JPWO2016140305A1 - チタン酸バリウム粒子粉末、該粉末を含有する分散体及び塗膜 - Google Patents

チタン酸バリウム粒子粉末、該粉末を含有する分散体及び塗膜 Download PDF

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Abstract

本発明は、微細であるがために成膜した際に高い透明性を有し、粒度分布がシャープで、分散を阻害するBaイオン溶出量が少ないチタン酸バリウム粒子粉末を提供することを目的とするものである。一次粒子の平均粒径が10nm以上60nm以下であって、粒子の変動係数(粒度分布の標準偏差を平均粒径で除した値)が0.35以下かつ粉体から水溶媒に溶出するBaイオンの量が1000ppm以下であるチタン酸バリウム粒子粉末、該チタン酸バリウム粒子粉末を含有する分散体及び塗膜である。【選択図】 なし

Description

本発明は、微細であるがために成膜した際に高い透明性を有し、粒度分布がシャープで、分散を阻害するBaイオン溶出量が少ないチタン酸バリウム粒子粉末を提供することを目的とするものである。
高い誘電率を有するチタン酸バリウムは、積層セラミックコンデンサなどの誘電材料として広く用いられている。
一方、各種ディスプレーなどに用いられる光学フィルムに対して、透明樹脂にジルコニアなどの無機粒子フィラーを添加し誘電率や屈折率を制御することが行われている。液晶ディスプレー制御用TFTにおいても、低電力化のため、絶縁膜などの材料として微粒子かつ高誘電率なものが求められている。
例えば、TFTにおいては、パターニングのためエッチングなどの処理に晒されることがある。溶出するBaイオンが多いと、粉体と酸性の官能基を持つ分散剤、バインダー、樹脂等有機成分が接触した際、望ましくない反応が起きてしまい、各有機成分の働きを鈍らせ、目的とする透明性が高い塗膜が出来ないという弊害の可能性がある。
そこで、チタン酸バリウムを前記光学用途に用いるため、粒径を微細化して透明性を確保するとともに、Baイオン溶出量が小さく、誘電率・屈折率の大きなチタン酸バリウム粒子粉末を得ることが求められている。
誘電体フィルムを形成するには粒径が小さく、不要な不純物が少ないものが電気的特性が良いことは、公知の事実であり、そのためにチタン酸バリウムを合成から設計することはいくつかの先行技術で明らかである(特許文献1)。引用文献1には、粒度分布の狭いチタン酸バリウムが記載されているが、光学用としてはいまだ十分とは言い難い。
またペロブスカイト化合物の表面を被覆した技術を開示した先行文献もあるが、シリカで被覆した特許文献2はあくまで分散安定性を目的に被覆処理されたものであり、シリカにバリウムの溶出を防止する効果があることは何ら記載されていない。
エッチングなどの手法で、BaTiO粒子表層をBaプアにして元素を添加する特許文献もあるが(特許文献3、4)、これは添加物との反応性を向上させる措置であり、溶出に関しては当業者といえどもこの文献からこの効果を類推することは出来ない。また特許文献5にはチタン酸バリウムが幅広い化学量論比で存在するような記載があるが、Baプアなものを用いることが好適であることは何ら考慮されていない。
特開2005−008445号公報 特開平09−202864号公報 特開2011−184247号公報 特開平11−335177号公報 国際公開第2014/077176号
前記諸特性を満たすチタン酸バリウム粒子粉末は現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
そこで、本発明では、成膜した際に高い透明性を有するフィルム等の作製に好適な、微小でありながら、Baイオン溶出量が少なく、粒度分布がシャープなチタン酸バリウム粒子粉末を提供することを技術的課題とするものである。
前記技術的課題は、次のとおりの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、平均粒径が10nm以上60nm以下であって、粒度分布の標準偏差を平均粒径で除した値が0.35以下かつ粉体から水溶媒に溶出するBaイオンの量が1000ppm以下のチタン酸バリウム粒子である(本発明1)。
また、本発明は、粒子表面が、Si化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、イットリウム化合物、硫黄化合物及びリン酸化合物から選ばれる少なくとも一種の表面被覆物で被覆された本発明1記載のチタン酸バリウム粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、本発明2記載の表面被覆物の被覆量が、Si化合物はSiO換算で、チタン化合物は炭素換算で、その他は各元素換算で0.05〜5.0重量%であるチタン酸バリウム粒子粉末である(本発明3)。
また、本発明は100〜500℃の温度範囲で熱処理して得られた本発明1記載のチタン酸バリウム粒子である(本発明5)。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末は、微細な粒子でありながら、Baイオン溶出量が少なく、高い誘電率を有するので、光学材料用として好適である。
