JPWO2018008561A1 - 単結晶シリコン板状体およびその製造方法 - Google Patents

単結晶シリコン板状体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

高い酸素濃度の単結晶シリコン板状体において、デバイス製造工程で行われる800〜1100℃の加熱処理が施されても、ライフタイムの低下が抑えられ、太陽電池やパワーデバイスとして高性能のものになる単結晶シリコンを開発することを目的とする。
径方向中心部において、結晶中の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である、CZ法単結晶シリコンインゴットの直胴部上部から切り出されたような、単結晶シリコン板状体であって、前記径方向中心部が、透過電子顕微鏡による20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察されず、且つ、該単結晶シリコン板状体を、950℃で60分加熱した後では、前記20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察され、この酸素析出物の形状が、200万倍の画像で多面体構造に観察される、単結晶シリコン板状体が提供される。

Description

本発明は、単結晶シリコン板状体、詳しくは、デバイス製造の加熱プロセスにおいて酸素析出物に成長する析出核が制御された単結晶シリコン板状体、及び該単結晶シリコン板状体が切り出し可能な単結晶シリコンインゴットの、チョクラルスキー(Czochralski:以下、CZ)法による製造方法に関する。
単結晶シリコンは、集積回路や電力制御用等の半導体デバイスや太陽電池の基板材料として広く使用されている。高純度かつ無転位で、大径の単結晶シリコンのインゴットを高い生産性で製造する方法として、CZ法が主流である。
CZ法による単結晶シリコンインゴットの製造では、石英製の坩堝に原料となる固体状の多結晶シリコンを充填し、シリコンの融点以上に加熱して溶融する。次いで、シリコンの種結晶を坩堝内のシリコン融液の表面に接触させた後、種結晶をゆっくり引上げる所謂、引上げ法により、種結晶の下方にシリコン融液を凝固、結晶成長させて単結晶シリコンを製造する。
こうした単結晶シリコンインゴットの引上げでは、先ず種結晶を融液表面に接触させた後、種結晶に熱衝撃で発生する転位を消滅させるために直径を細く絞りながら結晶を引上げる(ネッキング)。その後、結晶径を目的の直径まで拡大させながら引上げてショルダー(拡径部)を作り、一定の直径で結晶を成長させて目的の長さの直胴部(定径部)を引上げる。その後、結晶径を縮小させてテイル(縮径部)を作りながら、単結晶インゴットをシリコン融液から切り離し、CZ装置内の上方へ引上げて冷却する。このようにして得られた単結晶インゴットの直胴部を目的の厚さの板状体にスライスすることで、半導体デバイスや太陽電池用の基板(ウェハ)が得られる。
CZ法では、原料シリコン融液と石英坩堝内壁とが高温下で接しているため、石英坩堝の内壁表面がシリコン融液と反応・溶解して、酸素がシリコン融液中に溶け込む。このため、引上げた単結晶シリコン中にも10〜50ppma(ASTM F121−79)程度の酸素が取り込まれる。単結晶シリコン中の酸素は、半導体デバイスや太陽電池の製造工程で行なわれる加熱処理過程においては過飽和であり、酸素析出物として結晶中に析出して微小欠陥を形成する。集積回路等の半導体デバイスの製造においては、形成した酸素析出物が有害な金属不純物のゲッタリングサイトとして有効に働くために、内部ゲッタリングと呼ばれ、広く利用されている。一方で、酸素析出物は少数キャリアの再結合中心となるため、少数キャリア寿命(以下、「ライフタイム」と称する)が短くなり、太陽電池では変換効率の低下や、電力制御用のパワーデバイスではリーク不良の原因になる。
上述のように、酸素析出物を形成する酸素は石英坩堝からのシリコン融液への溶解に由来するため、単結晶シリコンインゴットの引上げに石英坩堝を使用する限りにおいては、単結晶中へ相当量の酸素の混入が避けられない。特に、インゴットの上部、即ち、引上げ初期に成長した直胴部上部は、石英坩堝内のシリコン融液量が多く、坩堝内壁面とシリコン融液の接触面積が大きいために石英坩堝からの酸素の溶出量が多い状態で引上げられることになるため、結晶中にも非常に高濃度の酸素が取り込まれる。
単結晶インゴットの引上げが進むにつれ、換言すれば、インゴットの直胴部の成長とともに、石英坩堝内のシリコン融液が減少していくため、坩堝内壁面とシリコン融液の接触面積が減少して、単結晶中に取り込まれる酸素も減少する。その結果、単結晶シリコンインゴット中の引上げ(縦)方向の酸素濃度分布は不均一で、上部ほど含有する酸素濃度が高くなる。具体的には、インゴット上部の領域では、結晶中の格子間酸素濃度は通常、25〜45ppmaであり、その取り込み量を抑えたものでも25〜40ppma程度である。そのため、インゴットの上部ほど酸素析出物の形成量が多く、太陽電池やパワーデバイスにした時の基板の不良率が高くなる。
また、こうした酸素析出物は、単結晶シリコン中の不純物炭素が核になり発生し易くなり、置換型炭素濃度が高くなるほど酸素析出物の数密度は上昇することが知られている。通常、上記インゴットの上部において、置換型炭素濃度は0.001〜1ppma程度であり、上記酸素析出物を低減させる観点から、0.5ppma以下の低めのものが好適とされている。
さらに、酸素析出物の形成状態は、単結晶インゴットの製造工程におけるCZ法インゴット引上げ装置内での単結晶の引上げ中および冷却中に受ける熱履歴にも影響され変化することが知られている。このことを利用して、引上げ装置内での単結晶インゴットの冷却条件を工夫することにより、単結晶インゴットを引上げ装置から取り出した状態(アズグロウン)での酸素析出物の形成量を低減させることが可能である。特に、引上げ装置内での単結晶インゴットの冷却中における700〜600℃の温度域が酸素析出物の形成に影響することから、この温度域を急冷して、滞在時間をできるだけ短くすることが有効とされている。上記のように、インゴットの上部ほど単結晶中の酸素濃度が高く、酸素析出物が形成し易いために、インゴット上部において、この急冷の効果は特に高いとされている。
こうした特定の温度履歴を実現するために、単結晶シリコンインゴットを引上げる装置のメインチャンバ内の上方空間に、断熱材や温度制御装置を引上げられるインゴットを環囲する態様で設け、精密な温度制御を可能にしている(特許文献1、2等を参照)。このように引上げ装置のメインチャンバ内の上方空間に、断熱材や温度制御装置を設けた場合、結晶成長中の単結晶シリコンインゴットの冷却は、その上部が、該メインチャンバの上方空間に到達するまで精密に行うことが可能であり、前記インゴットの成長初期から700℃までの徐冷を良好に実施できる。そして、インゴットの成長終了後、即ち、単結晶インゴットとシリコン融液との成長界面の切り離し後、インゴット全体をCZ装置上方のプルチャンバ内に引上げて冷却することで、前記700〜600℃の温度域での急冷を効率よく施すことができる。
また、CZ法で引上げた単結晶シリコンインゴットを板状体にスライス加工して得られた基板は、各種の半導体や太陽電池等のデバイス用の基板として使用される。しかし、デバイス製造工程の熱履歴や、それに相当する熱処理によって酸素析出が起こり、基板のライフタイムが低下することがある。一般に、単結晶シリコン基板を熱処理した際に、結晶中に発生し成長する酸素析出物の形状は、薄い板状であることが知られている。
即ち、1100℃よりも高温で長時間熱処理した場合には、数100nmの大きな多面体構造の酸素析出物が成長するが、それよりも低い温度では、酸素析出物は薄い板状に成長する。而して、多面体構造の酸素析出物はその周囲に及ぼす歪が小さく、酸素析出物を起点とした転位の発生が少ない。このため、多面体構造の酸素析出物が形成されたとしても、単結晶シリコンのライフタイムの低下は起こり難い。他方で、薄い板状の酸素析出物は、周囲のシリコン結晶母相との界面に強い圧縮応力が働くため、歪場が大きく転位を誘起しやすい。特に、1000℃近傍では、上記板状の酸素析出は生じやすく、転位の発生も多い。また、形成する酸素析出物の数密度に関しても、多面体の酸素析出物は低く、板状の酸素析出物は非常に高密度となることが知られている(例えば、非特許文献1等参照)。
特許文献3、4によれば、単結晶シリコン基板を約800℃の温度で数時間熱処理した後に、1000℃以上の温度でさらに数時間の熱処理を施すことで、多面体構造の酸素析出物を有し、転位が少ない単結晶シリコン基板を得ることができるとされている。これらの基板は、上記約800℃の数時間の処理で結晶中に形成している板状となる酸素析出物の核を消失させた後、さらに上記1000℃以上の高温条件で数時間処理する特異な加熱操作を行うが故に、酸素析出物は前記多面体構造に成長する。しかし、これらの実施例で使用されている基板もやはり、太陽電池やパワーデバイスの各種製造工程(ドーパント拡散や熱酸化等)のような比較的低温での加熱処理では、板状の酸素析出物が成長する。その結果、こうした低温条件での加熱処理後では、基板のライフタイムは低下し、満足のいく性状にはなり得ないものであった。
特許第3006669号公報 特開平11−92274号公報 特開平9−190954号公報 特開2011−228459号公報
志村史生,"シリコン結晶工学"丸善,1993,p294
前記特許文献1や2のような、引上げ装置内での単結晶シリコンインゴットの冷却中において、700〜600℃の温度域を急冷する方法によれば、直胴部上部における酸素析出物の形成をかなりに低減させることが可能である。この結果、アズグロウンの状態、即ち、単結晶インゴットを引上げ装置から取り出して、その後に加熱処理をしていない状態でのライフタイムを大きく向上させることができる。
