JPWO2018168641A1 - 接水部材の洗浄液、洗浄剤および洗浄方法 - Google Patents

接水部材の洗浄液、洗浄剤および洗浄方法 Download PDF

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Abstract

遊離塩素と結合塩素化合物とを含む接水部材の洗浄液および洗浄剤であって、全塩素(Cl)と結合塩素化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が1以上であり、該洗浄液はpH9以上であり、該洗浄剤はpH12以上である。なお、該洗浄液は該洗浄剤を水で希釈することによって調製することができる。また、この洗浄液を用いて接水部材を洗浄する接水部材の洗浄方法。

Description

本発明は、UF膜(限外濾過膜)やMF膜(精密濾過膜)、濾過器、配管、圧力計、流量計などの接水部材を洗浄する洗浄液、洗浄剤及び洗浄方法に関する。
UF膜やMF膜を用いる膜分離装置(除濁膜装置)においては、分離膜に汚れが付着するため、通常30秒〜60分ごとに間欠的に洗浄流体(水及び/又は気体)を供給して膜の物理洗浄を行う。
この物理洗浄においても除去できない汚れが膜に堆積するため、次第に膜の濾過能力が低下する。
そのため、除濁膜装置においては定期的あるいは非定期的に薬品を用いた薬品洗浄が必要となる。
特許文献1には、酸化劣化しやすい膜を、結合塩素剤によって洗浄することが記載されている。特許文献1には、洗浄剤の配合について、クロラミン化合物濃度0.005〜0.5M、有効塩素(Cl)とクロラミン化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が0.1〜1との記載がある。従って、特許文献1の洗浄方法では、膜は、遊離塩素がほとんど存在しない条件で洗浄される。
特許文献2には、Cl/Nが1より大きい結合塩素剤を用いて、冷却水系、排水処理水系、紙パルプ水系の殺菌を行うことが記載されている。特許文献2には、殺菌処理時の遊離塩素濃度は0.05mg/L以上と記載されている。特許文献2には、選択性透過膜の洗浄剤の用途についての記載はない。
特開2015−97991号公報 特開2009−195823号公報
本発明は、洗浄効果の高い洗浄液、洗浄剤及び洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明は、次を要旨とする。
本発明の接水部材の洗浄液は、遊離塩素とクロラミン化合物とを含む洗浄液であって、全塩素とクロラミン化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が1以上であり、pH9以上である。
本発明の洗浄液の一態様では、前記クロラミン化合物として結合塩素型スルファミン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種のスルファミン酸系化合物を含む。
本発明の洗浄液の一態様では、前記接水部材がMF膜、UF膜、濾過器、配管、圧力計及び流量計の少なくとも一つである。
本発明の洗浄液の一態様では、洗浄液のpHは11以上である。
本発明の洗浄液の一態様では、クロラミン化合物と塩素の結合型塩素濃度が100mg/L以上、遊離塩素濃度が20mg/L以上である。
本発明の接水部材の洗浄剤は、遊離塩素とクロラミン化合物とを含む洗浄剤であって、全塩素とクロラミン化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が1以上であり、pH12以上である。
本発明の洗浄剤の一態様では、前記クロラミン化合物として結合塩素型スルファミン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種のスルファミン酸系化合物を含む。
本発明の洗浄剤の一態様では、スルファミン酸とアルカリ剤を混合した後、塩素剤を添加して結合塩素化合物を生成させることによって得られる。
本発明の洗浄剤の一態様では、最終的な洗浄剤の重量に対するスルファミン酸の濃度が5質量%以下である。
本発明の洗浄剤の一態様では、前記接水部材がMF膜、UF膜、濾過器、配管、圧力計及び流量計の少なくとも一つである。
本発明の接水部材の洗浄液は、上記本発明の洗浄剤を水で希釈してなる。
本発明の接水部材の洗浄方法は、本発明の洗浄液を用いて接水部材を洗浄する。
本発明の接水部材の洗浄液、洗浄剤及び洗浄方法は、遊離塩素剤の酸化力の強さと、結合塩素剤(クロラミン化合物)の接水部材内部への浸透力の強さを併せ持つ。そのため、結合塩素剤よりも即効性があり、遊離塩素剤よりも洗浄効果が高い。また、本発明の洗浄液及び洗浄剤は優れた殺菌効果も有する。
