JP5288199B2 - 匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法に関するものであり、詳細には、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を含有する匍匐害虫忌避剤を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に適用する方法に関する。
従来、蚊、蚋、ユスリカなどの飛翔害虫に対する忌避剤としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(以降、ディートとも記載する。)をはじめ、シトロネラール、ターピネオール、メントール、リモネン、ゲラニオール、シトロネロール、カンフェン等から選ばれる組成物等、数多く知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、匍匐害虫の忌避成分としては、リモネン、テルピネン−4−オール、ペリルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ティートリー油、ゆず油等が報告され(例えば、特許文献2参照)、また、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル等の二塩基酸エステルを用いた匍匐害虫の忌避方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの忌避成分は必ずしも忌避効果が十分でなく、あるいは安全性の点で問題を有していたりして、実用性に優れているとは言い難い。
そのため、安全性に優れる天然物由来の、桂皮、樟脳、レモングラス、クローバ、タチジャコウソウ、ジェラニウム、ベルガモント、月桂樹、松、アカモモ、ペニーロイヤル、ユーカリおよびインドセンダン等から取れる精油、抽出液等を忌避成分として使用することが盛んに検討されている。
上記のような天然由来の忌避成分は、匂い(香り)の強いものが多く、それらは決して不快な匂いではないにしろ、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある、台所等の食品・飲料等を多く扱う場所において使用する場合は、直接的に食品・飲料等にこれらの忌避成分の匂いが移ったり、又は食器等にこれらの忌避成分の匂いが移り、該食器等を介して間接的に食品・飲料等にこれらの忌避成分の匂いが移り、それにより、これらの食品・飲料等の風味、香り、味等を損なう場合があった。
従って、安全性に優れることに加え、匍匐害虫忌避成分の匂いを、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある、例えば、台所のような場所又は匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある、例えば、食品・飲料等もしくは食器等のような物品において、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止
する方法に対する強い要求が存在する。
特開2003−201203号公報 特開平11−60421号公報 特開2007−230894号公報
本発明は、安全性に優れる、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法の提供を課題とする。
化合物の匂いは、その揮発性に由来し、化合物が匂いを有するためにはある程度の揮発性を有するものではあるが、一方で、揮発性が高い程その匂いが強くなるというわけではなく、また、揮発性が低ければ、その匂いが殆どなくなるというわけでもない。
また、化合物の匂いが他の物に移りやすいか否かは、必ずしもその化合物の匂いの強さと相関するわけではない。
本発明者等は、上記の観点から、匍匐害虫に対する忌避効果を有する化合物の匂いに付いて調査検討し、安全性が高く、接触ではなく空間に揮散させることによって、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制することができ且つ匂いを移しにくい特定の化合物を見いだした。
すなわち、害虫の嗅覚と人間の嗅覚には何らかの差があるのであるが、これらの化合物は、特に害虫の嗅覚に感度が高く、人間の嗅覚には感度が低いというのが本発明の技術思想である。
そして、これらの化合物を匍匐害虫忌避成分として含有する匍匐害虫忌避剤を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に適用すれば、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制する際に、匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の構成を採用するものである。
(1)匍匐害虫が徘徊する場所又は徘徊するおそれがある場所に或いは匍匐害虫が寄りつく物品又は寄りつくおそれがある物品において、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、
匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を含有する匍匐害虫忌避剤を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に適用することを特徴とする、適用された場所又は物品への匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法。
(2)匍匐害虫が徘徊する場所又は徘徊するおそれがある場所に或いは匍匐害虫が寄りつく物品又は寄りつくおそれがある物品において、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、
匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を含む匍匐害虫忌避製品を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に設置することを特徴とする、設置された場所又は物品への匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法。
(3)匍匐害虫忌避製品は、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を、その溶解液又は分散液とともに繊維質担体に担持させたものを備えてなる、前記(2)に記載の匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法。
(4)上記の匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分が、害虫の嗅覚には感度が高く、人間の嗅覚には感度が低い化合物である、前記(1)ないし(3)の何れか1つに記載の匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法。
(5)上記の匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分として、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアミル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル又はこれらの混合物を用いる前記(1)ないし(4)の何れか1つに記載の方法。
(6)上記の匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分として、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又はこれらの混合物を用いる前記(5)に記載の方法。
(7)上記の匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分として、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル又はこれらの混合物を用いる前記(6)に記載の方法。
(8)上記の匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分として、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール又はこれらの混合物を用いる前記(7)に記載の方法。
本発明により、安全性に優れる、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法が提供される。
これにより、匍匐害虫忌避成分の匂い移りが問題となる、食品・飲料等において匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制する際、該食品・飲料等に匍匐害虫忌避成分への匂い移りを防止することが可能となる。
また、食器等へ匍匐害虫忌避成分の匂いが移った場合、これらの匂いの付いた食器を使用する前に、匂いを消すために洗浄等を行う必要が生じるが、本発明の匂い移りを防止する方法を用いれば、このような洗浄作業を省くことができる。
また、台所に限らず、今まで、忌避成分の匂い移りにより、忌避剤の使用が避けられていたような場所においても安心して使用できる。
本発明に使用される匍匐害虫忌避製品の1態様の正面図である。 図1で示される匍匐害虫忌避製品の背面図である。 図1で示される匍匐害虫忌避製品のA−A´線端面図である。 図1で示される匍匐害虫忌避製品の斜視図である。 本発明に使用される匍匐害虫忌避製品の1態様の正面図である。 図5で示される匍匐害虫忌避製品の背面図である。 図5で示される匍匐害虫忌避製品のA−A´線端面図である。 図5で示される匍匐害虫忌避製品の斜視図である。 本発明に使用される匍匐害虫忌避製品の1態様の正面図である。 図9で示される匍匐害虫忌避製品の背面図である。 図9で示される匍匐害虫忌避製品のA−A´線端面図である。 図9で示される匍匐害虫忌避製品の斜視図である。 実施例30に用いた試験装置を示す図である。
本発明の、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法は、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を含有する匍匐害虫忌避剤を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に適用することを特徴とする。
