JP7017560B2 - 油性インクジェットインク - Google Patents
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Description
油性インクに用いる顔料の中に染付レーキ顔料がある。染付レーキ顔料は、水溶性染料を不溶化して体質顔料に固着させた顔料であり、染料由来の多様な色相が得られるとともに、耐光性、耐候性及び耐水性にも優れる。
特許文献2(特開2014-19766号公報)では、非水系インクジェットインクにおいて、高濃度かつ高彩度の印刷物を得るために、染付レーキ顔料の1つであるキサンテン系顔料を用いている。
このインクは、染付レーキ顔料の染料化を防止することで、印刷画像が印刷領域から未印刷領域にブリーディングする現象を防止することができる。染付レーキ顔料が染料化すると、記録媒体にインクが塗布される際に、染料化した成分が溶剤とともに記録媒体に浸透して印刷領域から未印刷領域にブリーディングすることがある。さらに、染料化した成分は、記録媒体の繊維に入り込み、顔料自体よりも鮮やかな色で染色して印刷領域と未印刷領域の境目を着色することがある。
一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤は、エステル結合に近い炭素原子に側鎖が結合し、エステル結合近傍が嵩高い分子構造となるため水分子が接近しにくい。これによって、脂肪酸エステル系溶剤の加水分解を抑制することができる。そして、染料化の原因となるアルコールや脂肪酸の生成を抑制し、ブリーディング現象による印刷画質の低下を防止することができる。
染付レーキ顔料としては、塩基性染付レーキ顔料、酸性染付レーキ顔料等を用いることができる。
染付レーキ顔料は、高発色の染料を不溶化した顔料のため、高彩度の印刷物を得ることができる。また、顔料の分散性が良好であるため、より高彩度の印刷物を得ることができるとともに、貯蔵安定性を改善することができる。塩基性染付レーキ顔料は、より分散性に優れ、好ましく用いることができる。
塩基性染付レーキ顔料としては、例えば、キサンテン系染料(ローダミン6G、ローダミン等)、トリフェニルメタン系染料(メチルバイオレット、マラカイトグリーン等)、トリフェニルメタンチアゾール系染料、チアゾール系染料、ジフェニルメタン系染料、アゾメチン系染料等をレーキ化して体質顔料に固着させた顔料を用いることができる。
酸性染付レーキ顔料としては、例えば、ペルシアンオレンジ系染料、ニトロソ系染料、モノアゾ系染料、キノリン系染料、酸性型キサンテン系染料、アントラキノン系染料(アリザリン、マダー等)、インヂゴイド系染料等をレーキ化して体質顔料に固着させた顔料を用いることができる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なかでも、C.I. Pigment RED 81、C.I. Pigment RED 81:4、C.I. Pigment RED 169を好ましく用いることができる。
これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
染付レーキ顔料は、インク全量に対し、通常0.01~20質量%である。インク全量に対する染付レーキ顔料は、印刷濃度の観点から、1質量%以上、さらには5質量%以上が好ましい。また、インク全量に対する染付レーキ顔料は、インク粘度の観点から、15質量%以下、さらには10質量%以下が好ましい。
その他の顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を等が挙げられる。
例えば、印刷画像の濃度及び彩度の観点から、キサンテン系染付レーキ顔料とともに、アゾレーキ系顔料を用いることができる。
併用できるアゾレーキ顔料としては、溶性アゾ顔料であることが好ましく、例えば、C.I.Pigment RED 48:1、C.I.Pigment RED 48:2、C.I.Pigment RED 48:3、C.I.Pigment RED 48:4、C.I.Pigment RED 48:5、C.I.Pigment RED 49、C.I.Pigment RED 49:1、C.I.Pigment RED 49:2、C.I.Pigment RED 49:3、C.I.Pigment RED 52:1、C.I.Pigment RED 52:2、C.I.Pigment RED 53:1、C.I.Pigment RED 54、C.I.Pigment RED 57:1、C.I.Pigment RED 58、C.I.Pigment RED 58:1、C.I.Pigment RED 58:2、C.I.Pigment RED 58:3、C.I.Pigment RED 58:4、C.I.Pigment RED 60:1、C.I.Pigment RED 63、C.I.Pigment RED 63:1、C.I.Pigment RED 63:2、C.I.Pigment RED 63:3、C.I.Pigment RED 64:1、C.I.Pigment RED 68、C.I.Pigment RED 200、C.I.Pigment RED 237、C.I.Pigment RED 239、及びC.I.Pigment RED 247等を挙げることができる。
キサンテン系染付レーキ顔料とアゾレーキ系顔料との質量比は、10:0~3:7が好ましく、10:0~5:5がより好ましい。
顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、ビニルピロリドンと長鎖アルケンとの共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリアミン等が好ましく用いられる。
R2のα位の炭素原子は、エステル結合の酸素原子に結合する炭素原子であり、R2のβ位の炭素原子は、エステル結合の酸素原子に結合する炭素原子から数えて2番目の炭素原子である。
R1及びR2はそれぞれ独立的に、α位の炭素原子及びβ位の炭素原子の一方に側鎖が結合していてもよい。また、R1及びR2はそれぞれ独立的に、α位の炭素原子及びβ位の炭素原子の両方に側鎖が結合していてもよい。R1及びR2はそれぞれ独立的に、α位の炭素原子に1つ又は2つの側鎖が結合していてもよく、β位の炭素原子に1つ又は2つの側鎖が結合していてもよい。
また、R1及びR2において、それぞれエステル結合部に結合する炭素原子から数えて最も炭素数が多くなる炭素鎖が複数存在する場合、側鎖の炭素数が最も多くなるものを主鎖とする。
また、R1及びR2において、それぞれエステル結合部に結合する炭素原子から数えて最も炭素数が多くなる炭素鎖が複数存在し、複数の炭素鎖に含まれる側鎖の炭素数が同じである場合、側鎖の数が最も少なくなるものを主鎖とする。
R1は、直鎖アルキル基である場合、炭素数が1以上であってよく、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上がさらに好ましい。この場合、R1の炭素数は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。
R2は、直鎖アルキル基である場合、炭素数が1以上であってよく、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上がさらに好ましい。この場合、R2の炭素数は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。
脂肪酸エステル系溶剤のR1又はR2が直鎖アルキル基の場合、直鎖アルキル基がある程度の長さを有することで、脂肪酸エステル系溶剤が嵩高くなって加水分解をより防止することができる。
R2は、分岐アルキル基である場合、炭素数が4以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。この場合、R2の炭素数は、28以下が好ましく、20以下がより好ましい。
脂肪酸エステル系溶剤のR1及び/又はR2が分岐アルキル基の場合、主鎖の炭素鎖及び側鎖の炭素鎖がある程度の長さを有することで、脂肪酸エステル系溶剤が嵩高くなって加水分解をより防止することができる。
R1及びR2の全体の炭素数は、互いの主鎖の長さ、側鎖の炭素数、脂肪酸エステル系溶剤全体の炭素数に応じて調節されるものである。
R1のα位の炭素原子及びβ位の炭素原子、並びにR2のα位の炭素原子及びβ位の炭素原子に結合する側鎖の炭素数の合計は4以上が好ましく、6以上がより好ましい。これによって、脂肪酸エステル系溶剤の立体障害によって、脂肪酸エステル系溶剤の加水分解を防止し、分解生成物による染付レーキ顔料の染料化を防止することができる。この炭素数の合計は、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下が一層好ましい。
R1及び/又はR2のα位及び/又はβ位の炭素原子に結合する側鎖の炭素数は、それぞれ独立的に、1又は2以上であってよく、4以上が好ましく、6以上がより好ましい。これによって、脂肪酸エステル系溶剤の加水分解をより防止することができる。この側鎖の炭素数は、特に制限されず、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下が一層好ましい。
好ましくは、エチル基、n-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基であり、より好ましくはn-ブチル基、ヘキシル基である。
また、脂肪酸エステル系溶剤の1分子中の炭素数は、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、24以下がさらに好ましい。高炭素数になると高粘度となることがあるため、脂肪酸エステル系溶剤の炭素数がこの範囲であることで、インクを低粘度化して、吐出性能を改善することができる。
脂肪酸エステル系溶剤は、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ブリーディングを防止する観点から、その他の溶剤による影響を排除するために、一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤は、非水系溶剤全量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、例えば、90質量%以上であってもよく、さらに100質量%であってもよい。
一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤は、インク全量に対し、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上が一層好ましい。これによって、ブリーディングをより防止することができる。
