JPWO2018147126A1 - n型導電材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

優れた熱電特性および化学安定性を有するn型導電材料を提供する。金属錯体を内包したn型カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、n型導電材料を用いる。

Description

本発明は、n型導電材料およびその製造方法に関する。
近年、環境発電への要請が高まりつつある。そのため、自然再生可能エネルギーまたは排熱等から電力を得るCOフリーの発電技術の一つとして、熱電変換材料が注目されている。また一方で、緊急時用、災害時用または医療用の電源として利用するために、小型かつ軽量な熱電変換材料が求められている。また、上記熱電変換材料をウェアラブルデバイスまたはポータブルデバイス等に適用する場合、熱電変換材料を体の形状に沿って密着させ、熱源として体温を利用できることが好ましい。
このような分野に利用可能であり、且つ、希少原料または毒性原料に頼らない材料として、導電性高分子を含む有機半導体またはカーボンナノチューブ等のナノ材料が注目されている。例えば、有機系またはカーボン系の熱電変換材料は、軽量であることおよび炭素−炭素結合に由来する構造のしなやかさから、持ち運びが可能でフレキシブルな熱電変換デバイスの候補となる素子材料と考えられている。
通常、上記分野では、p型導電性を示す材料(p型導電材料)およびn型導電性を示す材料(n型導電材料)の両方を備えた双極型素子を用いることが好ましい。例えば、図1は、n型導電材料とp型導電材料とを備えた双極型熱電変換デバイスの一例を示した概略図である。双極型熱電変換デバイスであれば、n型導電材料とp型導電材料とを直列につなぐことにより、効率的に発電することができる。
熱電変換材料に関する技術としては、例えば、以下のような技術が挙げられる。特許文献1には、導電性高分子と熱励起アシスト剤とを含有する熱電変換材料が開示されている。また、特許文献2には、カーボンナノチューブおよび共役高分子を含有する熱電変換材料が開示されている。
さらに、非特許文献1には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を利用した導電性フィルムが記載されている。非特許文献2には、PEDOTおよびポリ(スチレンスルホン酸)の複合体(PEDOT:PSS)またはメソ−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィン(TCPP)と、カーボンナノチューブとを利用した複合材料が記載されている。
これらの技術(特に非特許文献1および2に記載の技術)は、そのゼーベック係数が正の値であることからもわかるようにp型導電材料である。n型導電材料に関しては、非特許文献3に記載のように、n型有機系材料もしくはn型カーボン系材料またはその添加剤が本質的に有する化学結合の不安定性に起因し、安定したn型導電材料を得ることは困難であるということが当該分野の技術常識であった。そのような状況の中で、本発明者らは、p型導電材料をn型導電材料へ変換する技術として、例えば、特許文献3に記載の技術を開発している。
国際公開第2013/047730号(2013年4月4日公開) 国際公開第2013/065631号(2013年5月10日公開) 国際公開第2015/198980号(2015年12月30日公開)
T. Park et. al.,Energy Environ. Sci. 6,788-792,2013 G. P. Moriarty et al., Energy Technol. 1, 265-272, 2013 D. M. de Leeuw et al., Synth. Met. 87, 53-59, 1997
しかしながら、上記p型導電材料に匹敵する出力を示すn型導電材料を実現するという観点からは、上述の従来技術には更なる改善の余地があった。具体的には、上述の従来技術において、具体的な熱電変換デバイスの設計にあたり、さらなる高出力化が要求される。また、上述の従来技術において、その化学(溶媒環境)安定性に関する知見はまったく報告されていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ、その目的は、優れた熱電特性および化学安定性を有するn型導電材料を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、n型カーボンナノチューブに金属錯体を内包させることにより、優れた熱電特性と化学安定性とを有するn型導電材料を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔6〕に記載の発明を含む。
