JP2022064533A - 加熱蒸散用水性薬剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】水を配合した加熱蒸散用薬剤において、従来の加熱蒸散用水性薬剤より高い効果を発揮するとともに、使用時の溶剤臭や刺激を低減できる新たな加熱蒸散用水性薬剤を提供すること。【解決手段】加熱蒸散性の有効成分と、炭素数4~6のグリコール系溶剤と、水とを含有し、前記グリコール系溶剤の含有量が70~95v/v%である加熱蒸散用水性薬剤とする。【選択図】なし

Description

本発明は、加熱蒸散用水性薬剤に関し、さらに詳しくは、加熱により加熱蒸散芯に吸液させた有効成分を蒸散させる加熱蒸散方法に用いられる加熱蒸散用水性薬剤に関する。
従来、液体の加熱蒸散用薬剤を加熱蒸散芯に吸液させ、これを加熱して該加熱蒸散用薬剤に含まれる有効成分を蒸散させることにより有効成分の薬効を得ることが行われている。
加熱蒸散用薬剤としてはピレスロイド系化合物等を有効成分として含有する加熱蒸散用殺虫剤組成物が汎用され、また種々検討されている。ピレスロイド系化合物等の有効成分は油性であることから、その多くは灯油などの油性溶剤に溶解させて、製剤化されている。
その一方で、より安全性を求めて水やグリコールエーテル等の水性溶剤を配合した加熱蒸散用水性殺虫剤組成物が検討されている。
例えば、特許文献1には、ピレスロイド系殺虫成分に対する感受性が低下した蚊類を防除するための加熱蒸散用水性殺虫剤組成物であって、ピレスロイド系殺虫成分を0.1~3.0質量%と、これの感受性低下対処助剤として沸点が150~300℃である少なくとも一種のグリコールエーテル系化合物を10~70質量%と、水とを含む加熱蒸散用水性殺虫剤組成物が提案されている。
国際公開第2016/140172号
しかしながら、加熱蒸散用殺虫剤組成物に水性溶剤を配合することで、加熱蒸散芯への目詰まりが生じたり、害虫に対する防除効力が低下したりすることがあった。また、グリコールエーテル等は、加熱蒸散時の溶剤臭が強く、刺激もあるため、使用者に不快感を与えることがあった。
そこで、本発明は、水を配合した加熱蒸散用水性薬剤において、従来の加熱蒸散用水性薬剤より高い効果を発揮するとともに、使用時の溶剤臭や刺激を低減できる新たな加熱蒸散用水性薬剤を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み検討したところ、炭素数4~6のグリコール系溶剤を加熱蒸散用水性薬剤中70v/v%以上で配合することにより上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は以下の(1)~(2)を特徴とする。
(1)加熱蒸散性の有効成分と、炭素数4~6のグリコール系溶剤と、水とを含有し、前記グリコール系溶剤の含有量が70~95v/v%であることを特徴とする加熱蒸散用水性薬剤。
(2)前記グリコール系溶剤が、1,3-ブチレングリコール骨格を有する溶剤であることを特徴とする、前記(1)に記載の加熱蒸散用水性薬剤。
本発明の加熱蒸散用水性薬剤は、加熱蒸散による有効成分の効力を増加できる。また、使用時の溶剤臭や刺激を低減できるので、使用感を向上できる。
殺虫効力試験で使用した試験室を説明するための概略図である。 官能評価試験の試験方法を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
本発明の加熱蒸散用水性薬剤は、加熱蒸散性の有効成分と、炭素数4~6のグリコール系溶剤と、水とを含有する。
有効成分は加熱により蒸散するものであり、加熱蒸散用水性薬剤の用途に応じて適宜採用できる。有効成分としては、例えば、殺虫剤、忌避剤、殺菌・防黴剤、消臭・脱臭剤、芳香剤等が挙げられる。
殺虫剤としては、例えば、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、エムペントリン、1-エチニル-2-エチル-2-ペンテニル-2,2,3,3-テトラメチルーシクロプロパンカルボキシレート、1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニル-2,2-ジメチル-3-(2’,2’-ジクロロビニル)-シクロプロパンカルボキシレート、プラレトリン、テフルスリン、トランスフルスリン、メトフルトリン、プロフルトリン等のピレスロイド系化合物;プロポキスル、カルバリル等のカーバメイト系化合物;フェニトロチオン、ジクロボス(DDVP)等の有機リン系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物;アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物;ジノテフラン,イミダクロプリド等のネオニコチノイド系化合物、メトプレン,ハイドロプレン等の昆虫幼若ホルモン剤、プレコセン等の抗幼若ホルモン剤、エクダイソン等の脱皮ホルモン剤等のホルモン剤;フィットンチッド、ハッカ油、オレンジ油、桂皮油、ベンジルアルコール、丁子油等の精油類等が挙げられる。