実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子粉末の電子顕微鏡写真である。
本発明の構成を詳述すれば、次の通りである。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の一次粒子の平均粒径(x)は10〜60nmである。一次粒子の平均粒径を前記範囲に制御することによって、透明性に優れたチタン酸バリウム粒子粉末とすることができる。好ましい一次粒子の平均粒径は10〜58nmであり、より好ましくは10〜55nmである。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末から水溶媒に溶出するBaイオンの量は1000ppm以下である。水溶媒に溶出するBaイオンの量が1000ppmを超える場合、チタン酸バリウム粒子を含有する分散体において、分散剤の機能を阻害し、その結果、塗膜としたときの透明性が低下する。好ましくは900ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下である。チタン酸バリウム粒子粉末の一次粒子の平均粒径が小さくなるほど、比表面積が大きくなり、且つ結晶性も低下する傾向であったので、Ba溶出量も増える傾向にあった。なお、チタン酸バリウム粒子粉末から水溶媒に溶出するBaイオンの量は後述する評価方法によって算出した。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の一次粒子の変動係数(粒度分布(σ)を一次粒子の平均粒径(x)で除した値)は0.35以下である。変動係数の下限値は、通常0.2である。前記数値が前記範囲内に制御されることによって、粒度分布に優れたチタン酸バリウム粒子粉末となる。好ましくは0.20〜0.348であり、より好ましくは0.20〜0.30である。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の粒子表面は、Si化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、イットリウム化合物、硫黄化合物及びリン酸化合物から選ばれる少なくとも一種の表面被覆物で被覆されていてもよい。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の粒子表面を被覆する前記各化合物には、バリウムの溶出を抑える効果があるため、Baイオンの溶出低減、分散性向上に効果的に機能する。また、Baイオンの溶出低減には後述の水洗を行うことにより達成できるが、粒子表面を被覆することにより、その水洗工程が不完全でもBaイオンの溶出低減を達成できる。
Si化合物としては、Siを含有する無機化合物としては水ガラスやその他ケイ酸塩が好ましく、また、Siを含有する有機化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリクロルシシラン、p−スチリルトリフェノキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等、シランモノマー等のシラン化合物が用いられる。また、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、イットリウム化合物から選ばれる一種以上の化合物としては、各元素の有機化合物および/または無機化合物を用いればよく、硫黄化合物としては硫酸根が好ましく、リン酸化合物としては各種リン酸化合物が好ましい。なお、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、イットリウム化合物、硫黄化合物、リン酸化合物から選ばれる一種以上の化合物では焼結を抑制する効果も期待できる。
前記表面被覆物の被覆量は、Si化合物はSiO換算で、チタン化合物は炭素換算で、アルミニウム化合物、イットリウム化合物、硫黄化合物及びリン酸化合物は各元素換算で0.05〜5.0重量%が好ましい。より好ましくは0.1〜4.5重量%である。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末は、後述する評価方法で測定した比誘電率が300以上である。比誘電率の上限は通常2000である。チタン酸バリウム粒子粉末の誘電率が前記範囲に制御されることによって、粒子成長が抑えられた微粒子を得ることができる。より好ましい比誘電率は350以上、更により好ましくは350〜1500である。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の結晶性は、格子定数のa軸長(a)及びc軸長(c)を用いて格子定数比c/aで示した場合に、1.003未満が好ましい。格子定数比c/aが1.003以上のチタン酸バリウム粒子粉末は本発明の粒径では工業的に製造することが困難である。