JPWO2018101115A1 - 喫食時の不快な泡立ち感が抑制された、高濃度のco2を含む氷を含有する冷菓 - Google Patents

喫食時の不快な泡立ち感が抑制された、高濃度のco2を含む氷を含有する冷菓 Download PDF

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Abstract

本発明は、喫食時に高濃度CO2氷含有冷菓を口内に入れた際の、高濃度CO2氷由来の発泡感を保持しつつ、高濃度CO2氷由来の不快な泡立ち感や、後味のガス臭さを抑制した高濃度CO2氷含有冷菓や、該高濃度CO2氷含有冷菓の製造方法等を提供することを目的とする。CO2含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させることを特徴とする。CO2含有率が3重量%以上の氷としては、CO2ハイドレートが好ましく挙げられる。

Description

本発明は、CO含有率の高い氷(以下、「高濃度CO氷」とも表示する。)を含有する冷菓(以下、「高濃度CO氷含有冷菓」とも表示する。)であって、該高濃度CO氷由来の発泡感(細かい泡による口中の刺激感)を保持しつつ、高濃度CO氷由来の不快な泡立ち感や、後味のガス臭さが抑制された高濃度CO氷含有冷菓に関する。また、本発明は、かかる高濃度CO氷含有冷菓の製造方法等に関する。
高濃度のCOを含む(CO含有率の高い)氷の一種として、COハイドレート(二酸化炭素ハイドレート)という物質が知られている。COハイドレートとは、水分子の結晶体の空寸に二酸化炭素分子を閉じ込めた包接化合物をいう。結晶体を形成する水分子は「ホスト分子」、水分子の結晶体の空寸に閉じ込められている分子は「ゲスト分子」または「ゲスト物質」と呼ばれる。COハイドレートは、融解するとCO(二酸化炭素)と水に分解するため、融解時にCOを発生させる。COハイドレートは、COと水を、低温、かつ、高圧のCO分圧という条件にすることにより製造することができ、例えば、ある温度であること、及び、その温度におけるCOハイドレートの平衡圧力よりもCO分圧が高いことを含む条件(以下、「COハイドレート生成条件」とも表示する。)において製造することができる。上記の「ある温度であること、及び、その温度におけるCOハイドレートの平衡圧力よりもCO分圧が高い」条件は、非特許文献1のFigure 2.や、非特許文献2のFigure 7.やFigure 15.に開示されているCOハイドレートの平衡圧力曲線(例えば縦軸がCO圧力、横軸が温度を表す)において、かかる曲線の高圧側(COハイドレートの平衡圧力曲線において、例えば縦軸がCO圧力、横軸が温度を表す場合は、該曲線の上方)の領域内の温度とCO圧力の組合せの条件として表される。また、COハイドレートは、水の代わりに微細な氷をCOと、低温、かつ、低圧のCO分圧という条件下で反応させて製造することもできる。COハイドレートを製造する際のCOの圧力が高くなるほど、また、COと水の温度が低くなるほど、COハイドレートのCO含有率が高くなる傾向がある。COハイドレートのCO含有率は、COハイドレートの製法にもよるが、約3〜28重量%程度とすることができ、炭酸水のCO含有率(約0.5重量%程度)と比較して顕著に高い。
COハイドレートの用途として、COハイドレートを飲料に添加、混合することが知られている。例えば特許文献1には、COハイドレートを飲料に混合することにより、その飲料に炭酸を付与して、炭酸飲料を製造することが、特許文献2には、COハイドレートを氷で覆って形成した炭酸補充媒体を飲料に添加することによって、ぬるくなった飲料を冷却すると共に、気が抜けた飲料に炭酸ガスを補充することが開示されている。
また、COハイドレートの用途として、COハイドレートを、カキ氷、アイスクリーム等の冷菓に混入することも知られている。例えば特許文献3には、COハイドレートを、カキ氷、アイスクリーム等の冷菓に混入することにより、該冷菓を喫食した者の口腔内でCOハイドレートが融解することとなり、その結果、該冷菓において、炭酸特有のシュワシュワ感の他、口中で冷菓が弾けるような刺激的な食感を発生させられることが開示されている。また、特許文献4には、アイススラリーと、氷の粒と、二酸化炭素−水抱接化合物含有粒子とを混合してウォーターアイスを製造すると、6ヶ月間冷凍貯蔵した後であっても、冷凍庫から取り出した後すぐにスプーンですくうことが可能なウォーターアイスが得られることが開示されている。また、特許文献5には、水、甘味料、香味料、NOハイドレート粒子(又はNOハイドレート・COハイドレート混合粒)、及び必要に応じて安定化剤、乳化剤、タンパク質を含み、公知のものと異なる食味特性(例えば味覚)を有する冷凍菓子製品が開示されている。
冷菓には、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓等が含まれる。アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスについては、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格に関する省令」に規定があり、乳成分(乳固形分、乳脂肪分)の含有量により区分されている。かかる乳成分の含有量の区分について述べると、アイスクリームとは、乳固形分を15.0%以上(うち乳脂肪が8.0%以上)含んでいるものであり、アイスミルクとは、乳固形分を10.0%以上(うち乳脂肪が3.0%以上)含んでいるものであり、ラクトアイスとは乳固形分3.0%以上入っているものである。また、氷菓の乳成分含有量は、乳固形分3.0%未満である。例えばアイスミルクやラクトアイス等は、乳脂肪以外の脂肪分として、乳脂肪と共に、あるいは、乳脂肪を含まずに、植物油脂を含んでいる場合がある。かかる植物油脂として、パーム油、ヤシ油などが広く用いられている。
