JP5663907B2 - チタン酸バリウム系セラミックの製造方法 - Google Patents
チタン酸バリウム系セラミックの製造方法 Download PDFInfo
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しかしながら、特許文献1の粉体の場合、合成直後のBaTiO3粒子の自然面そのもの(もう少し広く捉えていえば表層)を、均質に改質することはできないという問題点がある。
(a)BaTiO3粒子をエッチングすることにより、BaTiO3粒子表層のBaを溶出させて、Ti過剰のBaTiO3粒子とするエッチング工程と、
(b)前記Ti過剰のBaTiO3粒子に、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を添加する化合物添加工程と、
(c)前記(b)の工程で添加した前記化合物を、前記Ti過剰のBaTiO3粒子と、70℃で1時間反応させ、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種を固溶させる反応工程と
を具備することを特徴としている。
前記(b)の化合物添加工程を、前記(a)の工程でエッチングしたBaTiO3粒子を水系分散媒に分散させたBaTiO3粒子分散液に、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を溶解させる工程とし、 前記(c)の反応工程を、前記BaTiO3粒子分散液に、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を溶解させた液を、70℃で1時間攪拌することにより、前記化合物を前記Ti過剰のBaTiO3粒子と反応させる工程とすることが望ましい。
(1)BaTiO3粒子のエッチング
まず、平均粒子径が0.30μmのBaTiO3粉末を用意した。そして、このBaTiO3粉末を300g秤量し、別途調製しておいた0.2Nの希塩酸1L中に投入し、室温で、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))製の羽根を使って60分間撹拌した。これにより、BaTiO3を一般式ABO3で表した場合におけるAサイトを構成するバリウム(Ba)が溶解して、Bサイトを構成するTiリッチのBaTiO3となる。
次に、酸によるエッチング後のBaTiO3粉末50gに、純水300gを加えてスラリー化するとともに、このスラリーを撹拌しながら70℃に加熱した。
上記(2)の工程で得た表層が改質された改質粉末(チタン酸バリウム系セラミック粉末)100モル部に対して、
Dy2O3粉末1.0モル部、
MgCO3粉末1.2モル部、
MnCO3粉末0.2モル部、
BaCO3粉末1.0モル部、
SiO2粉末1.2モル部
を添加し、純水と1mmφのZrO2ボールを用いたボールミルにより粉砕・混合することにより誘電体粉末を作製した。
上記(3)の工程で作製した誘電体粉末に、ポリブチラール系バインダと可塑剤を添加し、さらにトルエンとエチルアルコールを加えて、ボールミルによりスラリー化した。そして、このスラリーをシート状に成形して、焼結後の厚みが3.0μmとなるようなセラミックグリーンシートに作製した。
そして、このグリーン積層チップを、大気中、280℃で熱処理し、バインダを燃焼除去した。引き続き、N2−H2−H2O気流中、1300℃、酸素分圧:10-9.7MPaの条件で2時間の焼成を行い、焼成済みの積層チップ(積層セラミック素子)を得た。
(a)エッチングに0.6Nの希塩酸を用いたこと、
(b)エッチング時間を45分としたこと、
(c)エッチング後のBaTiO3粉末に添加する副成分として、Sr(OH)2・8H2O結晶を、表1に示すような割合で添加したこと、すなわち、エッチング後のBaTiO3粉末50gに純水300gを加えてスラリー化し、撹拌しながら70℃に加熱するともに、加熱したスラリーにSr(OH)2・8H2O結晶(1.154g)を添加して、さらに70℃で1時間撹拌を続けたこと
を除いて上記<実施例1>の場合と同じ方法および条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
(a)エッチング後のBaTiO3粉末に添加する副成分として、Ca(OH)2粉末と、MgCO3粉末とを、表1に示すような割合で添加したこと、すなわち、エッチング後のBaTiO3粉末50gに純水300gを加えてスラリー化し、撹拌しながら70℃に加熱するともに、加熱したスラリーにCa(OH)2粉末(0.159g)とMgCO3粉末(0.001g)を添加して、さらに70℃で1時間撹拌を続けたこと
を除いて上記<実施例1>の場合と同じ方法および条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
(a)エッチングに0.6Nの希塩酸を用いたこと、
(b)エッチング時間を120分としたこと、
