JPWO2016199675A1 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
[I]フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)それぞれにおける、150℃から50℃の降温時の寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、かつ面配向係数(fn)が0.111以上0.145以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
[II]フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)それぞれにおける、150℃から50℃の降温時の寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、かつ、フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)それぞれにおける130℃30分間での熱収縮率がそれぞれ1.0%以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]面配向係数(fn)が0.120以上0.140以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)と、およびフィルム幅方向から45°をなす方向の130℃30分間での熱収縮率をそれぞれの方向で比較したとき、それらの差の絶対値がいずれも0%以上0.5%以下であり、かつそれらの平均値が0.5%以下であり、
かつ、フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)と、およびフィルム幅方向から45°をなす方向の150℃から50℃の降温時の寸法変化率をそれぞれの方向で比較したとき、それらの差の絶対値がいずれも0ppm/℃以上10ppm/℃以下である、[I]〜[III]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。[V]前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の結晶融解熱量が30J/g以下である[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VI]前記ポリエステルフィルムが、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、フィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の結晶融解熱量(ΔHmA)がいずれも30J/g以上であり、フィルムの両側の表層以外の層を構成するポリエステル樹脂の結晶融解熱量(ΔHmB)が30J/g以下であることを特徴とする[I]〜[V]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VII]フィルムの両側の表層以外の層を構成するポリエステル樹脂が、テレフタル酸とエチレングリコールを主たる構成成分とする樹脂であって、それ以外の構成単位としてイソフタル酸、シクロヘキシレンジメタノールのうちいずれか1種類のみ、または2種類のみを含有する[VI]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VIII]前記ポリエステルフィルムが、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、フィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の融点TmAがいずれも250℃以上280℃以下であることを特徴とする[I]〜[V]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IX]ポリエステルフィルムの両側の表層の厚みの和と、表層以外の層の厚みの和の比(両側の表層の厚みの和/表層以外の層の厚みの和)が、1/9〜1/2である[IV]〜[VIII]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[X]非晶性樹脂からなるフィルムに貼り合わせる用途に用いられる[I]〜[IX]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XI]シクロオレフィンポリマー(COP)からなるフィルムに貼り合わせる用途に用いられる[I]〜[IX]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XII]シクロオレフィンポリマー(COP)からなるフィルムを保護する用途に用いられる[I]〜[XI]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明のポリエステルフィルムは、機械特性の観点から、二軸配向ポリエステルフィルムであることが必要である。ここでいうポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。本発明のポリエステルフィルムは、機械特性の観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートの共重合体からなることが好ましい。
(1)溶融したポリエステルを口金から吐出して未延伸シートを作製する際に、表面温度10℃以上40℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
(2)(1)で得られた未延伸シートを、下記(i)式を満たす温度T1n(℃)にて、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(TD)に面積倍率8.5倍以上16.0倍以下に二軸延伸する。
(i)Tg(℃)≦T1n(℃)≦Tg+40(℃)
Tg:ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度(℃)
(3)(2)で得られた二軸延伸フィルムを、下記(ii)式を満足する温度(Th0(℃))で、1秒間以上30秒間以下の熱固定処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却することによって、ポリエステルフィルムを得る。
(ii)Tm−60(℃)≦Th0(℃)≦Tm−20(℃)
Tm:フィルムを構成する樹脂の融点(℃)
(1)を満たす条件によって未延伸シートを得ることにより実質的に非晶のポリエステルフィルムを得ることができ、(2)以降の工程においてフィルムに配向を付与せしめ易くし、機械特性に良好なフィルムを得やすくすることができる。
(2)を満たす条件によって二軸延伸フィルムを得ることにより、フィルムに適度な配向を付与せしめ、機械特性の良好なフィルムとすることができる。
(3)を満たす条件によって結晶配向を完了させることにより、配向が形成されたポリエステル分子鎖の構造が安定し、機械特性、熱収縮率が良好なフィルムとすることができる。
この構成をとる場合、両側の表層を構成する樹脂の配向性を高めるため、延伸温度は以下(iii)式を満たすことが好ましい。
(iii)TgA(℃)≦T1n(℃)≦TgA+40(℃)
TgAは、フィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度をあらわす。なお、本発明のポリエステルフィルムの両側の表層が異なる組成のポリエステル樹脂からなるフィルムである場合(例えば、A/B/C)、両側の表層を構成するポリエステル樹脂のTgのうち、高い方の温度が(iii)式を満たすことが好ましい。
