JP2006192829A - 積層フィルムおよびタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】耐貫通性、飛散防止性、高温加工特性の積層フィルムを提供すること。
【解決手段】少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層からなり、厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、長手方向および幅方向の引裂強度が130N/mm以上600N/mm以下であり、150℃雰囲気下で30分間放置した後の長手方向および幅方向の熱収縮率が2.5%以下であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層からなり、厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、長手方向および幅方向の引裂強度が130N/mm以上600N/mm以下であり、150℃雰囲気下で30分間放置した後の長手方向および幅方向の熱収縮率が2.5%以下であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、積層フィルムに関するものである。特にタッチパネルとして好適に使用できる積層フィルムおよびタッチパネルに関するものである。
従来から、フィルムの引裂強度を向上させるには、一般に柔軟性を付与することが必要であると考えられている。例えばポリブチレンテレフタレートにポリテトラメチレングリコール等の長鎖ポリエーテルを共重合した樹脂や、ポリエチレンテレフタレートに1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびポリテトラメチレングリコール等の長鎖ポリエーテルを共重合した樹脂、可塑剤を添加して柔軟化したポリ塩化ビニル系フィルム等は非常に高い引裂強度を有している。その反面、フィルムの引張強度と引裂強度は相反したものであり、上述に示す樹脂は、引張強度や耐熱性は総じて低い。そこで、両者の特性を満たすものとして、ポリエチレンテレフタレートに特定のポリエステルを繰り返し積層することにより、引張強度と耐熱性を維持したまま、引裂強度を飛躍的に向上させる方法が知られている。そのポリエステルとは、例えば、セバシン酸を共重合したポリエチレンテレフタレート(特許文献1参照)、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシアルコキシフェニル)プロパンを共重合したポリエチレンテレフタレート(特許文献2参照)、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエチレンテレフタレート(特許文献3参照)が提案されている。
しかし、特許文献1のフィルムは、多層積層フィルムを構成する延性な層が、次第に結晶化が生じ白化することにより視認性を損なうことから、透明性を必要とする分野には使用できないといった問題を生じていた。
また、特許文献2や特許文献3のフィルムは透明性は高いものの、高引裂強度と低熱収縮性を両立できないといった問題があった。それは、高温時の熱収縮を低減するには、一般に延伸後に高温熱処理を行ってフィルムの配向を緩和する必要があるが、フィルムの面配向が進んで劈開しやすくなり、引裂強度が低下することに起因している。しかしながら、一般に建築用ガラスや各種フラットパネルディスプレイ用のフィルムは、ハードコート層や粘着層の塗布加工が必要であり、その高温乾燥で急激な収縮に起因した問題が発生していた。最近では製造工程の高速化に伴い、乾燥工程における乾燥温度をより高くする傾向にあり、寸法変化やカールといった熱収縮率に関する問題は重要である。
また、近年、タッチパネルは、操作の簡便性から各種情報機器端末のディスプレイ入力デバイスとして広範囲に用いられている。タッチパネルには、例えば、極薄ガラス(下
側面状部材)と可動性の透明樹脂フィルム(上側面状部材)の各対向面に透明電極層が形成され、さらに双方の面状部材を絶縁スペーサーを介して一定の間隔で対向配置して構成されており、押圧入力を電気的に感知する抵抗膜式などがある。そのタッチパネル用部材の透明樹脂基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムまたはシートが広く用いられている(特許文献4、5参照)。
側面状部材)と可動性の透明樹脂フィルム(上側面状部材)の各対向面に透明電極層が形成され、さらに双方の面状部材を絶縁スペーサーを介して一定の間隔で対向配置して構成されており、押圧入力を電気的に感知する抵抗膜式などがある。そのタッチパネル用部材の透明樹脂基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムまたはシートが広く用いられている(特許文献4、5参照)。
しかしながら、PETフィルムは、透明性に優れるが、特に、ペン入力用タッチパネルに透明導電性フィルムを用いた場合、スペーサーを介して対向させた一対の導電性薄膜同士が、ペン入力による押圧で強く接触するため、何度も繰り返し使用することにより薄膜にクラックや剥離がより生じやすくなり、抵抗値が変化して、ペン入力に対する応答性が著しく低下する問題があった(特許文献6参照)。また、タッチパネル等の透明電極として透明導電性フィルムを使用する場合、回路加工等の印刷工程で100〜150℃の加熱が必要である。ポリエステルフィルムの場合、加熱によりフィルム表面にオリゴマーが析出し、透明導電性薄膜の表面抵抗率が上昇してしまうとともに透明性を損なうことから、改善が望まれていた。
特開平6−1990997号公報(第2頁)
特開平11−115135号公報(第2頁)
特開2003−205588号公報(第2頁)
特開2001−34418号公報(第2頁)
特開2001−243016号公報(第2頁)
特開2001−316378号公報(第2頁)