〔1〕金属錯体を内包したn型カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、n型導電材料。
〔2〕上記金属錯体は、金属カチオンと有機配位子とが配位結合した分子であることを特徴とする、〔1〕に記載のn型導電材料。
〔3〕上記n型カーボンナノチューブの平均内径が、0.6nm〜1000nmであることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のn型導電材料。
〔4〕金属錯体と接触させたn型カーボンナノチューブを、真空条件下にて100℃以上で加熱する真空加熱工程を含むことを特徴とする、n型導電材料の製造方法。
〔5〕上記金属錯体は、金属カチオンと有機配位子とが配位結合した分子であることを特徴とする、〔4〕に記載のn型導電材料の製造方法。
〔6〕上記n型カーボンナノチューブの平均内径が、0.6nm〜1000nmであることを特徴とする、〔4〕または〔5〕に記載のn型導電材料の製造方法。
本発明の一態様によれば、n型カーボンナノチューブが、金属錯体を内包することにより、優れた熱電特性および化学安定性を有するn型導電材料を提供できるという効果を奏する。
n型導電材料とp型導電材料とを備える双極型熱電変換素子の一例を示した概略図である。 (a)は、比較例1におけるカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡像を示す図である。(b)は、実施例1におけるカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡像を示す図である。(c)および(d)はそれぞれ、実施例1のカーボンナノチューブの内部の、炭素およびカリウムの有無を元素分析によって観察した結果を示す図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、37℃〜200℃における、実施例1および比較例1の導電率の測定値、ゼーベック係数の測定値および出力因子の算出値を示す図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、37℃〜200℃における、実施例2および比較例2の導電率の測定値、ゼーベック係数の測定値および出力因子の算出値を示す図である。 エタノール洗浄にともなう、実施例1および比較例1の、37℃におけるゼーベック係数の変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.n型導電材料の性能に関する指標〕
まず、n型導電材料の性能に関する指標について説明する。当該指標としては出力因子(パワーファクター)が挙げられる。出力因子は、以下の式(1)によって求められる。
PF=ασ (1)
式(1)中、PFは出力因子、αはゼーベック係数、σは導電率を示す。n型導電材料においては、例えば、出力因子が310Kにて100μW/mK以上であることが好ましく、200μW/mK以上であることがより好ましく、400μW/mK以上であることが特に好ましい。出力因子が310Kにて100μW/mK以上であれば、従来型のp型導電材料と同等またはそれを上回る値であるため、好ましい。このような高出力のn型導電材料を得るためには、ゼーベック係数または導電率のいずれか一方、もしくはその両方を向上させることが考えられる。
ゼーベック係数とは、ゼーベック効果を示す回路の、高温接合点と低温接合点との間の温度差に対する、開放回路電圧の比をいう(「マグローヒル科学技術用語大辞典 第3版」より)。ゼーベック係数は、例えば、後述する実施例で用いたゼーベック効果測定装置(MMR Technologies社製)等を用いて測定することができる。ゼーベック係数の絶対値が大きいほど、熱起電力が大きいことを表す。
また、ゼーベック係数は、カーボンナノチューブ等の電子材料の極性を判別するための指標となり得る。具体的には、例えば、ゼーベック係数が正の値を示す電子材料は、p型導電性を有しているといえる。これに対して、ゼーベック係数が負の値を示す電子材料は、n型導電性を有しているといえる。
n型導電材料においては、ゼーベック係数が−20μV/K以下であることが好ましく、−30μV/K以下であることがより好ましく、−40μV/K以下であることがさらに好ましい。ただし、低温熱源などの微小エネルギーを用いて発電を行う場合においては熱起電力の増大とともに導電率の増大により、昇圧回路に要求されるインピーダンスの抑制を必要とする場合もある。この場合は、ゼーベック係数が−40〜−20μV/Kであることがより好ましい。
導電率は、例えば、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP)を用いた4探針法により測定することができる。
