JP5521378B2 - 光拡散性フィルム - Google Patents

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本発明は、光拡散性フィルムに関する。詳しくは、優れた平面性を有する積層体のベースフィルムに適した光拡散性フィルムに関する。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを基材フィルムとする光拡散性フィルムは、優れた光透過性、光拡散性、耐薬品性から液晶ディスプレイのバックライト用フィルムとして利用されている。特に、表面が平滑でありながら、光透過性、光拡散性、機械的強度に優れた光拡散性フィルムが提案されている(特許文献1〜2)。このような光拡散フィルムの平滑面に硬化収縮性樹脂組成物からなる各種の機能層を付与することで、複合化した機能を持たせることが可能となる。
上記の如き用途の光拡散性フィルムには、通常の包装用途等のフィルムに比べて平面性(平面な台の上に戴置した場合のフラットネス)が良好であることが要求される。殊に、近年の製品の高性能化に伴って、平面性に対する要求が高く、平面性の乱れは品質上の欠陥となる。
一方、平面性の良好な空洞含有ポリエステル系フィルムを得ることを目的に、ロール状フィルムから切り出したフィルムのカールと、加熱後のカールを抑えることに関して、特許文献3、4の如く、縦延伸工程での表裏の赤外線の出力の変更および横延伸工程、熱固定工程のフィルムの温度差を設けて実施する方法が記載されている。
更に、平面性の良好なフィルムを得ることを目的に、フィルムから切り出したフィルムのカールを加重下で抑えることに関して、特許文献5の如く、フィルム表裏の温度差を縦延伸時に10℃以下とすることが記載されている。

特開2001−272508号公報 特開2004−354558号公報 特開2001−342273号公報 特開2001−342274号公報 特開平10−258458号公報
光拡散性フィルムをベースフィルムとして作製された積層体も平面性が良好であることが要求される。平面性の良好な積層体をえるために、上記のように比較的厚手のベースフィルムを用いたり、平面性の優れたベースフィルムを用いることが行われている。また、積層体自体にソリがあったとしても、積層体を部材として組立体を作製する場合は、アセンブリー方法を工夫することで積層体の平面性を調整することが行われている。そのため、従来のベースフィルムであっても問題なく使用することが可能であった。
しかしながら、硬化収縮性樹脂組成物を積層した場合、樹脂の硬化に伴う硬化収縮により、僅かではあるが硬化性樹脂層側に微小なソリが生じていることが分かった。そのため、従来は平面性が良好とされていた積層体においても、より大面積化が求められる用途などにおいては、ソリの程度が少ないものが精密性の向上に役立つと考えた。
本発明は、光拡散性フィルムに関する。詳しくは、優れた平面性を有する積層体のベースフィルムに適した光拡散性フィルムに関する。例えば、光拡散性フィルムに硬化収縮性の樹脂組成物を積層した際に、硬化収縮性樹脂組成物の硬化収縮が発生しても、ベースフィルムが反対面に収縮性を有するために、全体として反りが均衡し、積層体全体として優れた平面性を備えることが可能なベースフィルムとして好適に使用できる光拡散性フィルムに関する。
本願発明の内、第1の発明は、下記要件(1)〜(4)を満たす光拡散性フィルムである。
(1)二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、内部に光拡散成分を有する光拡散層を有すること
(2)前記光拡散層が、少なくとも光透過性樹脂と光拡散成分としての微粒子からなること
(3)前記微粒子の平均異形度が1.2以上であること
(4)フィルムを製膜の長手方向に300mm、それに直角な幅方向に210mmの試料を採取し、前記試料の片側の面を上にして台紙に載せ、加熱オーブン中で150℃で30分間熱処理した後、台紙ごと前記試料を加熱オーブンより取り出し、前記試料を室温で30分放置した後、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定した際に、四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下であること
(なお、加熱後に室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にしてソリの高さを測定する。)
第2の発明は、前記光拡散性フィルムの厚みが100μm以上400μm以下である前記光拡散性フィルムである。
第3の発明は、光拡散性樹脂フィルムの全光線透過率が80%以上であり、かつヘーズが60%以上であることを特徴とする前記光拡散性フィルム。
第4の発明は、前記光拡散性フィルムの少なくとも片面に被覆層を有し、前記被覆層の表面に紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂からなるプリズム列、または光拡散層を設けてなることを特徴とする積層体である。
本発明の光拡散性フィルムは、フィルム単体としても積層体としても平面性が良好である。よって、好ましい実施態様として、本発明のフィルムをベースフィルムとして、ハードコート層やレンズ層などの硬化収縮性樹脂組成物を積層しても、積層体全体としての平面性が良好である。また、好ましい実施態様として、収縮性の異なる、もしくは収縮性を有する素材を、積層、もしくは張り合わせても、積層体全体としての平面性が良好である。
本発明の光拡散性フィルムの基材フィルムであるポリエチレンテレフタレート系フィルムは、エチレングリコールおよびテレフタル酸を主な構成成分とする。本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他のジカルボン酸成分およびグリコール成分を共重合させても良い。上記の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス−(4−カルボキシフェニルエタン)、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シクロヘキサン−1、4−ジカルボン酸等が挙げられる。上記の他のグリコール成分としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA等のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。この他、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分も利用され得る。
本発明の光拡散性フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系フィルムの少なくとも片側の面に、内部に光拡散成分を有する光拡散層が積層した構造を有するものである。
本発明の光拡散層は、少なくとも光透過性樹脂と光拡散成分からなる。
本発明で好ましく用いられる光透過性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの樹脂や、無機物などが挙げられるが、中では熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。好ましく用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプレピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物等が挙げられる。特に本発明においては、フィルムを構成する主成分の樹脂としてポリエステルが好ましく、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレートまたはこれらを主たる成分とする共重合体や混合物等のポリエステル系樹脂が特に好ましく用いられ、特にポリエステル成分を70〜98質量%含むことが耐熱性、生産安定性等の点から好ましい。