本発明は上記従来の問題を解決することを目的とし、優れた耐貫通性、飛散防止、高温加工特性を達成することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の積層フィルムは以下の構成からなる。すなわち、少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層からなり、厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、長手方向および幅方向の引裂強度が130N/mm以上600N/mm以下であり、150℃雰囲気下で30分間放置した後の長手方向および幅方向の熱収縮率が2.5%以下であることを特徴とする積層フィルムである。
本発明の積層フィルムは、少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層からなり、厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、長手方向および幅方向の引裂強度が130N/mm以上600N/mm以下であり、150℃雰囲気下で30分間放置した後の長手方向および幅方向の熱収縮率が2.5%以下であるので、優れた耐貫通性、飛散防止、高温加工特性を両立することができるものである。これにより、フィルムにハードコート層や粘着層などの塗布加工を行った後の乾燥工程において、寸法変化に基づいた問題を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層からなり、厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、長手方向および幅方向の引裂強度が130N/mm以上600N/mm以下であり、150℃雰囲気下で30分間放置した後の長手方向および幅方向の熱収縮率が2.5%以下でなければならない。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸誘導体とジオール誘導体との重縮合体であるポリエステル樹脂をさす。ジカルボン酸誘導体としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸などが挙げられ、またそれらをエステル化したものなどが挙げられる。また、ジオール誘導体としては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。本発明で用いるポリエステル樹脂の少なくとも一つが、引張強度と耐熱性に優れているものが好ましく、例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレートは、安価でありながらも強度と耐熱性に優れることから好ましい。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、2種類以上のブレンド体であってもよい。また、これらのポリエステル樹脂の中に、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などが、本発明の特性を損なわない範囲で添加されていてもよい。
ここで厚み方向に5層以上積層されたフィルムとは、異なる層が一定の規則性をもって5層以上積層されているフィルム状構造体のことであり、これらのポリエステル樹脂からなる各層は、連続した層状構造としてフィルム表面にほぼ平行に存在しているものである。このように特定のポリエステル樹脂が交互に積層されている場合、破壊時に積層界面で剥離が生じて剪断変形し、引裂エネルギーを非常に高めることが可能となる。層数が5層より少ない場合、上述の耐引裂性が発現せず、十分な飛散防止性能・耐貫通性能を得ることができない。また、層数は下記式(1)を満たしていることが好ましい。
150D≦C≦500D (1)
[C:層数 D:フィルム厚み(mm)]
層数が(1)式の値より少ない場合、界面剥離による応力分散の効果が少なく好ましくない。また、層数が(1)式の値より多い場合、今度は界面剥離が生じなくなって耐引裂性が発現しなくなるため、好ましくない。
[C:層数 D:フィルム厚み(mm)]
層数が(1)式の値より少ない場合、界面剥離による応力分散の効果が少なく好ましくない。また、層数が(1)式の値より多い場合、今度は界面剥離が生じなくなって耐引裂性が発現しなくなるため、好ましくない。
本発明の積層フィルムは、長手方向および幅方向の引裂強度が130N/mm以上600N/mm以下であり、150℃雰囲気下で30分間放置した後の長手方向および幅方向の熱収縮率が2.5%以下でなければならない。引裂強度が130N/mmより低い場合、フィルムをガラスに貼った場合の耐貫通性能が不十分であり、600N/mmより大きい場合、引き裂きが伝播せずにフィルムが破壊してしまうため、エネルギーが消費されず、好ましくない。
また、熱収縮率が2.5%より大きい場合、フィルムを高温処理したときにフィルムの収縮歪みをハードコート層や粘着剤が抑えきれず、カールや剥がれが発生する。この両者の物性は、一般的な二軸配向ポリエステルフィルム成形方法である通常の逐次2軸延伸法においては、前述した理由により達成させることが困難である。本発明で開示する方法などを用いて、引裂強度を130N/mm以上600N/mm以下および熱収縮率を2.5%以下にすることにより、優れた耐貫通性と高温加工性を有するフィルムとなる。この長手方向および幅方向の引裂強度のより好ましい範囲は、150N/mm以上600N/mm以下、さらに好ましい範囲は170N/mm以上600N/mm以下である。150℃雰囲気における長手方向および幅方向の熱収縮率のより好ましい値は1.5%以下、さらに好ましい値は1.2%以下である。