n型導電材料においては、導電率が1000S/cm以上であることが好ましく、1500S/cm以上であることがより好ましく、2000S/cm以上であることがさらに好ましい。導電率が1000S/cm以上であれば、n型導電材料が高出力であるため、好ましい。
また、n型導電材料の性能に関する別の指標としては、無次元性能指数ZTが挙げられる。ZTは以下の式(2)によって求められる。
ZT=PF・T/κ (2)
式(2)中、PFは出力因子(=ασ)、Tは温度、κは熱伝導率を示す。ZTが大きいほど、優れたn型導電材料であることを表している。式(2)から、大きいZTを得るためには、出力因子、すなわちゼーベック係数の絶対値および導電率が大きいことが好ましいことがわかる。
また、式(2)から、大きいZTを得るためには、熱伝導率は小さいほうが好ましいことがわかる。このことは、熱電変換材料(すなわち、n型導電材料およびp型導電材料)が温度差を利用することに対応している。熱電変換材料の熱伝導率が大きい場合、物質中の温度が容易に均一になってしまい、温度差を生じにくい。そのため、熱伝導率が大きい熱電変換材料を備えた熱電変換デバイスは、効率的に発電することが困難となる傾向にある。
〔2.n型導電材料〕
本発明の一実施形態に係るn型導電材料(以下、本n型導電材料とも称する)は、金属錯体を内包したn型カーボンナノチューブを含むことを特徴とする。本明細書において、「金属錯体を内包した」とは、金属錯体がカーボンナノチューブの空洞の内部に位置することを意味する。本n型導電材料において、金属錯体がカーボンナノチューブに内包されているか否かは、例えば、後述の実施例に示すように透過型電子顕微鏡で観察することにより、調べることができる。
なお、金属錯体は、すべてがカーボンナノチューブに内包されていても、一部のみがカーボンナノチューブに内包されていてもよい。
上記n型カーボンナノチューブは、負の電荷が非局在化した状態となっており、軟らかい塩基(soft base)となっている。一方、金属錯体は、正の電荷が非局在化した軟らかい酸(soft acid)となっている。軟らかい塩基に対しては、軟らかい酸を作用させることで安定化することができる。そのため、本n型導電材料は、n型カーボンナノチューブに金属錯体を作用させることにより、安定したn型導電性を示す。なお、軟らかい酸および塩基の定義は、HSAB理論に基づく(R. G. Pearson, J. Am. Chem. Soc. 85 (22), 3533-3539, 1963)。
さらに、本n型導電材料は、n型カーボンナノチューブに金属錯体が内包されているため、優れた熱電特性および化学安定性を有する。これは、n型カーボンナノチューブに金属錯体が内包されている場合は、単にn型カーボンナノチューブの表面に金属錯体が付着している場合に比べて、金属錯体が脱離し難いためであると推測される。
本n型導電材料は、必要に応じて、n型カーボンナノチューブおよび金属錯体以外の物質を含んでいてもよい。このような物質としては、金属錯体による上記効果を阻害しない物質であれば特に限定されない。
<2−1.n型カーボンナノチューブ>
本n型導電材料は、n型カーボンナノチューブを含む。n型カーボンナノチューブは、n型導電性を有していればよく、いずれの方法によってn型化されてもよい。なお、本明細書においては、カーボンナノチューブを「CNT」と称する場合もある。
上記カーボンナノチューブは、単層、または多層(すなわち、二層、三層、四層、またはそれよりも多層)の構造を有していてもよい。例えば、上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(single-wall carbon nanotube:SWNT)または多層カーボンナノチューブ(multi-wall carbon nanotube:MWNT)であってもよい。
本n型導電材料は、熱電変換デバイス等として、様々な応用および用途が考えられる。ここで、熱電変換デバイスに柔軟性があれば、人体および配管等の複雑な三次元表面に密着させることができ、体温および廃熱等を効率的に利用できるため好ましい。熱電変換デバイスの柔軟性を増すため、本n型導電材料において、優れた機械的特性(具体的には、引張強度、ヤング率および弾性率など)を付与するという観点からは、上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
上記n型カーボンナノチューブの平均内径は特に限定されず、例えば、0.6〜1000nmであることが好ましく、0.6〜100nmであることがより好ましく、0.8〜20nmであることがさらに好ましく、1〜5nmであることが特に好ましく、1.2〜3nmであることが最も好ましい。平均内径が0.6nm以上であれば、n型カーボンナノチューブの内部に金属錯体を十分取り込むことができる。さらに、平均内径が1.2nm以上であれば、n型カーボンナノチューブの内部に金属錯体がより入りやすいため、好ましい。また、平均内径が1000nm以下であれば、n型カーボンナノチューブ内部で金属錯体の拡散が抑制され、常圧常温において化学安定性が得られるため、好ましい。さらに、平均内径が3nm以下であれば、n型カーボンナノチューブの内部から金属錯体が脱離し難く、またある局面においては、優れた熱電変換特性が得られるためより好ましい。
