JPWO2016013644A6 - 箔画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
少なくとも、記録媒体の親水性に関わらず高精細な箔画像を形成する方法を提供することを課題とする。
上記課題解決のため、水および水溶性有機溶剤に共重合樹脂が分散または溶解してなる接着性インク、又は、温度によりゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを箔用の接着剤として用いて、インクジェットプリント法によって当該接着剤を塗布して、箔画像を形成する。
前記接着性インクの共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体であり、当該共重合樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gであり、当該共重合樹脂のガラス転移温度は、30〜110℃である。
また、前記活性光線硬化型インクジェットインクは、ゲル化剤を活性光線硬化型インクジェットインクの全質量に対して0.5〜10質量%含むものであり、前記活性光線硬化型インクジェットインクが着弾する際の前記記録媒体の温度と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上である。
上記課題解決のため、水および水溶性有機溶剤に共重合樹脂が分散または溶解してなる接着性インク、又は、温度によりゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを箔用の接着剤として用いて、インクジェットプリント法によって当該接着剤を塗布して、箔画像を形成する。
前記接着性インクの共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体であり、当該共重合樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gであり、当該共重合樹脂のガラス転移温度は、30〜110℃である。
また、前記活性光線硬化型インクジェットインクは、ゲル化剤を活性光線硬化型インクジェットインクの全質量に対して0.5〜10質量%含むものであり、前記活性光線硬化型インクジェットインクが着弾する際の前記記録媒体の温度と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上である。
Description
本発明は、箔画像形成方法に関する。
高級感や高い意匠性などを有する画像として、箔画像が知られている。箔画像は、紙製や布製などの記録媒体に金属箔などの箔を所望の形状で接着して形成された画像である。箔画像は一般的に、金属箔をホットスタンプ等によって記録媒体に押しつけることで形成することが一般的であった。このような方法では、箔画像の形状に合わせて版(スタンプ)を形成する必要があり、小ロットごとに箔画像を変更したり、低コスト化することが難しかった。そこで、版を用いることなく、デジタル印刷等によって箔画像を形成することが求められていた。
近年、デジタル印刷で装飾を施した装飾壁紙等が人気を得ている。このような装飾壁紙は、裏打ち紙に装飾シート層を積層したり、裏打ち紙に直接装飾(箔押し等)を施すことで製造されている。装飾シート層としては、塩ビシート等が知られており、裏打ち紙としては天然パルプ基材、天然パルプと合成樹脂との混抄基材(不織布壁紙)等が知られている。そして、このような壁紙材にも、箔画像を形成することが求められており、製造効率やコスト等の観点から、デジタル印刷で箔画像を形成することが求められていた。
近年、箔画像を形成する方法として、接着剤が所望の形状に塗布された記録媒体に金属箔を加熱圧着によって転写させて記録媒体に箔画像を形成する方法が提案されている。当該接着剤には、熱可塑性樹脂を含むマイクロカプセルを有する水性接着剤が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
水性接着剤は、水を主成分とする。水は、有機溶剤に比べて揮発速度が遅い。このため、上記箔画像形成方法では、記録媒体に液滴として着弾した水性接着剤は、記録媒体上においても十分に高い流動性を有している。よって、親水性の高い記録媒体では、着弾した水性接着剤が滲むことがある。さらに、親水性の低い記録媒体では、着弾した水性接着剤の隣り合う液滴同士が合一して、より粗くまだらに分布することがある。そして、このような現象が生じると、箔画像の精細さが損なわれやすい。
このように、従来の水性接着剤を用いる箔画像形成方法では、記録媒体の親水性によっては所期の箔画像が形成されないことがある、という問題を有している。
一方、活性光線硬化型のインクジェットインクによってインク画像を形成し、当該インク画像と転写箔とを圧着して、パターン状に箔を転写する方法も提案されている(例えば特許文献2)。
さらに、活性光線硬化型のインクジェットインクによってインク画像を形成し、当該インク画像を仮硬化させてから転写箔と圧着して、箔をパターン状に転写する方法も提案されている(特許文献3)。
本発明は、少なくとも、記録媒体の親水性に関わらず高精細な箔画像を形成する方法を提供する。
本発明の第一の実施態様は、以下の箔画像形成方法に関する。
[1]記録媒体または箔シートの少なくとも一方に、形成すべき箔画像に応じた形状に、インクジェットプリント法によって接着性インクを塗布し、上記記録媒体および上記箔シートの箔を加熱圧着し、上記記録媒体から上記箔シートを剥がして、上記記録媒体に箔画像を形成する箔画像形成方法であって、前記接着性インクは、水、水溶性有機溶剤および共重合樹脂を含有し、前記共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体であり、前記接着性インクにおいて分散または溶解しており、前記共重合樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gであり、前記共重合樹脂のガラス転移温度は、30〜110℃である、箔画像形成方法。
[1]記録媒体または箔シートの少なくとも一方に、形成すべき箔画像に応じた形状に、インクジェットプリント法によって接着性インクを塗布し、上記記録媒体および上記箔シートの箔を加熱圧着し、上記記録媒体から上記箔シートを剥がして、上記記録媒体に箔画像を形成する箔画像形成方法であって、前記接着性インクは、水、水溶性有機溶剤および共重合樹脂を含有し、前記共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体であり、前記接着性インクにおいて分散または溶解しており、前記共重合樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gであり、前記共重合樹脂のガラス転移温度は、30〜110℃である、箔画像形成方法。
[2]前記モノマーにおける前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、5〜50質量%である、[1]に記載の箔画像形成方法。
[3]前記水溶性有機溶剤は、グリコールエーテル類、炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール、および、β−アルコキシプロピオンアミド類、からなる群から選ばれる一以上である、[1]または[2]に記載の箔画像形成方法。
[4]前記接着性インクは、界面活性剤をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の箔画像形成方法。
[3]前記水溶性有機溶剤は、グリコールエーテル類、炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール、および、β−アルコキシプロピオンアミド類、からなる群から選ばれる一以上である、[1]または[2]に記載の箔画像形成方法。
[4]前記接着性インクは、界面活性剤をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の箔画像形成方法。
[5]前記接着性インクを塗布する前の前記記録媒体を35〜100℃に加熱する工程をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の箔画像形成方法。
[6]前記記録媒体は、壁紙材である、[1]〜[5]のいずれかに記載の箔画像形成方法。
[7]前記壁紙材は、天然パルプおよび合成繊維を混抄した不織布を含む、[6]に記載の箔画像形成方法。
[6]前記記録媒体は、壁紙材である、[1]〜[5]のいずれかに記載の箔画像形成方法。
[7]前記壁紙材は、天然パルプおよび合成繊維を混抄した不織布を含む、[6]に記載の箔画像形成方法。
本発明の第二の実施態様は、以下の箔画像形成方法、及び積層体に関する。
[8]記録媒体上に、ゲル化剤、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含み、温度によりゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを滴下し、前記活性光線硬化型インクジェットインクの液滴からなるインク画像を形成する工程と、箔層を含む転写箔の転写面を前記インク画像と圧着し、前記インク画像上に前記箔層を転写する工程と、前記インク画像に活性光線を照射して、前記活性光線硬化型インクジェットインクを硬化させ、前記箔層を前記記録媒体上に定着させる工程と、を含み、前記活性光線硬化型インクジェットインクが、前記ゲル化剤を前記活性光線硬化型インクジェットインクの全質量に対して0.5〜10質量%含み、前記活性光線硬化型インクジェットインクが着弾する際の前記記録媒体の温度と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上である、箔画像形成方法。
[8]記録媒体上に、ゲル化剤、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含み、温度によりゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを滴下し、前記活性光線硬化型インクジェットインクの液滴からなるインク画像を形成する工程と、箔層を含む転写箔の転写面を前記インク画像と圧着し、前記インク画像上に前記箔層を転写する工程と、前記インク画像に活性光線を照射して、前記活性光線硬化型インクジェットインクを硬化させ、前記箔層を前記記録媒体上に定着させる工程と、を含み、前記活性光線硬化型インクジェットインクが、前記ゲル化剤を前記活性光線硬化型インクジェットインクの全質量に対して0.5〜10質量%含み、前記活性光線硬化型インクジェットインクが着弾する際の前記記録媒体の温度と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上である、箔画像形成方法。
[9]前記活性光線硬化型インクジェットインクが着弾する際の前記記録媒体の温度と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上70℃以下である、[8]に記載の箔画像形成方法。
[10]前記ゲル化剤が、下記一般式(1)または(2)で表される、[8]または[9]に記載の箔画像形成方法。
R1−CO−R2 (1)
(一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R1及びR2のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む)
R3−COO−R4 (2)
(一般式(2)において、R3は、炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R4は水素原子または炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R3及びR4のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む)
[10]前記ゲル化剤が、下記一般式(1)または(2)で表される、[8]または[9]に記載の箔画像形成方法。
R1−CO−R2 (1)
(一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R1及びR2のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む)
R3−COO−R4 (2)
(一般式(2)において、R3は、炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R4は水素原子または炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R3及びR4のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む)
[11]前記記録媒体が、壁紙材である、[8]〜[10]のいずれかに記載の箔画像形成方法。
[12]前記壁紙材が、天然パルプと合成繊維とを混抄した不織布を含む、[11]に記載の箔画像形成方法。
[12]前記壁紙材が、天然パルプと合成繊維とを混抄した不織布を含む、[11]に記載の箔画像形成方法。
[13]記録媒体と、前記記録媒体上にパターン状に形成された接着層と、前記接着層上に形成された箔層とを有し、前記接着層が、ゲル化剤、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含み、温度によりゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクの硬化物からなる、積層体。
[14]前記記録媒体が、壁紙材である、[13]に記載の積層体。
[14]前記記録媒体が、壁紙材である、[13]に記載の積層体。
本発明の第一の実施態様における接着性インクは、水性接着剤でありながら、適度な両親媒性(親水性および疎水性)を有するとともに、記録媒体へ着弾後速やかに増粘する。したがって、十分な接着力を発現し、そして記録媒体上での濡れによる拡がりが抑制される。よって、本発明の第一の実施態様によれば、記録媒体の親水性に関わらず高精細な箔画像を形成することができる。
また、本発明の第二の実施態様の箔画像形成方法によれば、細線を含むパターン状にも箔を転写可能であり、凹凸を有する記録媒体上にも箔画像を欠陥無く形成可能であり、さらに転写後の箔に割れや浮き上がり等が生じ難い。
本発明には、水性接着剤を用いて、箔画像を形成する実施態様(第一の実施態様)、及び活性光線硬化型のインクを用いて、箔画像を形成する態様(第二の実施態様)が含まれる。これらについて、わけて説明する。
1.第一の実施態様
以下、本発明の第一の実施態様を説明する。
本実施態様に係る箔画像形成方法は、記録媒体または箔シートの少なくとも一方に、形成すべき箔画像に応じた形状に、インクジェットプリント法によって接着性インクを塗布し、上記記録媒体および上記箔シートの箔を加熱圧着し、上記記録媒体から上記箔シートを剥がして、記録媒体に箔画像を形成する。上記箔画像形成方法は、後述する接着性インクを用いる以外は、インクジェットプリント法によって接着剤を記録媒体に塗布し、加熱圧着によって箔を転写する、例えば特許文献1に記載されているような公知の箔画像形成方法によって行うことが可能である。
以下、本発明の第一の実施態様を説明する。
本実施態様に係る箔画像形成方法は、記録媒体または箔シートの少なくとも一方に、形成すべき箔画像に応じた形状に、インクジェットプリント法によって接着性インクを塗布し、上記記録媒体および上記箔シートの箔を加熱圧着し、上記記録媒体から上記箔シートを剥がして、記録媒体に箔画像を形成する。上記箔画像形成方法は、後述する接着性インクを用いる以外は、インクジェットプリント法によって接着剤を記録媒体に塗布し、加熱圧着によって箔を転写する、例えば特許文献1に記載されているような公知の箔画像形成方法によって行うことが可能である。
上記接着性インクは、水、水溶性有機溶剤および共重合樹脂を含有する。すなわち、上記接着性インクは、水を主溶媒とする、上記材料が均一に混合した液体組成物であり、水不溶性の添加物をさらに含有する場合は、当該添加物が分散した上記液体組成物である。以下、当該接着性インクについて説明する。
上記共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体である。当該共重合樹脂は、例えば、塩基との中和反応により水に溶解可能な共重合樹脂であり、接着性インクにおいて分散または溶解して存在する。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の一方または両方を意味する。
上記モノマーにおける上記(メタ)アクリル酸の含有量は、後述する共重合樹脂の酸価(50〜120mgKOH/g)を満足する範囲において、適宜に決めることが可能である。上記モノマーにおける上記(メタ)アクリル酸の含有量は、モノマー中の他の化合物にも依るので一概には言えないが、例えば、5〜20質量%の範囲から選ばれ得る。
接着性インクには、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。接着性インクに(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれると、アルキル鎖によって適度な疎水性と柔軟性が発現し、得られる箔画像の耐擦性や接着性が高まりやすい。このような観点から、上記モノマーにおける上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、アルキル基の炭素数が6〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの上記モノマーにおける含有量は、箔画像の耐擦性や接着性の観点から5質量%以上であることが好ましい。一方、インクジェットヘッドのノズル周辺に対して要求される撥インク性の観点から、20質量%以下であることが好ましく、5〜10質量%であることが上記の観点からより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、アルキル基の炭素数が2〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの上記モノマーにおける含有量は、上記の観点から、5〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、アルキル基の炭素数が6〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルキル基の炭素数が2〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの二種類を含むことが、上記の観点からより好ましい。
上記アルキル基の炭素数が2〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチルおよび(メタ)アクリル酸t−ブチルが含まれる。上記アルキル基の炭素数が6〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例には、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルおよび(メタ)アクリル酸ラウリルが含まれる。
上記モノマーは、本実施態様の効果が得られる範囲において、前述した(メタ)アクリル酸および上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の他のモノマーをさらに含んでいてもよい。当該他のモノマーの例には、メタクリル酸メチルなどの他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸以外の酸モノマー、アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレンが含まれる。上記酸モノマーの例には、イタコン酸、マレイン酸およびマレイン酸ハーフエステルが含まれる。