しかしながら、これらの単結晶シリコンインゴットから得られた基板であっても、太陽電池やパワーデバイス等のデバイス製造工程におけるドーパント拡散や熱酸化等の加熱処理工程(通常、800〜1100℃)を経ると酸素の析出が起こり、ライフタイムの低下が見られる。特に、インゴットの直胴部上部は、前述のとおり酸素濃度が高い領域であるため、ここから切り出された基板においては、酸素析出が激しくなる。その結果、ライフタイムは顕著に低下しデバイス性能が大幅に悪化し、シリコン基板の良品率、即ち、単結晶シリコンインゴットの直胴部の基板製品の歩留りが悪くなるため、その改善が大きな課題であった。
アズグロウンの状態で、単結晶シリコンインゴットの直胴部上部の結晶内を透過電子顕微鏡で観察しても酸素析出物を観ることはできない。しかしながら、前記デバイス製造工程での加熱処理を経た基板や、同等の加熱処理を施した試験片を透過電子顕微鏡下に観察すると、薄い板状の酸素析出物が多数形成している様子が観察される。前記の700〜600℃の温度域を急冷した単結晶シリコンインゴットでも、若干の数密度の減少は認められるものの、多くの板状酸素析出物の形成が観察される。
したがって、上記700〜600℃の温度域を急冷しても、透過電子顕微鏡では観察できないような、非常に微小の酸素析出物あるいは酸素析出核がバルク内(結晶内)に発生しており、これらが、デバイス製造工程での加熱処理によって、透過電子顕微鏡で観察できる大きさの板状の酸素析出物に成長すると考えられる。その結果、基板のライフタイムが低下し、それぞれのデバイス性能が低下すると推察できる。特に、インゴットの直胴部上部において、置換型炭素濃度が0.01ppma以上に高い場合には、置換型炭素濃度が高くなるにつれて前記板状酸素析出物の形成は増加し、こうした基板のライフタイムの低下によるデバイス性能悪化の問題は一層顕著に生じていた。
さらに、これら板状の酸素析出物をシリコン結晶の格子像が鮮明に観察できる、例えば、500万倍以上の高倍率で観察すると、酸素析出物の周辺に転位や結晶格子の歪が観察される。板状の酸素析出物は、それらが成長する際に周囲へ与える歪量が増加するため、転位が発生しやすくなる。そして、板状の酸素析出物によって発生した転位にはダングリングボンドができ、それが少数キャリアの再結合中心として働き、ライフタイムを低下させる欠陥となる。
以上から、インゴットの直胴部上部から得られるような、高い酸素濃度の単結晶シリコン板状体において、デバイス製造工程での加熱処理(800〜1100℃)が施されても、ライフタイムの低下が抑えられ、太陽電池やパワーデバイスとして高性能の基板が得られる単結晶シリコンを開発することが大きな課題であった。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討を続けてきた。その結果、デバイス製造工程の加熱処理と同等の熱履歴を経た後に、成長した酸素析出物の形状が多面体構造である単結晶シリコンを、CZ法単結晶シリコンインゴットから切り出せれば、上記の課題に対して効果的であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、径方向中心部において、結晶中の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である単結晶シリコン板状体であって、
前記径方向中心部が、透過電子顕微鏡による20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察されず、且つ、該単結晶シリコン板状体を、950℃で60分加熱した後では、前記20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察され、この酸素析出物の形状が、200万倍の画像で多面体構造に観察される、
ことを特徴とする単結晶シリコン板状体である。
上記の単結晶シリコンにおいて、置換型炭素濃度が0.001〜0.3ppmaであることが好ましい態様である。
また、上記の単結晶シリコン板状体において、加熱後に観察される酸素析出物の数密度が1×1013個/cm以下であることが好ましい態様である。
また、上記の単結晶シリコン板状体は、CZ法単結晶シリコンインゴットから切り出したものであり、切出し後900℃以上の熱履歴を受けていないことも好ましい態様である。ここで、上記単結晶シリコンインゴットの切り出しは、CZ法単結晶シリコンインゴットの直胴部上部から行われるのが、より好ましい態様である。
さらに、本発明は、インゴット長軸方向において、前記特徴的な単結晶シリコン板状体の性状を満足する領域を含んでなる、CZ法単結晶シリコンインゴットも提供する。ここで、上記CZ法単結晶シリコンインゴットにおいて、前記特徴的な単結晶シリコン板状体の性状を満足する領域は直胴部上部に含んでなるのが、より好ましい態様である。
さらに、本発明は、多結晶シリコンを溶融した融液から、CZ法により単結晶シリコンインゴットを引上げるに際し、
インゴットの長軸方向において、径方向中心部の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である領域の1000℃から800℃までの冷却を、10時間以上の冷却時間で実施するCZ法単結晶シリコンインゴットの製造方法も提供する。
さらに、本発明は、上記方法によりCZ法単結晶シリコンインゴットを製造した後、前記径方向中心部の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度0.5ppma以下である長軸方向領域から、単結晶シリコンを板状に切り出す単結晶シリコン板状体の製造方法も提供する。
本発明は、CZ法単結晶シリコンインゴットから切り出された基板に対し、デバイス製造工程での加熱処理を経た際に、その基板内に形成されている酸素析出物の形状によって、基板のライフタイムや作製したデバイスの性能への影響が異なること、そして、該酸素析出物の形状が多面体構造であれば、ライフタイムの低下が小さく、太陽電池やパワーデバイス等のデバイス用基板として優れた特性を有しているという知見に基づいてなされている。
即ち、本発明の単結晶シリコン板状体は、結晶中の格子間酸素が25〜45ppmaの高濃度で含有されているものでありながら、デバイス製造工程での処理を模した、950℃で60分の加熱処理を施しても、析出する酸素析出物が多面体構造である点に、大きな特徴を有している。従来の単結晶シリコン基板の場合、前記したデバイス製造工程での加熱処理では、酸素析出物は薄い板状に成長するのが普通であり、その処理温度範囲中の典型値である950℃で多面体構造の酸素析出物が形成される挙動は極めて特異である。而して、本発明の単結晶シリコン板状体は、この特徴から、インゴット直胴部上部から切り出したような、高い酸素濃度を有するものでありながら、ライフタイムの低下が少なく、良品基板の歩留りに優れる。
さらに、置換型炭素濃度が本発明と同程度の従来の単結晶シリコンに比べて、太陽電池特性(変換効率)が高い。そして、この太陽電池特性の高さは、前記置換型炭素濃度が低いものになるほど、より顕著になる。さらに、太陽電池の開放電圧や、太陽電池デバイス化した後の基板のライフタイムでも同様の傾向で優れる。
図1は、実施例1で製造した単結晶シリコンの、温度950℃、60分の加熱処理後の酸素析出物の透過電子顕微鏡による観察像である。観察倍率200万倍での(a)TEM像である。 図2は、図1で示した実施例1の酸素析出物の、200万倍での、(b)走査透過電子顕微鏡−明視野像(STEM−BF像)及び(c)走査透過電子顕微鏡−高角度環状暗視野像(STEM−HAADF像)である。 図3は、比較例1で製造した単結晶シリコンの、温度950℃、60分の加熱処理後の酸素析出物の透過電子顕微鏡による観察像である。観察倍率200万倍での(a)TEM像である。 図4は、図3で示した比較例1の酸素析出物の、200万倍での、(b)走査透過電子顕微鏡−明視野像(STEM−BF像)及び(c)走査透過電子顕微鏡−高角度環状暗視野像(STEM−HAADF像)である。 図5は、図1に示した実施例1の酸素析出物の、800万倍での、(b)STEM−BF像及び(c)STEM−HAADF像である。また、(a)は、その観察位置を示すTEM像である。 図6は、図3に示した比較例1の酸素析出物の、800万倍での、(b)STEM−BF像及び(c)STEM−HAADF像である。また、(a)は、その観察位置を示すTEM像である。 図7は、一般的なCZ法による単結晶シリコンのインゴット引上げ装置の概略図である。 図8は、本発明の単結晶シリコンのインゴット引上げ装置の好ましい態様を示す概略図である。
本発明の単結晶シリコン板状体は、結晶全体にわたって原子配列の向きがそろったシリコン結晶により、板状に形成されてなる。その結晶中の格子間酸素濃度が、後述するように高い範囲にあり、これは通常、CZ法により溶融シリコンから引上げて凝固・冷却することにより製造したシリコン単結晶体インゴット、特に、その直胴部上部から切り出されたものが該当する。板状体は、通常は円板形状であるが、角板等の所望の形状に成形されても良い。
CZ法により製造したシリコン単結晶体インゴットは、引上げた直後の状態では、長い円柱状の直胴部(定径部)と、その両末端に位置する、ショルダー部(拡径部)およびテイル部(縮径部)により構成されているのが一般的である。その直胴部の長さは特に限定されないが、600〜2500mmが好ましく、1100〜2500mmの長尺とするのが、生産性向上の観点からより好ましい。
直胴部の直径も特に限定されるものではないが、100〜300mmが好ましく、150〜250mmであることがより好ましい。従って、係る直胴部から切り出した板状体であれば、その直径も、この大きさになる。板状体の厚みは、太陽電池やパワーデバイスの基板用途を勘案して、0.1〜1mmが好適である。