実施例で用いた試験装置の構成を示す模式図である。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、洗浄液、洗浄剤および洗浄方法に関する発明であるが、本発明において「洗浄液」と「洗浄剤」とは以下の通り区別されるものである。
本発明において洗浄液とは、洗浄時に使用される液体である。一方、本発明において洗浄剤とは流通の際に使用される製品である。洗浄剤をそのまま洗浄液として洗浄に供する場合もあるが、通常は、洗浄剤は水などで希釈して洗浄液として洗浄に使用される。
本発明の洗浄液は、遊離塩素と結合塩素化合物とを含む。本発明の洗浄液は、全塩素(Cl)と結合塩素化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が1以上であり、pH9以上である。
本発明の洗浄液は、好ましくは、全塩素濃度5,000mg−Cl/L以下、より好ましくは200〜5,000mg−Cl/L、特に好ましくは1,000〜2,000mg−Cl/L、結合塩素濃度100mg−Cl/L以上、より好ましくは100〜4,980mg−Cl/L、特に好ましくは300〜1,980mg−Cl/L、遊離塩素濃度が20mg−Cl/L以上、より好ましくは20〜4,900mg−Cl/L、特に好ましくは20〜1,700mg−Cl/Lである。
本発明の洗浄剤は、遊離塩素とクロラミン化合物とを含む洗浄剤であって、全塩素(Cl)とクロラミン化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が1以上であり、pH12以上である。
本発明の洗浄剤は、好ましくは、全塩素濃度(Cl換算濃度)は10質量%以下、より好ましくは1〜8質量%、特に好ましくは3〜8質量%である。結合塩素濃度(Cl換算濃度)は0.1質量%以上、より好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは1〜2.8質量%、遊離塩素濃度(Cl換算濃度)は0.02質量%以上、より好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明において、全塩素濃度および遊離塩素濃度はJIS K 0400−33−10:1999で規定されるDPD法により測定する。また、結合塩素濃度は前記で求めた全塩素濃度から遊離塩素濃度を差し引くことで求める。
本発明は、アルカリ条件下における塩素系洗浄液及び洗浄剤の接水部材への適用を可能とする。本発明では、アルカリ条件での洗浄による有機物の剥離作用や加水分解作用に、結合塩素化合物による有機物分解作用と、遊離塩素による即効的殺菌洗浄効果が相乗的に付加される。このため、本発明によれば、アルカリ洗浄の効果を高め、汚染した選択性透過膜や濾過器等の性能を十分に回復させることができる。
<接水部材>
接水部材としては、UF膜、MF膜、濾過器、配管、圧力計、流量計などが例示されるが、これらに限定されない。濾過器としては、砂、アンスラサイト等の粒状濾材を用いたものが例示される。
本発明は、MF膜及びUF膜を洗浄対象とする場合に、その洗浄効果が有効に発揮される。ただし、選択性透過膜は何らこれらに限定されず、本発明は、その他の選択性透過膜にも適用することができ、その膜素材も限定されない。また、膜の形式等にも何ら制限はなく、本発明は、幅広い分野における水処理用選択性透過膜の洗浄に有効に適用される。
<遊離塩素>
遊離塩素としては、次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸塩が用いられる。次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸のアルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸のアルカリ土類金属塩等を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<結合塩素化合物>
結合塩素化合物としては、以下の反応式(1),(2)に示すような反応で次亜塩素酸(HOCl)と1級アミノ基を有する化合物(XNH)とを反応させて得られる、アミノ基の水素原子が塩素原子に置換した化合物(XNHCl)が好ましい。この化合物は、酸化作用が弱いため、塩素耐性の低い芳香族ポリアミド系RO膜であっても洗浄液及び洗浄剤として用いることが可能となり、また、多糖類のような粘度の高い汚染物に対しても、浸透して、内部で分解作用を発揮する。
XNH+HOCl⇔XNHCl+HO (1)
XNH+OCl⇔XNHCl+OH (2)
