JPWO2017213115A1 - 蚊駆除剤及び蚊駆除方法 - Google Patents

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Abstract

有効成分と燃焼基材とを含有する蚊駆除剤1に関する。蚊駆除剤1の形状は円錐である。円錐の底面の直径dと高さh1の比は1:1.5〜1:6である。直径dは5〜20mmである。蚊駆除剤1の質量は0.5〜3gである。

Description

本発明は、一般には蚊駆除剤及び蚊駆除方法に関し、より詳細には燃焼型の蚊駆除剤及びそれを用いた蚊駆除方法に関する。
従来の代表的な燃焼型の蚊駆除剤として、渦巻き式蚊取り線香がある。この渦巻き式蚊取り線香は、植物混合粉を主成分とする燃焼基材に、蚊を駆除するための有効成分が含有されて、渦巻き状に形成されている。そして、この渦巻き式蚊取り線香の一端に着火して、燃焼基材を燃焼させると、この燃焼に伴う加熱により有効成分が揮散する。これと同時に燃焼基材が燃焼することにより副産物として煙が発生し、揮散した有効成分が、煙を構成する個々の煙粒子に付着する。このように有効成分が付着した煙粒子が空間内に拡散することで、この空間内に生息する蚊を駆除することができる。上記の有効成分としてdl・d−T80−アレスリンが使用されているが、これは約150℃程度になると蒸散を始め、約400℃になると熱分解を起こす。ところで、渦巻き式蚊取り線香の燃焼部分は700〜800℃に達するので、このような高温に晒された燃焼基材中のdl・d−T80−アレスリンは熱分解を起こす。しかし、燃焼部分から6〜8mm手前の部分は約250℃程度と比較的低温であるため、この部分ではdl・d−T80−アレスリンは熱分解を起こすことなく、蒸散が起こっている(例えば、非特許文献1参照)。
蒸散したdl・d−T80−アレスリンは、燃焼基材である植物混合粉等が燃焼することにより発生した煙粒子に付着することで空間内に拡散し、この空間内に生息する蚊が、煙粒子に付着しているdl・d−T80−アレスリンに接触することで駆除される。ところで、dl・d−T80−アレスリンは自己蒸散性の基準となる蒸気圧が低く、空間内に漂う間に冷却され、元の液体としての形状に戻ることで落下する。その後は通常の蒸気圧に従った蒸散性でごくわずかずつ揮散するに留まることから、一旦落下した後は駆除効果が極端に低下する。従って、従来の蚊取り線香では、燃焼が持続し燃焼によるdl・d−T80−アレスリンの加熱と燃焼基材の燃焼による煙の発生があるときに限り、蚊の駆除効果が継続することとなる。そのため、通常は7〜8時間、さらに12〜13時間程度燃焼を維持しない限り、一晩に亘る蚊の駆除を継続することが難しい。
一方、近年、住宅の高気密化が進むにつれ、蚊取り線香の燃焼に伴い発生する煙が居住空間から抜けることなく、充満することで居住者の不満が増すと共に、煙を吸い込むことによる体調の不良を引き起こす原因にもなっている。
そこで、煙を発生させることなく有効成分を居住空間に蒸散させる手段として電気式の蚊取り装置が開発された。その一つがマット式である。このマット式の電気蚊取り装置は、リンターとパルプから構成されるマットに色素を添加した揮散調整剤としての有機溶媒に有効成分を溶解したものを含浸させ、これを発熱板の上に設置し、加熱することで有効成分を蒸散させる仕組みとなっている。加熱により蒸散させる方法は蚊取り線香と同じであるが、蚊取り線香でみられる燃焼基材が燃焼することによる煙の発生がないという利点がある。反面、煙が存在しないことにより空間への拡散が不十分であるという欠点がある。また、毎日マットを交換しなければならないという欠点もある。
そこで、マット式の利点を活かしながら、毎日交換しなければならないという不便性を解消すべく開発されたのが液体式である。この液体式の電気蚊取り装置は、プラスチック製の容器に、揮散調整剤である有機溶媒に有効成分を溶解させたものを充填し、その中に有効成分を含有する液体を吸い上げるための芯を装着し、その先端を加熱することで、有効成分を居住空間に蒸散させる仕組みとなっている。液体式の電気蚊取り装置の利点は、通電している間は全く効力の低下がなく、しかも液体が残存している限り交換が不要である点である。
しかしながら、マット式と同様に、居住空間への有効成分の拡散を促進する煙のような媒体が存在しないことから、有効成分が居住空間の隅々まで行きわたりにくいという欠点がある。また、有効成分と共に有機溶媒も同時に常時蒸散することから、化学物質に過敏な人にとっては健康障害の原因となり得るという欠点もある。
近年、燃焼により発生する熱や通電による加熱等に頼ることなく、しかも煙の発生がなく、極めて低用量の有機溶媒だけで有効成分を居住空間に広く拡散させる手段として、ワンプッシュ定量噴射式のエアゾールが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
この手段は、比較的高濃度の有効成分を含有する有機溶媒を、低用量定量噴射式のノズルを装着したエアゾール缶に充填することを特徴としている。また、有効成分には、低温又は常温揮散性の薬剤を使用することで、空間に吐出された後、一旦落下して床に付着したり、壁や天井に付着したりしたものが再揮散し、これを繰り返すことで、一定時間、蚊の駆除効果が持続する。この手段を利用することで、煙や有機溶媒による居住者への悪影響が解消し、しかも1日1回程度の使用で、1晩の蚊の駆除効果が期待される。しかしながら、最近、噴射方向を間違え、使用者が自らに向かって噴射するといった事故が多発している。また1日1回の使用基準にもかかわらず、一つの空間に対して数回に亘って噴射するといった過剰使用もみられる。また噴射方向によって再揮散の効果が十分に得られないなどの問題が目立つようになり、安全かつ十分な効果が期待できない状況にある。
一方、ワンプッシュ定量噴射式のエアゾールの有効成分である低温又は常温揮散性の薬剤を使用し、これを従来からの渦巻き式蚊取り線香に応用することで、1時間以内の燻煙で25m以下の部屋を5時間以上害虫防除可能な雰囲気を作ることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第5210811号公報 特許第5352531号公報 特許第5279039号公報
"家庭用殺虫剤概論III"、[online]、日本家庭用殺虫剤工業会、[平成28年4月5日検索]、インターネット(URL:http://sacchuzai.jp/images/gairon.pdf)
本発明の目的は、数分から十数分程度の短時間の燃焼でも5時間以上の長時間にわたって、蚊の駆除効果を持続することができる蚊駆除剤及び蚊駆除方法を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る蚊駆除剤は、有効成分と燃焼基材とを含有する蚊駆除剤である。前記蚊駆除剤の形状は円錐である。前記円錐の底面の直径と高さの比は1:1.5〜1:6である。前記直径は5〜20mmである。前記蚊駆除剤の質量は0.1〜8gである。
本発明の第2の態様に係る蚊駆除剤は、有効成分と燃焼基材とを含有する蚊駆除剤である。前記蚊駆除剤の形状は三角柱である。前記三角柱の底面の三角形の底辺の長さと高さの比は1:1.1〜1:5である。前記底辺の長さは10〜30mmである。前記蚊駆除剤の質量は0.5〜6gである。
