JPWO2018181169A1 - 油性インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
Description
また、顔料インクでは、インクを記録媒体に吐出後に、非水系溶剤が記録媒体内部に速やかに浸透することで印刷物を乾燥させることができ、顔料が記録媒体表面に留まることで画像濃度を高めることができる。
インクジェット印刷装置内で、印刷後に印刷物をローラによって挟持して搬送する際に、印刷物に接触するローラにインクが付着し、後続の印刷領域又は印刷物に、ローラからインクが再付着し印刷物に汚れが発生する、いわゆるローラ転写汚れの問題がある。
例えば、特許文献1で用いられている2−エチルヘキサン酸イソセチルは、炭素数が24であるが、脂肪酸側の側鎖の炭素数は2であり、アルコール側の側鎖の炭素数は不明である。そのため、塩化ビニル製チューブが劣化する可能性がある。塩化ビニル製チューブはインクと直接接触するため、印刷物によるクリアファイルの変形よりもインクから影響を大きく受ける。
特許文献1の比較例1〜6のインクは、炭素数が18〜23であるエステル系溶媒を用いているが、分岐構造が特定できていないため、透明フィルムの変形が発生している。低炭素数のエステル系溶剤は、比較的に低粘性であり吐出性能の改善に役立つが、クリアファイルの変形が発生する問題がある。
特許文献2で用いられているネオデカン酸オクチルドデシルは、1分子中の炭素数が30であり、インク吐出後に、記録媒体への浸透が遅く、ローラ転写汚れが発生する可能性がある。
インクジェット印刷装置の一例では、インクを収容するインクタンクと、インクを記録媒体に吐出するインクジェットノズルとを有し、インクタンクからインクジェットノズルまでインクはチューブを通して搬送される。このチューブには塩化ビニル製チューブを用いることがある。この塩化ビニル製チューブはインクの非水系溶剤によって劣化する問題がある。チューブの劣化は、チューブの破損の他にも、チューブからインク中に不純物が溶出しインクが変質する問題につながる。
例えば、この脂肪酸エステル系溶剤は、R1及びR2のうち少なくとも一方が炭素数4以上の側鎖を有する分岐アルキル基であり、他方が炭素数5又は6以上のアルキル基である場合は、脂肪酸エステル系溶剤全体の構造が三又の嵩高い構造となって、脂肪酸エステル系溶剤による塩化ビニルの膨潤をより防止することができる。
脂肪酸エステル系溶剤のR1及び/又はR2の末端部分にメチル基等の炭素数3以下の側鎖を有している構造では、脂肪酸エステル系溶剤は十分に嵩高くならないため、塩化ビニルを膨潤させる可能性がある。
顔料インクでは、インク吐出後に顔料が記録媒体表面に留まることで画像濃度を高めることができるため、インク吐出後に溶剤が記録媒体内部に浸透する一方で、顔料は記録媒体表面に留まるようにすることが望ましい。記録媒体表面の顔料は、ローラに付着しやすくローラ転写汚れの原因となるが、一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤を用いることで、ローラ転写汚れを防ぐことができる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料等の金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01〜20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から、1〜15質量%であることが好ましく、4〜10質量%であることが一層好ましい。
顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、ビニルピロリドンと長鎖アルケンとの共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリアミン等が好ましく用いられる。
R1及びR2のうち一方が直鎖アルキル基であり、R1及びR2のうち他方が炭素数が4以上の側鎖を有してもよい。また、R1及びR2の両方が炭素数が4以上の側鎖を有してもよい。なお、R1及びR2のうち一方が炭素数4以上の側鎖を有する分岐アルキル基であるならば、R1及びR2のうち他方が炭素数が3以下の側鎖を有してもよい。
また、R1及びR2は、それぞれ独立的に、炭素数4以上の側鎖を1つ又は2つ有していることが好ましいが、3つ以上有してもよい。
また、R1及びR2において、それぞれエステル結合部に結合する炭素原子から数えて最も炭素数が多くなる炭素鎖が複数存在する場合、側鎖の炭素数が最も多くなるものを主鎖とする。
また、R1及びR2において、それぞれエステル結合部に結合する炭素原子から数えて最も炭素数が多くなる炭素鎖が複数存在し、複数の炭素鎖に含まれる側鎖の炭素数が同じである場合、側鎖の数が最も少なくなるものを主鎖とする。
また、脂肪酸エステル系溶剤の1分子中の炭素数がこの範囲であることで、脂肪酸エステル系溶剤自体の臭気を低減することができ、インクから発生する臭気を低減することができる。臭気の低減のためには、脂肪酸エステル系溶剤の1分子中の炭素数は24以上が特に好ましい。
