JP2024048809A - 油性インクジェットインク - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止する油性インクジェットインクを提供する。【解決手段】色材、及び非水系溶剤を含み、非水系溶剤は、下記一般式(1)によって表されるトリエステル化合物と、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のうち少なくとも一方とを含む、油性インクジェットインクである。下記一般式(1)において、R1は炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R2は単結合又は炭素数1のアルキル基であり、R3は水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、複数のR1は全て同一でも一部又は全て異なってもよい。TIFF2024048809000006.tif41138【選択図】なし

Description

本発明は、油性インクジェットインクに関する。
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なノズルから液滴として噴射し、ノズルに対向して置かれた基材に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録方式に用いられるインクとして、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)とともに、非水系溶剤を主溶媒として含有する、いわゆる非水系インクが知られている。非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性あるいは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。ソルベントインクは主に有機溶剤の蒸発によって基材上で乾燥するのに対して、油性インクは基材への浸透が主となっている。
特許文献1(特開2014-15491号公報)には、顔料と、非水系溶剤と、非水溶性樹脂と、水溶性樹脂とを含む非水系顔料インクであって、非水溶性樹脂がアクリル系ポリマーであり、水溶性樹脂がポリエチレンイミンである非水系顔料インクが提案されている。このインクは低いインク粘度を実現し貯蔵安定性にも優れながら、裏抜けを抑制することができ、高い印刷濃度を実現することが可能という利点を有している。このインクはさらにサテライトの発生を抑制するという利点も有している。また、特許文献2(特開2015-089933号公報)には、省電力化、サテライト抑制、及び印刷濃度向上を維持しつつ、ノズルプレートへの濡れ性を抑制して吐出安定性を確保し、さらにアミン臭を低減し得る非水系インクとして、アミノ基が尿素化された官能基を含む水溶性樹脂を含む非水系インクが提案されている。
また、特許文献3(特開2012-219202号公報)には、良好な粘度を備えつつ、光沢性に優れた画像を記録できるインクジェット用非水系インク組成物として、光輝性顔料と、有機溶剤とを含み、さらにトリアセチン、プロピオニン及びトリブチリンから選択される少なくとも1種を含むインクジェット用非水系インク組成物が提案されている。
特開2014-015491号公報 特開2015-089933号公報 特開2012-219202号公報
油性インクジェットインクによって画像形成された印刷物を、ポリプロピレン(PP)製等のクリアファイルに挟み込み保管すると、クリアファイルが反り返って変形する問題がある。この一因としては、クリアファイルが印刷面と接すると、インク成分によってクリアファイルの片面が膨潤するためと考えられる。このように、印刷面が樹脂製品に接触すると樹脂製品が変質することがあり、フィルム状の樹脂製品では変形が引き起こされることもある。このような印刷物による樹脂製品への影響はインク成分の中でも溶剤の影響を大きく受けることがわかってきている。
また、高極性溶剤が多く含まれるインクで印刷された印刷物と、トナーを使用した電子写真方式で印刷した印刷物とを重ねて置いておくと、高極性溶剤がトナーを溶解してしまい、互いの印刷物が貼りついてしまうことがある。
特許文献1及び特許文献2には、非水系インクのインクジェット吐出において非水系インクの低粘度化を図ることでサテライトの発生を抑制する技術が開示される。しかし、特許文献1及び特許文献2に開示の非水系インクは、その溶剤構成がポリプロピレン(PP)等のプラスチック材料を膨潤させやすいことから、印刷物によるクリアファイルの変形が発生する問題がある。また、溶剤構成の側面からサテライトの発生についても改善の余地がさらにある。
特許文献3に開示の技術は、印刷物上に金属光沢を有する塗膜を形成する方法に関する。特許文献3には、光輝性顔料の被記録媒体への定着性を得るために樹脂が添加されること、定着性を向上させるために有機溶剤としてアルキレングリコールエーテル類、及びラクトン類が用いられることが開示される。特許文献3の開示によれば、トリアセチン、トリプロピオニン、及びトリブチリンは、光輝性インクの粘度を調整する成分として非水系インクに配合される。しかし、特許文献3に開示の有機溶剤と、トリアセチン、トリプロピオニン、及びトリブチリンとの組み合わせでは、非水系インクの極性が高くなることで、トナー溶解性が高まり、印刷物においてトナー転写が発生する問題がある。
本発明の一目的としては、印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止することである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)色材、及び非水系溶剤を含み、前記非水系溶剤は、下記一般式(1)によって表されるトリエステル化合物と、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のうち少なくとも一方とを含む、油性インクジェットインク。
Figure 2024048809000001