本発明の一実施形態において、n型カーボンナノチューブの平均内径は、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で、n型カーボンナノチューブを観察することにより測定する。透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡によって、n型導電材料の任意の5か所の観察を行なう。1か所あたり10本のn型カーボンナノチューブをランダムに選択し、各々の内径を計測し、計測した50本のn型カーボンナノチューブの内径の平均値を、n型カーボンナノチューブの平均内径とする。
上記カーボンナノチューブは、所望の形状に成形されていてもよい。例えば、本n型導電材料は、カーボンナノチューブが集積したフィルムを含んでいてもよい。ここで、上記「フィルム」は、シートまたは膜とも言い換えられる。フィルムは、例えば、1μm〜1000μmの厚みであってもよい。フィルムのカーボンナノチューブの密度は特に限定されないが、0.05〜1.0g/cmであってもよく、0.1〜0.5g/cmであってもよい。上記フィルムは、カーボンナノチューブ同士が互いに絡み合うように不織布状の構造を形成している。そのため、上記フィルムは軽量であり、且つ、柔軟性を有している。
<2−2.金属錯体>
本n型導電材料は、金属錯体を含む。本明細書において、金属錯体とは、金属カチオンが配位子と配位結合した分子を意図する。
金属カチオンとしては、典型金属イオン(アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオン)および遷移金属イオン等が挙げられる。上記金属カチオンは、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオンおよびスカンジウムイオン等であってもよい。
上記配位子としては、金属カチオンと配位結合を形成する化合物であれば特に限定されない。換言すれば、上記配位子は、金属カチオンに対する配位ユニットを有する化合物である。上記配位子としては、例えば、有機配位子等が挙げられる。有機配位子は、単座の有機配位子(すなわち、1つの配位ユニットを有する化合物)であってもよく、多座の有機配位子(すなわち、2つ以上の配位ユニットを有する化合物)であってもよい。より効率よく金属カチオンを取り込むことができるという観点からは、有機配位子は、多座の有機配位子であることが好ましい。多座の有機配位子としては、シクロデキストリン、クラウンエーテルおよびその誘導体(例えば、ベンゾクラウンエーテルおよびジベンゾクラウンエーテル)並びにカリックスアレーンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。なかでも、有機溶媒中においてはクラウンエーテルおよびその誘導体を用いることが好ましく、クラウンエーテル誘導体がより好ましい。なお、クラウンエーテルは酸素上の非共有電子対を通じてカチオンを溶媒和できる。
クラウンエーテルとしては、例えば、下記一般式(I)で表されるクラウンエーテルが挙げられる。
式(I)中、nは1以上の整数である。
なお、上記一般式(I)で表されるクラウンエーテルが金属カチオンを取り込むことによって形成された錯体は、下記一般式(II)で表される。
式(II)中、nは1以上の整数である。Zは上述の金属カチオンである。
クラウンエーテルの具体例としては、例えば下記式(a)〜(c)で表されるクラウンエーテルが挙げられる。
上記式(a)は、12−クラウン−4−エーテルである。上記式(b)は、15−クラウン−5−エーテルである。上記式(c)は、18−クラウン−6−エーテルである。
クラウンエーテル誘導体としては、例えば、1つ以上のアリール環を有する化合物が挙げられる。
クラウンエーテル誘導体は、クラウンエーテルと比較して、アリール環の部位の拡張に伴い、電荷がより非局在化している。そのため、1つ以上のアリール環を有するクラウンエーテル誘導体を用いた場合、アリール環を有さないクラウンエーテルを用いた場合に比べて、より安定したn型導電性を示すとともに高い導電率および化学安定性を示す。
正電荷の非局在化という観点からは、上記1つ以上のアリール環は、縮合環を形成していることが好ましい。すなわち、上記クラウンエーテル誘導体は、縮合環を有するクラウンエーテル誘導体であることが好ましい。上記縮合環としては、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のアリール環が縮合した基であってもよい。上記アリール環または縮合環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、ヘプタセン環、オクタセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ベンゾピレン環、トリフェニレン環、またはベンゾフラン環が挙げられる。