本発明の第3の態様に係る蚊駆除剤は、第2の態様において、前記三角柱の高さは2〜6mmであることが好ましい。
本発明の第4の態様に係る蚊駆除剤は、第1〜3のいずれかの態様において、前記有効成分がメトフルトリンであり、前記メトフルトリンを3〜10mg含有することが好ましい。
本発明の第5の態様に係る蚊駆除剤は、第1〜4のいずれかの態様において、前記有効成分がトランスフルトリンであり、前記トランスフルトリンを3〜20mg含有することが好ましい。
本発明の第6の態様に係る蚊駆除剤は、第1〜5のいずれかの態様において、前記有効成分がジメフルトリンであり、前記ジメフルトリンを3〜20mg含有することが好ましい。
本発明の第7の態様に係る蚊駆除剤は、第1〜6のいずれかの態様において、前記有効成分がヘプタフルトリンであり、前記ヘプタフルトリンを3〜20mg含有することが好ましい。
本発明の第8の態様に係る蚊駆除剤は、第1〜7のいずれかの態様において、前記有効成分がメパフルトリンであり、前記メパフルトリンを3〜20mg含有することが好ましい。
本発明の第9の態様に係る蚊駆除剤は、第1〜8のいずれかの態様において、前記燃焼基材は、植物粉砕物、植物炭化物、植物繊維、植物由来成分、再生植物繊維質からなる群より選ばれた1種以上のものであることが好ましい。
本発明の第10の態様に係る蚊駆除方法は、第1〜9のいずれかの態様における前記蚊駆除剤の頂点に着火する。
本発明によれば、数分から十数分程度の短時間の燃焼でも5時間以上の長時間にわたって、蚊の駆除効果を持続することができる。
図1は本発明の実施形態1に係る蚊駆除剤の斜視図である。 図2は本発明の実施形態2に係る蚊駆除剤の斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施形態1)
実施形態1の蚊駆除剤1について図1を示しながら説明する。この蚊駆除剤1は、有効成分と燃焼基材とを含有している。この蚊駆除剤1に着火すると、燃焼基材が燃焼して煙が発生し、この煙を構成する個々の煙粒子に有効成分が付着して拡散する。有効成分及び燃焼基材については、実施形態1、2に共通する事項であるので後でまとめて説明する。
実施形態1の蚊駆除剤1の形状は円錐である。この円錐の底面の直径はd、高さはh1である。この円錐と、不図示の円柱(底面の直径がd、高さがh1)とを比べると、円錐状の蚊駆除剤1の方が、同じ底面及び高さの円柱状の蚊駆除剤(不図示)よりも、短い燃焼時間で多くの有効成分を拡散させることができる。有効成分の燃焼による損失をできる限り抑制しながら、数分から十数分程度の短時間の燃焼で従来の蚊取り線香と同等以上の殺虫効力かつ効力持続期間(例えば5時間以上)を確保するためには、蚊駆除剤1の形状及び質量が重要である。この点について更に詳細に説明する。
円錐の底面の直径dと高さh1の比は1:1.5〜1:6である。言い換えると、円錐の高さh1は、底面の直径dの1.5〜6倍である。この範囲を逸脱すると、蚊駆除剤1の燃焼時間が長くなるおそれがある。燃焼時間が長いと、それだけ発生する煙の量が増加し、健康障害の一因となり得る。また上記の範囲を逸脱すると、有効成分の消失量が増加したりする。有効成分の消失は、蚊の駆除という本来の機能を果たさないまま有効成分が消失してしまうことを意味する。好ましくは、円錐の底面の直径dと高さh1の比は1:2〜1:5である。言い換えると、好ましくは、円錐の高さh1は、底面の直径dの2〜5倍である。この範囲内であると、より短い燃焼時間で、より多くの有効成分を拡散させることができる。すなわち、蚊駆除剤1の燃焼時間が短くなるので、発生する煙の量が少なくなり、健康障害が生じにくくなる。さらに拡散する有効成分が増加することにより、長期間にわたって蚊の駆除を行うことができる。
円錐の底面の直径dは5〜20mmである。この範囲を逸脱すると、蚊駆除剤1の燃焼時間が長くなったり、あるいは有効成分の消失量が増加したりする。好ましくは、円錐の底面の直径dは6〜15mmである。この範囲内であると、より短い燃焼時間で、より多くの有効成分を拡散させることができる。
実施形態1の円錐状の蚊駆除剤1の質量は0.1〜8gである。蚊駆除剤1の質量が0.1g未満であると、有効成分の消失量が増加し、蚊の駆除が不十分となる。蚊駆除剤1の質量が8gを超えると、燃焼時間が長くなり、健康障害となり得る煙の量が増加する。好ましくは、蚊駆除剤1の質量は0.5〜3gである。この範囲内であると、より短い燃焼時間で、より多くの有効成分を拡散させることができる。
次に実施形態1の蚊駆除剤1を用いた蚊駆除方法について説明する。まず蚊を駆除したい場所において、円錐の底面を下にして蚊駆除剤1を蚊遣器(不図示)などに設置する。蚊遣器は、一般の蚊取線香を安定して燃焼させ、灰の飛散を防いで後処理を容易にする道具である。蚊遣器の代わりに、不燃性を有する皿状部材を使用してもよい。例えば、灰皿などが挙げられる。蚊を駆除したい場所の具体例として、居間、台所、寝室が挙げられるが、これらの場所には限定されない。蚊を駆除する際には、これらの場所の窓や扉を閉めておくことが好ましい。このように、蚊を駆除したい場所を密閉空間とすることで、この空間内に有効成分を留めておくことができ、この空間外に有効成分が拡散して消失するのを抑制することができる。そして、蚊駆除剤1の頂点Pに着火する。言い換えると、蚊駆除剤1の最も尖った部位に着火する。燃焼部分は、頂点Pを含む小さな円錐状の第1部分V1であり、この第1部分V1は約700〜800℃に達し、主にこの第1部分V1から煙が発生する。第1部分V1の直下の円錐台状の第2部分V2は、第1部分V1の熱が伝わって、約250℃前後となる。第1部分V1に含まれる有効成分は高温により熱分解するが、第2部分V2に含まれる有効成分は熱分解しないで蒸散し、煙を構成する個々の煙粒子に付着して拡散する。第1部分V1よりも第2部分V2に含まれる有効成分の方が多いので、有効成分の消失量を減少させることができる。やがて第1部分V1は灰となり、燃焼部分が第2部分V2に移動する。この第2部分V2も約700〜800℃に達し、主にこの第2部分V2から煙が発生するが、この第2部分V2に含まれていた有効成分は、第1部分V1が燃焼している間に既に蒸散してしまっている。そして、今度は第2部分V2の直下の円錐台状の第3部分V3が約250℃前後となり、この第3部分V3から有効成分が蒸散する。このようにして蚊駆除剤1が燃え尽きるまで煙が発生し、有効成分が蒸散するので、数分から十数分程度の短時間の燃焼でも5時間以上の長時間にわたって、蚊の駆除効果を持続することができる。
以上のように、蚊駆除剤1の形状としては、燃焼の開始部位はできる限り細く、徐々に太くすることが好ましい。このような形状とすることで、小さい燃焼部分で加熱し、この隣接部分に含有されている有効成分をより多く加熱蒸散させることができる。また、蚊駆除剤1の頂点Pである先端部分を細くすることで、初期における燃焼時間を短縮することができ、より短時間で効果を発揮することが可能となる。
(実施形態2)