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の比表面積は20〜80m/gが好ましい。20m/g未満の場合には、粒子粉末が粗大となり、粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、バインダを混合する場合に、分散性が損なわれやすい。比表面積値が80m/gを超えるチタン酸バリウム粒子粉末を工業的に生産することは困難である。より好ましいBET比表面積は25〜80m/gであり、更により好ましくは30〜75m/gである。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末のBa/Ti比は0.750〜1.000が好ましい。Ba/Ti比を前記範囲に制御することによって高い誘電特性を有するチタン酸バリウム粒子粉末が得られる。より好ましくは0.770〜0.990、更により好ましくは0.780〜0.980である。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の粒子形状は球形又は粒状が好ましい。球状以外の形状では粒子同士の接触が点接触にならず、分散性が低下したり、粒子のエッジが塗膜の平滑性を低下させる可能性がある。
次に、本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末の製造方法について述べる。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末は、あらかじめ水熱反応によって作製した平均粒径が10〜60nmのチタン酸バリウム粒子粉末を水洗し、溶出Ba分を取り除いておく。すなわち、水熱法によってチタン酸バリウム粒子粉末を生成することが好ましい。
本発明において、水熱反応は特に限定されるものではないが、例えば、水酸化バリウム水溶液を塩化チタン水溶液に滴下・中和して水酸化チタンコロイドを得、次いで、前記水酸化チタンコロイドを水酸化バリウム水溶液に投入し、得られた混合溶液を加熱してチタン酸バリウムを生成する。冷却、水洗した後、密閉容器中、65〜250℃の温度範囲で水熱処理を行い、水洗、乾燥、粉砕して得ることができる。
水熱反応では、反応温度、濃度、pHなどを変化させることによって大きさの異なるチタン酸バリウムを製造することができる。
水熱反応によって得られたチタン酸バリウムの平均粒径は10〜60nmが好ましい。
水熱反応により作製したチタン酸バリウム粒子(粒径:10〜60nm)をBa/Ti比が0.750〜1.000の範囲になるまで洗浄することにより、本発明の目的とするチタン酸バリウム粒子粉末を得ることができる。より好ましくは0.770〜0.990、更により好ましくは0.780〜0.980である。洗浄条件を制御することによって、チタン酸バリウム粒子の耐酸性や誘電率を制御することができる。洗浄条件の制御としては、例えば、Baイオンが認められなくなるまで水洗し(例えば、水洗ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下)、さらに温水でpH=7となるまで洗浄することなどが挙げられる。
また、Ba溶液とTi溶液を均一混合、より具体的には、Ba溶液中に投入されるTi溶液の投入口を複数にすることにより、粒子の変動係数(粒度分布の標準偏差を平均粒径で除した値)が0.35以下に制御することが出来る。
また、本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末を100〜500℃の温度範囲で熱処理することで、粒度分布や分散性は損なわず、更に高い誘電率を有するチタン酸バリウム粒子粉末を得ることができる。
次に、本発明に係る分散体について述べる。
本発明における分散媒体としては、水系及び溶剤系のいずれをも用いることができる。
水系分散体の分散媒体としては、水、もしくは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール;グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤を用いることができる。これらの水系分散体用の分散媒体は、目的とする用途に応じて1種又は2種以上を混合して用いることができる。
溶剤系分散体用の分散媒体としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の酢酸エステル類;乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸プロピルエステル等の乳酸エステル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類及び各種モノマー等を用いることができる。これらの溶剤系分散体用の分散媒体は、目的とする用途に応じて1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に係る分散体を製造するために用いる分散機としては特に限定されるものではなく、粉体層にせん断力、衝撃力、圧縮力、及び/または摩擦力を加えることのできる装置が好ましく、例えば、ローラーミル、高速回転ミル、分級機内蔵型高速回転ミル、ボールミル、媒体攪拌式ミル、気流式粉砕機、圧密せん断ミル、コロイドミル、ロールミル等を用いることができる。