脂肪酸エステル系溶剤は、脂肪酸とアルコールとを反応させて得ることができる。
例えば、分岐アルキル基を導入するために、カルボキシ基に対してα位及びβ位のうち少なくとも一方の炭素原子に側鎖が結合する脂肪酸、ヒドロキシ基に対してα位及びβ位のうち少なくとも一方の炭素原子に側鎖が結合するアルコールを用いることができる。
また、R2に側鎖を導入するために、炭素数3以上の2級アルコール、炭素数4以上の3級アルコールを用いることができる。炭素数3以上の2級アルコールとしては、プロパン-2-オール、ブタン-2-オール、ペンタン-2-オール等が挙げられる。炭素数4以上の3級アルコールとしては、tert-ブチルアルコール、2-メチルブタン-2-オール、2-メチルペンタン-2-オール等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤の原料となる脂肪酸、アルコールは、上記した脂肪酸エステル系溶剤の例示の組み合わせを挙げることができる。
脂肪酸とアルコールとは、モル比で1:1で反応させることが好ましい。
反応に際して、濃硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒を適量で用いてもよい。
その他の非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用できる。なお、一実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができる。市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN-10、カクタスノルマルパラフィンN-11、カクタスノルマルパラフィンN-12、カクタスノルマルパラフィンN-13、カクタスノルマルパラフィンN-14、カクタスノルマルパラフィンN-15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN-16、テクリーンN-20、テクリーンN-22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製);モレスコホワイトP-40、モレスコホワイトP-60、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-80、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-120、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-200、モレスコホワイトP-260、モレスコホワイトP-350P(いずれも株式会社MORESCO製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが一層好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
脂肪酸エステル系溶剤としては、例えば、全体の炭素数が12以上、好ましくは16~30であって、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸ヘキシル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、大豆油メチル、トール油メチル等の直鎖アルキル基を有する溶剤;イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸イソプロピル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸イソオクチル、大豆油イソブチル、トール油イソブチル、パルミチン酸イソステアリル(炭素数34)等のα位及びβ位に結合する側鎖がないか、又はその側鎖の炭素数の合計が3以下である溶剤等が挙げられる。
また、一般的に市販されている脂肪酸エステル系溶剤の中で、イソノナン酸イソデシル(炭素数19)、イソノナン酸イソトリデシル(炭素数22)、イソステアリン酸イソプロピル(炭素数21)等は、α位及びβ位に結合する側鎖の炭素数の合計が3以下である脂肪酸エステル系溶剤である。
高級脂肪酸系溶剤としては、例えば、ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14~20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
一般式(1)で表される脂肪酸エステル系溶剤の他に、その他の非水系溶剤を用いる場合は、高沸点溶剤を用いることが好ましい。高沸点溶剤としては、蒸留初留点が200℃以上である非極性溶剤、沸点が250℃以上の極性溶剤、またはこれらの組み合わせを用いることが好ましい。
印刷物の彩度の観点から、石油系炭化水素溶剤等の非極性溶剤は、インク全量に対し、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。さらに、インクに非極性溶剤を配合しなくてもよい。
一実施形態によるインクは、染付レーキ顔料の染料化を防止しながら、低粘性でインクジェットノズルからの吐出に適するため、常温(23℃)付近で適性に吐出することが可能である。
脂肪酸エステルの処方を表1に示す。
