JP2004261063A - 乳成分含有ゲル状食品用乳化剤 - Google Patents

乳成分含有ゲル状食品用乳化剤 Download PDF

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佳恵 高田
Seiji Sasada
誠治 笹田
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Abstract

【課題】内容成分が均質で「荒れる」という現象が生じておらず、きめが細かく舌触りのよい食感を有する乳成分含有ゲル状食品用乳化剤、該乳化剤を使用した乳成分含有ゲル状食品並びにその製造方法、及び該乳化剤による乳成分含有ゲル状食品のミルク感の増強方法の提供。
【解決手段】有機酸モノグリセリドであるグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの1種又は2種以上を含有することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品製造用の乳化剤。添加量は乳成分含有ゲル状食品に対し0.02〜0.2重量%である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳成分含有ゲル状食品製造用の乳化剤に関する。詳細には、本発明は、内容成分が均質で「荒れる」という現象が生じておらず、きめが細かく舌触りのよい食感を有する乳成分含有ゲル状食品、好適にはチルドデザートであるプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリーまたは杏仁豆腐等を製造する際に添加する乳化剤、および該乳化剤を使用した乳成分含有ゲル状食品、並びに該乳化剤を使用した乳成分含有ゲル状食品の製造方法に関する。
【0002】
なお、本発明でいう「荒れる」及び「荒れ」とは、乳由来のタンパクが凝集すること等によって内容成分の均質性が損なわれること及びその均質性が損なわれた状態を意味する。その結果、「荒れた」食品は、外見上、内容成分が凝集・混濁・懸濁したようなざらざらした質感を呈するとともに、舌触りも悪くなり、さらに凝集成分の沈降等によって味が不均一となり、商品価値が著しく損なわれている。
【0003】
【従来の技術】従来から、乳成分含有ゲル状食品は、その製造において、100℃以上で加熱殺菌した組成物を最終商品の容器へ充填した後、直ちに10℃以下まで急冷しなければ「荒れ」が生じてしまい、商品価値を著しく損なうことが知られている。
【0004】
しかし、かかる急冷処理は大がかりな急冷装置を必要とし、また光熱費がかかる等の問題がある。また、「荒れ」の現象を防止するには冷却速度が重要なファクターとなるが、特に比較的大きな製品を製造する場合は製品の内部域と外部域とでは冷却むらが生じるため、厳しい管理が要求される。このため、従来から、簡便でかつ低コストに製造でき、多くの食品に応用できる方法の開発が求められていた。
【0005】
また、プリン等の乳成分含有ゲル状食品については、レトルト殺菌等の過酷な加熱殺菌を行うと、蛋白質の凝集や沈殿が生じ、ゲルが荒れることがある。この荒れは、乳由来の蛋白質が凝集すること等によって内容成分の均質性が損なわれること及びその均質性が損なわれた状態を意味するが、荒れた乳成分含有ゲル状食品は、通常、外見上、内容成分が凝集・混濁・懸濁したようなざらざらした質感を呈している。また、舌触りも悪く、さらに凝集成分の沈降等によって味が不均一となり、その結果、商品価値が著しく損なわれるという問題がある。
【0006】
係る問題点を解消するため、従来より様々な検討が行われていた。例えば、ナトリウム塩類を使用してUHT殺菌処理された濃縮牛乳組成物でカスタードプリンの縞模様発生を防止する方法(特許文献1)、油脂、乳化剤、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムからなる群から選ばれた1種又は2種以上と第一リン酸ナトリウムとからなるナトリウム塩、カルシウム分を含む非脂肪タンパク含有固形物、及び水とを混合攪拌し、しかる後均質化して得られた濃縮牛乳状組成物(特許文献2)、プリン原料の混合物に天然ガム質と蛋白質からなる乳化剤で処理したカカオバターを加える方法(特許文献3)、ネイティブジェランガムを添加する方法(特許文献4)、SH基含有アミノ酸及び有機酸モノグリセリドを一定量添加することにより、レトルト殺菌による乳を原料とする飲食品の褐変を抑制する方法(特許文献5)等が開示されているが、これらの方法を持ってしても、乳成分含有ゲル状食品の荒れを十分に防止することはできなかった。
【0007】
この他、例えば、安定化剤として寒天を主として用いれば、チルドデザートの安定性はある程度向上するが、食感がざらざらしたものとなり、つるりとした滑らかな食感が要求される食品、例えばプリン、ムース、ババロア等のチルドデザートには適用できない等、多種多様な食品・チルドデザートの多岐に亘る食感に悪影響を与えることなく、「急冷しなければ荒れる」という現象を充分に改善する技術はこれまで知られていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開昭52−25058
【特許文献2】特開昭52−64455
【特許文献3】特開平2−303455
【特許文献4】特開平10−136914