本発明に係る分散体は、チタン酸バリウム粒子粉末を分散体構成基材100重量部に対して0.1〜60重量部含有し、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜40重量部含有している。チタン酸バリウム粒子粉末の分散体の構成基材としては、上記チタン酸バリウム粒子粉末の他に、分散媒体からなり、必要に応じて分散剤、添加剤(樹脂、消泡剤、助剤等)等を添加することもできる。
本発明における分散剤としては、使用するチタン酸バリウム粒子粉末や分散媒体の種類に応じて適宜選択して使用することができ、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系カップリング剤等の有機チタン化合物、アルミネート系カップリング剤等の有機アルミ化合物、ジルコネート系のカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、界面活性剤あるいは高分子分散剤等を用いることができ、これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
上記有機ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラメトキシシラン等のアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
上記有機チタン化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、トリス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジオクチルパイロホスフェートチタネート、イソプロピルトリス(ドデシルベンゼンスルフォニル)チタネート、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
上記有機アルミ化合物としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
上記有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;アミン塩型カチオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられる。
高分子分散剤としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリカルボン酸及びその塩等を用いることができる。
分散剤の添加量は、分散体中のチタン酸バリウム粒子粉末の総表面積に依存すると共に、チタン酸バリウム粒子粉末の分散体の用途及び分散剤の種類に応じて適宜調製すればよいが、一般的には、分散媒中のチタン酸バリウム粒子粉末に対して分散剤を0.01〜100重量%添加することによって、チタン酸バリウム粒子粉末を分散媒体中に均一且つ微細に分散させることができると共に、分散安定性も改善することができる。また、上記分散剤は、分散媒体に直接添加する他に、チタン酸バリウム粒子粉末に予め処理しておいてもよい。
次に、本発明に係る塗膜について述べる。
本発明に係る塗膜(またはシート)の作成は前述の分散体に樹脂を添加し、混合した後、バーコーターやスピンコーターなどのコーターを使用してPETフィルムなどのフィルム上に形成する。
使用する樹脂はアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)等が一般的に用いられる。
本発明に係る塗膜またはシートの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上であり、ヘイズは2%以下、好ましくは1%以下である。
<作用>
本発明では、非常に微細な粒子でありながら、Baイオン溶出量が少なく、高い誘電率を有し、耐酸性が高いチタン酸バリウム粒子粉末が得られている。透明性が求められる膜に用いられる粒子は、微細粒子であることのみならず、粒度分布がシャープである必要があり、本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末は、その条件を満たしている。固相法やシュウ酸塩法等によって得られる従来のチタン酸バリウム粒子では粉砕して超微細になったとしても粒度分布がブロードであり、この用途には不適である。
微粒子合成に有利な水熱法においては、始めからBa欠損を生じさせるような粒子設計を行い、十分な洗浄で不要な化合物を一度取り除くのも一つの方法であり、これにより所望の特性を得ることができる。
また、本発明によれば、シリカなどの表面処理をすることで、よりBaイオンの溶出量を低減することが出来る。さらには粒成長を起こさない温度で焼成しても、よりBaイオンの溶出量が少なく、且つ、良好な屈折率・誘電率をもつチタン酸バリウム粒子が得られる。
本発明の代表的な実施の形態は、次のとおりである。