ベンゼン環を有するクラウンエーテル誘導体としては、例えば、下記式(d)で表される、ベンゾ−18−クラウン−6が挙げられる。
上記クラウンエーテルおよびその誘導体は、取り込む対象となる金属カチオンのサイズに合わせて、選択すればよい。
〔3.n型導電材料の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るn型導電材料の製造方法(以下、本製造方法とも称する)は、金属錯体と接触させたn型カーボンナノチューブを、真空条件下にて100℃以上で加熱する真空加熱工程を含む。本製造方法によれば、金属錯体が、n型カーボンナノチューブに内包される。それゆえ、優れた熱電特性および化学安定性を有するn型導電材料を得ることができる。
なお、〔2.n型導電材料〕にて既に説明した事項について、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。
<3−1.真空加熱工程>
本工程は、金属錯体と接触させたn型カーボンナノチューブを、真空条件下にて100℃以上で加熱する工程である。本工程を行うことで、金属錯体は、n型カーボンナノチューブに内包される。
カーボンナノチューブを金属錯体と接触させる方法としては、例えば金属錯体を含む溶液をカーボンナノチューブに接触させる方法が挙げられる。
前記金属錯体を含む溶液をカーボンナノチューブに接触させる方法は、カーボンナノチューブと溶液とを接触させることができればよく、その方法は特に限定されない。カーボンナノチューブと溶液とを十分に接触させる観点から、溶液をカーボンナノチューブに含浸させることによって、または、溶液中にカーボンナノチューブをせん断分散させることによって、カーボンナノチューブと溶液とを接触させることが好ましい。
溶液をカーボンナノチューブに含浸させる方法としては、後述のように所望の形状に成形したカーボンナノチューブ(例えばフィルム)を溶液に浸漬させる方法が挙げられる。また、溶液中にカーボンナノチューブをせん断分散させる方法としては、均質化装置を用いてカーボンナノチューブを溶液中に分散させる方法が挙げられる。
上記溶液における溶媒は、水であってもよく有機溶媒であってもよい。当該溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN−メチルピロリドンである。プロパノールとしては、1−プロパノールおよび2−プロパノールが挙げられる。ブタノールとしては、1−ブタノールおよび2−ブタノール等が挙げられる。
溶液中の金属錯体の濃度は、任意の濃度であってよく、例えば、0.001〜1mol/Lが好ましく、0.01〜0.1mol/Lがより好ましい。
上記均質化装置としては、カーボンナノチューブを溶液中で均質に分散させることができる装置であれば特に限定されないが、例えば、ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザー等の公知の手段を用いることができる。なお、本明細書中において、単に「ホモジナイザー」と表記した場合は、「撹拌ホモジナイザー」が意図される。
均質化装置の運転条件としては、カーボンナノチューブを溶液中に分散させることができる条件であれば特に限定されない。例えば、均質化装置として、ホモジナイザーを用いる場合は、カーボンナノチューブを加えた溶液を、ホモジナイザーの撹拌速度(回転数)20000rpmにて、室温(23℃)にて10分間処理することによって、カーボンナノチューブを溶液中に分散させることができる。
また、成形済のカーボンナノチューブを溶液に浸漬させる方法の場合、浸漬させる時間は特に限定されないが、10〜600分であることが好ましく、100〜600分であることがより好ましく、200〜600分であることがさらに好ましい。
なお、本工程の前に、カーボンナノチューブをn型化する工程が含まれていてもよい。n型化する方法は特に限定されず、例えば、カーボンナノチューブへ電極から電子を導入する方法、および、カーボンナノチューブに特定のアニオンを作用させる方法が挙げられる。
また、カーボンナノチューブをn型化する工程は本工程と同時に行われてもよい。この場合、例えば、溶媒に溶解した際にアニオンと金属錯体に包接される金属カチオンとを生じる金属塩と、配位子とを溶解させた溶液にカーボンナノチューブを接触させて、本工程を行うことができる。金属錯体を効率的に形成させるという観点からは、上記溶液は、金属カチオンと配位子とを、そのモル比が1:1になるように含んでいることが好ましい。