本発明において、結合塩素化合物は、1級アミノ基を有する化合物、アンモニア、及びアンモニウム塩のいずれか(以下、これらを「NH系化合物」と称す。)と、次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸塩とを混合することにより生成させることが好ましい。1級アミノ基を有する化合物としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、スルファミン酸、スルファニル酸、スルファモイル安息香酸、アミノ酸などを挙げることができる。また、アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのNH系化合物の中でもスルファミン酸(NHSOOH)が好ましい。スルファミン酸を用いてモノクロロスルファミンを生成させると安定な結合塩素化合物となる。スルファミン酸は、炭素を含まないため洗浄剤のTOC値を増加させない。スルファミン酸とアルカリ剤とを併用することで、非常に有効な洗浄液及び洗浄剤となる。
NH系化合物と反応させる次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸のアルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸のアルカリ土類金属塩等を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
結合塩素を形成させる窒素原子を有する化合物としてスルファミン酸を用いる場合、最終的な洗浄剤の重量に対して、使用するスルファミン酸の重量濃度を5質量%以下とすることが好ましい。スルファミン酸の濃度が5質量%よりも大きくなると塩素が分解しやすくなることがある。
<遊離塩素と結合塩素化合物との比率>
本発明では、遊離塩素由来の有効塩素(Cl)と結合塩素化合物由来の窒素原子Nとのモル比であるCl/Nモル比が1以上、好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。この範囲とすることにより、遊離塩素の即効的洗浄作用と結合塩素化合物の浸透的洗浄作用とがバランスよく得られる。
<pH>
本発明の洗浄液は、遊離塩素及び結合塩素化合物含有アルカリ水溶液よりなり、pHが9以上である。洗浄液のpHが9未満であると、十分な洗浄性が得られない。洗浄液のpHは高い方が洗浄効果に優れるが、高過ぎると、洗浄液としての取り扱い性が悪くなり、洗浄される膜が劣化したり、金属が腐食する危険性が高くなる。洗浄液のpHは好ましくは11以上13以下である。
本発明の洗浄液をpH9以上特に12以上とするのに用いるアルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましい。
本発明の洗浄剤は、遊離塩素及び結合塩素含有アルカリ水溶液よりなり、pH12以上である。洗浄剤のpHが12未満であると、保存安定性が悪くなり、希釈使用した時の洗浄効果が不足する可能性がある。洗浄剤のpHは好ましくは13以上である。洗浄剤のpHが高すぎると全塩素濃度が低くなり、希釈した時のpHとのバランスが悪くなる。本発明の洗浄剤のpHの上限は14である。
<洗浄液及び洗浄剤の製造方法>
本発明の洗浄液及び洗浄剤は、前述のアルカリ剤の水溶液にスルファミン酸等のNH系化合物を添加して溶解し、得られたNH系化合物水溶液に、次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸塩を添加して混合することにより結合塩素化合物水溶液を調製し、この結合塩素化合物水溶液に次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸塩を添加して混合することにより調製することができる。
スルファミン酸等の1級アミノ基を有する化合物は、塩の形で添加してもよい。この塩としては、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム、スルファミン酸アンモニウム等を用いることができる。
本発明の洗浄液は、上述の通りに製造された洗浄剤を、必要に応じ水、好ましくは純水で希釈して得てもよい。
<その他の成分>
本発明で用いる洗浄液及び洗浄剤には、その洗浄効果を損なわない範囲において、他の洗浄剤成分を添加してもよい。
例えば、膜汚染物質の剥離効果を高めるために、界面活性剤や、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコールビス(アミノエチルエーテル)四酢酸)、IDA(イミノ二酢酸)等のキレート剤などの他の洗浄剤成分の1種又は2種以上を添加してもよい。
<洗浄方法>