ここでいう光透過性樹脂の光透過性とは、可視光領域の光線に関し透明であることをいう。詳しくは、それら樹脂のみからなる膜厚450μmのフィルムの全光線透過率が80%以上である樹脂のことを指す。ここで、全光線透過率はヘーズメーターを用いて測定することができる。
本発明の光拡散性フィルムは、光拡散層の内部に光拡散成分としての微粒子が異形粒子状に分散しており、平均異形度が1.2以上であることを特徴とする光拡散性フィルムである。ここで異形粒子とは粒子の最大径と最小径が異なるものをいう。
また、本発明の光拡散性フィルムは、各異形粒子の最大径方向を平均した方向である配向主軸がフィルム面内方向にあり、導光板表面に於いて該光拡散性フィルムの配向主軸を入光辺に対して垂直方向になるように配置することが好ましい。本発明の光拡散性フィルムは、フィルム面内において、配向主軸方向とそれに垂直な方向での光拡散性が異なる。つまり、偏った異方拡散性を示すフィルムである。本発明において面光源が、光出斜面に対して導光板の側面から光源により光を導入する方式である場合には、光拡散性フィルムと組み合わせない場合の導光板のみの配光特性は、非常に偏った分布を示す。この偏った分布をもつ導光板に対して、本発明の光拡散性フィルムの配置を採用することにより、拡散性は維持しながら効率よく光線を正面方向に指向させることが可能となり、一層の高輝度化が実現できる。
本発明において、異形粒子の最大径と最小径の比であらわされる平均異形度は1.2以上であることが必要であり、好ましくは1.5以上1000以下、さらに好ましくは2以上500以下である。最大径と最小径の比をかかる好ましい範囲とすることで大きな異方拡散性を示すことができる。また、異形粒子をフィルム面に垂直な方向(光出射方向)から観察した際の形状も最大径、最小径を有する異方形状を有することが好ましく、この場合も、平均異形度は1.2以上であることが好ましい。
本発明で用いられる微粒子としては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、またはこれらの混合物などを挙げることができる。ここでスチレン系エラストマーの例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/プロピレンコポリマー(SEP)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)などが挙げられる。中でもスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)が耐熱性等の点から好ましい。スチレン系エラストマーを用いた場合、その添加量が2質量%未満では光拡散性が不十分となり、また30質量%を越えるとフィルムの製膜性や平面性、加工性等に不具合が生じやすくなってしまう。光拡散性の点から好ましくは5〜20質量%である。
本発明の光拡散層の原料として用いられる光透過性樹脂と光拡散性成分としての微粒子は、事前に均一に溶融混練して配合させて作製されたペレットまたは直接混練押出し機に供給するなどして溶融混練する。
本発明の光拡散性フィルムは、基材フィルムである二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムに光拡散層を積層して構成される。光拡散層だけの単膜からなるフィルムは、全光線透過率及びヘーズの高いフィルムは得られるが、曲げ剛性などのフィルムの機械的強度に劣るため好ましくない。曲げ剛性が弱いと、製膜後の取り扱い時に折れ目が入りやすい等ハンドリング上の問題が生じるため好ましくない。また、内部に含有する光拡散成分が表面の平坦性を阻害する。よって、本発明の光拡散性フィルムは、光拡散層と、機械的強度及び表面の平坦性に優れた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムを積層する。ここで積層方法について説明すると、例えば、光拡散層の原料と二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの原料を別々の押出機で溶融し、Tダイ等を通して共押出成形等の方法が挙げられる。フィルム状に成形後、必要により延伸工程、熱固定工程、熱処理工程等を経て目的の光拡散層を得る。ここで、延伸工程が必要な場合、延伸後にフィルム中にボイド(微細な気泡)が生成することがある。フィルム中に多量のボイドが生成した場合、全光線透過率や輝度が低下することがあるため、熱固定、熱処理するなどの工程を経てボイドを消滅させることが必要なときがある。
基材として用いるポリエチレンテレフタレート(以下、単にPETという)の重合法としては、テレフタル酸とエチレングリコール、および必要に応じて他のジカルボン酸成分およびジオール成分を直接反応させる直接重合法、およびテレフタル酸のジメチルエステル(必要に応じて他のジカルボン酸のメチルエステルを含む)とエチレングリコール(必要に応じて他のジオール成分を含む)とをエステル交換反応させるエステル交換法等の任意の製造方法が利用され得る。
本発明のフィルムをPETによって形成する場合には、原料であるPETの極限粘度(IV)は、0.45〜0.70dl/gが好ましく、0.55〜0.65dl/gがより好ましい。PET原料の極限粘度が0.45以下であると、回収されて再度押出機を通過した後のPETの重合度が低くなりすぎて、フィルムの延伸性が悪化したり、耐引き裂き性が低下したりするため好ましくない。反対に、極限粘度が0.70dl/gを上回ると、濾圧が大きくなりすぎて高精度濾過が困難となるので好ましくない。なお、樹脂原料のIVは、たとえば、以下のような方法で求められ、[η]として表される。
[極限粘度(IV)]
PETの粉砕試料を乾燥後、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、Hugginsの定数が0.38であると仮定して算出する。
また、本発明のフィルムをPETによって形成する場合には、PET原料の酸価(AV)は、3〜30eq/tの範囲が好ましく、5〜25eq/tであるとより好ましい。酸価が3eq/t以下であると、重合速度が遅くなってしまい、製造効率が低下するので好ましくない。反対に、酸値が30eq/t以上であると、加水分解が進行し易く、重合度の低下を引き起こし易いので好ましくない。なお、樹脂原料の酸価は、たとえば、以下のような方法で求められる。
[酸価]
原料を粉砕した後、ベンジルアルコールに溶解し、クロロホルムを加えてから水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し、PET1t当たりの水酸化ナトリウムの当量を算出する。
本発明の光拡散性フィルムから、製膜の長手方向(縦方向)に300mm、それと直角な幅方向に210mmの長方形のフィルム試料を切り出した場合、下記測定条件により150℃、30分間の熱処理により四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下になることが必要である。
加熱後のソリは以下の方法により測定する。
(1)フィルム製膜の長手方向(縦方向もしくは機械方向ともいう)300mm×幅方向210mmの長方形のフィルム試料を切り出す。
(2)前記試料を、片側の面(例えばx面とする)を上にして平面な台紙に乗せ、加熱オーブンの棚板に載せる。ここで、台紙は厚紙、板紙ともいい、1mm程度の厚さのものが好適である。
(3)加熱オーブンを150℃に調整し、30分間、加熱処理を行う。
