JP2013206981A - シリコンウェーハ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るシリコンウェーハ1は、表面から少なくとも深さ5μmまでの表層部1a1は、LSTD密度が1.0個/cm2未満であり、前記表層部1a1を除くバルク部1bは、多面体酸素析出物2bよりも板状酸素析出物2aが優勢に成長し、前記表層部1a1と前記バルク部1bとの間には、前記板状酸素析出物2aが成長しない中間層1a2が設けられ、前記中間層1a2は、酸素濃度が0.8〜1.2×1018atoms/cm3である。
【選択図】図1
Description
Originated Particle)などのGrown−in欠陥が取り込まれていることが知られている。このような欠陥が半導体デバイス形成領域となるウェーハの表面近傍(表面から少なくとも深さ5μmまでの表層部)に存在すると酸化膜耐圧等のデバイス特性が劣化することが知られている。また、ウェーハのバルク部に成長する酸素析出物(Bulk Micro Defect:以下、BMDともいう)は、後の半導体デバイス形成工程において表層部に拡散する不純物のゲッタリングサイトとなると共に、ウェーハの強度を高めると言われている。
また、板状酸素析出物は、特許文献3に示すように、デバイスプロセス(半導体デバイス形成工程)においてLSA処理を行うと、当該酸素析出物を起点として容易に転位が発生するという課題を有している。
よって、この技術的課題を解決するシリコンウェーハの開発が望まれている。
図1は、本発明に係るシリコンウェーハの構造を示す概略断面図である。
本発明に係るシリコンウェーハ1は、表面から少なくとも深さ5μmまでの表層部1a1は、LSTD密度が1.0個/cm2未満であり、前記表層部1a1を除くバルク部1bは、多面体酸素析出物2bよりも板状酸素析出物2aが優勢に成長し(以下、板状酸素析出物2aと多面体酸素析出物2bとを総称して酸素析出物2aという)、前記表層部1a1と前記バルク部1bとの間には、前記板状酸素析出物2aが成長しない中間層1bが設けられ、前記中間層1bは、酸素濃度が0.8〜1.2×1018atoms/cm3であることを特徴とする。
すなわち、前記中間層の酸素濃度が、0.8〜1.2×1018atoms/cm3であるため、転位における酸素のピンニング力が高くなる。従って、板状酸素析出物を起点とした転位を、表層部まで伝播するのを抑制することができる。
また、Cuに対するゲッタリング効果を更に高めることができる。これは、前記中間層の酸素濃度が高いため、この層に半導体デバイス特性に影響を及ぼさない(後述するBMD析出熱処理で析出(成長)しない)微少の板状酸素析出物が析出し、これが表層部内のCuをバルク部方向に引き寄せ、これによってバルク部の板状酸素析出物のゲッタリング効果を更に高めるものと考えられる。
中間層の厚さをこのような範囲とすることで、Cuに対するゲッタリング効果を更に高めることができる。
ここでいう散乱光強度とは、酸素析出物2のサイズを示すパラメータとなるものであり、散乱光強度が高いと酸素析出物2のサイズが大きいことを示す。この散乱光強度及び密度は、IRトモグラフィ(株式会社レイテックス製 MO−411)にて測定することができる。
このように、散乱光強度及び密度が上記範囲内であるため、バルク部1b内での歪みの発生が抑制される。従って、デバイスプロセスにおいて板状酸素析出物を起点とする転位の発生を抑制することができる。
本発明に係るシリコンウェーハは、下記の方法で製造することができる。
CZ法により育成されたシリコン単結晶からスライスされた酸素濃度が1.5×1018atoms/cm3以上である少なくとも半導体デバイス形成面が鏡面研磨されたシリコンウェーハを、700℃以下で保持された反応室内に投入し、非酸化性ガス雰囲気中、前記投入温度から1100〜1250℃の最高到達温度まで、0.1℃/分未満の昇温速度で昇温し、前記最高到達温度を30分〜2時間保持する。
なお、前記非酸化性ガス雰囲気は、窒素ガス雰囲気、水素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気(好ましくは、アルゴンガス雰囲気)が含まれる。
また、前記板状酸素析出物及び多面体酸素析出物の密度比の調整は、前記昇温速度を調整することにより行う。
具体的には、周知の単結晶引上装置を用いて、シリコン融液の液面に種結晶を接触させて、種結晶と石英ルツボを回転させながら種結晶を引き上げてネック部及び所望の直径まで拡径する拡径部を形成後、所望の直径を維持しながら、結晶の中心軸のV/G値(V:引き上げ速度、G:シリコン融点から1300℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値)を制御して直胴部を形成し、その後、所望の直径から縮径する縮径部を形成し、前記縮径部をシリコン融液から切り離すことで行う。
また、前記育成するシリコン単結晶の酸素濃度の調整は、石英ルツボの回転数や炉内圧力、ヒータ温度などを調整することにより周知の方法で行う。
結晶の中心軸が無欠陥領域となるようにV/G値を所定値(例えば、0.10〜0.20mm2/℃・min)に制御する場合は、全面にGrown−in欠陥のないシリコンウェーハを製造することが可能である。しかしながら、この場合は、シリコン単結晶の育成効率が低下するという問題があり、更に、無欠陥領域を形成する場合は、結晶中の酸素濃度が低くなる傾向があるため、バルク部に前述したような酸素析出物2を成長させることが難しい場合がある。
図2は、本発明の熱処理における温度シーケンスの一例を示す概念図である。