中でも、メタクリル酸メチルは、箔画像の耐擦性の観点から好ましい。メタクリル酸メチルは、接着剤成分である共重合樹脂の中で耐衝撃性を発現させる硬いコアとなると推測される。上記モノマーにおけるメタクリル酸メチルの含有量は、上記の観点から、15〜85質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。
上記モノマーの共重合体である共重合樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gである。当該酸価が50mgKOH/gよりも小さいと、接着性インクの記録媒体に対する親和性が不十分となり、当該酸価が120mgKOH/gよりも大きいと、接着性インクの箔に対する親和性が不十分となり、いずれも、箔画像の耐擦性および接着強度が不十分になることがある。また、当該酸価が50mgKOH/gよりも小さいと、インクジェットヘッド上で乾燥した接着性インクを溶解および拭き取りによって除去しにくくなる。上記共重合樹脂の酸価は、上記の観点から、50〜100mgKOH/gであることが好ましい。
上記共重合樹脂の酸価は、滴定法によって測定することが可能である。また、上記共重合樹脂の酸価は、例えば、上記モノマーにおける上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対する(メタ)アクリル酸の含有量比を高めることによってより大きくすることが可能である。
上記共重合樹脂のガラス転移温度Tgは、30〜110℃である。当該Tgが当該範囲であると、箔画像の十分かつ良好な耐擦性が得られる。これは、箔と記録媒体との間に形成される接着性インクの薄層が、加熱圧着後であっても、室温で脆くならずに適度な柔軟性を保っているため、と考えてられる。
上記Tgは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することが可能であり、例えば、上記モノマーにおける上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の構造を選択することで、適宜に調整することが可能である。
上記共重合樹脂の重量平均分子量Mwは、20000以上であることが、箔画像の耐擦性を高める観点から好ましく、80000以下であることが、接着性インクの射出性やインクジェットヘッドでのメンテナンス性などを高める観点から好ましい。上記Mwは、上記の観点から、2500〜70000であることがより好ましい。
上記Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することが可能であり、例えば、上記共重合樹脂の共重合時の上記モノマーの濃度を高くすることによってより大きくすることが可能である。また、重合開始剤の量を増やすことによってより小さくすることが可能である。
上記接着性インクにおける上記共重合樹脂の含有量は、インクジェットヘッドの吐出性やメンテナンス性に関わる、接着性インクの粘度や、記録媒体への着弾後の乾燥、接着性などの観点から、1〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
なお、上記接着性インクが顔料を含有する場合には、上記接着性インクにおける上記共重合樹脂の含有量は、顔料固形分に対して、1倍以上であることが、当該接着性インクで上記記録媒体に形成された画像(潜像)の良好な耐擦性や接着性などを得る観点から好ましい。一方、15倍以下であることが、上記接着性インクの射出性や上記メンテナンス性などを損なわない観点から好ましい。上記接着性インクにおける、顔料固形分に対する上記共重合樹脂の含有量は、上記の観点から1〜10倍であることがより好ましい。
上記共重合樹脂の、(メタ)アクリル酸または上記酸モノマーによる酸性基の一部または全部が塩基で中和されていることが、共重合樹脂の水溶性を高める観点から好ましい。上記接着性インクが上記の水、水溶性有機溶剤、及び共重合樹脂を含有する水溶液であることは、接着性インクの性状を安定させる観点から好ましい。当該塩基の例には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属含有塩基、アルカノールアミンやアルキルアミンなどのアミン類、および、アンモニア、が含まれる。
中でも、上記塩基がアンモニア、または沸点が100〜200℃のアミン類であることは、上記共重合樹脂の溶解性を高める観点、および、接着性インクの記録媒体上における薄層の耐久性を高める観点から好ましく、特に、アンモニア、N,N−ジメチルアミノエタノールまたは2−アミノ−2−メチルプロパノールは、接着性インクの射出安定性を高める観点から好ましい。
上記接着性インクへの上記塩基の添加量は、少なすぎると上記共重合樹脂の中和が不十分となり、多すぎると接着性インクの薄層の耐水性が低下することがあり、また臭気が発生することがある。このため、上記添加量は、上記共重合樹脂の上記酸性基に対し、0.8〜3.0当量であることが好ましい。上記添加量は、塩の検出および定量により求めることが可能である。
上記水溶性有機溶剤は、一種でもそれ以上でもよい。水溶性有機溶剤とは、常温で水に対して20質量%以上の濃度で溶解する有機溶剤である。上記接着性インクにおける水溶性有機溶剤の含有量は、記録媒体への接着性インクの濡れ性の制御と着弾した接着性インクの乾燥に伴う増粘によるインク混じりの抑制との観点から、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
上記水溶性有機溶剤の例には、グリコールエーテル類、炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール、および、β−アルコキシプロピオンアミド類、が含まれる。
上記グリコールエーテル類の例には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルが含まれる。
上記1,2−アルカンジオール類の例には、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ヘプタンジオールが含まれる。
上記β−アルコキシプロピオンアミド類の例には、下記式で表される化合物が含まれる。
上記式中、R1は炭素数が1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれ、水素原子、または炭素数が1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。R2とR3は、同一であっても異なっていてもよい。R1の好ましい例には、メチル基、エチル基およびn−ブチル基が含まれ、R2およびR3の好ましい例には、メチル基およびエチル基が含まれる。
上記式で表される化合物は、接着性インクにおける上記共重合樹脂の溶解性を高め、記録媒体に対する良好な浸透性を有し、かつ上記共重合樹脂の水との相溶性を高める観点から好ましい。上記接着性インクにおける上記式で表される化合物の含有量は、上記の観点から、1.0〜40質量%であることが好ましい。
上記水溶性有機溶剤は、上記式で表される化合物と、上記グリコールエーテル類および上記1,2−アルカンジオール類の一方または両方とを含むことが、親水性の低い記録媒体に接着性インクの液滴が着弾したときの液滴の合一を抑制し、高精細な箔画像を得る観点から好ましい。これは、上記グリコールエーテル類および上記1,2−アルカンジオール類が、いずれも、比較的低い表面張力を有するため、と考えられる。
上記接着性インクは、前述した共重合樹脂および水溶性有機溶剤以外は、主に水で構成される。上記接着性インクにおける水の含有量は、特に限定されないが、例えば10質量%以上である。
上記接着性インクは、本実施態様の効果を奏する範囲において、前述した共重合樹脂および水溶性有機溶剤以外の他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分の例には、界面活性剤、他の有機溶剤、他の樹脂および顔料が含まれる。
上記接着性インクは、界面活性剤を、一種のみ含んでもよく、それ以上含んでもよい。当該界面活性剤の例には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系の界面活性剤が含まれる。
上記アニオン性界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類が含まれる。
上記ノニオン性界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、および、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、が含まれる。
上記カチオン性界面活性剤の例には、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類が含まれる。
上記シリコーン系界面活性剤の例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物が含まれ、市販品として、信越化学工業株式会社製のKF−351A、KF−642や、ビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
上記フッ素系界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。上記フッ素系界面活性剤は、その分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
上記フッ素系の界面活性剤は、例えば、DIC株式会社からメガファック(MEGAFAC、同社の登録商標)なる商品名で、旭硝子株式会社からサーフロン(SURFLON、AGCセイミケミカル株式会社の登録商標)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
上記フッ素系界面活性剤は、親水性基の種類により、アニオン系、カチオン系、ノニオン系に分類されるが、ノニオン系のフッ素系界面活性剤であることがより好ましい。当該ノニオン系のフッ素系界面活性剤の好ましい例には、DIC株式会社製のメガファックF−144D、および、旭硝子株式会社製のサーフロンS−141、同145、が含まれる。また、両性のフッ素系界面活性剤の例には、旭硝子株式会社製のサーフロンS−131、同132が含まれる。
上記界面活性剤は、記録媒体への接着性インクの濡れ性を調整する観点から、シリコーン系界面活性剤またはフッ素系の界面活性剤であることが好ましい。上記界面活性剤は、親水性の低い記録媒体に対しては、接着性インクの液滴が弾かれずに濡れるようにするのに好ましく、また、親水性が高い記録媒体に対しては、接着性インクの液滴が拡がり過ぎないようにするのに好ましい。当該シリコーン系界面活性剤またはフッ素系の界面活性剤は、前述した低表面張力の水溶性有機溶剤である上記グリコールエーテル類または上記1,2−アルカンジオール類と併用することが特に好ましい。
上記接着性インクにおける上記界面活性剤の含有量は、本実施態様の効果と前述した界面活性剤による効果との両方を得る観点から、0.1〜2質量%であることが好ましく、0.2〜1質量%であることがより好ましい。
上記他の有機溶剤は、一種でもそれ以上でもよい。当該他の有機溶剤の例には、膨潤性有機溶剤、一価アルコール、多価アルコール、アミンおよびアミドが含まれる。上記接着性インクにおける上記他の有機溶剤の含有量は、本実施態様の効果が得られる範囲から適宜に決めることができる。
上記膨潤性有機溶剤は、記録媒体(例えば、塩化ビニルなどの樹脂製の記録媒体)を溶解、軟化あるいは膨潤しうる溶剤である。当該膨潤性有機溶剤は、接着性シートの記録媒体への接着性を高める観点、および、箔画像の耐擦性を高める観点、から好ましい。
上記膨潤性有機溶剤の例には、窒素またはイオウ原子を含むヘテロ環式化合物、環状エステル、乳酸エステル、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテルモノエステルおよびジメチルスルフォキシドが含まれる。
窒素原子を含む上記ヘテロ環式化合物の例には、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノンなどの環状アミド化合物が含まれる。イオウ原子を含む上記ヘテロ環式化合物の例には、スルフォランなどの、5〜7員環の化合物が含まれる。
上記環状エステルの例には、γ−ブチロラクトンおよびε−カプロラクトンが含まれ、上記乳酸エステルの例には、乳酸ブチルおよび乳酸エチルが含まれる。上記アルキレングリコールジエーテルの例には、ジエチレングリコールジエチルエーテルが含まれ、上記アルキレングリコールモノエーテルモノエステルの例には、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテートが含まれる。
上記一価アルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノールおよびターシャリーブタノールが含まれる。上記多価アルコール類の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオールおよびチオジグリコールが含まれる。
上記アミンの例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよびテトラメチルプロピレンジアミンが含まれる。上記アミドの例には、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドが含まれる。
上記他の樹脂は、一種でもそれ以上でもよい。上記他の樹脂は、その機能に応じて適宜に選ぶことができ、上記接着性インクにおける上記他の樹脂の含有量は、本実施態様の効果が得られる範囲において適宜に決めることができる。たとえば、上記接着性インク中の樹脂における上記共重合樹脂の含有量は、50〜100質量%である。
上記顔料は、一種でもそれ以上でもよい。上記顔料には、従来公知の有機及び無機顔料を使用することが可能である。上記接着性インクにおける上記顔料の含有量は、本実施態様の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。当該顔料の例には、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料などの多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などの有機顔料;および、カーボンブラックなどの無機顔料;が含まれる。
上記接着性インクの表面張力は、インクジェットヘッドのノズル周辺の濡れによる吐出能力の低下を防止する観点から、15mN/m以上であることが好ましく、インクジェットヘッドのノズル周りが濡れて吐出能力が低下することがなく、またコート紙や樹脂製の記録媒体などの、通常の紙の記録媒体に比べて低い表面エネルギーを有する記録媒体に着弾した液滴の拡がりを抑制する観点から、35mN/m以下であることが好ましい。
上記表面張力は、公知の測定装置、例えば、CBVP−Z型(協和界面科学株式会社製)を用いて測定することが可能である。また、上記表面張力は、例えば、共重合樹脂の分子構造中における疎水性置換基と親水性置換基の構成比や立体バランスなどを制御することによって調整することが可能である。
また、上記接着性インクの粘度は、インクジェットヘッドによる吐出、すなわちサーマル方式やピエゾ方式のヘッドによる液滴の吐出における吐出安定性を高める観点から、5〜20mPa・sであることが好ましい。
上記粘度は、公知の粘度計、例えばE型粘度計「V−25型」(東機産業株式会社製)を用いて測定することが可能である。また、上記粘度は、例えば、共重合樹脂の含有量または分子量によって調整することが可能である。
本実施の形態に係る箔画像形成方法は、例えば、図1に示される装置を用いて行うことが可能である。
箔画像形成装置10は、図1に示されるように、インクジェットヘッド11、加熱ローラ12、支持ローラ13、剥離部材14および巻き取りローラ15を有する。インクジェットヘッド11は、例えば、オンデマンド型のインクジェットヘッドであり、前述した接着性インクを吐出可能に収容している。加熱ローラ12は、例えば、内部にヒータを有するゴム製のローラであり、例えば、記録媒体21と箔シート30の厚さの和と同じかわずかに小さい隙間で、支持ローラ13と対向するように配置されている。
支持ローラ13は、例えば、加熱ローラ12に対向する位置に回転自在に固定されたローラである。剥離部材14は、記録媒体の移動方向における支持ローラ13よりも下流側で、かつ記録媒体上の箔シート(ベースシート31)に接する位置に固定されている。巻き取りローラ15は、剥離部材14よりも下流側かつより上方の位置に回転可能に配置されている。
まず、加熱ローラ12と支持ローラ13との間のニップ部を通って、図1中の矢印X方向に搬送されている記録媒体21に、インクジェットヘッド11から接着性インク22が塗布される。こうして、記録媒体21に、形成すべき箔画像に応じた形状に、インクジェットプリント法によって接着性インク22が塗布される。本実施の形態では、接着性インク22を記録媒体21に塗布することが好ましいが、箔シート30の箔32に接着性インク22を塗布してもよいし、その両方に塗布することも可能である。
記録媒体21は、箔画像が形成されるべき部材であり、例えば、シートである。記録媒体21の材料は、適宜に決めることができ、例えば、紙や布、樹脂、金属、ガラスなどである。紙製の記録媒体の例には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙やコート紙のような塗工された印刷用紙、和紙やはがき用紙のような市販されている印刷用紙、および、壁紙材、が含まれる。当該壁紙材は、例えば、天然パルプおよび合成繊維を混抄してなる不織布を含む。上記接着性インクは、着弾後の濡れ拡がりが生じず、また両親媒性を有することから、上記壁紙材への箔画像の形成に適用される。
箔シート30は、例えば、ベースシート31と、ベースシート31上に配置された箔32とを有する。ベースシート31と箔32との間には、離型層がさらに配置されていてもよい。箔シート30は、例えば、ロールに巻き取られた長尺な帯状のシートであるが、独立した1枚のシートであってもよい。ベースシート31は、例えば、樹脂製のシートまたは紙製のシートである。また、上記離型層は、例えば、フッ素系樹脂またはシリコーン系樹脂の、またはこれらの樹脂と他の樹脂との混合物の薄層である。
箔32は、一般の印刷によっては表現が困難な金属感、光沢感を有する文字や絵柄など、または、透明感を有する透かし文字や絵柄など、を記録媒体上に形成するために記録媒体に接着される薄膜である。箔32は、例えば、顔料などの着色剤を含有する着色層、金属材料からなる金属層、透明樹脂の層、または、ホログラム層と金属層との積層体のような、光干渉を生じさせる材料の層、によって構成される。箔32は、例えば、ベースシート31上に直接、公知の方法によって作製され得る。
次いで、接着性インク22が塗布された記録媒体21に箔シート30の箔32を加熱圧着する。箔シート30は、例えば、記録媒体21の移動方向における支持ローラ13よりも上流側の上方から上記ニップ部に案内され、X方向に搬送されている。記録媒体21と箔シート30は、上記ニップ部において、加熱ローラ12の弾性によって互いに押圧される。こうして、箔シート30は、箔32が記録媒体21に対向する向きで、記録媒体21に圧着する。そして、記録媒体21および箔シート30は、圧着しながら、例えば、箔32の温度が接着性インク中の上記共重合樹脂のTgよりも0〜50℃高くなるように、加熱ローラ12によって加熱される。
次いで、記録媒体21から箔シート30を剥がす。互いに圧着した記録媒体21と箔シート30は、矢印X方向に沿って、剥離部材14まで搬送される。上記の加熱圧着により、箔シート30の箔32は、記録媒体21と、所望の形状の部分で接着している。剥離部材14よりも下流側では、記録媒体21は、矢印X方向に搬送される。箔シート30は、巻き取りローラ15によって上方に引っ張られるが、剥離部材14によって上方への移動が規制されるので、剥離部材14よりも下流側で、巻き取りローラ15によって矢印X1方向に搬送され、巻き取られる。箔シート30の記録媒体21からの剥離により、箔32の、記録媒体21に接着している部分のみが箔シート30から離れる。こうして、記録媒体21に箔画像が形成される。