(4)加熱処理後、台紙ごと前記試料を取り出し、室温で30分放置する。なお、ここでの室温条件は、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された条件であることが望ましい。
(5)30分間放置した前記試料を水平なガラス板(厚さが5mm程度が望ましい)に乗せ、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で、目視により最小目盛りの10分の1まで測定する。全試料について四隅のソリの高さを測定し、四隅のソリの高さの平均を求める。
(6)なお、加熱後室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面(長方形のいずれかの辺)がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にして(前記x面を下にして)ソリの高さを測定する。つまり、本願のソリは加熱後にフィルムにソリが生じた場合の凹面を上にして四隅の高さを測定する。
本発明の光拡散性フィルムの上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均は、0.6m以上がより好ましく、0.7mm以上がさらに好ましい。上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均が、0.5mm未満の場合は、硬化収縮性樹脂を積層した場合、樹脂の硬化収縮によりソリに抗しきれず、積層体が全体として硬化樹脂組成層側に反り易くなる。また上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均は、4.0mm以下がより好ましく、3.5mm以下がさらに好ましい。上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均が、5。0mmを超える場合は、硬化収縮性樹脂を積層した場合、樹脂の硬化収縮によりソリ以上に強いソリが生じ、積層体が全体としてベースフィルム側に反り易くなり好ましくない。
上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下である場合、片面に硬化収縮性樹脂組成物を積層し、硬化に伴う硬化収縮が生じても、積層体全体としては平面性が保持される。積層体全体としての平面性の許容範囲は、用途にもよるが、例えば、長手方向(縦方向)300mm×幅方向210mmの長方形の積層体の場合、四隅のソリの高さの平均は、0.5mm以下が好ましい。
本発明の光拡散性フィルムは、加熱処理前の状態では、平面性が良好であることが望ましい。よって、長手方向に300mm、それと直角な幅方向に210mmの長方形のフィルム試料を切り出した場合、加熱処理を行わず、四隅のソリの高さを測定した際に、ソリの高さの最大値はフィルム厚み以下であり、四隅のソリの高さの平均値は、フィルムの厚みの20%以下であることが好ましい。
加熱処理を行わない場合の、ソリの高さの最大値は、フィルム厚み以下であることが好ましく、フィルム厚みの90%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましく、50%以下であることが特に好ましい。また、加熱処理を行わない場合のソリの高さの平均は、20%以下であることが好ましい。加熱処理を行わない場合のソリの高さ最大値がフィルム厚み以下、もしくは平均値が20%以下である場合は、硬化性樹脂の塗布などのフィルムの加工時において平面性の歪みが少なく加工精度が良好であるため、歩留まりの点から好ましい。
本発明の光拡散性フィルムを構成するフィルムの厚みは、特に限定はされない。しかしながら、積層体のベースフィルムとしては、100μm以上400μm以下の厚みであると好ましい。また、フィルムの厚みは110μm以上がよりに好ましく、120μm以上がさらに好ましい。フィルムの厚みは100μm以上であれば、枚葉での取り扱いが容易となり好ましい。また、フィルムの厚みは、400μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましい。フィルムの厚みが400μm以下であれば、切断加工が容易となり好ましい。
また、フィルムに光拡散性以外の機能性を付与するため、3層以上の多層構造を有するポリエチレンテレフタレート系光拡散性フィルムとしても良い。易滑層や易接着層を塗布する面をA層、その光拡散層をB層、これら以外の面をC層とすると、フィルム厚み方向の層構成は、A/B,A/B/A, A/B/C, A/C/B, あるいはA/C/B/C/A等の構成が考えられる。A〜C層の各層は、それぞれ、材質が同じであっても良いし、異なっていても良い。
本発明の光拡散性フィルムの片面、又は両面に後加工工程時の接着性を改良する目的や滑り性を改良する目的で種々のコーティングを製膜時に付与したものでもなんら差し支えがない。
硬化性樹脂との接着性を改良のために、本発明のフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする被覆層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは被覆層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。本発明の被覆層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
被覆層は、前記塗布液を縦方向の1軸延伸フィルムの片面または両面に塗布した後、100〜150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な被覆層の塗布量は、0.05〜0.20g/mに管理することが好ましい。塗布量が0.05g/m未満であると、得られる硬化性樹脂との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.20g/mを超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。ポリエステルフィルムの両面に被覆層を設ける場合は、両面の被覆層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
被覆層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。被覆層に含有させる粒子としては、前述した微粒子と同様のものが例示される。
また、塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
また、本発明のフィルムを構成する光拡散性フィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
また、本発明のフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム中には、必要に応じて微粒子を添加することができる。その際に添加する微粒子としては、公知の無機微粒子や有機微粒子を挙げることができる。さらに、フィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、たとえば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。本発明におけるポリエチレンテレフタレート系樹脂には、微粒子を添加してポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの作業性(滑り性)を良好なものとすることが好ましい。微粒子としては任意のものが選べるが、たとえば無機系微粒子として、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等を挙げることができる。また、有機系微粒子として、たとえばアクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜2.0μmの範囲内で、必要に応じて適宜選択することができる。