単結晶シリコンにおいて、導電型はn型であってもp型であっても良いが、n型の方がライフタイムに優れるものが得やすい等の理由から好ましい。ドープする不純物としては、例えば、n型ドーパントとしてはリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)が例示され、p型ドーパントとしてはホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等を何ら制限なく使用することができる。
本発明の単結晶シリコン板状体は、前記したように、結晶中の格子間酸素濃度、置換型炭素濃度、及び透過電子顕微鏡で観察される酸素析出物の特異な挙動の各特徴的要件により特定される。これらの性状は、板状体の径方向中心部において評価される。これは前記したようにCZ法シリコン単結晶体インゴットにおいて酸素濃度は、インゴットの長軸方向では直胴部上部において特に高くなるが、径方向でみると、石英坩堝内のシリコン融液の対流により、石英坩堝から溶けだした酸素の濃度は、結晶の成長界面近傍の融液内では、その中心部で高くなるからである。
シリコン融液中の酸素は、インゴットの成長とともに成長界面から結晶内に取り込まれるため、融液中濃度の最も高いその中心部で、インゴットの酸素濃度は最も高くなり、周縁部で最も低くなる。即ち、単結晶シリコン基板における、酸素析出物の形成によるデバイス性能悪化の問題は、径方向でみると中心部で特に顕著になるため、この問題の改善を、係る径方向中心部で評価する。
本発明において、単結晶シリコン板状体の径方向中心部とは、その中心から半径方向に20%以内の位置である。たとえば、半径100mm(直径200mm)の円板形状の場合には、中心から半径20mmの円内において評価する。また、多角形状の場合には、外接円を想定し、多角形の重心から、外接円の半径の20%の円内において評価する。この範囲内で、前記各性状を測定した場合、実質的に同一値や同一状態にあるものとして結果が得られる。
本発明の単結晶シリコン板状体は、径方向中心部における、結晶中の格子間酸素濃度が25〜45ppmaである。さらには、該格子間酸素濃度は30〜43ppmaであることが好ましい。ここで、結晶中の格子間酸素濃度とは、フーリエ変換赤外分光法により測定し、ASTM F121−79にて導出された値を言う。
前記したように単結晶中への酸素の混入は、CZ法シリコン単結晶体インゴットの引上げ初期に多くなるので、インゴットの長軸方向において、本発明で規定する格子間酸素濃度の要件を満足する領域は、直胴部の上部(具体的には直胴部の上端から下方に50mmまでの範囲)に含まれ易い。
即ち、インゴットの直胴部上部は、斯様に酸素濃度が高いため、この部位から切り出された基板において、デバイス製造工程での加熱処理により板状の酸素析出物が形成されて、ライフタイムが低下する。従って、この部位の単結晶シリコンを、前記本発明の性状を満足したものにすれば、このインゴットから切り出した板状体において、良品基板の取得歩留りを大きく向上させることができ、特に効果的である。
本発明の単結晶シリコン板状体は、径方向中心部において、前記格子間酸素濃度が特定の範囲であることに併せて、その置換型炭素濃度が0.5ppma以下、好ましくは0.001〜0.3ppma、特に好ましくは0.01〜0.3ppmaであることが求められる。ここで、置換型炭素とは、単結晶シリコンに含有される炭素において、シリコン結晶のシリコン原子の格子位置にある状態の炭素を意味する。
前記したように単結晶シリコン中の不純物炭素は加熱処理された際に酸素析出物の核になるため、置換型炭素濃度は上記範囲に低くすることが必要である。ここで、置換型炭素濃度が、前記0.5ppmaを超えると、炭素不純物による酸素析出核形成が優勢になり、酸素析出物の形状が不安定化し、さらには数密度の上昇も生じ、基板のライフタイムが低下するため好ましくない。置換型炭素濃度は、たとえば高純度原料(多結晶シリコン)を使用することで低減できる。また加熱処理炉の材質を選択し、炭素の混入を低減する、あるいは排気ガス流量を調節するなどの手段で、置換型炭素濃度を制御できる。
本発明において単結晶シリコンの置換型炭素濃度は、フーリエ変換赤外分光法により測定し、ASTM F123−86にて導出された値を言う。置換型炭素濃度の測定に供する試験片は、前述の格子間酸素濃度の測定に使用した試験片をそのまま使用して、同時に測定した赤外吸収スペクトルから求めてもよい。
尚、フーリエ変換赤外分光法による置換型炭素濃度の測定は、通常、0.04ppma程度が測定下限であり、これを下回る場合には、十分な測定精度が得られなくなる。翻って、シリコン単結晶体インゴットにおいて、直胴部の置換型炭素濃度は、その上部が最も低く、インゴットの引上げが進行し坩堝中のシリコン融液の濃縮されていく、下方部ほど高くなるのが普通である。而して、この置換型炭素濃度が最も低い直胴部上部が前記フーリエ変換赤外分光法による測定下限を下回る場合であっても、中位部や下部側において該測定下限を上回る場合には、ここから測定サンプルを取得して炭素濃度を測定し、該測定サンプル取得位置までの結晶重量と坩堝に充填した多結晶シリコン原料の重量との比で求められる固化率から、シリコンにおける炭素の偏析係数(0.07)をもとに計算し、上記の直胴部上部の置換型炭素濃度を求めてもよい。すなわち、インゴットの中位部や下部の置換型炭素濃度を測定し、固化率および炭素の偏析係数から外挿して、インゴット上部の置換型炭素濃度を算出することもできる。
本発明の単結晶シリコン板状体は、CZ法等によりインゴットが製造された後、前記酸素析出物が活発に成長するような温度、具体的には900℃以上の熱履歴を受けていないか、受けていたとしても酸素析出物が実質成長しないような短時間しか曝されていない。このためその径方向中心部は、前記格子間酸素濃度、且つ置換型炭素濃度にありながら、透過電子顕微鏡による20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察されない。そして、950℃で60分間加熱することにより、この部分には、前記透過電子顕微鏡による画像観察で、そのバルク内に多面体構造の酸素析出物が認められるものになる。
ここで、多面体構造の酸素析出物は、Siの{111}面及び{100}面で囲まれた通常、8〜14面体をしており、八面体であることが最も多い。なお、多面体構造は正多面体である必要はなく、歪んでいても良く、扁平であってもよい。その大きさ(長径)は、前記200万倍での画像観察で視認できる5nm以上の大きさであれば良いが、通常は10〜200nmであり、さらに20〜100nm、特に25〜75nmであることがより好ましい。これに対し、板状の酸素析出物は、平板状であり、歪んだ六面体とみることができる。その大きさ(長径)は、最大でも20nm程度である。
本発明の単結晶シリコン板状体において、斯様に950℃で60分の加熱処理で、多面体構造の酸素析出物が析出する理由は、必ずしも定かではない。同じ加熱処理を施して成長する酸素析出物の状態が、前記従来の単結晶シリコン基板とはまったく異なっていることから、引上げ装置内でのインゴットの冷却工程で発生した、換言すれば、加熱処理前のアズグロウン結晶中に既に存在している、酸素析出核の構造上の相違に関係していると考えられる。
ただし、アズグロウンの単結晶シリコン中に存在している酸素析出核は非常に小さく、高分解能の透過電子顕微鏡や他の分析手法を用いても現状では検出することができず、その詳細な構造までは明らかではない。前記加熱処理を施し、より大きい酸素析出物に成長させることによってはじめて、この酸素析出核の相違が表出する。
ここで、インゴットの冷却工程における、酸素析出核の発生機構は未だ明らかではないが、板状の酸素析出物に成長する核は、引上げ装置内でのインゴットの冷却中の800℃未満の比較的低い温度域で発生していると考えられる。一方の本発明の単結晶シリコンのインゴット中に存在している多面体構造の酸素析出物に成長する核は、800℃以上の高い温度域で発生すると考えている。
500万倍以上の高倍率で単結晶シリコンを観察すると、シリコン結晶の格子像が鮮明に観察できる。このような高倍率での観察によれば、前記多面体構造の酸素析出物は、通常には、酸素析出物を起点に発生した転位が僅かであり、結晶格子の歪も小さいことが確認できる。他方で、前述した加熱処理によって板状の酸素析出物が成長した従来の単結晶シリコンの場合には、結晶格子の歪が大きく、酸素析出物を起点に多くの転位の発生している様子が観察される。
板状の酸素析出物が成長する際には、その周囲に大きな歪量を与えて転位を発生させるのに対して、本発明の単結晶シリコン板状体に見られる多面体構造の酸素析出物は、それらが成長する際の周囲へ与える歪が小さく、転位の発生が起こり難い。したがって、少数キャリアの再結合中心となるダングリングボンドの形成が抑えられ、ライフタイムの低下が抑えられるものと推察される。
本発明の単結晶シリコン板状体は、950℃で60分間加熱した際に酸素析出物として前記多面体構造のものが形成されるため、その結晶格子の歪が小さく、転位の発生も抑えられる。さらに該酸素析出物の存在数自体も少ないものになり易く好ましい。詳述すると、多面体構造の酸素析出物は、板状の薄い酸素析出物と比べて、その体積が非常に大きい。したがって、加熱処理によって同程度の固溶酸素が析出したとすると、斯様に多面体構造に形成された場合には、その数密度は低くなる。斯くして、加熱処理によって形成する酸素析出物の数密度が低いことも、本発明の単結晶シリコンの特徴の一つである。
具体的には、酸素析出物の数密度は、1×1013個/cm以下とすることができ、特に好ましくは2×1012個/cm以下とすることができる。このように酸素析出物の数密度が非常に少ないことにより、ライフタイムの低下が一層に小さいものになる。なお、酸素析出物の数密度の下限は特に限定はされないが、工業的に低減可能な酸素析出物全体の数密度の下限は、1×1011個/cm程度である。