上記の箔画像の形成では、高精細かつ耐久性に優れる箔画像が形成される。その理由は、以下のように考えられる。
接着性インク22は、その液滴が記録媒体21に着弾することによって、記録媒体21に塗布される。接着性インク22の共重合樹脂は、そのモノマーの(メタ)アクリル酸アルキルエステルによって導入された特定の長さのアルキル基を十分量有する。
当該アルキル基は、接着性インク22の液滴中において、ある程度の長さを有することから大きな分子間相互作用を呈する。また、接着性インク22は、上記水溶性有機溶剤を含有しており、上記共重合樹脂は、適度なTgを有している。このため、接着性インク22の液滴の着弾後の溶媒(水)の揮発により、速やかに増粘し、インクドットの拡がりや変形などが抑制される、と考えられる。
また、上記共重合樹脂は、適度な酸価を有することから、記録媒体21および箔32の親水性に応じて、当該共重合樹脂中の酸性基またはアルキル基が記録媒体21および箔32のそれぞれに適宜に配向し、その結果、当該共重合樹脂の部分が記録媒体21および箔32の表面の微細な凹凸にも入り込み、記録媒体21および箔32のそれぞれに対して強い接着性を発現する、と考えられる。
また、上記共重合樹脂中の上記アルキル基は、接着性インクの硬化物に柔軟性を付与していると考えられる。このため、箔画像形成後の記録媒体21に強い擦過や折れ曲がりなどによる応力が掛かっても、硬化後の接着性インクによる接着層が当該応力に応じて変形し、箔画像における箔の割れや剥離などが抑制される、と考えられる。
さらに、上記アルキル基は、その疎水性により、水分の侵入を抑制し、その結果、上記接着層の耐水性を向上させる、と考えられる。
よって、接着性インク22は、保管時には低粘度を有するが、記録媒体21に液滴として着弾した後では速やかに増粘し、半固体状態として振る舞い、さらに加熱時には上記の良好な接着性を発現する、と考えられる。その結果、箔32と記録媒体21とのインクドット単位での密着性が向上する。このため、高精細な箔画像が形成される。また、上記接着層が上記の適度な柔軟性を有することから、例えば記録媒体21に壁紙材を用いた、箔画像を有する壁紙を使用する場合でも、壁紙施工時の箔の剥がれ落ちを防止することができる。さらには、上記接着層の耐水性が向上することから、箔画像中の上記接着層への経時的な水分の侵入による箔の剥離も、防止することができる。
なお、本実施態様に係る箔画像形成方法は、本実施態様の効果が得られる範囲において、前述した工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。当該他の工程の例には、記録媒体を予熱する工程が含まれる。
上記記録媒体を予熱する工程では、上記接着性インクが塗布される前の上記記録媒体を加熱して、当該記録媒体の温度を35〜100℃にする。当該記録媒体の温度は、例えば、記録媒体の、箔画像が形成されるべき表面の温度であってもよいし、その反対側の面(裏面)の温度であってもよい。上記の予熱は、面状ヒータや温風ヒータ、加熱炉などの公知の加熱装置によって行うことが可能である。上記記録媒体を予熱する工程は、記録媒体の表面における接着性インクの濡れによる拡がりを抑制する観点から好ましい。
以上の説明から明らかなように、本実施態様に係る箔画像形成方法は、記録媒体または箔シートの少なくとも一方に、形成すべき箔画像に応じた形状に、インクジェットプリント法によって接着性インクを塗布し、上記記録媒体および上記箔シートの箔を加熱圧着し、上記記録媒体から上記箔シートを剥がして、上記記録媒体に箔画像を形成する箔画像形成方法であって、上記接着性インクは、水、水溶性有機溶剤および共重合樹脂を含有し、上記共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体であり、上記共重合樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gであって、上記接着性インクにおいて分散または溶解しており、上記共重合樹脂のガラス転移温度は、30〜110℃である。よって、記録媒体の親水性に関わらず高精細な箔画像を形成することができる。
また、上記モノマーにおける上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が5〜50質量%であることは、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおける長鎖のアルキル基による適度な疎水性と柔軟性により発現すると推測される箔画像の耐擦性や接着性などの観点からより一層効果的である。
また、上記水溶性有機溶剤が、グリコールエーテル類、炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール、および、β−アルコキシプロピオンアミド類、からなる群から選ばれる一以上であることは、記録媒体への接着性インクの濡れ性の制御と着弾した接着性インクの乾燥に伴う増粘によるインク混じりの抑制との観点からより一層効果的である。
また、上記接着性インクが界面活性剤をさらに含有することは、記録媒体への接着性インクの濡れ性を制御する観点からより一層効果的である。
また、上記箔画像形成方法が、上記接着性インクを塗布する前の上記記録媒体を35〜100℃に加熱する工程をさらに含むことは、記録媒体の表面における接着性インクの濡れによる拡がりを抑制する観点からより一層効果的である。
また、上記記録媒体が壁紙材であると、本実施態様の前述した効果がより顕著に発現され、上記壁紙材が、天然パルプおよび合成繊維を混抄してなる不織布を含むと、本実施態様の前述した効果がより一層顕著に発現されるので好ましい。
2.第二の態様
以下、本発明の第二の実施態様について説明する。
以下、本発明の第二の実施態様について説明する。
2−1.箔画像形成方法
本実施態様の箔画像形成方法の一例を図2に示す。本実施態様の箔画像の形成方法では、図2(a)に示されるように、活性光線硬化型インクジェットインクを、記録媒体1上にパターン状に塗布し、インク画像2を形成する。そして、図2(b)に示されるように、当該インク画像2に、支持材4及び箔層5を含む転写箔3の転写面(箔層5)を密着させて、圧着する。その後、図2(c)に示されるように、転写箔3を除去する。このとき、インク画像と圧着された箔層5は、インク画像2上に残る。一方、インク画像2と圧着されなかった箔層5は、支持材4と共に除去される。つまり、記録媒体1上には、インク画像2のパターン状に箔層5’が残存し、これが箔画像となる。そして、図2(d)に示されるように、インク画像2に活性光線を光源131から照射して、活性光線硬化型インクジェットインクを硬化させて、箔層5’を記録媒体1上に定着させる。
本実施態様の箔画像形成方法の一例を図2に示す。本実施態様の箔画像の形成方法では、図2(a)に示されるように、活性光線硬化型インクジェットインクを、記録媒体1上にパターン状に塗布し、インク画像2を形成する。そして、図2(b)に示されるように、当該インク画像2に、支持材4及び箔層5を含む転写箔3の転写面(箔層5)を密着させて、圧着する。その後、図2(c)に示されるように、転写箔3を除去する。このとき、インク画像と圧着された箔層5は、インク画像2上に残る。一方、インク画像2と圧着されなかった箔層5は、支持材4と共に除去される。つまり、記録媒体1上には、インク画像2のパターン状に箔層5’が残存し、これが箔画像となる。そして、図2(d)に示されるように、インク画像2に活性光線を光源131から照射して、活性光線硬化型インクジェットインクを硬化させて、箔層5’を記録媒体1上に定着させる。
従来、一般的な活性光線硬化型インクジェットインクによってインク画像を形成し、箔を転写する方法が検討されていた。しかし、このような活性光線硬化型インクジェットインクでインク画像を形成すると、記録媒体に着弾したインク液滴が濡れ広がりやすく、細かいパターンの形成が困難であった。また、凹凸を有する記録媒体に当該インクを塗布すると、記録媒体に着弾したインク液滴が、記録媒体の凹部に入り込みやすかった。その結果、インク画像の厚みが不均一となり、得られる箔画像に、欠け等が生じやすかった。
これに対し、本実施態様の箔画像形成方法では、温度によりゾルゲル相転移をする活性光線硬化型インクジェットインクによってインク画像を形成する。当該インクはインクジェット装置からの射出時にはゾル状態である。一方で、記録媒体に着弾後は速やかにゲル化する。そのため、記録媒体に着弾後のインク液滴が濡れ広がらず、細かいパターンを含むインク画像も形成可能である。
また、記録媒体に着弾した活性光線硬化型インクジェットインクは速やかにゲル化する。そのため、記録媒体に着弾後のインク液滴が記録媒体の凹凸に入り込み難い。したがって、得られるインク画像の厚みが均一になりやすく、得られる箔画像に欠陥が生じ難い。
本実施態様の箔画像形成方法には、具体的には、以下の3つの工程が含まれる。
(1)記録媒体上に、ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを滴下し、前記活性光線硬化型インクジェットインクの液滴からなるインク画像を形成する工程
(2)箔層を含む転写箔の転写面を前記インク画像と圧着し、前記インク画像上に前記箔層を転写する工程
(3)前記インク画像に活性光線を照射し、前記活性光線硬化型インクジェットインクを硬化させ、前記箔層を前記記録媒体上に定着させる工程
以下、各工程について説明する。
(1)記録媒体上に、ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを滴下し、前記活性光線硬化型インクジェットインクの液滴からなるインク画像を形成する工程
(2)箔層を含む転写箔の転写面を前記インク画像と圧着し、前記インク画像上に前記箔層を転写する工程
(3)前記インク画像に活性光線を照射し、前記活性光線硬化型インクジェットインクを硬化させ、前記箔層を前記記録媒体上に定着させる工程
以下、各工程について説明する。
(1.1)インク画像形成工程
インク画像形成工程では、図2に示されるように、記録媒体1上に、ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを滴下し、前記活性光線硬化型インクジェットインクの液滴からなるインク画像2を形成する。インク画像2は、最終的に得ようとする箔画像(箔層からなる画像)と同一のパターンに形成する。
インク画像形成工程では、図2に示されるように、記録媒体1上に、ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを滴下し、前記活性光線硬化型インクジェットインクの液滴からなるインク画像2を形成する。インク画像2は、最終的に得ようとする箔画像(箔層からなる画像)と同一のパターンに形成する。
本工程では、活性光線硬化型インクジェットインクをゾル状態でインクジェット装置から射出する。そして、インク液滴が記録媒体に着弾後、当該インクが速やかにゲル化するよう、記録媒体の温度を、インクのゾルゲル相転移温度より30℃以上低い温度とする。これにより、記録媒体に着弾したインク液滴が濡れ広がらず、所望の位置にピニングされる。
(記録媒体)
本工程で、活性光線硬化型インクジェットインクが塗布される記録媒体は、当該インクを硬化させて得られる接着層が接着可能な材料であれば特に制限されない。前述のように、本実施態様の活性光線硬化型インクジェットインクの液滴は、基材に凹凸があっても凹部に入り込み難い。したがって、本実施態様の箔画像形成方法によれば、凹凸を有する記録媒体にも箔画像を形成可能である。
本工程で、活性光線硬化型インクジェットインクが塗布される記録媒体は、当該インクを硬化させて得られる接着層が接着可能な材料であれば特に制限されない。前述のように、本実施態様の活性光線硬化型インクジェットインクの液滴は、基材に凹凸があっても凹部に入り込み難い。したがって、本実施態様の箔画像形成方法によれば、凹凸を有する記録媒体にも箔画像を形成可能である。
記録媒体は、用途に応じて適宜選択され、例えば各種プラスチック基材、金属基材、ガラス基材、石基材、布基材、天然パルプ基材、天然パルプと合成繊維とを混抄したフリース基材、和紙基材等でありうる。なお、本実施態様の箔画像形成方法によって、装飾壁紙を製造する場合には、記録媒体は天然パルプ基材、天然パルプと合成繊維とを混抄したフリース基材、和紙基材等からなる壁紙材でありうる。
ここで、記録媒体は、枚葉状のシートであってもよく、ロール状に巻き取られた長尺状のシートであってもよい。また、各種樹脂の成型体であってもよい。
(活性光線硬化型インクジェットインク)
本工程に用いられる活性インクジェットインク(以下、単に「インク」とも称する)は、ゾルゲル相転移する。つまり、高温(例えば80℃程度)では液体(ゾル状態)であり、冷却されるとゲル化する性質を有する。そして、本実施態様でいう、インクのゾルゲル相転移温度とは、ゾル状態にあるインクを冷却する過程において、ゲル化して流動性が低下するときの温度とする。
本工程に用いられる活性インクジェットインク(以下、単に「インク」とも称する)は、ゾルゲル相転移する。つまり、高温(例えば80℃程度)では液体(ゾル状態)であり、冷却されるとゲル化する性質を有する。そして、本実施態様でいう、インクのゾルゲル相転移温度とは、ゾル状態にあるインクを冷却する過程において、ゲル化して流動性が低下するときの温度とする。
このような活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度は、40℃以上70℃以下であることが好ましく、50℃以上65℃以下であることがより好ましい。インクジェット装置からの射出温度が80℃近傍である場合に、インクのゾルゲル相転移温度が70℃を超えると、射出時にゲル化が生じやすく、射出性が低くなる。一方、ゾルゲル相転移温度が40℃未満であると、インク着弾時の記録媒体の温度(ゾルゲル相転移温度−30℃超)を10℃未満に設定する必要があり、インク画像形成工程が煩雑になりやすい。
また、インクジェット装置からのインク液滴の射出性を高めるとの観点からは、高温下(ゾル状態)におけるインクの粘度が一定以下であることが好ましい。具体的には、活性光線硬化型インクジェットインクの、80℃における粘度が3〜20mPa・sであることが好ましい。一方、細かいパターンのインク画像を形成するとの観点からは、記録媒体に着弾後(ゲル状態)のインクの粘度が一定以上であることが好ましい。具体的には、活性光線硬化型インクジェットインクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
インクの80℃における粘度、25℃における粘度及びゾルゲル相転移温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。具体的には、インクを100℃に加熱し、剪断速度11.7(/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃まで冷却したときの、粘度の温度変化曲線を得る。そして、80℃における粘度と25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。ゾルゲル相転移温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
レオメータは、Anton Paar社製 ストレス制御型レオメータ PhysicaMCRシリーズを用いることができる。コーンプレートの直径は75mm、コーン角は1.0°とすることができる。
ここで、活性光線硬化型インクジェットインクには、ゲル化剤、光重合性化合物、及び光重合開始剤が少なくとも含まれ、必要に応じて非重合性樹脂等が含まれてもよい。
・ゲル化剤
活性光線硬化型インクジェットインクに含まれるゲル化剤は、インクを温度により可逆的にゾルゲル相転移させる機能を有する。そのようなゲル化剤は、少なくとも1)ゾルゲル相転移温度よりも高い温度で、光重合性化合物等に溶解すること、2)ゾルゲル相転移温度以下の温度では結晶化すること、が必要である。
活性光線硬化型インクジェットインクに含まれるゲル化剤は、インクを温度により可逆的にゾルゲル相転移させる機能を有する。そのようなゲル化剤は、少なくとも1)ゾルゲル相転移温度よりも高い温度で、光重合性化合物等に溶解すること、2)ゾルゲル相転移温度以下の温度では結晶化すること、が必要である。
ゲル化剤の種類は特に制限されないが、インク中で結晶化するときに、ゲル化剤の結晶化物である板状結晶が三次元的に囲む空間を形成し、前記空間に光重合性化合物を内包するゲル化剤であることが好ましい。このように、板状結晶が三次元的に囲む空間に光重合性化合物が内包された構造を「カードハウス構造」ということがある。カードハウス構造が形成されると、光重合性化合物がカードハウス構造内に保持され、インク液滴がピニングされる。つまり、記録媒体に着弾後のインク液滴が濡れ広がり難く、細かいパターン状にもインク画像を形成可能である。記録媒体に着弾後のインク液滴が、カードハウス構造を形成するには、インク中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。またさらに、インク液滴をインクジェット記録装置から安定に吐出するとの観点からも、ゾル状のインク(高温時)において、光重合性化合物とゲル化剤との相溶性が良好であることが重要である。
このようなゲル化剤の例には、
脂肪族ケトン化合物;
脂肪族エステル化合物;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;
キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;
ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;
モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;
硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;
モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;
ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;
ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;
12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;
12-ヒドロキシステアリン酸誘導体;
ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド(例えば日本化成社製 ニッカアマイドシリーズ、伊藤製油社製 ITOWAXシリーズ、花王社製 FATTYAMIDシリーズ等);
N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等のN-置換脂肪酸アミド;
N,N'-エチレンビスステアリルアミド、N,N'-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N'-キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;
ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;
ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物(例えば日本エマルジョン社製 EMALLEXシリーズ、理研ビタミン社製 リケマールシリーズ、理研ビタミン社製 ポエムシリーズ等);
ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸のエステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製);
ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス(Baker−Petrolite社製 UNILINシリーズ等);
ダイマー酸;
ダイマージオール(CRODA社製 PRIPORシリーズ等);
ステアリン酸イヌリン等の脂肪酸イヌリン;
パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリン(千葉製粉社製 レオパールシリーズ等);
ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル;
ベヘン酸エイコサンポリグリセリル(日清オイリオ社製 ノムコートシリーズ等);
N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-(2-エチルヘキサノイル)-L-グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物(味の素ファインテクノより入手可能);
1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール(ゲルオールD 新日本理化より入手可能)等のジベンジリデンソルビトール類;
特開2005−126507号公報、特開2005−255821号公報および特開2010−111790号公報に記載の低分子オイルゲル化剤;等が含まれる。
脂肪族ケトン化合物;
脂肪族エステル化合物;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;
キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;
ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;
モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;
硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;
モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;
ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;
ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;
12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;
12-ヒドロキシステアリン酸誘導体;
ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド(例えば日本化成社製 ニッカアマイドシリーズ、伊藤製油社製 ITOWAXシリーズ、花王社製 FATTYAMIDシリーズ等);
N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等のN-置換脂肪酸アミド;
N,N'-エチレンビスステアリルアミド、N,N'-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N'-キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;
ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;
ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物(例えば日本エマルジョン社製 EMALLEXシリーズ、理研ビタミン社製 リケマールシリーズ、理研ビタミン社製 ポエムシリーズ等);
ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸のエステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製);
ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス(Baker−Petrolite社製 UNILINシリーズ等);
ダイマー酸;
ダイマージオール(CRODA社製 PRIPORシリーズ等);
ステアリン酸イヌリン等の脂肪酸イヌリン;
パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリン(千葉製粉社製 レオパールシリーズ等);
ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル;
ベヘン酸エイコサンポリグリセリル(日清オイリオ社製 ノムコートシリーズ等);
N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-(2-エチルヘキサノイル)-L-グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物(味の素ファインテクノより入手可能);
1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール(ゲルオールD 新日本理化より入手可能)等のジベンジリデンソルビトール類;
特開2005−126507号公報、特開2005−255821号公報および特開2010−111790号公報に記載の低分子オイルゲル化剤;等が含まれる。
ここで、本実施態様の箔画像形成方法用の活性光線硬化型インクジェットインクに含まれるゲル化剤の分子内には、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造が含まれることが好ましい。炭素数が12以上の直鎖アルキル構造とは、直鎖状のアルキル基からなり、当該直鎖部分に含まれる炭素数が12以上である構造をいう。
従来の方法で転写された箔画像は、接着層が吸湿した水分によって、箔が劣化したり、接着層の膨潤に箔が十分に追従できずに割れる等の問題があった。これに対し、ゲル化剤に、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造が含まれると、滴下後のインク液滴において、疎水性の高いゲル化剤がインク液滴表面に寄り集まりやすい。そのため、このようなインク液滴を硬化して得られる接着層は、表面の疎水性が高くなりやすく、当該接着層が吸湿し難い。つまり、当該ゲル化剤を含むインクジェットインクを硬化刺せて得られる箔画像は、水分の影響を受け難く、長期間に亘って劣化し難い。
また、ゲル化剤の分子内に、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造が含まれると、前述のカードハウス構造が形成されやすくなる。このような構造を有するゲル化剤の具体例には、炭素数が12以上の直鎖アルキル基を有する、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸アミド等が含まれる。
これらの中でも、インクの硬化物からなる接着層の疎水性が高まりやすい等の観点から、ゲル化剤は、以下の一般式(1)で表される脂肪族ケトン、または一般式(2)で表される脂肪酸または脂肪族エステル(2)であることが好ましい。
R1−CO−R2 (1)
一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、より好ましくは炭素数1〜24の直鎖状の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数8〜22の直鎖状の炭化水素基である。ただし、R1及びR2のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含み、好ましくは両方が、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む。
一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、より好ましくは炭素数1〜24の直鎖状の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数8〜22の直鎖状の炭化水素基である。ただし、R1及びR2のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含み、好ましくは両方が、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む。
上記一般式(1)で表される脂肪族ケトンにおいて、直鎖アルキル構造の炭素数は12以上24以下であることが好ましい。直鎖アルキル構造の炭素数が12以上であると、ゲル化剤の結晶性が高まりやすくなる。さらに、前述のカードハウス構造において、光重合性化合物を十分に内包しやすくなり、インク画像を緻密に形成しやすくなる。一方で、直鎖アルキル構造の炭素数が24以下であると、ゲル化剤の融点が過度に高まらず、インク中でゲル化剤が十分に溶解する。
上記一般式(1)で表される脂肪族ケトン化合物の例には、ジリグノセリルケトン(C24−C24)、ジベヘニルケトン(C22−C22、融点88℃)、ジステアリルケトン(C18−C18、融点84℃)、ジエイコシルケトン(C20−C20)、ジパルミチルケトン(C16−C16、融点80℃)、ジミリスチルケトン(C14−C14)、ジラウリルケトン(C12−C12、融点68℃)、ラウリルミリスチルケトン(C12−C14)、ラウリルパルミチルケトン(C12−C16)、ミリスチルパルミチルケトン(C14−C16)、ミリスチルステアリルケトン(C14−C18)、ミリスチルベヘニルケトン(C14−C22)、パルミチルステアリルケトン(C16−C18)、バルミチルベヘニルケトン(C16−C22)、ステアリルベヘニルケトン(C18−C22)等が含まれる。
一般式(1)で表される化合物の市販品の例には、18−Pentatriacontanon(Alfa Aeser社製)、Hentriacontan−16−on(Alfa Aeser社製)、カオーワックスT1(花王株式会社製)等が含まれる。
活性光線硬化型インクジェットインクには、上記一般式(1)で表される脂肪族ケトンが、一種のみ含まれてもよく、二種類以上含まれてもよい。
R3−COO−R4 (2)
一般式(2)において、R3は、炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、より好ましくは炭素数1〜24の直鎖状の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数8〜22の直鎖状の炭化水素基である。一方、R4は水素原子または炭素数炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、より好ましくは炭素数1〜24の直鎖状の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数8〜22の直鎖状の炭化水素基である。ただし、R3及びR4のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含み、好ましくは両方が、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む。
一般式(2)において、R3は、炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、より好ましくは炭素数1〜24の直鎖状の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数8〜22の直鎖状の炭化水素基である。一方、R4は水素原子または炭素数炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、より好ましくは炭素数1〜24の直鎖状の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数8〜22の直鎖状の炭化水素基である。ただし、R3及びR4のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含み、好ましくは両方が、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む。
一般式(2)において、直鎖アルキル構造の炭素数は12以上24以下であることが好ましい。直鎖アルキル構造の炭素数が12以上であると、ゲル化剤の結晶性が高まりやすくなる。さらに、前述のカードハウス構造において、光重合性化合物を十分に内包しやすくなり、インク画像を緻密なパターン状にも形成しやすくなる。一方で、直鎖アルキル構造の炭素数が24以下であれば、ゲル化剤の融点が過度に高まらず、ゲル化剤がインクに十分に溶解する。
一般式(2)で表される脂肪酸または脂肪族エステルの例には、ベヘニン酸、ベヘニン酸ベヘニル(C21−C22、融点70℃)、イコサン酸イコシル(C19−C20)、ステアリン酸ステアリル(C17−C18、融点60℃)、ステアリン酸パルミチル(C17−C16)、ステアリン酸ラウリル(C17−C12)、パルミチン酸セチル(C15−C16、融点54℃)、パルミチン酸ステアリル(C15−C18)、ミリスチン酸ミリスチル(C13−C14、融点43℃)、ミリスチン酸セチル(C13−C16、融点50℃)、ミリスチン酸オクチルドデシル(C13−C20)、オレイン酸ステアリル(C17−C18)、エルカ酸ステアリル(C21−C18)、リノール酸ステアリル(C17−C18)、オレイン酸ベヘニル(C18−C22)、セロチン酸ミリシル(C25−C16)、モンタン酸ステアリル(C27−C18)、モンタン酸ベヘニル(C27−C22)、リノール酸アラキジル(C17−C20)、トリアコンタン酸パルミチル(C29−C16)等が含まれる。
一般式(2)で表される脂肪族エステルの市販品の例には、ユニスターM−2222SL(日油株式会社製)、エキセパールSS(花王株式会社製、融点60℃)、EMALEXCC−18(日本エマルジョン株式会社製)、アムレプスPC(高級アルコール工業株式会社製)、エキセパールMY−M(花王株式会社製)、スパームアセチ(日油株式会社製)、EMALEX CC−10(日本エマルジョン株式会社製)等が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してもよい。
活性光線硬化型インクジェットインクには、上記脂肪酸または脂肪族エステル化合物が、一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
活性光線硬化型インクジェットインクに含まれるゲル化剤の量は、インク全量に対して0.5〜10.0質量%であり、好ましくは1〜7質量%である。0.5質量%未満であると、インク液滴をゲル化(温度によるゾルゲル相転移)させることができず、10質量%を超えると、インク中に十分に溶解できず、インク液滴の射出性が低下するからである。
・光重合性化合物
光重合性化合物は、活性光線の照射により架橋又は重合する化合物である。活性光線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等であり、好ましくは紫外線である。光重合性化合物は、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物であり、好ましくはラジカル重合性化合物である。
光重合性化合物は、活性光線の照射により架橋又は重合する化合物である。活性光線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等であり、好ましくは紫外線である。光重合性化合物は、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物であり、好ましくはラジカル重合性化合物である。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物)でありうる。活性光線硬化型インクジェットインクには、ラジカル重合性化合物が、一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸とその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が含まれる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が含まれる。
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることがより好ましく、(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。(メタ)アクリレート化合物は、モノマーだけでなく、オリゴマー、モノマーとオリゴマーの混合物、変性物、重合性官能基を有するオリゴマー等でありうる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかをいい、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかをいう。
上記(メタ)アクリレート化合物の分子量は、280〜1500の範囲内にあることが好ましく、300〜800の範囲内あることがより好ましい。インクジェット記録ヘッドからインク液滴を安定に吐出するためには、吐出温度でのインク粘度を一般的に7〜14mPa・sの間にする必要がある。分子量が280以上の(メタ)アクリレート化合物とゲル化剤とが含まれるインクは、吐出温度前後でのインクの粘度変化が小さく、インク粘度を上記範囲に調整しやすい。また、分子量が280以上の(メタ)アクリレート化合物は、臭気が少ないため、活性光線硬化型インクジェットインクや、その硬化物の臭気が少なくなる。一方、分子量を1500以下とすることで、インクのゾル粘度が所望の範囲に収まりやすくなる。
(メタ)アクリレート化合物は、好ましくは、(1)分子内に(−C(CH3)H−CH2−O−)で表される構造を3〜14個有する、三官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物、(2)分子内に環状構造を持つ二官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物である。これらの(メタ)アクリレート化合物は、光硬化性が高く、かつ硬化したときの収縮が少ない。さらに、ゾルゲル相転移の繰り返し再現性が高い。
(1)分子内に(−C(CH3)H−CH2−O−)で表される構造を3〜14個有する、三官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物とは、例えば、3個以上の水酸基を有する化合物の水酸基をプロピレンオキシド変性し、得られた変性物を(メタ)アクリル酸でエステル化したものである。この化合物の具体例には、3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレートPhotomer 4072(分子量471、Cognis社製)、3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレートMiramer M360(分子量471、Miwon社製)等が含まれる。
(2)分子内に環状構造を持つ二官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物とは、例えば、2以上の水酸基とトリシクロアルカンとを有する化合物の水酸基を、(メタ)アクリル酸でエステル化したものでありうる。この化合物の具体例には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート NKエステルA−DCP(分子量304)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート NKエステルDCP(分子量332)等が含まれる。