また、本発明の積層フィルムでは、100℃雰囲気下で30分間放置した後のヘイズが3%以下であることが好ましい。より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2%以下である。ヘイズが3%より大きい場合には、視認性が低下するため好ましくない。ヘイズを3%以下にするためには、ポリエステルの結晶化温度が70℃以上であることが好ましい。このような場合には、経時での白化がないため、ヘイズの増加がおきにくい。また、ヘイズを2%以下にする方法としては、上記ポリエステルを使用するとともに、積層フィルム中の粒子濃度を0.02質量%以下にすることが好ましい。また、ここでいう粒子とは、フィルムの巻き特性の確保のための粒子であり、平均粒径としては、0.02μm以上3.0μm以下であることが好ましい。この粒子濃度が低すぎると、巻き特性を損なうことから、この粒子がフィルムの極表層に集中していることが好ましい。
また、本発明で用いるポリエステル樹脂の少なくとも一種が、ジカルボン酸成分として脂肪酸を含有しており、その脂肪酸誘導体の酸成分中における脂肪酸二量体の含有量が70質量%以上、かつ脂肪酸三量体の含有量が30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは脂肪酸二量体の含有量が80質量%以上、かつ脂肪酸三量体の含有量が20質量%以下であることである。ポリエステルを構成する脂肪酸誘導体として、一般に下記式で示される炭素数10〜30の高級不飽和脂肪酸が好ましく、二量体とはこの二量化により得られる二量化脂肪酸のことを示している。
CH3(CH2)m(CH=CH−CH2)k(CH2)nCOOR (式1)
(式中のRは、水素原子またはアルキル基、mは1〜25の整数、kは1〜5の整数、nは0〜25の整数)
この不飽和脂肪酸の二量化反応においては、二量体とともに三量体も生成するので、二量化反応により得られる脂肪酸誘導体中には二量体、三量体及び単量体が含まれている。脂肪酸二量体の含有量が70質量%以下であった場合、引裂強度と低熱収縮性の両立が達成できない。また、三量体の含有量が30質量%を超えるとポリエステルの架橋度が増加し、重合度、機械強度が低下しやすい。
(式中のRは、水素原子またはアルキル基、mは1〜25の整数、kは1〜5の整数、nは0〜25の整数)
この不飽和脂肪酸の二量化反応においては、二量体とともに三量体も生成するので、二量化反応により得られる脂肪酸誘導体中には二量体、三量体及び単量体が含まれている。脂肪酸二量体の含有量が70質量%以下であった場合、引裂強度と低熱収縮性の両立が達成できない。また、三量体の含有量が30質量%を超えるとポリエステルの架橋度が増加し、重合度、機械強度が低下しやすい。
本発明の脂肪酸もしくはその脂肪酸誘導体の酸成分中における二量体としては、炭素数36の脂肪族二量体であるダイマー酸が好ましい。これは、リノール酸やリノレイン酸等の炭素数18の不飽和脂肪族を二量化して得られたものであり、これをそのまま重合原料として使用しても良いが、耐熱性や透明性を向上させるために、水素添加反応により不飽和結合を還元して使用することがなお好ましい。例えばユニケマ・インターナショナル社から市販されている“PRIPOL”が例示される。
ダイマー酸共重合ポリエステルを多層積層することにより、高温の熱処理に対しても面配向が抑えられ、高い引裂強度を保つことができる。また、ダイマー酸の側鎖のために分子間の拘束が小さくなり、高温結晶化を抑制するとともに、ダイマー酸成分に由来する長鎖のアルキレン基がポリエステルの分子鎖中に含有されているため、末端水酸基による環状三量体の生成が低減する。そのため、高温熱処理時の表面オリゴマーの析出が抑制され、高透明な外観を得ることができるものである。
このダイマー酸成分は、全ジカルボン酸成分に対して8mol%以上30mol%以下含んでいることが好ましい。ダイマー酸成分が8mol%未満である場合、耐引裂性の発現が不十分であり、30mol%より多く含有されている場合、引張特性や熱特性が著しく低下し好ましくない。
本発明のポリエステルの溶融粘度は、280℃で1000〜3000poiseであることが好ましい。ポリエステルの溶融粘度が3000poiseを超えると、積層フィルムの表面に積層乱れによるフローマークが発生するようになり、外観を損ねるとともに引裂強度の低下が起こり好ましくない。また、1000poise未満では粘度不足により製膜が困難になることがある。
また、ダイマー酸共重合ポリエステルが、グリコール成分に1,4−ブタンジオールを50mol%以下の比率で含んでいることが好ましい。1,4−ブタンジオールが50mol%よりも多いと、結晶化速度が早くなることからヘイズが大きくなり、好ましくない。 本発明の積層フィルムは、b値が2.0以下であることが好ましい。より好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.4以下である。b値は、ポリエステルフィルムの黄味の色調を表しており、この値が大きいほどフィルムは黄味を帯びる。b値が2.0よりも大きい場合、視認性を損なうことから好ましくない。
b値を2.0以下にするためには、本発明におけるポリエステル樹脂のもう1つの構成成分であるダイマー酸が高純度であることが好ましい。式1の不飽和脂肪酸の二量化反応において、生成物には二量体だけではなく、三量体及び単量体が含まれている。さらには、長鎖脂肪酸の環化反応が生じて、脂環式脂肪酸も少量ながら含有する。これらの不純物が溶融製膜時において、酸化または架橋により着色を引き起こす原因になっている。そのため、この脂肪族ジカルボン酸は、粘土触媒による低重合体から分離及び精製によって三量体、単量体等の副生成物を除去した後に得られ、好ましい純度としては95%以上、より好ましくは99%以上のものを重合原料として使用することが好ましい。
