JP2009241600A - 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムであって、下記要件(1)を満たす二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム。(1)フィルムを製膜の長手方向に300mm、それに直角な幅方向に210mmの試料を150℃で30分間熱処理した場合の四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下であること
【選択図】なし
Description
(1)フィルムを製膜の長手方向に300mm、それに直角な幅方向に210mmの試料を採取し、前記試料の片側の面を上にして台紙に載せ、加熱オーブン中で150℃で30分間熱処理した後、台紙ごと前記試料を加熱オーブンより取り出し、前記試料を室温で30分放置した後、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定した際に、四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下であること
なお、上記ソリの高さは加熱後に反ったフィルム試料の凹面を上にして測定する。よって、加熱後に室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にしてソリの高さを測定する。
第2の発明は、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの厚みが100μm以上400μm以下である。
PETの粉砕試料を乾燥後、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、Hugginsの定数が0.38であると仮定して算出する。
原料を粉砕した後、ベンジルアルコールに溶解し、クロロホルムを加えてから水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し、PET1t当たりの水酸化ナトリウムの当量を算出する。
(1)フィルム製膜の長手方向(縦方向もしくは機械方向ともいう)300mm×幅方向210mmの長方形のフィルム試料を切り出す。
(2)前記試料を、片側の面(例えばx面とする)を上にして平面な台紙に乗せ、加熱オーブンの棚板に載せる。ここで、台紙は厚紙、板紙ともいい、1mm程度の厚さのものが好適である。
(3)加熱オーブンを150℃に調整し、30分間、加熱処理を行う。
(4)加熱処理後、台紙ごと前記試料を取り出し、室温で30分放置する。なそ、ここでの室温条件は、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された条件であることが望ましい。
(5)30分間放置した前記試料を水平なガラス板(厚さが5mm程度が望ましい)に乗せ、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で、目視により最小目盛りの10分の1まで測定する。全試料について四隅のソリの高さを測定し、四隅のソリの高さの平均を求める。
(6)なお、加熱後室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面(長方形のいずれかの辺)がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にして(前記x面を下にして)ソリの高さを測定する。つまり、本願のソリは加熱後にフィルムにソリが生じた場合の凹面を上にして四隅の高さを測定する。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
(1)硬化収縮性樹脂組成物は、硬化による架橋構造を形成し、硬化前後において体積が10%程度減少する。そのためベースフィルムの片面に硬化性樹脂組成物を積層した場合、樹脂の硬化に伴う硬化収縮により、積層体全体として、硬化性樹脂組成物側が凹部になるようなソリが生じる。
(2)(1)のソリを防止する為に、硬化性樹脂の硬化収縮に抗するように、ベースフィルムに反対側のソリが生じれば、積層体全体としてソリが相殺できると考えた。このため、硬化性樹脂組成物層が無い、ベースフィルム単独では、積層面と反対側にソリが生じることが必要である。
(3)本発明者らはベースフィルムの片側に高温短時間の熱処理を行うと、熱処理面が収縮し、僅かにソリが発生することを確認して本発明の着想を得た。そこから、ベースフィルムにソリを発生させるにはフィルム表裏の熱収縮率が異なると良いと考えた。フィルムの表裏に熱収縮率差がある場合、硬化性樹脂の硬化処理に際して生じる熱により、収縮率の大きい面が凹部になるようなソリが発生する。ただし、加熱により発現するソリは僅かなものであった。しかし、本発明者らは、10%程度の大きな収縮率を有する硬化収縮性樹脂組成物を塗布した場合であっても、ベースフィルムを僅かに反らせるだけで、硬化収縮に抗して積層体全体として平面性が保たれるという驚くべき効果を見出した。
(4)しかも、このベースフィルムは、加工性の点から、加熱処理を施さない状態ではソリがなく実質上平面であり、従来のベースフィルムと同様に使用が出来る必要がある。つまり、本願発明のフィルムは、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するという従来にない特性を有するフィルムである。
<従来の延伸方法の問題点>
これまで、フィルムの平面性を制御する方法として、特許文献1(特開2001−342273号公報)、特許文献2(特開2001−342274号公報)に記載された方法が開示されている。特許文献1、特許文献2では、空洞含有ポリエステル系フィルムの場合、フィルム表裏の構造差に起因するカールを抑制する手段として、「(1)空洞の体積分率を小さくし、且つ各々の空洞サイズを小さく抑制しすることで、内部歪に耐えてカールの発生を抑制する方法、(2)フィルム厚み方向に空洞に分布を持たせる方法、(3)押し出し時の冷却差によるフィルム厚み方向の結晶化度の差に始まる各工程で付与されるフィルム表裏の構造差に起因するカールを制御するために、積極的にフィルム表裏の構造差を発生させ、必然的な構造差と補完しあってカール値をゼロに近づける方法」が記載されている。