(一般式(1)において、Rは炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合又は炭素数1のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい。)
(2)前記一般式(1)において、Rは炭素数2~3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合であり、Rは水素原子であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい、(1)に記載の油性インクジェットインク。
(3)前記トリエステル化合物は、非水系溶剤の合計質量に対し、30質量%以上である、(1)又は(2)に記載の油性インクジェットインク。
(4)前記トリエステル化合物は、非水系溶剤の合計質量に対し、45質量%以上である、(1)又は(2)に記載の油性インクジェットインク。
本発明の一実施形態によれば、印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止することができる。
以下、本発明を一実施形態を用いて説明する。以下の実施形態における例示が本発明を限定することはない。
一実施形態による油性インクジェットインク(以下、単に油性インク又はインクと称することがある。)としては、色材、及び非水系溶剤を含み、非水系溶剤は、下記一般式(1)によって表されるトリエステル化合物と、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のうち少なくとも一方とを含むことを特徴とする。
Figure 2024048809000002
(一般式(1)において、Rは炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合又は炭素数1のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい。)
この油性インクジェットインクによれば、印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止することができる。
ポリプロピレン(PP)製のクリアファイルに印刷物を挟み込んで保管する場合に、クリアファイルの内面に印刷物表面のインクが接触し、クリアファイルの内面がインク成分の影響を受けて膨潤すると、クリアファイルが外側に反り返るように変形する現象がある。クリアファイルのように薄膜の樹脂製品に対しても同様に変形が発生することがある。また、強度のある樹脂製品に対しては表面が変質する可能性があり、例えば耐候性、耐久性等が低下することがある。
一方、トナーを用いて形成される印刷物は、トナーが高極性を示すことが多いことから、トナー画像が形成される印刷物が高極性成分と接触すると、トナー画像が溶解し相手材に転写することがある。油性インクによって油性インク画像が形成された印刷物に高極性成分が残留する場合では、この油性インク画像とトナー画像とが接触すると、トナーが溶解しやすくなり、油性インク画像側にトナー画像が転写されることがある。この現象をトナー転写とも称する。トナー画像が転写されない場合でも、油性インク画像の高極性成分によってトナー画像が変質し画質が低下することがある。
また、インクジェット記録方式では、ノズルから吐出されたインクの液滴は尾を引く形で飛翔し、この飛翔する液滴の先頭部分と後尾部分との間に時間差や速度差が生じる。このため、先行する主たる液滴に付随して、不要な微小液滴(サテライト)が発生することがある。ノズルからインク液滴が吐出され基材に着弾する際に、インクの主滴からずれてサテライトが基材に着弾すると印刷面汚れの原因になる。また、サテライトは、ミストとなってインクジェットヘッドのノズル面と搬送経路との間の空間を浮遊し、基材のインク液滴からずれた箇所に付着して印刷品質を低下させたり、装置内に付着して装置を汚したりすることがある。
一般式(1)で表されるトリエステル化合物は、極性基を複数有することから、表面張力が高い溶剤である。一般式(1)で表されるトリエステル化合物が油性インクに含まれることで、油性インクの表面張力を高め、インクジェット吐出においてサテライトの発生を抑制し、印刷面汚れを防止することができる。
また、一般式(1)で表されるトリエステル化合物は高い極性を示すことから、油性インクに含まれることで油性インクの極性を高めることができる。これによって、油性インクによって印刷された印刷物からクリアファイルへのインク成分の浸透を抑制することができ、クリアファイルの変形を抑制することができる。
一方で、油性インクに一般式(1)で表されるトリエステル化合物が含まれると、油性インクの極性が高まることでトナー溶解性が高まり、印刷物においてトナー転写が発生しやすくなる。トナー転写の現象に対して、一般式(1)で表されるトリエステル化合物と、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のうち少なくとも一方とを組み合わせることで、油性インクによって作製された印刷物においてトナー転写を防止することができる。この場合においても、上記したサテライトの発生を防止し、クリアファイルの変形を防止することができる。
油性インクの非水系溶剤として石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤をそれぞれ単独で用いる場合では、印刷物によってクリアファイルが変形しやすい傾向があり、油性インクの表面張力が低くなりサテライトが発生しやすい傾向がある。一方で、一般式(1)で表されるトリエステル化合物と、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のうち少なくとも一方とを組み合わせることで、油性インクにおいて混合溶剤として高極性を維持してクリアファイル変形を抑制することができる。また、一般式(1)で表されるトリエステル化合物は、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のいずれとも溶剤混和性が良好であり、インクジェット吐出においてサテライトの発生を抑制し、印刷面汚れを防止することができる。また、これらの混合溶剤は、油性インクを適正な粘度範囲に調節可能であり、インクジェット吐出に適した油性インクを提供することができる。
