JP2005170914A - 飛翔害虫忌避剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】香料を有効成分とする飛翔害虫忌避剤組成物であって、飛翔害虫に対する実用的な忌避効果とともに好ましい芳香作用を奏し、しかも火気に対して危険性の少ない水性の飛翔害虫忌避剤組成物のを提供。
【解決手段】香料成分を0.1〜5.0重量%、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤を0.3〜3.0重量%、非イオン系界面活性剤を1.0〜8.0重量%、低級アルコールを3.0〜12重量%及び水を含有してなる飛翔害虫忌避剤組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、飛翔害虫忌避剤組成物に関するものである。
従来、蚊、ブユ、ユスリカなどの飛翔害虫に対して、ディート(N,N−ジエチル−トルアミド)を含む忌避剤を皮膚表面に塗布する方法が汎用されてきた。しかしながら、ディートは、長期にわたって使用すると皮膚炎を起こす恐れがあり、また通常の香料と比べると揮散性が幾分低いために空間的な忌避効果を期待することはできない。
そこで、忌避効果を有する香料を室内等で放散し、芳香・忌避剤として併用させようとする提案がある。例えば、特開2002−173407号公報には、オレンジ油、カシア油、シトロネラ油などから選ばれた天然精油を有効成分とする飛翔害虫忌避剤が記載されている。この忌避剤は天然産志向と安全性への配慮を謳っているが、具体例は天然精油を灯油に溶解した処方に限られ火気に対する危険性は免れ得ない。また、特開2003−138290号公報は、イソメンタン、リナロール、ゲラニオール、シトラール及びシトロネロールからなる混合物を有効成分として含有する蚊忌避性香料組成物を開示するが、ゲル状芳香剤を指向したもので、蚊に対する忌避効果も満足するものではない。
特開2002−173407号公報 特開2003−138290号公報
本発明は、香料を有効成分とする飛翔害虫忌避剤組成物であって、飛翔害虫に対する実用的な忌避効果とともに好ましい芳香作用を奏し、しかも火気に対して危険性の少ない水性の飛翔害虫忌避剤組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用する。
(1)香料成分を0.5〜5.0重量%、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤を0.3〜3.0重量%、非イオン系界面活性剤を1.0〜8.0重量%、低級アルコールを3.0〜12重量%及び水を含有してなる飛翔害虫忌避剤組成物。
(2)香料成分が、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、p−メンタン−3,8−ジオール、カンフェンの合成香料群、及びシトロネラ油、シナモン油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、ヒバ油、ラベンダー油の天然香料群から選ばれた1種又は2種以上である(1)に記載の飛翔害虫忌避剤組成物。
(3)低級アルコールがエタノールで、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤がラウリルアミンオキサイドである(1)又は(2)に記載の飛翔害虫忌避剤組成物。
本発明の飛翔害虫忌避剤組成物は、有効成分として香料を用い、これに配合する高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤と低級アルコールの作用で、飛翔害虫に対する実用的な忌避効果と好ましい芳香作用を奏し、しかも火気に対して危険性の少ない水性処方なのでその実用性は極めて高い。
本発明で有効成分として用いる香料成分は、蚊などの飛翔害虫に対して忌避性を示すとされる合成香料及び天然香料である。これらは、常温揮散性のピレスロイド系殺虫成分のような速効的な忌避効果は期待できないが、人畜に対して比較的安全性が高く同時に芳香感も奏しえるというメリットがある。合成香料としては、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、p−メンタン−3,8−ジオール、カンフェン、ピネン、リモネン、ゲラニオール、メントール、ボルネオール、ゲラニルフォーメートなどがあげられるが、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、p−メンタン−3,8−ジオール、カンフェンが好ましく、忌避効果の点ではシトロネラールやp−メンタン−3,8−ジオールが特に好ましい。一方、天然香料としては、シトロネラ油、シナモン油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、ヒバ油、ラベンダー油、オレンジ油、グレープフルーツ油、シダーウッド油、ゼラニウム油、タイムホワイト油、ハッカ油などがあげられ、これらの中ではシトロネラ油、シナモン油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、ヒバ油、ラベンダー油が好適である。
香料成分は、上記合成香料及び天然香料から1種又2種以上選択されて、忌避剤組成物全体量に対して0.5〜5.0重量%配合される。0.5重量%未満であると忌避効果が十分でなく、一方5.0重量%を超えると匂いが強くなりすぎるので実用的でない。
本発明の飛翔害虫忌避剤組成物は、忌避効果と人畜に対する安全性に支障を来たさない限りにおいて、緑茶抽出物や柿抽出物のような植物由来の消臭成分や、香調の調整のために他の芳香成分を配合してもよい。また、常温揮散性のピレスロイド系殺虫成分、例えば、エムペントリン、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート[トランスフルトリン]、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートなどを添加して忌避効果を増強させることもできる。