上記アニオンは、カーボンナノチューブのキャリアを正孔から電子へと変化させる。これによって、カーボンナノチューブのゼーベック係数が変化するとともに、カーボンナノチューブは負に帯電する。
アニオンの例としては、ヒドロキシイオン(OH)、アルコキシイオン(CH、CHCH、i−PrOおよびt−BuO等)、チオイオン(SH、並びにCHおよびC等のアルキルチオイオン等)、シアヌルイオン(CN)、I、Br、Cl、BH 、カルボキシイオン(CHCOO等)、NO 、BF 、ClO 、TfO、並びにTos等が挙げられる。なかでも、アニオンは、OH、CH、CHCH、i−PrO、t−BuO、SH、CH、C、CN、I、Br、Cl、BH 、およびCHCOOからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、OHおよびCHのうち少なくとも一方であることがより好ましい。上記アニオンによれば、効率よくカーボンナノチューブのゼーベック係数を変化させることができる。
アニオンがカーボンナノチューブをn型化するドーパントとして作用する理由の一つとしては、アニオンが非共有電子対を有していることが考えられる。アニオンは、その非共有電子対に基づいて、ドーピングの対象となるカーボンナノチューブと相互作用するか、または化学反応を誘起すると推測される。また、ドーピングの効率においては、ドーパントのルイス塩基性、分子間力および解離性が重要であると考えられる。
本明細書において、「ルイス塩基性」とは、電子対を供与する性質を意図している。ルイス塩基性の強いドーパントは、ゼーベック係数の変化に対して、より大きな影響を与えると考えられる。
また、ドーパントの分子間力も、カーボンナノチューブに対するドーパントの吸着性に関連していると考えられる。ドーパントの分子間力としては、水素結合、CH−π相互作用およびπ−π相互作用等が挙げられる。上記アニオンのなかでも、弱い水素結合を与えるアニオンが好ましい。弱い水素結合を与えるアニオンとしては、例えば、OH、CH、CHCH、i−PrOおよびt−BuOが挙げられる。また、アニオンは、π−π相互作用を与えるアニオンであることが好ましい。π−π相互作用を与えるアニオンとしては、例えば、CHCOOが挙げられる。
真空条件下とは、100Pa以下である。真空条件下は、好ましくは0.01Pa〜50Paであり、より好ましくは0.1Pa〜20Paであり、さらに好ましくは1Pa〜10Paである。
上記真空加熱を行う温度は、金属錯体の昇華点または融点を考慮して適宜決定すればよく、100℃以上が好ましく、120℃〜250℃がより好ましく、180℃〜250℃がさらに好ましい。
真空条件下にて加熱を行う時間は、特に限定されないが、2時間以上が好ましく、3時間〜72時間がより好ましく、10時間〜20時間がさらに好ましい。
圧力、温度および時間の少なくとも一つが上記範囲であれば、より効率的に金属錯体をn型カーボンナノチューブに内包させることができるため、好ましい。
<3−2.成形工程>
本製造方法は、上記真空加熱工程の前または後に成形工程を含んでいてもよい。すなわち、本工程は、上記真空加熱工程の前にカーボンナノチューブを所望の形状(例えばフィルム)に成形する工程であってもよく、上記真空加熱工程によって得られたn型導電材料を所望の形状に成形する工程であってもよい。
好ましくは、本製造方法は、上記真空加熱工程の前に、カーボンナノチューブを集積させてフィルムを成形する成形工程を含む。この場合、上記真空加熱工程においては、上記溶液に、上記フィルムを浸漬させることが好ましい。
フィルムを成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、溶媒中にカーボンナノチューブを分散させ、得られた分散液をフィルター上で濾過することによってフィルムを成形する方法が挙げられる。濾過には、メンブレンフィルターを用いる方法が挙げられる。具体的には、カーボンナノチューブの分散液を、0.1〜2μm孔のメンブレンフィルターを用いて吸引濾過を行い、メンブレンフィルター上に残った膜を、50〜150℃にて、1〜24時間、減圧乾燥させることにより、フィルムを成形することができる。
カーボンナノチューブを分散させる溶媒は、水であってもよく有機溶媒であってもよい。当該溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくはo−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレンまたはシクロヘキサノンである。これらの溶媒であれば、カーボンナノチューブを効率的に分散させることができる。
カーボンナノチューブを分散させる方法としては、上述の<3−1.真空加熱工程>における均質化装置を用いてカーボンナノチューブを溶液中に分散させる方法と同様の方法を用いることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
