JP2020063399A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電膜の製膜基板などの用途に用いられるCOPフィルムの保護フィルムとして好適に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】下記(1)、(2)の要件を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。(1)フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上90ppm/℃以下であること。(2)フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、ヤング率を平均した値をYave(GPa)、フィルムの厚みをt(μm)としたとき、下記(i)式を満たすこと。(i)130≦Yave*t≦500【選択図】なし

Description

本発明は、機械特性、加工性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下PETと略すことがある)は機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。そのポリエステルをフィルム化したポリエステルフィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた機械的特性、加工性から、透明電極基板を加工工程中に傷つきなどから保護する工程フィルムとして使用されている。
ディスプレイなどで用いられる透明導電膜の製膜基板(ITO(Indium Tin Oxide)蒸着基板など)において、近年では、ディスプレイの性能向上、薄膜化の観点から、透明導電膜の製膜基板にシクロオレフィンポリマー(COP)といった非晶性樹脂からなるフィルムが広く用いられている。
一般的に、ITO膜の導電性を上げるために一定温度での基板のキュア工程が必要となる。この工程では、該基板を保護するフィルムにも同時に熱がかかるため、透明導電膜の製膜基板にシクロオレフィンポリマー(COP)といった非晶性樹脂からなるフィルムが用いられる場合、それを保護するフィルムは、非晶性樹脂フィルムと加工温度における熱特性が近いことが好ましい。なぜなら、非晶性樹脂フィルムとそれを保護するフィルムとの間に熱特性に差があると、透明導電膜の製膜基板の平面性が悪化したり、保護フィルムが剥がれて保護機能が低下する問題が発生する。さらに、非晶性樹脂フィルムを保護するフィルムは、加工温度の熱特性だけではなく、加工温度から常温まで降温する過程の熱特性も合わせる必要がある。なぜなら、非晶性樹脂フィルムは、加熱した際に分子鎖が動きやすく、加工温度より低い温度でも寸法変化率が大きいため、非晶性樹脂を保護するフィルムの寸法変化率が小さいと降温過程で寸法差が生じ、保護フィルムが剥がれる問題が発生する。
非晶性樹脂フィルムを保護するフィルムとして、同じ非晶性樹脂フィルムを用いれば熱特性に差がなくなるため、熱特性の差に起因する問題は解消される。しかしながら、非晶性樹脂フィルムは、靱性が低く可撓性に劣るため、加工工程中に割れが発生するという問題がある。
非晶性樹脂フィルムを保護するフィルムとして二軸配向ポリエステルフィルムを用いる場合、前記の熱特性の差に起因する問題は解消するには、二軸配向ポリエステルフィルムの熱特性を非晶性樹脂フィルムの熱特性に近づける必要がある。また、非晶性樹脂フィルムを保護するフィルムとして二軸配向ポリエステルフィルムを用いる場合、フィルムの剛性が高いことが好ましい。なぜなら、一般的に、二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムを二軸に配向させる工程で受ける応力が残留しているため、加熱すると製膜工程で受けた残留応力が開放された結果、熱収縮が起きカールが発生する。フィルムの剛性が高いと熱収縮が起きた場合でも、熱収縮応力よりフィルムの剛性が高く、該基板の形状を維持できカールを抑制可能となる。
二軸配向ポリエステルフィルムの熱特性をCOPといった非晶性樹脂に近づける方法として、二軸配向ポリエステルフィルムに種類の異なるポリエステル樹脂や、共重合成分をアロイすることで、二軸配向ポリエステルフィルムの非晶性を高める検討がされている。(特許文献1、2、3)
特開2004−136447号公報 特開2007−168148号公報 国際公開第2016/199675号パンフレット
特許文献1、2に記載の二軸配向ポリエステルフィルムは、加工温度付近の寸法変化率は非晶性樹脂と近いため、ある程度の透明導電膜の製膜基板の平面性の悪化、保護フィルムの剥がれを抑制することを達成している。しかしながら、フィルムの剛性が低く、加熱すると製膜工程で受けた残留応力が開放された結果、カールが発生する問題がある。また、特許文献3に記載の方法で得られたポリエステルフィルムは、フィルムの剛性は高く、加工温度での寸法変化率は非晶性樹脂フィルムと近いが、加工温度よりも低い温度の降温過程における寸法変化率が非晶性樹脂フィルムより小さいため、保護フィルムに剥がれが発生する問題がある。
本発明の課題は、かかる従来技術の背景に鑑み、透明導電膜の製膜基板などの用途に用いられるCOPなどの非晶性樹脂フィルムの保護フィルムとして好適に用いられる、貼り合わせ性、加工性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
[I]下記(1)、(2)の要件を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上90ppm/℃以下であること。
(2)フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、ヤング率を平均した値をYave(GPa)、フィルムの厚みをt(μm)としたとき、下記(i)式を満たすこと。
(i)130≦Yave*t≦500
[II]フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃から50℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ60ppm/℃以上140ppm/℃以下である[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃30分熱処理後の熱収縮率が、それぞれ−0.5%以上2.0%以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV] 少なくとも一方の表面粗さRaが20nm以上200nm以下、最大高さ粗さRzが400nm以上2000nm以下である[I]〜[III]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの両側の表層のガラス転移点温度(Tg−A)がいずれも65℃以上90℃以下であり、表層以外の層のガラス転移点温度のガラス転移点温度(Tg−B)が40℃以上65℃以下である[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VI]少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの両側の表層の融点(Tm−A)が240℃以上280℃以下であり、表層以外の層の融点(Tm−B)が180℃以上240℃以下である[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VII]非晶性フィルムを含む積層体を保護する用途に用いられる、[I]〜[VI]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明によれば、非晶性樹脂フィルムに近しいフィルム寸法変化率をもちながら、フィルムの剛性に優れ、貼り合せ性や加工性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムが得られる。
本発明のポリエステルフィルムは、機械特性の観点から、二軸配向ポリエステルフィルムであることが必要である。ここでいうポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。本発明のポリエステルフィルムは、機械特性の観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンテレフタレートの共重合体やポリブチレンテレフタレートの共重合体からなることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められる、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上90ppm/℃以下である必要がある。より好ましくは55ppm/℃以上80ppm/℃以下、さらに好ましくは60ppm/℃以上70ppm/℃以下である。