飲食品に添加して用いられる油脂として様々な油脂が知られている。かかる油脂には、融点が比較的低い低融点油脂と、融点が比較的高い高融点油脂があり、低融点油脂としては、綿実油(融点:−6〜4℃)、なたね油(融点:−12〜0℃)、大豆油(融点:−8〜−7℃)、コーン油(融点:−15〜−10℃)、ひまわり油(融点:−18〜−16℃)などが知られており、高融点油脂としては、パーム油(融点:27〜50℃)、ヤシ油(融点:20〜28℃)、バター(乳脂肪)(融点:25〜36℃)、ココアバター(融点:32〜39℃)などが知られている。アイスクリーム等の冷菓に用いる油脂の融点と、その冷菓の食感等との関係について、低融点油脂は、口どけはよいが保形性が低く、高融点油脂は、保形性はよいが口どけがあまりよくないとされている。また、特許文献6には、気泡、氷結晶、および脂肪球を分散した状態で含むアイスクリームであって気泡の50%以上の円相当径が30μm〜56μmの範囲内にあり、氷結晶の50%以上の円相当径が21μm〜56μmの範囲内にあり、かつ脂肪球の粒子径が0μmを越えかつ1.2μm以下である、アイスクリームが開示されており、かかるアイスクリームに使用する油脂として、融点が0℃以上10℃以下である油脂が、油っぽさがなくみずみずしい風味を有するアイスクリームを得る観点から好ましいことが開示されている。
しかし、COハイドレート等の、CO含有率の高い氷(例えば、CO含有率3%以上の氷)を含有する冷菓(高濃度CO氷含有冷菓)に、融点が10℃以下の低融点油脂を含有させることは知られておらず、ましてや、融点が10℃以下の低融点油脂を高濃度CO氷含有冷菓の喫食時の不快な泡立ち感や後味のガス臭さを抑制させるために用いることは知られていなかった。
特開2005−224146号公報 特許4969683公報 特許4716921号公報 特許4169165号公報 特許2781822号公報 特開2001−231457号公報
J. Chem. Eng. Data (1991) 36, 68-71 J. Chem. Eng. Data (2008), 53, 2182-2188
前述したような背景技術の状況下、本発明者らは、高濃度CO氷含有冷菓の実用化に向けた開発を進めていく過程で、高濃度CO氷含有冷菓の香味について具体的に検討を行った。その結果、高濃度CO氷含有冷菓には、喫食時に高濃度CO氷含有冷菓を口内に入れた際、高濃度CO氷由来の泡立ちが口内で過度に生じ、該冷菓を口に含み続けていることが困難になるなど、不快な泡立ち感が生じる場合があるという課題aや、喫食した際に口内で生じる高濃度CO氷由来の炭酸ガスにより、該冷菓の後味に炭酸ガス独特のガス臭さが強く残ってしまう場合があるという課題bを見いだした。これらの課題はこれまでに知られておらず、本発明者らが新たに見いだした新規な課題である。一方で、高濃度CO氷を含有しない冷菓と比較した高濃度CO氷含有冷菓の特長、すなわち、喫食時に高濃度CO氷含有冷菓を口内に入れた際の、高濃度CO氷由来の発泡感を保持すること(課題c)も、消費者への訴求力を確保するためにも重要であった。
上記課題a〜cを踏まえた本発明の課題は、喫食時に高濃度CO氷含有冷菓を口内に入れた際の、高濃度CO氷由来の発泡感を保持しつつ、高濃度CO氷由来の不快な泡立ち感や、後味のガス臭さを抑制した高濃度CO氷含有冷菓や、該高濃度CO氷含有冷菓の製造方法等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、様々な検討を行ったところ、CO含有率が3重量%以上の氷と、融点が10℃以下の油脂を併用すること、言い換えると、CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させることによって、本発明の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)CO含有率が3重量%以上の氷と、融点が10℃以下の油脂とを含有することを特徴とする冷菓や、
(2)CO含有率が3重量%以上の氷が、COハイドレートであることを特徴とする上記(1)に記載の冷菓や、
(3)融点が10℃以下の油脂が、ナタネ油、綿実油、大豆油、コーン油及びヒマワリ油からなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の冷菓や、
(4)融点が10℃以下の油脂の含有量が、冷菓ミックス全量に対して0.2〜20重量%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の冷菓や、
(5)CO含有率が3重量%以上の氷の含有量が、冷菓ミックス全量に対して1〜50重量%であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の冷菓に関する。
また、本発明は、
