %)、700〜2000 cells/90 μL/ウェルの細胞濃度にて、96穴低接着U底プレート(Corning社製、#4520、脱アシル化ジェランガム不含培地)、または低接着平底プレート(Corning社製、#3474、脱アシル化ジェランガム含有培地)に播種した(いずれも3D培養)。引き続き、DMSOに溶解させた化合物(k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、またはk−1:J−1)を、終濃度5μMまたは10μMとなるように、各培地に添加した。各化合物溶液の添加量は10μL/ウェルであった。対照としては培地に溶解したDMSO溶液を添加した(DMSO終濃度0.1%)。37℃、5%COインキュベーターにて4日間培養後、4日目の培養液に対してATP試薬40μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し、15分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌した後、EnSpire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を算出した。化合物無添加(対照)と比較した際に、119%以下の値を示すものを−、120%以上の値を示すものを○、150%以上の値を示すものを◎として第11表及び第12表に示す。試験未実施は空欄とした。
[第11表]
[第12表]
本試験の結果、複数のがん細胞株においてk−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、及びk−1:J−1が3次元条件下で増殖活性を亢進させることが明らかになった。この際、低接着U底プレート、低接着平底プレートのどちらを用いてもがん細胞株は、スフェアを形成していた。
[参考例7]MDCK細胞への作用1
イヌ腎臓尿細管上皮細胞(MDCK細胞、DSファーマバイオメディカル社製)を10% FBS及び1% NEAA含有EMEM培地にて前培養した。冷Matrigel(登録商標)Matrix GFR(Corning社製)を24穴プレートに50μLずつ塗り広げ、37℃にて15分間インキュベートし固化させた。前述のMDCK細胞を20000 cells/mL濃度で培地に懸濁し、さらに冷Matrigel(登録商標)Matrix GFRを20μL/mL加えて1mL/ウェルにて播種した。終濃度10
μMとなるように培地に溶解したk−1:H−7を添加し、37℃、5%COの条件下、インキュベーターにて7日間培養した。対照(化合物無添加)として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。7日後、PBSで洗浄後(1mL/ウェル)、4% Paraformaldehyde/PBS(和光純薬社製)を添加し(1mL/ウェル)、室温にて20分間固定した。その後、上清を除去し、IFバッファー(0.2%TritonX−100(シグマアルドリッチ社製)、0.05% Tween20(シグマアルドリッチ社製)含有PBS)を1mL/ウェル添加し30分間静置し、除去した。浸透化バッファー(0.5% Triton X−100(シグマアルドリッチ社製)/PBS)を1mL/ウェル添加し、室温で30分間インキュベートした。上清を除去し、IFバッファーにて5分置きに3回洗浄し、ブロッキングバッファー(1%BSA(シグマアルドリッチ社製)/IFバッファー)を0.5mL/ウェル添加して30分間インキュベートした。上清を除去し、ブロッキングバッファーに抗βカテニン抗体(BD Bioscience社製)を100倍希釈して250μL/ウェルで添加し、4℃、遮光にて一晩インキュベートした。翌日、IFバッファーで5分置きに3回洗浄し、ブロッキングバッファーに2次抗体(Alexa Fluor 555、Thermo Fisher Scientific社製)とPhalloidin(Alexa Fluor 488、Thermo Fisher Scientific社製)を各々250倍希釈し250μL/ウェルにて添加し、室温、遮光下で60分間インキュベートした。IFバッファーで5分置きに3回洗浄後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(Vector Laboratories社製)を滴下し蛍光顕微鏡(Arra
yScan、Thermo Fisher Scientific社製)にて観察及び解析を行った。
本試験の結果、MDCK細胞がMatrigel上で内腔を有するCystを形成する際に、化合物k−1:H−7存在下でCyst1つあたりの面積がControl対象を100とした時20%以上増大していることが明らかになった。第13表にその結果を示した。
[第13表]
[参考例8]MDCK細胞への作用2
イヌ腎臓尿細管上皮細胞(MDCK細胞、DSファーマバイオメディカル社製)を10% FBS及び1% NEAA含有EMEM培地にて前培養した。冷Matrigel(登録商標)Matrix GFR(Corning社製)を24穴プレートに50μLずつ塗り広げ、37℃にて15分間インキュベートし固化させた。前述のMDCK細胞を10000 cells/mLで培地に懸濁し、さらに冷Matrigel(登録商標)Matrix GFRを20μL/mL加えて1mL/ウェルにて播種した。終濃度5μM及び10μMとなるように培地に溶解した化合物(k−1:I−1またはk−1:B−1)を添加し、37℃、5%COの条件下、インキュベーターにて6日間培養した。対照(化合物無添加)として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。6日後、CelliMager(スクリーン社製)にて形成したCystの大きさ及び個数を測定した。全体のCystのうち、70μm以上のCystの割合を第14表に示す。