一般的に、透明導電膜は、室温よりも温度が高い状態で基板上に製膜され、その後、室温より温度が高い状態まで加熱され、キュアする工程を経て、室温まで徐々に除冷される降温過程を経る。つまり、透明導電膜の製膜後に、該基板の平面性を保つことが、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれることを防ぐために重要である。該基板の保護用フィルムも、外工程を経ることになる。つまり、該基板の平面性を良好に保つには、該基板の保護用フィルムの降温時の寸法変化率を、該基板に近しい値とすることが重要となる。ここで、透明導電膜に広く用いられるCOPを代表とする非晶性樹脂は、加熱した際に分子鎖が動きやすく、温度が高い状態にすると熱膨張する傾向にある。一方、一般的な二軸配向ポリエステルフィルムは、延伸工程で配向することによって結晶構造を形成しており、分子鎖が動きにくく熱膨張しにくい特徴を持つ。そのため、二軸配向ポリエステルフィルムを非晶性フィルムを含む積層体を保護するフィルムとして使用するためには、二軸配向ポリエステルフィルムを熱膨張しやすくすることが必要である。本発明者らが鋭意検討したところ、二軸配向ポリエステルフィルムを非晶性フィルムを含む積層体を保護するフィルムとして使用するためには、非晶性フィルムの加工温度付近において二軸配向ポリエステルフィルムの熱寸法安定性を非晶性フィルムに近づけるだけでは不十分であることが判明した。なぜなら、COPを代表とする非晶性樹脂は加熱による熱膨張が大きく、加工温度よりも低い温度から常温に近い温度でも大きく熱膨張する特徴を持つ。一方、一般的なポリエステルフィルムのガラス転移温度以下になると、分子鎖が動きづらく、加工温度より低い温度から常温に近い温度では寸法変化率が特に低下する。そのため、ポリエステルフィルムをCOPフィルムを代表とする非晶性樹脂の保護フィルムと使用する場合、COPフィルムを代表とする非晶性樹脂の加工温度よりも低い温度領域において、ポリエステルフィルムと非晶性樹脂フィルムの寸法変化率の差が大きくなり、透明導電膜にした際に、平面性を損ない、導電性が悪化することになる。そこで、加工温度よりも低い温度から常温付近の温度領域における降温過程での寸法安定性を非晶性樹脂フィルムに近づけることが重要であることを見出した。
具体的には、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率を、それぞれ50ppm/℃以上90ppm/℃にする必要がある。かかる特性を満足することで、透明導電膜の製膜基板などの用途に用いられる非晶性樹脂フィルムを保護するポリエステルフィルムとして使用する際に、しわや剥がれを抑制でき、非晶性樹脂フィルムとの貼り合せ性に優れ、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性を損なうことなく、導電性を良好に保つことができる。
80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が50ppm/℃未満だとCOPと貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、非晶性樹脂と比べて常温からの加熱又は除冷した際の寸法変化が小さく、寸法差が生じるためしわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる。
一方、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が90ppm/℃を超えると、非晶性樹脂と貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、非晶性樹脂と比べて加熱又は除冷した際の寸法変化が大きく、寸法差が生じるためしわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
ここでいうフィルムの主配向軸方向とは、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を主配向軸とする。本発明において、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、後述する測定方向により、フィルムの全ての方向の屈折率を屈折率計で測定して求められる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率とは、後述する方法で求められる。
フィルム寸法変化率の測定方法は、JIS K7197(1991)に準じて、熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mmとして、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷する。20℃から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持し、その後、20℃まで10℃/分で降温させ、各温度(℃)における試料の寸法の値を得る。80℃における試料の寸法L(80℃)(mm)と、25℃における試料の寸法L(25℃)(mm)から、下記(ii)式から算出する。なお、寸法変化率は、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについて、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(ii)CTE(ppm/℃)=10×(L(80℃)−L(25℃)))/{20×(80−25)}
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのフィルム膨張率を上述の範囲とする方法は、特に限られるものではないが、二軸配向ポリエステルフィルムの結晶性・非晶性を制御することで達成することができ、例えば、以下の(I)、(II)、(III)の方法をとることができる。
(I)少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムとし、前記ポリエステルフィルムの両側の表層のガラス転移点温度(Tg−A)がいずれも65℃以上90℃以下、表層以外の層のガラス転移点温度のガラス転移点温度(Tg−B)が40℃以上65℃以下とする方法。
(II)少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムとし、前記ポリエステルフィルムの両側の表層の融点(Tm−A)が240℃以上280℃以下、表層以外の層の融点(Tm−B)が180℃以上219℃以下とする方法。
(III)(I)と(II)を組合せる方法。
(I)の方法について説明する。80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率を上げるためには、フィルムのガラス転移温度を制御することが重要である。二軸配向ポリエステルフィルムを(I)の構成とすることで、ガラス転移温度が低い層とそれよりも高い層を持つ二軸配向ポリエステルフィルムとなる。二軸配向ポリエステルフィルムの熱膨張は、ガラス転移温度より高い温度になるとフィルムに柔軟性が発現し、分子差が動きやすく寸法変化率がガラス転移温度以下より顕著に大きくなる特徴を持つ。そのため、ガラス転移温度が一般的な二軸配向ポリエステルフィルムより低い層を設けることによって、低温での熱膨張が可能となり、COPを代表とする非晶性樹脂フィルムに寸法変化率を近づけることができる。加えて、ポリエステルフィルムの両側の表層にガラス転移温度が高い層を設けることによって、ポリエステルフィルムを二軸配向させる際に、表層以外の層より高い温度で延伸することで可能となり、両側の表層を配向させつつ、表層以外の層は配向がつきにくくなることで、表層以外の層の非晶性が高くなり、寸法変化率を高くすることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移温度を制御する手段としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートを主成分とした際に、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートとはガラス転移温度が異なる樹脂を添加又は、共重合する方法が挙げられる。添加又は、共重合される樹脂は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートに相溶・共重合可能な樹脂であれば特に限られないが、例えば、以下のジカルボン酸成分とジオール成分が重縮合して得られる構造を有するものである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
前記積層ポリエステルフィルムの両側の表層のガラス転移温度を65℃以上90℃以下にする方法としては、例えば、両側の表層のポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分の85mol%以上100mol%以下がエチレングリコール、0mol%以上15mol%以下が1,4−ブタンジオールとする方法が挙げられる。
また、前記ポリエステルフィルムの表層以外の層のガラス転移温度を40℃以上65℃以下にする方法としては、例えば、(あ)表層以外の層のポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分として、テレフタル酸を50mol%以上用い、5mol%以上20mol%以下のイソフタル酸を共重合しつつ、ジオール成分として41mol%以上61mol%以下が1,4−ブタンジオール、39mol%以上59mol%以下がエチレングリコールとする方法、(い)表層以外の層のポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分をテレフタル酸とし、ジオール成分として、41mol%以上61mol%が1,4−ブタンジオール、19mol%以上49mol%以下がエチレングリコール、5mol%以上20mol%以下が1,4−シクロヘキサンジメタノール又は1,2−プロパンジオールとする方法、などが挙げられる。(あ)の方法について、より好ましくは、ジオール成分として、1,4−ブタンジオールを45mol%以上60mol%以下、エチレングリコールを40mol%以上55mol%以下とし、イソフタル酸を10mol%以上15mol%以下とすることが挙げられる。(い)の方法について、より好ましくは、ジオール成分として、1,4−ブタンジオールが48mol%以上54mol%以下、エチレングリコールを31mol%以上42mol%、1,4−シクロヘキサンジメタノール又は1,2−プロパンジオールを10mol%以上15mol%以下とする方法が挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの両側の表層のガラス転移温度(Tg−A)を65℃以上90℃以下にすることが機械特性、加工性の点から好ましい。より好ましくは、65℃以上80℃以下である。