酸素析出物の成長に伴うライフタイムの低下に関しては、前記の転位発生の他に、酸素析出物と母相のシリコン結晶との界面で生じるダングリングボンドに起因するという考え方もある。このことより、酸素析出物の形状に関して、表面積、即ち、母相シリコンとの界面面積が小さい構造であることが有利であり、さらに、その数密度が低ければ、界面の総面積が小さくなる。したがって、比較的大きな多面体構造の酸素析出物が形成されることで、板状の酸素析出物が形成された場合に比べて、界面の総面積が格段に小さくなり、ライフタイムが改善されると推察できる。
なお、本発明の単結晶シリコン板状体において、950℃で60分間加熱した際に観察される酸素析出物は、前記多面体構造のものが存在していれば、他に、板状の酸素析出物も混存していても良い。本来は、酸素析出物の全てが板状体として形成されていたものが、その一部において、多面体構造のものとして形成されれば、その分だけ、結晶格子の歪は小さいものになり、転位も抑えられたものになる。
斯様に950℃で60分間加熱して形成される酸素析出物の一部が板状になる理由は、CZ法単結晶シリコンインゴットの製造工程の最後において、インゴットが引上げ装置内の800℃未満の低温域を通過するときに、板状の酸素析出物に成長する酸素析出核が発生しているためと考えられる。板状酸素析出物の数密度は低い方が、加熱処理後のライフタイムや太陽電池性能の低下への影響が小さく、良品基板の歩留りへの影響も低くなるため好ましい。観察される酸素析出物のうち、数基準で10%以上が多面体構造であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
単結晶シリコン板状体について、透過電子顕微鏡により、そのバルク内における酸素析出物の存在状態を観察する方法は以下の方法に従う。即ち、2枚の試料基板を近傍位置からスライスして、一枚を未加熱処理での観察用とし、もう一枚を、加熱処理を施しての観察用とする。そして、後者の試料基板について950℃で60分の加熱処理を施した後、各試料基板の径方向中心部から公知の方法で超薄切片試料を作製して、透過電子顕微鏡によりバルク内の酸素析出物の状態を観察する。ここで、上記試料基板の切出し位置は、インゴットの長軸方向において、前記格子間酸素濃度及び置換型炭素濃度の測定用サンプルを切り出した位置に近接した部位とする。実際のデバイス用基板をスライス加工して、上記試料基板として用いることも好ましい態様である。
試料基板の表面には、切断、スライス加工によるダメージ層が形成しており、このダメージ層は加熱処理で起こる酸素析出の状態に影響を及ぼすため、加熱処理の前には、研磨や酸エッチングにより除去しておく必要がある。通常は、フッ酸/硝酸等の混酸エッチングにより除去することが好ましい。切断やスライスの状態によりダメージ層の深さは異なるが、ダメージ層が除去されていることの確認は、エッチング後の表面が鏡面になっていることを目視により確認することで行なうことができる。
また、加熱処理の直前には、試料基板は酸洗浄を行ない、表面の汚染を取り除いておくことが好ましい。洗浄方法は特に限定されるものではないが、酸洗浄やSC1洗浄等の公知の方法で行なうことができる。通常は、フッ酸/硝酸の混酸により洗浄することが好ましい。
本発明において、試料基板の加熱処理に使用する加熱炉は、温度制御および雰囲気制御が可能で、均熱性と清浄度が確保できるものであれば、特に限定はされず、種々の加熱処理炉が使用できる。加熱処理の雰囲気は、単結晶シリコンとの反応性のないアルゴンガスを用い、アルゴンガス流中で実施する。
また、デバイス用基板を試料基板として用いる場合には、実際のデバイス製造の工程装置内で所定の加熱処理を行なうことも好ましい態様である。さらに、実際のデバイス製造において、950℃で60分の加熱処理に相当する、ドーパント拡散処理や熱酸化処理等を経た後の基板を工程より抜き取り、これを該試料基板とするのも好ましい態様である。
これらにより得られた未加熱処理と加熱処理の各試料基板の径方向中心部から、透過電子顕微鏡観察用の超薄切片試料を切り出し、それぞれにおいて20万倍の画像で酸素析出物の存在状態を観察し、さらに、200万倍の画像でその形状を観察する。超薄切片試料は、イオンミリング法により加工することができる。
上記の透過電子顕微鏡で酸素析出物を観察する超薄切片試料は、酸素析出物が非常に小さいため、その厚みを薄く加工する必要があり、厚みは30nm程度である。超薄切片試料の厚さは、透過電子顕微鏡で観察した際の等厚干渉縞により判断すればよい。
また、上記超薄切片試料を切り出す際において、酸素析出物の形状を観察しやすい結晶方位、すなわち、超薄切片の観察面が(110)面、言い換えれば、電子線の入射方向が<110>方向となるように切り出す。さらに、単結晶シリコンインゴットの引上げ方向に垂直な<110>方向、即ち、基板面に平行な方向の<110>方向に電子線が入射するように、超薄切片を切り出すと加工が容易である。
本発明の酸素析出物の観察には、透過電子顕微鏡、走査透過電子顕微鏡を使用することができるが、微小な酸素析出物の形状やその周囲に発生した歪や転位の状態をより詳細に観察するため、高分解能の電子顕微鏡を使用することが好ましく、球面収差補正機能(Csコレクタ)を有する透過電子顕微鏡、走査透過電子顕微鏡を使用することが好ましい。さらに、以下の実施例に詳述するように、透過電子顕微鏡用のCsコレクタと、走査透過電子顕微鏡用のCsコレクタの両方を装備した、ダブルCsコレクタ付きの走査透過電子顕微鏡を使用して観察することがより好ましい態様である。
透過電子顕微鏡による観察においては、先ず20,000倍の低倍率で、超薄切片試料内を視野を変えて合計10視野、すなわち、約9μm×9μm×10視野の範囲を観察し、その内に観察される微小な暗い影(黒点)を探す。次いで、その影に焦点を合わせて倍率を20万倍まで上げて観察することで、その影が後述する酸素析出物に伴う歪により生じた影であるかを確認する。上記約9μm×9μm×10視野の範囲内に存在する全ての歪から、無作為に20個(これに満たない場合は、存在する数だけ)について20万倍で観察し、酸素析出物に伴う歪みが1個でもあれば、酸素析出物が観察されたとして評価する。なお、酸素析出物を伴う歪みにより生じる黒点とは、後述のSTEM−HAADF画像中で顕れる原子番号コントラストにより確認できる。酸素析出物は、母相であるシリコンよりも軽い組成であり、母相とのコントラストが観察され、酸素析出物に伴わない歪みにより生じる黒点とは区別される。
さらに、酸素析出物が確認された場合、これに焦点を合わせながら徐々に観察倍率を200万倍まで拡大していき、酸素析出物の形状や大きさを計測する。その10個(10個に満たない場合は、存在する数だけ)を観察し、そのうちの1個でも多面体構造のものが存在した場合には、係る形状の酸素析出物が形成されたとして認定する。また、多面体構造の酸素析出物の大きさは、観察された10個(10個に満たない場合は、存在する数だけ)の多面体構造の長径の平均値として求める。
また、酸素析出物の数密度の計測方法は、透過電子顕微鏡による10,000〜50,000倍のTEM画像を用いればよく、したがって、一般的な透過電子顕微鏡装置を使用することができる。前述したように、透過電子顕微鏡像(TEM像)には酸素析出物に由来した歪が強く顕れ、10,000〜50,000倍の倍率では、酸素析出物の形状にかかわらず、その歪が黒点として観察される。TEM像の視野内の酸素析出物の個数を計数し、その観察視野の体積(TEM像の視野面積×超薄切片試料厚さ)から酸素析出物の数密度(個/cm)を求めればよい。
なお、酸素析出物の数密度の算出において、上記20万倍の観察で確認した歪の実質全てが酸素析出物である場合には、10,000〜50,000倍の観察で計測した黒点の数密度を酸素析出物の数密度とする。また、歪を20万倍で観察した際に、酸素析出物だけでなく、空隙や試料の傷等の酸素析出物ではない欠陥が確認された場合には、確認した歪のうちの酸素析出物の割合を、黒点の数密度に乗じて酸素析出物の数密度とすればよい。
酸素析出物の数密度の計測において、観察する倍率、即ち、視野面積は、計数する酸素析出物(黒点)の大きさと分布状態により適宜決めればよいが、測定値の再現性を得る観点からは、少なくとも500μm以上の範囲とすることが必要である。
黒点が大きく観察しやすい場合には、低倍率で広い視野を取れば、多くの黒点が視野内に入るため数密度を求めることが容易である。逆に、黒点が小さい場合には、観察倍率を高くする必要があるが、この場合には視野内の個数が少なくなるため、観察する視野数を多くする必要がある。また、酸素析出物の数密度が低い試料の場合にも、視野内の個数が少なくなるため視野数を多くする。
なお、酸素析出物が板状の場合、1個の黒点の中には、数個の薄い酸素析出物が複合体として存在していることが多い。したがって、こうした板状の酸素析出物の数密度は、上記黒点数として求められる値よりも実際には、さらに高い存在数になる。このように、従来の単結晶シリコンの場合には、実測で求めた酸素析出物の数密度は見掛け上の値であり、実際に存在する板状の酸素析出物の数密度よりもかなり低くなることが考えられる。しかし、それを考慮したとしても、本発明の単結晶シリコンの多面体構造の酸素析出物では、その数密度が低く得られ易く特徴的である。
次に、本発明の単結晶シリコン板状体の製造方法について説明する。本発明の単結晶シリコン板状体は、前記したように、結晶中の格子間酸素濃度、置換型炭素濃度、及び透過電子顕微鏡で観察される酸素析出物の特異な挙動の各特徴的要件が満足される限りにおいて、如何なる方法で製造しても良い。通常は、以下の特徴的なCZ法により単結晶シリコンインゴットを製造した後、インゴット中で上記格子間酸素濃度要件及び置換型炭素濃度要件の夫々を満足する長軸方向領域から、板状体を切り出すことにより製造するのが好ましい。
上記CZ法による単結晶シリコンインゴットの製造方法を示すと、
多結晶シリコンを溶融した融液から、CZ法により単結晶シリコンインゴットを引上げるに際し、