油性インクにおいて、非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、非水系溶剤としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
油性インクは、一般式(1)で表されるトリエステル化合物を含むことができる。このトリエステル化合物は、23℃において液体状であることが好ましい。また、このトリエステルは、非水溶性を示すことが好ましく、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しないことがより好ましい。
一般式(1)において、Rは炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合又は炭素数1のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい。炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
の炭素数は1~3が好ましく、油性インクの粘度上昇を抑制する観点から、2又は3がより好ましい。Rはメチル基又はプロピル基であることがさらに好ましい。一般式(1)において、3個のRは、全て同一でも一部又は全て異なってもよいが、全て同一であることが好ましい。Rは単結合又は炭素数1のアルキル基であることが好ましく、油性インクの粘度上昇を抑制する観点から、単結合であることがより好ましい。Rは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、油性インクの粘度上昇を抑制する観点から、水素原子であることがより好ましい。
トリエステル化合物のより好ましい一例としては、一般式(1)において、Rは炭素数2又は3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合又は炭素数1のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい。トリエステル化合物のさらに好ましい一例としては、一般式(1)において、Rは炭素数2又は3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合であり、Rは水素原子であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい。
一般式(1)によって表されるトリエステル化合物は、例えば、3価アルコールと脂肪酸とを反応させて得ることができる。3価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。脂肪酸としては、炭素数が2~4の飽和脂肪酸等が挙げられる。
一般式(1)によって表されるトリエステル化合物の具体例としては、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、グリセロールトリイソブチレート、トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパントリプロピオネート、トリメチロールプロパントリブチレート、トリメチロールプロパントリイソブチレート等が挙げられる。
油性インクは、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のうち少なくとも一方を含むことができる。これらの非水系溶剤は、23℃において液体状であることが好ましい。また、これらの非水系溶剤は、非水溶性を示すことが好ましく、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しないことがより好ましい。
石油系炭化水素溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができ、市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN-10、カクタスノルマルパラフィンN-11、カクタスノルマルパラフィンN-12D、カクタスノルマルパラフィンN-13、カクタスノルマルパラフィンN-14、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN16、テクリーンN20、テクリーンN22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもENEOS株式会社製の商品名);アイソパーG、アイソパーH BHT、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製の商品名);モレスコホワイトP-60、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-80、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-120、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-200、モレスコホワイトP-260、モレスコホワイトP-350P(いずれも株式会社MORESCO製の商品名)等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製の商品名)等を好ましく挙げることができる。石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが一層好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤としては、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ノナン酸メチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2-オクチルデシル、大豆油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸イソブチルエステル、トール油脂肪酸メチルエステル、トール油脂肪酸イソブチルエステル等が挙げられる。炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