忌避剤としては、例えば、ディート、パラメンタン-3,8-ジオール、ロテノン、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、3-(N-n-ブチル-N-アセチルアミノ)プロピオン酸エチル、1-ピペリジンカルボキシ酸2-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルプロピルエステル等が挙げられる。
殺菌・防黴剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、パラクロロメタキシレノール、トリクロサン、3-ヨードメチル-2-プロベニルブチルカーバメート、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、セチルピリジウムクロライド、4-4-ジメチル-1,3-オキサゾリジン、ポリ(ヘキサメチル)ビグアナイド塩酸塩、ヒノキチオール、更にはオリガヌム油、ケイヒ油、レモングラス油、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類等が挙げられる。
消臭剤・脱臭剤としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトネート、カテキン、ポリフェノール等が挙げられる。
芳香剤は、天然香料あるいは合成香料のいずれも使用が可能であり、調合香料であっても構わない。また、その香料の種類としては、動物性香料あるいは植物性香料のいずれかは問わない。
天然香料としては、例えば、じゃ香、霊猫香、竜延香等の動物性香料;バラ油、ラベンダー油、ハッカ油、レモン油、アビエス油、アジョクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ベルガモット油、パーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュペブ油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロページ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油、ワニラ豆エキストラクト等の植物性香料が挙げられる。
合成香料又は調合香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素類;リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール等のアルコール類;アネトール、オイゲノール等のフェノール類;n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ワニリン等のアルデヒド類;カルボン、メントン、樟脳等のケトン類;アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ-ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトンまたはオキシド類;イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸グラニル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、桂皮酸シンナミル、サリチル酸メチル等のエステル類等が挙げられる。
有効成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有効成分は、加熱蒸散用水性薬剤100mL中に0.005~4.5mL(v/v%)となるように配合するのが好ましい。有効成分の含有量が0.005v/v%以上であると有効成分による効果を得ることができ、4.5v/v%以下であると加熱蒸散用水性薬剤の系が安定する。有効成分の含有量は、0.01~3.0v/v%がより好ましく、0.05~1.5v/v%がさらに好ましい。
本発明では、溶媒として少なくとも水と炭素数4~6のグリコール系溶剤を含有する。グリコール系溶剤は両親媒性であるので、加熱蒸散用水性薬剤中に油性成分である有効成分を溶解させることができ、また使用時の安全性も確保できる。そして、炭素数4~6のグリコール系溶剤を用いることにより、溶剤臭や刺激を低減できる。