ガラス転移温度(Tg−A)が65℃未満であると、フィルムの柔軟性が高く、機械特性に劣るだけでなく、熱固定処理においてクリップ粘着が発生し製膜性に劣る場合がある。
ガラス転移温度が90℃を超えると、両側の表層の寸法変化が大きくなる温度が高くなり、表層以外の層の寸法変化を阻害し、非晶性樹脂フィルムと貼り合わせた場合に、寸法差が生じるためしわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの表層以外の層のガラス転移温度(Tg−B)を40℃以上65℃以下にすることが80℃から25℃の降温過程での寸法変化率を制御する点から好ましい。より好ましくは、45℃以上60℃以下であり、さらに好ましくは、50℃以上55℃以下である。
ガラス転移温度(Tg−B)が40℃未満であると、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が大きく、非晶性樹脂フィルムと貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、非晶性樹脂フィルムと比べて常温から加工温度までの加熱又は除冷時の寸法変化率が大きく、寸法差が生じるためしわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
ガラス転移温度が65℃を超えると、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が小さく、非晶性樹脂フィルムと貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、非晶性樹脂フィルムと比べて常温から加工温度までの加熱又は除冷時の寸法変化率が小さく、寸法差が生じるためしわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
次に、(II)の方法について説明する。ポリエステルフィルムの寸法変化率を非晶性樹脂に近づけるためには、ポリエステルフィルムを構成する樹脂を非晶性にするか、非晶性に近づけることが重要である。二軸に配向したポリエステルフィルムは一般的に結晶性を有するが、二軸配向ポリエステルフィルムを(II)の方法を満たす構成とすることで、融点の低い層と、それよりも融点の高い層を持つポリエステルフィルムとなり、かかる構成の二軸配向ポリエステルフィルムに、熱処理工程で熱を加えると、融点の低いポリエステルフィルムの両側の表層以外の層の結晶構造が崩れ、配向が不規則な非晶構造になることにより、フィルムの非晶性が上がり、フィルム寸法変化率を上げることが可能となる。加えて、ポリエステルフィルムの両側の表層は、結晶構造を保つので、配向を維持し機械特性に優れる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの融点を制御する方法としては、以下の(う)と(え)を満たすこと方法が挙げられる。(う)ジカルボン酸成分として、イソフタル酸を共重合する方法や、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合する方法。これらは単独で共重合しても良いし、複数種類共重合しても構わない。共重合量としては、共重合成分の合計が、ポリエステルの構成成分の全量に対して5mol%以上20mol%以下であることが好ましい。より好ましくは10mol%以上15mol%以下である。(え)ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートを主成分とする場合、ポリブチレンテレフタレートを添加する。ポリブレンテレフタレートの添加量は、ジオール成分としてが41mol%以上61mol%以下が1,4−ブタンジオールが41mol%以上61mol%以下であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの両側の表層の融点を240℃以上280℃以下にすることが機械特性、加工性の点から好ましい。より好ましくは、240℃以上260℃以下である。
融点が240℃未満であると、非晶性が高くなるため配向が付きづらく、機械特性に劣るだけでなく、熱固定処理においてフィルム破れが発生し製膜性に劣る場合がある。また、融点が280℃を超えると、フィルムが結晶性に近く、フィルムの分子鎖が熱によって自由に動くことができない結果、機械特性に劣り、フィルム寸法変化率も低下する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの表層以外の層の融点を180℃以上240℃以下にすることがフィルムの寸法変化率、機械特性を制御する点から好ましい。より好ましくは、200℃以上219℃以下である。
融点が180℃未満であると、フィルムが非晶状態に近いため、フィルムに熱がかかった場合に、フィルムの結晶化温度に近い温度まで熱がかかると、ランダムな粗大結晶が生じることで、ランダムな粗大結晶によってその周囲に存在する分子鎖が固定される結果、フィルムの寸法変化率が小さくなり、機械特性に劣る場合がある。
一方、融点が高いと、結晶性に近いため、フィルムの分子鎖が熱によって自由に動くことができない結果、フィルムの寸法変化率が小さくなり、機械特性に劣る場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、ヤング率を平均した値をYave(GPa)、フィルムの厚みをt(μm)としたとき、下記(i)式を満たすことが必要である。
(i)130≦Yave*t≦500
Yave*tは、より好ましくは200以上450以下であり、さらに好ましくは260以上400以下である。
ヤング率はフィルムの剛直性を示しており、ヤング率が高いほどフィルムの剛性が高く、寸法変化に伴う変形応力が高くなる。このヤング率に厚みをかけたYave*tは、フィルムの曲げにくさを表す指標となる。この値が大きくなるほど、フィルムが曲げにくく形状を保ちやすくなり、この値が低いほどフィルムは曲げやすく形状が他素材に追従しやすくなる。非晶性樹脂を保護する二軸配向ポリエステルフィルムとして使用する場合、ある程度の曲げにくさを持つことで、加熱工程で二軸配向ポリエステルフィルムが製膜工程で受けた残留応力が解放された場合でも、フィルムが曲がりにくく、該基板の形状を維持できカールを抑制可能となる。そのため、二軸配向ポリエステルフィルムの、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、ヤング率を平均した値をYave(GPa)、フィルムの厚みをt(μm)としたとき、上記(i)式を満たすことで、透明導電膜を保護するポリエステルフィルムとして使用する際に、加工工程での加熱時のカールを抑制し平面性を損なうことなく、導電性を良好に保つことができる。Yave*tが130未満であると、フィルムが曲がりやすく、残留応力が解放された場合にカールを抑制することが難しく、加工性に劣る場合がある。一方、Yave*tが500を超えると、フィルムの剛性が高く曲がりにくいため、加工性に劣る。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが(i)式を満たす範囲とする方法は、特に限られるものではないが、例えば、以下の《I》の方法をとることができる。
《I》少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムとし、ポリエステルフィルムの両側の表層のガラス転移点温度(Tg−A)と表層以外の層のガラス転移点温度のガラス転移点温度(Tg−B)の差が下記(ii)式を満たす方法。
(ii)5≦(Tg−A)−(Tg−B)≦40
《I》について説明する。ヤング率はフィルムの剛直性を表しており、二軸配向ポリエステルフィルムの配向が高いほど剛性が強くなり、ヤング率は高くなる傾向にある。二軸配向ポリエステルフィルムを非晶性樹脂フィルムと貼り合わせて使用する場合、同様の厚みでもヤング率が高いほど、フィルムが曲がりにくくカールを抑制することができるが、ヤング率が高いほど、フィルムの結晶性が高く、フィルムの寸法変化率が極端に小さくなる場合がある。そこで、《I》の条件を満たすことによって、フィルムを延伸した場合に、両側の表層は配向がつきやすくヤング率が高い層と、表層以外の層は配向がつきにくくヤング率が低い層が存在することにより、ヤング率を好ましい範囲にすることができる。
ポリエステルフィルムの両側の表層のガラス転移点温度(Tg−A)と表層以外の層のガラス転移点温度のガラス転移点温度(Tg−B)の差は、より好ましくは、15℃以上35℃以下である。
ガラス転移温度の差が5℃未満であれば、ポリエステルフィルムを二軸配向させる場合に、両側の表層と、表層以外の層で配向が高くなり、ヤング率が高くなる場合がある。また、ガラス転移温度の差が40℃を超えると、表層以外の層のヤング率が極端に低下するだけでなく、適切な延伸温度の差が大きいため、延伸性低下によるフィルム破れが発生し、製膜性に劣るフィルムとなる場合がある。
《I》の方法は、二軸配向ポリエステルフィルムの厚みを40μm以上150μm以下とすると、(i)式を満たす範囲とすることが容易になるためこのましい。フィルムの厚みは、より好ましくは、60μm以上140μm以下、さらに好ましくは、80μm以上120μm以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃から50℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ60ppm/℃以上140ppm/℃以下であることが好ましい。より好ましくは、80ppm/℃以上120ppm/℃以下であり、さらに好ましくは、90ppm/℃以上110ppm/℃以下である。