本発明に使用できる、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分は、害虫の嗅覚に感度が高く、人間の嗅覚には感度が低い化合物であり、このような化合物としては、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアミル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル又はこれらの混合物が挙げられる。
匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分の好ましいものとして、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又はこれらの混合物が挙げられる。
匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分のより好ましいものとして、
p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル又はこれらの混合物が挙げられる。
匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分の更に好ましいものとして、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール又はこれらの混合物が挙げられる。
また、特に、p−メンタン−3,8−ジオールが好ましい。
上記の化合物は、何れも、合成品であっても天然由来成分であってもよい。
また、上記化合物の中で、p−メンタン−3,8−ジオール及びp−メンタン−1,8−ジオールは、立体構造に基づくトランス体とシス体が存在するが、本発明においては、両者の異性体の任意の割合の混合物を使用することができる。
p−メンタン−3,8−ジオール及び/又はp−メンタン−1,8−ジオールは、レモンユーカリの精油に含まれる物質で、蚊などの飛翔害虫用忌避剤の忌避成分として公知であるが、匍匐害虫に対する忌避効果に付いては、これまで検討された報告はない。
一方、p−メンタン−1,8−ジオールについても、蚊に対して若干の忌避効果を示すと言われているものの、従来それほど注目されていなかった。
本発明に使用できる匍匐害虫忌避剤としては、上記匍匐害虫忌避成分のみで構成することもできるが、通常、各種の成分を加えて種々の形態に調製される。
匍匐害虫忌避成分の含有量や忌避剤全体量に対する比率は、忌避剤の形態によって変化しうる。
例えば、液剤のような液状で使用する場合は、0.2〜20質量%程度に設定するのが好ましい。0.2質量%未満であると忌避効果が十分でなく、一方、20質量%を超えるとベタつき感が出るなど実用的でない。
また、担体に担持させて使用する形態の場合、0.01〜100mg/cm2担持させると伴に、当該匍匐害虫忌避成分の24時間当りの揮散量を0.2〜200mgの範囲に調整するのが適当である。
液剤のような液状で使用する匍匐害虫忌避剤では、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分に加え、更に、沸点の中央値が160℃以上である溶剤を効力増強剤として配合するのが好ましい。このような溶剤としては、グリコール、グリコールエーテル、脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられ、特に、グリコール、グリコールエーテル、灯油が好ましい。
具体的には、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−1,2−プロパンジオール等を例示できるが、これらに限定されない。
匍匐害虫忌避成分として、p−メンタン−3,8−ジオール及び/又はp−メンタン−1,8−ジオールを用いた場合、グリコールやグリコールエーテルを配合すると、その忌避効果の効力が増強することが認められたが、これは、ピレスロイド系殺虫成分に、グリコールやグリコールエーテルを配合すると、その殺虫効果が低下するという公知の現象とは対照的な結果である。これは、匍匐害虫忌避成分の場合、その揮散性が殺虫成分の場合と異なる形で忌避作用に大きく関与し、p−メンタン−3,8−ジオール及び/又はp−メンタン−1,8−ジオールと、沸点の中央値が160℃以上である、特にグリコール、グリコールエーテル系溶媒や灯油との組み合わせが忌避効果発現に特に効果的なためと推察される。なお、効力増強剤の配合量は、匍匐害虫忌避成分の0.5倍量以上、好ましくは、2.0〜50倍量が適当である。
また、本発明に使用できる匍匐害虫忌避剤には、緑茶抽出物や柿抽出物のような植物由来の消臭成分を加えることができる。また、使用用途によっては、香調の調整のために他の芳香成分を配合してもよく、例えば、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド等を添加してリラックス効果を付与することもできる。
本発明に使用できる匍匐害虫忌避剤は、使用場面のニーズに合わせて、液状、ゲル状、固形状、シート状など種々の形態を採用しうる。
液剤を調製するにあたっては、水のほか、エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール、エステル系もしくはエーテル系溶剤や、界面活性剤、可溶化剤、分散剤を適宜用いることができる。また、これに加えて更に、安定化剤、pH調整剤、着色剤などを適宜配合することもできる。