(6)CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含むことを特徴とする冷菓の製造方法に関する。
さらに、本発明は、
(7)CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含むことを特徴とする、前記冷菓を喫食した際の前記氷由来の発泡感を保持しつつ、不快な泡立ち感及び/又は後味のガス臭さを抑制する方法に関する。
本発明によれば、喫食時に高濃度CO氷含有冷菓を口内に入れた際の、高濃度CO氷由来の発泡感を保持しつつ、不快な泡立ち感や、後味のガス臭さを抑制した高濃度CO氷含有冷菓を提供することができる。また、本発明によれば、かかる高濃度CO氷含有冷菓の製造方法等を提供することができる。
本発明は、
[1]CO含有率が3重量%以上の氷と、融点が10℃以下の油脂とを含有することを特徴とする冷菓(以下、「本発明の冷菓」とも表示する。):や、
[2]CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含むことを特徴とする冷菓の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも表示する。):や、
[3]CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含むことを特徴とする、前記冷菓を喫食した際の前記氷由来の発泡感を保持しつつ、不快な泡立ち感及び/又は後味のガス臭さを抑制する方法(以下、「本発明の抑制方法」とも表示する。):などの実施態様を含んでいる。
<融点が10℃以下の油脂>
本発明で使用する「融点が10℃以下の油脂」(以下、「本発明における低融点油脂」とも表示する。)としては、飲食品に使用可能な油脂であって、融点が10℃以下である油脂(好ましくは植物油脂)である限り特に制限されないが、より優れた本発明の効果を得る観点から、融点が8℃以下である油脂(好ましくは植物油脂)が好ましく、融点が5℃以下である油脂(好ましくは植物油脂)がより好ましい。融点が10℃以下である植物油脂として具体的には、綿実油(−6〜4℃)、なたね油(−12〜0℃)、ゴマ油(−6〜−3℃)、米油(−10〜−5℃)、大豆油(−8〜−7℃)、コーン油(−15〜−10℃)、ひまわり油(融点:−18〜−16℃)、オリーブオイル(0〜6℃)が挙げられ、融点が5℃以下である植物油脂としては、綿実油、なたね油、ゴマ油、米油、大豆油、コーン油、ひまわり油が挙げられる。また、融点が10℃以下の油脂は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本明細書における油脂の「融点」とは、透明融点を意味する。透明融点とは、固体状の油脂を規定の方法に基づき加熱した場合、油脂がすべて融解して透明になる温度をいう。油脂の透明融点は、日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」に規定の方法に準じて測定することができる。これらの測定法を利用することにより、ある油脂が本発明における低融点油脂に該当するかどうかなど、容易に確認することができる。
<CO含有率が3重量%以上の氷>
本発明で使用する「CO含有率が3重量%以上の氷」(高濃度CO氷)としては、CO含有率が3重量%以上の氷である限り特に制限されず、COハイドレートではない高濃度CO氷であってもよいが、より十分な発泡感を得る観点から、COハイドレートであることが好ましい。また、本発明における高濃度CO氷として、COハイドレートを用いずに、COハイドレートではない高濃度CO氷を用いてもよいし、COハイドレートではない高濃度CO氷を用いずに、COハイドレートを用いてもよいし、COハイドレートではない高濃度CO氷と、COハイドレートを併用してもよい。
本発明における高濃度CO氷(好ましくはCOハイドレート)の形状としては、本発明の冷菓の香味設計等に応じて適宜設定することができ、例えば、略球状;略楕円体状;略直方体形状等の略多面体形状;あるいは、これらの形状にさらに凹凸を備えた形状;などが挙げられ、また、高濃度CO氷(好ましくはCOハイドレート)の塊を適宜破砕して得られる様々な形状の破砕片(塊)であってもよい。
本発明における高濃度CO氷(好ましくはCOハイドレート)の大きさとしては、本発明の冷菓の香味設計等に応じて適宜設定することができ、喫食のし易さや、適度な発泡感を得るなどの観点から、例えば、高濃度CO氷(好ましくはCOハイドレート)の最大長として1〜30mm、1〜20mm、1〜15mm、1〜10mmなどが挙げられる。本明細書において「高濃度CO氷の最大長」とは、高濃度CO氷のその塊の表面の2点を結び、かつ、その塊の重心を通る線分のうち、最も長い線分の長さを意味する。なお、高濃度CO氷が例えば略楕円体状である場合は、前記最大長は長径(最も長い直径)を表し、略球状である場合は、前記最大長は直径を表し、略直方体形状である場合は、対角線の中で最も長い対角線の長さを表す。
本発明における高濃度CO氷(好ましくはCOハイドレート)のCO含有率としては、3重量%以上である限り特に制限されず、本発明における冷菓の香味設計等に応じて適宜設定することができるが、一般に好ましい程度の発泡感を得る観点から、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上、さらに好ましくは9重量%以上であることが挙げられ、CO含有率の上限として例えば、25重量%以下、20重量%以下、16重量%以下であることが挙げられる。