本発明の飛翔害虫忌避剤組成物は、香料成分に、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤を0.3〜3.0重量%、非イオン系界面活性剤を1.0〜8.0重量%、低級アルコールを3.0〜12重量%及び水を配合した水性処方で、特に界面活性剤として高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤を用いたことに特徴を有する。
すなわち、従来の水性芳香剤処方ではアニオン系界面活性剤を用いていたため香料成分の安定性や放散性に問題があったが、本発明者らは高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤と低級アルコールを組み合わせることによって問題を解決し、実用的な忌避効果を奏しえる組成物を達成したものである。
高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤としては、例えばラウリルアミンオキサイド、ステアリルアミンオキサイド、ラウリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイドなどがあげられ、0.3〜3.0重量%配合することにより、香料成分の放散性と忌避効果の向上に寄与する。
また、非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどを例示できるが、これらに限定されない。非イオン系界面活性剤の配合量が1.0重量%に満たないと香料成分の可溶化に支障をきたし、一方8.0重量%を超えると香料成分の揮散性能に影響を及ぼす。
低級アルコールとしては、エタノール、又はイソプロパノールが代表的で、エタノールが性能的に好ましい。低級アルコールの配合量が3.0重量%未満の場合、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤との組み合わせによる忌避効果の増強作用が認められず、一方12重量%を超えると火気に対する危険性が解消されない。
なお、本発明の忌避剤組成物には、必要に応じて、脂肪族あるいは芳香族炭化水素類、グライコール類、グライコールエーテル類、エステル類等の他の溶剤、更にジブチルヒドロキシトルエンなどの安定化剤、クエン酸などのpH調整剤、着色剤などを適宜配合してもよいことはもちろんである。
こうして得られた本発明の飛翔害虫忌避剤組成物は、香料成分が空間に放散されることによって、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカなどの蚊類、蚋、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類などの飛翔害虫に対して実用的な忌避効果を奏する。リビングや和室、玄関などの室内、倉庫、飲食店、キャンプなどの使用場面で、忌避剤組成物をそのまま適用することもできるが、通常適用区域、適用方法に適した各種の形態に調製して利用される。好ましい形態は、吸液芯を有する容器本体に本発明の忌避剤組成物を充填し、吸液芯を介して忌避剤組成物を蒸発部に導き空間に放散させる放香器である。以下、その放香器の形態につき説明する。
放香器の容器本体は、その材質や構造に特に制限はなく、例えばプラスチック、ガラス、陶器製などがあげられる。内部の液量を視認できる透明ないし半透明のプラスチックあるいはガラス容器が好ましく、表面をダイアカットやボヘミアンカット状に加工してもよい。通常、容器本体の容量としては50ないし300mL程度のものが実用的である。そして、容器本体の底部は、忌避剤組成物が残りなく吸い上げられるように、後記する吸液芯の当接部を幾分凹状に構成するのがよい。
この容器本体上部の開口部には吸液芯を保持する中栓が冠着される。中栓はプラスチック製が好ましく、また、開口部冠着位置から下方に向けて筒状に形成し吸液芯を挿入するようにすれば、吸液芯を確実に保持できるのでより好適である。
吸液芯は、忌避剤組成物に対して安定でかつ毛細管現象で水溶液を吸液するものであり、具体的な材質として例えばナイロン、ポリエステルなどのプラスチック繊維、天然繊維、木材などがあげられる。このうちプラスチック繊維又は天然繊維製フェルト吸液芯が使いやすく、放香器の使用場所や使用目的に合わせ、外径3〜10mm程度の棒状もしくは撚芯状に形成して使用に供される。
通常、吸い上げた忌避剤組成物を放散させる蒸発部が吸液芯の上部に設けられる。蒸発部の構造はフェルトもしくはシート状であり、またその材質としては吸液芯の場合と同様、例えばナイロン、ポリエステルなどのプラスチック繊維、天然繊維、木材などを使用できる。このうちプラスチック繊維又は天然繊維製のフェルトもしくはシート状のものが好ましく、厚み2〜15mmで、表面積が10〜60cm2の略円形に成型し、これを吸液芯の頂面に当接するように配設すれば、吸い上げられた忌避剤組成物は吸液芯から蒸発部に移行し、ここから徐々に空中に放散する。蒸発部の表面積が10cm2未満であると蒸発量が低くなる傾向があるし、一方60cm2を超えると蒸発量過多となって持続性に問題を生じる場合がある。通常、忌避剤組成物の1日あたりの空中への蒸発量を1〜8mLとし、有効持続時間は1〜2ケ月に調整される。
また、蒸発部支持体を付設したり、蒸発部に指などが触れないように蒸発部をカバーするメッシュ状の蓋部材を備えるのが一般的である。
放香器にはインテリア性を付与するために、蒸発部支持体を介して布又はプラスチック製の造花を装填してもよい。
造花は、アジサイ、スズラン、バラ、除虫菊、アイビーなど、各種の草花を模して作製され、見かけの体積は200〜1500cm3程度がよい。ここで、見かけの体積とは、以下の測定方法に従って得られる値を意味する。
1)先ず造花部分をプラスチック製の袋に入れる。
2)上記袋を外部より軽く押さえて内部の空気を抜きながら、造花の外周に相当する部分を袋外部よりヒートシールして袋を密封する。