さらに、本発明のポリエステルフィルムが、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムである場合、フィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の融点TmAがいずれも250℃以上280℃以下とすることも好ましい実施形態である。
(iv)120℃≦Th1(℃)≦Th0(熱固定温度)(℃)
Th1(℃)がTh0(熱固定温度)(℃)を超える場合、(4)の工程において、(3)の工程で固定化されたフィルム内の分子鎖の構造が破壊される結果、フィルムが大きく収縮することとなり、平面性が悪化する場合がある。一方、Th1(℃)が120℃を下回る場合、130℃での熱収縮率を好ましい範囲とすることができない場合がある。
A.フィルム、各層を構成する樹脂の融点(Tm、TmA、TmB)(℃)
試料を、JIS K 7121(1999)に基づいた方法により、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mgずつ秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、吸熱ピークである結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を求め、これを融点(℃)とする。2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最もピーク面積の大きいピークトップの温度を融点とする。
積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂の融点を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
試料を、JIS K 7121(1999)に基づいた方法により、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mgずつ秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、吸熱ピークのピーク面積を求め、結晶融解熱量とする。2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最も温度が高いピークの面積を結晶融解熱量とし、2以上のピークを分離できない場合は2つのピークを合わせてピーク面積を求める。
積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂の結晶融解熱量を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
JIS K 7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
積層ポリエステルフィルムの最表層を構成する樹脂のガラス転移温度を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて最表層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
JIS K 7105(1999)に準じて、アタゴ(株)製アッベ式屈折率計を用いて20℃での屈折率を求める。フィルムの表面の長手方向屈折率(Nmd),幅方向屈折率(Nd),厚み方向屈折率(Nz)を測定し、面配向係数(fn)を算出する。測定は、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(v)fn=(Nmd+Ntd)/2−Nz
E.フィルムの熱収縮率(%)
JIS C 2318(1997)に準じて、フィルムの熱収縮率を測定する。フィルムを幅10mm、長さ150mmの短冊状に切り出す。測長部分がおおよそ100mmになるようにフィルムに標線をつけて標線の長さを23℃の条件下にて測定し、L0とする。その後、所定の温度(200℃または220℃)に熱した熱風オーブン内に2gのおもりをつけてフィルムを吊し、30分間放置する。フィルムをオーブンから取りだして23℃まで冷却した後、標線の長さを測定し、L1とする。下記(vi)式によりフィルムの収縮率を求める。測定は、フィルム長手方向またはフィルム幅方向が150mmの長さになるようにランダムに5箇所切り出して測定する。長手方向、幅方向それぞれに平均値を算出し、フィルムの熱収縮率とする。
(vi)(フィルム熱収縮率)=(L0−L1)/L0×100
F.フィルムの厚み(μm)
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
フィルムが積層フィルムである場合、下記の方法にて、各層の厚みを求めた。フィルム断面を、フィルム幅方向に平行な方向にミクロトームで切り出す。該断面を走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で観察し、積層各層の厚み比率を求める。求めた積層比率と上記したフィルム厚みから、各層の厚みを算出する。
製膜中にフィルムが1時間に破れる回数を数え、1回未満であるものをA、1回以上5回未満であるものをB、5回以上であるものをCとして評価する。Aが最も製膜性がよく、Cが最も劣る。
JIS K7197(1991)に準じて、熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mmとして、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷する。室温から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持し、その後、20℃まで10℃/分で降温させ、各温度(℃)における試料の寸法の値を得る。150℃における試料の寸法L(150℃)(mm)と、50℃における試料の寸法L(50℃)(mm)から、下記(vii)式から算出する。なお、寸法変化率は、フィルム幅方向(TD)およびそれに直交する方向(MD)それぞれについて、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(vii)寸法変化率(ppm/℃)=106×(L(150℃)−L(50℃)))/{20×(150−50)}
J.Δヘイズ(100℃12hr処理前後でのヘイズ変化量)(%)
フィルムを1辺10cmの正方形状に切り出し、日本電色(株)製ヘイズメーターNDH−5000を用い、ランダムに3カ所のヘイズを測定して平均値を算出し、試験前のヘイズH0(%)とする。該サンプルを23℃65%RHに保たれた部屋に静置したタバイエスペック(株)製オーブンにて、試料の4辺を固定して100℃10%RH以下の乾熱条件下12時間熱処理する。熱処理した後のフィルムのヘイズを同様に測定し、H1(%)を求める。Δヘイズ(ΔH)を下記式(viii)により求める。
(viii)Δヘイズ(%)=H1−H0
Δヘイズの値で、以下のように判定する。
A;Δヘイズ1.5%以下
B;Δヘイズ1.5%を超えて2.0%以下
C;Δヘイズ2.0%を超える
Aが最も優れ、Cが最も劣る。
加工性は、フィルムの幅方向(TD)およびそれに直角をなす方向(MD)それぞれの方向の破断伸度(%)をn5にて求め、それらの平均値で以下のように判定する。
A;破断伸度120%以上
B;破断伸度105%以上120%未満
C;破断伸度90%以上105%未満
D;破断伸度75%以上90%未満
E;破断伸度75%未満
Aが最も優れ、Eが最も劣る。
L.COPフィルムとの貼り合わせ評価
本発明のフィルムを20cm×20cmの大きさに切り出し、COPフィルムと貼り合わせて積層体を作成した後、120℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却した。その後、本発明のフィルムとCOPフィルムを貼り合わせた積層体の、3cm以上の長さを持つシワの数を計測し、以下のように判定する。評価はn=5で実施し、それらの平均値で評価を行った。
