JP6034658B2 - 衣類害虫防除方法 - Google Patents
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なお、上記において空中に噴霧された処理薬剤粒子は、(A)気中に浮遊残存するか、(B)床や壁に付着するか、(C)Bの後に再揮散するか、もしくは(D)光等によって分解し消失する、のいずれかの挙動を辿ると考えられる。特許文献1のエアゾール殺虫剤は、処理薬剤粒子の(B)の比率を下げ、(A)の比率を高めようとするものである。
(1)30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgであるピレスロイド系防虫成分及び沸点が200℃以上の芳香成分を含有するエアゾール原液と液化ガスとからなるエアゾール組成物を、定量噴霧機能を備えたエアゾールバルブを通して0.2〜1.0mLの範囲にある一定量を衣類の収納空間に噴霧処理する衣類害虫防除方法であって、噴射距離20cmにおける噴射力を3〜15gf/25℃とし、かつ、噴霧粒子の平均粒子径が17〜30μmであり、かつ前記芳香成分の匂いの持続期限を、前記ピレスロイド系防虫成分の有効期限に概略合致させた衣類害虫防除方法。
(2)前記エアゾール原液が、更に防黴成分を含有する(1)に記載の衣類害虫防除方法。
(3)0.35〜0.9mLの範囲にある一定量を衣類の収納空間に噴霧処理する(1)又は(2)に記載の衣類害虫防除方法。
(4)前記衣類の収納空間が、クローゼットである(1)ないし(3)のいずれか1に記載の衣類害虫防除方法。
ピレスロイド系防虫成分としては、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリン、フラメトリン、フタルスリン、レスメトリン、フェノトリン、ぺルメトリン、シフェノトリン、アレスリン、プラレトリン、イミプロトリン、エトフェンプロックス等があげられ、好ましくは、30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgで常温揮散性を有する、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリン、フラメトリン等を例示できる。なかんずく、蒸気圧や安定性、基礎殺虫効力等を考慮すると、メトフルトリン、プロフルトリン及びトランスフルトリンが好ましい。
30℃における蒸気圧が1×10−2mmHgを超えると揮散性が高すぎ、一方、2×10−4mmHg未満の場合は、殺虫薬剤粒子を気中に十分残留させることが困難となる場合が生ずるので好ましくない。
なお、ピレスロイド系殺虫成分の酸成分やアルコール部分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
沸点が200℃以上の芳香成分としては、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、o−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−tert−ペンチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート、フェニルエチルアセテート、スチラリルアセテート、アニシルアセテート、シンナミルアセテート、テルピニルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、リナリルアセテート、エチルリナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルイソブチルオキシアセテート、アリルn−アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、アリルフェノキシアセテート、テルピネオール、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、ボルネオール、メントール、シトロネロール、ネロール、リナロール、エチルリナロール、チモール、オイゲノール、及びp−メンタン−3,8−ジオール等があげられる。
その具体的代表例(20℃における蒸気圧を併記)としては、プロピレングリコール(10.7Pa)、ジプロピレングリコール(1.3Pa)、トリプロピレングリコール(0.67Pa)、ジエチレングリコール(3Pa)、トリエチレングリコール(1Pa)、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール(6.7Pa)、ベンジルグリコール(2.7Pa)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(3Pa)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルがあげられ、なかんずく、ジプロピレングリコールが好適である。
しかも芳香成分が揮散して醸し出す芳香は、香りの付与と共に防虫効果の表示機能ともなり、芳香の消失までをエアゾール剤の使用による防虫効果の有効期間と見なせるので、使用者にとって分かり易いというメリットがある。
なお、エアゾール原液中のピレスロイド系殺虫成分含有量が1.0w/v%未満であると所望の防虫効果が得られないし、一方、30w/v%を超えるとエアゾール組成物の液性安定化の点で困難を伴う。芳香成分についても同様である。