また、脂肪酸エステル系溶剤の1分子中の炭素数は、29以下が好ましく、28以下がより好ましく、26以下がさらに好ましい。高炭素数になると高粘度となることがあるため、脂肪酸エステル系溶剤の炭素数がこの範囲であることで、インクを低粘度化して、ローラ転写汚れを防止することができる。
脂肪酸エステル系溶剤の脂肪酸部分及びアルコール部分の両方のアルキル基がある程度の長さを有することで、脂肪酸エステル系溶剤が嵩高くなり、樹脂製品への入り込みを防止し、樹脂製品の劣化を防止することができる。
R1が直鎖アルキル基、又は炭素数が3以下の側鎖を有する分岐アルキル基である場合、R1の全体の炭素数は、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、8以上がさらに好ましく、11以上が一層好ましい。この場合、R1の全体の炭素数は、19以下が好ましく、15以下がより好ましい。
R2が直鎖アルキル基、又は炭素数が3以下の側鎖を有する分岐アルキル基である場合、R2の全体の炭素数は、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。この場合、R2の全体の炭素数は、19以下が好ましく、14以下がより好ましい。
R1及びR2の全体の炭素数は、互いの主鎖の長さ、側鎖の炭素数、脂肪酸エステル系溶剤全体の炭素数に応じて調節されるものである。
臭気を低減するために、脂肪酸エステル系溶剤のR1及びR2の全体の炭素数は、それぞれ独立的に6以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。より好ましくは、R1及びR2の全体の炭素数はともに6以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは9以上である。
また、脂肪酸エステル系溶剤そのものの臭気も同様に、脂肪酸部分のアルキル基R1及びアルコール部分のアルキル基R2の両方がある程度の長さを有することで低減することができる。
分岐アルキル基の側鎖の炭素数は、4以上が好ましく、6以上がより好ましい。これによって、脂肪酸エステル系溶剤が嵩高くなり、樹脂製品の劣化を防止することができる。
また、分岐アルキル基の側鎖の炭素数は、特に制限されず、炭素数11以下であってよく、炭素数10以下が好ましく、炭素数8以下がさらに好ましい。
好ましくは、n−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基であり、より好ましくはn−ブチル基、ヘキシル基である。
脂肪酸エステル系溶剤は、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂製品の劣化を防止する観点から、その他の溶剤による影響を排除するために、一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤は、非水系溶剤全量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、例えば、85質量%以上であってもよく、さらに100質量%であってもよい。
一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤は、インク全量に対し、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上が一層好ましい。これによって、樹脂製品の劣化をより防止することができる。
さらに、インクに炭素数30以上の脂肪酸エステル系溶剤が含まれる場合は、一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤は、インク全量に対し、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が一層好ましい。
脂肪酸エステル系溶剤は、脂肪酸とアルコールとを反応させて得ることができる。原料の脂肪酸及びアルコールのうち少なくとも一方に炭素数4以上の側鎖を有するものを用いる。また、R2に炭素数4以上の側鎖を導入するために、炭素数10以上の2級アルコールのうちヒドロキシ基が5位以上に位置するものを用いることができる。
反応温度は、脂肪酸及びアルコールの種類に応じて80〜230℃の範囲で調節することができる。反応時間は、脂肪酸及びアルコールの種類や、原料の使用量に応じて1〜48時間の範囲で調節することができる。エステル化反応に際して生成する水分を除去することが好ましい。
脂肪酸とアルコールとは、モル比で1:1で反応させることが好ましい。
反応に際して、濃硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒を適量で用いてもよい。
原料となる直鎖脂肪酸としては、例えば、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸等を挙げることができる。