4本以上10本未満;A
10本以上16本未満;B
16本以上;C
Sが最も優れ、Cが最も劣る。
COPフィルムとして、日本ゼオン社製“ゼオノアZF14”、厚み40μmのフィルムを用いる。貼り合わせには、粘着剤として東レコーテックス社製“レオコート”R5000を、粘着剤含有量が15%となるように調整したトルエン溶液に、該トルエン溶液100質量部に対して、東レコーテックス社製架橋剤“コロネートL”を3質量部添加したものを、乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布したものを用いる。
L.項で作製した積層体を、120℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却し、1時間放置した。その後、フィルムを水平な面の上に、COPフィルムが上側となるように置き、積層体の4隅の水平な面からの浮きの量を測定し、平均値を求め、カール量(mm)として以下のように判定する。上述の方法で水平な面から積層体の4隅が浮かない場合、カール量は0mmとする。
10mm以上25mm未満;B
25mm以上40mm未満;C
40mm以上55mm未満;D
55mm以上;E。
[PET−1の製造]テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、溶融重合PETを得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は80℃、融点は255℃、固有粘度は0.62であった。
[PET−2の製造]PET−1を常法により固相重合せしめ、PET−Aを得た。得られたPET−Aのガラス転移温度は82℃、融点は255℃、固有粘度は0.85であった。
[PET−Aの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して7mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は77℃、融点は243℃、固有粘度は0.62であった。
[PET−Bの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して10mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は76℃、融点は235℃、固有粘度は0.62であった。
[PET−Cの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して15mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は74℃、融点は230℃、固有粘度は0.62であった。
[PET−Dの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して20mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は73℃、融点は220℃、固有粘度は0.62であった。
[PET−Eの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジガルボン酸成分全量に対して25mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は70℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.62であった。[PET−Fの製造]テレフタル酸、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、シクロヘキサンジメタノール共重合量がジオール成分全量に対して10mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は72℃、融点は235℃、固有粘度は0.62であった。
[PET−Gの製造]テレフタル酸、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、シクロヘキサンジメタノール共重合量がジオール成分全量に対して20mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は70℃、融点は221℃、固有粘度は0.62であった。
PET−Aを、160℃で2時間真空乾燥した後押出機に投入し、押出機内で溶融させ、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で幅方向に直角な方向(MD方向)に3.1倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃の温度の加熱ゾーンでフィルム幅方向(TD方向)に3.6倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで210℃の温度で10秒間の熱固定を施した。熱固定の工程において、フィルム幅方向に2%のリラックス処理を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表に示す。寸法変化率はMD方向、TD方向いずれも50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、COPとの貼り合わせに優れるフィルムであった。また、加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。
フィルムを構成する樹脂を表の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表に示す。実施例2から5では、fn、寸法変化率が好適な範囲にあり、加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。比較例1では、樹脂の結晶性が高くΔHmが大きい結果、フィルムのfnが大きくなり、寸法変化率が小さいフィルムであった。比較例2では、ΔHmが観察されないほど樹脂の結晶性が低いため、fnが小さくなり、寸法変化率が小さいフィルムであり、COPとの貼り合わせに劣るフィルムであった。さらに、fnが小さいため加工性に劣り、加熱によるヘイズ変化も大きいフィルムであった。
A/B/Aの3層構成とし、表層を構成する樹脂として、PET−2を100質量部とし、160℃で2時間真空乾燥した後押出機1に投入した。また、内層を構成する樹脂としてPET−A100質量部を160℃で2時間真空乾燥した後、押出機2に投入した。押出機内でそれぞれの原料を溶融させ、合流装置で押出機1に投入した樹脂がフィルムの両表層となるように合流させ、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、3層構造をもつ積層シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.1倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.6倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで210℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、積層ポリエステルフィルムを得た。フィルムの各特性を表に示す。寸法変化率はMD方向、TD方向いずれも50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、COPとの貼り合わせに優れるフィルムであった。また、加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。表層にPET−2を用いることで、より加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムとすることができることがわかった。