[第14表]
また、PBSで洗浄後(1mL/ウェル)、4% Paraformaldehyde/PBS(和光純薬社製)を添加し(1mL/ウェル)、室温にて20分間固定した。その後、上清を除去し、IFバッファー(0.2% TritonX−100(シグマアルドリッチ社製)、0.05% Tween20(シグマアルドリッチ社製)含有PBS)を1mL/ウェル添加し30分間静置し、除去した。浸透化バッファー(0.5% Triton X−100(シグマアルドリッチ社製)/PBS)を1mL/ウェル添加し、室温で30分間インキュベートした。上清を除去し、IFバッファーにて5分置きに3回洗浄し、ブロッキングバッファー(1%BSA(シグマアルドリッチ社製)/IFバッファー)を0.5mL/ウェル添加して30分間インキュベートした。上清を除去し、ブロッキングバッファーに抗βカテニン抗体(BD Bioscience社製)を100倍希釈して250μL/ウェルで添加し、室温で60分間インキュベートした。IFバッファーで5分置きに3回洗浄し、ブロッキングバッファーに2次抗体(Alexa Fluor 555、Thermo Fisher Scientific社製)とPhalloidin(Alexa Fluor 488、Thermo Fisher Scientific社製)を各々250倍希釈し250μL/ウェルにて添加し、室温、遮光下で60分間インキュベートした。IFバッファーで5分置きに3回洗浄後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(Vector Laboratories社製)を滴下し共焦点蛍光顕微鏡(FV1200 IX83、オリンパス社製)にて観察を行った。
本試験の結果、MDCK細胞がMatrigel上で内腔を有するCystを形成する際に、化合物k−1:I−1、k−1:B−1存在下で全体のCystのうち、70μm以上のCystの割合が増大していることが明らかになった(表13)。また、共焦点蛍光顕微鏡での観察の結果、化合物k−1:I−1、又はk−1:B−1存在下で、正常なCystを形成していることが確認された(図1)。
[参考例9]ヒト間葉系幹細胞への作用1
ヒト間葉系幹細胞(hMSC、東洋紡社製)を、MF−medium間葉系幹細胞増殖培地(東洋紡社製)を用いた単層培養法(2D)にて前培養した。3次元培養法(3D)では、脱アシル化ジェランガムを添加した培地組成物にhMSCを懸濁した後、6ウェル平底超低接着表面プレート(コーニング社製、#3471)に1.2×10 cells/2mL/ウェルとなるように播種した。2Dでは、hMSCを脱アシル化ジェランガム不含培地組成物に懸濁した後、6ウェル平底プレート(コーニング社製、#3516)に4.0×10 cells/2mL/ウェルとなるように播種した。引き続き、終濃度10μMとなるように、培地に溶解した化合物(k−1:H−7またはk−1:H−10)の溶液を添加し、37℃、5% COインキュベーターにて7日間培養した。対照として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。7日後、3次元培養法ではウェルから細胞を回収し、PBSで洗浄して上清を除去後、トリプシン0.25 w/v %トリプシン−1mmol/L EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(和光純薬工業社製)を添加して37℃にて2〜5分間インキュベートしてスフェアを単細胞に分散させ、培地を添加、遠心して上清を除去した。その後、同培地で再懸濁した後、一部をトリパンブルー(和光純薬工業社製)で懸濁して全自動セルカウンターTC20(BIO−RAD社製)にて生細胞数をカウントした。
単層培養法では細胞をPBS洗浄後、0.25w/v%トリプシン−1mmol/L EDTA溶液を添加して37℃にて2〜5分間インキュベートして剥離し、培地を添加、遠心して上清を除去した。その後、同培地で再懸濁した後、一部をトリパンブルー(和光純薬工業社製)で懸濁してTC−20(BIO−RAD社製)にて生細胞数をカウントした。
上記細胞懸濁液に、CD34抗体(APC、BD Bioscience社製)、CD73(BV421、BD Bioscience社製)、CD29(BB515、BD Bioscience社製)を添加し、氷上で30分間インキュベートした。2% SMバッファー(2% FBS/PBS)で2回洗浄した後、1μg/mLのPropidium Iodide(PI)を含むSMを添加し、FACSAria(ベクトン・ディッキンソン社製)にて解析を行った。第15表に化合物無添加(対照)の細胞数を1としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を算出した。第16表に無添加並びに化合物添加条件で3次元培養(3D)した細胞のCD34、CD73、及びCD29の陽性率または陰性率を示した。
[第15表]
[第16表]
本試験の結果、k−1:H−7およびk−1:H−10は、2次元及び3次元細胞培養条件でhMSCの細胞数を増加させる効果が認められた。3次元細胞培養条件では、hMSCはスフェアを形成していた。その際、細胞表面マーカーであるCD34の陰性率、CD73、及びCD29の陽性率は化合物添加によって変化しなかった(第16表)。以上の結果より、k−1:H−7およびk−1:H−10はhMSCの未分化性を維持したまま細胞増殖を亢進させることが明らかになった。
[参考例10]ヒト間葉系幹細胞への作用2
骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(BM−hMSC、プロモセル社製)を、間葉系幹細胞増殖培地(プロモセル社製)を用いた単層培養法(2D)にて前培養した。3次元培養法(3D)では、脱アシル化ジェランガムを添加した培地組成物にhMSCを懸濁した後、96ウェル平底超低接着表面プレート(コーニング社製、#3474)に6000 cells/90μL/ウェルとなるように播種した。また、EZSPHEREを用いた3次元培養法(EZSPHERE)では、hMSCを脱アシル化ジェランガム不含培地組成物に懸濁した後、96ウェルEZSPHEREプレート(旭テクノグラス社製、#4860−900)に2000cells/90μL/ウェルとなるように播種した。2Dでは、hMSCを脱アシル化ジェランガム不含培地組成物に懸濁した後、96ウェル平底プレート(コーニング社製、#3585)に2000cells/90μL/ウェルとなるように播種した。引き続き、終濃度1μM、5μM、10μM及び20μMとなるように、培地に溶解した化合物(k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、またはk−1:J−1)を10μL/ウェル添加し、37℃、5% COインキュベーターにて4日間培養した。対照として、DMSOを終濃度0.1%となるよう添加した。4日後、培養液に対してATP試薬100μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し、2分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌し、10分間室温にて静置した後、Enspire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を算出し、その結果を第17表に示す。
[第17表]
本試験の結果、k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、及びk−1:J−1は、3次元細胞培養条件でBM−hMSCの増殖活性を亢進させることが明らかになった。3次元細胞培養条件では、BM−hMSCはスフェアを形成していた。また、k−1:B−1及びk−1:J−1は、2次元細胞培養条件においてもhMSCの増殖活性を亢進させることが明らかになった。
[参考例11]線維芽細胞株C3H10T1/2への作用
マウス胚線維芽細胞C3H10T1/2(DSファーマバイオメディカル社製)は、10(v/v)%FBS(Corning社製)とL−グルタミン−ペニシリン−ストレプトマイシン安定化溶液(Sigma−Aldrich社製)を含むBME培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて培養を行った。対数増殖期にある上記細胞をPBSにて洗浄後、0.25w/v %トリプシン−1mmol/L EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(和光純薬工業社製)を添加して37℃にて3分間インキュベートして剥離し、培地を添加、遠心して上清を除去した。
前述の各種細胞を脱アシル化ジェランガム含有または不含の各培地に懸濁し(脱アシル化ジェランガム濃度は0.015 w/v %、700〜2000 cells/90 μL/ウェルの細胞濃度にて、96穴低接着U底プレート(Corning社製、#4520、脱アシル化ジェランガム不含培地)に播種した(3D培養)。播種後、DMSOに溶解させた化合物(k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、またはk−1:J−1)を、終濃度1μMまたは5μMとなるように、各培地に添加した。各化合物溶液の添加量は、10μL/ウェルであった。対照としては培地に溶解したDMSO溶液を添加した(DMSO終濃度0.1%)。37℃、5%COインキュベーターにて4日間培養後、培養液に対してATP試薬100μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し、15分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌した後、EnSpire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を算出した。化合物無添加(対照)と比較した際に、119%以下の値を示すものを−、120%以上の値を示すものを○、150%以上の値を示すものを◎として第18表に示す。試験未実施は空欄とした。
[第18表]
本試験の結果、線維芽細胞においてk−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、及びk−1:J−1が3次元条件下で増殖活性を亢進させることが明らかになった。この際、低接着U底プレートを用いたとき線維芽細胞は、スフェアを形成していた。
[参考例12]ハンギングドロップ法で培養した細胞への作用
ヒト上皮様細胞がん由来細胞株A431(ATCC社製)は、10% FBS及び1%MEM非必須アミノ酸溶液(MEM NEAA、和光純薬工業社製)含有EMEM(和光純薬工業社製))を用いて培養を行った。また、骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(BM−hMSC、プロモセル社製)は、間葉系幹細胞増殖培地(プロモセル社製)を用いて培養を行った。対数増殖期にあるそれぞれの上記細胞をPBSにて洗浄後、0.25w/v %トリプシン−1mmol/L EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(和光純薬工業社製)を添加して37℃にて3分間インキュベートして剥離し、培地を添加、遠心して上清を除去した。