原料となる直鎖アルコールのうち炭素数10以上であり、かつヒドロキシ基が5位以上のものとしては、例えば、5−ノナノール、5−デカノール、5−ウンデカノール、7−テトラデカノール等を挙げることができる。
原料となる直鎖アルコールとしては、例えば、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール等を挙げることができる。
その他の非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用できる。なお、一実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができる。市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製);モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−60、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−80、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−120、モレスコホワイトP−150、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−260、モレスコホワイトP−350P(いずれも株式会社MORESCO製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが一層好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
脂肪酸エステル系溶剤としては、例えば、全体の炭素数が12以上、好ましくは16〜30であって、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸ヘキシル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、大豆油メチル、トール油メチル等の直鎖アルキル基を有する溶剤;イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸イソプロピル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸イソオクチル、大豆油イソブチル、トール油イソブチル等の側鎖の炭素数が3以下のアルキル基を有する溶剤;パルミチン酸イソステアリル(炭素数34)等の炭素数が31以上の溶剤等が挙げられる。
また、一般的に市販されている脂肪酸エステル系溶剤の中で、イソノナン酸イソデシル(炭素数19)、イソノナン酸イソトリデシル(炭素数22)、イソステアリン酸イソプロピル(炭素数21)等は、側鎖の炭素数が1のアルキル基を有する脂肪酸エステル系溶剤である。
高級脂肪酸系溶剤としては、例えば、ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤の他に、その他の非水系溶剤を用いる場合は、高沸点溶剤を用いることが好ましい。高沸点溶剤としては、蒸留初留点が200℃以上である非極性溶剤、沸点が250℃以上の極性溶剤、またはこれらの組み合わせを用いることが好ましい。
一実施形態によるインクは、樹脂製品の膨潤を防止しながら、低粘性でインクジェットノズルからの吐出に適するため、常温(23℃)付近で適性に吐出することが可能である。
脂肪酸エステルの処方を表1に示す。
表1に示す処方にしたがって、脂肪酸とアルコールを四つ口フラスコに入れて混合撹拌し均一な溶液を得た。四つ口フラスコにディーンスターク装置を装着し、仕込んだ原材料が反応して水が発生したら取り除けるようにした。均一な溶液が入っている四つ口フラスコにさらに触媒として硫酸を適量加え、系全体を加熱した。加熱温度は脂肪酸及びアルコールの種類に応じて80℃〜230℃に設定した。加熱反応時間は1〜48時間に設定した。反応後、未反応の原材料や不純物を取り除くため、得られた溶液を減圧蒸留し、脂肪酸エステルを得た。脂肪酸とアルコールとは、モル比で1:1となるように混合した。脂肪酸及びアルコールは、東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社及びsasol社から入手することができる。
インクの処方を表2、表3、表4に示す。脂肪酸エステルの1分子中の炭素数、R1及びR2の炭素数、側鎖数、側鎖の炭素数を各表にそれぞれ示す。
各表に示す配合量にしたがって、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を混合し、ビーズミル「ダイノーミルKDL−A」(株式会社シンマルエンタープライゼス製)により滞留時間15分間の条件で、十分に顔料を分散した。続いて、メンブレンフィルターで粗大粒子を除去し、インクを得た。
(顔料)
カーボンブラック:三菱ケミカル株式会社製「MA77」。
銅フタロシアニンブルー:DIC株式会社製「FASTOGEN Blue LA5380」。
(顔料分散剤)