最初に、周知の縦型熱処理装置の温度T0(好ましくは700℃以下)に保持された反応室内に、前記鏡面研磨されたウェーハを、例えば、周知の縦型ボードに枚葉で複数枚保持して投入し、非酸化性ガス雰囲気中、1100℃以上1250℃以下の最高到達温度T1(以下、これを温度T1と略する)まで昇温速度ΔTu(0.1℃/分未満)で昇温し、前記温度T1で、30分以上2時間以下(t1)保持する。その後、前記温度T1から前記反応室からのウェーハの取り出し温度(例えば、温度T0)まで、降温速度ΔTdで降温する。
前記熱処理における反応室内への投入温度が700℃を超える場合には、室温(クリーンルーム:約25℃)からの急激な温度変化によりウェーハにスリップ転位が発生しやすくなるため好ましくない。
前記投入温度は、生産性等の観点からその下限値は、300℃以上であることが好ましい。
前記昇温速度ΔTuは、好ましくは、0.01〜0.1℃/分である。
前記取り出し温度が700℃を超える場合には、室温(クリーンルーム:約25℃)への急激な温度変化によりウェーハにスリップ転位が発生しやすくなるため好ましくない。
前記取り出し温度は、生産性等の観点からその下限値は、300℃以上であることが好ましい。
[試験1]
CZ法により窒素ドープ(石英ルツボ内へのポリシリコン積載時に窒化膜が形成されたシリコンウェーハ片を同時に積載)を行い、かつ、石英ルツボの回転数や炉内圧力を調整してV/G値(V:引き上げ速度、G:シリコン融点から1300℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値)を0.28〜0.32mm2/℃・minに制御して直胴部がV−リッチ領域からなるN−type、面方位(100)、酸素濃度が1.5〜1.8×1018atoms/cm3であるシリコン単結晶を育成後、該インゴットの直胴部を切断して、酸素濃度が異なるV−リッチ領域からなる直径300mmの円板状のスライスウェーハを得た。
この酸素濃度は、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて測定したスライスウェーハの半導体デバイス形成面側の表面から深さ1μmまでの平均濃度である(以下同じ)。
次に、鏡面研磨を行った酸素濃度が異なるウェーハを、周知の縦型ボートに枚葉で10枚ずつ保持して、周知の縦型熱処理装置の反応室内に投入し、図2に示す熱処理シーケンスにて、更に、昇温速度ΔTu及び最高到達温度T1の保持時間(t1)をそれぞれ変化させて、表面からバルク部上端までの表層部の厚さ、中間層の酸素濃度がそれぞれ異なるシリコンウェーハを複数製造した。
その他の熱処理条件は下記の通りである。
・T0:700℃
・T1:1100℃
・ΔTd:1℃/分〜3℃/分
また、前記熱処理を行ったウェーハに対して、BMD析出熱処理(780℃で3時間熱処理した後、1000℃で16時間熱処理)を施した後、ウェーハのバルク部まで鏡面研磨を行い、前記密度比(X)をIRトモグラフィ(株式会社レイテックス製 MO−411)にて評価した。
また、図2に示す熱処理シーケンスにおける熱処理を行ったウェーハに対して、枚葉式急速加熱・急速冷却熱処理装置を用いて、700℃で保持された反応室内に投入し、昇温速度50℃/秒にて、最高到達温度1350℃まで昇温し、1350℃を15秒間保持した後、降温速度50℃/秒にて、700℃まで降温する急速加熱・急速冷却熱処理(Rapid Thermal Process:以下、RTPという)を施した後に、半導体デバイス形成面の表面から深さ5μmの位置における転位の発生の有無を、X線トポグラフィ(株式会社リガク製 XRT300)にて測定した。 この深さ5μmの位置における転位の発生の有無の評価は、前記RTPを施した後、半導体デバイス形成面側を5μm鏡面研磨により除去して、X線トポグラフィにより測定することで行なった。
表1に、本試験における実験条件及び評価結果を示す。
なお、中間層の酸素濃度が0.6×1018atoms/cm3未満である場合(比較例1から3)、酸素濃度が1.2×1018atoms/cm3を超える場合(比較例4から6)は、転位の発生が認められる。
なお、比較例4から6のサンプルにおいて、BMD析出熱処理(780℃で3時間熱処理した後、1000℃で16時間熱処理)を施した後、ウェーハの表面から深さ7μmまで鏡面研磨を行い、その表面のBMD密度をIRトモグラフィ(株式会社レイテックス製 MO−411)にて評価したところ、8.0×106/cm3のBMDが検出された。なお、実施例1から12のサンプルについても同様にBMD析出熱処理を施した後、ウェーハの表面から深さ7μmの位置のBMD密度を測定したところ、いずれも検出限界以下(約3.0×106/cm3以下)であった。また、密度比(X)は、試験1のいずれのサンプルとも95以上であった。
1a 表層部
1b バルク部
1aa デバイス形成層
1ab デバイス非形成層
Claims (3)
- 表面から少なくとも深さ5μmまでの表層部は、LSTD密度が1.0個/cm2未満であり、
前記表層部を除くバルク部は、多面体酸素析出物よりも板状酸素析出物が優勢に成長し、
前記表層部と前記バルク部との間には、前記板状酸素析出物が成長しない中間層が設けられ、前記中間層は、酸素濃度が0.8〜1.2×1018atoms/cm3であることを特徴とするシリコンウェーハ。 - 前記中間層の厚さは、少なくとも5μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハ。
- 前記板状酸素析出物は、散乱光強度が3000〜5000a.u.であり、密度が1.0×109〜6.0×109個/cm3であることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコンウェーハ。
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