引き続き、それぞれの細胞を上記培地に100000 cells/2mLとなるように懸濁し、更にDMSOに溶解させた化合物(k−1:H−1、k−1:H−7、またはk−1:B−1)を、終濃度5μMとなるように培地に添加した。本細胞懸濁液を3.5cmディッシュ(ファルコン社製、#351008)のフタの裏面に10μLずつ15滴播種し、液滴を作成した。この際、対照としてはDMSOを添加した培地(DMSO終濃度0.05%)を10μLずつ15滴播種した。このフタを2mLのPBSを添加した3.5cmディッシュに戻し、37℃、5%COインキュベーターにて2日間培養した。培養した液滴を1.5mLのチューブに回収し、最終容量が150μLになるように培地を添加した。更にATP試薬150μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し縣濁させ、10分間室温で静置した後、Enspire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を第19表及び第20表に示す。
[第19表]
[第20表]
本試験の結果、k−1:H−1、k−1:H−7、及びk−1:B−1は、ハンギングドロップ法で3次元細胞培養した条件においてもA431細胞株及び骨髄由来ヒト間葉系幹細胞の細胞数を増加させる効果が認められた。この際、A431細胞株及び骨髄由来ヒト間葉系幹細胞はハンキングドロップ法で液滴の中にスフェアを形成していた。
[参考例13]ヒト多能性幹細胞(hiPS細胞)に対する作用
hiPS細胞株253G1(理化学研究所より分譲)は、ビトロネクチンVTN−N(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)をコーティングしたディッシュ上にてmTeSR1(登録商標)培地(ステムセルテクノロジーズ社製)を用いて培養を行った。増殖期にある上記細胞をPBS(富士フイルム和光純薬社製)にて洗浄後、TrypLE Select(登録商標)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を添加して37℃にて3分間インキュベートして剥離液を除去した後、培地を添加してピペッティングにより剥離した。この後、遠心して上清を除去した。
前述の細胞を10μMのY−27632(富士フイルム和光純薬社製)を含有する培地に懸濁し、10000 cells/200 μL/ウェルの細胞濃度にて、96穴EZSPHEREプレート(AGCテクノグラス社製、#4860−900)に播種した。播種後、希釈したDMSOに溶解させた化合物(k−1:H−1、k−1:H−7、k−1:B−1、k−1:D−1、k−1:J−1、またはk−1:I−10)を、終濃度5μMとなるように各培地に添加した。各化合物溶液の添加量は、2μL/ウェルであった。対照としては培地に溶解したDMSO溶液を添加した(DMSO終濃度0.05%)。毎日半量の培地交換を行い、合わせて化合物濃度が一定になるように各化合物溶液も添加した。37℃、5%COインキュベーターにて3日間培養後、培養上清液を100μL除去した後、残った培養液に対してATP試薬100μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し、15分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌した後、150μLを96穴プレート 平底 白色/透明(Falcon社製)に移し、EnSpire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。DMSO添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を第21表に示す。
[第21表]
本試験の結果、ヒト多能性幹細胞においてk−1:H−1、k−1:H−7、k−1:B−1、k−1:D−1、k−1:J−1、及びk−1:I−10が3次元条件下で増殖活性を亢進させることが明らかになった。
[参考例14]血管内皮細胞への作用
ヒト臍帯静脈内皮細胞(PromoCell社製)をEndothelial Cell Growth Medium(PromoCell社製)培地にて前培養(単層培養)を行った。対数増殖期にある上記細胞をPBS洗浄後、接着細胞はDetachKit(PromoCell社製)を添加して37℃にて3分間インキュベートして剥離し、培地を添加、遠心して同培地で再懸濁した。
前述の細胞を脱アシル化ジェランガム含有または不含の各培地に懸濁し(脱アシル化ジェランガム濃度は0.015 w/v %)、700〜2000 cells/90 μL/ウェルの細胞濃度にて、96穴低接着U底プレート(Corning社製、#4520、脱アシル化ジェランガム不含培地)、または低接着平底プレート(Corning社製、#3474、脱アシル化ジェランガム含有培地)に播種した(いずれも3D培養)。引き続き、DMSOに溶解させた化合物(k−1:H−1、k−1:H−7、k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、またはk−1:J−1)を、終濃度5μMまたは10μMとなるように、各培地に添加した。各化合物溶液の添加量は10μL/ウェルであった。対照としては培地に溶解したDMSO溶液を添加した(DMSO終濃度0.1%)。37℃、5%COインキュベーターにて4日間培養後、4日目の培養液に対してATP試薬100μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し、15分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌した後、EnSpire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を[第22表]に示す。