チタン酸バリウム粒子粉末の一次粒子の平均粒径(x)は、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所S−4300)によって観察した写真(倍率5万倍)について、約500個の粒子から粒子径を計測するとともに、粒度分布(σ)を求めた。変動係数は、前記粒度分布(σ)を前記一次粒子の平均粒径(x)で除した値である(表1中の粒度分布(σ/x)は変動係数を表す)。
チタン酸バリウム粒子粉末について、粉末X線回折で評価し、格子定数のc/a比、(111)面の半値幅(FWHM)を測定した。
比表面積値はBET法により測定した値で示した。
Ba/Ti組成比は、「蛍光X線分析装置Simultix12」((株)リガク製)を使用して測定した。
Ba溶出濃度は5gのチタン酸バリウム粒子粉末を100ccの純水に分散させ、7分間煮沸した後、室温まで冷却して濾過し、その濾液をICP発光分光分析装置(セイコー電子SPS400)で測定した。得られたBa濃度を20倍した値を、粉体から水溶媒に溶出するBaイオンの量、即ち、Ba溶出量とした。
チタン酸バリウム粒子粉末の表面被覆物の含有量は表面被覆元素の種類に応じた測定方法にて定量した。すなわち、Si化合物に関しては蛍光X線測定装置(リガク SMX6)、リン酸化合物、アルミニウム化合物、イットリウム化合物に関してはICP発光分光分析装置(セイコー電子SPS400)、硫黄化合物は炭素‐硫黄分析装置(堀場製作所
EMIA−920)にて各被覆元素の含有量を測定した。また、Ti化合物に関してはチタン酸バリウム粒子粉末自体のTi量との区別ができないことから、チタン酸バリウム粒子粉末への表面被覆前後の炭素量を炭素−硫黄分析装置(堀場製作所 EMIA−920)にて測定して、炭素量の差(表面処理後のC量−表面処理前のC量)により表面被覆物の含有量の定量を行った。
チタン酸バリウム粒子粉末の比誘電率は下記評価方法によって測定した。
即ち、チタン酸バリウム粒子粉末2.5gと濃度3wt%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液0.5gとを混合したものを、100kg/cmの圧力で圧粉し、直径25mm、厚さ1〜2mmの円盤状圧粉体を作製した。圧粉体は水分を含むため、50℃の乾燥空気中に12時間以上放置した。
乾燥後の圧粉体の重量と体積から、チタン酸バリウム粒子粉末、PVAおよび空隙の体積比率を求めた。なお、圧粉体は、チタン酸バリウム粒子粉末が41〜55vol%、PVAが0.1〜3vol%、残部が空隙となるように調整した。
得られた圧粉体について、Agilent社製インピーダンスアナライザー E4991Aおよび誘電率測定フィクスチャー16453Aにより、室温約25℃、湿度約40%RHの環境下で10MHzにおける誘電率を測定した。得られた誘電率の測定結果には、チタン酸バリウム粒子粉末、PVAおよび空隙の各成分からの寄与を含んでいるため、本発明では対数混合則を用いて測定値からチタン酸バリウムのみの寄与を見積もった。また、表面被覆されたチタン酸バリウム粒子の誘電率は、表面処理成分も含めて複合粒子としての誘電率を対数混合則により見積もった。
[実施例1]
水酸化バリウム八水塩(関東化学(株)製、97%Ba(OH)・8HO試薬特級)1.12kgを水に溶解、精製したものを、塩化チタン水溶液688gに滴下・中和して水酸化チタンコロイドを得た。次に、水酸化バリウム八水塩1.28kgを水に溶解、精製したものを温度70℃、pH12.5で窒素雰囲気の水熱反応容器中に保持した。次に、前記水酸化チタンコロイドを前記水酸化バリウム水溶液に2分間かけて投入した。該混合溶液を100℃で0.75時間かけて水熱反応を行ってチタン酸バリウムを生成した。室温まで冷却した後、ヌッチェで濾液にBaイオンが認められなくなるまで水洗し、さらに温水でpH=7となるまで洗浄した。その後、濾過、150℃で乾燥を行ってチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末のBa/Ti比は0.874モル比であり、平均粒径は33nmであった。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の電子顕微鏡写真を図1に示す。
[実施例2]
実施例1に対し、水熱反応の反応時間を8時間に変更し、洗浄pHを6.5として、Ba/Ti比は0.962モル比で平均粒径が52nmのチタン酸バリウム粒子粉末を得た。水熱反応条件の負荷を高めることで、平均粒径は増加し、高いBa/Ti組成比のチタン酸バリウム粒子粉末であった。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例3]
実施例1に対し、水熱反応の反応温度を70℃に変更し、洗浄pHを6.5として平均粒径が16nmのチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例4]