また、ゲル状体の調製に用いられるゲル化剤としては、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、ゼラチン、オクチル酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
液状形態の匍匐害虫忌避剤について詳述すれば以下の通りである。
処方としては、匍匐害虫忌避成分を0.2〜20質量%、沸点の中央値が160℃以上である溶剤を0.2〜40質量%、低級アルコール及び水を含有し、必要ならば更に界面活性剤を配合してなる水性液剤が好ましく、この忌避剤は、そのまま放散させる方式、吸液芯を介して蒸発部に導き匍匐害虫忌避成分を空間に放散させる方式に好適に適用される。
低級アルコールとしては、エタノール又はイソプロパノールが代表的で、エタノールが性能的に好ましい。なお、低級アルコールの配合量が10質量%を越えると火気に対する危険性が増大し、消防法上の非危険物に該当しない場合が生ずる。
界面活性剤は、匍匐害虫忌避成分の安定性と放散性の点から、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤と非イオン系界面活性剤が併用されるのが好ましい。
高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンオキサ
イド、ステアリルアミンオキサイド、ラウリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられ、一方、非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどを例示できる。
こうして得られた匍匐害虫忌避剤は、例えば、該液剤を種々の容器に入れて匍匐害虫忌避製品として、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきの抑制が必要な場所に設置し、該液剤をそのまま放散させる方式に適用することができる。
また、上記で得られた匍匐害虫忌避剤は、例えば、吸液芯を有する容器本体に充填して匍匐害虫忌避製品として、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきの抑制が必要な場所に設置し、吸液芯を介して匍匐害虫忌避成分を空間に放散させる方式に適用される。
必要ならば、通電して液吸液芯上部付近に設けた後述の蒸発部を加熱して、放散を促進させるようにしてもよい。
吸液芯は、忌避剤に対して安定でかつ毛細管現象で水溶液を吸液するものであり、具体的な材質として例えば、ナイロン、ポリエステルなどのプラスチック繊維、天然繊維、木材などが挙げられる。このうちプラスチック繊維又は天然繊維製フェルト吸液芯が使いやすく、外径3〜10mm程度の棒状もしくは撚芯状に形成して使用に供される。
通常、吸い上げた忌避剤を放散させる蒸発部が吸液芯の上部に設けられる。蒸発部の構造は、自然放散の場合、吸液素材のフェルトもしくはシート状であり、またその材質としては吸液芯の場合と同様、例えば、ナイロン、ポリエステルなどのプラスチック繊維、天然繊維、木材などを使用できる。このうちプラスチック繊維又は天然繊維製のフェルトもしくはシート状のものが好ましく、厚み2〜15mmで、表面積が10〜60cm2の略円形に成型し、これを吸液芯の頂面に当接するように配設すれば、吸い上げられた忌避剤は吸液芯から蒸発部に移行し、ここから徐々に空中に放散する。通常、忌避剤の1日当りの空中への蒸発量を1〜8mLとし、有効持続時間は1〜2ヶ月に調整される。
一方、50〜130℃に加熱するシステムを適用する場合、蒸発部には適宜ヒーターが付設される。
匍匐害虫が徘徊する場所又は徘徊するおそれがある場所としては、匍匐害虫、例えば、ゴキブリ類(チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トビイロゴキブリ、キョウトゴキブリ等)、アリ類(クロアリ、アカアリ、アミメアリ等を含む)、チャタテムシ、シバンムシ、コクゾウムシ、カツオブシムシ、ダニ類等の匍匐害虫はもちろん、蚊類、蚋、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類等が徘徊する場所又は徘徊するおそれがある場所が挙げられ、具体的には、台所(流しの周り、流しの下の収納庫の中、米びつの周り、食品(乾物、砂糖、調味料等)を貯蔵している引き出しや棚の中等)、冷蔵庫の下、食器棚の中及び周囲、押入れ、トイレ、洗面所の流しの周りや洗面台の引き出しの中、玄関などの屋内、倉庫、飲食店等が挙げられる。
匍匐害虫が寄りつく物品又は寄りつくおそれがある物品としては、種々の食品(例えば、生鮮食品(野菜、魚、肉)、加工食品、調味料、乾物等)、飲料、食器等が挙げられる。
上記のチャタテムシは、食品の微細片やカビを食する屋内で普通に見られる体長1.5mm以下の微細な虫であり、コクゾウムシは、米粒、穀粉等を食害する、米、麦、トウモロコシの重要害虫である体長約2〜4mmの甲虫であり、カツオブシムシは、カツオブシ、煮干、穀類等の食品をはじめ、繊維製品も加害する体長約3〜5mmの甲虫であり、シバンムシは、そうめんなどの乾燥食品や畳、木材を食害する体長約3mmの甲虫であり、アリは、砂糖などの糖分、菓子、煮干などの食品に集まり、また、多数の個体が屋内に侵