一般的に、透明導電膜は、室温よりも温度が高い状態で基板上に製膜され、その後、室温より温度が高い状態まで加熱され、キュアする工程を経て、室温まで徐々に除冷される降温過程を経る。この室温まで徐々に除冷される降温過程の工程において、透明導電膜に広く用いられるCOPを代表とする非晶性樹脂と、それを保護するフィルムの熱寸法変化率に差があると、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。キュア工程は、使用する非晶性樹脂によって加工温度が異なるため、様々な加工温度に対応可能とするために、高い温度での寸法変化率を非晶性樹脂に近づけることが重要である。つまり、150℃から50℃までの降温過程でのフィルム寸法変化率をCOPを代表とする非晶性樹脂に近づけることが好ましい。
150℃から50℃までの降温過程でのフィルムの寸法変化率が、60ppm/℃未満であると非晶性樹脂フィルムと貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、非晶性樹脂フィルムと比べて加工工程で加熱した後の降温時の寸法変化が小さく、寸法差が生じるため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。また、フィルムの寸法変化率が、140ppm/℃を超えると非晶性樹脂フィルムと貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、非晶性樹脂フィルムと比べて加工工程で加熱した後の降温時の寸法変化が大きく、寸法差が生じるため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃30分熱処理後の熱収縮率が、それぞれ−0.5%以上2.0%以下であることが好ましい。より好ましくは、−0.4%以上1.5%以下であり、さらに好ましくは、−0.3%以上1.0%以下である。150℃30分熱処理後の熱収縮率が、−0.5%を超えると、非晶性樹脂フィルムと貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、加工工程で加熱すると大きく膨張し、寸法差が生じるため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。また、150℃30分熱処理後の熱収縮率が、2.0%を超えると、非晶性樹脂フィルムと貼り合わせて透明導電膜として使用する場合、加工工程で加熱すると大きく収縮し、寸法差が生じるため、しわや剥がれが発生し、導電膜の製膜加工後に透明導電膜の製膜基板の平面性が悪くなり、透明導電膜が欠損して導電性が損なわれる可能性がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面粗さRaが20nm以上200nm以下、最大高さ粗さRzが400nm以上2000nm以下であることが好ましい。表面粗さRaは、より好ましくは、25nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは、30nm以上60nm以下である。表面粗さRaが20nm以下であると表面が平滑のため、非晶性樹脂フィルムと貼り合せた際に密着性が高くなりすぎうまく貼りあわすことができず気泡が発生したり、剥離帯電が発生する場合がある。また、表面粗さRaが200nmを超えると打痕などの発生の基点となり非晶性樹脂フィルムと貼り合わせ際に気泡が発生する場合がある。また、最大高さ粗さRzは、より好ましくは、600nm以上1600nm以下であり、さらに好ましくは、800nm以上1200nm以下である。最大高さ粗さRzが400nm未満であると表面が平滑のため、非晶性樹脂フィルムと貼り合せた際に密着性が高くなりすぎうまく貼りあわすことができず気泡が発生したり、剥離帯電が発生する場合がある。また、最大高さ粗さRzが2000nmを超えると打痕などの発生の基点となり非晶性樹脂フィルムと貼り合わせ際に気泡が発生する場合がある。
少なくとも一方の表面粗さを上述の範囲とする方法としては、特に限られるものではないが、例えば、ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層を非晶層に近づけつつ、ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂に粒子を含有させる方法が挙げられる。ポリエステルフィルムの両側の表層以外の層を非晶層に近づけることで、剛直な結晶構造に比べて柔軟な非晶構造を形成するため、粒子を含有させた場合に、表層に形成された粒子が埋没しやすくなり、また、粒子が満遍なく分散しやすくなるため、フィルムの表層の突起をむらなく形成することが可能となり、表面粗さRaと最大高さ粗さRaを好ましい範囲にすることができる。
ポリエステルフィルムの両側の表層を構成するポリエステル樹脂に含有される粒子の含有量としては、0.03重量%以上5重量%以下であることが好ましい。粒子含有量が0.01重量%よりも小さいと表面突起の形成が不十分となる場合がある。粒子含有量が5重量%よりも大きいと表面突起が大きくなりすぎる場合がある。より好ましくは、0.05重量%以上3重量%以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに含有される粒子としては特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子などが例示できる。
また、上記の粒子は、粒子径が0.5μm以上10μm以下であることが、表面形状を制御するうえで好ましく、より好ましくは0.8μm以上8μm以下である。なお、本発明のポリエステルフィルムが、3層以上の積層ポリエステルフィルムである場合、表層を構成するポリエステル樹脂組成物に含有する上記の粒子が、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、80℃から25℃の降温過程での寸法変化率が非晶性樹脂からなるフィルムに近いことから、非晶性フィルムを含む積層体を保護する用途に好ましく用いられる。
本発明の二軸配向のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの両側の表層の厚みの和と、表層以外の層の厚みの和の比(両側の表層の厚みの和/表層以外の層の厚みの和)が、1/9〜1/2であることが好ましい。
最外層の厚みが薄く、表層以外の層の厚みの和の比が1/9を下回る場合、積層による製膜性向上、機械特性向上の効果が得られない場合がある。一方、最外層の厚みが厚く、表層以外の層の厚みの和の比が1/2を超える場合、最外層の配向性の影響を強く受け、内層が無理に延伸される結果、フィルム製膜性が悪くなる場合がある。
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について具体例を挙げて説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるべきものではない。
まず、ポリエステル樹脂を押出機内で加熱溶融した後口金から吐出し、未延伸シートを得る。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが積層構成の場合、従来公知の製造方法で得ることが出来る。
(1)溶融したポリエステルを口金から吐出して未延伸シートを作製する際に、表面温度10℃以上40℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
(2)(1)で得られた未延伸シートを、下記(v)式を満たす温度T1n(℃)にて、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(TD)に面積倍率8.5倍以上16.0倍以下に二軸延伸する。
(v)(Tg−A)(℃)≦T1n(℃)≦(Tg−A)+40(℃)
Tg−A:ポリエステルフィルムの両側の表層を構成する樹脂のガラス転移温度(℃)
(3)(2)で得られた二軸延伸フィルムを、下記(vi)式を満足する温度(Th0(℃))で、1秒間以上30秒間以下の熱固定処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却することによって、ポリエステルフィルムを得る。
(vi)(Tm−A)−40(℃)≦Th0(℃)≦(Tm−A)−10(℃)
Tm−A:ポリエステルフィルムの両側の表層を構成する樹脂の融点(℃)
(1)を満たす条件によって未延伸シートを得ることにより実質的に非晶のポリエステルフィルムを得ることができ、(2)以降の工程においてフィルムに配向を付与せしめ易くし、機械特性に良好なフィルムを得やすくすることができる。
(2)を満たす条件によって二軸延伸フィルムを得ることにより、フィルムに適度な配向を付与せしめ、機械特性の良好なフィルムとすることができる。
(3)を満たす条件によって融点の低い層の結晶構造が崩れ、配向が不規則な非晶構造になることにより、フィルムの非晶性が上がり、フィルム膨張率を上げることが可能となる。加えて、ポリエステルフィルムの両側の表層は、結晶配向するので、配向が形成されたポリエステル分子鎖の構造が安定し、機械特性、熱収縮率が良好なフィルムとすることができる。
なお、(2)において、二軸延伸する方法としては、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(フィルムの長手方向に垂直な方向、TD)の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらを用いて行っても良い。また、延伸温度(T1n)(℃)がTg(℃)未満である場合、延伸することが困難である。T1n(℃)が(Tg−A)+40(℃)を超える場合には、フィルム破れが頻発し、延伸によりフィルムを得ることができない場合がある。より好ましくは、(Tg−A)+10(℃)≦T1n(℃)≦(Tg−A)+30(℃)である。
(3)の工程において、Th0が、(Tm−A)−10℃を超える場合、延伸によって付与したフィルムの配向が崩れ、フィルムの膨張率が大きくなりすぎたり、ランダムな粗大結晶が生じることでフィルムの透明性が損なわれるだけでなく、ランダムな粗大結晶によってその周囲に存在する分子鎖が固定される結果、機械特性に劣り、フィルム寸法変化率も低下する。Th0が(Tm−A)−60℃を下回る場合、分子鎖の構造が安定せず、平面性が悪化したり製膜性が悪化する。