脂肪酸モノエステル系溶剤は、油性インクの粘度上昇を抑制する観点から、1分子中の炭素数が40以下が好ましく、30以下がより好ましく、24以下がさらに好ましく、20以下が一層好ましい。脂肪酸モノエステル系溶剤は、トナー溶解性を低減する観点から、1分子中の炭素数が10以上が好ましい。脂肪酸モノエステル系溶剤は、油性インクの溶剤揮発性を低減する観点から、1分子中の炭素数が12以上がより好ましく、16以上がさらに好ましい。
油性インクにおいて、一般式(1)で表されるトリエステル化合物は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤はそれぞれ1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤は、少なくとも一方を用いればよく、両方を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)によって表されるトリエステル化合物、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤は、それぞれ非水系溶剤の全質量に対し1~90質量%であってよく、10~80質量%であってよく、又は20~70質量%であってよい。一般式(1)によって表されるトリエステル化合物、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の合計質量は、非水系溶剤の全質量に対し10~100質量%であってよく、30~90質量%であってよく、又は50~80質量%であってよい。
一般式(1)によって表されるトリエステル化合物は、非水系溶剤の全質量に対し、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が一層好ましい。これによって、クリアファイル変形をより防止することができる。また、インク全体が高い表面張力を示すようになり、サテライトを起因とする印刷面汚れをより防止することができる。
一般式(1)によって表されるトリエステル化合物は、非水系溶剤の全質量に対し、90質量%以下が好ましく、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。高極性を示すトリエステル化合物の含有量が制限される範囲で、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の少なくとも一方を組み合わせることで、トナー溶解性を抑制し、トナー転写をより防止することができる。
例えば、一般式(1)によって表されるトリエステル化合物は、非水系溶剤の全質量に対し、30~90質量%が好ましく、40~85質量%がより好ましく、45~80質量%がより好ましく、50~75質量%がさらに好ましい。
石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の合計質量は、非水系溶剤の合計質量に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。この範囲で、非水系溶剤の低極性成分の含有比率を高め、トナー溶解性を低下させトナー転写をより防止することができる。
石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の合計質量は、非水系溶剤の合計質量に対し、70質量%以下が好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。これによって、非水系溶剤において低極性成分の含有比率を低減し、クリアファイル変形をより防止することができる。また、油性インクの表面張力を高め、サテライトによる印刷面汚れをより防止することができる。
例えば、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の合計質量は、非水系溶剤の合計質量に対し、5~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
なお、油性インクに石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の一方のみが含まれる場合は、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤の一方の含有質量が上記した範囲を満たすことが好ましい。
油性インクは、一般式(1)によって表されるトリエステル化合物、石油系炭化水素溶剤、及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤に加えて、本発明の効果を損なわない範囲でその他の非水系溶剤を含んでもよい。その他の非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用できる。なお、一実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。その他の非水系溶剤としては、例えば、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤等が挙げられる。また、油性インクには、炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤以外のその他の脂肪酸エステル系溶剤が含まれてもよい。
高級アルコール系溶剤としては、例えば、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、テトラデカノール、デシルテトラデカノール、1-オクタデカノール等が挙げられる。高級アルコール系溶剤の1分子中の炭素数は6以上が好ましく、より好ましくは12~20である。高級脂肪酸系溶剤としては、例えば、ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。高級脂肪酸系溶剤の1分子中の炭素数は12以上が好ましく、より好ましくは14~20である。