入して不快感を与える虫であり、ガは、菓子、小麦粉、米粒、豆類等の乾燥食品、穀類に発生する虫であるが、これらの各種害虫は、一般家庭で、例えば、台所のように、米、小麦粉、菓子、煮干、砂糖、乾物等が豊富に存在し、加えて、湿気があってカビが発生しやすい場所に容易に発生する。
本発明の方法においては、上記匍匐害虫忌避成分を種々の固体担体に含浸又は保持させた形態の匍匐害虫忌避剤を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に適用し、固体担体から匍匐害虫忌避成分を自然蒸散させ、蒸散した有効成分を対象空間内の空気の移動や対流を利用して対象空間全体に行き渡るようにすることもできる。
固体担体に含浸又は保持させた形態の匍匐害虫忌避剤は、例えば、匍匐害虫忌避成分を蒸散させ得る開口部を有する容器、例えば、プラスチック製の容器に入れて匍匐害虫忌避製品として、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきの抑制が必要な場所に設置し、該匍匐害虫忌避成分をそのまま放散させる方式に適用することができる。
固体担体としては、パルプ、リンター、レーヨン等のセルロース製担体、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン製担体、ケイ酸塩、シリカ、ゼオライト等の無機多孔質担体、トリオキサン、アダマンタン等の昇華性担体等が挙げられ、これらに、匍匐害虫忌避成分を必要ならば溶剤等とともに担持させて固形状、シート状、粒状等の匍匐害虫忌避剤を調製することができる。
また本発明の担体の概念には、ゲル化剤により形成されるゲルや、固化材料により形成される固形物も含まれる。
上記ゲルとしては、匍匐害虫忌避成分及び他の成分を、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、ゼラチン、オクチル酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸等のゲル化剤を用いてゲル化したものが挙げられ、上記固形物としては、匍匐害虫忌避成分及び他の成分を、例えば、せっけん、ロウ、石膏、ニカワ、お香、プラスチック等の固化材料を用いて匍匐害虫忌避成分及び他の成分を含む固形物としたもの等が挙げられる。
担体のなかで、特に、パルプ、リンター、レーヨン等のセルロース製担体あるいはナイロン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン製担体が使い易く、これに当該匍匐害虫忌避成分を0.01〜100mg/cm2担持させるとともに、忌避成分の24時間当りの揮散量を0.2〜200mgとすれば、匍匐害虫に対して優れた忌避効果を奏し、しかも忌避成分の匂いが移らないので、特に、台所、冷蔵庫の下や食器棚の周囲などでの使用に好適な匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法を提供する。
なお、空気の移動、対流が十分でない条件下では、ファンやエアコン等の送風手段を用いたりして人工的に空気の移動又は対流を生起させ、効率よく匍匐害虫忌避成分の蒸散を達成させればよい。
上記の具体例として、例えば、所謂回転型の防虫装置等を挙げることができる。
また、本発明が実施できる範囲において、超音波霧化システム、ピエゾ式霧化システム、燻煙・燻蒸システム等を利用することもでき、また、各種の防虫具あるいは防虫装置に適用してもよいことはもちろんである。
このようにして得られた匍匐害虫忌避製品は、台所(流しの周り、流しの下の収納庫の中、米びつの周り、食品(乾物、砂糖、調味料等)を貯蔵している引き出しや棚の中等)、冷蔵庫の下、食器棚の中及び周囲、押入れ、トイレ、洗面所の流しの周りや洗面台の引き出しの中、玄関などの屋内、倉庫、飲食店などに設置することにより、ゴキブリ類(チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トビイロゴキブリ、キョウトゴキブリ等)、アリ類(クロアリ、アカアリ、アミメアリ等を含む)、チャタテムシ、シバンムシ、コクゾウムシ、カツオブシムシ、シンクイムシ、コクヌスト(コクヌ
ストモドキ等を含む)、ムカデ、ゲジゲジ、ダンゴムシ、ワラジムシ、ヤスデ、ケムシ、ダニ類等の匍匐害虫はもちろん、蚊類、蚋、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類などの各種害虫に対して実用的な忌避効果を奏するものである。そして、匍匐害虫忌避製品は、1ヶ月ないし2ヶ月間の長期間にわたり実用的な忌避効果を奏し得、匂いも移さないので、極めて実用性の高い匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法となり得る。
本発明に使用できる匍匐害虫忌避製品の具体例を図を用いて説明するが、本発明はもちろんこれに限定されない。図1ないし4には、匍匐害虫忌避成分を固体担体に含浸又は保持させた形態の匍匐害虫忌避剤を容器に入れた匍匐害虫忌避製品の1態様を示す。該匍匐害虫忌避製品は、匍匐害虫忌避成分を含む薬剤を含浸させた薬剤含浸体2(匍匐害虫忌避剤)を上下から容器1で挟み込む構成となっており、全体として薄い板状の形状となる。容器1は、匍匐害虫忌避成分が蒸散するための開口部を有する。