実施形態2の蚊駆除剤1について図2を示しながら説明する。実施形態1と同様に、この蚊駆除剤1も、有効成分と燃焼基材とを含有している。この蚊駆除剤1に着火すると、燃焼基材が燃焼して煙が発生し、この煙を構成する個々の煙粒子に有効成分が付着して拡散する。
実施形態2の蚊駆除剤1の形状は三角柱である。この三角柱の高さはt、底面の三角形(図2では三角形DEF)の底辺の長さはa、高さはh2である。この三角柱と、同じ高さtを有する不図示の直方体(底面の長方形の底辺の長さがa、高さがh2、言い換えると、底面の長方形の隣り合う二辺の長さがa、h2)とを比べると、三角柱状の蚊駆除剤1の方が、直方体状の蚊駆除剤よりも、短い燃焼時間で多くの有効成分を拡散させることができる。有効成分の燃焼による損失をできる限り抑制しながら、数分から十数分程度の短時間の燃焼で従来の蚊取り線香と同等以上の殺虫効力かつ効力持続期間(例えば5時間以上)を確保するためには、蚊駆除剤1の形状及び質量が重要である。この点について更に詳細に説明する。
三角柱の底面の三角形の底辺の長さaと高さh2の比は1:1.1〜1:5である。言い換えると、三角柱の底面の三角形の高さh2は、底辺の長さaの1.1〜5倍である。この範囲を逸脱すると、蚊駆除剤1の燃焼時間が長くなるおそれがある。燃焼時間が長いと、それだけ発生する煙の量が増加し、健康障害の一因となり得る。また上記の範囲を逸脱すると、有効成分の消失量が増加したりする。有効成分の消失は、蚊の駆除という本来の機能を果たさないまま有効成分が消失することを意味する。好ましくは、三角柱の底面の三角形の底辺の長さaと高さh2の比は1:2〜1:5である。言い換えると、好ましくは、三角柱の底面の三角形の高さh2は、底辺の長さaの2〜5倍である。この範囲内であると、より短い燃焼時間で、より多くの有効成分を拡散させることができる。すなわち、蚊駆除剤1の燃焼時間が短くなるので、発生する煙の量が少なくなり、健康障害が生じにくくなる。さらに拡散する有効成分が増加することにより、長期間にわたって蚊の駆除を行うことができる。
三角柱の底面の三角形の底辺の長さaは10〜30mmである。この範囲を逸脱すると、蚊駆除剤1の燃焼時間が長くなったり、あるいは有効成分の消失量が増加したりする。
実施形態2の三角柱状の蚊駆除剤1の質量は0.5〜6gである。蚊駆除剤1の質量が0.5g未満であると、有効成分の消失量が増加し、蚊の駆除が不十分となる。蚊駆除剤1の質量が6gを超えると、燃焼時間が長くなり、健康障害となり得る煙の量が増加する。
三角柱の高さtは2〜6mmであることが好ましい。三角柱の高さtが2mm以上であることによって、有効成分の消失量を低減することができる。三角柱の高さtが6mm以下であることによって、蚊駆除剤1の燃焼時間を短くして、煙の発生量を低減することができる。
次に実施形態2の蚊駆除剤1を用いた蚊駆除方法について説明する。まず蚊を駆除したい場所において、蚊駆除剤1を蚊遣器(不図示)などに設置する。この場合、三角柱の5つの面のうちのどの面を下にしてもよい。図2では三角形DEFを下にして、三角柱状の蚊駆除剤1を設置している。蚊遣器については実施形態1と同様であり、蚊遣器の代わりに、不燃性を有する皿状部材を使用してもよい。蚊を駆除したい場所の具体例として、居間、台所、寝室が挙げられるが、これらの場所には限定されない。蚊を駆除する際には、これらの場所の窓や扉を閉めておくことが好ましい。実施形態1と同様に、蚊を駆除したい場所を密閉空間とすることで、この空間内に有効成分を留めておくことができ、この空間外に有効成分が拡散して消失するのを抑制することができる。そして、蚊駆除剤1の頂点に着火する。言い換えると、蚊駆除剤1の最も尖った部位に着火する。この場合、設置面より上に存在する頂点に着火することが好ましい。例えば、三角形DEFを下にして三角柱状の蚊駆除剤1を設置している場合、頂点A、B、Cの少なくともいずれか1つに着火することが好ましい。以下では、頂点Aに着火する場合について説明する。燃焼部分は、頂点Aを含む小さな三角錐状の第1部分S1であり、この第1部分S1は約700〜800℃に達し、主にこの第1部分S1から煙が発生する。第1部分S1に隣接する三角錐台状の第2部分S2は、第1部分S1の熱が伝わって、約250℃前後となる。第1部分S1に含まれる有効成分は高温により熱分解するが、第2部分S2に含まれる有効成分は熱分解しないで蒸散し、煙を構成する個々の煙粒子に付着して拡散する。第1部分S1よりも第2部分S2に含まれる有効成分の方が多いので、有効成分の消失量を減少させることができる。やがて第1部分S1は灰となり、燃焼部分が第2部分S2に移動する。この第2部分S2も約700〜800℃に達し、主にこの第2部分S2から煙が発生するが、この第2部分S2に含まれていた有効成分は、第1部分S1が燃焼している間に既に蒸散してしまっている。そして、今度は第2部分S2に隣接する三角錐台状の第3部分S3が約250℃前後となり、この第3部分S3から有効成分が蒸散する。このようにして蚊駆除剤1が燃え尽きるまで煙が発生し、有効成分が蒸散するので、数分から十数分程度の短時間の燃焼でも5時間以上の長時間にわたって、蚊の駆除効果を持続することができる。
以上のように、実施形態2の場合も実施形態1の場合と同様に、蚊駆除剤1の形状としては、燃焼の開始部位はできる限り細く、徐々に太くすることが好ましい。このような形状とすることで、小さい燃焼部分で加熱し、この隣接部分に含有されている有効成分をより多く加熱蒸散させることができる。また、蚊駆除剤1の頂点である先端部分を細くすることで、初期における燃焼時間を短縮することができ、より短時間で効果を発揮することが可能となる。
(実施形態1、2に共通する事項)
まず有効成分について説明する。有効成分とは、防除対象の生物に対して、殺虫などの目的の作用を有する成分のことをいう。特に実施形態1、2では、防除対象の生物を、衛生害虫である蚊としている。蚊の種類は特に限定されない。蚊の具体例として、アカイエカが挙げられる。アカイエカは、日本国内における代表的な吸血蚊である。このような蚊の駆除に好適な有効成分として、例えば、ピレスロイド系、有機リン系、カーバメート系の有効成分が挙げられる。
特に有効成分は、メトフルトリン(metofluthrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、ジメフルトリン(dimefluthrin)、ヘプタフルトリン(heptafluthrin)及びメパフルトリン(meperfluthrin)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の化合物であることが好ましい。これらの5種の化合物の各々は、ピレスロイド系の有効成分の1つである。上記の5種の化合物の各々は、幾何異性体及び光学異性体を有し得るが、これらの異性体が任意の割合で混合していてもよい。上記の5種の化合物の各々は、再揮散性を有する低温又は常温揮散性の薬剤である。すなわち、上記の5種の化合物の各々は、空間に吐出された後、一旦落下して床に付着したり、壁や天井に付着したりしたものが再揮散し、これを繰り返すことで、一定時間、蚊の駆除効果を持続させることができる。上記の5種の化合物の中では、蚊に対してより優れた効力を有するという点で、特にメトフルトリンが好ましい。