高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
さらに、油性インクは、本発明の効果を損なわない範囲で、シリコーンオイルが含まれてもよい。その他のシリコーンオイルとしては、例えば、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ドコサメチルデカシロキサン等の直鎖ジメチルシリコーンオイル、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン等の分岐ジメチルシリコーンオイル等の鎖状シリコーンオイル;デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン、オクタデカメチルシクロノナシロキサン等の環状ジメチルシリコーンオイル等の環状シリコーンオイル等が挙げられる。シリコーンオイルとして変性シリコーンオイルを用いてもよい。変性シリコーンオイルとしては、例えば、アルキル変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルやアラルキル変性シリコーンオイル等のアリール変性シリコーンオイル、カルボン酸エステル変性シリコーンオイル、アルキレン変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
その他の非水系溶剤を用いる場合は、一般式(1)によって表されるトリエステル化合物、石油系炭化水素溶剤、及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤と単一相を形成し得る非水系溶剤が好ましい。なお、油性インクの非水系溶剤は、一般式(1)によって表されるトリエステル化合物、石油系炭化水素溶剤、及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤以外の非水系溶剤を含まなくてもよい。
油性インクの全質量に対し、非水系溶剤の合計質量は50~98質量%、60~95質量%、又は70~90質量%であってよい。
インクは、色材として顔料、染料、またはこれらの組み合わせを含むことができる。顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料等の金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料の平均粒子径としては、吐出安定性と保存安定性の観点から、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の平均値として、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下であり、一層好ましくは100nm以下である。顔料は、インク全量に対し、通常0.01~20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から、1~15質量%であることが好ましく、4~10質量%であることが一層好ましい。
インク中で顔料を安定して分散させるために、顔料とともに顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、ビニルピロリドンと長鎖アルケンとの共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリアミン等が好ましく用いられる。
顔料分散剤の市販品例としては、例えば、アイ・エス・ピー・ジャパン株式会社製「アンタロンV216(ビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体)、V220(ビニルピロリドン・エイコセン共重合体)」(いずれも商品名);日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、16000、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、24000、28000」(いずれも商品名);BASFジャパン株式会社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名);楠本化成株式会社製「ディスパロンKS-860、KS-873N4(ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名);第一工業製薬株式会社製「ディスコール202、206、OA-202、OA-600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名);ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK2155、9077」(いずれも商品名);クローダジャパン株式会社製「HypermerKD2、KD3、KD11、KD12」(いずれも商品名);日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000SC、24000GR、32000、33000、3900等」(いずれも商品名)等が挙げられる。
顔料分散剤は、上記顔料を十分にインク中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。例えば、質量比で、顔料1に対し顔料分散剤を0.1~5で配合することができ、好ましくは0.3~1である。また、顔料分散剤は、インク全量に対し、0.01~10質量%で配合することができ、好ましくは0.1~8質量%であり、より好ましくは1~8質量%である。
染料としては、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができる。油性インクでは、染料は、インクの非水系溶剤に親和性を示すことで、貯蔵安定性がより良好となるため、油溶性染料を用いることが好ましい。油溶性染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等を挙げることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。染料は、インク全量に対し、通常0.01~20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から、1~15質量%であることが好ましく、5~10質量%であることが一層好ましい。