上記のように、薄い板状の形状を有することにより、引き出しや食器棚の狭い隙間にも容易に入れることができ、また、薬剤含浸体2を容器1の中に入れることにより、匍匐害虫忌避成分を含む薬剤が、直接、手、食器、食品、設置場所等に付着するのを防止することができる。
容器1は、各種プラスチック材料により形成することができ、また、薬剤含浸体2(匍匐害虫忌避剤)は、パルプ等の担体に匍匐害虫忌避成分を含む薬剤を含浸させたものを用いることができる。
図5ないし8及び図9ないし12に、匍匐害虫忌避成分を固体担体に含浸又は保持させた形態の匍匐害虫忌避剤を容器に入れた匍匐害虫忌避製品の別の態様(容器1における匍匐害虫忌避成分が蒸散するための開口部の形状が異なる)を示した。
次に具体的な実施例に基づき、本発明の匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法について更に詳細に説明する。
実施例1ないし4及び比較例1、2
[濾紙忌避効力試験]
表1に示す各種匍匐害虫忌避剤試料(実施例1ないし4及び比較例1、2)を調製し、直径15cmの濾紙に所定量含浸させ風乾した。プラスチックコンテナ(40cm×60cm)にコクゾウあるいはアミメアリ各30匹を放ち、前記濾紙をコンテナ内に設置するとともに、8ヶ所の出入り口(直径0.5cm)を有する直径15cmの紙製カップを濾紙に被せた。同様に、試料処理に用いたのと同じ大きさの濾紙及び紙製カップを設置して無処理区とした。
水と実験動物用飼料を中央に置き、8時間後に両紙製カップ内に潜伏する虫数を数え、次式に従って忌避率を算出した。試験は4回繰り返しその平均値を表1に示した。
忌避率(%)=[無処理区の潜伏虫数−試料処理区の潜伏虫数]/[無処理区の潜伏虫数+試料処理区の潜伏虫数]×100
Figure 0005288199
試験の結果、本発明の匍匐害虫忌避剤は、匍匐害虫忌避成分として配合したp−メンタン−3,8−ジオール及び/又はp−メンタン−1,8−ジオールの作用に基づき、コクゾウ、アミメアリに対して比較例のローズマリーオイルやチモールより遥かに勝る忌避効果を示した。また、その忌避効果は、沸点が160℃以上である溶剤、特にグリコール系、グリコールエーテル系溶剤を配合することによって更に増強した。
対照的に、比較例1ないし比較例2に示すように、ローズマリーオイルやチモールの忌避効果は低かった。
実施例5ないし18及び比較例3ないし7
[濾紙忌避効力試験]
表2に示す各種匍匐害虫忌避剤試料(実施例5ないし18及び比較例3ないし7)を調製し、直径15cmの濾紙に所定量含浸させ風乾した。プラスチックコンテナ(40cm×60cm)にクロゴキブリ15匹(雄成虫、雌成虫、幼虫を各5匹)を放ち、前記濾紙をコンテナ内に設置するとともに、4ヶ所の出入り口(幅2cm、高さ2cm)を有する直径15cmの紙製カップを濾紙に被せた。同様に、試料処理に用いたのと同じ大きさの濾紙及び紙製カップを設置して無処理区とした。
水と実験動物用飼料を中央に置き、8時間後に両紙製カップ内に潜伏するゴキブリ数を数え、次式に従って忌避率を算出した。試験は8回繰り返しその平均値を表2に示した。
忌避率(%)=[無処理区の潜伏虫数−試料処理区の潜伏虫数]/[無処理区の潜伏虫数+試料処理区の潜伏虫数]×100
Figure 0005288199
試験の結果、本発明の匍匐害虫忌避剤は、匍匐害虫忌避成分として配合したp−メンタン−3,8−ジオール及び/又はp−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、コハク酸ジブチルの作用に基づき、ゴキブリに対して比較例のメントール、テルピネン−4−オール(特開平11−60421号公報に開示)、チモールやジャパニーズミントオイルより遥かに勝る忌避効果を示した。また、その忌避効果は、実施例15で示されるように、沸点が160℃以上である溶剤、特にグリコール系、グリコールエーテル系溶剤を配合することによって飛躍的に増強された。更に、実施例13及び実施例14の対比から判るように、ダマスコンとの併用は有効であり、この傾向はヨノンやアリルヨノンでも同様であった。
対照的に、比較例3ないし比較例7に示すように、メントール、テルピネン−4−オール、チモールやジャパニーズミントオイルの忌避効果は低く、効力増強剤として用いたグリコールエーテル系溶剤も単独では殆ど忌避効果を示さなかった。
実施例1920及び比較例8ないし10
[実地忌避効力試験]
各種の匍匐害虫忌避成分を含浸させたパルプ製マットを、所定の揮散孔を有するプラスチック容器に収納し、表3に示す各種匍匐害虫忌避剤試料を調製した。これらの24時間
当りの忌避成分揮散量は表3の通りであった。
2m2のフィールドにチャバネゴキブリを60匹放ち、水と固形飼料を自由に摂食できるようにして馴化させた。忌避剤試料と適量の固形飼料をプラスチック製コンテナに入れ、隙間(1cm)を設けた状態で蓋をしてフィールド内に設置した。また、同サイズのコンテナを設置して無処理区とした。経時的にコンテナ内に潜伏するゴキブリを計数し、次式に従って忌避率を算出した。結果を併せて表3に示した。
忌避率(%)=[無処理区の潜伏虫数−試料処理区の潜伏虫数]/[無処理区の潜伏虫数+試料処理区の潜伏虫数]×100
