JP7023107B2 - 飛翔害虫忌避組成物、及びこれを配合した飛翔害虫忌避剤 - Google Patents
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そこで、忌避成分として揮散性の天然精油やその組成成分を利用しようとする提案がいくつかある。例えば、シトロネラ油やその主成分であるシトロネラールが蚊に対して忌避効果を示すことはよく知られており、アメリカではシトロネラ油を有効成分として含有するキャンドルが市販された。しかしながら、キャンドルの熱を利用してシトロネラールを放散させる方法はシトロネラールの揮散効率が悪く、実用的な忌避効果を奏しえない。
(1)飛翔害虫忌避成分として、少なくともリナロール、テルピネオール及び炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物を含有し、かつ、(a)リナロールとテルピネオールの合計量の(b)炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物に対する配合比率[(a)/(b)]は0.3~5.0の範囲である飛翔害虫忌避組成物。
(2)前記炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物は、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルイソブチルオキシアセテート、アリルn-アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート及びアリルフェノキシアセテートから選ばれる少なくとも1種である(1)に記載の飛翔害虫忌避組成物。
(3)更に飛翔害虫忌避成分として、リモネン、カンフェン、メンタン、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、リナリルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、シトロネリルアセテート、フェネチルアセテート、ゲラニルアセテート、シンナミルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、アニシルアセテート、ベンジルベンゾエート、ジヒドロミルセノール、フェネチルアルコール、メントール、ボルネオール、ゲラニオール、オイゲノール、シトロネロール、ネロール、エチルリナロール、チモール、p-メンタン-3,8-ジオール、シトロネラール、シトラール、1,8-シネオール、及びジフェニルオキサイドから選ばれる1種又は2種以上を配合してなる(1)又は(2)に記載の飛翔害虫忌避組成物。
(4)(1)ないし(3)のいずれか1に記載の飛翔害虫忌避組成物を配合してなる飛翔害虫忌避剤。
(5)前記飛翔害虫忌避組成物を1.0~7.0部、界面活性剤を3.0~12部、低級アルコールを2.0~10部及び適量の水を配合し全体を100部としてなり、飛翔害虫忌避効果が60日以上にわたり持続するように構成された水性リキッドタイプである(4)に記載の飛翔害虫忌避剤。
(6)前記飛翔害虫忌避組成物を1.0~7.0部、界面活性剤を0.5~10部及び適量の水を含有する含浸液と吸水性ポリマー1.0~5.0部とを配合し全体を100部としてなり、飛翔害虫忌避効果が60日以上にわたり持続するように構成された水性ゲルビーズタイプである(4)に記載の飛翔害虫忌避剤。
ここで前記炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物としては、例えばアリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルイソブチルオキシアセテート、アリルn-アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート及びアリルフェノキシアセテート等があげられる。
即ち、本発明では、(a)リナロールとテルピネオールの合計量の(b)炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物に対する配合比率[(a)/(b)]を0.3~5.0の範囲に特定する必要があり、この範囲を外れると3種類の忌避成分を組合わせたとしても十分な飛翔害虫忌避効果が得られない。
かかる飛翔害虫忌避成分としては、例えばリモネン、カンフェン、メンタン、α-ピネン、β-ピネン、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、リナリルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、シトロネリルアセテート、フェネチルアセテート、ゲラニルアセテート、シンナミルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、アニシルアセテート、ベンジルベンゾエート、ベンジルサクシネート、ジヒドロミルセノール、フェネチルアルコール、メントール、ボルネオール、ゲラニオール、オイゲノール、シトロネロール、ネロール、エチルリナロール、シンナミックアルコール、ファルネソール、チモール、p-メンタン-3,8-ジオール、シトロネラール、シトラール、1,8-シネオール、及びジフェニルオキサイドがあげられるが、これらに限定されない。