また、溶剤としても、炭素数が2〜3の低級アルコールに加え、例えば、n−パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素系溶剤、炭素数3〜6のグリコールエーテル類、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等を適宜添加可能である。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどがあげられ、なかでも、エーテル類が適している。
また、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分を配合して、リラックス効果を付与することもできる。
このために、本発明で用いるエアゾール剤は、噴射距離20cmにおける噴射力を3〜15gf/25℃とし、かつ、噴霧粒子の平均粒子径が5〜30μmであることを必須とする。
即ち、衣類害虫は通常衣類の陰に潜んでいるのであるが、クローゼット等のような密閉小空間で天井に向けて噴射された噴霧粒子が、気中に浮遊残存しつつ衣類の隙間に入り込むための最適な噴射力と噴霧粒子の平均粒子径を見出し、本発明を完成させたのである。
本発明者らの試験結果によれば、噴射力が3gf/25℃未満、もしくは15gf/25℃を超えると壁や衣類に付着する噴霧粒子の割合が増加する。この傾向は、噴霧粒子の平均粒子径が、5μm未満、もしくは30μmを超えても同様である。
なお、本発明が適用される密閉小空間では、噴霧直後において気中に浮遊残存する噴霧粒子の割合が高い方が好ましい。但し、30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgである常温揮散性のピレスロイド系防虫成分は、その噴霧粒子が壁や衣類に付着してもその一部は再揮散し、防虫効果の発現に寄与しうるので本発明に適していると言える。
エアゾール原液/液化ガス比率が10/90より小さく液化ガスが多すぎると、噴霧粒子が必要以上に微細となるし、一方、50/50を超えると、逆に噴霧粒子が速やかに沈降する傾向があるので好ましくない。
例えば、PET樹脂容器のような透明容器を使用することにより内容物の残量を目視可能にすることもできるし、一方、上から押して噴霧するボタンと斜め上方向きのノズルを備えた卓上タイプとしたり、小型容器の携帯用として設計することもできる。
本発明において気中に噴霧されるピレスロイド系防虫成分量は、0.5〜50mg/m3程度が適当であり、1回の施用でその処理空間をおよそ1〜4週間にわたり衣類害虫に対して防除可能な雰囲気を提供する。しかも芳香の消失をもって、エアゾール剤の使用による防虫効果の有効期限を明瞭に認識できるので、本発明のメリットは極めて大きい。
このエアゾール剤を一定量(0.4mL)噴霧した時、噴射距離20cmにおける噴射力は6.5gfで、平均噴霧粒子径は14μmであった。
(1)3m3のクローゼットでのコイガに対する防虫効果
実施例1と同様、10着の衣類を吊下げ収納した約3m3のクローゼット内で、天井に向けて各エアゾール剤を2回噴霧した。供試虫としては、直径5cmの球型網カゴの中にウール布とコイガ30日令幼虫10匹、又は卵20匹を入れたものを用い、噴霧から所定期間経過後、これら供試虫を衣類の間に置いた。コイガ幼虫は7日間放置し、その間に仰転もしくは致死した虫数を数え、ノックダウン率(KD率)を求めた。一方、卵については、10日間放置後の孵化虫数を数え、孵化抑制率を算出した。
これに対し、比較例1や比較例2のように、噴霧粒子の平均粒子径が所定の範囲を外れたり、また比較例3の如く、噴射力が3gf/25℃に達しない場合は、防虫効果が低かった。更に、沸点が200℃未満の芳香成分等を含有させた比較例4については、芳香が数日で消失してしまうため防虫効果の期限と合致せず、本発明の趣旨に適合しなかった。
Claims (4)
- 30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgであるピレスロイド系防虫成分及び沸点が200℃以上の芳香成分を含有するエアゾール原液と液化ガスとからなるエアゾール組成物を、定量噴霧機能を備えたエアゾールバルブを通して0.2〜1.0mLの範囲にある一定量を衣類の収納空間に噴霧処理する衣類害虫防除方法であって、噴射距離20cmにおける噴射力を3〜15gf/25℃とし、かつ、噴霧粒子の平均粒子径が17〜30μmであり、かつ前記芳香成分の匂いの持続期限を、前記ピレスロイド系防虫成分の有効期限に概略合致させたことを特徴とする衣類害虫防除方法。
- 前記エアゾール原液が、更に防黴成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の衣類害虫防除方法。
- 0.35〜0.9mLの範囲にある一定量を衣類の収納空間に噴霧処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の衣類害虫防除方法。
- 前記衣類の収納空間が、クローゼットであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の衣類害虫防除方法。
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