〔実施例1〕
5mgのCNT(平均内径2nm、名城ナノカーボン社製、製品名:EC2.0)を10mLのo−ジクロロベンゼンで、撹拌ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて20000rpmで10分間処理をした。その後、得られた溶液をメンブレンフィルター(0.2mmポア径、直径25mm)上に吸引ろ過した後、120℃、減圧下で12時間乾燥することによりCNTフィルムを得た。
得られたCNTフィルムを、0.01mol/LのKOH(和光純薬工業社製、試薬特級)および0.01mol/Lのベンゾ−18−クラウンエーテル(シグマアルドリッチ社製)をエタノールに溶解させた溶液に4時間浸漬した。
その後、CNTフィルムを溶液から引き上げた後、当該CNTフィルムに対して200℃で3時間真空加熱を行い、実施例1のn型導電材料を得た。
〔比較例1〕
CNTフィルムを溶液から引き上げた後、当該CNTフィルムに対して80℃で1時間真空加熱を行った以外は、実施例1と同様にして、比較例1のn型導電材料を得た。
〔実施例2〕
ベンゾ−18−クラウンエーテルの代わりに18−クラウンエーテル(シグマアルドリッチ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のn型導電材料を得た。
〔比較例2〕
CNTフィルムを溶液から引き上げた後、当該CNTフィルムに対して80℃で1時間真空加熱を行った以外は、実施例2と同様にして、比較例2のn型導電材料を得た。
〔比較例3〕
実施例1と同様に得たCNTフィルムを溶液に浸漬させずに比較例3として用いた。
〔透過型電子顕微鏡による観察〕
実施例1および比較例1のn型導電材料を、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、製品名:JEM−3100FEF)にて観察した。
図2の(a)は、比較例1におけるカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡像を示す図である。図2の(b)は、実施例1におけるカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡像を示す図である。図2の(a)ではカーボンナノチューブの外部に金属錯体が位置しているのに対し、図2の(b)ではカーボンナノチューブの内部に金属錯体が位置していることがわかった。
また、図2の(c)および(d)はそれぞれ、実施例1のカーボンナノチューブの内部の、炭素およびカリウムの有無を元素分析によって観察した結果を示す図である。元素分析には電子エネルギー損失分光法を用いた。図2の(c)および(d)から、炭素およびカリウムが実施例1のカーボンナノチューブ内部に存在していることがわかった。従って、図2の(c)および(d)からも実施例1では金属錯体がカーボンナノチューブに内包されていることがわかる。
〔熱電特性〕
実施例および比較例で得た、n型導電材料について、熱電特性評価装置(アドバンス理工株式会社製、製品名:ZEM−3)を用い、37℃〜200℃における、導電率σおよびゼーベック係数αを測定した。導電率は四端子法により測定し、ゼーベック係数は二端子法により測定した。また、得られた導電率およびゼーベック係数を用いて、上記式(1)により出力因子PFを算出した。
図3の(a)〜(c)はそれぞれ、37℃〜200℃における、実施例1および比較例1の導電率の測定値、ゼーベック係数の測定値および出力因子の算出値を示す図である。横軸は、測定温度を表している。図3の(a)〜(c)において、実施例1の測定値は黒丸で示され、比較例1の測定値は白丸で示されている。
図3の(a)より、37℃〜200℃において、比較例1のn型導電材料は、温度に依存して導電率が変化する一方で、実施例1のn型導電材料は、温度に依存することなく安定した導電率を示すことがわかる。
図3の(b)より、実施例1はいずれの温度においても、比較例1よりもゼーベック係数の絶対値が大きいことから、いずれの温度においても、熱起電力が大きいことがわかる。
図3の(c)より、実施例1のn型導電材料は、比較例1のn型導電材料に比較して、37℃〜200℃のいずれの温度においても、高い出力因子を示すことがわかる。このことから、金属錯体がカーボンナノチューブに内包されることで、出力因子が増大することがわかる。
図4の(a)〜(c)は、37℃〜200℃における、実施例2および比較例2の導電率の測定値、ゼーベック係数の測定値および出力因子の算出値を示す図である。横軸は、測定温度を表している。図4の(a)〜(c)において、実施例2の測定値は黒丸で示され、比較例2の測定値は白丸で示されている。