本発明における高濃度CO氷のCO含有率は、本発明における高濃度CO氷を製造する際の「CO分圧の高低」などにより調整することができ、例えばCO分圧を高くすると、高濃度CO氷のCO含有率を高くすることができる。また、高濃度CO氷がCOハイドレートである場合は、COハイドレートを製造する際の「CO分圧の高低」、「脱水処理の程度」、「圧密成型処理を行うか否か」、「圧密成型処理する場合の圧密の圧力の高低」などにより調整することができる。例えば、COハイドレートを製造する際の「CO分圧を高くし」、「脱水処理の程度を上げ」、「圧密成型処理を行い」、「圧密成型処理する場合の圧密の圧力を高くする」と、COハイドレートのCO含有率を高くすることができる。なお、COハイドレート等の高濃度CO氷が融解すると、該COハイドレート等の高濃度CO氷に含まれていたCOが放出され、その分の重量が減少するので、COハイドレート等の高濃度CO氷のCO含有率は、例えば、COハイドレート等の高濃度CO氷を常温で融解させた際の重量変化から、下記式を用いて算出する事ができる。
(CO含有率)=(融解前のサンプル重量−融解後のサンプル重量)/融解前のサンプル重量)
本発明における高濃度CO氷の製造方法としては、CO含有率が3重量%以上の氷を製造できる限り特に制限されない。COハイドレートではない高濃度CO氷の製造方法としては、COハイドレート生成条件を充たさない条件下で原料水中にCOを吹き込みながら原料水を冷凍する方法が挙げられる。また、COハイドレートの製造方法としては、COハイドレート生成条件を充たす条件下で原料水中にCOを吹き込みながら原料水を攪拌する気液攪拌方式や、COハイドレート生成条件を充たす条件下でCO中に原料水をスプレーする水スプレー方式等の常法を用いることができる。これらの方式で生成されるCOハイドレートは、通常、COハイドレートの微粒子が、未反応の水と混合しているスラリー状であるため、COハイドレートの濃度を高めるために、脱水処理を行うことが好ましい。脱水処理によって含水率が比較的低くなったCOハイドレート(すなわち、比較的高濃度のCOハイドレート)は、ペレット成型機で一定の形状(例えば球状や直方体状)に圧縮成型することが好ましい。圧縮成型したCOハイドレートは、そのまま本発明に用いてもよいし、必要に応じてさらに破砕等したものを用いてもよい。なお、COハイドレートの製造方法としては、前述のように、原料水を用いる方法が比較的広く用いられているが、水(原料水)の代わりに微細な氷(原料氷)をCOと、低温、かつ、低圧のCO分圧という条件下で反応させてCOハイドレートを製造する方法を用いることもできる。
上記の「COハイドレート生成条件」は、前述したように、その温度におけるCOハイドレートの平衡圧力よりCO分圧(CO圧力)が高い条件である。上記の「COハイドレートの平衡圧力よりもCO分圧が高い条件」は、非特許文献1(J. Chem. Eng. Data (1991) 36, 68-71)のFigure 2.や、非特許文献2(J. Chem. Eng. Data (2008), 53, 2182-2188)のFigure 7.やFigure 15.に開示されているCOハイドレートの平衡圧力曲線(例えば縦軸がCO圧力、横軸が温度を表す)において、かかる曲線の高圧側(COハイドレートの平衡圧力曲線において、例えば縦軸がCO圧力、横軸が温度を表す場合は、該曲線の上方)の領域内のCO圧力と温度の組合せの条件として表される。COハイドレート生成条件の具体例として、「−20〜4℃の範囲内」と「二酸化炭素圧力1.8〜4MPaの範囲内」の組合せの条件や、「−20〜−4℃の範囲内」と「二酸化炭素圧力1.3〜1.8MPaの範囲内」の組合せの条件が挙げられる。
本発明における高濃度CO氷は、COと氷のみからなる高濃度CO氷であってもよいが、COと氷のほかに任意成分を含んでいてもよい。高濃度CO氷における該任意成分としては、例えば、融点が10℃より高い油脂、乳脂肪以外の乳成分、甘味成分、安定剤、乳化剤、風味原料、着色料、香料、酸味料、塩類、アルコール、及び、カフェインからなる群から選択される1種又は2種以上の物質が挙げられる。なお、かかる高濃度CO氷における任意成分は、後述の本発明の冷菓における任意成分に関する記載にて詳述する。
<本発明の冷菓>
本発明の冷菓としては、CO含有率が3重量%以上の氷と、融点が10℃以下の油脂とを含有している限り特に制限されない。
本明細書において「冷菓」とは、凍結状態で消費者に提供される菓子を意味し、具体的には以下の(A)及び(B)を含む。
(A)アイスクリーム類(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓)
食品衛生法上の規定に基づく乳及び乳製品の成分規格等に関する省令に適合するもの、あるいは食品衛生法の規定に基づく食品、添加物等の規定に基づく食品、添加物等の規格基準に適合し、液糖もしくは他食品を混和した液体を冷凍したもの又は食用氷を粉砕し、これに液糖若しくは他食品を混和して再凍結したものであって、凍結状のまま食用に供するもの、またはこれらに類するもの。
(B)アイスクリーム類を含む又は含まない凍結状態の菓子。