[第22表]
本試験の結果、ヒト臍帯静脈内皮細胞においてk−1:H−1、k−1:H−7、k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、及びk−1:J−1が3次元条件下で増殖活性を亢進させることが明らかになった。この際、低接着U底プレート、低接着平底プレートのどちらを用いてもヒト臍帯静脈内皮細胞は、スフェアを形成していた。
[参考例15]動物細胞株への作用
各種動物細胞株を下記の通り各々の培地にて前培養(単層培養)を行った。チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株CHO−K1(DSファーマバイオメディカル社製、10%ウシ胎児血清(FBS、Corning社製)含有Ham’s F−12培地(富士フイルム和光純薬社製))、アフリカミドリザル腎臓上皮由来細胞株Vero(JCRB細胞バンクより分譲、5%FBS含有Medium199培地(Life Technologies社製))。対数増殖期にある上記細胞をPBS洗浄後、接着細胞は0.25w/v %トリプシン−1mmol/L EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(富士フイルム和光純薬社製)を添加して37℃にて3分間インキュベートして剥離し、各々の培地を添加、遠心して同培地で再懸濁した。
前述の各種動物細胞を脱アシル化ジェランガム含有または不含の各培地に懸濁し(脱アシル化ジェランガム濃度はHam’s F−12培地は0.02 w/v %、Medium199培地は0.015 w/v %)、700〜2000 cells/90 μL/ウェルの細胞濃度にて、96穴低接着U底プレート(Corning社製、#4520、脱アシル化ジェランガム不含培地)、または低接着平底プレート(Corning社製、#3474、脱アシル化ジェランガム含有培地)に播種した(いずれも3D培養)。引き続き、DMSOに溶解させた化合物(k−1:H−1、k−1:H−7、k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、またはk−1:J−1)を、終濃度5μMまたは10μMとなるように、各培地に添加した。各化合物溶液の添加量は10μL/ウェルであった。対照としては培地に溶解したDMSO溶液を添加した(DMSO終濃度0.1%)。37℃、5%COインキュベーターにて4日間培養後、4日目の培養液に対してATP試薬100μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega社製)を添加し、15分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌した後、EnSpire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。化合物無添加のRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を算出した。化合物無添加(対照)と比較した際に、119%以下の値を示すものを−、120%以上の値を示すものを○、150%以上の値を示すものを◎として第23表及び第24表に示す。
[第23表]
[第24表]
本試験の結果、複数の動物細胞株においてk−1:H−1、k−1:H−7、k−1:I−1、k−1:B−1、k−1:D−1、及びk−1:J−1が3次元条件下で増殖活性を亢進させることが明らかになった。この際、低接着U底プレート、低接着平底プレートのどちらを用いても動物細胞株は、スフェアを形成していた。
[実施例]
[エナンチオマーの取得]
前述の[化合物の合成例]で合成したk−1:B−1(ラセミ体)を下記分取条件に従ってWaters社製超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)にて光学分割を行い、以下の2つのエナンチオマーを取得した。両エナンチオマーの比旋光度は、旋光度計P−1020(日本分光社製)を用いて測定した。また、エナンチオマーの立体配置(R体、S体)は、X線結晶構造解析によって決定した。
化合物GA−002A(k−1:B−1の左旋性エナンチオマー);保持時間11.95分、分取量475.1mg、光学純度99.9ee%、純度99.0%、比旋光度[α]22 −10.5(c=0.1019、エタノール)、立体配置R体
化合物GA−002B(k−1:B−1の右旋性エナンチオマー);保持時間14.85分、分取量474.0mg、光学純度99.9ee%、純度99.1%、比旋光度[α]22 +12.6(c=0.1012、エタノール)、立体配置S体
<分取条件>
カラム:CHIRALPAK IA−3<ダイセル社製、20*250mm、5μm>、弱溶媒:CO(70%)、強溶媒:MeOH(30%)、カラム温度:40℃、総チャージ量:1g、流速:15mL/分
〔エナンチオマーの合成〕
(式中、Bnはベンジル基を示す)
D−アラニンメチル塩酸塩(157)(1.40g、10.0mmol)、3−ベンジルオキシフェニルボロン酸(158)(3.43g、15.1mmol)、酢酸銅(II)一水和物(3.00g、15.1mmol)、モレキュラーシーブ4A(MS4A;20g)を塩化メチレン(200mL)に溶解させ、トリエチルアミン(4.17mL、30.1mmol)を加えて酸素雰囲気下室温で23時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を半分まで減圧下濃縮、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮した。得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=1/99〜10/90)にて精製し、159(595mg、2.09mmol、収率21%)を黄色液体として得た。