加えて、上記成分を含む種々の精油類、例えば、シトロネラ油、シナモン油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、ヒバ油、ラベンダー油、オレンジ油、グレープフルーツ油、シダーウッド油、ゼラニウム油、タイムホワイト油、ハッカ油等を適宜添加することもできる。
更には、ジプロピレングリコールやトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール及び/又はグリコールエーテル類を、前記飛翔害虫忌避成分の揮散後の忌避効果持続成分として必要に応じ添加しても構わない。
例えば、水性リキッドタイプの忌避剤の場合、界面活性剤、有機溶剤及び水などを配合して製するが、飛翔害虫忌避組成物の配合比率は忌避剤全体量を100部として1.0~7.0部程度に設定するのが好ましい。1.0部未満であると忌避効果が十分でなく、一方、7.0部を超えると匂いが強くなりすぎるので実用的でない。
また、水性ゲルビーズタイプは、飛翔害虫忌避組成物の外、界面活性剤、水及び吸水ポリマー等から構成され、飛翔害虫忌避組成物の配合比率は水性リキッドタイプと同様、忌避剤全体量を100部として1.0~7.0部程度が適当である。
界面活性剤の配合量は、飛翔害虫忌避組成物に対して0.5~4倍程度が適当である。
なお、上記した各種補助成分に加え、BHT等の安定化剤、イソチアゾリン系等の防腐剤、ビトレックス等の苦味剤、pH調整剤、分散剤、着色剤などを適宜配合してもよいことはもちろんである。
水性リキッドタイプは、飛翔害虫忌避組成物を1.0~7.0部、界面活性剤を3.0~12部、低級アルコールを2.0~10部及び適量の水を配合し全体を100部として調製される。得られた水性処方液は、吸液芯を介して吸液素材の蒸発部に導き飛翔害虫忌避成分を空間に放散させる方式、いわゆる置き型方式や、スプレー方式、あるいは噴射剤(液化石油ガスやジメチルエーテル等)の充填を伴ってエアゾール方式の忌避剤に好適に適用される。
ここで、界面活性剤の配合量が3.0部未満であると飛翔害虫忌避成分の可溶化が劣り、12部を越えると飛翔害虫忌避成分の放散性に影響を及ぼす恐れがある。
一方、低級アルコールの配合量が2.0部未満の場合、特に高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤との相溶性が劣り、一方10部を超えると火気に対する危険性が増大し、消防法上の非危険物に該当しない場合が生ずる。
この容器本体上部の開口部には吸液芯を保持する中栓が冠着される。中栓はプラスチック製が好ましく、また、開口部冠着位置から下方に向けて筒状に形成し吸液芯を挿入するようにすれば、吸液芯を確実に保持できるのでより好適である。
また、蒸発部支持体を付設したり、蒸発部に指などが触れないように蒸発部をカバーするメッシュ状の蓋部材を備えるのが一般的である。
更に、インテリア性を付与するために、蒸発部支持体を介して布又はプラスチック製の造花を装填してもよい。
なお、界面活性剤の配合量は、飛翔害虫忌避組成物に対して0.5~4倍程度に設定するのが好ましいが、アニオン系界面活性剤は吸水性ポリマーの吸水力を低下させる恐れがあるので留意を要する。
この飛翔害虫忌避組成物2.0部に、ラウリルアミンオキサイドを1.2部、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を1.4部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを3.5部、エタノールを7.0部、消臭剤としての緑茶抽出成分を1.0部、クエン酸を0.02部、及び適量の精製水を配合し全体を100部として本発明で用いる水性処方液を調製した。なお、この水性処方液は、消防法上の非危険物に該当した。
この忌避剤をリビングルームのサイドボード上に置いて使用したところ、約6ケ月間にわたり芳香感を満喫できるとともに、蚊等の飛翔害虫に悩まされることはなかった。
[忌避効力試験]
密閉した6畳の部屋の中央に、金網で固定したマウス(吸血源)と供試飛翔害虫忌避剤を設置した。アカイエカ雌成虫50匹を放ち、3時間後に供試虫を回収して吸血虫数を数え、吸血率を求めた(処理区)。同時に同じ広さの部屋で飛翔害虫忌避剤を設置せずに同様の試験を行い(コントロール区)、その吸血率から次式に従って忌避率(吸血阻止率)を算出した。試験は繰り返し3回実施した。
忌避率(%)=[コントロール区の吸血率-処理区の吸血率]/コントロール区の吸血率
×100
これに対し、比較例1ないし比較例8に示すように、リナロール、テルピネオール及び炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物のいずれかを含有しないか、もしくは3種類の忌避成分を含有しても配合比率[(a)/(b)]が0.3~5.0の範囲から外れる場合は、忌避効果が低かった。