有効成分としてメトフルトリンを使用する場合、蚊駆除剤1はメトフルトリンを3〜10mg含有することが好ましく、5mg以上含有することがより好ましい。メトフルトリンの含有量が3mg以上であることによって、燃焼による消失量を差し引いても、十分に蚊の駆除効果を持続することができる。メトフルトリンの含有量が10mg以下であることによって、蚊の駆除効果をほぼ最大限に持続しつつ、過剰で無駄なメトフルトリンの使用を抑制することができる。
有効成分としてトランスフルトリン、ジメフルトリン、ヘプタフルトリン又はメパフルトリンのいずれかを使用する場合、蚊駆除剤1はこの有効成分を3〜20mg含有することが好ましく、5mg以上含有することがより好ましい。上記の有効成分の含有量が3mg以上であることによって、燃焼による消失量を差し引いても、十分に蚊の駆除効果を持続することができる。上記の有効成分の含有量が20mg以下であることによって、蚊の駆除効果をほぼ最大限に持続しつつ、過剰で無駄な有効成分の使用を抑制することができる。
有効成分として上記の5種の化合物の少なくとも2種以上の混合物を使用する場合、蚊駆除剤1はこの混合物を全体で3〜20mg含有することが好ましい。
なお、メトフルトリンは一般名であり、別の名称は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル(EZ)−(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−(プロプ−1−エニル)シクロプロパンカルボキシラートである。
また、トランスフルトリンも一般名であり、別の名称は2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R,3S)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートである。
また、ジメフルトリンも一般名であり、別の名称は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロピニルーエン−1−イル)シクロプロパンカルボキシラートである。
また、ヘプタフルトリンも一般名であり、別の名称は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル(1RS,3RS;1RS,3RS)−2,2−ジメチル−3−[(1Z)−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル]シクロプロパンカルボキシレートである。
また、メパフルトリンも一般名であり、別の名称は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル(1R,3S)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである。
次に燃焼基材について説明する。燃焼基材としては、着火により燃焼を開始し、その燃焼が持続するものであれば利用することができる。例えば、従来の渦巻き式蚊取り線香に使用されている可燃性有機物質を燃焼基材として利用することができるが、これに限定されない。燃焼基材は、植物粉砕物、植物炭化物、植物繊維、植物由来成分、再生植物繊維質からなる群より選ばれた1種以上のものであることが好ましい。植物粉砕物の具体例として、木材粉砕混合粉、除虫菊のピレトリン抽出残さ粉砕物、東南アジア産植物であるLisea glutinosa粉砕物、タブノキ樹皮粉砕物、ココナッツ殻粉砕物が挙げられる。通常はこれらの植物粉砕物を適量ずつ混ぜ合わせることで燃焼基材として用いられるが、これには限定されない。植物炭化物の具体例として、焼香に使用される炭の粉が挙げられる。この炭の粉は単独で使用されることもあるが、上記の植物粉砕物と混合することで、煙の発生量を抑制するために用いられることもある。植物繊維の具体例として、セルロースが挙げられる。植物由来成分の具体例として、タピオカ粉が挙げられる。再生植物繊維質の具体例として、レーヨンの屑が挙げられる。燃焼基材の粒径は60〜100メッシュ程度である。
次に実施形態1、2の蚊駆除剤1の製造方法について説明する。
まず有効成分を溶剤に溶解させ、さらに界面活性剤を添加して、十分混合することで、有効成分の乳剤を調製する。
ここで、有効成分を溶解させるために利用される溶剤(有機溶媒)の具体例として、エチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、灯油、潤滑油、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシロール等の芳香族炭化水素系溶媒、エチルグリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶媒、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではなく、これらを2種類以上組み合わせて使うことも可能である。
また乳化目的に利用される界面活性剤(乳化剤)の具体例として、非イオン系、陰イオン系などの乳化剤が挙げられる。より詳しくは、例えば、モノオレイン酸ソルビタンとモノオレイン酸ポリオキシエチルソルビタンの混合品が挙げられる。このような乳化剤を単独で使用したりあるいは数種類組み合わせて使用したりすることが可能である。
なお、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド重縮合物、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、灯油、芳香族炭化水素の混合物は、界面活性剤であるが、溶剤としての役割を果たす。このような界面活性剤を上記の溶剤の代わりに使用してもよい。
次に、上記のようにして調製した有効成分の乳剤を、適当な倍率で水で希釈し、この希釈液を燃焼基材に撹拌しながら投入して、成型前の基材を調製する。この際、天然系又は合成系の増粘剤、粘着剤を混合し、水分を加えて練り合わせるようにしてもよい。また、適量の天然系又は合成系の香料を加えることで、燃焼により芳香を発散させることも可能である。香料は、特に限定されないが、例えば、ローズ系香料が挙げられる。香料には界面活性剤を溶解混合して乳剤としてもよい。また、成型前の基材には、香木や芳香材料の微細粉を混合することも可能である。さらに、成型前の基材には、適量の天然系又は合成系の着色剤を添加することも可能である。着色剤の代わりにマイカ等の輝石類を添加することも可能である。
次に、上記の成型前の基材を型枠に詰めて押し固める。ここで、型枠としては、実施形態1の場合は円錐状の空間が設けられた型枠が用いられ、実施形態2の場合は三角柱状の空間が設けられた型枠が用いられる。各型枠の空間に、成型前の基材が詰め込まれる。その後、成型後の基材(成型品)を型枠より取り出して室温(例えば25℃)にて48時間程度風乾する。このようにして図1に示すような円錐状の蚊駆除剤1及び図2に示すような三角柱状の蚊駆除剤1を得ることができる。