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに上記粒子を配合する方法としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めても良い。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエチレンテレフタレート系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエチレンテレフタレート系樹脂原料とをブレンドする方法等によって行うことができる。
本発明のソリに対する技術思想は以下の通りである。
(1)硬化収縮性樹脂組成物は、硬化による架橋構造を形成し、硬化前後において体積が10%程度減少する。そのためベースフィルムの片面に硬化性樹脂組成物を積層した場合、樹脂の硬化に伴う硬化収縮により、積層体全体として、硬化性樹脂組成物側が凹部になるようなソリが生じる。
(2)(1)のソリを防止する為に、硬化性樹脂の硬化収縮に抗するように、ベースフィルムに反対側のソリが生じれば、積層体全体としてソリが相殺できると考えた。このため、硬化性樹脂組成物層が無い、ベースフィルム単独では、積層面と反対側にソリが生じることが必要である。
(3)本発明者らはベースフィルムの片側に高温短時間の熱処理を行うと、熱処理面が収縮し、僅かにソリが発生することを確認して本発明の着想を得た。そこから、ベースフィルムにソリを発生させるにはフィルム表裏の熱収縮率が異なると良いと考えた。フィルムの表裏に熱収縮率差がある場合、硬化性樹脂の硬化処理に際して生じる熱により、収縮率の大きい面が凹部になるようなソリが発生する。ただし、加熱により発現するソリは僅かなものであった。しかし、本発明者らは、10%程度の大きな収縮率を有する硬化収縮性樹脂組成物を塗布した場合であっても、ベースフィルムを僅かに反らせるだけで、硬化収縮に抗して積層体全体として平面性が保たれるという驚くべき効果を見出した。
(4)しかも、このベースフィルムは、加工性の点から、加熱処理を施さない状態ではソリがなく実質上平面であり、従来のベースフィルムと同様に使用が出来る必要がある。つまり、本願発明のフィルムは、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するという従来にない特性を有するフィルムである。
[本発明のフィルムの製造方法]
<従来の延伸方法の問題点>
これまで、フィルムの平面性を制御する方法として、特許文献3(特開2001−342273号公報)、特許文献4(特開2001−342274号公報)に記載された方法が開示されている。特許文献3、特許文献4では、空洞含有ポリエステル系フィルムの場合、フィルム表裏の構造差に起因するカールを抑制する手段として、「(1)空洞の体積分率を小さくし、且つ各々の空洞サイズを小さく抑制しすることで、内部歪に耐えてカールの発生を抑制する方法、(2)フィルム厚み方向に空洞に分布を持たせる方法、(3)押し出し時の冷却差によるフィルム厚み方向の結晶化度の差に始まる各工程で付与されるフィルム表裏の構造差に起因するカールを制御するために、積極的にフィルム表裏の構造差を発生させ、必然的な構造差と補完しあってカール値をゼロに近づける方法」が記載されている。
さらに、「ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞をフィルム内部に多数含有する空洞含有ポリエステル系フィルムでは、カールの少ないフィルムを得ることは従来の技術では非常に困難である」が、「通常の透明ポリエステルフィルムでは、巻き癖カールの発生は非常に緩やかであり、問題となることは非常に少ない。」ことが記載されている。
しかしながら、特許文献3、4はカールをなくす点に主眼が置かれているのに対し、本発明ではフィルムに潜在的なソリを積極的に付与することを目的とするものである。さらに、特許文献3、4では空洞含有フィルムが前提であるのに対し、本発明では空洞を含有しない透明なポリエチレンテレフタレート系フィルムにおいて潜在的なソリを付与するものである。
空洞含有フィルムと、空洞を含有しないポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとでは熱伝導度が異なる(空洞含有フィルムは熱伝導度小さいが、空洞の無いフィルムにおいては熱伝導度大きい)。よって、空洞を含有しないポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの場合、特許文献3、4の方法では、製造工程中において、潜在的なソリの発現に必要な表裏の温度差を付けることは難い。
更に、フィルムに加重を掛けた時にカールが生じないことを目的として、特許文献5(特開平10−258458号公報)に記載された方法により縦延伸工程でのフィルム表裏の温度差を10℃以下に設定する方法が開示されている。
特許文献3はカールを生じないフィルムを得ることを目的とするに対し、本発明ではフィルムに、硬化性樹脂の硬化に伴う硬化収縮が生じても、それに均衡しうる潜在的なソリを有するフィルムを得ることを目的とするものである。そのため、加熱による熱収縮を表裏で異なるようにするためには、特許文献5のように、一段延伸では不十分であった。本願発明のフィルムを得るためには、理由は明確ではないが、後述するように多段の延伸が必要であった。
本発明者らは、上記した従来の延伸方法が有する問題点を解消すべく、どうすれば、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するフィルムを得ることが出来るか鋭意検討した。その結果、従来の延伸方法とは異なり、フィルムの製造工程において積極的にフィルム表裏における分子配向差を設けることにより、加熱によりソリが発現するフィルムを得ることを見出し、本願発明を完成するに至った。より具体的には、以下のような(1)〜(3)に記載した達成手段を相互に関連させることにより、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するという従来にない特性を有するフィルムを得たのである。さらに、下記(4)の手段を講じることにより、平均異形度が1.2以上である微粒子を含有する光拡散層を得ることができ、表面が平滑でありながら、光透過性、光拡散性、輝度特性に優れたフィルムを得ることが可能となり、本発明を案出するに至った。
<本発明のフィルムの製造方法の特徴>
(1)未延伸シートの表裏の温度差
本発明のフィルムの製造において、まず溶融した樹脂を口金より押出し、冷却したキャスティングドラムに巻き取ることで急冷固化し、未延伸シートを得る。この際、未延伸シートの厚みは、例えば、100μm以上の厚手のフィルムにおいては、凡そ1000μmかそれ以上になる。未延伸シートの冷却はシート表面から行われるため、キャスティングドラムに接した面(以下、表面(F)と言う)と、その反対面(以下、裏面(B)という)とで冷却効率が異なり、未延伸シートの表裏で温度差が生じる。
未延伸シートの厚みにも依存するが、この未延伸シートの表裏の温度差により、フィルムのカールの発現が異なる。表裏の温度差が大きくなると、シート自体がカールし、ロール表面にシート中央部がロールに密着せず、ロール上で接触が不十分となる。これにより、工程内での意図しない個所との接触し、フィルムにキズが発生することとなる。このため、通常、シートの表裏の温度差は大きくし過ぎないようにすることが行われていた。しかしながら、本願発明では、加熱処理によりソリを発現させるためには、シートの表裏で結晶性に差異を設けることにより延伸工程において延伸配向に差異を生じさせて、加熱後のソリの発現を図るものである。この表裏の結晶性に差異を設けるには表裏の温度差が低くてもまた、高くても不可で適当な範囲があると推定した。