(式中、Bnはベンジル基を示す)
上記のようにして得られた159(595mg、2.09mmol)をメタノール(21mL)に溶解させ、パラジウム炭素エチレンジアミン複合体(241mg)を加えて水素雰囲気下、室温で3.5時間撹拌した。パラジウム炭素をろ別し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90〜30/70)にて精製し、160(413mg、2.12mmol、quant.)を黄色液体として得た。
上記のようにして得られた160(413mg、2.12mmol)をメタノール(4.2mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(1.0mL、21mmol)を加えて60℃で3.5時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮、トルエン共沸して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、メタノール/塩化メチレン=1/99〜10/90)にて精製し、161(391mg、2.00mmol、収率95%)を褐色アモルファスとして得た。
上記のようにして得られた161(72mg、0.37mmol)、2’,4’−ジヒドロキシ−3’−メチルプロピオフェノンk−1(60mg、0.33mmol)をDMSO(0.67mL)に溶解させ100℃で3日撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=5/95〜50/50)にて精製し、得られた精製物を蒸留水、イソプロピルアルコール(IPA)/ヘキサン、蒸留水で順次懸濁洗浄して、GA−005A(ZX−01−R(40.5mg、0.113mmol、収率34%))を薄茶色固体として得た。比旋光度は、旋光度計P−1020(日本分光社製)を用いて測定した。
1H-NMR(270MHz); ;δ13.65(s, 1H), 10.75(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.97(s, 1H), 7.25(d, J=8.1Hz, 1H), 6.83(t, J=8.1Hz, 1H), 6.39(d, J=8.1Hz, 1H), 6.15-5.95(m, 3H), 5.81(d, J=8.1Hz, 1H), 4.18(m, 1H), 2.78(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.37(d, J=8.1Hz, 3H), 1.03(t, J=8.1Hz, 3H).
化合物GA−005A;光学純度99.9ee%、純度99.2%、比旋光度[α]22 −11.4(c=0.0264、エタノール)、立体配置R体
[試験例1]光学異性体のSKOV3細胞増殖に対する作用効果評価
ヒト卵巣癌細胞株SKOV3(DSファーマバイオメディカル社製)を15%ウシ胎児血清(FBS、Corning社製)含有McCoy’s5a培地(シグマアルドリッチ社製)にて前培養(単層培養)を行った。対数増殖期にある上記細胞をPBS洗浄後、接着細胞は0.25w/v %トリプシン−1mmol/L EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(富士フイルム和光純薬社製)を添加して37℃にて3分間インキュベートして剥離し、上記培地を添加、遠心して同培地で再懸濁した。
特許文献1(WO2014/017513)の方法に従い、0.015%(w/v)の脱アシル化ジェランガム(KELCOGEL CG−LA、三昌株式会社製)及び15%(v/v)FBS、30ng/mLヒトEGF(PEPROTECH社製)を含有するMcCoy’s5a培地(シグマアルドリッチ社製)の組成物をFCeM−series Preparation Kit(和光純薬工業社製)にて調製した。次いで、上記で調製したSKOV3細胞を上記の脱アシル化ジェランガムを添加した培地組成物に懸濁した後、96ウェル平底超低接着表面マイクロプレート(コーニング社製、#3474)のウェルに1ウェル当たり2000 cells/90μL/ウェルになるように分注した(3次元培養(3D))。引き続き、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した化合物(k−1:B−1(ラセミ体)、GA−002A、またはGA−002B)を上記培地にて希釈し、各化合物の終濃度が1、5、10、20μMになるように、当該希釈液をそれぞれ10μLずつ添加した。一部のウェルにはコントロールとしてDMSOのみを添加した。各プレートはCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)内にて静置状態で4日間培養した。4日目の培養液に対してATP試薬100μL(CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay, Promega社製)を添加し、2分間プレートシェーカー(アズワン社製、Micro plate mixer NS−P)で室温にて撹拌した後に10分静置した。100μLを96ウェル平底白色プレート(Corning社製、#3912)に移し、Enspire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。コントロールのRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたときの、それぞれの化合物添加時の相対値を表25に記載する。