以上の説明から明らかなように、実施形態1、2では、従来の燃焼型の蚊駆除剤の利点を生かしながら、その欠点を克服し、かつマット式、液体式の蚊駆除剤の製法を利用しながら、さらにワンプッシュ定量噴射エアゾールの特徴も利用した新しい概念に基づく蚊駆除剤を製造することができる。その際、特に最も効率的な有効成分の蒸散と効果の発現を実現する形状は、所定寸法の円錐及び三角柱である。そして、実施形態1、2では、従来の燃焼型の蚊駆除剤である渦巻き式蚊取り線香と同様、燃焼基材を利用し、これを燃焼することにより加熱して有効成分を蒸散させ、同時に発生する煙に有効成分を吸着させることで、煙を媒体にして空間に拡散させる方法を利用している。しかしながら、従来の渦巻き式蚊取り線香にみられるように数時間による燃焼を必要とせず、数分から十数分程度の極めて短時間の燃焼のみで、従来の駆除効果ならびに効力持続性を発揮することができる。さらに有効成分にメトフルトリンを使用することで、短時間の燃焼でも一旦空間に揮発蒸散した有効成分が、周辺の構築物への付着、再揮散を繰り返すことで、従来の燃焼型の蚊駆除剤と同等以上の殺虫効力ならびに効力の持続期間を維持することができる。しかも蚊駆除剤1の形状は所定寸法の円錐又は三角柱であることで、有効成分の燃焼による損失を最小限に抑制し、かつ有効成分の蒸散率を最大限に引き出すことが可能となる。
なお、蚊駆除剤1には、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ベンゾトリアゾール等の安定剤、紫外線吸収剤などを添加する必要は特にない。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
89.36質量部のイソパラフィン系溶剤(出光興産株式会社製「IPソルベント1620」)に、10.64質量部のメトフルトリン(住友化学株式会社製、純度94%以上)を溶解させ、そこに10質量部の界面活性剤混合物(モノオレイン酸ソルビタンとモノオレイン酸ポリオキシエチルソルビタンの混合品/三洋化成工業株式会社製「イオネットS−80」)を添加し、十分混合することでメトフルトリンの10%乳剤を調製した。
次に木材粉砕混合粉(80メッシュ)32質量部、除虫菊のピレトリン抽出残さ粉砕物(80メッシュ)29質量部、タブノキ樹皮粉砕物(80メッシュ)14質量部、タピオカ粉(80メッシュ)10質量部、ココナッツ殻粉砕物(80メッシュ)15質量部を計量し、撹拌混合することで、植物混合粉を燃焼基材として調製した。
上記にて調製したメトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて20倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ30mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に2g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する1gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例1の蚊駆除剤とした。
(実施例2)
実施例1で調製した成型前の基材を、底辺の長さ15mm、高さ30mm、深さ5mmの三角柱状の空間が設けられたプラスチック製型枠に2g詰め込み、乾燥することでメトフルトリンを5mg含有する1gの三角柱状の成型品を試作した。これを実施例2の蚊駆除剤とした。
(比較例1)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を45℃に加熱した水道水で60倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ30mmの円柱状の空間が設けられたプラスチック製型枠に6g詰め込み、実施例1と同様に5mgのメトフルトリンを含有する3gの円柱形の成形品を試作した。これを比較例1の蚊駆除剤とした。
(比較例2)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を水道水で40倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、長方形の底面の底辺15mm、高さ30mm、深さ5mmの直方体状の空間が設けられたプラスチック製型枠に4g詰め込み、乾燥することでメトフルトリンを5mg含有する2gの直方体状の成型品を試作した。これを比較例2の蚊駆除剤とした。
実施例1及び2については成型品の頂点(尖った先端部)に、比較例1及び2については成型品の一端に着火し、発生した煙をすべて吸引し、それをエタノール300ml内に通すことで、蒸散したメトフルトリンを捕集した。また着火開始から成型品が燃え尽きるまでの時間を燃焼時間として測定した。メトフルトリンを捕集したエタノールについてはガラス繊維フィルター(アズワン製GFF)にて浮遊物を除去した後、常法に基づき、ガスクロマトグラフィー分析を行うことで、捕集されたメトフルトリンの量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2017213115
以上の結果、比較例1の円柱や比較例2の直方体のような形状においては、燃焼によるメトフルトリンの損失が大きく、蒸散される有効成分の量が少なくなることが確認された。従って、実施例1の円錐や実施例2の三角柱のように、より先端が尖った形状が、有効成分の効率的な蒸散に重要であることが裏付けられた。
(実施例3)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて15倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ15mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に1.5g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する0.75gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例3の蚊駆除剤とした。
(実施例4)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて30倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ45mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に3g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する1.5gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例4の蚊駆除剤とした。
(実施例5)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて33.33倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ50mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に3.33g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する1.665gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例5の蚊駆除剤とした。