本願発明者は、上記特性を満たすため、未延伸シートの表裏の温度差とシート全体の温度の適正化について鋭意検討を行った。その結果、キャスティングドラムに続く第二冷却ロール(引き離しロール)の離れ際において、未延伸シートの表面(F)の表面温度をF、裏面(B)の表面温度をBとした場合に、未延伸シート表裏の表面温度差(F−B)は0℃以上33℃以下が望ましいことを見出した。
具体的には、第二冷却ロールの出口でシート表裏の表面温度差は5℃以上がより好ましく、8℃以上がさらに好ましく、10℃以上が特に好ましい。またシート表裏の表面温度差は、30℃以下がより好ましく、28℃以下がさらに好ましく、25℃以下が特に好ましい。
未延伸シート表裏の表面温度差(F−B)を上記範囲に制御する方法としては、冷却時間や、冷却ロールの温度を適宜制御することが望ましい。冷却されたキャスティングドラムに直接接する表面(F)は、裏面(B)に比較して早く冷却される。よって、1,000μm以上に厚くなると、表面温度差はキャスティングドラムで冷却している間、シート表裏の表面温度差が大きくなる状態が生じる。その後、キャスティングドラムに続く第二冷却ロールがある場合は、第二冷却ロールにより裏面(B)が冷却され、シート表裏の表面温度差が小さくなる。上記のような場合、例えば、冷却エアを用いて裏面を冷却させたり、キャスティングドラム径を小さくすることで早めに第二冷却ロールによる裏面の冷却を行うことにより、シート表裏の表面温度差を制御するのができる。また、冷却に要する時間は、シートの厚みや冷却ロールの速度などに依存するので、適宜、冷却エアの温度、冷却範囲、第二冷却ロールの温度などを調整するのが好ましい。
(2)縦延伸における表裏の温度差
本発明のフィルムを得るためには、縦延伸工程においてフィルム表裏に温度差を設け、フィルム表裏において分子の配向の程度を変えることが望ましい。縦延伸工程においてフィルム表裏の温度差を設けると、表面温度の高い側より表面温度が低い側の方が、配向歪みが残存し、加熱処理により発現する潜在的なソリが生じやすくなる。本発明のフィルムの製造での縦延伸時において、表裏の温度差を設けるために、ロールの温度設定や、非接触の赤外線照射、高速加熱エアによる加熱、その他の加熱または冷却手段を用いることが可能である。
さらに、本発明のフィルムを得るためには、表裏の温度差を設けた縦延伸を、多段、少なくとも2段以上で行うことが望ましい。本願の目的とする加熱により発現する潜在的なソリを設けるためには、一段で延伸しても、温度差による効果は少なく、延伸配向が進んだ状態で更に、温度差を設けた延伸を行うことが望ましい。すなわち、表裏で温度差を設けた延伸操作を少なくとも2回繰り返すことで、一段目の処理により表裏の配向が異なった状態を、更に温度差を設けて延伸を行うことにより、硬化収縮に拮抗しうるような十分な配向歪が得られないのではないかと考えている。特に、表裏の温度差を付けて一段で延伸した後に、一旦、冷却し、再度、表裏の温度差を設けた縦延伸を行うことは、効果的に配向歪を設ける点でより好ましい。
二段以上の縦延伸を行う場合、延伸倍率や表裏の温度差は、フィルムの厚さに応じて設定するのが望ましい。具体的には、周速差を設けたロール間において赤外線ヒータにより縦延伸を行い、100〜400μmの製品厚みのフィルムを作成する場合は、長手方向(縦方向)に2.0倍以上3.2倍以下の倍率となるように延伸した後に、その縦延伸後のフィルムを、表面温度が冷却されたニップロール間を通過させ、長手方向に1.03倍以上1.5倍以下の倍率となるように二段以上の延伸をすることが好ましい。表裏の温度差については、例えば、125μmの製品厚みのフィルムを作成する場合、一段目については、表裏の温度の平均が70℃以上115℃以下であって、表裏の温度差が0.3℃以上3℃以下となるように調整することが好ましく、二段目については、表裏の温度差が2℃以上5℃以下に調整することが好ましい。表裏の温度の平均が70℃未満では延伸が困難で厚み斑が生じやすくなり、115℃を超えでは表裏の温度差をつけることによる効果が得られにくくなる。また、表裏の温度差が5℃を超えると縦延伸後のシート自体にカールが生じ、ロールに沿わなくなり、キズが生じる原因となる。(なお、縦延伸工程におけるフィルム表裏の温度とはシートを厚み方向に三分割した中央以外の二つをいう。具体的には、伝熱計算により求めることが可能である。)
延伸工程においてフィルム表裏に温度差を設けて配向歪みを設ける場合は、延伸変形速度が高い方が適している。そのため、表裏の配向歪を設ける上では、上記のように縦延伸工程の方が、横延伸工程よりも適している。ただし、横延伸工程においても上下に温度差を設け、多段の延伸を行うことでフィルム表裏の配向歪を設けることは可能である。
(3)熱固定温度の上下の温度差
本発明おいて、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程において、フィルムの表裏の温度を0.1℃以上、0.5℃以下の温度差を設けることが好ましい。これは表裏の熱処理の程度に差異を設けることで、実質的に表裏の収縮率を変更することにある。熱固定工程において表裏の温度差を設けるには、例えば、熱固定装置のフィルムを介した上下で温度を変更する、または/そして風速差を設けることで可能となる。フィルムの表裏に上記温度差を設けるためには、熱固定装置の上下の温度差は3℃以上30℃以下が好ましい。3℃未満ではフィルムの温度差を付けるのに上下の風速差が5m/秒を超すこととなり、フィルムに歪み力が働くため、熱収縮率の制御が困難となったり、平面性の不均一が生じたり、厚みが変化する場合があり好ましくない。また、30℃超の温度ではフィルム上下の空気の密度差によりエアバランスの崩れが生じやすく好ましくない。熱固定工程において表裏の温度を実際に測定するのは困難な場合がある。そのため、シュミレーションによる表裏の温度の推定することが可能である。
(4)熱固定温度の調整
本発明の光拡散性フィルムは、上記のようにしてポリエチレンテレフタレート系フィルムの少なくとも片面に光拡散層を積層してなり、光拡散層は、ポリエステル系樹脂等の光透過性樹脂とスチレン系エラストマー等を含有している。
この積層シートを延伸することによってスチレン系エラストマー等からなる異形粒子を生成させることが可能となる。すなわち、一軸延伸の場合、延伸した分だけスチレン系エラストマー等が延伸方向に延びて棒状となり、二軸延伸の場合、縦横の延伸倍率を制御することによりスチレン系エラストマー等の形状に異方性を付与することが可能となる。
本願発明においては、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するフィルムを得るためには、上記達成手段(1)〜(3)を適宜選択、もしくは組み合わせることが望ましい。本発明の表裏の熱収縮率を直接評価するのは困難であるが、上記達成手段により、表裏の熱収縮率と言う物性を微妙にコントロールするという思想が達成できたと考えている。
上記に詳述した方法以外、例えば製膜中に片面熱処理を行う加熱ロールを通過させたり、片面冷却反対面を赤外線加熱、熱風加熱など他の方法を用いることも可能と考えられる。更に、二軸延伸後のフィルムを表裏のフィルムの温度をオフラインで変更して熱処理を行って熱処理することにより、表裏の熱収縮率を変更することにより、加熱後のソリを望みの熱収縮率差にすることも可能である。