上記各成分に加えて、油性インクには、本発明の効果を損なわない限り、各種添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。なお、油性インクは、溶剤が基材に浸透し乾燥するものであるため、定着樹脂は含まれなくてよい。
油性インクの製造方法は特に限定されないが、一方法としては、各成分を一括ないし分割して混合及び撹拌してインクを作製することができる。具体的には、ビーズミル等の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより作製することができる。
油性インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5~30mPa・sであることが好ましく、5~15mPa・sであることがより好ましく、9~13mPa・sであることが、一層好ましい。本開示において、インク粘度は、回転式粘度計を用いて23℃において測定した数値である。粘度測定装置には、例えば、株式会社アントンパール・ジャパン製「レオメーターMCR302」を用いることができる。
インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから一実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を基材に付着させるようにすることが好ましい。
一実施形態において、基材は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、浸透性基材が好ましく、なかでも普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm~数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
また、コート紙としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙等のインクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。各表において「-」は未添加を表す。
「インクの作製」
インク処方を表1及び表2に示す。表中に示す処方にしたがって、顔料、分散剤、及び非水系溶剤を混合し、ビーズミル「ダイノーミルKDL-A」(株式会社シンマルエンタープライゼス製)により十分に顔料を分散した。続いて、メンブレンフィルターで粗大粒子を除去し、インクを得た。
表中において非水系溶剤(1)は石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤であり、非水系溶剤(2)はトリエステル化合物、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤以外の非水系溶剤である。
「トリエステルの合成」
トリメチロールプロパントリアセテートを以下の手順で合成した。原料となる3価のアルコールとしてトリメチロールプロパンとカルボン酸として酢酸とともに、溶剤としてシクロヘキサンと、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物とを四つ口フラスコに入れて混合撹拌し均一な溶液を得た。四つ口フラスコにディーンスターク装置を装着し、仕込んだ原材料が反応して水が発生したら取り除けるようにした。均一な溶液が入っている四つ口フラスコを加熱し合成を始めた。加熱温度は溶媒が還流する110℃に設定した。加熱反応時間は12時間に設定した。反応後、未反応の原材料や不純物を取り除くため、得られた溶液を減圧蒸留し、トリエステルを得た。3価アルコールとカルボン酸は、モル比で1:3なるように混合した。
用いた成分は以下の通りである。
カーボンブラック:三菱ケミカル株式会社製「MA77」(商品名)。
銅フタロシアニン:DIC株式会社製「FASTOGEN Blue LA5380」(商品名)。
分散剤 Solsperse 33000(商品名):日本ルーブリゾール株式会社製、有効成分100質量%。
トリプロピオニン、トリブチリン、トリアセチン:東京化成工業株式会社製。
トリメチロールプロパントリアセテート:上記手順により合成したもの。
イソノナン酸2-エチルヘキシル:高級アルコール工業株式会社製。
ISOPAR M(商品名):エクソンモービル社製。
ノナン酸メチル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、酢酸ブチル:東京化成工業株式会社製。
「評価」
上記インクについて、以下の方法により評価を行った。これらの評価結果を各表に併せて示す。
(クリアファイル変形の防止)
クリアファイル変形の評価は、1枚の印刷物をPP(ポリプロピレン)製クリアファイルに挟み、室温で放置し、1週間放置後に、クリアファイルの変形量を確認して以下の基準で評価した。クリアファイルの1枚のシートの厚さは0.2mmであった。クリアファイルの変形は、印刷物を挟み込んだクリアファイルを平面上に平置きした状態で、クリアファイルの上側の1枚が外側に反り返るようにして観察される。クリアファイルの変形量は、平面上から、クリアファイルの上側の1枚が外側に反り返った状態での最大高さまでの距離とする。印刷物は、ライン式インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)にインクを装填し、普通紙「理想用紙マルチ」(理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm×副走査方向260mmのベタ画像を片面印刷することにより作製した。
S:クリアファイルの変形量が1cm未満である。
A:クリアファイルの変形量が1cm以上3cm未満である。
B:クリアファイルの変形量が3cm以上5cm未満である。
C:クリアファイルの変形量が5cm以上である。