(1)未延伸シートの表裏の温度差
本発明のフィルムの製造において、まず溶融した樹脂を口金より押出し、冷却したキャスティングドラムに巻き取ることで急冷固化し、未延伸シートを得る。この際、未延伸シートの厚みは、例えば、100μm以上の厚手のフィルムにおいては、凡そ1000μmかそれ以上になる。未延伸シートの冷却はシート表面から行われるため、キャスティングドラムに接した面(以下、表面(F)と言う)と、その反対面(以下、裏面(B)という)とで冷却効率が異なり、未延伸シートの表裏で温度差が生じる。
本発明のフィルムを得るためには、縦延伸工程においてフィルム表裏に温度差を設け、フィルム表裏において分子の配向の程度を変えることが望ましい。縦延伸工程においてフィルム表裏の温度差を設けると、表面温度の高い側より表面温度が低い側の方が、配向歪みが残存し、加熱処理により発現する潜在的なソリが生じやすくなる。本発明のフィルムの製造での縦延伸時において、表裏の温度差を設けるために、ロールの温度設定や、非接触の赤外線照射、高速加熱エアによる加熱、その他の加熱または冷却手段を用いることが可能である。
本発明おいて、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程において、フィルムの表裏の温度を0.1℃以上、0.5℃以下の温度差を設けることが好ましい。これは表裏の熱処理の程度に差異を設けることで、実質的に表裏の収縮率を変更することにある。熱固定工程において表裏の温度差を設けるには、例えば、熱固定装置のフィルムを介した上下で温度を変更する、または/そして風速差を設けることで可能となる。フィルムの表裏に上記温度差を設けるためには、熱固定装置の上下の温度差は3℃以上30℃以下が好ましい。3℃未満ではフィルムの温度差を付けるのに上下の風速差が5m/秒を超すこととなり、フィルムに歪み力が働くため、熱収縮率の制御が困難となったり、平面性の不均一が生じたり、厚みが変化する場合があり好ましくない。また、30℃超の温度ではフィルム上下の空気の密度差によりエアバランスの崩れが生じやすく好ましくない。熱固定工程において表裏の温度を実際に測定するのは困難な場合がある。そのため、シュミレーションによる表裏の温度の推定することが可能である。
フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの試料を50枚採取する。この試料を未延伸シート工程で最初に冷却ロールに接した面(表面(F))を上にして、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された室内で、水平なガラス板(厚さ5mm)の上に載せてフィルム試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定する。四隅の高さが「0」もしくは、断面がM字状に見える時は反対面を上にしてソリを測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さの平均値と、全試料において測定した四隅のソリの高さの最大値を表示する。
フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの試料を5枚採取する。この試料を未延伸シート工程で最初に冷却ロールに接した面(表)を上にして150℃に調節した加熱オーブンの棚板の上に台紙(厚さ1mm)の上に載せて入れ30分間熱処理する。その後棚板の上に載せた台紙ごとフィルム試料を加熱オーブンより取り出し、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された室内で、30分放置する。30分放置後、フィルム試料を水平なガラス板(厚さ5mm)に移し、フィルムの四隅のソリ(水平面から垂直方向の高さ)の高さをJIS金尺(0.5mm目盛)で測定する。四隅の高さが「0」もしくは、断面がM字状に見える時は反対面を上にしてソリを測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さを平均して表示する。
東亞合成(株)製、M−315を40質量部、三菱レイヨン(株)製、ノナブチレングリコールジメタクリレート(PBOM)を40質量部、新中村化学工業(株)製ウレタンアクリレート(U−2PHA)を20質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184を1.2質量部を用いて樹脂組成物を調製した。前記樹脂組成物を、フィルムアプリケータを用いて、加熱によるソリで凸になる側のフィルムの表面(上記(2)フィルムの加熱後のソリの測定において台紙に接する面)に、硬化後厚みが2mmになるように塗布した。ランプ発光長50cm、160W/cmの高圧水銀灯を光源とし、照射量1J/cm2(測定機器:(株)オーク製作所製、UV−350)の紫外線を塗布面よりに照射し、前記樹脂組成物を硬化させた。尚、下記測定法により硬化収縮率を測定した場合、前記樹脂組成物は約8.0%の硬化収縮率を示した。こうして得た硬化性樹脂積層フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの大きさにカットした試料を5枚採取した。樹脂組成物面を上にして水平なガラス板(厚さ5mm)の上に置き、JIS金尺(0.5mm目盛)にて四隅のソリの高さ(水平面からの垂直距離)を測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さを平均して表示する。
ds=a/(a−b) (i)
s=(1−dl/ds)×100 (ii)
製膜後のフィルムの厚みは、電子マイクロメーターMILLITRON(精工精密機械販売)を用いて長手方向300mm、それに直角な方向に210mmに切り出したフィルム試料の長手方向に直角な方向に約20mmずつの位置で10回計測し、その平均値を求める。