また、上記した(4)の方法により、「平均異形度が1.2以上である微粒子を含有する光拡散層」を得ることが可能となる。なお、上記説明においては、縦横の延伸倍率を制御する方法を示した。上記説明は、延伸性の異なる2つの樹脂を、如何に一軸または二軸延伸することにより、本発明のフィルムが得られるか、という技術思想を開示したものであるが、当業者であれば、かかる技術的思想を上記した方法と異なった方法により容易に実施することができ、異なった方法で本発明のフィルムを得ることができる。すなわち、延伸倍率に適合するポリエステル系樹脂等とスチレン系エラストマー等の種類を選定すること、押出条件を制御することにより、本発明の如く、異方形状を有する微粒子を形成することが可能となる。
本発明における達成手段は上記の通りであるが、上記以外の製造条件、製造工程については後述する態様をとることができる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエチレンテレフタレート系樹脂原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
本発明のフィルムおいて、上記した縦−横延伸を行う際に、縦延伸倍率を2.5倍以上4.5倍以下に調整するのが好ましい。縦延伸倍率が4.5倍を上回って大きくなると、次の横延伸工程で破断しやすくなる。反対に縦延伸倍率が2.5倍を下回って小さくなると、延伸張力が極端に低下してしまうため、結果的にフィルムの厚みが悪くなり易い。
また、本発明では、横延伸工程に引き続き、熱固定処理を行う。熱固定処理工程の温度は180℃以上240℃以下が好ましい。熱固定処理の温度が180℃未満では、熱収縮率の絶対値が大きくなってしまうので好ましくない。反対に、熱固定処理の温度が240℃を超えると、破断の頻度が多くなり好ましくない。なお、好適な熱固定処理方法については、後述する。
熱固定処理で把持具のガイドレールを先狭めにして、弛緩処理することは熱収縮率、特に幅方向の熱収縮率の制御に有効である。弛緩処理する温度は熱固定処理温度からポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムのガラス移転温度Tgまでの範囲で選べるが、好ましくは(熱固定処理温度)−10℃〜Tg+10℃である。この幅弛緩率は1〜6%が好ましい。1%未満では効果が少なく、6%を超えるとフィルムの平面性が悪化して好ましくない。
上記した方法により製造される本発明のフィルムは、透明性、厚み斑(特に、長手方向の厚み斑)、に優れており、特に硬化収縮性樹脂組成物を塗工するベースフィルムには硬化樹脂が硬化収縮するのでその硬化収縮後の平面性を保つのに好適に使用できる。
特に、1枚のフィルムに複数の光学的機能を付与する際に、光拡散性フィルムの少なくとも一方の面に、硬化収縮性樹脂組成物からなるプリズム列、または光拡散層を設けた積層体のように、1枚のフィルムに複数の光学的機能を付与する場合に、本願発明の光拡散性フィルムは好適に使用できる。この場合に用いられる硬化収縮性樹脂組成物としては、紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂が挙げられる。
紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂は、アクリレート系官能基を有する樹脂であり、好ましくは、ポリエステルアクリレート、あるいはウレタンアクリレートである。ポリエステルアクリレートは、ポリエステル系ポリオールのオリゴマーのアクリレートまたはメタクリレート(以下、アクリレート及び/またはメタクリレートを、(メタ)アクリレートと記載する場合がある)、あるいはその混合物から構成される。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物からなるオリゴマーを(メタ)アクリレート化したものから構成される。
紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂は、紫外線あるいは電子線を照射することにより硬化する。紫外線を照射する場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプを用い、100〜400nm、好ましくは、200〜400nmの波長領域で、100〜3000mJ/mのエネルギーで紫外線を照射する。また、電子線を照射する場合、走査型あるいはカーテン型の電子線加速器を用い、加速電圧1000keV以下、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有し、かつ100nm以下の波長領域の電子線を照射する。この際、紫外線あるいは電子線を照射
による発熱により、本願発明のフィルムの潜在的なソリが発現し、全体として平面性の優れた積層体が形成される。
プリズム列、または光拡散層の厚さは、0.1〜30μmの範囲で、用途に応じて決めればよい。より好ましくは1〜15μmである。
また、本発明の光拡散性フィルムに硬化収縮性樹脂組成物からなるプリズム列、または光拡散層を設ける場合は、密着性を高める為に、予めポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の少なくとも1種を含む塗布層を設けることも、本発明の望ましい実施形態である。かかる塗布層を設けることで、易接着性を付与し、他の機能層を設けることが容易になる。
本発明の光拡散フィルムをベースフィルムとする積層体は、良好な平面性を有する。ここで積層体の平面性は次のように評価することができる。積層体から長手方向に300mm、それと直角な幅方向に210mmの長方形の試料を切り出し、試料を温度23±2℃、湿度65±5%に管理された室内で30分以上静置する。そして、フィルム四隅の反りあがりの高さを静置面を基準に垂直方向に測定する。この際、本発明の積層体は、四隅の反りの高さが0.5mm以下であることが好ましい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。なお、フィルム特性の評価方法は以下の通りである。
(1)フィルムの平面性1
フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの試料を50枚採取する。この試料を未延伸シート工程で最初に冷却ロールに接した面(表面(F))を上にして、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された室内で、水平なガラス板(厚さ5mm)の上に載せてフィルム試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定する。四隅の高さが「0」もしくは、断面がM字状に見える時は反対面を上にしてソリを測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さの平均値と、全試料において測定した四隅のソリの高さの最大値を表示する。
(2)フィルムの加熱後のソリ
フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの試料を5枚採取する。この試料を未延伸シート工程で最初に冷却ロールに接した面(表)を上にして150℃に調節した加熱オーブンの棚板の上に台紙(厚さ1mm)の上に載せて入れ30分間熱処理する。その後棚板の上に載せた台紙ごとフィルム試料を加熱オーブンより取り出し、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された室内で、30分放置する。30分放置後、フィルム試料を水平なガラス板(厚さ5mm)に移し、フィルムの四隅のソリ(水平面から垂直方向の高さ)の高さをJIS金尺(0.5mm目盛)で測定する。四隅の高さが「0」もしくは、断面がM字状に見える時は反対面を上にしてソリを測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さを平均して表示する。