本発明の洗浄液を用いて接水部材を洗浄する方法では、この洗浄液に接水部材を接触させる。接水部材がMF膜又はUF膜である場合、膜装置への通水を停止した後に、洗浄液を膜装置に導入する。洗浄液は膜装置の原水入り口から導入されてもよく、処理水出口側から導入され原水側に押し出されても良い。洗浄液を装置に導入した後は、膜を洗浄液に浸漬させるか、又は洗浄液を循環させる。洗浄液を循環させる場合、洗浄液に空気を吹き込んでも良い。浸漬と循環を含めて、洗浄液と選択性透過膜の接触時間は1〜24時間特に1〜18時間程度が好ましい。膜以外の接水部材の場合も、洗浄液と接水部材の接触時間は1〜24時間特に1〜18時間程度が好ましい。
[比較例1〜4、実施例1]
東レ株式会社製UF中空糸膜モジュール(HFU−2008、膜素材PVDF、孔径0.01μm)から得た膜(有効膜長さ100mm)を用いて、膜1本モジュール(単糸モジュール)を作成した。その後、図1に示す単糸モジュール用通水装置で千葉県五井市原地区の工業用水(以下、山倉工水)を通水して膜を汚染させた。
膜1は、上下両端をポッティング材よりなる保持部材3a,3bで保持されてカラム2内に配置されている。膜1の上端は保持部材3aに埋設されている。膜1の下端は保持部材3bを貫通してカラム2下部の室4に連通している。カラム2の下部(保持部材3bよりも上側)に配管5、ポンプ6及び弁7を介して山倉工水が供給され、透過水は、カラム2の下端の室4から弁8、配管9を介して流出する。濃縮水は、カラム2の上部(保持部材3a直下)から配管10、弁11を介して流出する。逆洗水は、配管12、ポンプ13及び弁14を介してカラム2の下端の室4内に導入され、膜2内に流入する。逆洗排水は、配管10から分岐した配管15、弁16を介して流出する。
膜汚染のための通水は、次の4工程を1サイクルとし、200サイクル繰り返すことにより行った。
工程1:水張り(30秒)
工程2:濾過(透過流束2〜4m/m/d、28分)
工程3:逆洗(水量0.6〜1.4mL/min、30秒)
工程4:排水(30秒)
汚染後の膜に純水を通水して透過流束4m/m/dにおける膜間差圧を測定し、洗浄前の膜間差圧値とした。その後、カラム2内に表1に示す洗浄液を導入して浸漬させた。所定時間浸漬させた後、薬液を排水し、純水でフラッシングした後に純水を通水して透過流束4m/m/dにおける膜間差圧を測定し、当該所定時間における膜間差圧値とした。膜間差圧測定後は、再度薬液を導入して、通算浸漬時間6〜8時間まで操作を繰り返した。なお、薬液は導入の都度新しく調製した。膜間差圧値の測定結果(浸漬時間と膜間差圧値との関係)を図2に示す。なお、いずれの洗浄液もpH12、全塩素濃度約1200mgである。遊離塩素濃度はDPD法により測定した。
Figure 2018168641
[考察]
比較例1の次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄では、洗浄直後の差圧の低下が著しい(即効性が高い)が、最終到達差圧は比較例2〜4の結合塩素剤よりも高く、洗浄効果は結合塩素剤に劣る。比較例2〜4の結合塩素剤による洗浄では、洗浄の最終到達差圧が低く洗浄効果は高いが、洗浄の即効性において比較例1の次亜塩素酸ナトリウムに劣る。実施例1の洗浄液(結合塩素+遊離塩素剤)による洗浄では、次亜塩素酸ナトリウムと同等の即効性を示し、さらに結合塩素剤と同等の洗浄効果を兼ね備えている。
[比較例5、実施例2〜4]
洗浄液を表2に示すものとしたこと以外は比較例1〜4及び実施例1と同一条件にて膜の洗浄を行った。(ただし、実験日が比較例1〜4及び実施例1とは異なるので、原水の水質が若干異なり、膜の汚染状況も若干異なる。)なお、いずれの洗浄液もpH12、全塩素濃度約1200mg−Cl/Lである。結果を図3に示す。
Figure 2018168641
[考察]
実施例2〜4は、比較例5の次亜塩素酸ナトリウムと同等の即効性を示し、かつ最終到達差圧において次亜塩素酸ナトリウムよりも低い膜間差圧(高い洗浄効果)を示した。
[比較例6〜8、実施例5]
表3に示す洗浄剤を総塩素濃度1000mg−Cl/Lとなるように希釈し、pHをNaOHにより12に調整した洗浄液を調製した。
また、薬液洗浄工程における通算浸漬時間を400minとした。これら以外は前記比較例及び実施例と同様の実験を行った。ただし、実験日が前記比較例及び実施例と異なるので、原水の水質が若干異なり、膜の汚染状況も若干異なる。
Figure 2018168641
図4に洗浄時間と差圧の関係を示す。実施例5の洗浄剤を希釈して調製した洗浄液が、最も差圧の下がり方が速く、到達差圧が低いことが分かる。比較例6は、到達差圧が高いままであり、比較例7、比較例8は、到達差圧は実施例5に近いが、差圧の下がり方が遅い。