【特許文献5】特開平11−276136
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたもので、「荒れ」を生じず内容成分が均質であり食感がきめ細やかなプリン等の乳成分含有ゲル状食品製造用の乳化剤を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、乳成分含有ゲル状食品に特定の有機酸モノグリセリドを乳化剤として配合することにより、従来のプリン等の製造工程おいて「荒れ」を防止するために必須とされていた急冷工程以外の緩慢な温度条件下における冷却方法、例えば室温下における放冷といった自然冷却や、水冷或いは空冷により冷却しても、「荒れ」を全く生じず内容成分が均一で、艶やかできめ細かな舌触りを有した商品価値の高い乳成分含有ゲル状食品が提供できることを見出した。さらに、従来は香料を添加することで図られていた、乳成分含有ゲル状食品のミルク感が、本発明に係る特定の有機酸モノグリセリドを添加することにより増強されるとの知見が得られた。
【0010】
また、更なる研究によって、本発明者らは、従来「荒れ」の問題がなかった乳成分含有ゲル状食品であっても、本発明に係る乳化剤を配合することにより、乳原料等の内容成分がより均質にかつ安定に分散されてより一層きめ細かになり、舌触りのよい食感を呈するようになることを確認しており、特に食感の良さが求められる乳成分含有ゲル状食品への広い応用が期待される。
【0011】
すなわち本発明は、有機酸モノグリセリドであるグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの1種又は2種以上を含有することを特徴とする乳化剤、該乳化剤を使用した乳成分含有ゲル状食品及び該乳化剤を使用した乳成分含有ゲル状食品の製造方法並びに、乳成分含有ゲル状食品のミルク感の増強方法に関する。
【0012】
また、本発明は、上記乳成分含有ゲル状食品の中でも、特にプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリーまたは杏仁豆腐等のチルドデザートに有効である。
【0013】
更に本発明は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程において、乳化剤としてグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの1種又は2種以上を含有した乳化剤を加熱殺菌工程前に添加する乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法に関する。即ち、本発明は、下記の態様を含むものである。
【0014】
項1)グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの1種又は2種以上を含有することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品用乳化剤。
項2)項1に記載の乳化剤を乳成分含有ゲル状食品に対し0.02〜0.2重量%添加することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品。
項3)項1に記載の乳化剤を加熱殺菌工程前に添加する乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法。
項4)項1に記載の乳化剤を用いた乳成分含有ゲル状食品へのミルク感の増強方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係るグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルとは、有機酸モノグリセリドの一種であり、一般に市販されているものを使用することができる。(例:サンソフトNO.621B<太陽化学株式会社製>、ポエムG−508<理研ビタミン株式会社製>、サンソフトNO.661AS<太陽化学株式会社製>等)。本発明では、乳成分含有ゲル状食品用の乳化剤として、係るグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの1種又は2種以上を使用することで、他の有機酸モノグリセリドや、従来より使用されている乳化剤よりもよい効果が得られることが判明した。さらに、これらグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルに加え、さらに他の有機酸モノグリセリドであるジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル等、或いは、従来より利用されている乳化剤である、ショ糖脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、プロピレングリコールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル等、乳化効果・分散安定効果を有する成分を、本発明の効果を妨げない範囲で併用して使用することもできる。また、既存の乳化剤の他に、ステアロイル乳酸塩やゲル化剤を併用しても良い。
【0016】