(3)硬化性樹脂積層フィルムの平面性2(フィルムに硬化収縮性樹脂組成物を塗布しての評価)
東亞合成(株)製、M−315を40質量部、三菱レイヨン(株)製、ノナブチレングリコールジメタクリレート(PBOM)を40質量部、新中村化学工業(株)製ウレタンアクリレート(U−2PHA)を20質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184を1.2質量部を用いて樹脂組成物を調製した。前記樹脂組成物を、フィルムアプリケータを用いて、加熱によるソリで凸になる側のフィルムの表面(上記(2)フィルムの加熱後のソリの測定において台紙に接する面)に、硬化後厚みが2mmになるように塗布した。ランプ発光長50cm、160W/cmの高圧水銀灯を光源とし、照射量1J/cm(測定機器:(株)オーク製作所製、UV−350)の紫外線を塗布面よりに照射し、前記樹脂組成物を硬化させた。尚、下記測定法により硬化収縮率を測定した場合、前記樹脂組成物は約8.0%の硬化収縮率を示した。こうして得た硬化性樹脂積層フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの大きさにカットした試料を5枚採取した。樹脂組成物面を上にして水平なガラス板(厚さ5mm)の上に置き、JIS金尺(0.5mm目盛)にて四隅のソリの高さ(水平面からの垂直距離)を測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さを平均して表示する。
硬化物の空気中での重量aおよび水中での重量bを測定し、式(i)より固体比重dsを求め、次に比重瓶を用いて硬化前の硬化性樹脂組成物の液比重dを測定し、上記の固体比重d値とから硬化収縮率s(%)を式(ii)より求めた。
=a/(a−b) (i)
s=(1−d/d)×100 (ii)
(4)フィルムの厚み
製膜後のフィルムの厚みは、電子マイクロメーターMILLITRON(精工精密機械販売)を用いて長手方向300mm、それに直角な方向に210mmに切り出したフィルム試料の長手方向に直角な方向に約20mmずつの位置で10回計測し、その平均値を求める。
また、実施例および比較例におけるフィルムの製膜条件を表1に示す。
[実施例1]
主押出し機に、PETG6763(イーストマン社製)90質量%、SEBS(旭化成(株)製タフテックH1062)10質量%を混合したチップを供給し、また別に副押出し機に、微粒子を含有しないPETを供給して、所定の方法により両側表層にPETを有する溶融3層共押出を行ない、次いで、T型ダイスから樹脂シートを押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度が22℃のキャスティングドラムに巻きつけ、冷却固化させることにより、未延伸シートを得た。更に、22℃の第二の冷却ロール(引き離しロール)から離れた未延伸シートの表裏の表面温度差(F−B)は、表1に記載のとおりであった。
そして、得られた未延伸シートを、加熱されたロール群でフィルム温度を昇温した後、前後に配置した第一ニップロールと第二ニップロールとの間で、ニップロールの間に設けた赤外線ヒータ(第一赤外線ヒータ)によって加熱しながら、長手方向(縦方向)に2.77倍延伸した(一段目の縦延伸)。このとき、第一赤外線ヒータにおいて、表の側の赤外線出力を100%とすると、裏側の赤外線の出力を90%とした。ここで後側の第二ニップロールは冷却をした。
しかる後、その縦延伸後のフィルムを、第二ニップロールとその直後に配置した第三ニップロールとの間で、ニップロールの間に設けた赤外線ヒータ(第二赤外線ヒータ)によって加熱しながら、長手方向(縦方向)に1.17倍延伸した(二段目の縦延伸)。更に、第三ニップロールとその直後に配置した第四ニップロールとの間で、ニップロール間に設けた赤外線ヒータ(第三赤外線ヒータ)によって加熱しながら、長手方向(縦方向)に1.08倍延伸した(三段目の縦延伸)。第二、第三赤外線ヒータにおいて、表の側の赤外線出力を100%とすると、裏側の赤外線の出力を95%とした。なお、赤外線ヒータの出力と表面温度の関係を予めモデル機で測定をしておき、上記の設定により、フィルム表面の温度差が表裏で、第一段目は2℃、第二段目は3℃、第三段目は3℃となるように調節した。
上記の如く、未延伸フィルムを縦方向に三段で延伸した後に、テンターに導き、135℃で4倍の横延伸を施した。その後、233℃で熱固定処理を施し、225℃で2.2%の横緩和処理を行った。両縁部を裁断除去してロール状に巻き取ることによって、厚さ125μmで3,300mm幅の二軸延伸フィルムを約3,000mの長さに亘って巻き取った光拡散性フィルムを製造した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
得られたフィルムの内層の平均異形度は、(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡S−2100A型を用い、フィルムの任意の5点についてフィルムの断面(切断面は、フィルム面に対して垂直であれば、フィルム面方向に関しては任意とする)を観察して写真を撮影し、微粒子の最大径(長径)と最小径(短径)を測定して求める。測定はそれぞれの方向で5個ずつについて行い、その平均値を求める。異形度は、各々について長径を短径で除した値を求め、その平均値を求める。平均値が、1.2以上であった場合を○、1.2未満であった場合を×、と評価した。
得られたフィルムの内層は、SEBSが楕円状に分散されていた。またSEBSは長手方向に配向しており、平均異形度は12であり、○であった。
また、5インチの直管一灯サイドライト型面光源の導光板上に、ボイドの最大径方向(配向方向)が、入光辺に垂直になるように置き、正面輝度を測定した。導光板のみの正面輝度に対して、100cd/m2以上、輝度が高くなった場合を○、100cd/m2未満であった場合を×、と評価したところ○であった。評価結果を表4に示す。
参考例2]
主押出し機に、ポリエチレンテレフタレート(PET)にイソフタル酸成分を23mol%共重合させたポリエステル樹脂(屈折率1.61)に、球状で平均粒径4.5μmの真球状シリカ微粒子(屈折率1.46)を体積比率で10%になるように配合したペレットを供給し、また別に副押出し機に微粒子を含有しない屈折率1.61のPETを供給して、溶融した樹脂をT型ダイスより微粒子含有PETの表面を無粒子PETで溶融3層共押出しを行ない、静電印可法により鏡面のキャストドラム上で冷却して3層積層シートを作製した。この3層シートは、粒子含有PETの両表面を無粒子PETで被覆した構造である。
実施例1よりキャスティングドラムに巻き付ける速度を変更し、キャスティングドラムに巻きつける際にエアによる冷却風19℃を用いて冷却固化させ未延伸シートの厚みを得た。30℃の第二の冷却ロール(引き離しロール)から離れた未延伸シートの表面温度差(F−B)は、表1に記載のとおりであった。そして、得られた未延伸シートを、表1の様に縦延伸し、さらに実施例1と同様に横延伸した。なお、表1中の裏面側の赤外線の出力は、表面側の出力を100とした場合の出力割合(%)として示した。その後、225℃で1.7%の横緩和処理をすることによって、厚さ250μmの光拡散性フィルムを製造した。
得られたフィルムの断面を実施例1と同様に観察したところ、フィルム内部にボイドは観察されなかった。
[実施例3]
未延伸シートの引取速度を調整して未延伸シートの厚みを変更し、表1の様に縦延伸した以外は実施例1と同様に実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
未延伸シートの引取速度を調整して未延伸シートの厚みを変更し、表1の様に縦延伸した以外は実施例1と同様に実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例5]