炭素数4~6のグリコール系溶剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール(炭素数4)、2,3-ブチレングリコール(炭素数4)、ジエチレングリコール(炭素数4)、イソプレングリコール(炭素数5)、1,2-ペンタンジオール(炭素数5)、1,3-ペンタンジオール(炭素数5)、1,5-ペンタンジオール(炭素数5)、へキシレングリコール(炭素数6)、1,6-ヘキサンジオール(炭素数6)、1,3-ヘキサンジオール(炭素数6)、1,2-ヘキサンジオール(炭素数6)、ジプロピレングリコール(炭素数6)、トリエチレングリコール(炭素数6)等が挙げられ、沸点が150~300℃の範囲のものが好ましい。
炭素数4~6のグリコール系溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも1,3-ブチレングリコール骨格を有する炭素数4~6のグリコール系溶剤が好ましく、さらには1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール及びへキシレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つを用いることが好ましい。
炭素数4~6のグリコール系溶剤は、加熱蒸散用水性薬剤100mL中に70~95mL(v/v%)の範囲で含有させる。本発明では、炭素数4~6のグリコール系溶剤を多量に用いることで、蒸散粒子に含まれる加熱蒸散性の有効成分の濃度が加熱蒸散用水性薬剤中の配合濃度以上となるので、有効成分の効力を増加させることができると推察される。また、加熱蒸散時の不快な臭いや刺激を低減できるため、使用感を向上できる。
炭素数4~6のグリコール系溶剤の含有量が70v/v%未満であると、有効成分の溶解性が低下し、加熱蒸散用水性薬剤の系が不安定になり、長期保存がし難くなる場合がある。炭素数4~6のグリコール系溶剤の含有量が70~95v/v%であると、有効成分が油性でも水性であっても有効量の有効成分を含有でき、また有効成分の種類によらず一液として溶解させる適用範囲が広くなる。また、加熱蒸散用水性薬剤の系を安定できるので、配合できる有効成分の含量も増やすことが可能となり、従来の加熱蒸散用水性薬剤より高い有効成分の効力を発揮できる。
炭素数4~6のグリコール系溶剤の含有量は、75~92v/v%が好ましく、80~90v/v%がより好ましい。
水は、加熱蒸散用の薬剤に用いられるものを使用でき、例えば、蒸留水、RO水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
水は、上記した有効成分と炭素数4~6のグリコール系溶剤の含有量とのバランス、加熱蒸散用水性薬剤の系の安定性等を考慮して適宜調整すればよい。水は、加熱蒸散用水性薬剤100mL中に0.5~29.9mL(v/v%)の範囲で配合するのが好ましく、1.0~24.9v/v%がより好ましく、2.0~19.9v/v%がさらに好ましい。
加熱蒸散用水性薬剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、上記した炭素数4~6のグリコール系溶剤以外の有機溶剤、界面活性剤、安定化剤、色素等が挙げられる。
炭素数4~6のグリコール系溶剤以外の有機溶剤としては、例えば、n-パラフィン、イソパラフィン等の沸点範囲が150~350℃の脂肪族炭化水素(パラフィン系炭化水素及び不飽和脂肪族炭化水素)の他、グリセリン、メタノール、イソプロパノール、1-オクタノール、1-ドデカノール等のアルコール類;アセトン、アセトフェノン等のケトン類;ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;アジピン酸ジオクチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等のエステル類;キシレン、クロルセン、クロロホルム、シリコーンオイル等が挙げられる。中でも、沸点が150~300℃の範囲にある有機溶剤を使用することが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、3-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール(BHA)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル-チオ-ジ-プロピオネート、2,2’-メチレン-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス-(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート等が挙げられる。