(c)エッチング後のBaTiO3粉末に添加する副成分として、Ba(OH)2・8H2O結晶と、Ca(OH)2粉末とを、表1に示すような割合で添加したこと、すなわち、エッチング後のBaTiO3粉末50gに純水300gを加えてスラリー化し、撹拌しながら70℃に加熱するともに、加熱したスラリーにBa(OH)2・8H2O結晶(2.426g)とCa(OH)2粉末(0.081g)を添加して、さらに70℃で1時間撹拌を続けたこと
を除いて上記<実施例1>の場合と同じ方法および条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
(a)エッチングの対象となる元のBaTiO3粉末として、(Ba0.95Ca0.05)TiO3を用いたこと、
(b)エッチングに0.6Nの希塩酸を用いたこと、
(c)エッチング時間を45分としたこと、
(d)エッチング後のBaTiO3粉末に添加する副成分として、Ba(OH)2・8H2O結晶と、MgCO3粉末(0.009g)とを、表1に示すような割合で添加したこと、すなわち、エッチング後のBaTiO3粉末50gに純水300gを加えてスラリー化し、撹拌しながら70℃に加熱するともに、加熱したスラリーにBa(OH)2・8H2O結晶(1.395g)とMgCO3粉末(0.009g)を添加して、さらに70℃で1時間撹拌を続けたこと
を除いて上記<実施例1>の場合と同じ方法および条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
酸によるエッチングを行うとともに、副成分であるCaCO3を(Ba+Ca)/Ti=1.000、Ca/Ti=0.01となるように添加したが、CaCO3は単にBaTiO3粒子の表面に付着させただけで、上記実施例1の場合のように、副成分をBaTiO3粒子とを反応させることなく、原料粉末として用いた。そして、その他は、上記<実施例1>の場合と同じ方法および条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
酸によるエッチングを行わず、副成分の添加による表層の改質も行っていないBaTiO3粉末を原料粉末として用いたこと、を除いて、上記<実施例1>の場合と同じ方法および条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
なお、表1に、上述のようにして作製した、<実施例1>〜<実施例5>,<比較例1>および<比較例2>の各試料の作製条件、副成分を反応させた後の未反応異相の有無などをまとめて示す。
上述のようにして作製した<実施例1>〜<実施例5>,<比較例1>および<比較例2>の各積層セラミックコンデンサ(試料)50個について、静電容量を1kHz、1Vrmの条件で、LCRメーターにより測定し、得られた静電容量の値から比誘電率を算出した。
ΔC125(%)={(C125−C25)/C25}×100) ……(1)
そして、積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗が1MΩまで低下するまでに要する時間を寿命試験における故障寿命とした。
それから、上記寿命試験から得られた故障寿命について、ワイブル解析を行い、平均寿命(MTTF)を求めた。
上記のようにして調べた<実施例1>〜<実施例5>,<比較例1>および<比較例2>の各積層セラミックコンデンサ(試料)の特性を表2に示す。
これらの効果は、上述のように、BaTiO3粒子の表層が均質に改質されたことによるものである。
1b エッチング後のTiリッチのBaTiO3粒子
1 表層を改質したBaTiO3粒子
2 BaTiO3粒子の表層
11 セラミック層
12 内部電極層
13a,13b 外部電極
10 積層セラミック素子
Claims (2)
- (a)BaTiO3粒子をエッチングすることにより、BaTiO3粒子表層のBaを溶出させて、Ti過剰のBaTiO3粒子とするエッチング工程と、
(b)前記Ti過剰のBaTiO3粒子に、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を添加する化合物添加工程と、
(c)前記(b)の工程で添加した前記化合物を、前記Ti過剰のBaTiO3粒子と、70℃で1時間反応させ、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種を固溶させる反応工程と
を具備することを特徴とするチタン酸バリウム系セラミック粉末の製造方法。 - 前記(b)の化合物添加工程を、前記(a)の工程でエッチングしたBaTiO3粒子を水系分散媒に分散させたBaTiO3粒子分散液に、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を溶解させる工程とし、
前記(c)の反応工程を、前記BaTiO3粒子分散液に、Ca,Sr,およびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を溶解させた液を、70℃で1時間攪拌することにより、前記化合物を前記Ti過剰のBaTiO3粒子と反応させる工程としたこと
を特徴とする請求項1記載のチタン酸バリウム系セラミック粉末の製造方法。
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