一方、光重合性化合物は、上記以外の(メタ)アクリレート化合物でもありうる。上記以外の(メタ)アクリレート化合物の例には、1,10−デカンジオールジメタクリレート NKエステルDOD−N(分子量310、新中村化学社製)、4EO変性ヘキサンジオールジアクリレート(CD561、Sartomer社製、分子量358);3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR454、Sartomer社製、分子量429);4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494、Sartomer社製、分子量528);6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499、Sartomer社製、分子量560);カプロラクトンアクリレート(SR495B、Sartomer社製、);ポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−400、新中村化学社製、分子量508)、(NKエステルA−600、新中村化学社製、分子量708);ポリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル9G、新中村化学社製、分子量536)、(NKエステル14G、新中村化学社製);テトラエチレングリコールジアクリレート(V#335HP、大阪有機化学社製、分子量302);ステアリルアクリレート(STA、大阪有機化学社製);フェノールEO変性アクリレート(M144、Miwon社製);ノニルフェノールEO変性アクリレート(M166、Miwon社製)等がある。
また、光重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物以外の重合性オリゴマーでもありうる。重合性オリゴマーの例には、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が含まれる。
活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる光重合性化合物の量は、インク全質量に対して10〜40質量%であることが好ましい。光重合性化合物の量が10質量%以上であると、ゲル化剤の溶解性が低下して、十分にゾルゲル相転移しないことがある。一方、光重合性化合物の量が40質量%を超えると、インクに対する光重合開始剤の溶解性が不十分となることがある。その結果、インクジェット記録装置からインクの吐出が不安定になったり、インク液滴を硬化したときの収縮が大きくなり、箔画像にシワ等が生じることがある。
・光重合開始剤
活性光線硬化型インクジェットインクには、光重合開始剤がさらに含まれる。光重合開始剤は、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型とがある。
活性光線硬化型インクジェットインクには、光重合開始剤がさらに含まれる。光重合開始剤は、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型とがある。
分子内結合開裂型の光重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系;ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステル等が含まれる。
分子内水素引き抜き型の光重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が含まれる。
光重合開始剤が、アシルホスフィンオキシドやアシルホスフォナートであると、感度が良好となる。具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等が好ましい。
活性光線硬化型インクジェットインクにおける光重合開始剤の含有量は、インク硬化時に照射する光や光重合性化合物の種類などにもよるが、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%である。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて光酸発生剤が含まれていてもよい。光酸発生剤の例には、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が含まれる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて光重合開始剤助剤や重合禁止剤などがさらに含まれていてもよい。光重合開始剤助剤は、第3級アミン化合物であってよく、芳香族第3級アミン化合物が好ましい。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルヘキシルアミン等が含まれる。なかでも、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸イソアミルエチルエステルが好ましい。活性光線硬化型インクジェットインクに、これらの化合物が、一種のみ含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が含まれる。
・非重合性樹脂
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて活性光線に対して不活性な樹脂;すなわち、活性光線の照射により、架橋または重合する基(光重合性基)を有さない、非重合性の樹脂が含まれてもよい。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて活性光線に対して不活性な樹脂;すなわち、活性光線の照射により、架橋または重合する基(光重合性基)を有さない、非重合性の樹脂が含まれてもよい。
活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる非重合性樹脂の例には、分子内に極性官能基を少なくとも一つ有するポリエステル樹脂またはケトン樹脂等が含まれる。活性光線硬化型インクジェットインクに、このようなポリエステル樹脂またはケトン樹脂が含まれると、極性官能基によって、インクが記録媒体に着弾後、ゲル化剤が液滴表面に析出しやすい。一方で、ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の比較的弱い極性の部位(エステル部位やケトン部位)は、ゲル化剤と親和性を有する。つまり、ゾル状態のインクにおいて、ゲル化剤が均一に混和されやすくなる。さらに、ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の極性官能基が、記録媒体表面の官能基や、箔層に含まれる金属と結合することで、インクを硬化して得られる接着層と記録媒体との密着性、及び接着層と箔層との密着性が高まる。
ポリエステル樹脂またはケトン樹脂が有する極性官能基は、好ましくは−OH基、−COOH基、−NH2基、−NO2基、及び−CN基から選ばれる基である。ポリエステル樹脂またはケトン樹脂がこれらの極性官能基を有すると、記録媒体に着弾後のインクにおいて、ゲル化剤が表面に析出しやすくなる。特に、ポリエステル樹脂またはケトン樹脂が、−OH基及び−COOHの両方を有することが好ましい。ポリエステル樹脂またはケトン樹脂が、これらを有すると、記録媒体の表面に存在する官能基がどのような基であったとしても、密着性が高まりやすい。
ポリエステル樹脂またはケトン樹脂が有する極性官能基量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の酸価または塩基価が10〜350mgKOH/gとなる範囲が好ましい。ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の酸価または塩基価は、より好ましくは10〜65mgKOH/gである。ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の酸価または塩基価が10mgKOH/gであると、接着層と記録媒体や箔層との密着性が十分に高まらず、さらにインクが十分にゾルゲル相転移しない。一方で、ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の酸価または塩基価が350mgKOH/gを超える程、ポリエステル樹脂またはケトン樹脂に極性官能基を導入することは難しい。また、極性官能基量が過剰であると、ゾル状のインクにおいて、ゲル化剤の相溶性が低下するおそれがある。上記酸価及び塩基価は、JIS K2501に記載の中和価試験方法に準拠して測定される。
極性官能基を有するポリエステル樹脂またはケトン樹脂の数平均分子量は、1000〜5000であることが好ましく、より好ましくは1200〜3000である。ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の数平均分子量が1000未満であると、ゲル化剤の相溶性が大きくなり、ゲル化剤が析出し難くなる。一方で、ポリエステル樹脂またはケトン樹脂の数平均分子量が、5000より大きいと、活性光線硬化型インクジェットインクの粘度が高くなり、インクジェット記録装置からのインクの吐出安定性が低下する。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、ポリスチレン換算で測定される値である。
水酸基及びヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂の具体例には、EVONIK INDUSTRIES社製の特殊エステル樹脂(TEGOAddBondシリーズ(LTH、LTW、1270、2440、3350UV)、いずれも平均分子量1500〜3000、酸価15〜65mgKOH/g、塩基価10〜50mgKOH/g)が含まれる。
水酸基を有するケトン樹脂の具体例には、degussa社製のケトン樹脂(TEGO
VARIPLUS SK(平均分子量1000〜2000、酸価約0mgKOH/g、塩基価約300mgKOH/g))等が含まれる。
VARIPLUS SK(平均分子量1000〜2000、酸価約0mgKOH/g、塩基価約300mgKOH/g))等が含まれる。
ウレタン基を有するケトン樹脂の具体例には、degussa社製のケトン樹脂(TEGO VARIPLUS PZZ−1201)等が含まれる。
活性光線硬化型インクジェットに含まれる、極性官能基を有するポリエステル樹脂またはケトン樹脂の量は、インク全質量に対して1.0〜15.0質量%であり、好ましくは3.0〜10.0質量%である。極性官能基を有するポリエステル樹脂またはケトン樹脂が2種以上含まれる場合には、これらの総量が上記範囲内である。極性官能基を有するポリエステル樹脂またはケトン樹脂の量が、2.0質量%未満であると、着弾後のインクにおいて、ゲル化剤が十分に析出(結晶化)しない場合がある。一方、極性官能基を有するポリエステル樹脂またはケトン樹脂の量が、15.0質量%を超えると、ゾル状のインク粘度が高くなるだけでなく、ゾル状のインクにおいて、ゲル化剤の溶解性が低下する。
極性官能基を有するポリエステル樹脂の調製方法は、特に制限されない。例えば、極性官能基を有する多価アルコール、多価カルボン酸、環状ラクトン等からポリエステル樹脂を調製することで得られる。具体的には、以下の反応を行うことで、極性官能基を有するポリエステル樹脂が調製できる。
(i)2官能以上の多価アルコール、及び2官能以上の多価カルボン酸の直接エステル化反応
(ii)2官能以上のポリエステル、及び2官能以上の多価アルコールのエステル交換反応
(iii)2官能以上の多価アルコール、及び酸無水物のエステル化反応
(iv)1分子中に水酸基とカルボキシル基をそれぞれ1つ以上有するヒドロキシカルボン酸の直接エステル化反応
(v)極性官能基が環に結合した環状ラクトンの開環重合
(i)2官能以上の多価アルコール、及び2官能以上の多価カルボン酸の直接エステル化反応
(ii)2官能以上のポリエステル、及び2官能以上の多価アルコールのエステル交換反応
(iii)2官能以上の多価アルコール、及び酸無水物のエステル化反応
(iv)1分子中に水酸基とカルボキシル基をそれぞれ1つ以上有するヒドロキシカルボン酸の直接エステル化反応
(v)極性官能基が環に結合した環状ラクトンの開環重合
ポリエステル樹脂の酸価及び塩基価は、原料である多価アルコール、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、極性基含有環状ラクトン等の官能基数等で調整する。
また、極性官能基を有するケトン樹脂は、アセトフェノン等の芳香族ケトン化合物に、極性官能基を有する化合物を反応させること等で調製できる。例えば、アセトフェノン等の芳香族ケトン化合物に、ホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物を反応させ、得られたケトン樹脂を水素添加すること等で、−OH基を有するケトン樹脂が調製できる。
ケトン樹脂の酸価及び塩基価は、ケトン化合物に反応させる化合物量や、化合物の種類等で調整する。
・その他の成分について
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて他の成分がさらに含まれていてもよい。他の成分は、色材や、各種添加剤や他の樹脂等でありうる。添加剤の例には、分散助剤、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、インクの保存安定性を高めるための塩基性化合物等も含まれる。塩基性化合物の例には、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが含まれる。他の樹脂の例には、インクの硬化物、つまり接着層の物性を調整するための樹脂などが含まれ、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、およびワックス類等が含まれる。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて他の成分がさらに含まれていてもよい。他の成分は、色材や、各種添加剤や他の樹脂等でありうる。添加剤の例には、分散助剤、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、インクの保存安定性を高めるための塩基性化合物等も含まれる。塩基性化合物の例には、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが含まれる。他の樹脂の例には、インクの硬化物、つまり接着層の物性を調整するための樹脂などが含まれ、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、およびワックス類等が含まれる。
・インクジェットインクの調製方法
活性光線硬化型インクジェットインクは、前述のゲル化剤、光重合性化合物、光開始剤、非重合性樹脂等を、加熱しながら公知の方法で混合して得られる。
活性光線硬化型インクジェットインクは、前述のゲル化剤、光重合性化合物、光開始剤、非重合性樹脂等を、加熱しながら公知の方法で混合して得られる。
(インク画像の形成について)
インク画像の形成は、前述の活性光線硬化型インクジェットインクを、インクジェット記録装置より滴下して行う。このとき、インク液滴の射出性を高めるためには、インクジェット記録ヘッド内のインクの温度を、インクのゾルゲル相転移温度より10〜30℃高い温度に設定することが好ましい。インクジェット記録ヘッド内のインク温度が、ゾルゲル相転移温度+10℃未満であると、インクジェット記録ヘッド内もしくはノズル表面でインクがゲル化して、インク液滴の射出性が低下しやすい。一方、インクジェット記録ヘッド内のインクの温度が、ゾルゲル相転移温度+30℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
インク画像の形成は、前述の活性光線硬化型インクジェットインクを、インクジェット記録装置より滴下して行う。このとき、インク液滴の射出性を高めるためには、インクジェット記録ヘッド内のインクの温度を、インクのゾルゲル相転移温度より10〜30℃高い温度に設定することが好ましい。インクジェット記録ヘッド内のインク温度が、ゾルゲル相転移温度+10℃未満であると、インクジェット記録ヘッド内もしくはノズル表面でインクがゲル化して、インク液滴の射出性が低下しやすい。一方、インクジェット記録ヘッド内のインクの温度が、ゾルゲル相転移温度+30℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
インクジェット記録ヘッドの各ノズルから吐出する1滴あたりの液滴量は、箔画像の解像度にもよるが、0.5〜10plであることが好ましく、高精細に箔画像を形成するためには、0.5〜2.5plであることがより好ましい。
一方で、活性光線硬化型インクジェットインク塗布時の記録媒体の温度は、インクのゾルゲル相転移温度より30℃以上低い温度に設定される。記録媒体の温度は、好ましくはインクのゾルゲル相転移温度より30〜70℃低い温度であり、特に好ましくは当該相転移温度より30〜50℃低い温度である。これにより、記録媒体に着弾したインク液滴が速やかにゲル化して、所望のパターン状にインク画像が形成される。ここで、記録媒体の温度とは、インクが着弾する記録媒体の表面温度をいい、記録媒体全体が上記温度でなくともよい。記録媒体の表面温度は、赤外線放射温度計等で測定される。
記録媒体の温度調整は、記録媒体を公知の手法により加温または冷却することで行われる。加温方法や冷却方法は特に制限されず、各種ヒーターやチラー、ペルチェ素子等により行うことができる。
ここで、本工程で形成されるインク画像の平均厚みは、通常0.1〜1000μm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜300μm程度である。インク画像の厚みが1μm以上であると、後述する箔層形成工程における、転写箔の箔層とインク画像との接着強度が十分に高まりやすい。平均厚みは、インク画像の断面をSEMで観察する事により測定される。
(1.2)箔層形成工程
前述のインク画像形成工程で塗布された活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴からなるインク画像に、箔層を含む転写箔の転写面を接触させて圧着する。そして、転写箔を剥離することにより、インク画像上にのみ、箔層を転写する。
前述のインク画像形成工程で塗布された活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴からなるインク画像に、箔層を含む転写箔の転写面を接触させて圧着する。そして、転写箔を剥離することにより、インク画像上にのみ、箔層を転写する。
接着層と接触させる転写箔には、例えば図2(b)に示されるように、支持材4と箔層5とが少なくとも含まれ、例えば支持材4と箔層5との間には、離型層(図示せず)が形成されていてもよい。また、転写箔の転写面に、接着層等が形成されていてもよい。また、箔層5と支持材4との間には、箔層5を着色するための着色層(図示せず)等が含まれてもよい。この場合、箔層5とともに、着色層もインク画像2上に転写される。このような転写箔3は、枚葉状のシートであってもよく、ロール状に巻き取られた長尺状のシートであってもよい。
転写箔3に含まれる箔層5は、通常の印刷によっては表現が困難な金属感、光沢感を有する文字や絵柄、また、透明感を有する透かし文字や絵柄などを基材上に付与するための層である。箔層5は、例えば金属箔、金属蒸着膜、ホログラム膜、パール調膜、虹色膜、白/黒膜、カラー膜、クリア膜等でありうる。箔は、強度向上を目的として、プラスチックフィルムと金属との複合材料からなる層でもありうる。また、箔層5は、水洗シーライト加工、エッチング加工、レーザ加工等の公知の加工方法によって、金属膜に規則的な模様が付与された層でもありうる。箔層5の厚みは、箔層の種類に応じて適宜選択されるが、通常約10〜100nm程度である。
一方、転写箔3に含まれる支持材4は、箔層5を指示可能な部材であればよく、例えば可撓性を有する樹脂等からなるフィルム又はシートや、紙のシートからなる。支持材4を構成する樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。支持材4は、単層構造であっても多層構造であってもよい。