色素としては、例えば、赤色213号(ローダミンB)、赤色214号(ローダミンBアセテート)、赤色215号(ローダミンBステアレート)、赤色218号(テトラクロロテトラブロモフルオレセイン)赤色223号(トルイジンレッド)、赤色225号(スダンIII)、だいだい色201号(ジブロムフルオレセイン)、だいだい色206号(ジョードフルオレセイン)、黄色204号(キノリンエローSS)、緑色202号(キニザリングリーンSS)、赤色505号(オイルレッドXO)、だいだい色401号(ハンサオレンジ)、だいだい色403号(オレンジSS)、黄色401号(ハンサエロー)、黄色402号(ポーラエロー5G)、黄色404号(エローAB)、黄色405号(エローOB)、青色403号(スダンブルーB)、オイルブルーBA、紫色201号(アリズリンパープルSS)等が挙げられる。
加熱蒸散用水性薬剤は、有効成分、炭素数4~6の水性有機溶剤及び水と、所望により他の成分とを含有し、必要により加熱して、各成分を均一に混合することにより作製できる。
加熱蒸散用水性薬剤は、加熱蒸散芯に吸液させて使用するため液体であることが好ましい。なお、「液体」とは、流動的であり、容器の形状に応じて形を変えることのできる物質をいう。
また、加熱蒸散用水性薬剤は、加熱により蒸散させて使用するため、沸点が150℃~300℃の範囲であることが好ましい。
本発明の加熱蒸散用水性薬剤を用いた加熱蒸散に用いられる加熱蒸散芯としては、実施可能な限り特に限定されず、無機、有機の各種素材を使用できる。使用できる材料としては、例えば、クレー、タルク、カオリン、酸性白土、ケイソウ土、活性白土、石膏、パーライト、ベントナイト、アルミナ、シリカ、チタニウム、石綿、セラミックス等の無機材料や、木粉、セルロース、パルプ、ポリエステル樹脂,アクリル樹脂等の高分子樹脂等の有機材料が挙げられる。中でもポリエステル樹脂,アクリル樹脂等から選択された少なくとも1つを繊維状にしたものを固めた合繊芯が好ましく、さらには気孔率が20~80%であるものが好ましい。
加熱蒸散芯の形態としては、特に限定されず、短冊状、筒状、棒状などが挙げられる。
本発明の加熱蒸散用水性薬剤を用いた加熱蒸散は、従来公知の方法で行うことができる。加熱蒸散方法としては、具体的に、本発明の加熱蒸散用水性薬剤を充填したボトルに加熱蒸散芯を取り付けて、加熱蒸散用水性薬剤と加熱蒸散芯とを接触させ、これを加熱蒸散装置にセットし、例えば通電により加熱すればよい。加熱蒸散芯に吸い上げられた加熱蒸散用水性薬剤が加熱されることにより、有効成分が蒸散し、気中に放出される。
なお、加熱条件としては、加熱温度が高すぎると蒸散が早すぎたり、加熱蒸散性の有効成分が熱分解を生じやすくなる場合があり、加熱温度が低すぎると蒸散が遅くなり加熱蒸散性の有効成分の効力を十分に発揮できなくなる場合があるので、40~450℃で加熱することが好ましく、70~150℃がより好ましい。
本発明はまた、本発明の加熱蒸散用水性薬剤を用いて害虫を防除する方法も提供する。
有効成分として殺虫剤を含有した本発明の加熱蒸散用水性薬剤を熱し、有効成分を蒸散させることで、対象害虫を防除できる。
防除の対象とする害虫は、本発明の効果が得られる限り制限されないが、カ、ハエ、ガ、ハチ、カメムシ、カツオブシムシ、シバンムシ、キクイムシ、イガ、コイガ等の飛翔害虫;クロゴキブリ、チャバネゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ等のゴキブリ、クモ、ムカデ、アリ、ゲジ、ヤスデ、ダンゴムシ、ワラジムシ、シロアリ、ケムシ、ダニ、シラミ、マダニ、トコジラミ等の匍匐害虫等が挙げられる。
本発明の加熱蒸散用水性薬剤を用いた害虫の防除方法では、本発明の効果をより確実なものとするために屋内や室内等の閉鎖空間で使用することが好ましい。具体的に、本発明の加熱蒸散用水性薬剤を充填したボトルに加熱蒸散芯を取り付け、加熱蒸散装置にセットした後、これを室内の床等に設置し、通電することにより、室内空間に殺虫剤を蒸散させて、室内に潜む害虫を防除できる。
以下、下記試験例により更に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
<試験例1:殺虫効力試験>
1.試験検体の作製
表1に示す処方に従い、各成分を常温で攪拌混合し、薬剤1~7を作製した。また、薬剤8として、大日本除蟲菊株式会社製「水性キンチョウリキッド 無臭性、取替え液」を準備した。
なお、薬剤1、2は比較例であり、薬剤3~7は実施例であり、薬剤8は参考例である。
Figure 2022064533000001
薬剤1~8をそれぞれ、45mL容の加熱蒸散用ボトルに45mL充填し、中栓を閉めて加熱蒸散芯(大日本除蟲菊株式会社製「水性キンチョウリキッド 無臭性、取替え液」から取り出した芯を薬剤が残らないように乾燥させたもの、セラミックス製)を打栓し、試験検体1~8を作製した。
2.殺虫効力の確認
試験検体1~8を60℃の恒温槽で1晩静置し、加熱蒸散芯に薬剤を吸液させるとともに各検体の液温を均一にした後、以下の試験に供した。
なお、各試験検体は、試験開始前と試験終了後に重量を測定し、その差を求めることにより、加熱蒸散用水性薬剤の蒸散量を算出した。