二軸延伸した後のポリエステルフィルムをオフアニール又は、製膜における熱固定工程のテンター内で長手方向に寸法を戻し、長手方向リラックスすると、ポリエステルフィルムを二軸配向させる際に加わった残留応力を取り除くことが可能となり、透明導電膜を保護するポリエステルフィルムとして使用する際に、加工工程の加熱時における二軸配向ポリエステルフィルムの熱収縮が抑制され、カールを抑制できる点から好ましい。
具体的な方法としては、二軸延伸した後のポリエステルフィルムをオフアニールをする場合の条件としては、オフアニール温度を140℃以上200℃未満とし、フィルム幅方向はフリーな状態、つまり、フィルムをフィルム幅方向に拘束していない状態であり、また、長手方向に10N以上100N以下の張力をかけながら、熱処理時間が10秒から10分の間になるように巻き取ることで、ポリエステルフィルムを二軸配向させる際に加わった残留応力を取り除くことが可能となる。
また、記載の二軸延伸した後のポリエステルフィルムを製膜における熱固定工程のテンター内で長手方向に寸法を戻し、長手方向リラックスする方法とは、長手方向に延伸後、長手方向に寸法を0.01〜7%戻すという、いわゆるリラックス処理をするものである。この時のリラックス処理温度は、2段目以降の長手方向延伸温度と同等あるいはそれよりも30℃低い温度の範囲で行うことが好ましい。また、このリラックス処理は通常周速度差のある加熱冷却ロール間で行うのが効率的であるが、フリーロールの配置された熱風オーブン中や、クリップ付いたMDリラックステンター中で行っても良い。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
A.80℃から25℃までの降温過程の寸法変化率(CTE)(ppm/℃)
JIS K7197(1991)に準じて、熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mmとして、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷する。20℃から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持し、その後、20℃まで10℃/分で降温させ、各温度(℃)における試料の寸法の値を得る。80℃における試料の寸法L(80℃)(mm)と、25℃における試料の寸法L(25℃)(mm)から、下記(vii)式から算出する。なお、寸法変化率は、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについて、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(vii)CTE(ppm/℃)=10×(L(80℃)−L(25℃)))/{20×(80−25)}
B.フィルムの主配向軸方向
フィルムの全ての方向について、JIS K 7105(1999)に準じて、アタゴ(株)製アッベ式屈折率計を用いて20℃での屈折率を求める。そして、最大の屈折率を有する方向をフィルムの主配向軸方向とする。
C.ヤング率(MPa)
オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”を用いて、幅10mm、長さ150mmに切断したフィルムをチャック間距離50mmの装置にセットして、引張速度300mm/分、温度25℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線からヤング率を求めた。なお、ヤング率は、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについてn=5で実施し、その平均値として算出する。
D.フィルムの厚み(μm)
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A−2法
に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平
均値を10で除してフィルム厚みとした。
E.150℃から50℃までの降温過程の寸法変化率(CTE)(ppm/℃)
JIS K7197(1991)に準じて、熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mmとして、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷する。室温から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持し、その後、20℃まで10℃/分で降温させ、各温度(℃)における試料の寸法の値を得る。150℃における試料の寸法L(150℃)(mm)と、50℃における試料の寸法L(50℃)(mm)から、下記(viii)式から算出する。なお、寸法変化率は、フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向それぞれについて、n=5で実施し、その平均値として算出する。
(viii)CTE(ppm/℃)=10×(L(150℃)−L(50℃)))/{20×(150−50)}
F.フィルム、各層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg−A、Tg−B)
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、ガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点から求める。2以上のガラス転移の階段状の変化部分が観測される場合は、それぞれについて、ガラス転移温度を求め、それらの温度を平均した値を試料のガラス転移温度(Tg)(℃)とする。積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂のガラス転移温度を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
G.フィルム、各層を構成する樹脂の融点(Tm−A、Tm−B)(℃)
試料を、JIS K 7121(1999)に基づいた方法により、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mgずつ秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、吸熱ピークである結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を求め、これを融点(℃)とする。2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最もピーク面積の大きいピークトップの温度を融点とする。
積層ポリエステルフィルムの各層を構成する樹脂の融点を測定する場合は、積層ポリエステルフィルムからミクロトームを用いて各層を構成する樹脂のみ削りだし、測定に供する。
H.フィルムの熱収縮率(%)
JIS C 2318(1997)に準じて、フィルムの熱収縮率を測定する。フィルムを幅10mm、長さ150mmの短冊状に切り出す。測長部分がおおよそ100mmになるようにフィルムに標線をつけて標線の長さを23℃の条件下にて測定し、L0とする。その後、所定の温度(150℃)に熱した熱風オーブン内に2gのおもりをつけてフィルムを吊し、30分間放置する。フィルムをオーブンから取りだして23℃まで冷却した後、標線の長さを測定し、L1とする。下記(ix)式によりフィルムの収縮率を求める。測定は、フィルム長手方向またはフィルム幅方向が150mmの長さになるようにランダムに5箇所切り出して測定する。長手方向、幅方向それぞれに平均値を算出し、フィルムの熱収縮率とする。評価はn=5で実施し、その平均値として算出する。
(ix)(フィルム熱収縮率)=(L0−L1)/L0×100
I.表面粗さ(Ra)、最大高さ粗さ(Rz)
触針法の高精細微細形状測定器(3次元表面粗さ計)を用いてJIS−B0601(1994年)に準拠して、下記条件にてポリエステルフィルムの表面形態を測定する。
・測定装置 :3次元微細形状測定器(型式ET−4000A)(株)小坂研究所製
・解析機器 :3次元表面粗さ解析システム(型式TDA−31)
・触針 :先端半径0.5μmR、径2μm、ダイヤモンド製
・針圧 :100μN
・測定方向 :フィルム長手方向、フィルム幅方向を各1回測定後平均
・X測定長さ:1.0mm
・X送り速さ:0.1mm/s(測定速度)
・Y送りピッチ:5μm(測定間隔)
・Yライン数:81本(測定本数)
・Z倍率 :2000倍(縦倍率)
・低域カットオフ:0.20mm(うねりカットオフ値)
・高域カットオフ:R+Wmm(粗さカットオフ値)R+Wとはカットオフしないことを
意味する。
・フィルタ方式:ガウシアン空間型
・レベリング:あり(傾斜補正)
・基準面積 :1mm
一方の面の表面粗さRaをRaA、最大高さ粗さRzAとし、もう一方の面の表面粗さRaをRaB、最大高さ粗さRzBとした。
J.100℃におけるCOPフィルムとの貼り合わせ評価(しわ)
本発明のフィルムを20cm×20cmの大きさに切り出し、COPフィルムと貼り合わせた後、100℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却した。その後、本発明のフィルムとCOPフィルムを貼り合わせたシートの、3cm以上の長さを持つシワの数を計測し、以下のように判定する。評価はn=5で実施し、その平均値として算出する。
4本未満;A
4本以上9本以下;B
10本以上15本以下;C
16本以上;D
Aが最も優れ、Dが最も劣る。