インゴットの長軸方向において、径方向中心部の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である領域の1000℃から800℃までの冷却を、10時間以上の冷却時間で実施する方法があげられる。この方法において、インゴットの冷却温度は、インゴットの径方向中心部の温度を意味する。上記1000℃から800℃までの冷却時間は、15時間以上35時間以下で実施することがより好ましく、さらに、20時間以上30時間以下で実施することが好ましい方法である。
この1000℃から800℃までの冷却時間は、この温度内に実質的に保持された状態で経過されれば、突発的な冷却環境変動等により、途中で、この範囲の上限または下限から外れる期間が若干あっても許容される。斯様に前記温度内での冷却の途中で、範囲を外れる期間が生じたとしても、それは合計で20分以内、特に、10分以内とするのが好ましい。
また、この方法において、前記インゴットの長軸方向における、格子間酸素濃度と置換型炭素濃度が各特定された領域とは、条件が満足される限り位置は限定されるものではないが、一般的には、直胴部上部が該当する。製造される単結晶シリコンインゴットにおいて、上記炭素濃度は、原料多結晶シリコンの不純物炭素含有量、使用する坩堝材質、引上げ中の排気条件等により適宜に調整できる。
CZ法に使用するインゴット引上げ装置は、一般的なものが制限なく使用できる。図7には、一般的なCZ法による単結晶シリコンのインゴット引上げ装置の概略図を示す。
図7において、メインチャンバ1内には、シリコン融液2が収容される坩堝3と該坩堝3を環囲する溶融ヒーター4とが下部に設置されている。また、当該メインチャンバ1の内空上方からは、先端に種結晶5を備えた単結晶引上げ軸6が、該種結晶5がメインチャンバ1内の前記坩堝3に収容されたシリコン融液2面に接触できる長さまで上下動可能に垂下されている。こうした構造の引上げ装置では、坩堝3に、原料の多結晶シリコンを充填した後、溶融ヒーター4により該原料シリコンを融点以上に加熱して融液化し、次いで、前記単結晶引上げ軸6を下降させ、その先端に設けられた種結晶5について、上記シリコン融液2面に接触させる。この種結晶5のシリコン融液面への接触後、当該種結晶5をゆっくり引上げると、その下方にシリコンが凝固して結晶成長し、これがメインチャンバ1内を上方に移動する過程で冷却されて、前記目的物である単結晶シリコンインゴット8を製造することができる。
このような単結晶シリコンのインゴット引上げ装置では、前記冷却された単結晶シリコンインゴット8の装置外への取り出しのために、メインチャンバ1の天井壁9中央部から上方に、長筒形状のプルチャンバ10が連設されている。メインチャンバ1の天井壁9の上部中央部には開口部が設けられ、開口部には上方のほぼ垂直方向に向けてプルチャンバ10が連設される。このプルチャンバ10の下方には、メインチャンバ1の内空と、該プルチャンバ10の内空とを遮断するためのゲートバルブ11が設けられており、前記冷却された単結晶シリコンインゴット8は、続けてこのプルチャンバ10内まで引上げられ、該ゲートバルブ11が閉じられることで、メインチャンバ1から隔離して収容される。プルチャンバ10の内径は引上げるインゴットの直径により決まるが、メインチャンバ1の内径の80%以下、より好ましくは50%以下に縮径されて設けられていることが好ましい。そうして、該プルチャンバ10のゲートバルブ11より上方の一部を開くことにより、前記インゴット8を装置外に取り出すことができる。なお、溶融ヒーター4とメインチャンバ1の内壁の間には断熱材7を設けることが好ましい。また、坩堝3の上方空間には、熱遮蔽装置15が設けられていても良い。
本発明における単結晶シリコンインゴットの製造において、インゴットの引上げ速度は、特に制限されるものではなく、一般に0.6〜2.5mm/分であり、特には0.8〜1.5mm/分であるのが好適である。
引上げられた単結晶シリコンインゴットにおいて、前記格子間酸素濃度と置換型炭素濃度が各特定された領域(通常は直胴部上部)の1000℃から800℃までの冷却時間を10時間以上にするためには、インゴット引上げ装置内の温度分布、引上げる単結晶シリコンインゴットの直胴部の長さ、及び、引上げ速度を各調整して、これが達成されるようにすれば良い。
本発明において、こうしたインゴットの冷却における該インゴットの温度履歴の決定方法は特に限定はされない。たとえば、後述する実施例で実施するような、予め熱電対を埋入したインゴットを用いて、種々の温度条件で引上げ操作を行う模擬実験によって、インゴットの温度を確認した上で、実際の単結晶育成および引上げを行うことが好ましい。具体的には、対象とする単結晶シリコンインゴットとは別に、該インゴットの径方向中心部における、前記格子間酸素濃度と置換型炭素濃度の各要件を満足する領域の相当位置にR熱電対が埋入される態様である以外は同じ製造条件で、温度測定用の単結晶シリコンインゴットを製造し、その冷却時のインゴットの温度履歴を実測する方法による。なお、前記の温度履歴の実測に合わせ、温度シミュレーションや炉内温度分布からの相関で求められるインゴット径方向中心部の温度を用いて、実測値の正確性を確認しておくことも好ましい態様である。
また、単結晶シリコンの製造においては、インゴット直胴部の長さが長いほど、そして引上げ速度が速いほど、その生産性が高くなる。このことを勘案すると、インゴット直胴部の長い、所謂、長尺インゴットを早い引上げ速度で製造する場合において、前記格子間酸素濃度と置換型炭素濃度が各特定された領域に当たる直胴部上部を、所望の温度履歴を経ることができるように冷却可能な構造を有するインゴット引上げ装置を使用することが、本発明の単結晶シリコンの製造方法において、より好ましい方法である。
こうした長尺インゴットを早い引上げ速度で製造する場合において、好適に使用できるインゴット引上げ装置の態様を例示すれば、図8に示すように、前記プルチャンバ10内に、引上げられて進入してくる単結晶シリコンインゴット8の上方を加熱するアフターヒーター12が周設されている構造を有する引上げ装置を挙げることができる。この装置構成により、単結晶シリコンインゴットの引上げ操作中において、プルチャンバ内に引上げられた単結晶シリコンインゴットを、インゴットの引上げ操作が終わるまで、800℃を下回らないように加熱し、温度保持することで、1000℃から800℃までの冷却時間を所望の範囲とすることが可能になる。
上記アフターヒーター12としては、抵抗加熱器や高周波加熱器等の、従来、溶融ヒーター4として使用されているものと同様のものが制限なく用いることができる。ヒーター温度は、一般に、800〜1100℃から採択されるが、単結晶シリコンインゴットの温度が確実に800℃を下回らないようにするためには、実測したシリコンインゴットの温度履歴をもとに設定することがより好ましい。
前記アフターヒーター12の設置位置は、プルチャンバ10内の垂直方向の何れかの箇所に、該プルチャンバ10の水平方向において、単結晶シリコンインゴット8の全周にわたってまたは間断的に環囲するように設ければよい。全周にわたって設ける場合、プルチャンバの上下方向に一定幅で設けるために、ヒーター線をらせん状に上下方向に巻いたり、波状・ジクザグ状に屈曲させて周設するのが好ましい。なお、係るアフターヒーター12とプルチャンバ10の内壁の間には断熱材14を設けることも好ましい態様である。
メインチャンバ1内を通過しプルチャンバ10に進入した高温を保った状態のインゴット上部をインゴットの引上げ操作中は800℃を下回らないように徐冷や温度保持するために、アフターヒーター12は、該プルチャンバ10内の下方域に設けるのが好ましい。具体的には、ゲートバルブ11とメインチャンバ1の天井壁9との間の、プルチャンバ10におけるメインチャンバ1への連結区域13に設けるのが適当である。
設置するアフターヒーター12の垂直方向の長さは、単結晶シリコンインゴット8に対して加熱保温作用を施したい長さに応じて、インゴットの引上げ速度や、プルチャンバ内のインゴットの温度状態を考慮して適宜に決定すれば良いが、一般には200〜2000mm、より好適には400〜1600mmである。インゴット温度をより高度に制御するためにアフターヒーターは上下方向に複数個設けてもよい。
尚、こうした単結晶シリコンインゴットの引上げ工程における該インゴットの温度は、後述する実施例で実施するような、インゴットの中心部にR熱電対を埋入させて測定により確認することができる。本実施例では、該単結晶シリコンインゴットにおいて、径方向中心部において、結晶中の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下となる領域として、インゴットの直胴部上端から下方へ20mmの位置を温度測定位置としたが、この位置の変動に応じて適宜に温度測定位置を設ければ良い。
本発明の単結晶シリコンの製造方法における引上げ装置には、前記プルチャンバ10内にアフターヒーター12を設けるだけでなく、メインチャンバ1内を引上げられる単結晶シリコンインゴット8の冷却における温度履歴を所望のものに制御するため、その坩堝3より上方空間に、断熱材やヒーター等を設けてもよい。
本発明の単結晶シリコンの製造方法において、製造する単結晶シリコンのインゴットの直胴部の長さは、特に制限されるものではなく、一般には600〜2500mm以上である。具体的には、インゴットの直胴部の長さは、900mm以上、より好適には1100〜2500mmの長尺とするのが、生産性向上の観点から望ましい。また、インゴットの直径は、100〜300mmが好ましく、特に150〜250mmであることがより好ましい。
インゴットの長軸方向における、格子間酸素濃度と置換型炭素濃度が各特定された領域に関して、1000℃から800℃までの冷却を前記所定時間で行なった後は、インゴットのさらなる冷却条件は特に制限されるものではない。前述のように、800℃未満の温度域、特に700〜600℃の温度域は微小な板状酸素析出物の核が多く形成する温度域であるため、800℃未満の温度域はできるだけ急冷することが好ましい。