実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子粉末を少量の水で解膠し、撹拌しながら3号ケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス3号)をチタン酸バリウムに対し1重量%で添加し、酢酸でpHを6.5に調整して、ヌッチェで濾液にBaイオンが認められなくなるまで水洗し、濾過、乾燥を行ってBa/Ti比が0.790モル比のチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末について実施例1と同様にして評価を行った。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例5]
実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子粉末にアルキルシラン系シランカップリング剤(商品名:TSL−8241)を5重量%混合機で撹拌しながら添加して表面処理したチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例6]
実施例1のチタン酸バリウム粒子粉末を300℃の温度下で熱処理した。得られたチタン酸バリウム粒子粉末について、誘電率、c/a比、半値幅、Ba溶出量および比表面積を、実施例1に記載と同様の方法で評価を行った。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例7]
実施例2のチタン酸バリウム粒子粉末を500℃の温度下で熱処理した。得られたチタン酸バリウム粒子粉末について、誘電率、c/a比、半値幅、Ba溶出量および比表面積を、実施例1に記載と同様の方法で評価を行った。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例8]
実施例1のチタン酸バリウム粒子粉末を500℃の温度下で熱処理し、得られた被処理チタン酸バリウム粒子粉末を15重量%の濃度で純水に解膠し、得られたスラリーをヌッチェで濾液にBaイオンが認められなくなるまで水洗し、さらに温水でpH=7となるまで洗浄した。その後、濾過、乾燥を行ってチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例9]
水酸化バリウム八水塩(関東化学(株)製、97%Ba(OH)・8HO試薬特級)1.12kgを水に溶解、精製したものを、塩化チタン水溶液688gに滴下・中和して水酸化チタンコロイドを得た。次に、水酸化バリウム八水塩1.28kgを水に溶解、精製したものを温度70℃、pH12.5で窒素雰囲気の水熱反応容器中に保持した。次に、前記水酸化チタンコロイドを前記水酸化バリウム水溶液に2分間かけて投入した。該混合溶液を100℃で0.75時間かけて水熱反応を行ってチタン酸バリウムを生成した。室温まで冷却した後、ヌッチェで濾液を900μS/cmまで水洗した後、硫酸アルミニウムをアルミニウム換算で1重量%、徐々に添加してコーティングした。その後、濾過、乾燥を行ってアルミニウム化合物で被覆したチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例10]
添加剤を塩化イットリウムにした以外は実施例9と同様の手法でイットリウム化合物で被覆されたチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例11]
添加剤を硫酸ナトリウムにし、添加量を硫黄換算0.1wt%にする以外は実施例9と同様の手法で硫酸根で被覆されたチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例12]
添加剤をリン酸にした以外は実施例9と同様の手法でリン酸で被覆されたチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例13]
実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子粉末に有機チタン化合物 テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートを表面処理前後のC量差が0.5重量%となるように混合機で撹拌しながら添加して表面処理したチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例14]
実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子粉末に有機チタン化合物 テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートを表面処理前後のC量差が1重量%となるように混合機で撹拌しながら添加して表面処理したチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の途中の工程で得られた水熱反応後のチタン酸バリウム含有スラリーを少量の水で水洗し、乾燥させてチタン酸バリウム粒子粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で得られた平均粒径が33nmのチタン酸バリウム粒子粉末を700℃の温度下で熱処理し、誘電率、c/a比、半値幅および比表面積を、実施例1に記載と同様の方法で評価を行った。高温での熱処理により、比誘電率が大きく増加しているが、平均粒径も大きく増加している。そのため、後述する比較例5から明らかなように、シートにおける全光線透過率およびヘイズが悪化する。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[比較例3]