図4の(a)より、37℃〜200℃において、比較例2のn型導電材料は、温度に依存して導電率が変化する一方で、実施例2のn型導電材料は、温度に依存することなく安定した導電率を示すことがわかる。
図4の(b)より、実施例2はいずれの温度においても、比較例2よりもゼーベック係数の絶対値が大きいことから、いずれの温度においても、熱起電力が大きいことがわかる。
図4の(c)より、実施例2のn型導電材料は、比較例2のn型導電材料に比較して、37℃〜200℃のいずれの温度においても、高い出力因子を示すことがわかる。
よって、実施例2および比較例2の比較からも、金属錯体がカーボンナノチューブに内包されることで、出力因子が増大することがわかる。また、図3の(c)と図4の(c)とを比較すると、配位子がベンゼン環を有している方が、より安定したn型導電性を示すとともに高い出力因子を示すことがわかる。
また、実施例1および比較例1で得たn型導電材料並びに比較例3で得たCNTフィルムについて、熱拡散率、定圧比熱、密度および熱伝導率を測定した。熱拡散率としては、フラッシュアナライザー(ネッチ社製、製品名:LFA 467 HyperFlash)を用い、面内方向における熱拡散率を測定した。定圧比熱は、示差走査熱量計(SII NanoTechnology社製、製品名:DSC6200)を用いて測定した。熱伝導率は、得られた熱拡散率、定圧比熱および密度の積から算出した。
測定結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1、比較例1および比較例3において、熱伝導率に大きな差異はなかった。
また、実施例1および比較例1のZTについて検討する。実施例1および比較例1は、熱伝導率がいずれも38W/m・Kである。そして、上述のように実施例1では、比較例1に比べて出力因子が増大する。そのため、実施例1では、出力因子の増大分だけZTを増大できることがわかる。
〔化学安定性〕
実施例1および比較例1で得た、n型導電材料について、未洗浄(0秒後)に加え,99%のエタノール溶液にて100秒間、200秒間、300秒間、400秒間、500秒間、600秒間、700秒間、800秒間、900秒間および1000秒間洗浄し、室温で1時間乾燥した後、37℃においてゼーベック係数を測定した。ゼーベック係数は、ゼーベック効果測定装置(MMR technologies社製、SB−200)を用いて測定した。
図5は、エタノール洗浄にともなう、実施例1および比較例1の、37℃におけるゼーベック係数の変化を示す図である。横軸は、エタノール洗浄の処理時間を示している。図5において、実施例1の測定値は黒丸で示され、比較例1の測定値は白丸で示されている。
比較例1のn型導電材料は、600〜700秒間のエタノール洗浄の間に、ゼーベック係数が負の値から正の値へと変化した。このことから、比較例1は、エタノール洗浄によって、n型導電性を失ったことがわかる。比較例1は、金属錯体がカーボンナノチューブに内包されていないことから、エタノール洗浄によって、カーボンナノチューブの表面に吸着していた金属錯体が脱離したと考えられる。
一方、実施例1は、1000秒間のエタノール洗浄においても、ゼーベック係数が負の値を示している。このことから、実施例1は、エタノール洗浄後も安定してn型導電性を有することがわかる。実施例1は、金属錯体がカーボンナノチューブに内包されていることから、エタノール洗浄によっても、金属錯体が脱離せずに内包され続けることができると考えられる。すなわち、金属錯体がカーボンナノチューブに内包されることで、化学安定性が改善されると考えられる。
本発明は、熱電発電システム、医療用電源、セキュリティ用電源、航空・宇宙用途等の種々広範な産業において利用可能である。

Claims (6)

  1. 金属錯体を内包したn型カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、n型導電材料。
  2. 上記金属錯体は、金属カチオンと有機配位子とが配位結合した分子であることを特徴とする、請求項1に記載のn型導電材料。
  3. 上記n型カーボンナノチューブの平均内径が、0.6nm〜1000nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のn型導電材料。
  4. 金属錯体と接触させたn型カーボンナノチューブを、真空条件下にて100℃以上で加熱する真空加熱工程を含むことを特徴とする、n型導電材料の製造方法。
  5. 上記金属錯体は、金属カチオンと有機配位子とが配位結合した分子であることを特徴とする、請求項4に記載のn型導電材料の製造方法。
  6. 上記n型カーボンナノチューブの平均内径が、0.6nm〜1000nmであることを特徴とする、請求項4または5に記載のn型導電材料の製造方法。
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