具体的には、上記(A)には、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、アイスキャンデー、みぞれ、かき氷、シャーベット、シェイク等が挙げられる。また、上記(B)における「アイスクリーム類を含む凍結状態の菓子」としては、フローズンヨーグルト、アイスケーキ(アイスとスポンジケーキ等を含む凍結状態の菓子)などが挙げられる。
また、本明細書における「冷菓」には、CO含有率が3重量%以上の氷と、融点が10℃以下の油脂とを含有しているものであって、CO含有率が3重量%以上の氷を除いた部分が、上記(A)又は(B)に該当するものも含まれる。
本発明における冷菓は、喫食した際に高濃度CO氷から生じるCOガスの発泡感が、冷菓本来の風味や食感と合わさって、従来の冷菓になかった新規な食感、風味を醸し出すことができる。
本発明における低融点油脂の使用量(冷菓における低融点油脂の含有量又は添加量)としては、特に制限されず、本発明における低融点油脂の種類や、本発明における高濃度CO氷のCO含有率、本発明における高濃度CO氷の冷菓における含有量、本発明における冷菓の任意成分の組成等に応じて、当業者は適宜設定することができる。本発明の効果を十分に得る観点から、本発明における低融点油脂の好ましい使用量(含有量又は添加量)として、冷菓ミックス全量に対して0.2〜20重量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%が挙げられる。
本発明における高濃度CO氷の使用量(冷菓における高濃度CO氷の含有量)としては、特に制限されず、本発明における高濃度CO氷のCO含有率、本発明における低融点油脂の種類、本発明における低融点油脂の冷菓における含有量、本発明における冷菓の任意成分の組成等に応じて、当業者は適宜設定することができる。高濃度CO氷のCO含有率等にもよるが、本発明の効果を十分に得る観点から、本発明における高濃度CO氷の好ましい使用量として、冷菓ミックス全量に対して1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%が挙げられる。なお、本明細書において「冷菓ミックス」とは、高濃度CO氷以外の冷菓の原材料の全部又は一部(好ましくは全部)の混合物を意味し、本明細書において「冷菓ミックス全量」とは、高濃度CO氷以外の冷菓の原材料の全部の混合物を意味する。
本発明の冷菓は、本発明における高濃度CO氷と、本発明における低融点油脂のみから構成されている冷菓であってもよいが、かかる高濃度CO氷と、低融点油脂のほかに、任意成分を含んでいてもよい。本発明の冷菓における該任意成分としては、例えば、融点が10℃より高い油脂、乳脂肪以外の乳成分、甘味成分、安定剤、乳化剤、風味原料、着色料、香料、酸味料、塩類、アルコール、及び、カフェインからなる群から選択される1種又は2種以上の物質が挙げられる。本発明の冷菓が任意成分を含んでいる場合、該任意成分は、本発明における高濃度CO氷に含まれており、冷菓ミックスに含まれていなくてもよいし、本発明における高濃度CO氷に含まれておらず、冷菓ミックスに含まれていてもよいし、本発明における高濃度CO氷と冷菓ミックスの両方に含まれていてもよい。本発明における高濃度CO氷と冷菓ミックスの両方に任意成分が含まれている場合、任意成分の種類や濃度は、高濃度CO氷と冷菓ミックスとで同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、かかる任意成分は市販のものを使用することができる。また、任意成分の使用量(冷菓における任意成分の濃度)は、本発明を妨げない範囲で適宜設定することができる。
上記の「融点が10℃より高い油脂」としては、クリーム、バター等の乳脂肪(融点:25〜36℃)、パーム油(融点:27〜50℃)、ココアバター(融点:32〜39℃)、ヤシ油(融点:20〜28℃)等が挙げられ、香味等に優れている点で、乳脂肪、パーム油が好ましく挙げられる。また、融点が10℃より高い油脂は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の冷菓において、本発明における低融点油脂と、融点が10℃より高い油脂とを併用すると、冷菓のオーバーラン(冷菓における空気の含有率)、保形性、口どけのバランスが向上するため好ましい。
上記の「乳脂肪以外の乳成分」としては、脱脂粉乳、ホエイ、カゼイン等が挙げられる。なお、乳脂肪以外の乳成分と、乳脂肪の両方を本発明の冷菓に用いる場合、乳脂肪以外の乳成分と乳脂肪を両方含む乳成分(例えばクリーム、全粉乳、乳)を用いてもよい。
上記の「甘味成分」とは、甘味を呈する成分のことをいい、かかる甘味成分には、黒砂糖、白下糖、カソナード(赤砂糖)、和三盆、ソルガム糖、メープルシュガーなどの含蜜糖、ザラメ糖(白双糖、中双糖、グラニュー糖など)、車糖(上白糖、三温糖など)、加工糖(角砂糖、氷砂糖、粉砂糖、顆粒糖など)、液糖などの精製糖、単糖類(ぶどう糖、果糖、木糖、ソルボース、ガラクトース、異性化糖など)、二糖類(蔗糖 、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、パラチノースなど)、オリゴ糖類(フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガーなど)、糖アルコール類(エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール、オリゴ糖アルコール、粉末還元麦芽糖水飴)などのような糖質甘味料の他、天然非糖質甘味料(ステビア抽出物、カンゾウ抽出物等)や合成非糖質甘味料(アスパルテーム、アセスルファムK等)のような高甘味度甘味料などの甘味料が挙げられる。