前述のように、転写箔3には、離型層(図示せず)が含まれていてもよい。離型層は、箔層5の支持材4からの剥離性を確保するための層である。離型層は、例えばメラミン又はイソシアネートを硬化剤として用いた熱硬化性樹脂からなる層、フッ素系又はシリコン系のモノマー又はポリマー等の公知のワックスを含む層等でありうる。
また、転写箔3には、接着層(図示せず)がさらに含まれていてもよい。接着層は、加熱によって、インク画像に対する接着性を発現する層等でありうる。接着層は例えば、いわゆるホットメルトタイプと呼ばれる感熱性の接着剤からなる層でありうる。感熱性の接着剤としては、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む接着剤が挙げられる。
ここで、本工程では、インク画像2と転写箔3の転写面(支持材4と反対の面)とを接触させた状態で、圧着する。転写箔3とインク画像を形成した記録媒体1’との圧着方法は特に制限されない。例えば図3に示されるように、平板状もしくは所望の形状の版41を、インク画像(図示せず)を形成した記録媒体1’と転写箔3とを積層した状態で押しつける方法であってもよい。また、図4に示されるように、一対の転写ロール42a,42bの間を、転写箔3及びインク画像(図示せず)を形成した記録媒体1’とを積層した状態で通過させる方法等であってもよい。さらに、図5に示されるように、転写箔3の支持材側、もしくは記録媒体1’側から転写ロール43等によって圧力をかける方法であってもよい。
このとき、インク画像2と転写箔3とを圧着する力(圧着力)は、ニップ面圧で、100〜800kPaであることが好ましく、200〜600kPaであることがより好ましい。また、圧着時間は0.1〜30秒であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10秒である。
ここで、インク画像2と転写箔3との圧着は、加熱しながら行ってもよい。加熱は、例えば転写ロールや、版を加熱して行うことができる。このときの加熱温度は30〜90℃であることが好ましく、より好ましくは40〜60℃である。加熱を行うと、転写箔3から箔層5が剥離しやすくなり、短時間で箔層5を転写することができる。ただし、加熱温度が過度に高いと、インク画像2を構成するインクが軟化して、パターンがつぶれることがある。したがって、加熱温度は、上記範囲とすることが好ましい。
上記転写箔3とインク画像2とを圧着した後、転写箔3を記録媒体1上から除去する。このとき、インク画像2と圧着された箔層5は、インク画像2上に残る。一方、インク画像2と接触しなかった領域の箔層5は、支持材と共に除去される。つまり、記録媒体1上には、インク画像2と同一のパターン状に、箔画像(箔層5’)が形成される。
(1.3)インク画像硬化工程
前述の箔層形成後、記録媒体1と箔層5との間のインク画像2に活性光線を照射し、活性光線硬化型インクジェットインク(インク画像2)に含まれる光重合性化合物を架橋又は重合させて硬化させる。これにより、箔層5が記録媒体1上に定着される。
前述の箔層形成後、記録媒体1と箔層5との間のインク画像2に活性光線を照射し、活性光線硬化型インクジェットインク(インク画像2)に含まれる光重合性化合物を架橋又は重合させて硬化させる。これにより、箔層5が記録媒体1上に定着される。
インク画像2に光を照射する方法は、特に制限されず、箔層5上部から活性光線を照射してもよい。また、記録媒体1が活性光線に対して透過性を有する場合には、記録媒体1側からインク画像2に活性光線を照射してもよい。
本工程で照射する活性光線は、特に制限されず、活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる光重合開始剤の種類に応じて適宜選択される。例えば電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等でありうるが、好ましくは紫外線であり、特に好ましくはLED光源からの紫外線である。紫外線照射可能なLED装置の例として、Phoseon Technology社製 395nm、水冷LED等が挙げられる。
紫外線の光源としては、メタルハライドランプが一般的であるが、LEDが光源であると、光源からの輻射熱を少なくできる。つまり、輻射熱によってインクの粘度が低下し、インク画像2の形状が変化すること等が抑制される。その結果、インク画像2の硬化物からなる接着層2’によって、箔層5’が十分に定着される。
ここで、輻射熱の照射抑制とインクの十分な硬化との観点から、インク画像表面における、活性光線のピーク照度(370〜410nmの紫外線のピーク照度)は、0.5〜10W/cm2であることが好ましく、より好ましくは1〜5W/cm2である。また、インクに照射する活性光線の量は、350mJ/cm2未満とすることが好ましい。
なお、本実施態様の箔画像形成方法により得られる積層体は、図2(d)に示されるように、記録媒体1と、前記記録媒体上にパターン状に形成された接着層2’(活性光線硬化型インクジェットインクの硬化物)と、前記接着層2’上に形成された箔層5’とを含む。当該積層体では、箔層5’が接着層2’によって強固に接着されているだけでなく、接着層2’が吸湿し難い。したがって、箔層5’が水分の影響を受けにくく、経時で劣化し難い。
なお、本実施態様の箔画像形成方法は、各種製品に箔画像を形成する際に適用でき;例えば、装飾壁紙や、包装材料、本、文具、機械、機器、電化製品、衣料品、ファブリック、絵画等の製造に適用できる。
2−2.箔画像形成装置について
前述の箔画像形成方法の各工程は、異なる装置によりそれぞれ行ってもよい。一方、図6に示されるような、箔画像形成装置200であれば、全ての工程を一つの装置で行うことができる。箔画像形成装置の一例を、以下説明するが、箔画像形成装置は、当該態様に限定されない。
前述の箔画像形成方法の各工程は、異なる装置によりそれぞれ行ってもよい。一方、図6に示されるような、箔画像形成装置200であれば、全ての工程を一つの装置で行うことができる。箔画像形成装置の一例を、以下説明するが、箔画像形成装置は、当該態様に限定されない。
図6に示されるように、箔画像形成装置200には、インク画像を形成するためのインク塗布ユニット101と、転写箔の箔層を転写するための箔転写ユニット102と、インク画像を硬化させるための活性光線照射ユニット103とが含まれる。当該箔画像形成装置では、インク塗布ユニット101にて、前述のインク画像形成工程が行われ、箔転写ユニット102にて、前述の箔層形成工程が行われる。また活性光線照射ユニット103にて、前述のインク画像硬化工程が行われる。
ここで、箔画像形成装置200には、図7に示されるように、箔画像以外の画像を形成、もしくは箔画像を着色するための画像形成ユニット104がさらに含まれてもよい。
(インク塗布ユニット)
前述の活性光線硬化型インクジェットインクを塗布するためのインク塗布ユニットには、前述の活性光線硬化型インクジェットインクを塗布するためのインクジェット記録手段113と、記録媒体1の温度を制御するための温度制御手段119とが含まれる。
前述の活性光線硬化型インクジェットインクを塗布するためのインク塗布ユニットには、前述の活性光線硬化型インクジェットインクを塗布するためのインクジェット記録手段113と、記録媒体1の温度を制御するための温度制御手段119とが含まれる。
インクジェット記録手段113は、ライン記録方式(シングルパス記録方式)の手段であってもよく、シリアル記録方式の手段であってもよい。これらは、求められるインク画像の解像度や記録速度に応じて選択されればよいが、高速記録の観点では、ライン記録方式(シングルパス記録方式)の手段であることが好ましい。以下、ライン記録方式(シングルパス記録方式)のインクジェット記録手段113を例に説明するが、インクジェット記録手段113は、これに制限されない。
インクジェット記録手段113には、複数のインクジェット記録ヘッド114を収容するヘッドキャリッジ116と、ヘッドキャリッジ116に接続したインク流路117と、インク流路117を通じて供給するインクを貯留するインクタンク118とが含まれる。
インクタンク118は、インク流路117を介してヘッドキャリッジ116に接続されている。インク流路117は、インクタンク118中のインクをヘッドキャリッジ116に供給する経路である。
ヘッドキャリッジ116は、記録媒体1の全幅を覆うように固定配置され、複数のインクジェット記録ヘッド114が収容されている。インクジェット記録ヘッド114には活性光線硬化型インクジェットインクが供給される。
インクジェット記録ヘッド114は、記録媒体1の搬送方向に複数配置され、記録媒体1の搬送方向に配置されるインクジェット記録ヘッド114の数は、インクジェット記録ヘッド114のノズル密度と、印刷画像の解像度によって設定される。例えば、液滴量2pl、ノズル密度360dpiのインクジェット記録ヘッド114を用いて1440dpiの解像度の画像を形成する場合には、記録媒体1の搬送方向に対して4つのインクジェット記録ヘッド114がずらして配置される。また、液滴量6pl、ノズル密度360dpiのインクジェット記録ヘッド114を用いて720×720dpiの解像度の画像を形成する場合には、2つのインクジェット記録ヘッド114がずらして配置される。dpiとは、2.54cm当たりのインク液滴(ドット)の数を表す。
ここで、インクタンク118、インク流路117、ヘッドキャリッジ116及びインクジェット記録ヘッド114のインクには、不図示の温度調整手段が設けられ、これらの内部で前述の活性光線硬化型インクジェットインクがゾル状態となるように温度管理される。
一方、温度制御手段119は、記録媒体1の全幅を覆うように配置される。温度制御手段119には、記録媒体1の表面温度を検出するための温度検出部(図示せず)や、ヒーターやチラー等の温度調整部(図示せず)等が含まれる。なお、図6の箔画像形成装置200では、温度制御手段119が記録媒体1の下面に配置されているが、記録媒体1の厚みや形状等に応じて、温度制御手段119は、インク塗布ユニット101の任意の箇所に配置される。
当該インク塗布ユニット101では、記録媒体1が、インクジェット記録手段113のヘッドキャリッジ116と温度制御手段119との間に搬送される。そして温度制御手段119によって、記録媒体1の温度が活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度より30℃以上低い温度に調整される。次いで、ヘッドキャリッジ116のインクジェット記録ヘッド114から高温のインク液滴が吐出されて、記録媒体1上に付着(着弾)する。このとき、記録媒体1に着弾したインク液滴は速やかにゲル化して、所望の形状にインク画像が形成される。
(箔転写ユニット)
箔転写ユニット102には、記録媒体1を挟み込むローラー対(箔転写ニップローラー120)と、当該ニップローラー120のローラー対の間に転写箔3を供給する箔送り出しスプール121と、箔層転写後の転写箔3を回収する巻き取りスプール122とが含まれる。
箔転写ユニット102には、記録媒体1を挟み込むローラー対(箔転写ニップローラー120)と、当該ニップローラー120のローラー対の間に転写箔3を供給する箔送り出しスプール121と、箔層転写後の転写箔3を回収する巻き取りスプール122とが含まれる。
当該箔転写ユニット102では、前述のインク塗布ユニット101で形成されたインク画像と、転写箔3の転写面とが、ニップローラー120によって圧接される。当該圧接によって、インク画像上に、転写箔の箔層が転写されて、箔画像が形成される。一方、記録媒体1と圧接後の転写箔3は、巻き取りスプール122によって回収される。
(活性光線照射ユニット)
活性光線照射ユニット103には、光照射部(光源)131が含まれる。光照射部(光源)131は、記録媒体1の全幅を覆うように設置される。活性光線照射ユニット103では、前述の活性光線硬化型インクジェットインク(インク画像)が硬化し、箔画像が記録媒体に定着される。
活性光線照射ユニット103には、光照射部(光源)131が含まれる。光照射部(光源)131は、記録媒体1の全幅を覆うように設置される。活性光線照射ユニット103では、前述の活性光線硬化型インクジェットインク(インク画像)が硬化し、箔画像が記録媒体に定着される。
(画像形成ユニット)
画像形成ユニット104は、各色のインクを記録媒体に塗布するためのユニットであり、その設置位置は特に制限されない。例えば、画像形成ユニット104で、箔画像以外の画像を形成する場合には、インク塗布ユニット101及び箔転写ユニット102より上流側に設置することができる。一方で、画像形成ユニット104で、箔画像を着色する場合には、インク塗布ユニット101及び箔転写ユニット102より下流側に配置される。なお、画像形成ユニット104で塗布するインクが、活性光線硬化型のインクである場合には、前述の活性光線照射ユニット103と箔転写ユニット102との間に設置し、画像形成ユニット104で塗布したインクを、前述の活性光線照射ユニット103で硬化させてもよい。
画像形成ユニット104は、各色のインクを記録媒体に塗布するためのユニットであり、その設置位置は特に制限されない。例えば、画像形成ユニット104で、箔画像以外の画像を形成する場合には、インク塗布ユニット101及び箔転写ユニット102より上流側に設置することができる。一方で、画像形成ユニット104で、箔画像を着色する場合には、インク塗布ユニット101及び箔転写ユニット102より下流側に配置される。なお、画像形成ユニット104で塗布するインクが、活性光線硬化型のインクである場合には、前述の活性光線照射ユニット103と箔転写ユニット102との間に設置し、画像形成ユニット104で塗布したインクを、前述の活性光線照射ユニット103で硬化させてもよい。
画像形成ユニット104には、複数色のインクジェット記録手段が含まれる。各インクジェット記録手段には、それぞれ複数のインクジェット記録ヘッド114’を収容するヘッドキャリッジ116’と、ヘッドキャリッジ116’に接続したインク流路117’と、インク流路117’を通じて供給するインクを貯留するインクタンク118’とが含まれる。当該画像形成ユニットのインクジェット記録ヘッド114’やヘッドキャリッジ116’、インク流路117’、インクタンク118’は、インク塗布ユニット101の各構成と同様でありうる。
画像形成ユニット104では、例えば各色インクが塗布される。例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のインクが、各インクジェット記録手段から記録媒体1に塗布されて、各種画像が形成される。画像形成ユニット104が塗布するインクの種類は特に制限されず、前述のように、活性光線硬化型のインクであってもよく、溶剤系のインク等であってもよい。
1.第一の態様の実施例
[共重合樹脂P−1の合成]
滴下ロート、還流管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えたフラスコに186質量部の2−プロパノールを収容し、窒素でバブリングしながら加熱還流した。そこへ、下記組成のモノマー溶液を滴下ロートより2時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、さらに5時間加熱還流を続け、次いで放冷し、減圧下で2−プロパノールを留去して、共重合樹脂P−1を得た。なお、下記重合開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。
メタクリル酸メチル 70質量部
アクリル酸エチル 10質量部
アクリル酸2−エチルヘキシル 10質量部
メタクリル酸 10質量部
重合開始剤 0.5質量部
[共重合樹脂P−1の合成]
滴下ロート、還流管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えたフラスコに186質量部の2−プロパノールを収容し、窒素でバブリングしながら加熱還流した。そこへ、下記組成のモノマー溶液を滴下ロートより2時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、さらに5時間加熱還流を続け、次いで放冷し、減圧下で2−プロパノールを留去して、共重合樹脂P−1を得た。なお、下記重合開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。
メタクリル酸メチル 70質量部
アクリル酸エチル 10質量部
アクリル酸2−エチルヘキシル 10質量部
メタクリル酸 10質量部
重合開始剤 0.5質量部
得られた共重合樹脂P−1のガラス転移温度Tgを測定したところ、共重合樹脂P−1のTgは、75℃であった。共重合樹脂P−1のTgは、窒素気流中で、−30〜100℃または0〜130℃の範囲で共重合樹脂P−1を10℃/分で昇温し、その後冷却し、再度10℃/分で昇温しているときに、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。
また、共重合樹脂P−1の酸価(Acid Value、以下「AV」とも称する)を測定したところ、共重合樹脂P−1のAVは、65mgKOH/gであった。共重合樹脂P−1のAVは、10gの共重合樹脂P−1を約50mLの溶剤に溶解し、得られた溶液にフェノールフタレイン指示薬を添加し、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、滴定に用いた水酸化カリウムエタノール溶液の量から、下記式より求めた。
AV=(B×f×5.611)/S
AV=(B×f×5.611)/S
式中、Bは、上記水酸化カリウムエタノール溶液の滴下量(mL)、fは当該水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Sは、共重合樹脂P−1の質量(g)、5.611は、水酸化カリウムの式量の1/10の値(56.11/10)である。
また、共重合樹脂P−1の重量平均分子量Mwを測定したところ、共重合樹脂P−1のMwは35000であった。共重合樹脂P−1のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、下記の測定条件で求めた。
カラム:TSKgel G40000HXL、G2500HXLおよびG2000HX L(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液の流速:1.0mL/分
検出器:RI
較正曲線:標準ポリスチレン
カラム:TSKgel G40000HXL、G2500HXLおよびG2000HX L(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液の流速:1.0mL/分
検出器:RI
較正曲線:標準ポリスチレン
[共重合樹脂P−2〜P−18およびR−1〜R−4の合成]
モノマー溶液中のモノマーの種類および量を表1および表2に示すように変更した以外は共重合樹脂P−1と同様にして、共重合樹脂P−2〜P−18およびR−1〜R−4のそれぞれを合成した。また、共重合樹脂P−1と同様にして、P−2〜P−18およびR−1〜R−4のそれぞれのTg、AVおよびMwを求めた。
モノマー溶液中のモノマーの種類および量を表1および表2に示すように変更した以外は共重合樹脂P−1と同様にして、共重合樹脂P−2〜P−18およびR−1〜R−4のそれぞれを合成した。また、共重合樹脂P−1と同様にして、P−2〜P−18およびR−1〜R−4のそれぞれのTg、AVおよびMwを求めた。
共重合樹脂P−1〜P−18およびR−1〜R−4のモノマーの組成、Tg、AVおよびMwを表1および表2に示す。なお、表1および表2中、「MMA」はメタクリル酸メチルを、「EA」はアクリル酸エチルを、「BA」はアクリル酸ブチルを、「i−BA」はアクリル酸イソブチルを、「2−EHA」はアクリル酸2−エチルヘキシルを、「n−HA」はアクリル酸n−ヘキシルを、「CHA」はアクリル酸シクロヘキシルを、「LA」はアクリル酸ラウリルを、「SA」はアクリル酸ステアリルを、「MA」はメタクリル酸を、そして、「AA」はアクリル酸を、それぞれ表す。
[インクK−1の調製]