COPフィルムとして、日本ゼオン社製“ゼオノアZF14”、厚み40μmのフィルムを用いる。貼り合わせには、粘着剤として東レコーテックス社製“レオコート”R5000を、粘着剤含有量が15%となるように調整したトルエン溶液に、該トルエン溶液100質量部に対して、東レコーテックス社製架橋剤“コロネートL”を3質量部添加したものを、乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布したものを用いる。
K.100℃におけるCOPフィルムとの積層体のカール性
J.項で作製した積層体を、100℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却し、1時間放置した。その後、フィルムを水平な面の上に、COPフィルムが上側となるように置き、積層体の4隅の水平な面からの浮きの量を測定し、平均値を求め、カール量(mm)として以下のように判定する。上述の方法で水平な面から積層体の隅が浮かない場合、フィルムが上側になるように置き、負の値としてカール量を求める。評価はn=5で実施し、その平均値として算出する。
0mm以上20mm未満;A
20mm以上40mm未満又は、0mmを超え−5mm未満;B
40mm以上55mm未満又は、−5mm以上−10mm未満;C
55mm以上又は、−10mm以上;D。
L.150℃におけるCOPフィルムとの貼り合わせ評価(しわ)
本発明のフィルムを20cm×20cmの大きさに切り出し、COPフィルムと貼り合わせた後、150℃のオーブン内に入れ、1時間静置した。その後、オーブンの温度を20℃/分の速度で室温まで冷却した。その後、本発明のフィルムとCOPフィルムを貼り合わせたシートの、3cm以上の長さを持つシワの数を計測し、以下のように判定する。評価はn=5で実施し、その平均値として算出する。
4本未満;A
4本以上9本以下;B
10本以上15本以下;C
16本以上;D
Aが最も優れ、Dが最も劣る。
COPフィルムとして、日本ゼオン社製“ゼオノアZF14”、厚み40μmのフィルムを用いる。貼り合わせには、粘着剤として東レコーテックス社製“レオコート”R5000を、粘着剤含有量が15%となるように調整したトルエン溶液に、該トルエン溶液100質量部に対して、東レコーテックス社製架橋剤“コロネートL”を3質量部添加したものを、乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布したものを用いる。
M.COPフィルムとの貼り合わせ評価(気泡の数)
本発明のフィルムを20cm×20cmの大きさに切り出し、COPフィルムと貼り合わせた。その後、本発明のフィルムとCOPフィルムを貼り合わせたシートの、1mm以上10mm以下の大きさを持つ気泡の数を計測し、以下のように判定する。評価はn=5で実施し、その平均値として算出する。
5個未満;A
6個以上10個以下;B
11個以上15個以下;C
16個以上;D
Aが最も優れ、Dが最も劣る。
COPフィルムとして、日本ゼオン社製“ゼオノアZF14”、厚み40μmのフィルムを用いる。貼り合わせには、粘着剤として東レコーテックス社製“レオコート”R5000を、粘着剤含有量が15%となるように調整したトルエン溶液に、該トルエン溶液100質量部に対して、東レコーテックス社製架橋剤“コロネートL”を3質量部添加したものを、乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布したものを用いる。
N.製膜性
製膜中にフィルムが1時間に破れる回数を数え、1回未満であるものをA、1回以上5回未満であるものをB、5回以上であるものをCとして評価する。Aが最も製膜性がよく、Cが最も劣る。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[PET−1の製造]テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、溶融重合PETを得た。得られた溶融重合PETを常法により固相重合せしめ、PET−1を得た。得られたPET−1のガラス転移温度は80℃、融点は255℃、固有粘度は0.85であった。
[PBT−1の製造]テレフタル酸および1,4−ブタンジオールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、溶融重合PETを得た。得られた溶融重合PETを常法により固相重合せしめ、PBT−1を得た。得られたPBT−1のガラス転移温度は40℃、融点は225℃、固有粘度は1.20であった。
[PET−Aの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して7.5mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は78℃、融点は240℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Bの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して10.3mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は78℃、融点は235℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Cの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して12.5mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は77℃、融点は233℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Dの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して18.2mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は73℃、融点は223℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Eの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して20.5mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は75℃、融点は220℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Fの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して21.8mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は74℃、融点は216℃、固有粘度は0.74であった。
[PET−Gの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して25mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は73℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Hの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して30mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は72℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Iの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して33.3mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は72℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Jの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して40mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は69℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Kの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して50mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は66℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Lの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して62.5mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は64℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Mの製造]テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、イソフタル酸共重合量がジカルボン酸成分全量に対して66.7mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は63℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Nの製造]テレフタル酸、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、シクロヘキサンジメタノール共重合量がジオール成分全量に対して25mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は74℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[PET−Oの製造]テレフタル酸、プロパンジオール(PG)およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、シクロヘキサンジメタノール共重合量がジオール成分全量に対して25mol%となるように常法により重合を行い、共重合PETを得た。得られた共重合PETのガラス転移温度は72℃、融点は観察されなかった。固有粘度は0.74であった。