<実験例1〜3>
下記水溶液の殺菌効果の評価を行った。以下に示す剤を有効塩素が所定濃度になるように希釈して、評価菌と15min又は1h接触させ、生菌数を測定した。評価菌として、Aspergillus nigerを用いた。
実験例1:次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素12%)
実験例2:スルファミン酸系結合塩素剤 Cl/N比=0.56 pH14.0の水溶液
実験例3:スルファミン酸系遊離塩素、結合塩素剤 Cl/N比=2.08 pH14.1の水溶液
15minにおける結果を図5に示す。1hにおける結果を図6に示す。実験例1,3の場合は、有効塩素濃度10m/L、15minで、殺菌が完了するのに対して、実験例2の場合は、有効塩素200mg/L、1hでもほとんどの菌が生存していることが認められた。実験例1にも高い殺菌効果があるが、上記の比較例6と同じ薬剤であり、洗浄効果が劣っている。
以上より、本発明の洗浄殺菌剤が、高い洗浄効果と殺菌効果を有していることが示された。
[塩素分解率の測定実験]
スルファミン酸、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素12質量%)、48%水酸化ナトリウム、および純水を用いて表4に示す配合の洗浄剤を製造した。スルファミン酸の重量濃度は、2.5〜5.0質量%である。配合(i)〜(iv)で得られる洗浄剤のスルファミン酸モル濃度と残存する有効塩素モル濃度の関係、および塩素の分解率を図7に示す。図7の通り、スルファミン酸の重量濃度が高くなるほど、塩素の分解率が大きくなる。スルファミン酸の重量濃度が5.0質量%では、(有効塩素モル濃度)/(スルファミン酸モル濃度)の比は1.01と僅かに1を超える程度になる。従って、スルファミン酸の重量濃度は5.0質量%以下にすることが好ましい。塩素の分解率が大きくなる理由としては、不安定なジクロロスルファミン酸が出来易くなるためと推定される。
Figure 2018168641
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
本出願は、2017年3月15日付で出願された日本特許出願2017−050165に基づいており、その全体が引用により援用される。
1 選択性透過膜
2 カラム

Claims (12)

  1. 遊離塩素とクロラミン化合物とを含む洗浄液であって、全塩素とクロラミン化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が1以上であり、pH9以上である接水部材の洗浄液。
  2. 前記クロラミン化合物として結合塩素型スルファミン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種のスルファミン酸系化合物を含む請求項1の洗浄液。
  3. 前記接水部材がMF膜、UF膜、濾過器、配管、圧力計及び流量計の少なくとも一つである請求項1又は2に記載の洗浄液。
  4. pH11以上である請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄液。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、クロラミン化合物と塩素の結合型塩素濃度が100mg/L以上、遊離塩素濃度が20mg/L以上であることを特徴とする洗浄液。
  6. 遊離塩素とクロラミン化合物とを含む洗浄剤であって、全塩素とクロラミン化合物に由来する窒素原子Nのモル比(Cl/N)が1以上であり、pH12以上である接水部材の洗浄剤。
  7. 前記クロラミン化合物として結合塩素型スルファミン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種のスルファミン酸系化合物を含む請求項6の洗浄剤。
  8. スルファミン酸とアルカリ剤を混合した後、塩素剤を添加して結合塩素化合物を生成させることによって得られる請求項6又は7に記載の洗浄剤。
  9. 最終的な洗浄剤の重量に対するスルファミン酸の濃度が5質量%以下である請求項7又は8に記載の洗浄剤。
  10. 前記接水部材がMF膜、UF膜、濾過器、配管、圧力計及び流量計の少なくとも一つである請求項6〜9のいずれかである洗浄剤。
  11. 請求項6〜9のいずれかの洗浄剤を水で希釈してなる、接水部材の洗浄液。
  12. 請求項1〜5および請求項11のいずれかに記載の洗浄液を用いて接水部材を洗浄する接水部材の洗浄方法。
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