[第25表]
本試験の結果、SKOV3細胞を培養した際に、k−1:B−1(ラセミ体)及びk−1:B−1の左旋性エナンチオマー体GA−002Aは細胞増殖促進作用を示し、k−1:B−1の右旋性エナンチオマー体GA−002Bは効果をほとんど示さなかった。
[試験例2]本発明化合物のSKOV3細胞増殖に対する作用評価
ヒト卵巣癌細胞株SKOV3(DSファーマバイオメディカル社製)を15%ウシ胎児血清(以下、FBSと略称する。Corning社製)含有McCoy’s5a培地(シグマアルドリッチ社製)にて前培養(単層培養)を行った。対数増殖期にある上記細胞をPBS洗浄した。接着細胞は、0.25%(w/v)トリプシン−1mmol/Lエチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液(富士フイルム和光純薬社製)を添加して37℃にて3分間インキュベートして、剥離した。上記培地を添加し、遠心して同培地で再懸濁した。
特許文献1(WO2014/017513)の方法に従い、0.015%(w/v)の脱アシル化ジェランガム(KELCOGEL CG−LA、三昌株式会社製)及び15%(v/v)FBS、30ng/mLヒトEGF(PEPROTECH社製)を含有するMcCoy’s5a培地(シグマアルドリッチ社製)の組成物をFCeM−series Preparation Kit(富士フイルム和光純薬社製)にて調製した。次いで、上記で調製したSKOV3細胞を上記の脱アシル化ジェランガムを添加した培地組成物に懸濁した後、96ウェル平底超低接着表面マイクロプレート(コーニング社製、#3474)に1ウェル当たり2000 cells/90μL/ウェルになるように分注した(3D−FCeM)。同様に上記で調製した細胞を15%FBS/McCoy’s5a培地に懸濁し、96ウェルU底超低接着表面マイクロプレート(コーニング社製、#4515、3D−U)に1ウェル当たり700 cells/90μL/ウェルになるように分注した。ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したGA−005Aを上記培地にて希釈し、終濃度が5μM、10μMになるように、当該希釈液をそれぞれ10μLずつ添加した。一部のウェルにはコントロールとしてDMSOのみを添加した。各プレートはCOインキュベーター(37℃、5%CO)内にて静置状態で4日間培養した。4日目の培養液に対してATP試薬100μL[CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay, Promega社製]を添加し、プレートシェーカー(Micro plate mixer NS−P、アズワン社製)で室温にて2分間撹拌した後に10分静置した。100μLを96ウェル平底白色プレート(Corning社製、#3912)に移し、Enspire(Perkin Elmer社製)にて発光強度(RLU値)を測定し、培地のみの発光値を差し引くことで生細胞の数を測定した。コントロールのRLU値(ATP測定、発光強度)を100%としたとき、各々の終濃度における相対値を下記に記載する。
3D−FCeM;221%(5μM)、203%(10μM)
3D−U;290%(5μM)、310%(10μM)
[試験例3]マウス腸管オルガノイド培養に対する作用
7週齢雄C57BL/6Nマウスを日本チャールス・リバー社より購入した。馴化期間後、麻酔下にて小腸および結腸を摘出した。摘出した小腸、結腸からIntestiCult(商標)Organoid Growth Mediumのプロトコールに従ってクリプトを回収した。具体的には、1mLの冷PBSで腸管内を洗浄した後に縦に切開し、1mL冷PBSで3回洗浄した。冷PBSで満たした10cmペトリデッシュに腸管を移して再度よく洗い、15mL冷PBSを入れた50mLチューブに2mm断片に切りながら移した。10mLピペッターで断片を3回攪拌して30秒間静置後(断片の沈降後)、上清を静かに除去し、これを15回以上繰り返した。上清除去後、25mLのGentle Cell Dissociation Reagent(STEMCELL Technologies社)にて15分間(小腸)または20分間(結腸)、室温で20rpmで攪拌しながらインキュベーションした。静置して断片沈降後に上清を除去し、10mLの0.1%BSA/冷PBSで3回攪拌し、断片沈降後に上清を取り、70μmのセルストレイナーを通してチューブに回収した。これをさらに3回繰り返してFlaction1〜4を作成した。4℃にて290g×5分間遠心し、上清を除去して10mLの0.1%BSA/冷PBSにて再度懸濁し、15mLチューブに移した。4℃にて200g×3分間遠心し、上清を除いてペレットを作成した。前述のペレットに10mLの冷DMEM/F−12培地を添加して再懸濁し、そのうち1mLを6穴プレートに移して顕微鏡下で観察し、クリプトが多く含まれるFlactionをそれぞれ決定した。懸濁液10μLに含まれるクリプト数を顕微鏡下でカウントして濃度を定め、800クリプト/チューブとなるように15mLチューブに分注し、4℃、200g×5分間遠心した。上清を除き、200μLのIntestiCult(商標)Organoid Mediumを各チューブに添加し、攪拌した。さらに200μL Matrigel GFR(Corning社)を添加し混ぜた後に、予め37℃に温めた24穴プレートに50μLずつ分注して37℃インキュベーターで10分間温め、ドーム状に固化させた。750μLのIntestiCult(商標)Organoid Mediumを各ウェルに添加し、DMSOに溶解したGA−002A或いはGA−005Aを終濃度10μMにて添加した(DMSO換算で0.025%以下)。この際、一部のウェルにはコントロールとしてDMSOのみを添加した。引き続き、37℃、5%COインキュベーターにて静置培養し、2−3日おきに培地を交換した。経時的にCelliMager duos(SCREENホールディングス社)にてオルガノイドを画像解析した。画像解析には、培養1日目に播種クリプト数として直径30−200μmのクリプト数を測定し、その後経時的に70μm以上に成長したものをオルガノイドとして数え、クリプトからのオルガノイド形成率を算出した。その際、同時に計測したオルガノイドの直径平均を算出した。オルガノイド形成率(%)および平均直径(μm)を下表に示す。