樹脂の組成、製膜条件を表の通りに変えた以外は、実施例6と同様に製膜を行った。フィルムの特性を表に示す。寸法変化率はMD方向、TD方向いずれも50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、COPとの貼り合わせに優れるフィルムであった。また、加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。
実施例22では実施例6で得られたフィルム、実施例23では実施例7で得られたフィルム、実施例24では実施例8で得られたフィルムをそれぞれ用い、それぞれ得られたフィルムをフィルム巻きだしロールとフィルム巻き取りロールの間に設置された熱風オーブンにて、140℃の温度にて、フィルムが熱処理される時間が5分となるようにアニール処理を施し、厚み125μmのフィルムを得た。フィルムの各特性を表に示す。寸法変化率はMD方向、TD方向いずれも50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、130℃30分間の熱収縮率も小さいフィルムであり、COPとの貼り合わせに特に優れるフィルムであった。また、加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。また、MD方向、TD方向、45°方向の熱収縮率平均値が0.5%以下、それぞれの熱収縮率の差の絶対値も0.5%以下、それぞれの方向の寸法変化率の差の絶対値も10以下であり、COPとの積層体のカール性も良好であった。
樹脂の組成、製膜条件を表の通りに変えた以外は、実施例6と同様に製膜を行った。フィルムの特性を表に示す。比較例3、7では、樹脂の結晶性が高くΔHmBが大きい結果、フィルムのfnが高くなり、寸法変化率も小さいフィルムであった。比較例4では、ΔHmが観察されないほど結晶性が低くいため、fnが小さくなり、寸法変化率が小さいフィルムであった。さらに、fnが小さいため加工性に劣り、加熱によるヘイズ変化も大きいフィルムであった。比較例5、6では、製膜中の熱処理温度が高く、フィルムの配向が乱される結果fnが極端に低くなり、破断伸度が低下して加工性に劣るだけでなく、加熱によるΔヘイズの大きいフィルムであった。
樹脂の組成、製膜条件を表の通りに変えた以外は、実施例6と同様に製膜を行った。フィルム特性を表に示す。寸法変化率はMD方向、TD方向いずれも50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、COPとの貼り合わせに優れるフィルムであった。また、加工性に優れ、加熱によるヘイズ変化も小さいフィルムであった。
実施例25は実施例2のフィルムを、実施例27は実施例26のフィルムを、実施例28は実施例9のフィルムを、実施例29は実施例11のフィルムを、実施例30は実施例12のフィルムを、実施例31は実施例14のフィルムを、実施例32は実施例15のフィルムを、実施例33は実施例16のフィルムを、実施例34は実施例18のフィルムを、実施例35は実施例19のフィルムを、実施例36のフィルムは実施例20のフィルムを用い、それぞれ得られたフィルムをフィルム巻きだしロールとフィルム巻き取りロールの間に設置された熱風オーブンにて、140℃の温度にて、フィルムが熱処理される時間が5分となるようにアニール処理を施した。
Claims (11)
- フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)それぞれにおける、150℃から50℃の降温時の寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、かつ面配向係数(fn)が0.111以上0.145以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)それぞれにおける、150℃から50℃の降温時の寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上130ppm/℃以下であり、かつ、フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)それぞれにおける130℃30分間での熱収縮率がそれぞれ1.0%以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
- 面配向係数(fn)が0.120以上0.140以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)と、およびフィルム幅方向から45°をなす方向の130℃30分間での熱収縮率をそれぞれの方向で比較したとき、それらの差の絶対値がいずれも0%以上0.5%以下であり、かつそれらの平均値が0.5%以下であり、
かつ、フィルム幅方向(TD方向)と、それと直角をなす方向(MD方向)と、およびフィルム幅方向から45°をなす方向の150℃から50℃の降温時の寸法変化率をそれぞれの方向で比較したとき、それらの差の絶対値がいずれも0ppm/℃以上10ppm/℃以下である、請求項1から3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。 - 前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の結晶融解熱量が30J/g以下である請求項1から4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムが、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、フィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の結晶融解熱量(ΔHmA)がいずれも30J/g以上であり、フィルムの両側の表層以外の層を構成するポリエステル樹脂の結晶融解熱量(ΔHmB)が30J/g以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルムの両側の表層以外の層を構成するポリエステル樹脂が、テレフタル酸とエチレングリコールを主たる構成成分とする樹脂であって、それ以外の構成単位としてイソフタル酸、シクロヘキシレンジメタノールのうちいずれか1種類のみ、または2種類のみを含有する請求項6に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムが、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、フィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂の融点TmAがいずれも250℃以上280℃以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムの両側の表層の厚みの和と、表層以外の層の厚みの和の比(両側の表層の厚みの和/表層以外の層の厚みの和)が、1/9〜1/2である請求項6から8のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 非晶性樹脂からなるフィルムに貼り合わせる用途に用いられる1から9のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- シクロオレフィンポリマー(COP)からなるフィルムに貼り合わせる用途に用いられる請求項1から10のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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