さらには、上記ポリエステル樹脂は、酸化劣化により着色を引き起こしやすいため、特有の黄味色を持ち、さらには重合活性の高いチタン触媒以外の重合触媒を選ぶことが好ましい。また、着色防止の目的で、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、チタン化合物等の重合触媒以外に、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のMg塩、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等のCa塩、酢酸マンガン、塩化マンガン等のMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等のZn塩、塩化コバルト、酢酸コバルト等のCo塩等の金属塩を、ポリエステル樹脂に対して各々金属イオンとして300ppm以下、又リン酸またはリン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル等のリン酸エステル誘導体をリン換算でポリエステル樹脂に対して200ppm以下添加することも好ましい。
上記重合触媒以外の金属イオンの総量が生成ポリエステル樹脂に対して300ppmを越えるか、又はP量が生成ポリエステル樹脂に対して200ppmを越えるとポリマーの着色が顕著になるのみならず、ポリマーの耐熱性及び耐加水分解性も著しく低下する。
このとき、耐熱性、耐加水分解性等の点で、総P量(P)と総金属イオン量(M)とのモル原子比(P/M)は、0.4〜1.0であることが好ましい。モル原子比(P/M)が0.4未満または1.0を越える場合には、本発明で用いるポリエステル樹脂の着色、粗大粒子の発生が顕著となり、好ましくない。
また、酸化防止の目的で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を添加しても良い。これらの中でも、特にリン系酸化防止剤が、着色防止の観点から好ましい。リン酸系酸化防止剤としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、およびジアルキルビスフェノールAジホスファイトなどのリンを含む化合物である。これらの中でも、分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物の使用が好ましい。
本発明における熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、テレフタル酸、ダイマー酸、1,4−ブタンジオールを同時に又は段階的に直接エステル化するかあるいはエステル交換反応させた後、重合する方法を採用することができる。これらの重合あるいはエステル交換反応の際に、公知の各種触媒,安定剤,改質剤あるいは添加剤などを使用してもよい。
本発明の積層フィルムは、ハードコート層、紫外線吸収層を設けてもよい。これらの層としては、特に限定されず各種の従来から知られている技術等を用いることができる。これらの層を有することにより、耐傷性・耐光性を付与することができ、傷や経時劣化による視認性低下を防ぐことが可能となりより好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、抵抗膜式のタッチパネルとしても好適である。この積層フィルムは、単膜構造のポリエステルフィルムと比べると、適度な強度を保ちつつ耐屈曲性に優れるため、外部からの摺動によるクラックの発生を抑制する効果がある。そのため透明基材、もしくは中間膜として本発明の積層フィルムを使用すると、ペン入力耐久性の向上が見込まれる。また、前述したようにフィルム表面への環状オリゴマーの析出が抑制されるため、透明導電性薄膜の表面抵抗率の上昇を防ぐことも期待される。
このタッチパネルの形態は、従来知られているものを適用することができる。好ましい形態としては、上下二枚の透明基材のそれぞれの一面に、透明導電薄膜を形成し、透明導電膜側が絶縁スペーサーを介して対向するように配置する。このときの下側のパネル板基材はガラスであることが好ましく、上側パネル基材は、樹脂フィルムを用いることが好ましい。さらに上記パネル基材の上には、樹脂フィルムや粘着層などが設けられていても良く、最外層にはハートコート層が設けられている。このタッチパネルは、上部パネル板より入力ペンにて打点したときに上下の透明導電膜が接触して電気回路がONになり、そのXY座標により打点位置を特定する。この際、ペン接触側のパネル板が本発明の積層フィルムにすることにより、長期安定性が見込まれる。
本発明の表層に形成される透明導電膜は、従来知られている公知技術により形成することができ、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーディング、イオンビーム蒸着などの物理的方法や、化学気相成長法などによって薄膜として形成され、その材質として酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)等の金属酸化物や、金、銀、銅、白金、パラジウム、アルミニウム、ロジウム等の金属が用いられる。中でもITO、ATOなどが好ましく用いられる。導電膜の層厚さは、表面電気抵抗と透明性の観点から、10nm〜500nmの範囲にあることが好ましい。
次に、本発明の積層フィルムについて、好ましい製造方法を以下に説明する。ポリエステル樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂をろ過される。さらに、樹脂は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
多層フィルムを得るための方法としては、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、マルチマニホールド式ダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。特に、本発明の積層フィルムは、厚みによって最適な積層数が異なることから、フィードブロックとスタティックミキサーを組み合わせる方法が好ましい。
ダイから吐出された積層構造を有するシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。延伸温度としては、ポリエステル樹脂のガラス転移温度から+60℃の範囲にあることが好ましい。
また、こうして得られたフィルムの表面に、グラビアコーターやメタリングバー等のコーティング技術を用いて、コーティングを施すことにより、易接着層や易滑層、高光線透過率層を付与しても構わない。