下記組成の液体を加熱し、70℃にて攪拌して共重合樹脂P−1を溶解し、樹脂固形分が20質量%の共重合樹脂P−1の水溶液を得た。なお、アンモニア水中のアンモニアの量は、共重合樹脂P−1の酸性基の1.05当量である。
共重合樹脂P−1 10質量部
イオン交換水 39.35質量部
アンモニア水 0.65質量部
下記組成の液体を加熱し、70℃にて攪拌して共重合樹脂P−1を溶解し、樹脂固形分が20質量%の共重合樹脂P−1の水溶液を得た。なお、アンモニア水中のアンモニアの量は、共重合樹脂P−1の酸性基の1.05当量である。
共重合樹脂P−1 10質量部
イオン交換水 39.35質量部
アンモニア水 0.65質量部
次いで、下記組成の液体を攪拌して混合し、得られた溶液を孔径0.8μmのフィルターで濾過し、インクK−1を得た。なお、「KF−351A」は、信越化学工業株式会社製のシリコーン系界面活性剤である。
共重合樹脂P−1の水溶液 45質量部
イオン交換水 29.5質量部
ジプロピレングリコールプロピルエーテル 10質量部
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド 15質量部
KF−351A 0.5質量部
共重合樹脂P−1の水溶液 45質量部
イオン交換水 29.5質量部
ジプロピレングリコールプロピルエーテル 10質量部
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド 15質量部
KF−351A 0.5質量部
[インクK−2〜K−21の調製]
上記水溶液の中の塩基の種類およびインクの材料の種類を表3に示すように変更した以外は、インクK−1と同様にして、インクK−2〜K−21のそれぞれを調製した。なお、共重合樹脂の水溶液における塩基化合物の量は、共重合樹脂の酸性基の1.05当量である。また、共重合樹脂R−4は、共重合樹脂の水溶液の調製においてアンモニア水溶液中で溶解せず、当該アンモニア水溶液が白濁してしまったため、共重合樹脂R−4を含有するインク(K−22)は調製しなかった。
上記水溶液の中の塩基の種類およびインクの材料の種類を表3に示すように変更した以外は、インクK−1と同様にして、インクK−2〜K−21のそれぞれを調製した。なお、共重合樹脂の水溶液における塩基化合物の量は、共重合樹脂の酸性基の1.05当量である。また、共重合樹脂R−4は、共重合樹脂の水溶液の調製においてアンモニア水溶液中で溶解せず、当該アンモニア水溶液が白濁してしまったため、共重合樹脂R−4を含有するインク(K−22)は調製しなかった。
インクK−1〜K−21の塩基の種類およびインクの材料の種類を表3に示す。表3中、「B−1」はアンモニアを、「B−2」はN,N−ジメチルアミノエタノールを、そして、「B−3」は2−アミノ−2−メチルプロパノールを、それぞれ表す。また、「PO−1」はジプロピレングリコールプロピルエーテルを、「PO−2」はジエチレングリコールモノブチルエーテルを、そして、「PO−3」は1,2−ヘキサンジオールを、それぞれ表す。また、「A−1」は3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを、「A−2」は3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを、そして、「A−3」は3−エトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミドを、それぞれ表す。また、「SA−1」はシリコーン系界面活性剤KF−351A(信越化学工業株式会社製)を、「SA−2」はシリコーン系界面活性剤BYK−347(ビックケミ−社製)を、そして、「SA−3」はフッ素系界面活性剤FC−430(3M社製)を、それぞれ表す。
[箔画像の形成と評価]
ノズル口径28μm、駆動周波数18kHz、ノズル数512、最小液滴量12pL、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを四列搭載したオンデマンド型インクジェットプリンタのヘッドの一つに、インクK−1を装填した。当該プリンタは、記録媒体をその裏面(ヘッドと対向する面とは反対の面)から任意に加温可能な接触式ヒータを有し、ヘッド格納ポジションにインク空打ちポジションとブレードワイプ式のメンテナンスユニットを備え、任意の頻度でヘッドクリーニングができるように構成されている。
ノズル口径28μm、駆動周波数18kHz、ノズル数512、最小液滴量12pL、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを四列搭載したオンデマンド型インクジェットプリンタのヘッドの一つに、インクK−1を装填した。当該プリンタは、記録媒体をその裏面(ヘッドと対向する面とは反対の面)から任意に加温可能な接触式ヒータを有し、ヘッド格納ポジションにインク空打ちポジションとブレードワイプ式のメンテナンスユニットを備え、任意の頻度でヘッドクリーニングができるように構成されている。
次いで、記録媒体としてのフリース壁紙材に、印字解像度720dpi×720dpiで、(1)10cm×10cmのサイズの100%Dutyのベタ画像部、(2)5cm×10cmのサイズの上記ベタ画像部、(3)幅2mmの線画を1.0mm幅間隔で通紙方向に対し縦(垂直)と横(平行)になるように配置した第一細線画像部、および、(4)幅1mmの線画を0.5mm幅間隔で縦と横に配置した第二細線画像部、を含む画像を、インクK−1にてプリントした。
すなわち、図1に示されるような箔画像形成装置により、同図に示されるように、箔シートの箔を下に向け、インクジェットヘッドより、インクK−1を記録媒体に向けて画像用に噴射し、フリース壁紙材および箔シートを加熱ローラと支持ローラとの間に挟み、通過させて、箔画像用潜像を形成した。
なお、加熱圧着時の記録媒体の表面温度が50℃になるように、加熱圧着前の記録媒体をその裏面から上記ヒータで加温(予熱)した。記録媒体の表面温度は、非接触温度計(IT−530N型 堀場製作所製)を用いて測定した。
その後、温度を100℃に設定された加熱ローラと支持ローラとの間を、記録媒体および箔シートを加圧しつつ通過させ、次いで記録媒体から箔シートを分離した。これにより、インクK−1で形成された潜像部に対応して箔が記録媒体上に転写された。その後、加熱乾燥装置により記録媒体を80℃に加熱して乾燥し、箔画像を得た。得られた箔画像を、以下の項目について評価した。
(1)細線再現性
第一細線画像部および第二細線画像部を肉眼で、また倍率10倍のルーペにより目視で観察し、細線間に余分な箔が存在しないことと、細線上における箔の欠落の有無とを、以下の基準で評価した。なお、以下、A、BおよびCを合格とし、Dを不合格とした。
A:二つの細線画像とも細線間に余分な箔が存在せず、かつ、細線上に箔の欠落がないことがルーペでの観察により認められる
B:幅0.5mmの細線画像上に微小な欠落が見られたが、肉眼観察では問題のないレベルである
C:部分的に細線間に余分な箔が残存していることが肉眼観察で認められたが、実用上許容範囲内である
D:細線間が完全に再現できないものが肉眼で確認される
第一細線画像部および第二細線画像部を肉眼で、また倍率10倍のルーペにより目視で観察し、細線間に余分な箔が存在しないことと、細線上における箔の欠落の有無とを、以下の基準で評価した。なお、以下、A、BおよびCを合格とし、Dを不合格とした。
A:二つの細線画像とも細線間に余分な箔が存在せず、かつ、細線上に箔の欠落がないことがルーペでの観察により認められる
B:幅0.5mmの細線画像上に微小な欠落が見られたが、肉眼観察では問題のないレベルである
C:部分的に細線間に余分な箔が残存していることが肉眼観察で認められたが、実用上許容範囲内である
D:細線間が完全に再現できないものが肉眼で確認される
(2)耐擦性
30℃、80%RHの環境下に12時間放置した後の箔画像の箔部を、乾いた木綿の布(カナキン3号)で400gの荷重をかけて擦り、当該箔部の擦った面の状態を目視および倍率10倍のルーペで観察し、下記の基準に従って耐擦性を評価した。
A:50回以上擦っても、ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離が生じない
B:50回擦った段階で、ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離が生じるが、肉眼では問題ないレベルである
C:21〜50回擦る間に、肉眼で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものが確認されるが、実用上許容範囲内である
D:20回以下擦る間に、肉眼で剥離を確認される
30℃、80%RHの環境下に12時間放置した後の箔画像の箔部を、乾いた木綿の布(カナキン3号)で400gの荷重をかけて擦り、当該箔部の擦った面の状態を目視および倍率10倍のルーペで観察し、下記の基準に従って耐擦性を評価した。
A:50回以上擦っても、ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離が生じない
B:50回擦った段階で、ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離が生じるが、肉眼では問題ないレベルである
C:21〜50回擦る間に、肉眼で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものが確認されるが、実用上許容範囲内である
D:20回以下擦る間に、肉眼で剥離を確認される
(3)接着強度
30℃、80%RHの環境下に12時間放置した後に、箔画像における5cm×10cmのサイズのベタ画像部にテープ(住友スリーエム株式会社製「スコッチイメンディングテープ MP−18」)を貼り付け、その後、そのテープを手で剥がし、当該箔画像のテープを剥がした後の部分の状態を、肉眼および倍率10倍のルーペで観察し、以下の基準で接着強度を評価した
A:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離が生じない
B:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離が生じるものがあるが、肉眼では問題ないレベルである
C:肉眼観察で確認可能な微細な剥離が生じるものがあるが、実用上許容範囲内である
D:肉眼で剥離が確認できるものがある
30℃、80%RHの環境下に12時間放置した後に、箔画像における5cm×10cmのサイズのベタ画像部にテープ(住友スリーエム株式会社製「スコッチイメンディングテープ MP−18」)を貼り付け、その後、そのテープを手で剥がし、当該箔画像のテープを剥がした後の部分の状態を、肉眼および倍率10倍のルーペで観察し、以下の基準で接着強度を評価した
A:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離が生じない
B:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離が生じるものがあるが、肉眼では問題ないレベルである
C:肉眼観察で確認可能な微細な剥離が生じるものがあるが、実用上許容範囲内である
D:肉眼で剥離が確認できるものがある
(4)耐折り曲げ性
3mm径のステンレス棒に箔画像を、箔画像を外側に向けて巻き付け、そのときの箔画像における箔の浮き、剥離、ひび割れなどの欠陥の発生具合を目視にて確認し、下記の基準により耐折り曲げ性を評価した。
A:巻き付けによる浮き、剥離、ひび割れが全く発生しない
B:10回以上巻き付けにより、軽度の浮き、剥離、ひび割れの発生が認められる
C:2回以上10回未満の巻き付けにより、軽度の浮き、剥離、ひび割れの発生が認められる
D:一度の巻き付けにより、明らかな浮き、剥離、ひび割れが発生する
3mm径のステンレス棒に箔画像を、箔画像を外側に向けて巻き付け、そのときの箔画像における箔の浮き、剥離、ひび割れなどの欠陥の発生具合を目視にて確認し、下記の基準により耐折り曲げ性を評価した。
A:巻き付けによる浮き、剥離、ひび割れが全く発生しない
B:10回以上巻き付けにより、軽度の浮き、剥離、ひび割れの発生が認められる
C:2回以上10回未満の巻き付けにより、軽度の浮き、剥離、ひび割れの発生が認められる
D:一度の巻き付けにより、明らかな浮き、剥離、ひび割れが発生する
インクK−1に代えて、インクK−2〜K−21のそれぞれを用いる以外は、上記と同様にして、箔画像を形成し、評価した。各インクにおける評価結果を表4に示す。
表4から明らかなように、インクK−1〜K−18を用いた箔画像は、いずれも十分な細線再現性、耐擦性、接着強度および耐折り曲げ性を有している。これは、インクK−1〜K−18がいずれも水および水溶性有機溶剤を含有し、また、共重合樹脂P−1〜P−18のいずれにおいても、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体であり、そのAVが50〜120mgKOH/gであり、そのTgが30〜110℃であるため、と考えられる。
一方、インクK−19を用いた箔画像では、細線再現性、耐擦性および耐折り曲げ性が不十分であった。これは、共重合樹脂R−1のAVおよびTgがいずれも高すぎるため、と考えられる。
また、インクK−20を用いた箔画像では、耐擦性および接着強度が不十分であった。これは、共重合樹脂R−2における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの比率が高すぎ、その結果、共重合樹脂R−2のTgが低すぎたため、と考えられる。
また、インクK−21を用いた箔画像では、耐擦性が不十分であった。これは、共重合樹脂R−3における(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基が長すぎ、インクK−21が記録媒体または箔の表面の微細な凹凸に十分に行き渡らなかったため、と考えられる。
2.第二の態様の実施例
活性光線硬化型インクジェットインクの材料として、以下のものを用いた。
活性光線硬化型インクジェットインクの材料として、以下のものを用いた。
(ゲル化剤)
ジステアリルケトン(カオーワックスT1、花王社製)、(18−Pentatriacontanone、試薬(Arfa Aeser)社製)
ベヘニン酸ベヘニル(ユニスター M−2222SL、日油社製)
ステアリン酸ステアリル(エキセパールSS、花王社製)、(ユニスター M−9676、日油社製)、(EMALEX CC−18、日本エマルジョン社製)、(アムレプスSS、高級アルコール工業社製)
ベヘニン酸(ルナックBA、花王社製)
ベヘニルアルコール(カルコール 220−80、花王社製)
パルミチン酸セチル(アムレプスPC、高級アルコール工業社製)
ジステアリルケトン(カオーワックスT1、花王社製)、(18−Pentatriacontanone、試薬(Arfa Aeser)社製)
ベヘニン酸ベヘニル(ユニスター M−2222SL、日油社製)
ステアリン酸ステアリル(エキセパールSS、花王社製)、(ユニスター M−9676、日油社製)、(EMALEX CC−18、日本エマルジョン社製)、(アムレプスSS、高級アルコール工業社製)
ベヘニン酸(ルナックBA、花王社製)
ベヘニルアルコール(カルコール 220−80、花王社製)
パルミチン酸セチル(アムレプスPC、高級アルコール工業社製)
(光重合性化合物)
Photomer 4072(コグニス社製):3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート:分子量471
Miramer M360(Miwon社製):トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート:分子量471
NKエステルDOD−N(新中村化学社製):1,10−デカンジオールジメタクリレート:分子量310
NKエステルA−DCP(新中村化学社製):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート:分子量304
NKエステルA−400(新中村化学社製):ポリエチレングリコールジアクリレート
CD561(Sartomer社製):アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート
SR499(Sartomer社製):6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
SR494(Sartomer社製):4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート
Photomer 4072(コグニス社製):3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート:分子量471
Miramer M360(Miwon社製):トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート:分子量471
NKエステルDOD−N(新中村化学社製):1,10−デカンジオールジメタクリレート:分子量310
NKエステルA−DCP(新中村化学社製):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート:分子量304
NKエステルA−400(新中村化学社製):ポリエチレングリコールジアクリレート
CD561(Sartomer社製):アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート
SR499(Sartomer社製):6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
SR494(Sartomer社製):4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(光重合開始剤)
DAROCURE TPO(BASF社製)
ITX(DKSHジャパン社製)
DAROCURE TPO(BASF社製)
ITX(DKSHジャパン社製)
(非重合性樹脂)
TEGO AddBond LTH (EVONIK社製、水酸基とカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、酸価16mgKOH/g、塩基価25mgKOH/g、数平均分子量2000〜3000)
TEGO VARIPLUS SK (degussa社製、水酸基含有ケトン樹脂、酸価3mgKOH/g未満、塩基価325mgKOH/g、数平均分子量1000〜1500)
TEGO AddBond LTH (EVONIK社製、水酸基とカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、酸価16mgKOH/g、塩基価25mgKOH/g、数平均分子量2000〜3000)
TEGO VARIPLUS SK (degussa社製、水酸基含有ケトン樹脂、酸価3mgKOH/g未満、塩基価325mgKOH/g、数平均分子量1000〜1500)
<合成例1>
下記表5の組成(質量比)に従い、各成分を混合し、これを80℃に加熱して攪拌した。得られた溶液の温度を保持したまま、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過し、活性光線硬化型インクジェットインク1を調製した。
下記表5の組成(質量比)に従い、各成分を混合し、これを80℃に加熱して攪拌した。得られた溶液の温度を保持したまま、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過し、活性光線硬化型インクジェットインク1を調製した。
<合成例2〜12>
表5に示す組成とした以外は、合成例1と同様の方法で活性光線硬化型インクジェットインク2〜12を調製した。
表5に示す組成とした以外は、合成例1と同様の方法で活性光線硬化型インクジェットインク2〜12を調製した。
[実施例2−1]
・活性光線硬化型インクジェットインクの塗布