本発明の乳成分含有ゲル状食品に含有される乳化剤の添加量は、乳成分含有ゲル状食品の種類、含まれる成分、例えば乳原料、油成分、ゲル化剤等の種類や量等によって種々異なり、一概に規定することはできないが、例えば、プリンの場合は、プリン100重量部に対して、通常0.02〜0.2重量%の範囲が好ましい。有機酸モノグリセリドの添加量が上記範囲より少ないと、乳成分含有ゲル状食品の荒れを十分に防止することができず、また、添加量が多くなると、有機酸モノグリセリドの味が風味に影響を及ぼすようになる。
【0017】
上述の乳化剤の添加量は、有機酸モノグリセリドであるグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの1種又は2種以上を使用する場合であっても、乳成分含有ゲル状食品に対し0.02〜0.2重量%の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの配合比は任意の値とすることができ、また、他の乳化剤等と組み合わせて使用してもよい。具体的には、添加する食品の種類や風味により適宜調製できるが、例えば、プリンを調製する場合、プリン100重量部に対して、通常0.02〜0.2重量%の範囲が好ましい。特に、有機酸モノグリセリドの添加量が0.05重量%以上の場合、添加した食品の風味にコクが付与され、ミルク感が強くなる傾向があり、乳成分含有ゲル状食品に、コクを与えミルク感を増強した風味を付与することを目的として、本発明に係るグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルを配合することができる。この場合においても、当該乳化物の乳成分含有ゲル状食品の荒れを抑制する効果には何等影響を及ぼすものではない。ただし、0.2重量%では、有機酸モノグリセリドの風味が強くなるため、それ以上の添加は好ましくない。また、添加量が0.02重量%以下になると、乳化剤の効果が十分発揮できず、乳成分含有ゲル状食品を滑らかに調製することができない。
【0018】
本発明の対象となる乳成分含有ゲル状食品は、従来より製造されている成分を制限無く使用して製造することができる。具体的には、少なくとも乳原料、油成分、ゲル化剤を利用して調製されるものであり、これらを含有するものであれば特に制限されない。また、常温、冷凍、冷蔵のいずれの状態で製造、貯蔵、流通する製品であってもよいが、好ましくはチルド流通に適した製品である。
【0019】
ここでチルドとは、一般に−5℃〜10℃の温度領域をいい、この温度帯で製造し、流通、消費する食品をチルド食品と呼んでいる。広義には低温で貯蔵、流通される食品のなかで、冷凍食品を除く全てのものをチルド食品という。乳成分含有ゲル状食品は、チルドで流通されるのが一般的である。
【0020】
含有される乳原料としては、牛乳、豆乳及びそれらの加工品等が挙げられ、加工品としては、例えば全脂練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリームなどが挙げられる。これらは単独で含まれていてもよいし、また2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。また、脱脂乳を含有する場合は、バター、ヤシ油、パーム油等の油成分を含有していてもよい。含まれる乳原料の量は特に制限されないが、通常は、無脂乳固形分で0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%の範囲が例示される。なお、プリンの場合は3〜8重量%の範囲が特に好ましい。乳原料の添加量が少ないと、乳の風味が物足りなくなり、また、添加量が多いと、乳成分含有ゲル状食品として調製した際に、十分に固化せず、離水や分離を生じやすくなるため、好ましくない。
【0021】
また本発明で用いられるゲル化剤としては、通常食品に使用されるものであれば特に制限されず、食品を液状から固形状態にする作用を有するものであればよく、例えばカラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、アラビアガム、ジェランガム、プルラン、寒天、ゼラチン、でんぷん、セルロース類(微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)等の天然ガム類が広く例示される。これらは単独で含まれていてもよいし、また2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。
【0022】
含まれるゲル化剤の量は、使用されるゲル化剤の種類、製品の種類等に応じて種々選択されるものであり一義的に定めることができないが、製品の一例としてプリンの場合を挙げるとすると、0.05〜4重量%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲が例示される。
【0023】
本発明が対象とする乳成分含有ゲル状食品は、上に例示する乳原料を含む内容成分がゲル化剤の作用に基づいて固化してなるものであるが、好適には半固形状物、より好ましくは更にきめ細かでつるりとした滑らかな舌触り・食感が要求されるものである。具体的にはプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐などのいわゆるチルドデザートが例示される。好ましくはチルドデザートであり、より好ましくはプリンである。
【0024】