(実施例6)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて40倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ60mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に4g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する2gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例6の蚊駆除剤とした。
(実施例7)
実施例3と同様に、成型前の基材を調製した。この成型前の基材を、底辺の長さ15mm、高さ45mm、深さ5mmの三角柱状の空間が設けられたプラスチック製型枠に1.5g詰め込み、乾燥することでメトフルトリンを5mg含有する0.75gの三角柱状の成型品を試作した。これを実施例7の蚊駆除剤とした。
(実施例8)
実施例4と同様に、成型前の基材を調製した。この成型前の基材を、底辺の長さ15mm、高さ17.5mm、深さ5mmの三角柱状の空間が設けられたプラスチック製型枠に3g詰め込み、乾燥することでメトフルトリンを5mg含有する1.5gの三角柱状の成型品を試作した。これを実施例8の蚊駆除剤とした。
(実施例9)
実施例5と同様に、成型前の基材を調製した。この成型前の基材を、底辺の長さ15mm、高さ50mm、深さ5mmの三角柱状の空間が設けられたプラスチック製型枠に3.33g詰め込み、乾燥することでメトフルトリンを5mg含有する1.665gの三角柱状の成型品を試作した。これを実施例9の蚊駆除剤とした。
(実施例10)
実施例6と同様に、成型前の基材を調製した。この成型前の基材を、底辺の長さ15mm、高さ60mm、深さ5mmの三角柱状の空間が設けられたプラスチック製型枠に4g詰め込み、乾燥することでメトフルトリンを5mg含有する2gの三角柱状の成型品を試作した。これを実施例10の蚊駆除剤とした。
実施例3〜10について、実施例1、2の場合と同様に、蒸散したメトフルトリンの量をガスクロマトグラフィー分析にて測定し、また燃焼時間を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2017213115
表2より、円錐状の蚊駆除剤については、実施例3に比べて実施例1、4、5の方が、メトフルトリンの燃焼による消失量が低減している。また実施例6に比べて実施例1、4、5の方が、燃焼時間が短く、メトフルトリンの消失量も低減している。
これより、総合的に勘案して、円錐状の蚊駆除剤については、円錐の底面の直径と高さの比が1:2〜1:5がより好ましいことが判明した。
(実施例11)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて2.5倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径5mm、高さ15mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に0.25g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する0.125gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例11の蚊駆除剤とした。
(実施例12)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて4.31倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径6mm、高さ18mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に0.464g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する0.232gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例12の蚊駆除剤とした。
(実施例13)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて63.6倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径15mm、高さ45mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に6.36g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する3.18gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例13の蚊駆除剤とした。
(実施例14)
実施例1と同様に、メトフルトリン10%乳剤を調製し、また植物混合粉を燃焼基材として調製した。そして、メトフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて80倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径20mm、高さ60mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に16g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する8gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例14の蚊駆除剤とした。
実施例11〜14について、実施例1、2の場合と同様に、蒸散したメトフルトリンの量をガスクロマトグラフィー分析にて測定し、また燃焼時間を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2017213115
実施例1、11〜14では、円錐の底面の直径と高さの比を1:3に統一し、直径を変化させることによる燃焼時間並びにメトフルトリンの蒸散量を調べた。
その結果、円錐の底面の直径が小さい程、燃焼時間が短くなったが、5mmまで小さくなると、時間が短縮される分、メトフルトリンが蒸散する速度よりも消失する速度が速くなることが確認された。一方、直径が大きくなると、全体的な質量、容量が大きくなり、燃焼時間が長くなる傾向も見られた。このことから、実施例1、12、13のように直径が6〜15mmで最も効率の良いことが結論づけられた。
表2の実施例3〜10並びに表3の実施例11〜14より、円錐状の蚊駆除剤については、好ましくは、円錐の底面の直径と高さの比が1:2〜1:5、質量が0.5〜3g、円錐の底面の直径が5〜15mmであり、三角柱状の蚊駆除剤については、好ましくは、三角柱の底面の三角形の底辺の長さと高さの比が1:2〜1:5、質量が0.5〜6g、底辺の長さが10〜30mmであることが分かった。