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍が好ましく用いられる。延伸温度としては、ポリエステル樹脂のガラス転移温度から+60℃の範囲にあることが好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。本発明の積層フィルムでは、高い引裂強度と、低熱収縮性を両立するために、180℃以上260℃以下の温度で熱処理することが好ましい。さらに平面性と寸法安定性を付与するために、1%以上15%以下の範囲で長手方向および/または幅方向に弛緩処理をすることが好ましく、この後、室温まで冷やして巻き取られる。
こうして巻き取られたフィルムを任意の寸法にスリットした後、用途に応じてコーターを用いて粘着層やハードコート層、AR層、誘電体薄膜を設ける。このときのハードコート層の厚みは、厚すぎるとクラックが入りやすくなって耐衝撃性が低下し、薄すぎると表面硬度が十分でなく傷が付きやすくなるため、0.5〜3μmの範囲にあることが好ましい。
こうして得られたポリエステルフィルムは、単一もしくは貼り合わせ複合などにより、高耐引裂性・透明性・高温低熱収縮性を備え、建材ガラスやフラットディスプレイのガラス保護フィルムやタッチパネルの中間膜として好適に使用できる。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)引裂強度
東洋精機製デジタルエレメンドルフ引裂試験機(最大検出値:64N)を用いて、JISハンドブック(1999年度版)掲載のK7128−2(プラスチックフィルム及びシートの引裂き強さ試験方法−第2部:エレメンドルフ引裂き法)に基づいて引裂き強さ(N)を求めた。この値を、測定したフィルムの厚みで除して引裂強度(N/mm)とした。なお、この引裂強度は縦方向および横方向のそれぞれ20サンプルの試験結果を平均化したものとした。
(物性値の評価法)
(1)引裂強度
東洋精機製デジタルエレメンドルフ引裂試験機(最大検出値:64N)を用いて、JISハンドブック(1999年度版)掲載のK7128−2(プラスチックフィルム及びシートの引裂き強さ試験方法−第2部:エレメンドルフ引裂き法)に基づいて引裂き強さ(N)を求めた。この値を、測定したフィルムの厚みで除して引裂強度(N/mm)とした。なお、この引裂強度は縦方向および横方向のそれぞれ20サンプルの試験結果を平均化したものとした。
(2)熱収縮率
フィルムを、長さ150mm、幅10mmで、かつその長手方向とフィルムの長手方向とが合致するように採取し、そのサンプルを23℃、60%RH雰囲気下に30分間放置し、その雰囲気下で、フィルム長手方向に100mm間隔で2つの印を付け、リニアスケール測長機を用いて、その印の間隔を測定し、その値をAとする。次に被測定サンプルを3gの荷重をかけた状態で、150℃の熱風オーブン中に30分間保持した。このサンプルを23℃、60%RH雰囲気下に30分間放置したときの、先につけた印の間隔をBとした。このとき次式により熱収縮率を求める。
熱収縮率(%)=100×(A−B)/A
(3)ヘイズ
直読式ヘイズメーター HGM−2DP(C光源用)(スガ試験機器製作所)を用いて測定した。ヘイズ(%)は拡散透過率を全光線透過率で除し、100を乗じて算出した。なお、n数は5回とし、その平均値を採用した。なお、加熱後のヘイズは、金属製の枠に枠張りしたフィルムを、100℃の熱風オーブン中に30分間保持した後のヘイズを同様に測定した。
フィルムを、長さ150mm、幅10mmで、かつその長手方向とフィルムの長手方向とが合致するように採取し、そのサンプルを23℃、60%RH雰囲気下に30分間放置し、その雰囲気下で、フィルム長手方向に100mm間隔で2つの印を付け、リニアスケール測長機を用いて、その印の間隔を測定し、その値をAとする。次に被測定サンプルを3gの荷重をかけた状態で、150℃の熱風オーブン中に30分間保持した。このサンプルを23℃、60%RH雰囲気下に30分間放置したときの、先につけた印の間隔をBとした。このとき次式により熱収縮率を求める。
熱収縮率(%)=100×(A−B)/A
(3)ヘイズ
直読式ヘイズメーター HGM−2DP(C光源用)(スガ試験機器製作所)を用いて測定した。ヘイズ(%)は拡散透過率を全光線透過率で除し、100を乗じて算出した。なお、n数は5回とし、その平均値を採用した。なお、加熱後のヘイズは、金属製の枠に枠張りしたフィルムを、100℃の熱風オーブン中に30分間保持した後のヘイズを同様に測定した。
(4)b値
フィルムの表面色を、日本電色(株)製色調計SE2000型を用いて測定し、b値を求めた。
フィルムの表面色を、日本電色(株)製色調計SE2000型を用いて測定し、b値を求めた。
(5)ダイマー酸成分の共重合量
ポリエステルを重水素化トリフルオロ酢酸に溶解させ、NMR(日本電子社製JNM−LA400)を用いて測定し、ダイマー酸成分を分析することにより求めた。
ポリエステルを重水素化トリフルオロ酢酸に溶解させ、NMR(日本電子社製JNM−LA400)を用いて測定し、ダイマー酸成分を分析することにより求めた。
(6)接着強度試験
JIS A5759(JISハンドブック1998年度版)の“建築ガラス用フィルム”に準じて、幅50mm×長さ125mmの板ガラスに、幅10mm×長さ250mmのフィルムを帳付けしたものを3枚つくる。フィルムの遊びの部分を180°に折り返し、約25mm剥がした後、引張試験機にて、300mm/minの速度で接着強度(N/10mm幅)を測定する。約20mm剥がれるごとに力を読みとり、計4回求める。試験は3枚について行い、計12個の平均を求めた。
JIS A5759(JISハンドブック1998年度版)の“建築ガラス用フィルム”に準じて、幅50mm×長さ125mmの板ガラスに、幅10mm×長さ250mmのフィルムを帳付けしたものを3枚つくる。フィルムの遊びの部分を180°に折り返し、約25mm剥がした後、引張試験機にて、300mm/minの速度で接着強度(N/10mm幅)を測定する。約20mm剥がれるごとに力を読みとり、計4回求める。試験は3枚について行い、計12個の平均を求めた。