[粒子マスターバッチAの製造]ポリエステル樹脂99質量部、炭酸カルシウム粒子(粒径1.1μm)1質量部をベントした押出機に投入し、280℃にて該押出機内で溶融混練せしめ、ポリエステル組成粒子マスターバッチAを作製した。
[粒子マスターバッチBの製造]ポリエステル樹脂50質量部、炭酸カルシウム粒子(粒径1.1μm)50質量部をベントした押出機に投入し、280℃にて該押出機内で溶融混練せしめ、ポリエステル組成粒子マスターバッチBを作製した。
(実施例1)
A/B/Aの3層構成とし、表層を構成する樹脂として、PET−1を95質量%と粒子マスターバッチAを5質量%とし、160℃で2時間真空乾燥した後、押出機1に投入した。また、内層を構成する樹脂として、PBT−1 60質量%とPET−G40質量%とし、160℃で2時間真空乾燥した後、押出機2に投入した。押出機内でそれぞれの原料を溶融させ、合流装置で押出機1に投入した樹脂がフィルムの両表層となるように合流させ、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、3層構造をもつ積層シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.2倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.5倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚み100μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例1のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例2)
内層を構成する樹脂をPBT−1が60質量%とPET−Cが40質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例2のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性にかなり優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、かなり優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例3)
内層を構成する樹脂をPBT−1が60質量%とPET−Kが40質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例3のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性にかなり優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、かなり優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれがかなり小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例4)
内層を構成する樹脂をPBT−1が51質量%とPET−Bが49質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例4のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例5)
内層を構成する樹脂をPBT−1が51質量%とPET−Eが49質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例5のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例6)
内層を構成する樹脂をPBT−1が70質量%とPET−Iが30質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例6のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれがかなり小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例7)
内層を構成する樹脂をPBT−1が70質量%とPET−Mが30質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例7のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例8)
内層を構成する樹脂をPBT−1が54質量%とPET−Fが46質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例8のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性にかなり優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、かなり優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例9)
内層を構成する樹脂をPBT−1が67質量%とPET−Hが33質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例9のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性にかなり優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、かなり優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例10)
厚みを変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例10のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例11)
厚みを変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例11のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例12)
厚みを変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例12のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性にかなり優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、かなり優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例13)
厚みを変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例13のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性にかなり優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、かなり優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例14)
実施例1で得られた二軸配向ポリエステルフィルムをフィルム巻きだしロールとフィルム巻き取りロールの間に設置された熱風オーブンにて、180℃の温度で張力50Nかけながら、フィルムが熱処理される時間が5分となるようにアニール処理を施した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例14のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例15)
内層を構成する樹脂をPBT−1が60質量%とPET−Nが40質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例15のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例16)
内層を構成する樹脂をPBT−1が60質量%とPET−Oが40質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例16のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。
(実施例17)
表層を構成する樹脂をPET−1が90質量%と粒子マスターバッチBを10質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。実施例17のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れ、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れるため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合に、非常に優れた性能を有するフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が少ないフィルムであった。
(比較例1)