次に実施例1及び2において、実際に日本国内における代表的吸血蚊であるアカイエカを用いた殺虫試験を試みた。
なお、以下に示す比較例3、4についても同様に試験を実施し、効果の比較を行った。
(比較例3)
比較例3として、市販のメトフルトリンを有効成分とする定量噴射型エアゾール(商品名ワンプッシュかとり60日用/ライオンケミカル株式会社製)を準備した。同製品は1回の噴射でメトフルトリン5mgを含有する原液12mgを吐出する。
(比較例4)
比較例4として、南アフリカにて市販されているメトフルトリン0.005%を含有する蚊取り線香(DOOM(登録商標)/Tiger社製)を準備した。
実施例1及び2並びに比較例3及び4について、一般財団法人日本環境衛生センターに対して、アカイエカに対する効果判定試験を委託した。
8畳の試験室内を目張りし、室温が安定した後、実施例1、2及び比較例4においては部屋の中央部に配置して着火した。実施例1、2の蚊駆除剤については、特に円錐の頂点、三角柱の頂点に着火した。なお、比較例4については、着火してから120分経過後に消火した。比較例3については部屋の隅(1.5mの高さ)から対面の天井に向けてワンプッシュすることで処理を行った。
着火及び処理開始後30、120、240、480分経過時点に、網かごに入れたアカイエカ供試虫を試験室内に導入し、床面から1.5mの位置に6か所に吊り下げた。なお、虫かごは23cm角に切断した16メッシュのサラシ網を袋状にし、ホッチキスで周囲を固定して作製した。
供試虫導入から所定時間ごとに120分後まで、供試虫のノックダウン虫数を観察した。試験は2回反復とし、平均ノックダウン率を求め、Litchfield & Wilcoxon法によりKT50値及びKT80値を算出した。暴露120分経過後に、供試虫を網かごごと回収し、そのまま脱脂綿に含ませた砂糖水を餌として与え、別室に保存した。
供試虫回収から24時間後の致死率及び瀕死虫数を計算し、致死率(致死+瀕死虫数)を求めた。なお、試験はそれぞれの検体に対して2回行った。得られた致死率、KT50値及びKT80値から検体の効力を評価した結果の平均値を表4にまとめた。
Figure 2017213115
試験の結果、実施例1及び2は、すでに厚生労働省において防除用医薬部外品として承認を受けている比較例3とほぼ同等の効力を有することが確認された。一方、南アフリカにて登録を受け使用許可されている比較例4に比べ、実施例1及び2はかなり高い殺虫効果が確認された。
比較例4について、燃焼試験を行った。具体的には、実施例1及び2並びに比較例1及び2と同様、着火後燃え尽きるまでの時間を燃焼時間として測定した。試験は各検体について2回行い、その平均値を表5に示す。
Figure 2017213115
燃焼試験の結果、従来からの渦巻き式蚊取り線香である比較例4は燃焼時間が長く、発生する総煙量が多いことが分かった。
(実施例15)
実施例1と同様に、成型前の基材を調製した。この成型前の基材を厚さ3mmの板に延ばした後、底辺の長さ15mm、高さ45mmの三角柱に切り取って乾燥することで風乾し、メトフルトリンを5mg含有する1gの三角柱状の蚊駆除剤を試作した。これを実施例15の蚊駆除剤とした。
実施例1及び2と同様に、アカイエカを用いた効力試験を実施した。2回繰り返し試験を行った結果の平均値を表6に示す。
Figure 2017213115
試験の結果、実施例15も、実施例1及び2と同様、すでに厚生労働省において防除用医薬部外品として承認を受けている比較例3とほぼ同等の効力を有することが確認された。
さらに実施例15についても、比較例4と同様に燃焼試験を行い、燃焼時間を測定した。その結果を表7に示す。
Figure 2017213115
実施例15についても、実施例1及び2と同様、短時間の燃焼でも十分な駆除効果のあることが判明した。
(実施例16)
89.36質量部のメトフルトリン(住友化学株式会社製、純度94%以上)に、10.64質量部の界面活性剤(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド重縮合物、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、灯油、芳香族炭化水素の混合物/東邦化学工業株式会社製「ソルポール2841」)を添加し、十分混合することでメトフルトリンの84.00%乳剤を調製した。
上記にて調製したメトフルトリン84.00%乳剤を0.00595質量部採り、45℃に加熱した水道水99.405質量部に添加して100質量部とし、良く撹拌して乳化させた。これを実施例1と同様の植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ30mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に2g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリンを含有する1gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例16の蚊駆除剤とした。
実施例16についても、実施例1及び2と同様に、アカイエカに対する効力試験を実施した。2回行った試験の平均値を表8に示す。
Figure 2017213115
試験の結果、実施例16も、実施例1及び2と同様、すでに厚生労働省において防除用医薬部外品として承認を受けている比較例3とほぼ同等の効力を有することが確認された。
(実施例17)
89.36質量部のイソパラフィン系溶剤(出光興産株式会社製「IPソルベント1620」)に、10.64質量部のメトフルトリン(住友化学株式会社製、純度94%以上)を溶解させ、そこに10質量部の界面活性剤混合物(モノオレイン酸ソルビタンとモノオレイン酸ポリオキシエチルソルビタンの混合品/三洋化成工業株式会社製「イオネットS−80」)を添加し、十分混合することでメトフルトリンの10%乳剤を調製した。
一方、1号灯油50質量部にゲラニオール、シトロネロール、ネロール、リナロールをベースとするローズ系香料40質量部、テトラオレイン酸ポリオキシエチエレンソルビタン系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製「サンノニックSS−90」)10質量部を溶解、混合することで香料プレミックス40%乳剤を調製した。
次に木材粉砕混合粉(80メッシュ)31.8質量部、除虫菊のピレトリン抽出残さ粉砕物(80メッシュ)29質量部、東南アジア産植物であるLisea glutinosa粉砕物(ハマビワ族ゲッケイジュ科の植物樹皮、通称シャム粉と呼ばれる。)(80メッシュ)14質量部、タピオカ粉(80メッシュ)10質量部、ココナッツ殻粉砕物(80メッシュ)15質量部、赤色106号0.05質量部、赤色230−1号0.15質量部を計量し、撹拌混合することで着色剤を含む植物混合粉を燃焼基材として調製した。