3)次に、水の張った大きめの腰高シャーレに上記2)で得られた造花入りの袋を沈め、その際の体積の増加分を「造花の見かけの体積」とする。
また、造花の枝の材質として屈曲性の高いものを用い、造花の位置関係を任意に変えられる形態を採用することも有用である。
かかる放香器は、蚊、蚋、ユスリカなどの飛翔害虫に対する実用的な忌避効果と火気に対する安全性を具備し、1ケ月ないし2ケ月間の長期間にわたり同時に芳香感を満喫することができる。また、造花を装填してリビングや玄関に設置すれば、インテリア性が付与され花の観賞をも楽しめるものである。
次に具体的な実施例に基づき、本発明の飛翔害虫忌避剤組成物について更に詳細に説明する。
図1は本発明の飛翔害虫忌避剤組成物が適用される一形態の放香器の断面図を示す。
シトロネラール0.8重量%、レモンユーカリ油1.5重量%、ラウリルアミンオキサイド1.2重量%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油1.6重量%、ポリオキシエチレンオレイルエーテル3.0重量%、エタノール7.0重量%、消臭剤としての緑茶抽出成分1.0重量%、クエン酸0.02重量%、及び精製水83.88重量%を含有する本発明の飛翔害虫忌避剤組成物を調製した。なお、この水性の忌避剤組成物は、消防法上の非危険物に該当した。
本発明の忌避剤組成物(1)130gを透明ポリエステル容器本体2に充填し、その上部開口部に、外径7mmで棒状のフェルト吸液芯3を挿通した中栓4を冠着させた。蒸発部支持体5に設置された、厚さ5mm、直径5.2cmの円盤状のフェルト製蒸発部6を、吸液芯3の頂面に当接させて取り付けた。更に、その上方に蒸発部支持体5を介して見かけの体積が350cm3でアイビーを模したプラスチック製の造花7を装填し、本発明の飛翔害虫忌避剤組成物が適用される放香器を得た。
本放香器を玄関のサイドボード上に置いて使用したところ、約2ケ月間にわたり芳香感を満喫できるとともに、蚊に悩まされることはなかった。また、アイビーのグリーンは玄関にマッチし、インテリア性にも優れたものであった。
実施例1に準じて、表1に示す各種飛翔害虫忌避剤組成物を調製し、香料の組成物中における性状(可溶性や経時的安定性)を調べるとともに、放香器に適用して下記の忌避効力試験を実施した。なお、性状の評価は、○:問題なし、△:やや問題あり、×:不適 で示した。
[忌避効力試験]
密閉した6畳の部屋の中央に、金網で固定したマウス(吸血源)と供試放香器を設置し、アカイエカ雌成虫50匹を放ち、2時間後に供試虫を回収して吸血虫数を数え、吸血率を求めた(処理区)。同時に同じ広さの部屋で放香器を設置せずに同様の試験を行い(コントロール区)、その吸血率から次式に従って忌避率(吸血阻止率)を算出した。
コントロール区の吸血率−処理区の吸血率
忌避率(%)= ×100
コントロール区の吸血率
Figure 2005170914
試験の結果、本発明の飛翔害虫忌避剤組成物は、配合する高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤と低級アルコールの作用で、飛翔害虫に対する実用的な忌避効果と好ましい芳香作用を奏し、しかも火気に対して危険性が低く使用性の面でも優れた。
これに対し、比較例1に示すように、香料成分が0.5重量未満では忌避効果が不足した。また、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤の替わりにアニオン系界面活性剤を用いた比較例2や、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤を用いても配合量が0.3重量%未満の比較例3、更には低級アルコールの配合量が3.0重量%未満の比較例4は、忌避剤組成物の性状が劣るとともに、忌避効果も低かった。比較例5の如く、忌避剤組成物の性状を改善するために低級アルコールの配合量を高めると、火気に対する危険性が増大して不適であった。次に、非イオン系界面活性剤の配合量について調べたところ、比較例6のように1.0重量%未満にすると、香料成分の可溶化能が悪く、一方8.0重量%を超えた比較例7では香料成分の放散性に影響が生じ忌避効果を低下させた。
このように、香料成分を放散して実用的な忌避効果を確保するには、所定の高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤と低級アルコールを組み合わせてはじめて達成できることが確認された。
本発明の飛翔害虫忌避剤組成物が適用される一形態の放香器の断面図を示す。
符号の説明
1.飛翔害虫忌避剤組成物
2.容器本体
3.吸液芯
4.中栓
5.蒸発部支持体
6.蒸発部
7.造花

Claims (3)

  1. 香料成分を0.5〜5.0重量%、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤を0.3〜3.0重量%、非イオン系界面活性剤を1.0〜8.0重量%、低級アルコールを3.0〜12重量%及び水を含有してなることを特徴とする飛翔害虫忌避剤組成物。
  2. 香料成分が、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、p−メンタン−3,8−ジオール、カンフェンの合成香料群、及びシトロネラ油、シナモン油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、ヒバ油、ラベンダー油の天然香料群から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の飛翔害虫忌避剤組成物。
  3. 低級アルコールがエタノールで、高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤がラウリルアミンオキサイドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の飛翔害虫忌避剤組成物。
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