したがって、単結晶シリコンインゴットを引上げる過程において、単結晶の成長中、即ち、インゴット下部の成長面がシリコン融液に接している間は、インゴットの直胴部全体が800℃以上に保温された状態に保持されるが、成長終了、即ち、インゴット下部においてテイル形成の後、シリコン融液面から切り離された後は、インゴットを引上げ装置の上方に結晶成長時の引上げ速度よりも高速で引上げ、結晶に熱衝撃による転位が発生しない程度に急冷することが好ましい。この時の冷却速度としては、3〜20℃/分、特に5〜15℃/分の速度で冷却することが好ましい。
上記の急冷は、単結晶シリコンインゴットのテイル部の形成、融液からの切り離し後、アフターヒーターによる加熱を停止し、インゴット全体をプルチャンバ内に引上げて、メインチャンバからインゴットを隔離し輻射熱等を遮ることで実施するのが好ましい。これによりインゴットの直胴部上部に至るまで、その全体を急冷することができ、800℃未満の温度域で形成する酸素析出物の少ない、単結晶シリコンインゴットを効率的に製造することが可能になる。
このプルチャンバ内でのインゴットの急冷に際しては、プルチャンバ内に不活性ガスを供給することで、対流熱伝達を促進させて冷却効率を高めて実施するのも良好な態様である。
以上により製造されたCZ法単結晶シリコンインゴットについて、前記径方向中心部の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度0.5ppma以下である長軸方向領域から、単結晶シリコンを板状に切り出すことで、本発明の単結晶シリコン板状体を得ることができる。
以上、概説したように、デバイス製造時の加熱プロセスにおいて生成する酸素析出物は、インゴット製造時の冷却条件によって、2つのタイプに分類される。第1のタイプの酸素析出物は、多面体構造であり、比較的サイズが大きい。第2のタイプの酸素析出物は板状であり、比較的サイズが小さい。第1のタイプの酸素析出物は、シリコン結晶に類似した晶癖を有し、転位の生成に対する寄与は少ない。一方、第2のタイプの酸素析出物は転位を生成する起点となりやすい。本発明は係る知見によりなされたものであり、インゴット製造時における冷却条件を制御することで、第1のタイプの酸素析出物の生成を優先する。
すなわち、本発明の第1の形態に係る単結晶シリコン板状体は、
径方向中心部において、結晶中の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である単結晶シリコン板状体であって、
前記径方向中心部が、透過電子顕微鏡による20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察されず、且つ、該単結晶シリコン板状体を、950℃で60分加熱した後では、前記20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察され、この酸素析出物の形状が、200万倍の画像で多面体構造に観察されることを特徴とする。
また、前記第1のタイプの酸素析出物が生成したとしても、比較的サイズが大きいため数密度は少なく、転位の生成に対する影響は少ないが、第2のタイプの酸素析出物は比較的サイズが小さいため、数密度は高く、転位を生成しやすい。したがって、他の側面からみると、本発明の単結晶シリコン板状体は、
径方向中心部において、結晶中の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である単結晶シリコン板状体であって、
前記径方向中心部が、透過電子顕微鏡による20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察されず、且つ、該単結晶シリコン板状体を、950℃で60分加熱した後では、前記20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察され、この酸素析出物の長径が20〜100nmである、とも記述できる。
以下に本発明の実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。酸素析出物の観察は、次の方法により測定した。
1)単結晶シリコン中の格子間酸素濃度、置換型炭素濃度
以下の実施例で製造した単結晶シリコンについて、インゴット直胴部の上端から下方2.5mmの厚みで、インゴット中心部を含む上端サンプルを切り出した。インゴットの中心部よりφ10mm試験片を切り出し、厚み2mmとなるように機械研磨で鏡面に仕上げて測定試料とした。格子間酸素濃度はフーリエ変換赤外分光光度計により、ASTM F121−79で導出した。
上記測定試料を使用して、同様にフーリエ変換赤外分光光度計によりASTM F123−86で置換型炭素濃度を導出した。尚、置換型炭素濃度が0.04ppma以下の場合には、十分な測定精度が得られないため、炭素濃度の高いインゴット直胴部の中間部や下端側からも測定試料を切り出して、同様の方法で同部位の置換型炭素濃度を測定し、同取得位置までの結晶重量と坩堝に充填した多結晶シリコン原料の重量との比で求められる固化率から、炭素の偏析係数をもとに計算により、前記インゴットの直胴部上部の置換型炭素濃度を求めた。
2)単結晶シリコンバルク内の酸素析出物の観察
各実施例で製造した単結晶シリコンのインゴットから得た、隣接する位置関係の試料基板2枚を透過電子顕微鏡観察用に用いた。そのうちの1枚を加熱処理を施さずに、バルク内を透過電子顕微鏡で観察する試料基板とした。
また、他の1枚を温度950℃で60分加熱した後に、バルク内を透過電子顕微鏡で観察する試料基板とした。各試料基板をインゴット中心部を含む50mm×50mmに割断し、混酸(48wt%フッ化水素酸:60wt%硝酸=1:2)に浸漬して基板表面のスライス加工によるダメージ層を除去し、直ちにフッ化水素水(同48wt%フッ化水素酸:超純水=1:9)でリンスして表面を疎水化させた。この時、基板試料表面が光沢面となるようにした。さらに、純水で2回洗浄を行なった後、表面に付着した水分を十分に除去し、加熱処理用の試料とした。加熱処理は、クリーンな石英製の環状炉を用いてアルゴン雰囲気で、温度950℃で60分間の加熱処理を施した。
それぞれの試料基板から、次の方法で透過電子顕微鏡観察用の超薄切片試料を作製した。基板試料を劈開し、劈開面である(110)面に平行に、イオンミリング法で超薄切片を加工した。超薄切片の厚みは、透過電子顕微鏡観察において、等厚干渉縞より約30nmとなるように調整した。
酸素析出物の透過電子顕微鏡観察には、透過電子顕微鏡用と走査透過電子顕微鏡用の二つの球面収差補正装置(Csコレクタ)を搭載した日本電子製の球面収差補正透過電子顕微鏡ARM200Fを使用した。透過電子顕微鏡機能を使用し、先ず20,000倍の低倍率で、超薄切片試料内を視野を変えて合計10視野、すなわち、約9μm×9μm×10視野の範囲を観察し、その内に観察される微小な暗い影(黒点)を探した。
次いで、その影に焦点を合わせて倍率を20万倍まで上げて観察することで、その影が後述する酸素析出物に伴う歪により生じた影であるかを確認する。上記約9μm×9μm×10視野の範囲内に存在する全ての歪の中から、無作為に20個を選び、各々について20万倍で観察し、酸素析出物に伴うものが1個でもあれば、酸素析出物が観察されたとして評価した。
さらに、酸素析出物が確認された場合、これに焦点を合わせながら徐々に観察倍率を200万倍まで拡大した後、走査透過電子顕微鏡機能に切り替えて、走査透過電子顕微鏡−明視野像(STEM−BF像)と走査透過電子顕微鏡−高角度環状暗視野像(STEM−HAADF像)を撮影して酸素析出物の形状と長径を計測した。酸素析出物の10個(10個に満たない場合は、存在する数だけ)を観察し、そのうちの1個でも多面体構造のものが存在した場合には、係る形状の酸素析出物が形成されたとして認定した。また、多面体形状のものについては、その大きさを、10個(10個に満たない場合は、存在する数だけ)の多面体構造体の長径の平均値として求めた。
3)酸素析出物密度の計測
上記2)において酸素析出物の観察に用いた超薄切片試料を使用して、酸素析出物密度の計測を行なった。透過電子顕微鏡には日立ハイテクノロジーズ製H−9000NARを使用して25,000倍の画像を撮影した。7.24μm×8.00μmの画像に観られる酸素析出物の歪に由来する黒点を数え、観察視野の体積(7.24μm×8.00μm×試料厚さ30nm)から黒点の数密度を求めた。
ここで、前記2)で説明した20万倍での酸素析出物の観察に従って、確認した歪(黒点)の実質全てが酸素析出物である場合には、黒点の数密度を酸素析出物の数密度とした。また、歪を20万倍で観察した際に、酸素析出物だけでなく、空隙や試料の傷等の酸素析出物ではない欠陥が確認された場合には、確認した歪のうちの酸素析出物の割合を、黒点の数密度に乗じて酸素析出物の数密度とした。10視野で観察を行ない、その平均値を酸素析出物密度とした。尚、超薄切片試料の厚さは、TEM像の等厚干渉縞により確認した。
4)太陽電池特性の評価
各実施例で製造した単結晶シリコンのインゴットから得た試料基板(156mm×156mm×t205μm)を使用して、以下の工程でn型拡散・両面受光太陽電池を作製してセル特性を評価した。先ず基板にはエッチングによりテクスチャ処理を施した後、950℃以上でのホウ素拡散処理、850℃以上のリン拡散処理によるドーパント拡散層の形成、850℃の熱酸化、窒化珪素膜成膜による表面パッシベーションを行ない、銀ペースト電極の印刷焼成により、一般的な両面受光太陽電池を作製した。太陽電池特性の評価は、I−V特性評価によるセル変換効率と、基板結晶の品質であるライフタイム依存性の大きい開放電圧を指標とした。変換効率、開放電圧は隣接する5枚の基板での平均値を採用した。
5)デバイス化後の基板のライフタイム