(7)カール性
本件では、高温加工特性を以下の方法により評価した。40cm×30cmの大きさで切り出したハードコートフィルムを平面なガラス板上に長手方向を縦にして静置し、長手方向の両方辺の中央をそれぞれ幅10mmのテープで固定した。このときのフィルムの自由な2つの辺の中央ガラス面からの高さをそれぞれ測定し、この値の平均をカール高さ(cm)とした。このカール高さが低いほど高温加工特性が良好である。カール高さが1cm以下のものを○、1cmより大きいものを×とした。
本件では、高温加工特性を以下の方法により評価した。40cm×30cmの大きさで切り出したハードコートフィルムを平面なガラス板上に長手方向を縦にして静置し、長手方向の両方辺の中央をそれぞれ幅10mmのテープで固定した。このときのフィルムの自由な2つの辺の中央ガラス面からの高さをそれぞれ測定し、この値の平均をカール高さ(cm)とした。このカール高さが低いほど高温加工特性が良好である。カール高さが1cm以下のものを○、1cmより大きいものを×とした。
(8)防犯性能
本件では、耐貫通性、飛散防止性能を窓ガラスの防犯性能の代表的な評価法である欧州規格EN356(1998年度版)に準拠した。この中でも窓ガラスの耐貫通性を評価した落球試験に準じた。詳細条件は以下の通り。また、落下高さ1mで落球が貫通した場合を×、落下高さ1mで貫通がない場合を○とした。詳細条件は以下の通り。
使用鋼球:直径100mm、重さ4.1Kg
落下方法:中心付近の一辺130mmの正三角形の各頂点に順に落下。
試験サンプルの大きさ:900mm×1100mm
ガラス:厚み5mmのフロートガラス
(実施例1)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。また、ポリエステル樹脂Bは、以下のようにして作製した。テレフタル酸ジメチル90質量部、炭素数36のダイマー酸ジメチル27質量部(ユニケマ社製,PRIPLAST1025)、エチレングリコール45質量部、1,4ブタンジオール20質量部、およびテトラブチルチタネート0.1質量部を添加し、210℃に加熱して生成するメタノールを系外に留去し、エステル交換反応を行った。メタノール留去がほぼ完了してから反応生成物を重合器に移し、1時間かけて温度250℃、真空度0.5mmHg迄もっていき、その後重縮合を行った。得られた共重合ポリエステルのダイマー酸度は10mol%、固有粘度は0.80、溶融粘度2000poiseである。重縮合終了後、ホスファイト系酸化防止剤であるアデカスタブPEP36[旭電化(株)製]0.1質量部添加した。また、得られたポリエステルは、複数回の精製を経て純度99%以上のものを得た。
本件では、耐貫通性、飛散防止性能を窓ガラスの防犯性能の代表的な評価法である欧州規格EN356(1998年度版)に準拠した。この中でも窓ガラスの耐貫通性を評価した落球試験に準じた。詳細条件は以下の通り。また、落下高さ1mで落球が貫通した場合を×、落下高さ1mで貫通がない場合を○とした。詳細条件は以下の通り。
使用鋼球:直径100mm、重さ4.1Kg
落下方法:中心付近の一辺130mmの正三角形の各頂点に順に落下。
試験サンプルの大きさ:900mm×1100mm
ガラス:厚み5mmのフロートガラス
(実施例1)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。また、ポリエステル樹脂Bは、以下のようにして作製した。テレフタル酸ジメチル90質量部、炭素数36のダイマー酸ジメチル27質量部(ユニケマ社製,PRIPLAST1025)、エチレングリコール45質量部、1,4ブタンジオール20質量部、およびテトラブチルチタネート0.1質量部を添加し、210℃に加熱して生成するメタノールを系外に留去し、エステル交換反応を行った。メタノール留去がほぼ完了してから反応生成物を重合器に移し、1時間かけて温度250℃、真空度0.5mmHg迄もっていき、その後重縮合を行った。得られた共重合ポリエステルのダイマー酸度は10mol%、固有粘度は0.80、溶融粘度2000poiseである。重縮合終了後、ホスファイト系酸化防止剤であるアデカスタブPEP36[旭電化(株)製]0.1質量部添加した。また、得られたポリエステルは、複数回の精製を経て純度99%以上のものを得た。
これらポリエステル樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。ポリエステル樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、33層構造のフィードブロックにて合流させた。このときのポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの積層比は10/1であった。このようにして得られた計33層からなる積層体をTダイに供給してシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸した。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面にポリエステル/メラミン架橋剤/平均粒径140nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、易滑・易接着層を設けた。そして、テンターに導き、120℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。こうして得られた二軸延伸フィルムは、厚み100μmであった。
このフィルムはスリットした後、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート51質量部