添加剤として平均粒径0.7μmのシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310)を0.03質量%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を水分率が50ppm以下となる様に乾燥した後、押出機に仕込み、285℃の温度で溶融した。押出機で、樹脂を溶融し、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を90%カット)で濾過した。次いで、T型ダイスから樹脂シートを押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度が22℃のキャスティングドラムに巻きつけ、冷却固化させることにより、1710μmの未延伸シートを得た。更に、22℃の第二の冷却ロール(引き離しロール)から離れた未延伸シートの表裏の表面温度差(F−B)は、表1に記載のとおりであった。
実施例1よりキャスティングドラムに巻き付ける速度を変更し、キャスティングドラムに巻きつける際にエアによる冷却風19℃を用いて冷却固化させ未延伸シートの厚みを3150μmとした。30℃の第二の冷却ロール(引き離しロール)から離れた未延伸シートの表面温度差(F−B)は、表1に記載のとおりであった。そして、得られた未延伸シートを、表1の様に縦延伸し、さらに実施例1と同様に横延伸した。なお、表1中の裏面側の赤外線の出力は、表面側の出力を100とした場合の出力割合(%)として示した。その後、225℃で1.7%の横緩和処理をすることによって、厚さ250μmの二軸延伸フィルムを製造した。
未延伸シートの引取速度を調整して未延伸シートの厚みを2440μmに変更し、表1の様に縦延伸した以外は実施例1と同様に実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
未延伸シートの引取速度を調整して未延伸シートの厚みを3150μmに変更し、表1の様に縦延伸した以外は実施例1と同様に実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例2と同様にして得た未延伸フィルムを表1の様に変更した以外は実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。加熱後のソリは実施例2とは逆になっていた。評価結果を表2に示す。
実施例1と同様にして得た未延伸フィルムを第一ニップロールの直前に設けた赤外線ヒータにより、表面のみ加熱し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。しかる後、縦延伸した以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例2と同様にして得た未延伸フィルムを第一ニップロールの直前に設けた高速加熱エアにより、表面のみ加熱し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。しかる後、縦延伸した以外は実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例5と同様にして得た未延伸フィルムを第一ニップロールの直前に設けた高速冷却エアにより、裏面のみ冷却し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。しかる後、表1の様に延伸条件を変更した以外は実施例5と同様にして二軸延伸フ伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。加熱後のソリは実施例2とは逆になっていた。評価結果を表2に示す。
実施例1と同様に未延伸シートを得た後、縦延伸の一段目および二段目以降の赤外線ヒータの出力を調整して表裏の出力差が無い様に縦延伸を実施した以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例3と同様に未延伸シートを得た後、表1の様に縦延伸を実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例5と同様に未延伸シートを得た後、表1の様に縦延伸を実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。
実施例1と同様に未延伸シートを得た後、表1の様に縦延伸を実施した。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。
実施例1と同様にして得た未延伸シートを第一ニップロールの直後に設けた赤外線ヒータにより、片面のみ加熱した。しかる後、実施例1の一段目のみ用いて一段で縦延伸した以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
実施例2と同様に得た未延伸シートを表1の様に縦延伸を変更して二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。
Claims (2)
- 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムであって、下記要件(1)を満たす二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム。
(1)フィルムを製膜の長手方向に300mm、それに直角な幅方向に210mmの試料を採取し、前記試料の片側の面を上にして台紙に載せ、加熱オーブン中で150℃で30分間熱処理した後、台紙ごと前記試料を加熱オーブンより取り出し、前記試料を室温で30分放置した後、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定した際に、四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下であること
(なお、加熱後に室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にしてソリの高さを測定する。) - 前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの厚みが100μm以上400μm以下である請求項1に記載の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム。
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