デバイス化した後の基板のバルク品質をライフタイムで評価した。4)で説明した太陽電池の製造工程に従って、銀ペースト電極形成前の窒化珪素膜成膜直後までの基板を評価用に作製した。これを混酸(48wt%フッ化水素酸:60wt%硝酸=1:2)に浸して、表面のドーパント拡散層、酸化層、窒化珪素膜を完全に除去し、直ちにフッ化水素水(同48wt%フッ化水素酸:超純水=1:9)でリンスして表面を疎水化させた。次いで、キンヒドロン/メタノール溶液を塗布してケミカルパッシベーション処理し、ライフタイム測定装置(SEMILAB社製 WT−2000)でμ−PCD法により基板のライフタイムを測定した。測定は基板全面を2mm間隔で行ない、基板全面の平均値をライフタイム値として採用した。
実施例1
図8に示したインゴット引上げ装置を用いて単結晶シリコンの製造を実施した。このインゴット引上げ装置において、プルチャンバ10の全長(その上端からメインチャンバ1の天井壁9に至るまでの長さ)は5100mmであり、このうち引上げ終了時にインゴットが収容される、ゲートバルブ11より上方の長さは3500mmであり、この領域の内径は380mmであった。また、ゲートバルブ11の下方に介在される、メインチャンバ1との連結区域13の長さは1600mmであった。
プルチャンバ10において、上記ゲートバルブ11の下方に介在される、メインチャンバ1への連結区域13は、前記ゲートバルブ11より上方の内径よりも拡径されており、アフターヒーター12は、この拡径部分に設置されている。アフターヒーター12は、内径380mm×長さ1200mmの黒鉛製の円筒形状の抵抗加熱ヒーターであり、プルチャンバ―10の内壁に沿って周設されている。
なお、このアフターヒーター12とプルチャンバ10の内壁との間には断熱材14が設けられている。
メインチャンバ1内に設置される坩堝3は石英製で直径は24インチ(610mm)であり、これに高純度多結晶シリコン原料150kg及び、これら高純度多結晶シリコンが溶融した際に、そのシリコン融液2中に74ppbaのリン(インゴットの直胴部上端側で比抵抗が3.0〜3.5Ω・cmになる濃度)が溶解した状態となるようにn型シリコンドーパントを調整して収容した。
メインチャンバ1内を真空ポンプで数kPaまで減圧し、黒鉛製の溶融ヒーター4に電力を投入し溶融ヒーター4を1450℃に加熱して、アルゴン雰囲気にて該多結晶シリコンを加熱溶融した。先端に、主面方位がSi<100>である単シリコン種結晶5が設けられた単結晶引上げ軸6を降下させ、該シリコン種結晶5を上記シリコン融液2の液面に接触させて、固液界面が結晶成長する温度になるように溶融ヒーター4を調整した後、0.9mm/分の引上げ速度で単結晶体の引上げを開始し、直胴部が直径9インチ(225mm)長さが1350mm、ショルダー部の長さ100mm、テイル部長さ200mmであり、結晶成長方位が<100>のn型単結晶シリコンインゴットを引上げた。
尚、引上げ開始後、坩堝3中のシリコン融液2の液量が少なくなるに応じて、坩堝中のシリコン融液面からメインチャンバ天井壁までの間隔を一定に保つため、該坩堝3を上昇させた。引上げ開始時において、坩堝3の上端からメインチャンバ1の天井壁最上部との高低差は700mmであった。
引上げられた単結晶シリコンインゴットの冷却は、融液面からプルチャンバ内に進入位置までは、その直胴部上部において0.1〜2.7℃/分の冷却速度で実施した。引上げるインゴットは、前記の如くに長さ1650mmの長尺であるため、850mm以上に引上げた際に、直胴部上部がプルチャンバ10内に進入した。
このプルチャンバ10内に進入した直胴部上部が連結区域13にさしかかる300mm前からアフターヒーター12に電力を投入した。プルチャンバ内に進入した直胴部上部の温度が850℃付近に低下した後はこれより温度が下回らないように保温した。なお、上記アフターヒーター12の加熱温度は、ヒーター近傍に挿入したK熱電対により把握し、アフターヒーターの温度調整をした。
インゴットの引上げを終えた後、インゴットのテイルを融液から切り離し、それと同時に単結晶シリコンインゴットを500mm/分の速度で上昇させた。
インゴットのテイル部下端がゲートバルブより上方に達した後、ゲートバルブを閉めてメインチャンバからの輻射熱を遮ってインゴットを急冷させた。この際、アルゴンを大気圧まで導入することで対流熱伝達を促進させてインゴットの急冷効果を向上させた。
以上の操作の後、ゲートバルブ11より上方のプルチャンバを開放して前記単結晶シリコンインゴット8を引上げ装置外に取り出した。取り出した単結晶シリコンインゴットについて、そのショルダー部上端の置換型炭素濃度を測定し、その値をもとに固化率からインゴット引上げ開始時点のシリコン融液中の炭素濃度を求め、これを使用した多結晶シリコン原料中の炭素濃度の指標とした。求められた引上げ開始時におけるシリコン融液中の炭素濃度を表1に示した。
尚、上記の単結晶シリコンインゴットの引上げ操作における、インゴット直胴部上部の温度履歴を確認するために、下記実験を別に実施した。即ち、インゴット引上げ軸6の先端に備えられる種結晶5に対し、測温用の太い種結晶を取りつけ、下方に50mm突き出るようにアルミナ管に入ったR熱電対を設ける以外、前述と同じ方法により単結晶シリコンインゴットの引上げを実施した。引上げられる単結晶シリコンインゴットにおいて、上記R熱電対は、インゴット中心部の直胴部開始から下方に20mmの位置に埋入していた。
インゴットの引上げ操作中において、該R熱電対の温度を1分間隔でデータ取得することにより、インゴットの直胴上端部から20mm下方における、径方向中心部の温度変化を確認した。前記インゴットを0.9mm/分で引上げる工程において、R熱電対の指示温度は、結晶の固化位置から引上げとともに徐々に低下していくが、プルチャンバに進入後もアフターヒーターで保温されるため800℃以上に保持され、インゴットの全長長さ1650mmまで、即ち、インゴットを融液界面から切り離す位置まで800℃を下回ることがなかった。この時の1000℃からインゴットを切り離すまでの時間、即ち、1000から800℃までの冷却時間は25.4時間であった。その後のインゴットを融液界面から切り離した後の500mm/分での引上げでは約8℃/分で急冷された。
上記の方法で製造された単結晶シリコンインゴットは、ショルダー部とテイル部を切断して切り離し、得られた直胴部についての上端より厚さ2.5mmの円板状サンプルを切り出し、前記1)の方法に従って、単結晶シリコン上端部の格子間酸素濃度と置換型炭素濃度を測定した。結果を表1に示した。
次いで、直胴部の残部全体について、156mm×156mmの角柱(ブリック)に切断加工した後、マルチワイヤソーを用い固定砥粒ワイヤーで太陽電池基板(ウェハ)用にスライス加工した。基板の厚さは205±10μmとした。得られた単結晶シリコン基板のうち、上端近傍に隣接する2枚を、前記2)の物性測定用の試料基板とした。また。その下方から順次、他の物性測定用の試料基板とした。これら試料基板を用い、前記2)および3)の方法に従い、バルク内の酸素析出物の形状、平均長径、数密度を計測した。さらに、前記4)および5)の方法に従い、n型拡散太陽電池の変換効率と開放電圧、太陽電池にデバイス化した後の基板のライフタイムを評価した。結果を表1にそれぞれ示した。
なお、2)「単結晶シリコンバルク内の酸素析出物の観察」において、透過電子顕微鏡による20万倍の観察で確認できた歪の実質全てが酸素析出物であった。また、図1及び図2として、透過電子顕微鏡による200万倍での観察で得られた像を示した。それぞれ、(a)TEM像、(b)STEM−BF像、(c)STEM−HAADF像である。(a)TEM像では、水平方向50〜60nmに伸びた酸素析出物が観察でき、周囲には暗く歪が重なっているものの、水平方向に長くせり出した八面体形状であることが確認できた。
b)STEM−BF像(細く絞った電子線を試料に走査し透過した電子を画像化)では、歪の影響が小さくなり、酸素析出物の形状が鮮明に確認でき、像のコントラストが強く出ていることから、上記八面体形状であることがより明確に確認できた。その長径は、八面体形状の酸素析出物はシリコン結晶の晶癖をもち、画像中の水平方向、すなわち<110>方向に長く伸びていることから、画像より計測することで、あるサンプルでは酸素析出物の長径は58.3nmと認められた。表1には、観察した10個の酸素析出物の長径の平均値を示した。また、(c)STEM−HAADF像(高角度で散乱した電子を画像化)によっても、上記像の八面体形状が鮮明に確認でき、さらに、この画像では原子番号コントラストが顕れるところ、析出物の像が母相のシリコンよりも暗く、軽い組成であることから、これが酸素析出物であることも確認できた。こうした酸素析出物の八面体形状は、観察した10個の酸素析出物の全てにおいて同様であった。
比較例1
インゴット引上げ装置として、図8の装置において、プルチャンバ10内にアフターヒーター12が設けられていないものを使用する以外は、前記実施例1同様にして、単結晶シリコンインゴットの製造を実施した。
インゴットを850mm以上に引上げた際に、インゴット直胴部上部がプルチャンバ10内に進入したが、プルチャンバ10内にはアフターヒーター12が設けられていないため、そのまま600℃付近まで直胴部上部は冷却され、1000℃から800℃までの冷却時間は8.3時間であった。
以上の結果、得られた単結晶シリコンインゴットについて、前記1)〜5)の方法に従って、それぞれの物性測定を行なった。結果を表1に示した。
なお、2)「単結晶シリコンバルク内の酸素析出物の観察」において、透過電子顕微鏡による20万倍の観察で確認できた歪の実質全てが酸素析出物であった。また、図3及び図4として、「2)単結晶シリコンバルク内の酸素析出物の観察」における、透過電子顕微鏡による200万倍での観察で得られた像〔(a)TEM像、(b)STEM−BF像、(c)STEM−HAADF像〕を示した。(a)のTEM像には複雑な歪が観られ、転位ループも観察される。その形状は鮮明ではないものの、図中に矢印で示すように、厚さ1nm以下の非常に薄い板状の酸素析出物が並んだ、転位複合体を形成している様子が確認できた。b)STEM−BF像でも、強い歪が観られているとともに、析出物像が上記板状形状であることがより明確に確認できた。その長径は、画像中斜め方向の<111>方向に長く伸びた形状であることから、画像より計測することであるサンプルでは12.8nmであった。さらに、(c)のSTEM−HAADF像でも、析出物の像が板状形状であることが鮮明に確認できた。こうした酸素析出物の板状形状は、観察した10個の酸素析出物の全てにおいて同様であった。