(以下、部は質量部を表す)、ポリエステルアクリレート7部、ヒドロキシプロピルアクリレート3部、および開始剤“イルガキュア184”(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)5部を、トルエン27部、メチルエチルケトン27部、イソプロピルアルコール18部、酢酸ブチル18部の混合溶液に溶解したハードコート塗布液を、上記フィルムの片面にバーコーターを用いて塗工し、120℃で1分間乾燥後、紫外線480mJ/cm2を照射して、硬化させ、厚さ1μmのハードコート層を設けた。また、コーターを用いて片面に以下の比率で配合した粘着剤を塗布することにより粘着層を形成した。これをガラスに貼付したときの接着強度は1.5N/10mm幅であった。得られた結果を表1に示す。
オクチルアクリレート 50部
酢酸ビニル 50部
ヒドロキシエチルアクリレート 5部
メラミンレジン 10.5部
紫外線吸収剤 5部
(実施例2)
実施例1と同様の条件で行った。ただし、このときのポリエステル樹脂AとポリエステルBの積層比を吐出量を変えて5/1とした。得られた結果を表1に示す。
(以下、部は質量部を表す)、ポリエステルアクリレート7部、ヒドロキシプロピルアクリレート3部、および開始剤“イルガキュア184”(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)5部を、トルエン27部、メチルエチルケトン27部、イソプロピルアルコール18部、酢酸ブチル18部の混合溶液に溶解したハードコート塗布液を、上記フィルムの片面にバーコーターを用いて塗工し、120℃で1分間乾燥後、紫外線480mJ/cm2を照射して、硬化させ、厚さ1μmのハードコート層を設けた。また、コーターを用いて片面に以下の比率で配合した粘着剤を塗布することにより粘着層を形成した。これをガラスに貼付したときの接着強度は1.5N/10mm幅であった。得られた結果を表1に示す。
オクチルアクリレート 50部
酢酸ビニル 50部
ヒドロキシエチルアクリレート 5部
メラミンレジン 10.5部
紫外線吸収剤 5部
(実施例2)
実施例1と同様の条件で行った。ただし、このときのポリエステル樹脂AとポリエステルBの積層比を吐出量を変えて5/1とした。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
ダイマー酸成分の共重合量を変えた以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
ダイマー酸成分の共重合量を変えた以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様の条件で行った。ただし、このとき熱処理温度を210℃に変更して行った。得られた結果を表1に示す。
実施例1と同様の条件で行った。ただし、このとき熱処理温度を210℃に変更して行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリエステル樹脂Bとして、酸成分を炭素数20のイソプロピルジリノール酸(高級アルコール工業株式会社製、ダイマレックスDIP−R)を使用し、実施例1と同様の方法により重合して、同様の粘度の共重合ポリエステルを合成した。得られた結果を表2に示す。
ポリエステル樹脂Bとして、酸成分を炭素数20のイソプロピルジリノール酸(高級アルコール工業株式会社製、ダイマレックスDIP−R)を使用し、実施例1と同様の方法により重合して、同様の粘度の共重合ポリエステルを合成した。得られた結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1と同様の条件で行った。ただし、ポリエステル樹脂Bはホスファイト系酸化防止剤を添加せずに使用した。得られた結果を表2に示す。
実施例1と同様の条件で行った。ただし、ポリエステル樹脂Bはホスファイト系酸化防止剤を添加せずに使用した。得られた結果を表2に示す。
(実施例7)
ポリエステル樹脂Bは、テレフタル酸ジメチル95質量%、炭素数36のダイマー酸ジメチル22質量部(構成成分:単量体2%、二量体79%、三量体19%)、エチレングリコール15質量%、1,4ブタンジオール50質量%、およびテトラブチルチタネート0.1質量%を添加、重合し、単量体や三量体などの不純物を含んだダイマー酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いた。あとは実施例1と同様の実験を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリエステル樹脂Bは、テレフタル酸ジメチル95質量%、炭素数36のダイマー酸ジメチル22質量部(構成成分:単量体2%、二量体79%、三量体19%)、エチレングリコール15質量%、1,4ブタンジオール50質量%、およびテトラブチルチタネート0.1質量%を添加、重合し、単量体や三量体などの不純物を含んだダイマー酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いた。あとは実施例1と同様の実験を行った。得られた結果を表2に示す。
(比較例1)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを、ポリエステル樹脂Bとして、総吐出量1000kg/hrで一定のまま、積層厚み比がB/A=1/10になるように1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート“EASTER6763”(イーストマンケミカル社製)を使用した以外は実施例1と同様とした。得られた結果を表3に示す。
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを、ポリエステル樹脂Bとして、総吐出量1000kg/hrで一定のまま、積層厚み比がB/A=1/10になるように1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート“EASTER6763”(イーストマンケミカル社製)を使用した以外は実施例1と同様とした。得られた結果を表3に示す。
(比較例2)