甘味成分は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の「安定剤」としては、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、タマリンドガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タラガム、カルボキシメチルセルロース、水溶性セルロース、ペクチン、ポリデキストロース、プルラン、プロピレングリコール、ゼラチン、アラビアガム、ダイユータンガム、デンプン、デキストリン、アルギン酸、イナゴマメゴム等が挙げられ、中でも、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、ローカストビーンガムなどが好ましく挙げられ、中でも、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガムがより好ましく挙げられる。安定剤は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の「乳化剤」としては、食用として使用できるものを広く採用することができ、例えば、脂肪酸モノグリセリド(酢酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、りんご酸モノグリセリド等)、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、キラヤサポニン、ユッカサポニン、大豆サポニン、化工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化澱粉、酢酸、リン酸等を反応させたエステル化澱粉、2ヶ所以上の澱粉の水酸基間に多官能基を結合させた架橋澱粉、湿熱処理澱粉等)等が挙げられる。乳化剤は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の「風味原料」としては、果汁、果肉、抹茶、レーズン、ココア、卵黄等が挙げられる。風味原料は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の冷菓における低融点油脂や、任意成分の濃度は、その冷菓を融解して得られる溶液について、例えばHPLC法、GC−MS法、LC−MS法などの公知の方法を適用することにより測定することができる。
本発明の冷菓は、カップ容器、コーン、ワッフル生地などに充填されていなくてもよいが、充填されていてもよい。また、本発明の冷菓は、包装容器内に収容されていてもよいし、収容されていなくてもよい。
本発明の冷菓を保存する際には、該冷菓の凍結状態を保持することが好ましい。保存温度の上限温度としては、好ましくは0℃以下、より好ましくは−5℃以下、さらに好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下、さらに好ましくは−20℃、より好ましくは−25℃が挙げられ、下限温度としては、−273℃以上、−80℃以上、−50℃以上、−40℃以上、−30℃以上などが挙げられる。
本明細書において「高濃度CO氷由来の不快な泡立ち感が抑制された」高濃度CO氷含有冷菓とは、本発明における低融点油脂を含有させないこと以外は、同種の原料を同じ最終濃度になるように用いて同じ製法で製造した高濃度CO氷含有冷菓(以下、「比較高濃度CO氷含有冷菓」とも表示する。)と比較して、高濃度CO氷由来の泡立ち感が抑制された高濃度CO氷含有冷菓を意味する。本発明では、高濃度CO氷含有冷菓を口に含んだ際に口の中で感じる膨張感を高濃度CO氷由来の不快な泡立ち感として評価した。
本明細書において「高濃度CO氷由来の後味のガス臭さが抑制された」高濃度CO氷含有冷菓とは、上記の比較高濃度CO氷含有冷菓と比較して、高濃度CO氷由来の後味のガス臭さが抑制された高濃度CO氷含有冷菓を意味する。本発明では、炭酸ガスを含む飲食物を口に含んだ際に、鼻に炭酸ガスが抜ける事によって鼻の粘膜が刺激される刺激臭を高濃度CO氷由来の後味のガス臭さとして評価した。
ある高濃度CO氷含有冷菓の「高濃度CO氷由来の不快な泡立ち感」や「高濃度CO氷由来の後味のガス臭さ」が、比較高濃度CO氷含有冷菓と比較してどのようであるか(例えば、抑制されているかどうか)は、訓練されたパネラーであれば、容易かつ明確に決定することができる。評価の基準や、パネラー間の評価のまとめ方は、一般的な方法を用いることができ、例えば、後述の実施例の「[2]COハイドレート含有冷菓サンプルの官能評価」に記載の評価基準等を用いた方法と同様の方法、好ましくは、後述の実施例の「[2]COハイドレート含有冷菓サンプルの官能評価」に記載の評価基準等を用いた方法と同じ方法を好適に用いることができる。より具体的には、後述の実施例の「[2]COハイドレート含有冷菓サンプルの官能評価」に記載の評価基準において、比較高濃度CO氷含有冷菓と比較して、高濃度CO氷由来の不快な泡立ち感が、明確に抑制されている(評価:「○」)高濃度CO氷含有冷菓は、「不快な泡立ち感が抑制された」高濃度CO氷含有冷菓に含まれ、比較高濃度CO氷含有冷菓と比較して、高濃度CO氷由来の後味のガス臭さが明確に抑制されている(評価:「○」)高濃度CO氷含有冷菓は、「後味のガス臭さが抑制された」高濃度CO氷含有冷菓に含まれる。