主押出し機に、イソフタル酸を23モル%共重合したPETを92質量%、SEBS(旭化成(株)製タフテックH1062)を8質量%混合したチップを供給し、また別に副押出し機に、微粒子を含有しないPETを供給して、所定の方法により両側表層にPETを有する溶融3層共押出を行ない、参考例2と同様にして得た未延伸フィルムを表1の様に変更した以外は参考例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。加熱後のソリは参考例2とは逆になっていた。評価結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1と同様にして得た未延伸フィルムを第一ニップロールの直前に設けた赤外線ヒータにより、表面のみ加熱し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。しかる後、縦延伸した以外は実施例1と同様にして光拡散性フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例7]
主押出し機に、イソフタル酸を23モル%共重合したPETを92質量%、SEBS(旭化成(株)製タフテックH1062)を8質量%を混合したチップを供給し、また別に副押出し機に、微粒子を含有しないPETを供給して、所定の方法により両側表層にPETを有する溶融3層共押出を行ない、参考例2と同様にして得た未延伸フィルムを第一ニップロールの直前に設けた高速加熱エアにより、表面のみ加熱し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。しかる後、縦延伸した以外は参考例2と同様にして光拡散性フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例5と同様にして得た未延伸フィルムを第一ニップロールの直前に設けた高速冷却エアにより、裏面のみ冷却し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。しかる後、表1の様に延伸条件を変更した以外は実施例5と同様にして光拡散性フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。加熱後のソリは参考例2とは逆になっていた。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1と同様に未延伸シートを得た後、縦延伸の一段目および二段目以降の赤外線ヒータの出力を調整して表裏の出力差が無い様に縦延伸を実施した以外は実施例1と同様にして光拡散性フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例3と同様に未延伸シートを得た後、表1の様に縦延伸を実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例5と同様に未延伸シートを得た後、表1の様に縦延伸を実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。
[比較例4]
主押出し機に、イソフタル酸を23モル%共重合したPETを92質量%、SEBS(旭化成(株)製タフテックH1062)を8質量%混合したチップを供給し、また別に副押出し機に、微粒子を含有しないPETを供給して、所定の方法により両側表層にPETを有する溶融3層共押出を行ない、実施例1と同様に未延伸シートを得た後、表1の様に縦延伸を実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。
[比較例5]
実施例1と同様にして得た未延伸シートを第一ニップロールの直後に設けた赤外線ヒータにより、片面のみ加熱した。しかる後、実施例1の一段目のみ用いて一段で縦延伸した以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
平面性1の平均値がフィルムの厚みの20%以下、最大値がフィルムの厚み以下であって、平面性2の平均値が0.5mm以下であるものを合格と判定して「○」とし、一つでも不合格のものは判定で「×」とした。
表2から、実施例のフィルムは、いずれも、輝度特性、光拡散性に優れ、平面性が良好である上、硬化収縮性樹脂組成物を塗布し、硬化に伴う硬化収縮が起こっても、表裏の熱収縮率の違いに起因して積層体全体としての平面性は極めて良い。
本発明の光拡散性フィルムは、平面性に優れ、積層体のベースフィルムとして好適である。例えば、レンズフィルム、拡散フィルム、ハードコートフィルム、NIRフィルムなどの各種光学フィルム、タッチパネル、ITOなど積層体のベースフィルムとして好適である。また、硬化性塗剤などを塗布積層する建材用途、硬化性樹脂インキなどを用いる記録材用途、2枚以上のフィルムを張り合わせて用いる張り合わせ部材用途などのベースフィルムとしても好適である。

Claims (3)

  1. 下記要件(1)〜(5)を満たす、厚みが100μm以上400μm以下の光拡散性フィルム。
    (1)二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、内部に光拡散成分を有する光拡散層を有すること
    (2)前記光拡散層が、少なくとも光透過性樹脂と光拡散成分としての微粒子からなるこ

    (3)前記微粒子の平均異形度が1.2以上であること
    (4)フィルムを製膜の長手方向に300mm、それに直角な幅方向に210mmの試料を採取し、前記試料の片側の面を上にして台紙に載せ、加熱オーブン中で150℃で30分間熱処理した後、台紙ごと前記試料を加熱オーブンより取り出し、前記試料を室温で30分放置した後、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定した際に、四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下であること
    (なお、加熱後に室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にしてソリの高さを測定する。)
    (5)下記硬化収縮性樹脂組成物を、加熱によるソリで凸になる側のフィルム面に、硬化後厚みが2mmになるように塗布した後、塗布面より紫外線を照射して硬化させた積層体としたときに、長手方向(縦方向)300mm×幅方向210mmの長方形の積層体の四隅のソリの高さの平均が0.5mm以下であること
    (硬化収縮性樹脂組成物)
    東亞合成(株)製、M−315を40質量部、三菱レイヨン(株)製、ノナブチレングリコールジメタクリレート(PBOM)を40質量部、新中村化学工業(株)製ウレタンアクリレート(U−2PHA)を20質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184を1.2質量部を用いて硬化収縮性樹脂組成物を調製した。
  2. 光拡散性フィルムの全光線透過率が80%以上であり、かつヘーズが60%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散性フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の光拡散性フィルムの少なくとも片面に被覆層を有し、加熱によるソリで凸になる側のフィルム面側の前記被覆層の表面に紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂からなるプリズム列、または光拡散層を設けてなることを特徴とする積層体。
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