また、本発明で乳成分含有ゲル状食品とは、上記のような食品加工品のみならず、該食品加工品を調製するための食品組成物をも広く包含するものである。このような食品組成物としては例えばプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐などのチルドデザート調製用の組成物、豆腐類調製用組成物等が挙げられ、その形状は粉末状、顆粒状、液状等、特に制限されない。
【0025】
本発明は、上に挙げるような乳成分含有ゲル状食品の製造用の乳化剤であって、乳成分含有ゲル状食品の「荒れ」を生じず、内容成分が均質であり食感がきめ細やかなプリン等の乳成分含有ゲル状食品製造用の乳化剤を提供することを目的とするものである。
【0026】
本発明に係る有機酸モノグリセリドは、乳成分含有ゲル状食品の製造工程で添加されることにより、乳成分含有ゲル状食品の味や風味を損なうことなく、製造工程で生じる「荒れ」という現象を防止して、できあがった乳成分含有ゲル状食品の均質性を高め、視覚的に艶やかできめ細かな質感を付与するとともに、つるりとした滑らかな舌触りを付与することができる。また「荒れ」が生じた場合、プリンのように乳化状態となっている乳成分含有ゲル状食品においては条件によって程度は異なるが、乳化が破壊されており、そのため外観上の色合いがくすんだものとなる。しかし、本発明によれば、くすんだ色合いとはならず、乳や果汁などの色が活きた新鮮な色合いの商品を提供することができる。
【0027】
特に、チルドデザート等のデザートは、食事の締めくくりに喫食し、飽食時に供されることも多いので、(i)形、色、艶やかさ等の見た目の美しさで食欲をそそること、(ii)食べて美味しいことは勿論、さっぱりしていて喉ごしがよいこと、等が求められる。このことからも、上記の本発明の効果は、品質が高く消費者受けのする商品を提供する上で、極めて有用なものといえる。
【0028】
そして、本発明において特に重要なことは、かかる本発明に係る乳化剤の効果は、製造工程での冷却方法の如何に関わらず、損なわれることがないということである。すなわち、本発明の上記性質を有する乳成分含有ゲル状食品は、有機酸モノグリセリドを原料の一つとして含むだけで、従来必須であった急冷工程以外の緩慢な条件である自然冷却や水冷、空冷等の簡素化工程により、簡便かつ低コストで、安定した品質をもって調製される。
【0029】
以上のことから、本発明は、有機酸モノグリセリドの「荒れ防止剤」としての用途を提供するものともいえる。
【0030】
なお、本発明の乳成分含有ゲル状食品には、上記の成分の他に、食品の分野で広く用いられている糖類、甘味料、高甘味度甘味料、乳原料、ゲル化剤、起泡性素材、酸味料、調味料、中和剤、カラメル、色素、香料、果汁、ピューレ、保存料、エキス、pH調整剤、糊料、洋酒、ビタミン、その他ミネラル類、ゼリービーズや数mm角にカットした果実、柑橘系果実のさのう等も、本発明の効果を損なわない範囲で任意に添加することができる。また、本発明の食品加工品又は食品組成物は、pH3〜8、好ましくはpH4〜8、より好ましくはpH5〜7.5の範囲で調整されていることが望ましい。
【0031】
糖類としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)などを挙げることができる。
【0032】
また、従来公知若しくは将来知られうる甘味成分も糖類の代わりに用いることができる。具体的には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末などの甘味成分を用いても良い。
【0033】
また、本発明は、「荒れ」を生じず、内容成分が安定して均質で、見た目の美しさときめ細かな舌触りを有しており商品価値の高い乳成分含有ゲル状食品を得ることができる製造方法を提供するものである。
【0034】
乳成分含有ゲル状食品としては前述のものが例示できるが、好ましくはプリン、ババロア、ムース、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐等のチルドデザートであり、より好ましくは従来「荒れ」等の問題が生じるが故に製造に際して急冷を必須としていたチルドデザートである。
【0035】
従来、例えばミルクプリンを製造する場合は:
(i) 乳、乳製品、糖類、卵、ゲル化剤を分散・溶解し、フレーバー、着色料などを添加・配合して食品組成物を調製する
(ii) 均質化する(9800〜14700kPa=100〜150kg/cm
(iii) 殺菌又は滅菌する(100〜150 ℃、数秒間)
(iv) 冷却する(60〜70℃)
(v) 充填する
(vi) カラメルソースを充填する
(vii) 蓋剤をシールする
(viii)急冷する(10℃以下)
(ix) 製品化
といった一連の工程が採用されており、中でも特に(viii)の急冷工程は「荒れ」のないプリンを製造するために必要不可欠な工程である。また「荒れ」は冷却速度によって生じたり生じなかったりと極めてセンシティブな現象であるため、かかる急冷工程での冷却速度は厳しく管理されている。
【0036】