また、培養9日目の小腸オルガノイドおよび培養21日目の結腸オルガノイドの培養上清を除去し、RNeasy Mini Kit(Qiagen社製)を使用して、細胞から全RNA(リボ核酸)を単離した。本RNAについて、タカラバイオ社PrimeScript RT Master Mixを用いてcDNAを合成し、TaqmanAssay(AppliedBioSystems社)を用いた遺伝子発現解析を実施し、DMSO、GA−002A又はGA−005Aを添加したオルガノイドにおける小腸、結腸或いは腸管特異的な遺伝子の発現量を解析した。更に、内部標準であるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(Gapdh)の発現量との比較を行った。Gapdhの発現量を1とした際の相対的発現量が0.5以上確認された遺伝子とサンプルを以下に示す。
小腸オルガノイド
小腸特異的遺伝子Lyz1; DMSO、GA−002A、GA−005A
結腸オルガノイド
結腸特異的遺伝子Muc2; DMSO、GA−002A、GA−005A
小腸オルガノイド及び結腸オルガノイド
腸管特異的遺伝子Vil1; DMSO、GA−002A、GA−005A
以上の結果から、GA−002A及びGA−005Aはマウス小腸及び結腸オルガノイドの形成率を大幅に改善し、平均直径の増大も認められた。また、形成された小腸及び結腸オルガノイドはそれぞれ部位特異的なマーカー遺伝子を発現していることが確認された。以上より、GA−002A及びGA−005Aは腸管オルガノイドの形成を促進する効果を示すことが明らかとなった。
本発明によれば、細胞増殖の促進、スフェア形成の促進、オルガノイド形成の促進、およびCyst形成の促進のいずれかまたはこれらの任意の組合せを達成することができる。本発明により調製された細胞等は、例えば、創薬の分野において非常に有用である。

Claims (17)

  1. 下記式(I)で示される化合物の光学活性体、またはその塩を含む、培地添加用組成物:


    {式中、Xは、単結合、−CHCOO−、−CONH−、または−NHCO−であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または−Y−W−Z−Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Wは、酸素原子、硫黄原子またはN(R)であり、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2である。}。
  2. Xが、−NHCO−である、請求項1に記載の組成物。
  3. が、炭素数1〜6のアルキル基であり、nが0である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. が、−Y−W−Z−Arであり、Yが、炭素数1〜6のアルキル基を有するメチレン基であり、Wが、N(R)であり、Zが、単結合であり、Arが、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. アリール基が、フェニル基である、請求項4に記載の組成物。
  6. 光学活性体がR体である、請求項5に記載の組成物。
  7. 式(I)で示される化合物が、以下からなる群から選択される化合物である、請求項6に記載の組成物。




  8. が、−Y−W−Z−Arであり、Yが、単結合であり、Wが、N(R)であり、Rが、水素原子であり、Zが、炭素数1〜6のアルキル基を有するメチレン基であり、Arが、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  9. アリール基が、水酸基で置換されているフェニル基である、請求項8に記載の組成物。
  10. 光学活性体がR体である、請求項9に記載の組成物。
  11. 式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物である、請求項10に記載の組成物。
  12. 細胞増殖促進用である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 細胞が、正常細胞株、がん細胞株および幹細胞からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
  14. スフェア形成、オルガノイド形成、またはCyst形成の促進に用いられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の培地添加用組成物を含む、培地。
  16. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の培地添加用組成物を培地へ添加することを含む、細胞増殖を促進させる方法。
  17. 細胞が、正常細胞株、がん細胞株および幹細胞からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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