(トナー転写の防止)
キヤノン株式会社製のレーザープリンター「SateraLBP9100C」を使用し、普通紙「理想用紙マルチ」(理想科学工業株式会社製)に対し黒色のベタ画像を形成したトナー画像の印刷物を作製した。トナー画像の形成後10分後に、印刷物のベタ画像の上に、上記実施例及び比較例で得られたインク10μLを垂らし、その上に普通紙「理想用紙マルチ」を重ねた。この上にPETフィルムを載せ、さらに普通紙「理想用紙マルチ」に均等に圧力がかかるように2kgの重しをのせ、この状態で、23℃環境で3日間放置し、放置後の用紙へのトナーの貼り付き度合いを調べ、以下の基準で評価した。
A:はがす際に貼り付いてる感触がなく、普通紙へのトナーの貼り付きがない。
B:はがす際に貼り付いてる感触はあるが、普通紙へのトナーの貼り付きが目視で確認されない。
C:普通紙へのトナーの貼り付きが確認される。
(印刷面汚れの防止)
得られたインクをライン式インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)に装填し、普通紙「理想用紙マルチ」及びマット紙「理想用紙マットIJ(W)」(理想科学工業株式会社製)に主滴が1ラインに並ぶようになるように印字を行った。得られた画像のサテライトによる印面汚れを目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:マット紙に印刷した場合でも、印刷面汚れはほとんど確認されず、画質が良好である。普通紙でも印刷面汚れは観察されない。
A:普通紙では印刷面汚れはほとんど確認されず、画質が良好である。マット紙では若干の印刷面汚れが観察される。
B:普通紙及びマット紙の両方で印刷面汚れが観察される。
(吐出性)
吐出性の評価では、ライン式インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)を用いて、普通紙「理想用紙マルチ」(理想科学工業株式会社製)に、100枚連続してベタ画像を片面印刷し、印刷物を得た。印刷条件は、上記クリアファイル変形の評価と同じである。インクジェットノズルからのインクの不吐出は、印刷物に白いスジとなって非印字部分が発生することで確認することができる。100枚の印刷物の中に、この白いスジが発生するか、または発生した本数を観察した。100枚の印刷物に観察された白いスジの合計数から吐出性を評価した。評価基準を以下に示す。
S:白いスジが確認されない。
A:白いスジが1~2本である。
B:白いスジが3~9本である。
C:白いスジが10本以上。
Figure 2024048809000003
Figure 2024048809000004
各表に示す通り、各実施例のインクでは、クリアファイル変形を防止し、トナー転写を防止し、印刷面汚れを防止することができた。また、各実施例のインクでは、吐出性が良好であった。また、各実施例のインクは、表中に不記載であるが、インクジェットインクに適した粘度を示し、印刷濃度を含め印刷物の画質が良好であった。
実施例1~6を通して、一般式(1)においてRの炭素数が2又は3であると吐出性がより良好であることがわかる。また、実施例1~6を通して、一般式(1)においてRが単結合であり、Rが水素結合であると吐出性がより良好であることがわかる。実施例1~8を通して、トリエステル化合物の非水系溶剤全質量に対する含有比率が30質量%以上であると、クリアファイル変形がより防止されことがわかる。さらに、実施例1~8を通して、トリエステル化合物の非水系溶剤全質量に対する含有比率が45質量%以上であると、クリアファイル変形がより防止され、印刷面汚れがより防止されることがわかる。実施例9及び10から、トリエステル化合物と併用する溶剤として、各種の石油系炭化水素溶剤及び脂肪酸モノエステル系溶剤を用いることが可能であることがわかる。1分子中の炭素数が10以上である脂肪酸モノエステル系溶剤は、トリエステル化合物と併用して用いる場合においても、サテライトの発生が抑制され、印刷面汚れをより防止することができる。
比較例1は、非水系溶剤としてイソノナン酸2-エチルヘキシルを単独で用いている例であり、非水系溶剤の極性が低く、表面張力が低いため、クリアファイル変形及び印刷面汚れが悪化した。比較例2は、非水系溶剤として石油系炭化水素溶剤を単独で用いている例であり、非水系溶剤の極性が低く、表面張力が低いため、クリアファイル変形及び印刷面汚れが悪化した。比較例3は、非水系溶剤としてトリエステル化合物を単独で用いている例であり、トナー転写が悪化した。比較例4は、非水系溶剤としてトリエステル化合物とエーテル系溶剤を併用した例であり、比較例5は、非水系溶剤としてトリエステル化合物と酢酸ブチルを併用した例であり、それぞれトナー転写が悪化した。

Claims (4)

  1. 色材、及び非水系溶剤を含み、前記非水系溶剤は、下記一般式(1)によって表されるトリエステル化合物と、石油系炭化水素溶剤及び炭素数が10~40である脂肪酸モノエステル系溶剤のうち少なくとも一方とを含む、油性インクジェットインク。
    Figure 2024048809000005

    (一般式(1)において、Rは炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合又は炭素数1のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい。)
  2. 前記一般式(1)において、Rは炭素数2~3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Rは単結合であり、Rは水素原子であり、複数のRは全て同一でも一部又は全て異なってもよい、請求項1に記載の油性インクジェットインク。
  3. 前記トリエステル化合物は、非水系溶剤の合計質量に対し、30質量%以上である、請求項1又は2に記載の油性インクジェットインク。
  4. 前記トリエステル化合物は、非水系溶剤の合計質量に対し、45質量%以上である、請求項1又は2に記載の油性インクジェットインク。
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