例えば、本発明2は比較例1と比較例6を合体したものと言えるが、本発明2の忌避率100%は、比較例1の忌避率53%と比較例6の忌避率21%の相加的効力74%をはるかに凌いだ。同様な評価は、本発明2と[比較例2+比較例7]、及び本発明2と[比較例3+比較例8]を較べた場合についても認められた。従って、本発明の飛翔害虫忌避剤が最適な忌避成分の組合せ並びにそれらの配合比率に基づく相乗効果に立脚していることは明らかである。
この飛翔害虫忌避組成物2.0部に、ラウリルアミンオキサイドを1.6部、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を1.0部、エタノールを4.0部、消臭剤としての緑茶抽出成分を0.1部、安定化剤としてのBHTを0.2部、微量のイソチアゾリン系防腐剤、微量の苦味剤、及び適量の水を配合し全体を100部として本発明で用いる含浸液を調製した。
この忌避剤を玄関の棚上に置いて使用したところ、約200日間にわたり、蚊やコバエ等の飛翔害虫に煩わされることがなく、実用的な忌避効果が確認された。この水性ゲルビーズは時間の経過とともに徐々に縮小したが、変質や離液を伴うことがなくゲル安定性に優れ、使用の終点も明確に視認できた。また、玄関の周囲空間には初期香調のままの芳香が漂い、快適な爽やかさを周囲に提供することができ、極めて実用性の高いものであった。
これに対し、比較例9ないし比較例16に示すように、リナロール、テルピネオール及び炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物のいずれかを含有しないか、もしくは3種類の忌避成分を含有しても配合比率[(a)/(b)]が0.3~5.0の範囲から外れる場合は、忌避効果が低かった。
例えば、本発明8は比較例9と比較例14を合体したものと言えるが、本発明8の忌避率98%は、比較例9の忌避率56%と比較例14の忌避率20%の相加的効力76%をはるかに凌いだ。同様な評価は、本発明8と[比較例10+比較例15]、及び本発明8と[比較例11+比較例16]を較べた場合についても認められた。従って、水性リキッドタイプの飛翔害虫忌避剤と同様、水性ゲルビーズタイプの本発明品においても、最適な忌避成分の組合わせ並びにそれらの配合比率に基づく相乗効果に立脚していることは明らかである。
Claims (4)
- 飛翔害虫忌避成分として、少なくともリナロール、テルピネオール及び炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物を含有し、かつ、(a)リナロールとテルピネオールの合計量の(b)炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物に対する配合比率[(a)/(b)]は0.3~5.0の範囲である飛翔害虫忌避組成物を配合してなる飛翔害虫忌避剤であって、
前記炭素数が5~10の脂肪酸のアリルエステル化合物は、アリルヘキサノエート、及びアリルヘプタノエートを含む2種以上、又はアリルヘキサノエート、アリルオクタノエート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、及びアリルフェノキシアセテートから選ばれる1種又は2種以上である飛翔害虫忌避剤(但し、シリコーンゴムを含有する飛翔害虫忌避剤を除く)。 - 更に飛翔害虫忌避成分として、リモネン、カンフェン、メンタン、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、リナリルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、シトロネリルアセテート、フェネチルアセテート、ゲラニルアセテート、シンナミルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、アニシルアセテート、ベンジルベンゾエート、ジヒドロミルセノール、フェネチルアルコール、メントール、ボルネオール、ゲラニオール、オイゲノール、シトロネロール、ネロール、エチルリナロール、チモール、p-メンタン-3,8-ジオール、シトロネラール、シトラール、1,8-シネオール、及びジフェニルオキサイドから選ばれる1種又は2種以上を配合してなる請求項1に記載の飛翔害虫忌避剤。
- 前記飛翔害虫忌避組成物を1.0~7.0部、界面活性剤を3.0~12部、低級アルコールを2.0~10部及び適量の水を配合し全体を100部としてなり、飛翔害虫忌避効果が60日以上にわたり持続するように構成された水性リキッドタイプである請求項1又は2に記載の飛翔害虫忌避剤。
- 前記飛翔害虫忌避組成物を1.0~7.0部、界面活性剤を0.5~10部及び適量の水を含有する含浸液と吸水性ポリマー1.0~5.0部とを配合し全体を100部としてなり、飛翔害虫忌避効果が60日以上にわたり持続するように構成された水性ゲルビーズタイプである請求項1又は2に記載の飛翔害虫忌避剤。
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