表1に示す処方にしたがって、脂肪酸とアルコールを四つ口フラスコに入れて混合撹拌し均一な溶液を得た。四つ口フラスコにディーンスターク装置を装着し、仕込んだ原材料が反応して水が発生したら取り除けるようにした。均一な溶液が入っている四つ口フラスコにさらに触媒として硫酸を適量加え、系全体を加熱した。加熱温度は脂肪酸及びアルコールの種類に応じて80℃~230℃に設定した。加熱反応時間は1~48時間に設定した。反応後、未反応の原材料や不純物を取り除くため、得られた溶液を減圧蒸留し、脂肪酸エステルを得た。
脂肪酸とアルコールとは、モル比で1:1となるように混合した。
脂肪酸及びアルコールは、東京化成工業株式会社、sasol社、KHネオケム株式会社から入手することができる。
インクの処方を表2、表3に示す。脂肪酸エステルの1分子中の炭素数、R1側のα位及びβ位の炭素原子に結合する側鎖の炭素数、R2側のα位及びβ位の炭素原子に結合する側鎖の炭素数を各表に示す。R1及びR2においてα位及びβ位の炭素原子に側鎖が結合していない場合は、「-」を付している。
各表に示す配合量にしたがって、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を混合し、ビーズミル「ダイノーミルKDL-A」(株式会社シンマルエンタープライゼス製)により滞留時間15分間の条件で、十分に顔料を分散した。続いて、メンブレンフィルターで粗大粒子を除去し、インクを得た。
(顔料)
染付レーキ顔料「P.R.81:1」:BASFジャパン株式会社製「Fanal Pink D4830」。
染付レーキ顔料「P.R.169」:BASFジャパン株式会社製「Fanal Pink D4810」。
キナクリドン顔料「P.R.122」:DIC株式会社製「FASTOGEN SUPER MAGENTA RG」。
染付レーキ顔料「P.B.1」:BASFジャパン株式会社製「Fanal Blue D6390」。
(顔料分散剤)
ソルスパース19000:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース19000」、有効成分100質量%。
ソルスパース13940:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940」、有効成分40質量%。有効成分量を表中のカッコ内に示す。
(炭化水素溶剤)
非極性溶剤「石油系炭化水素溶剤」:株式会社MORESCO製「商品名モレスコホワイトP-60」。
上記実施例及び比較例のインクについて、以下の方法により評価を行った。これらの評価結果を表2、表3に示す。
各インクをライン式インクジェットプリンタ「オルフィスEX9050」(理想科学工業株式会社製)に装填し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm×副走査方向260mmのベタ画像を印刷することにより、印刷物を得た。 印刷一日後、印刷物の印刷面の彩度を、分光測色計「exactアドバンス」(X-rite社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。表2に示すインクは下記マゼンタインクの評価基準によって評価し、表3に示すインクは下記シアンインクの評価基準によって評価した。
A:印刷物の彩度が60以上。
B:印刷物の彩度が彩度60未満。
シアンインクの評価基準:
A:印刷物の彩度65以上。
B:印刷物の彩度65未満。
印刷物の彩度と同様にして印刷物を得た。
印刷物の印刷面の印刷領域と未印刷領域の境目を顕微鏡で観察し、境目のにじみを以下の基準で評価した。インクに含まれる顔料が染料化することで、印刷面の境目に滲みが観察される。
S:印刷面の境目に滲みが観察されなかった。
A:印刷面の境目に滲みが観察された。
B:印刷面の境目が著しく滲んだ。
各インクをライン式インクジェットプリンタ「オルフィスEX9050」(理想科学工業株式会社製)に装填し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、100枚連続してベタ画像を片面印刷し、印刷物を得た。印刷条件は、上記印刷物の彩度の評価と同じとした。
インクジェットノズルからのインクの不吐出は、印刷物に白いスジとなって非印字部分が発生することで確認することができる。100枚の印刷物の中に、この白いスジが発生するか、または発生した本数を観察した。100枚の印刷物に観察された白いスジの合計数から吐出性能を評価した。評価基準を以下に示す。
S:不吐出による白抜けが0本。
A:不吐出による白抜けが1~5本。
B:不吐出による白抜けが6~10本。
C:不吐出による白抜けが10本以上。
各実施例を通して、脂肪酸エステル系溶剤のR1及び/又はR2のα位及び/またはβ位の炭素原子に、炭素数が4以上の側鎖が結合していることで、ブリーディングがより防止されることがわかる。
また、脂肪酸エステル系溶剤の1分子中の炭素数が24以下であることで、吐出性能がより改善されることがわかる。
比較例2及び5では、脂肪酸エステル系溶剤のR1及びR2のα位及びβ位の側鎖の炭素数の合計がそれぞれ2及び1であり、ブリーディングが発生した。
比較例3は、脂肪酸エステル系溶剤を用いない例であり、印刷物の彩度が低下した。
比較例4は、染付レーキ顔料を用いない例であり、印刷物の彩度が低下した。
実施例8及び比較例5は、シアンインクを用いた例であり、実施例8で良好な結果が得られた。
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