実施例2、比較例2及び3
前記実施例1において、インゴットの引上げ開始時のシリコン融液中の炭素濃度が表1に示した値になるように、炭素濃度の異なる多結晶シリコン原料を用い、さらに、インゴットの冷却工程における、1000から800℃までの冷却時間も表1に示した値に変えた以外は、実施例1と同様にして、単結晶シリコンインゴットを製造した。得られた単結晶シリコンについて、1)〜5)の各物性を測定した結果を表1に示した。
Figure 2018008561
表1から明らかなように、実施例1及び2で製造した単結晶シリコンインゴットの直胴部上部から切り出した単結晶シリコン板状体は、径方向中心部において、格子間酸素濃度が25ppmaを越える高い値にあり、置換型炭素濃度が0.3ppma以下で含み、バルク内に酸素析出物が観察されず、且つ、これを950℃で60分加熱した後では、バルク内に多面体構造の酸素析出物が観察される性状を呈していた。そして、これらは、太陽電池デバイスとして優れた変換効率及び開放電圧を有し、ライフタイムも高い値を有するものであった。
これに対して、比較例1及び2で製造した単結晶シリコンインゴットから同様にして切り出した単結晶シリコン板状体は、上記実施例1及び2のものと比較して、前記950℃で60分での加熱処理により析出する酸素析出物の形状が板状である点で大きな相違を有するものであったが、これらはその太陽電池デバイスとしての性状が上記各実施例のものよりも大きく劣っていた。
また、比較例3で製造した単結晶シリコンインゴットから同様にして切り出した単結晶シリコン板状体は、上記実施例1及び2のものと比較して、置換型炭素濃度が1.35ppmaと大きい点で大きな相違を有するものであったが、斯様に炭素が多く含まれていると、前記加熱処理により析出する酸素析出物の形状が多面体であっても、比較的サイズが小さく、数密度が高いため、転位が生成しやすいと太陽電池デバイスとしての性状が上記各実施例のものよりも大きく劣る結果であった。
実施例3及び4、比較例4
前記実施例1において、インゴットの引上げ開始時のシリコン融液中の炭素濃度が表2に示した値になるように、炭素濃度の異なる多結晶シリコン原料を用い、さらに、インゴットの冷却工程における、1000から800℃までの冷却時間も表2に示した値に変えた以外は、実施例1と同様にして、単結晶シリコンインゴットを製造した。得られた単結晶シリコンについて、1)〜5)の各物性を測定した結果を表2に示した。
Figure 2018008561
表2から明らかなように、実施例3及び4で製造した単結晶シリコンインゴットの直胴部上部から切り出した単結晶シリコン板状体は、前記実施例1の単結晶シリコン板状体と比較して、置換型炭素濃度が、実施例3は0.21ppmaであり、実施例4は0.41ppmaであり、いずれも少し高めな点が相違していた。他方、比較例4の単結晶シリコン板状体は、950℃で60分での加熱処理により析出する酸素析出物の形状が板状であるものにおいて、係る置換型炭素濃度が同様に0.22ppmaと高めのものであった。
而して、その太陽電池デバイスとしての性状は、同じ置換型炭素濃度である前記実施例3と比較例4との対比では、前者が大幅に上回り、置換型炭素濃度が有意に高い前記実施例4と比較例4との対比でも前者が上回る結果であった。このことから、この程度に置換型炭素濃度がやや高め(0.5ppma以下)でも、上記加熱処理により析出する酸素析出物の形状が多面体のものは、これが板状のものよりも、前記太陽電池デバイスとしての性状に優れたものになることが確認できた。
実施例5,比較例5
実施例1における、「2)単結晶シリコンバルク内の酸素析出物の観察」で透過電子顕微鏡により200万倍で観察した八面体形状の酸素析出物について、さらに高倍率の800万倍で観察した。その結果を図5に示した。(a)TEM像に、拡大観察した位置を矢印で示した。酸素析出物の成長により応力の集中しやすい酸素析出物の端部を拡大観察した。(b)STEM−BF像、(c)STEM−HAADF像ともにシリコン結晶の格子像が観察され、酸素析出物の位置とその周囲に格子の乱れが観察できる。(c)STEM−HAADF像のシリコン結晶の母相部には、シリコン原子コラムが対になったダンベル構造も観えており、これにより、結晶格子の歪を容易に観察できた。
また、同様に比較例1で観察した板状形状の酸素析出物についても、800万倍で観察した。その結果を図6に示した。(a)TEM像に、拡大観察した位置を矢印で示す。TEM像に観られる酸素析出物から生じた転位ループの近傍を拡大観察した。(b)STEM−BF像、(c)STEM−HAADF像ともに格子の乱れ大きく、前記実施例1の酸素析出物の電子顕微鏡観察像(図5)と比較すると、格子像の不鮮明な領域が広く、即ち、格子の乱れの大きいことが判った。
参考例1
実施例1において、単結晶シリコンインゴットの引上げ操作とは別に実施する、インゴット直胴部における温度履歴の確認実験を、下記のように変更して実施した。即ち、インゴット引上げ軸6の先端の測温用種結晶の下方に設ける、R熱電対の下方への突き出し長さを330mmに変更し、引上げられる単結晶シリコンインゴットにおいて、上記R熱電対が、インゴット中心部の直胴部開始箇所から下方に300mmの位置に埋入する態様とした。この確認実験により、実施例1で製造する結晶シリコンインゴットの直胴部における、該R熱電対を設けた径方向中心部の位置の、1000から800℃までの冷却時間が20.2時間であることが確認できた。
そして、実施例1と同様にして単結晶シリコンインゴットを製造し、得られたインゴットの直胴部に対し、上記R熱電対を設けた相当位置近傍を対象に、1)〜5)の各物性を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2018008561
表3から明らかなように、実施例1で得たものと単結晶シリコンインゴットと同様の条件で製造した単結晶シリコンインゴットにおいても、直胴部の中位部から切り出した単結晶シリコン板状体になると、格子間酸素濃度は25ppmaを下回るまで少なくなっていた。そして、斯様に酸素濃度が少ないと、950℃で60分での加熱処理によっても酸素析出物は実質析出せず、太陽電池デバイス性状を低下させる課題が存在しない状態であった。
1;メインチャンバ
2;シリコン融液
3;坩堝
4;溶融ヒーター
5;種結晶
6;単結晶引上げ軸
7;断熱材(メインチャンバ)
8;単結晶シリコンインゴット
9;天井壁
10;プルチャンバ
11;ゲートバルブ
12;アフターヒーター
13;ゲートバルブとメインチャンバとの連結区域
14;断熱材(プルチャンバ)
15;熱遮蔽装置

Claims (9)

  1. 径方向中心部において、結晶中の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である単結晶シリコン板状体であって、
    前記径方向中心部が、透過電子顕微鏡による20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察されず、且つ、該単結晶シリコン板状体を、950℃で60分加熱した後では、前記20万倍の画像において、バルク内に酸素析出物が観察され、この酸素析出物の形状が、200万倍の画像で多面体構造に観察される、
    ことを特徴とする単結晶シリコン板状体。
  2. 置換型炭素濃度が0.001〜0.3ppmaである請求項1記載の単結晶シリコン板状体。
  3. 加熱後に観察される酸素析出物の数密度が1×1013個/cm以下である、請求項1記載のまたは請求項2記載の単結晶シリコン板状体。
  4. CZ法単結晶シリコンインゴットから切り出したものであり、切出し後900℃以上の熱履歴を受けていない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単結晶シリコン板状体。
  5. 単結晶シリコン板状体の切り出しが、CZ法単結晶シリコンインゴットの直胴部上部から行われた態様である、請求項4記載の単結晶シリコン板状体。
  6. インゴット長軸方向において、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単結晶シリコン板状体の性状を満足する領域を含んでなる、CZ法単結晶シリコンインゴット。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の単結晶シリコン板状体の性状を満足する領域が直胴部上部に含まれてなる、請求項6記載の単結晶シリコンインゴット。
  8. 多結晶シリコンを溶融した融液から、CZ法により単結晶シリコンインゴットを引上げるに際し、
    インゴットの長軸方向において、径方向中心部の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度が0.5ppma以下である領域の1000℃から800℃までの冷却を、10時間以上の冷却時間で実施することを特徴とするCZ法単結晶シリコンインゴットの製造方法。
  9. 請求項8に記載の方法によりCZ法単結晶シリコンインゴットを製造した後、前記径方向中心部の格子間酸素濃度が25〜45ppmaであり、且つ置換型炭素濃度0.5ppma以下である長軸方向領域から、単結晶シリコンを板状に切り出すことを特徴とする単結晶シリコン板状体の製造方法。
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