合成例1で調製した活性光線硬化型インクジェットインクを、図6に示される箔画像形成装置のインク塗布ユニットのインクタンク118に充填した。当該活性光線硬化型インクジェットインクを、塩化ビニルからなる記録媒体(KJ特殊紙社製塩ビクロス用ベース紙、厚み1000μm)に液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で連続吐出(駆動)させた。活性光線硬化型インクジェットインクの着弾時の記録媒体の温度は、25℃に調整した。温度の測定には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を使用した。
・活性光線硬化型インクジェットインクの塗布
合成例1で調製した活性光線硬化型インクジェットインクを、図6に示される箔画像形成装置のインク塗布ユニットのインクタンク118に充填した。当該活性光線硬化型インクジェットインクを、塩化ビニルからなる記録媒体(KJ特殊紙社製塩ビクロス用ベース紙、厚み1000μm)に液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で連続吐出(駆動)させた。活性光線硬化型インクジェットインクの着弾時の記録媒体の温度は、25℃に調整した。温度の測定には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を使用した。
・箔の転写
図6に示されるような箔画像形成装置の箔転写ユニットの、箔送りだしスプール121に、転写箔(村田金箔社製BL2.8 2号金)をセットした。転写箔側のニップローラ(加熱ローラ)120には、長さ357mm、外径62mm、厚さ5mmのアルミニウム製基体上に厚さ1.5mmのシリコーンゴム層を配置したロールを使用した。
一方、記録媒体1側のニップローラ(加圧ローラ)120には、長さ357mm、外径52mm、厚さ5mmのアルミニウム製基体上に厚さ1.5mmのシリコーンゴム層を配置したロールを使用した。加熱ローラと加圧ローラのニップ幅は7mmとした。ニップにおける面圧は290kPaとした。
箔定着装置における通紙速度は、100mm/secとした。
剥離装置には、ロール径が10mmである剥離ローラを使用した。
加熱ローラの温度は、45℃とした。
図6に示されるような箔画像形成装置の箔転写ユニットの、箔送りだしスプール121に、転写箔(村田金箔社製BL2.8 2号金)をセットした。転写箔側のニップローラ(加熱ローラ)120には、長さ357mm、外径62mm、厚さ5mmのアルミニウム製基体上に厚さ1.5mmのシリコーンゴム層を配置したロールを使用した。
一方、記録媒体1側のニップローラ(加圧ローラ)120には、長さ357mm、外径52mm、厚さ5mmのアルミニウム製基体上に厚さ1.5mmのシリコーンゴム層を配置したロールを使用した。加熱ローラと加圧ローラのニップ幅は7mmとした。ニップにおける面圧は290kPaとした。
箔定着装置における通紙速度は、100mm/secとした。
剥離装置には、ロール径が10mmである剥離ローラを使用した。
加熱ローラの温度は、45℃とした。
[実施例2−2〜2−5]
記録媒体を、表6に示される記録媒体に変更、もしくは活性光線硬化型インクジェットインク着弾時の記録媒体の温度を、表6に示される温度に変更した以外は、実施例2−1と同様に箔画像を形成した。
記録媒体を、表6に示される記録媒体に変更、もしくは活性光線硬化型インクジェットインク着弾時の記録媒体の温度を、表6に示される温度に変更した以外は、実施例2−1と同様に箔画像を形成した。
[比較例2−1〜2−6]
活性光線硬化型インクジェットインクを、表6に示されるものに変更、もしくは記録媒体を、表6に示されるものに変更、もしくは活性光線硬化型インクジェットインク着弾時の記録媒体の温度を、表6に示される温度に変更した以外は、実施例2−1と同様に箔画像を形成した。
活性光線硬化型インクジェットインクを、表6に示されるものに変更、もしくは記録媒体を、表6に示されるものに変更、もしくは活性光線硬化型インクジェットインク着弾時の記録媒体の温度を、表6に示される温度に変更した以外は、実施例2−1と同様に箔画像を形成した。
[評価]
実施例2−1〜2−5、及び比較例2−1〜2−6で作製した箔層の細線再現性、接着強度、及び耐水性を以下のように評価した。評価結果を表6に示す。
実施例2−1〜2−5、及び比較例2−1〜2−6で作製した箔層の細線再現性、接着強度、及び耐水性を以下のように評価した。評価結果を表6に示す。
(細線再現性(バリの有無の評価))
幅2mmの線画を1.0mm幅間隔で通紙方向に対し縦(垂直)と横(平行)になるように配置した箔画像、及び、幅1mmの線画を0.5mm幅間隔で縦と横に配置した箔画像の二種類の細線画像を作成した。肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察し、細線間に余分な箔が存在しないことと、細線上における箔の欠落の有無とを、以下の基準で評価した。◎、○、及び△を合格とし、×を不合格とした。
◎:2つの細線画像とも細線間に余分な箔が存在せず、かつ、細線上に箔の欠けがないことがルーペ観察で認められた
○: 幅0.5mmの細線画像上に微小な欠けが見られたが、肉眼観察では問題のないレベルであった
△:部分的に細線間に余分な箔が残存していることが肉眼観察で認められたが、実用上許容範囲内である
×:細線間が完全に再現できないものが肉眼で確認できた。実用上許容範囲外である
幅2mmの線画を1.0mm幅間隔で通紙方向に対し縦(垂直)と横(平行)になるように配置した箔画像、及び、幅1mmの線画を0.5mm幅間隔で縦と横に配置した箔画像の二種類の細線画像を作成した。肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察し、細線間に余分な箔が存在しないことと、細線上における箔の欠落の有無とを、以下の基準で評価した。◎、○、及び△を合格とし、×を不合格とした。
◎:2つの細線画像とも細線間に余分な箔が存在せず、かつ、細線上に箔の欠けがないことがルーペ観察で認められた
○: 幅0.5mmの細線画像上に微小な欠けが見られたが、肉眼観察では問題のないレベルであった
△:部分的に細線間に余分な箔が残存していることが肉眼観察で認められたが、実用上許容範囲内である
×:細線間が完全に再現できないものが肉眼で確認できた。実用上許容範囲外である
(接着強度の評価)
5cm×10cmの大きさに形成した箔画像(ベタパッチ画像)にテープを貼り付けた後、手でそのテープを剥がす。テープを剥がしたときの箔画像の状態を肉眼及び倍率10倍のルーペで観察して以下の基準で評価した。なお、テープには「スコッチメンディングテープ MP−18(住友スリーエム(株)製)」を使用した。
◎:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離を起こしたものはなかった
○:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離を起こしたものがあるが、肉眼では問題ないレベルと判断した
△;肉眼観察で確認可能な微細な空隙や剥離を起こしたものが確認できるものがあるが、実用上許容範囲内である
×;肉眼で剥離を確認できるものがあった。実用上許容範囲外である
5cm×10cmの大きさに形成した箔画像(ベタパッチ画像)にテープを貼り付けた後、手でそのテープを剥がす。テープを剥がしたときの箔画像の状態を肉眼及び倍率10倍のルーペで観察して以下の基準で評価した。なお、テープには「スコッチメンディングテープ MP−18(住友スリーエム(株)製)」を使用した。
◎:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離を起こしたものはなかった
○:ルーペ観察で確認可能な微細な剥離を起こしたものがあるが、肉眼では問題ないレベルと判断した
△;肉眼観察で確認可能な微細な空隙や剥離を起こしたものが確認できるものがあるが、実用上許容範囲内である
×;肉眼で剥離を確認できるものがあった。実用上許容範囲外である
(耐水性)
5cm×10cmの大きさに形成した箔画像(ベタパッチ画像)を湿度80%Rh、温度40℃の環境下に5日間放置した。そして、当該環境から取り出した箔画像の表面を、肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察して、箔画像表面における箔の欠落の有無を以下の基準で評価した。
◎:ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものはなかった
○:ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものがあるが、肉眼では問題ないレベルと判断した
△:肉眼で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものが確認できるものがあるが、実用上許容範囲内である
×:肉眼で剥離を確認できるものがあった。実用上許容範囲外である
5cm×10cmの大きさに形成した箔画像(ベタパッチ画像)を湿度80%Rh、温度40℃の環境下に5日間放置した。そして、当該環境から取り出した箔画像の表面を、肉眼及び倍率10倍のルーペにより目視観察して、箔画像表面における箔の欠落の有無を以下の基準で評価した。
◎:ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものはなかった
○:ルーペ観察で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものがあるが、肉眼では問題ないレベルと判断した
△:肉眼で確認可能な微細な傷の発生や剥離を起こしたものが確認できるものがあるが、実用上許容範囲内である
×:肉眼で剥離を確認できるものがあった。実用上許容範囲外である
表6に示されるように、ゲル化剤を3質量%含む活性光線硬化型インクジェットインクを用い、当該インク着弾時の記録媒体の温度とインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上である場合(実施例2−1〜2−5)、箔画像の細線再現性が良好であった。
また特に、インク着弾時の記録媒体の温度とインクのゾルゲル相転移温度との差が35℃であると(実施例2−1〜2−4)、いずれの記録媒体であっても、細線再現性が良好であった。記録媒体上でのインクのゲル化速度が高まり、インクが濡れ広がり難かったためと推察される。
また特に、インク着弾時の記録媒体の温度とインクのゾルゲル相転移温度との差が35℃であると(実施例2−1〜2−4)、いずれの記録媒体であっても、細線再現性が良好であった。記録媒体上でのインクのゲル化速度が高まり、インクが濡れ広がり難かったためと推察される。
これに対し、ゲル化剤を含む活性光線硬化型インクジェットインクを用いた場合であっても、インク着弾時の記録媒体の温度とインクのゾルゲル相転移温度との差が10℃であると、箔画像の細線再現性が低かった(比較例2−6)。
一方、活性光線硬化型インクジェットインクにゲル化剤を含まない場合(比較例2−1〜2−5)、細線再現性が低かった。インクが記録媒体に着弾後、濡れ広がったためであると推察される。
また、インクがゲル化剤を含むと(実施例2−1〜2−5、及び比較例2−6)、べた画像の接着性が高かった。インクがこのようなゲル化剤を含むと、インクが記録媒体表面で留まりやすく、十分な接着性が得られたと推察される。一方で、インクがゲル化剤を含まない場合、凹凸を有する記録媒体等では、インクが凹部に入り込みやすく、十分な接着性が得られ難かったと推察される。
さらに、インクが炭素数12以上の直鎖状の炭化水素基を有するゲル化剤を含むと(実施例2−1〜2−5、及び比較例2−6)、箔画像の耐水性が高まりやすかった。インクがこのようなゲル化剤を含むと、記録媒体に着弾後、インク液滴表面にアルキル鎖が配向しやすい。つまり、当該インク液滴を硬化して得られる接着層では、層表面にアルキル鎖が多く含まれる。その結果、接着層が外部の水分によって膨潤等し難くなったと推察される。
[実施例2−7〜2−15、及び比較例2−7〜2−8]
活性光線硬化型インクジェットインク、もしくは活性光線硬化型インクジェットインク着弾時の記録媒体の温度を、表7に示される種類に変更した以外は、実施例2−1と同様に箔画像を形成した。
活性光線硬化型インクジェットインク、もしくは活性光線硬化型インクジェットインク着弾時の記録媒体の温度を、表7に示される種類に変更した以外は、実施例2−1と同様に箔画像を形成した。
[評価]
実施例2−7〜2−15、及び比較例2−7〜2−8で作製した箔層の細線再現性、接着強度、及び耐水性を以下のように評価した。評価結果を表7に示す。
実施例2−7〜2−15、及び比較例2−7〜2−8で作製した箔層の細線再現性、接着強度、及び耐水性を以下のように評価した。評価結果を表7に示す。
表7に示されるように、ゲル化剤を0.5〜10質量%含む活性光線硬化型インクジェットインクを用い、当該インク着弾時の記録媒体の温度とインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上である場合(実施例2−7〜2−15)、箔画像の細線再現性が良好であった。
一方、ゲル化剤を含む活性光線硬化型インクジェットインクを用いた場合であっても、ゲル化剤量が10質量%を超える場合(比較例2−7)には、細線再現性やべた画像の接着性が低かった。ゲル化剤が過剰であることにより、箔層や記録媒体と十分な接着性が得られ難くなったと推察される。
また、ゲル化剤の量が0.5質量%未満である場合にも、細線再現性やべた画像の接着性が低かった(比較例2−8)。記録媒体に着弾後のインクが十分にゲル化せず、ピニングされ難かったため、細線再現性等が低下したと推察される。
本出願は、2014年7月25日出願の特願2014−151699号、及び2014年8月27日出願の特願2014−172547号に基づく優先権を主張する。これらの出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、記録媒体の親水性に関わらず耐久性の高い箔画像をインクジェット画像形成方法によって形成することが可能である。よって、本発明によれば、箔画像の形成がこれまで困難であった記録媒体を用いた箔画像の普及や、高い意匠性を有する箔画像のさらなる普及などに寄与することが期待される。
1 記録媒体
2 インク画像
2’ 接着層
3 転写箔
4 支持材
5 箔層
5’ 箔層
10 箔画像形成装置
11 インクジェットヘッド
12 加熱ローラ
13 支持ローラ
14 剥離部材
15 巻き取りローラ
21 記録媒体
22 接着性インク
30 箔シート
31 ベースシート
32 箔
2 インク画像
2’ 接着層
3 転写箔
4 支持材
5 箔層
5’ 箔層
10 箔画像形成装置
11 インクジェットヘッド
12 加熱ローラ
13 支持ローラ
14 剥離部材
15 巻き取りローラ
21 記録媒体
22 接着性インク
30 箔シート
31 ベースシート
32 箔
Claims (14)
- 記録媒体または箔シートの少なくとも一方に、形成すべき箔画像に応じた形状に、インクジェットプリント法によって接着性インクを塗布し、前記記録媒体および前記箔シートの箔を加熱圧着し、前記記録媒体から前記箔シートを剥がして、前記記録媒体に箔画像を形成する箔画像形成方法であって、
前記接着性インクは、水、水溶性有機溶剤、および共重合樹脂を含有し、
前記共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸、および、炭素数が2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を含むモノマーの共重合体であり、前記接着性インクにおいて分散または溶解しており、
前記共重合樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gであり、
前記共重合樹脂のガラス転移温度は、30〜110℃である、
箔画像形成方法。 - 前記モノマーにおける前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、5〜50質量%である、請求項1に記載の箔画像形成方法。
- 前記水溶性有機溶剤は、グリコールエーテル類、炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール、および、β−アルコキシプロピオンアミド類、からなる群から選ばれる一以上である、請求項1または2に記載の箔画像形成方法。
- 前記接着性インクは、界面活性剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の箔画像形成方法。
- 前記接着性インクを塗布する前の前記記録媒体を35〜100℃に加熱する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の箔画像形成方法。
- 前記記録媒体は、壁紙材である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の箔画像形成方法。
- 前記壁紙材は、天然パルプおよび合成繊維を混抄した不織布を含む、請求項6に記載の箔画像形成方法。
- 記録媒体上に、ゲル化剤、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含み、温度によりゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクを滴下し、前記活性光線硬化型インクジェットインクの液滴からなるインク画像を形成する工程と、
箔層を含む転写箔の転写面を前記インク画像と圧着し、前記インク画像上に前記箔層を転写する工程と、
前記インク画像に活性光線を照射して、前記活性光線硬化型インクジェットインクを硬化させ、前記箔層を前記記録媒体上に定着させる工程と、を含み、
前記活性光線硬化型インクジェットインクが、前記ゲル化剤を前記活性光線硬化型インクジェットインクの全質量に対して0.5〜10質量%含み、
前記活性光線硬化型インクジェットインクが着弾する際の前記記録媒体の温度と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上である、箔画像形成方法。 - 前記活性光線硬化型インクジェットインクが着弾する際の前記記録媒体の温度と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのゾルゲル相転移温度との差が30℃以上70℃以下である、請求項8に記載の箔画像形成方法。
- 前記ゲル化剤が、下記一般式(1)または(2)で表される、請求項8または9に記載の箔画像形成方法。
R1−CO−R2 (1)
(一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R1及びR2のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む)
R3−COO−R4 (2)
(一般式(2)において、R3は、炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R4は水素原子または炭素数1〜24の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表し、R3及びR4のうち、いずれか一方は、炭素数が12以上の直鎖アルキル構造を含む) - 前記記録媒体が、壁紙材である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の箔画像形成方法。
- 前記壁紙材が、天然パルプと合成繊維とを混抄した不織布を含む、請求項11に記載の箔画像形成方法。
- 記録媒体と、前記記録媒体上にパターン状に形成された接着層と、前記接着層上に形成された箔層とを有し、
前記接着層が、ゲル化剤、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含み、温度によりゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクの硬化物からなる、積層体。 - 前記記録媒体が、壁紙材である、請求項13に記載の積層体。
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