一方、本発明の製造方法は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程において、本発明に係る乳化剤、即ち有機酸モノグリセリドを加熱殺菌工程前に添加する固化前の乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法であって、これを冷却によって固化して食品を製造するものである。この方法によると、従来のような冷蔵工程を利用して急冷しなくても簡便に「荒れ」のないきめ細かな、内容成分の均質なチルドデザートを製造することができる。本発明で行われる冷却は、冷却条件によって何ら限定されるものではない。例えば、冷却温度はゲル化剤が固化する温度であれば何℃でもよく、固化に要する時間も特に制限されない。従って、室温下に放置し放冷するといった自然放冷や、空冷、水冷等の各種の冷却手段を、条件に制限されることなく幅広く用いることができる。
【0037】
また、上記工程のうち(iv)の冷却工程は、(viii)工程で急速に冷却できるように予め温度を下げておく等の目的で必要とされるものである。従って、本発明によれば、かかる工程を省くことも可能である。
【0038】
このように、本発明の製造方法は、製品を加熱殺菌する以外は特に温度制御を行う必要がなく、簡便に且つ低コストで、さらには安定して上述する「荒れ」のない上質のチルドデザートを製造する方法である点でも有用である。
【0039】
本発明に係る乳化剤の配合量は、製造する食品加工品の種類などに応じて種々選択され、一概に規定はできないが、具体的には前述の範囲が例示される。
【0040】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例及び実験例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚、処方例において「※」で記すものは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であり、「*」で記すものは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品である。
【0041】
実施例1
下記の処方において、乳化剤を変えたプリンを調製し、得られたプリンの外観等を観察した。
【0042】
<チルドプリンの調製>
Figure 2004261063
【0043】
<製造方法>
清水とヤシ油に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤、乳化剤(成分、添加量は表1参照)の粉体混合物を添加し、80℃−10分間加熱攪拌溶解後、香料、着色料を添加し、蒸発水を補正する。その後均質機(9800kPa=100kg/cm)にかけ、125℃で4秒間、加熱殺菌後、容器に充填し、冷却方法としてそれぞれ室温(20℃)で放冷したものと、水道水の流水に浸し冷却したプリンを調製した。
<結果>
【0044】
【表1】
Figure 2004261063
【0045】
Figure 2004261063
※透明層とは、蛋白質が凝集することにより、内容成分の水分のみが層を成している部分をいう。
【0046】
Figure 2004261063
【0047】
上記結果より、乳化剤を添加しなかったプリンは、調製直後は荒れもなく、滑らかな表面であったが、3時間後には透明層が生じ分離を起こしていた。一方、乳化剤を添加した系では経時的変化は生じなかったが、従来より使われていた乳化剤に比べ、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルを添加した場合のほうが、効果的に荒れを防止しており、冷却工程の違いによる差は認められなかった。
【0048】
実施例2
上記実施例1において効果が認められた有機酸モノグリセリドの添加量を表2のように変化させたプリンを調製し、好適な添加量の範囲を検討した。
【0049】
【表2】
Figure 2004261063
【0050】
Figure 2004261063
※透明層とは、蛋白質が凝集することにより、内容成分の水分のみが層を成している部分をいう。
【0051】
<結果>
従来よりプリン用の乳化剤として利用されているグリセリン脂肪酸エステルを添加したものでは、いくら添加量を増やしてもプリンの荒れを抑えることはできず、逆に分離が激しくなり、風味にも影響を及ぼすようになった。
【0052】
一方のグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルを添加したプリンは、添加量0.10〜0.20重量%で、水冷により冷却したものはほとんど荒れもなく、比較例で見られたような分離も生じなかった。また、室温放冷により得られたものも、分離、荒れの抑えられたプリンが得られていた。

Claims (4)

  1. グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステルの1種又は2種以上を含有することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品用乳化剤。
  2. 請求項1に記載の乳化剤を乳成分含有ゲル状食品に対し0.02〜0.2重量%添加することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品。
  3. 請求項1に記載の乳化剤を加熱殺菌工程前に添加する乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法。
  4. 請求項1に記載の乳化剤を用いた乳成分含有ゲル状食品へのミルク感の増強方法。
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