本明細書において「高濃度CO氷由来の発泡感を保持した」高濃度CO氷含有冷菓は、本発明における高濃度CO氷と、本発明における低融点油脂とを含有している限り特に制限されないが、該高濃度CO氷におけるCO含有率の下限が、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上、さらに好ましくは9重量%以上であり、上限が、好ましくは25重量%以下、20重量%以下又は16重量%以下であり、かつ、低融点油脂の含有量が、冷菓ミックス全量に対して好ましくは0.2〜20重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である高濃度CO氷含有冷菓が好適に挙げられる。
<本発明の冷菓の製造方法>
本発明の冷菓の製造方法は、融点が10℃以下の油脂(低融点油脂)と、CO含有率が3重量%以上の氷(高濃度CO氷)を冷菓が含有するようにすること以外は、公知の冷菓の製造方法を用いることができる。アイスクリーム類の一般的な製造方法としては、原材料の混合、均質化、加熱殺菌、冷却、エージング、フリージング、充填・包装、硬化、という各工程を含んでいる製造方法が挙げられる。なお、本発明の冷菓の製造方法により、本発明の冷菓を製造することができる。
本発明の冷菓の製造方法としては、CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含んでいる限り特に制限されないが、高濃度CO氷以外の冷菓の原材料の全部又は一部(好ましくは全部)の混合物(以下、「冷菓ミックス」とも表示する。)と、高濃度CO氷を混合する工程を含んでいることが好ましく、以下の工程X及び工程Yを含んでいることがより好ましい。
融点が10℃以下の油脂を含有する冷菓ミックスを調製する工程X:
冷菓ミックスと、CO含有率が3重量%以上の氷とを混合する工程Y:
工程Xで調製される冷菓ミックスは、高濃度CO氷以外の冷菓の原材料の全部を含んでいることが好ましい。かかる工程Xとしては、融点が10℃以下の油脂を冷菓ミックスに添加する工程や、高濃度CO氷以外の冷菓の原材料の全部を混合して冷凍ミックスを調製する工程が好ましく挙げられる。本発明の製造方法は、上記工程Xと工程Yの間に、上記工程Xで調製した冷菓ミックスを均質化処理及び/又は加熱殺菌処理する工程を有していなくてもよいが、上記工程Xで調製した冷菓ミックスを均質化処理及び/又は加熱殺菌処理する工程を有していることが好ましく、上記工程Xで調製した冷菓ミックスを均質化処理及び加熱殺菌処理する工程を有していることがより好ましい。
工程Yにおける冷菓ミックスは、高濃度CO氷以外の冷菓の原材料の全部を含んでいることが好ましい。工程Yで、冷菓ミックスと、高濃度CO氷とを混合する際の前記冷菓ミックスの温度は−8〜5℃が好ましい。工程Yにおける冷菓ミックスと、高濃度CO氷との混合は、エージング工程又はフリージング工程で行うことが好ましい。
工程Yで冷菓ミックスと高濃度CO氷とを混合すると、本発明の冷菓が得られる。本発明の製造方法は、工程Yで得られた本発明の冷菓を充填・包装する工程、及び/又は、本発明の冷菓を硬化する工程を、工程Yより後に有していることが好ましい。
本発明の冷菓の好ましい態様のうち、本発明の冷菓の製造方法の好ましい態様として使用することができる態様は、本発明の冷菓の製造方法の好ましい態様として使用することができる。
<本発明の冷菓における不快な泡立ち感等を抑制する方法>
本発明の抑制方法は、冷菓を喫食した際の高濃度CO氷由来の発泡感を保持しつつ、不快な泡立ち感及び/又は後味のガス臭さを抑制する方法である。
本発明の抑制方法としては、CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含んでいる限り特に制限されないが、高濃度CO氷以外の冷菓の原材料の全部又は一部(好ましくは全部)の混合物(冷菓ミックス)と、高濃度CO氷を混合する工程を含んでいることが好ましく、上記の工程X及び工程Yを含んでいることがより好ましい。
本発明の冷菓の製造方法の好ましい態様のうち、本発明の抑制方法の好ましい態様として使用することができる態様は、本発明の抑制方法の好ましい態様として使用することができる。
<本発明のその他の態様>
本発明の態様には、喫食した際の高濃度CO氷の発泡感を保持しつつ、不快な泡立ち感及び/又は後味のガス臭さを抑制した冷菓を製造するための、高濃度CO氷及び低融点油脂の使用なども含まれる。
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[1]COハイドレート含有冷菓の調製
[1−1]COハイドレートの調製
先行文献(特許第3090687号、特表2004−512035、特許第4969683号)を参考に、COハイドレートの生成を行った。具体的には、4Lの水にCOガスを3MPaとなるように吹き込み、撹拌をしながら1℃でハイドレート生成反応を進行させ、COハイドレートを含むシャーベット状のスラリーを作製した。このシャーベット状のスラリーを、−20℃まで冷却した後、COハイドレートとして回収し、液体窒素上で1粒の直径が1mm〜7mmとなるよう調製した。なお、これらのCOハイドレートのCO含有率は15%であった。
[1−2]冷菓ミックスの調製