比較例1と同様の樹脂を用い、熱処理温度を230℃に変更した以外は、実施例1と同様の条件で製膜を行った。得られた結果を表3に示す。
比較例1と同様の樹脂を用い、熱処理温度を230℃に変更した以外は、実施例1と同様の条件で製膜を行った。得られた結果を表3に示す。
(比較例3)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。また、共重合ポリエステル樹脂Bとして、セバシン酸が40mol%共重合された固有粘度0.67の共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、セバシン酸共重合PETと略す)を用いた以外は実施例1と同様にした。得られた結果を表3に示す。
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。また、共重合ポリエステル樹脂Bとして、セバシン酸が40mol%共重合された固有粘度0.67の共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、セバシン酸共重合PETと略す)を用いた以外は実施例1と同様にした。得られた結果を表3に示す。
(比較例4)
ダイマー酸成分の共重合量を変えた以外は、実施例1と同様の条件でポリエステルフィルムを作製した。得られた結果を表3に示す。
ダイマー酸成分の共重合量を変えた以外は、実施例1と同様の条件でポリエステルフィルムを作製した。得られた結果を表3に示す。
(比較例5)
PET単膜フィルムを実施例1と同様の条件で作製した。得られた結果を表3に示す。
PET単膜フィルムを実施例1と同様の条件で作製した。得られた結果を表3に示す。
本発明の積層フィルムは、建材用窓ガラスの飛散防止フィルムやディスプレイ保護フィルムとして利用できる。また、タッチパネル用の透明基材としても利用することができる。
Claims (8)
- 少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂層からなり、厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、長手方向および幅方向の引裂強度が130N/mm以上600N/mm以下であり、150℃雰囲気下で30分間放置した後の長手方向および幅方向の熱収縮率が2.5%以下であることを特徴とする積層フィルム。
- 100℃雰囲気下で30分間放置した後のヘイズが3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- ポリエステル樹脂の少なくとも一種が、ジカルボン酸成分として脂肪酸を含有しており、その脂肪酸誘導体の酸成分中における脂肪酸二量体の含有量が70質量%以上、かつ脂肪酸三量体の含有量が30質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 脂肪酸二量体が、ダイマー酸であることを特徴とする請求項3に記載の積層フィルム。
- ダイマー酸の共重合量が8mol%以上30mol%以下であることを特徴とする請求項4に記載の積層フィルム。
- ポリエステル樹脂の溶融粘度が、280℃で1000〜3000poiseであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- b値が2.0以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルムを用いたことを特徴とするタッチパネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005008735A JP2006192829A (ja) | 2005-01-17 | 2005-01-17 | 積層フィルムおよびタッチパネル |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2006192829A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015205439A (ja) * | 2014-04-19 | 2015-11-19 | 三菱樹脂株式会社 | 導電性フィルム用保護フィルム用基材 |
JP2017538606A (ja) * | 2014-12-18 | 2017-12-28 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 耐引裂性多層フィルム |
JP2022051543A (ja) * | 2020-09-18 | 2022-03-31 | 三菱ケミカル株式会社 | ポリエステル系樹脂、接着剤組成物及び接着剤 |
-
2005
- 2005-01-17 JP JP2005008735A patent/JP2006192829A/ja active Pending
Cited By (5)
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JP2017538606A (ja) * | 2014-12-18 | 2017-12-28 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 耐引裂性多層フィルム |
US10040272B2 (en) | 2014-12-18 | 2018-08-07 | 3M Innovation Properties Company | Tear resistant multilayer film |
JP2022051543A (ja) * | 2020-09-18 | 2022-03-31 | 三菱ケミカル株式会社 | ポリエステル系樹脂、接着剤組成物及び接着剤 |
JP7223300B2 (ja) | 2020-09-18 | 2023-02-16 | 三菱ケミカル株式会社 | ポリエステル系樹脂、接着剤組成物及び接着剤 |
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