Figure 0005288199
試験の結果、p−メンタン−3,8−ジオールやp−メンタン−1,8−ジオールを含浸させた本発明の匍匐害虫忌避剤(実施例1920)は、他のハーブ成分を含む比較例に較べて、含浸量及び揮散量が少ないにも拘らず、高い忌避率を示し、かつ匂いが殆ど感じられないため極めて実用的であった。
これに対し、ヒノキオイル、ライムオイルやローズマリーオイルを含む比較例の匍匐害虫忌避剤は、揮散量が高いにも拘らず忌避効果が低いうえに匂いが強すぎて、特に台所での使用には不適と判断された。
実施例2122及び比較例11
[ベニヤ板忌避効力試験]
2m2のフィールドにチャバネゴキブリを60匹放ち、水と固形飼料を自由に摂食できるようにして馴化させた。各種の匍匐害虫忌避成分を配合した液剤を調製し、スプレーボトルに充填し、表4に示す塗布量(匍匐害虫忌避成分当り)になるように、20×20cmのベニヤ板に塗布した。このベニヤ板2枚を処理面を内向きに対面させ、隙間(0.5cm)を設けてフィールドに設置した。また、同サイズの薬剤無処理のベニヤ板を同様に設置して無処理区とした。経時的にベニヤ板内に潜伏するゴキブリを計数し、次式に従って忌避率を算出した。結果を併せて表4に示す。
忌避率(%)=[無処理区の潜伏虫数−試料処理区の潜伏虫数]/[無処理区の潜伏虫数+試料処理区の潜伏虫数]×100
Figure 0005288199
実施例23
p−メンタン−3,8−ジオール1.0質量%、プロピレングリコール3.0質量%、ラウリルアミンオキサイド1.2質量%、ポリオキシエチレンオレイルエーテル3.0質量%、エタノール7.0質量%、消臭剤としての緑茶抽出物1.0質量%、クエン酸0.02質量%、及び精製水83.78質量%を含有する本発明の匍匐害虫忌避剤(実施例23)を調製した。なお、この水性の忌避剤は、消防法上の非危険物に該当した。
本発明の匍匐害虫忌避剤130gを透明ポリエステル容器本体に充填し、その上部開口部に、外径7mmで棒状のフェルト製吸液芯を挿通した中栓を冠着させた。蒸発部支持体に設置された、厚さ5mm、直径5.2cmの円盤状のフェルト製蒸発部を、吸液芯の頂面に当接させて取り付け、置型の防虫具を作製した。
この防虫具を台所に置いて使用したところ、強い匂いは感じられず、約2ヶ月間にわたりゴキブリの徘徊に悩まされることはなかった。
実施例24
p−メンタン−1,8−ジオール2.0質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル40質量%、安定剤としてのジブチルヒドロキシトルエン0.05質量%、及び精製水57.95質量%を加え、液状の本発明の匍匐害虫忌避剤(実施例24)を調製した。
この45mLをポリプロピレン容器本体に充填後、中栓、無機物焼成吸液芯を装填し、ヒーター温度100℃で加熱蒸散させる、所謂液体電気蚊取タイプの防虫具に適用した。
この防虫具は、実施例2122と同様、ゴキブリや屋内塵性ダニ類などの匍匐害虫に対して優れた忌避効果を示した。
実施例25
p−メンタン−1,8−ジオール15質量%、ヨノン25質量%、灯油(沸点170℃)60質量%からなる液剤を調製し、この1.0gをポリエステルとポリプロピレンの多層構造からなる不織布(50cm×50cm)に含浸して、シート状の本発明の匍匐害虫忌避剤(実施例25)を作製した。この匍匐害虫忌避剤をペットの餌場の敷物として使用したところ、約1ヶ月の間、餌場付近においてゴキブリ、シバンムシやアリ類の徘徊が見られず快適な環境を保つことができた。
実施例26
p−メンタン−3,8−ジオール30質量%、エムペントリン30質量%、1,3−ブチレングリコール40質量%からなる液剤を調製した。この0.6gを通気性を有する外径4.0cmのナイロン製担体に保持させ、ポリカーボネート製の保護ケース(外径4.5cm、厚さ8mm)に収納して、本発明の匍匐害虫忌避剤(実施例26)を作製した。
次に、この保護ケースを回転駆動装置の回転軸に取付け、回転駆動装置(回転速度:1200rpm)の回転によって、遠心力で忌避成分を揮散させる、所謂回転型の防虫装置に適用した。この防虫装置は、実施例2122と同様、ゴキブリや屋内塵性ダニ類などの匍匐害虫に対して優れた忌避効果を示した。
実施例27
大きさが5×10cmで厚さ1mmのリンター製マットに、p−メンタン−3,8−ジオールを200mg及び緑茶エキスを5mg含有させ、このマットを開口部を有するポリエステル製容器に収納して、本発明の匍匐害虫忌避剤(実施例27)を調製した。
この匍匐害虫忌避剤を台所の食器棚や米びつ付近に置いて使用したところ、およそ1ヶ月間にわたり、台所でゴキブリ、アリ類、チャタテムシ、シバンムシ、コクゾウムシ等を見かけることがなかった。
実施例28
実施例27に準じて調製した匍匐害虫忌避剤を食器、食品(そうめん)を入れた引き出しの中に入れ、引き出しを閉じた状態で10日間置いた後、匍匐害虫忌避剤を取り除き、引き出しの中の食器及び食品(そうめん)へ匂いがどの程度移ったかに付き、モニター10人による官能試験を行った。
その結果、表5に示されるように、食器及び食品(そうめん)の何れにおいても、匂い移りがないか又は気にならない程度という結果となった。
Figure 0005288199
実施例29:害虫と人間の嗅覚に対する感応試験
1.試験方法