アイスクリームフリーザー(TGM−800N、タイジ社製)を用いて、以下の表1に示す組成の冷菓ミックスを調製した。なお、油脂の添加の有無、油脂の種類、及び、冷菓ミックス中の油脂の終濃度(重量%)は、後述の表2に示す。
[1−3]COハイドレート含有冷菓サンプルの調製
上記[1−2]で調製した各冷菓ミックス 30gに対して、上記[1−1]で調製したCOハイドレート(直径1mm〜7mm)を3gずつ添加し、混合して、各COハイドレート含有冷菓サンプル(比較例1〜5、実施例1〜6)とした。
[2]COハイドレート含有冷菓サンプルの官能評価
上記[1−3]で調製した各COハイドレート含有冷菓サンプル(比較例1〜5、実施例1〜6)の食感や味覚について、訓練されたパネラー3名により官能評価を実施した。官能評価の基準としては、油脂無添加のCOハイドレート含有冷菓サンプル(比較例1)と比較して、そのCOハイドレート含有冷菓サンプルにおける「COハイドレート由来の不快な泡立ち感」や「COハイドレート由来の後味のガス臭さ」が明確に抑制されている(「○」)、わずかに抑制されているようであるが比較例1との違いが明確ではない(「△」)、抑制されているか分からない(「×」)、とした。かかる官能評価の結果を以下の表3に示す。
表3の結果に示されているように、冷菓ミックスに油脂を添加していない比較例1サンプルは、パネラーがそれを口内に入れた際に、COハイドレート由来の泡立ちが激しく生じ、サンプルを口に含み続けていることが困難であった(課題a)。また、比較例1サンプルは、喫食した際に口内でCOハイドレート由来の炭酸ガスが多く生じ、それにより、該冷菓の後味に炭酸ガス独特のガス臭さが強く残った(課題b)。
一方、融点が比較的低い(融点が10℃以下の)植物油脂を冷菓ミックスに添加して、冷菓ミックス中の該植物油脂濃度を0.5重量%以上25重量%未満となるように調整すると、油脂無添加の比較例1サンプルと比較して、「COハイドレート由来の不快な泡立ち感」や「COハイドレート由来の後味のガス臭さ」が明確に抑制されることが示された(実施例1〜実施例6参照)。融点が10℃以下の植物油脂のかかる抑制効果は、なたね油(融点:−12〜0℃)(実施例1〜4)だけでなく、綿実油(融点:−6〜4℃)(実施例5)や、大豆油(融点:−8〜−7℃)(実施例6)でも認められた。他方、融点が比較的高い(融点が20℃以上の)植物油脂であるパーム油(融点:27〜50℃)やヤシ油(融点:20〜25℃を冷菓ミックスに10重量%となるように添加したサンプル(比較例3、比較例4)では、融点が10℃以下の植物油脂を添加したサンプルとは異なり、不快な泡立ち感や後味のガス臭さの抑制効果は明確には認められず、やや抑制されているに過ぎなかった。これらのことから、上記の不快な泡立ち感や後味のガス臭さを抑制するには、融点が10℃以下の油脂を用いることが重要であることが示された。
ただ、冷菓ミックスにおけるなたね油の濃度が0.1重量%であるサンプル(比較例2)は、かかる油脂の濃度が十分でないのか、不快な泡立ち感や後味のガス臭さの抑制効果は認められなかった。また、冷菓ミックスにおけるなたね油の濃度が25重量%であるサンプル(比較例3)は、不快な泡立ち感や後味のガス臭さの抑制効果は得られるものの、冷菓としての保形性が悪く、実用化に適さないことが分かった。これらのことから、融点が10℃以下の油脂の冷菓ミックスにおける濃度は、例えば0.2〜20重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましいことが示された。
本発明によれば、喫食時に高濃度CO氷含有冷菓を口内に入れた際の、高濃度CO氷由来の発泡感を保持しつつ、高濃度CO氷由来の不快な泡立ち感や、後味のガス臭さを抑制した高濃度CO氷含有冷菓を提供することができる。また、本発明によれば、かかる高濃度CO氷含有冷菓の製造方法等を提供することができる。

Claims (7)

  1. CO含有率が3重量%以上の氷と、融点が10℃以下の油脂とを含有することを特徴とする冷菓。
  2. CO含有率が3重量%以上の氷が、COハイドレートであることを特徴とする請求項1に記載の冷菓。
  3. 融点が10℃以下の油脂が、ナタネ油、綿実油、大豆油、コーン油及びヒマワリ油からなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷菓。
  4. 融点が10℃以下の油脂の含有量が、冷菓ミックス全量に対して0.2〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷菓。
  5. CO含有率が3重量%以上の氷の含有量が、冷菓ミックス全量に対して1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷菓。
  6. CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含むことを特徴とする冷菓の製造方法。
  7. CO含有率が3重量%以上の氷を含有する冷菓の製造において、融点が10℃以下の油脂を前記冷菓に含有させる工程を含むことを特徴とする、前記冷菓を喫食した際の前記氷由来の発泡感を保持しつつ、不快な泡立ち感及び/又は後味のガス臭さを抑制する方法。
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