固相法により作製されたチタン酸バリウム粒子粉末について、誘電率、c/a比、半値幅、Ba溶出量および比表面積を、実施例1に記載と同様の方法で評価を行った。得られたチタン酸バリウム粒子粉末の諸特性を表1に示す。
[実施例15]
実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子粉末を縦型ビーズミル(コトブキ技研工業株式会社製「ウルトラアペックスミル UAM−05」)のジルコニア製0.5リットル攪拌容器にジルコニアビーズ(粒径50μm)を攪拌容器の70vol%になるように入れ、分散剤としてED153(楠本化成製)、溶媒のPGMEAを混合した溶液を添加し、循環させながら1時間分散させて、チタン酸バリウム粒子粉末の分散体を得た。
[実施例16]
得られた分散体を、アクリル樹脂(SB−193岐阜セラツク製)と、チタン酸バリウム/バインダ(分散剤含む)=6/4の割合にて混合し、バーコーターにて、ルミラーU−46(東レ製)上に塗布し、膜厚=3μm程度の塗膜を作製した。
[実施例17]
実施例3のチタン酸バリウム粒子粉末を実施例15、実施例16の方法に従い、シート化を行った。得られたシートの諸特性を表2に示す。
[実施例18]
実施例4のチタン酸バリウム粒子粉末を実施例15、実施例16の方法に従い、シート化を行った。得られたシートの諸特性を表2に示す。
[実施例19]
実施例6のチタン酸バリウム粒子粉末を実施例15、実施例16の方法に従い、シート化を行った。得られたシートの諸特性を表2に示す。
[比較例4]
比較例1のチタン酸バリウム粒子粉末を実施例15、実施例16の方法に従い、シート化を行った。得られたシートの諸特性を表2に示す。
[比較例5]
比較例2のチタン酸バリウム粒子粉末を実施例15、実施例16の方法に従い、シート化を行った。得られたシートの諸特性を表2に示す。
表2から明らかなとおり、本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末(実施例)を用いた塗膜(実施例16〜19)では、全光透過率が85%以上であって、ヘイズも1%以下であり、透明性に優れることが明らかになった。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末は、凝集が抑制され分散性に優れているので、各種誘電材料に好適に用いることができる。特に積層セラミックコンデンサ用途として、ニッケルの内部電極層で焼結遅延を目的とした材料には好適で、特にニッケルが微細になると、本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末は殊に有用である。また、本発明に係るチタン酸バリウム粒子粉末は高い誘電率を有するので、チタン酸バリウム粒子粉末と透明樹脂を混合させる場合、従来よりもチタン酸バリウム粒子粉末の使用量を抑えることができると考えられ、光学フィルム用途に必要とされる透明性の確保が容易になる。

Claims (8)

  1. 一次粒子の平均粒径が10nm以上60nm以下であって、粒子の変動係数(粒度分布の標準偏差を平均粒径で除した値)が0.35以下かつ粉体から水溶媒に溶出するBaイオンの量が1000ppm以下であることを特徴とするチタン酸バリウム粒子粉末。
  2. 粒子表面が、Si化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、イットリウム化合物、硫黄化合物及びリン酸化合物から選ばれる少なくとも一種の表面被覆物で被覆された請求項1記載のチタン酸バリウム粒子粉末。
  3. 請求項2記載の表面被覆物の被覆量が、Si化合物はSiO換算で、チタン化合物は炭素換算で、その他は各元素換算で0.05〜5.0重量%であるチタン酸バリウム粒子粉末。
  4. 比誘電率が300以上である請求項1〜3のいずれかに記載のチタン酸バリウム粒子粉末。
  5. 100〜500℃の温度範囲で熱処理して得られた請求項1〜4のいずれかに記載のチタン酸バリウム粒子粉末。
  6. 水熱法で得られる請求項1〜5のいずれかに記載のチタン酸バリウム粒子粉末。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のチタン酸バリウム粒子粉末を含有する分散体。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のチタン酸バリウム粒子粉末を含有する塗膜。
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