内層を構成する樹脂をPBT−1が45質量%とPET−Dが55質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例1のフィルムは、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れていた。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれがかなり小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が50ppm/℃以下で、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが大きく、COPとの貼り合わせ性に劣り、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。
(比較例2)
内層を構成する樹脂をPBT−1が75質量%とPET−Jが25質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例2のフィルムは、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れていた。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が90ppm/℃を超えており、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが大きく、COPとの貼り合わせ性に劣り、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。
(比較例3)
内層を構成する樹脂をPBT−1が60質量%とPET−Aが40質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例3のフィルムは、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れていた。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が50ppm/℃以下で、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが大きく、COPとの貼り合わせ性に劣り、150−50℃寸法変化率も低いため、加工温度でのしわや剥がれが大きく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。
(比較例4)
内層を構成する樹脂をPBT−1が60質量%とPET−Lが40質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例4のフィルムは、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れていた。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が50ppm/℃以下で、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが大きく、COPとの貼り合わせ性に劣り、150−50℃寸法変化率も低いため、加工温度でのしわや剥がれが大きく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。
(比較例5)
内層を構成する樹脂をPBT−1が100質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例5のフィルムは、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れていた。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が50ppm/℃以下で、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが大きく、COPとの貼り合わせ性に劣り、150−50℃寸法変化率も低いため、加工温度でのしわや剥がれが大きく、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。
(比較例6)
内層を構成する樹脂をPBT−Bが100質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例6のフィルムは、ヤング率*厚みが好適な範囲のためカールが小さく、加工性に非常に優れていた。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が50ppm/℃以下で、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが大きく、COPとの貼り合わせ性に劣り、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には、適していないフィルムであった。
(比較例7)
厚みを変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例7のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れたフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、ヤング率*厚みが130以下のためカールが大きく、加工性に劣るため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には適していないフィルムであった。
(比較例8)
厚みを変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例8のフィルムは、MD方向、TD方向いずれの80−25℃フィルム寸法変化率が好適な範囲のため、COPと貼り合わせて常温から加熱した場合にしわや剥がれが小さく、COPとの貼り合わせ性に非常に優れたフィルムであった。さらに、150−50℃寸法変化率も好適な範囲のため、加工温度でのしわや剥がれが非常に小さいフィルムであった。また、表面粗さと最大高さ粗さが好適な範囲のため、COPと貼り合せた際の気泡の発生が非常に少ないフィルムであった。しかし、ヤング率*厚みが500を超えるため曲げにくく、加工性に劣るため、COPと貼り合せて透明導電膜として使用する場合には適していないフィルムであった。
Figure 2020063399
Figure 2020063399
Figure 2020063399
Figure 2020063399
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Figure 2020063399
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本発明のポリエステルフィルムは、機械特性、加工性に優れており、25℃から80℃までの寸法変化率が、COPフィルムに近く、剛性に優れるため、非晶性フィルムを含む積層体を保護する用途に好適に用いることができる。特に透明導電膜製膜に用いられるCOPフィルムの保護フィルムの用途として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記(1)、(2)の要件を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
    (1)フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、80℃から25℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ50ppm/℃以上90ppm/℃以下であること。
    (2)フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、ヤング率を平均した値をYave(GPa)、フィルムの厚みをt(μm)としたとき、下記(i)式を満たすこと。
    (i)130≦Yave*t≦500
  2. フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃から50℃までの降温過程での寸法変化率が、それぞれ60ppm/℃以上140ppm/℃以下である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. フィルム主配向軸方向と、それと直角をなす方向の、150℃30分熱処理後の熱収縮率が、それぞれ−0.5%以上2.0%以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 少なくとも一方の表面粗さRaが20nm以上200nm以下、最大高さ粗さRzが400nm以上2000nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの両側の表層のガラス転移点温度(Tg−A)がいずれも65℃以上90℃以下であり、表層以外の層のガラス転移点温度のガラス転移点温度(Tg−B)が40℃以上65℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 少なくとも3層を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの両側の表層の融点(Tm−A)が240℃以上280℃以下であり、表層以外の層の融点(Tm−B)が180℃以上240℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 非晶性フィルムを含む積層体を保護する用途に用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20230122075A (ko) 2020-12-18 2023-08-22 도요보 가부시키가이샤 2축 연신 폴리에스테르 필름

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