(試験方法)
(1)供試虫としてアカイエカ約20頭(雌成虫)を入れたPET製ケージ(14メッシュ、23cm×23cmのPET製の網を二つ折りにして袋状としたもの)を用意した。
(2)図1に示すように、6畳空間(3.6m×2.7m×高さ2.4m≒23.3m)の試験室10において、アカイエカを入れたPET製ケージ1を試験室10の床から0.75m、1.5mの高さに各2個対角方向に計4個設置した。
(3)試験検体を加熱蒸散装置にセットし、それを試験室10の床の中央部2に設置し、試験室10を閉鎖した状態で通電を開始した。
(4)通電開始から2時間後まで、各試験検体におけるアカイエカのノックダウン数を5分毎に経時的に観察した。
(5)試験は2回行い、得られた結果の合計数からノックダウン率を算出し、時間経過にともなうノックダウン率からProbit法によりKT50値を算出した。また、通電開始から30分後のノックダウン率を算出した。
(6)試験検体の重量を測定し、試験前後の重量から蒸散量を算出した。
結果を表2に示す。
Figure 2022064533000002
作製した薬剤の外観について、薬剤2~7は可溶化し透明であったが、薬剤1は白濁し、乳化が不安定であり、経時的に分離が見られた。
表2の結果より、グリコール系溶剤の割合が70v/v%以上である薬剤(薬剤3~7)を用いた試験検体3~7は、KT50が20分未満となり、試験検体1~2に比べて効果が高いことが分かった。また、グリコール系溶剤の含有量が多くなるほど、蒸散量が少なくなるにも関わらずKT50の時間が短くなることが分かり、試験検体4~7では、30分後のノックダウン率が100%となった。
<試験例2:官能評価試験>
1.試験検体の作製
表3に示す処方に従い、各成分を常温で攪拌混合し、薬剤9~12を作製した。ここで、薬剤9~11はそれぞれ、試験例1の薬剤4、6、7と同一処方である。
なお、薬剤9~11は実施例であり、薬剤12は比較例である。
Figure 2022064533000003
薬剤9~12をそれぞれ、45mL容の加熱蒸散用ボトルに45mL充填し、中栓を閉めて加熱蒸散芯(ポリエステル繊維製、芯長73.5mm、芯径7.2mm、気孔率62%)を打栓し、試験検体9~12を作製した。
2.溶剤の臭い、刺激、快不快度の確認
試験検体9~12を60℃の恒温槽で1晩静置し、加熱蒸散芯に薬剤を吸液させるとともに各検体の液温を均一にした後、以下の試験に供した。
(試験方法)
(1)図2に示すように、試験検体をセットした加熱蒸散装置5を、約2.19m(0.85m×1.35m×高さ1.91m)の試験室20の床の中央部に設置し、試験室20を閉鎖した状態で通電を開始した。
(2)通電開始から12時間経過後、試験室20の小窓6から室内の臭いを確認し、溶剤の臭い、刺激、快不快度を以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価は10名の被験者により行われ、評価値の平均を求めた。
〔溶剤の臭い評価〕
1:臭いを感じる
2:臭いをやや感じる
3:どちらともいえない
4:臭いはあまり感じない
5:臭いは感じない
〔刺激の評価〕
1:刺激を感じる
2:刺激をやや感じる
3:どちらともいえない
4:刺激はあまり感じない
5:刺激は感じない
〔快不快度〕
1:不快
2:やや不快
3:どちらともいえない
4:やや快
5:快
結果を表4に示す。
Figure 2022064533000004
表4の結果より、グリコール系溶剤を含有した薬剤を用いた試験検体9~11は、グリコールエーテル系溶剤を含有した薬剤を用いた試験検体12に比べて、溶剤の臭い、刺激、快不快度に対する評価がいずれも高く、使用感に優れることが分かった。なお、溶剤の臭い評価、刺激の評価、快不快度は2以上であれば使用上は問題ないと言える。
試験例1、2より、本発明の加熱蒸散用水性薬剤は、本来の駆除効果のみならず、水配合による使用感も優れることが判明した。上記に記載の殺虫剤のみならず、消臭剤や除菌剤についても効果に優れ、且つ刺激などのない使用感の良い製剤を製造可能であることが推測される。
1 アカイエカを入れたPET製ケージ
2 中央部
5 試験検体をセットした加熱蒸散装置
6 小窓
10,20 試験室

Claims (2)

  1. 加熱蒸散性の有効成分と、炭素数4~6のグリコール系溶剤と、水とを含有し、前記グリコール系溶剤の含有量が70~95v/v%であることを特徴とする加熱蒸散用水性薬剤。
  2. 前記グリコール系溶剤が、1,3-ブチレングリコール骨格を有する溶剤であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱蒸散用水性薬剤。
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