ソルスパース13940:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940」、有効成分40質量%。
ソルスパース18000:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース18000」、有効成分100質量%。
(炭化水素溶剤)
炭化水素溶剤「エクソールD110」:エクソンモービル社製。
上記実施例及び比較例のインクについて、以下の方法により評価を行った。これらの評価結果を表2、表3、表4に示す。
塩化ビニル製の内径2.38mm、外径4.76mmのチューブを長さ5cmに切り取り、試験片を用意した。試験片を各インクに漬け込み、室温で1週間保管した。保管前の試験片の質量aと保管後の試験片の質量bから、質量変化率「(b−a)/a×100」を求めた。
AA:+3.0%未満。
A:+3.0%以上、+5.0%未満。
B:+5.0%以上、+10.0%未満。
C:+10.0%以上。
インクジェットプリンタ「オルフィスEX9050」(理想科学工業株式会社製)の搬送経路に、インクジェットヘッドに対し印刷物の搬送方向下流側で印刷物の印刷面に対向して接触する位置に、ニトリルゴム(NBR)製の搬送ローラを取り付けた。各インクをインクジェットプリンタに導入し、記録媒体として普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)を用い、ベタ画像を印刷した。繰り返し100枚印刷し、100枚目の印刷物に生じるローラ転写汚れを目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:印刷物に汚れが目立たない。
B:印刷物に汚れを感じる。
C:印刷物が汚れているのがわかる。
インクの臭気を以下の基準で評価した。臭気の評価は、10人のパネルに直接インクを嗅いでもらい、下記基準によって官能評価した。評価結果は10人のパネルの評価結果を平均化したものである。
A:臭気をほとんど感じないレベル。
B:臭気を少し感じるレベル。
C:臭気を感じるレベル。
実施例を通して、R1の側鎖又はR2の側鎖の炭素数が4以上、特に6以上であることで、塩化ビニルチューブの膨潤をより防止することができた。
また、R1の炭素数が5以上、特に8以上であり、R2の炭素数が6以上、特に9以上であることで、塩化ビニルチューブの膨潤をより防止することができた。
また、脂肪酸エステルの1分子中の炭素数が29以下、特に26以下で、ローラ転写汚れをより防止することができた。
また、脂肪酸エステルの1分子中の炭素数が18以上、特に24以上で、塩化ビニルチューブの膨潤をより防止することができ、さらにインクの臭気をより防止することができた。
実施例16は、2種類の脂肪酸エステルを用いた例であり、良好な結果を得ることができた。
実施例17は、脂肪酸エステルと炭化水素溶剤を組み合わせた例であり、炭化水素溶剤の比率が多い例であるが、良好な結果を得ることができた。
比較例2、4の脂肪酸エステルは、R1及びR2に炭素数4以上の側鎖が含まれないものであり、塩化ビニルチューブの膨潤が発生した。
比較例3の脂肪酸エステルは、R2の炭素数が4と少なく、塩化ビニルチューブの膨潤が発生した。
比較例5の脂肪酸エステルは、R1の炭素数が4であり、塩化ビニルチューブの膨潤が発生した。
比較例6及び7の脂肪酸エステルは、1分子中の炭素数が30であり、ローラ転写汚れが発生した。
比較例8は、脂肪酸エステルを用いず、炭化水素溶剤を用いており、塩化ビニルチューブの膨潤が発生した。
実施例及び比較例を通して、脂肪酸エステルの1分子中の炭素数が小さくなると臭気が発生する傾向があることがわかった。また、脂肪酸エステルのR1及びR2の炭素数が小さくなると臭気が発生する傾向があることがわかった。
Claims (6)
- R1及びR2のうち少なくとも一方は、炭素数が6以上である側鎖を有し、炭素数が13以上である分岐アルキル基である、請求項1に記載の油性インクジェットインク。
- R1は、炭素数が8以上であるアルキル基であり、R2は、炭素数が9以上であるアルキル基である、請求項1又は2に記載の油性インクジェットインク。
- 前記脂肪酸エステル系溶剤は、1分子中の炭素数が24以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
- 前記脂肪酸エステル系溶剤は、1分子中の炭素数が26以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
- R1及びR2のうち両方が、炭素数が4以上である側鎖を有する分岐アルキル基である、請求項1から5のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022186761A JP7491983B2 (ja) | 2017-03-30 | 2022-11-22 | 油性インクジェットインク |
Applications Claiming Priority (3)
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