供試薬剤を一定濃度に希釈したアセトン溶液をろ紙(1.0×1.0cm)に含浸させて風乾し供試ろ紙とした。試験管(φ20mm×20cm)の底部にチャバネゴキブリの糞が付着したろ紙(0.5×0.5cm)と供試ろ紙を入れて、チャバネゴキブリ若令成虫10匹を放ち脱脂綿でフタをした。試験管を横倒しにして静置し、1晩後のゴキブリの分布並びにニオイの有無を観察した。忌避効果は、供試ろ紙近傍のゴキブリ分布比を算出して効果を比較した。匂いは感応により4段階に区分した。
分布比=位置Aのゴキブリ数/(位置Aのゴキブリ数+位置Bのゴキブリ数)
試験結果を表6に纏め、使用した試験装置を図13に示した。
Figure 0005288199
試験の結果
p−メンタン−3,8−ジオールは、空間に揮散させた場合、人間には殆ど匂いが感じられない濃度でゴキブリに対し高い忌避効果を示した。即ち、p−メンタン−3,8−ジオールは、害虫の嗅覚に感度が高い一方、人間の嗅覚には感度が低い化合物であることが実証された。
対照的に、揮散性のローズマリーオイル、シトロネラオイル、ペリラアルデヒド及びテルピネン−4−オール(対照グループ)においては、忌避効果が認められた濃度では人間に対しても強い匂いを呈し、それゆえ、害虫と人間の嗅覚に対する感度差が小さい化合物群とみなされた。
尚、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル及びセバシン酸ジエチルは、p−メンタン−3,8−ジオールと対照グループの間に位置し、人間の嗅覚には感度が低い一方、ゴキブリに対する忌避効果は、p−メンタン−3,8−ジオー
ルに幾分劣る傾向が認められた。
尚、チャバネゴキブリ以外の他のゴキブリ類(クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トビイロゴキブリ、キョウトゴキブリ)においても上記試験と同様の感受性が確認された。
これまで、空間忌避剤の開発にあたっては、揮散性のファクターが重視されたのであるが、本発明は、害虫の嗅覚に感度が高い一方、人間の嗅覚には感度が低い化合物の探索並びにその有用な適用方法の開発を技術思想としており、明らかに新規な発想に基づくものである。
本発明は、匍匐害虫防除分野において、須らく利用可能である。
1:容器
2:薬剤含浸体
3:試験管
4:脱脂綿
5:供試ろ紙(1.0×1.0cm)
6:糞付着ろ紙(0.5×0.5cm)
7:位置B
8:位置A(ろ紙近傍部)

Claims (5)

  1. 匍匐害虫が徘徊する場所又は徘徊するおそれがある場所に或いは匍匐害虫が寄りつく物品又は寄りつくおそれがある物品において、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、
    p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル又はこれらの混合物である、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を含有する匍匐害虫忌避剤を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に適用することを特徴とする、適用された場所又は物品への匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法。
  2. 匍匐害虫が徘徊する場所又は徘徊するおそれがある場所に或いは匍匐害虫が寄りつく物品又は寄りつくおそれがある物品において、匍匐害虫の徘徊又は寄りつきを抑制するにあたり、
    p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル又はこれらの混合物である、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を含む匍匐害虫忌避製品を、匍匐害虫が徘徊するもしくは徘徊するおそれがある場所又はその近傍に或いは匍匐害虫が寄りつくもしくは寄りつくおそれがある物品又はその近傍に設置することを特徴とする、設置された場所又は物品への匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法。
  3. 匍匐害虫忌避製品は、匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分を、その溶解液又は分散液とともに繊維質担体に担持させたものを備えてなる、請求項2に記載の匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法。
  4. 上記の匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分が、害虫の嗅覚には感度が高く、人間の嗅覚には感度が低い化合物である、請求項1ないし3の何れか1項に記載の匍匐害虫忌避成分の匂い移りを防止する方法
  5. 上記の匂いを移しにくい匍匐害虫忌避成分として、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール又はこれらの混合物を用いる請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。

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