上記にて調製した5質量部のメトフルトリン10%乳剤及び5質量部の香料プレミックス40%乳剤を、45℃に加熱した水道水90質量部を用いて希釈し、100質量部希釈液を作製した。この希釈液を植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ20mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に2g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのメトフルトリン、0.2mgの着色剤及び2mgのローズ系香料を含有する1gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例17の蚊駆除剤とした。
実施例17についても、実施例1及び2と同様に、アカイエカに対する効力試験を実施した。2回行った試験の平均値を表9に示す。
Figure 2017213115
試験の結果、実施例17も、実施例1、2、15、16と同様、すでに厚生労働省において防除用医薬部外品として承認を受けている比較例3とほぼ同等の効力を有することが確認された。さらに香料及び着色剤の添加による効果への影響がないことが判明した。
(実施例18)
89.36質量部のイソパラフィン系溶剤(出光興産株式会社製「IPソルベント1620」)に10.64質量部のトランスフルトリン(CAS登録番号118712−89−3、純度94%以上)を溶解させ、そこに10質量部の界面活性剤混合物(モノオレイン酸ソルビタンとモノオレイン酸ポリオキシソルビタンの混合品/三洋化成工業株式会社製「イオネットS−80」)を添加し、十分混合することでトランスフルトリンの10%乳剤を調製した。
上記にて調製したトランスフルトリン10%乳剤を、45℃に加熱した水道水を用いて20倍に希釈し、この希釈液を100質量部採り、実施例1と同様の植物混合粉100質量部に数回に分けて良く撹拌しながら投入することで、成型前の基材を調製した。
上記の成型前の基材を、円形の底面の直径10mm、高さ30mmの円錐状の空間が設けられたプラスチック製型枠に2g詰め込み、押し固めた後型枠より取り出し、25℃の室内にて48時間放置することで風乾し、5mgのトランスフルトリンを含有する1gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例18の蚊駆除剤とした。
(実施例19)
実施例18において、トランスフルトリンの代わりにジメフルトリン(CAS登録番号271241−14−6、純度94%以上)を使用して、5mgのジメフルトリンを含有する1gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例19の蚊駆除剤とした。
(実施例20)
実施例18において、トランスフルトリンの代わりにヘプタフルトリン(CAS登録番号1130296−65−9、純度94%以上)を使用して、5mgのヘプタフルトリンを含有する1gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例20の蚊駆除剤とした。
(実施例21)
実施例18において、トランスフルトリンの代わりにメパフルトリン(CAS登録番号915288−13−0、純度94%以上)を使用して、5mgのメパフルトリンを含有する1gの円錐状の成型品を試作した。これを実施例21の蚊駆除剤とした。
実施例18〜21についても、実施例1及び2と同様に、アカイエカに対する効力試験を実施した。2回行った試験の平均値を表10に示す。
Figure 2017213115
試験の結果、実施例18〜21は、実施例1及び2にほぼ匹敵する効果を示し、すでに厚生労働省において防除用医薬部外品として承認を受けている比較例3とほぼ同等の効力を有することが確認された。
以上から明らかなように、蚊の駆除に必要な有効成分を居住空間に広く拡散させるために、燃焼型の蚊駆除剤の利点である煙による拡散を利用し、かつ煙による居住者の健康に考慮し、煙の放出量を著しく低減することができた。また、有効成分に再揮散性を有する低温又は常温揮散性の薬剤(例えばメトフルトリン)を使用することで、短時間の燃焼でも長時間の効力維持を実現することができた。それに際して、燃焼型の蚊取り線香の欠点である燃焼基材の燃焼による有効成分の消失を最小限に抑制し、かつその条件下で最も有効成分の効率的蒸散を実現するための形状を特定した。すなわち、この形状としては、所定寸法の円錐及び三角柱が好ましい。また、燃焼時間を数分〜十数分と極端に短縮させることで、さらに煙による居住者の健康に配慮しながら、従来の渦巻き式蚊取り線香と同等以上の駆除効果と効果持続性を達成することができた。
1 蚊駆除剤

Claims (10)

  1. 有効成分と燃焼基材とを含有する蚊駆除剤であって、
    前記蚊駆除剤の形状は円錐であり、
    前記円錐の底面の直径と高さの比は1:1.5〜1:6であり、
    前記直径は5〜20mmであり、
    前記蚊駆除剤の質量は0.1〜8gである
    蚊駆除剤。
  2. 有効成分と燃焼基材とを含有する蚊駆除剤であって、
    前記蚊駆除剤の形状は三角柱であり、
    前記三角柱の底面の三角形の底辺の長さと高さの比は1:1.1〜1:5であり、
    前記底辺の長さは10〜30mmであり、
    前記蚊駆除剤の質量は0.5〜6gである
    蚊駆除剤。
  3. 前記三角柱の高さは2〜6mmである
    請求項2に記載の蚊駆除剤。
  4. 前記有効成分はメトフルトリンであり、
    前記メトフルトリンを3〜10mg含有する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の蚊駆除剤。
  5. 前記有効成分はトランスフルトリンであり、
    前記トランスフルトリンを3〜20mg含有する
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の蚊駆除剤。
  6. 前記有効成分はジメフルトリンであり、
    前記ジメフルトリンを3〜20mg含有する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の蚊駆除剤。
  7. 前記有効成分はヘプタフルトリンであり、
    前記ヘプタフルトリンを3〜20mg含有する
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の蚊駆除剤。
  8. 前記有効成分はメパフルトリンであり、
    前記メパフルトリンを3〜20mg含有する
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の蚊駆除剤。
  9. 前記燃焼基材は、植物粉砕物、植物炭化物、植物繊維、植物由来成分、再生植物繊維質からなる群より選ばれた1種以上のものである
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の蚊駆除剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の蚊駆除剤の頂点に着火する
    蚊駆除方法。
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