以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
まず、本実施の形態に係る製造システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る製造システム10のブロック図である。
図1に示す製造システム10は、液体に対する浸透性を有する織物などの浸透性媒体を使用した製品(以下「浸透性媒体製品」と言う。)を製造するシステムである。製造システム10は、PC(Personal Computer)などのコンピューター20と、立体物から3Dデータを読み取るための3Dスキャナー30と、浸透性媒体に印刷を実行するためのインクジェットプリンター40と、浸透性媒体を裁断するためのレーザーカッター60と、接着剤による接着を実行するための接着装置70とを備えている。
コンピューター20と、3Dスキャナー30と、インクジェットプリンター40と、レーザーカッター60とは、LAN(Local Area Network)などのネットワーク11を介して通信可能である。なお、3Dスキャナー30、インクジェットプリンター40およびレーザーカッター60の少なくとも1つは、コンピューター20とネットワーク11を介さずに有線または無線で直接に通信可能であっても良い。
図2は、コンピューター20のブロック図である。
図2に示すように、コンピューター20は、種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部21と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部22と、ネットワーク11(図1参照。)経由で、または、ネットワーク11を介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部23と、各種の情報を記憶する半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部24と、コンピューター20全体を制御する制御部25とを備えている。
記憶部24は、浸透性媒体製品を製造するための製造プログラム24aを記憶している。製造プログラム24aは、コンピューター20の製造段階でコンピューター20にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリー、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの外部の記憶媒体からコンピューター20に追加でインストールされても良いし、ネットワーク11上からコンピューター20に追加でインストールされても良い。
記憶部24は、浸透性媒体製品の加工用のデータ(以下「加工用データ」と言う。)24bを記憶可能である。加工用データ24bは、浸透性媒体に対してインクジェットプリンター40に画像を印刷させるための画像印刷用データ24cと、浸透性媒体に対してインクジェットプリンター40に接着剤を付着させるための接着剤付着用データ24dと、レーザーカッター60に浸透性媒体を裁断させるための裁断用データ24eとを含んでいる。ここで、画像印刷用データ24cは、絵柄やポケットやリボン等の装飾画像と、形状デザイン画像とを含んでいる。接着剤付着用データ24dは、仮縫いや縫製部分に相当する接着画像を含んでいる。裁断用データ24eは、裁断のための型となる裁断型画像を含んでいる。
制御部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部24に記憶されているプログラムを実行する。
制御部25は、製造プログラム24aを実行することによって、加工用データ24bを生成する加工用データ生成手段25aと、浸透性媒体に対してインクジェットプリンター40に画像を印刷させる画像印刷手段25bと、浸透性媒体に対してインクジェットプリンター40に接着剤を付着させる接着剤付着手段25cと、レーザーカッター60に浸透性媒体を裁断させる裁断手段25dとを実現する。
図3は、インクジェットプリンター40の概略正面図である。
図3に示すように、インクジェットプリンター40は、矢印40aで示す鉛直方向における下側から浸透性媒体12を支持するための台41と、浸透性媒体12が巻き付けられて浸透性媒体12を繰り出すための繰り出しローラー42aと、浸透性媒体12を巻き取るための巻き取りローラー42bと、繰り出しローラー42aから繰り出されて巻き取りローラー42bによって巻き取られる浸透性媒体12の方向を鉛直方向に直交する水平方向に変更する2つの方向変更ローラー42cとを備えている。
台41は、浸透性媒体12を支持するための支持面41aが形成されている。支持面41aは、水平方向に延在している。
インクジェットプリンター40は、2つの方向変更ローラー42cの間の浸透性媒体12が水平方向のうち矢印40bで示す方向に移動するように、繰り出しローラー42aおよび巻き取りローラー42bによって浸透性媒体12を搬送する。
インクジェットプリンター40は、紫外線が照射されることによって硬化する紫外線硬化型インク(以下「UVインク」と言う。)であって、浸透性媒体12に対する画像の印刷のための画像印刷用インク43aを鉛直方向における下側に吐出するインクジェットヘッドとしての画像印刷用ヘッド43を複数備えている。インクジェットプリンター40は、これらの画像印刷用ヘッド43と、画像印刷用ヘッド43によって吐出された画像印刷用インク43aに紫外線44aを照射するための紫外線照射装置としての画像印刷用照射装置44とを搭載している画像印刷用キャリッジ45を備えている。
なお、図3においては、画像印刷用ヘッド43が1つしか描かれていない。しかしながら、実際には、インクジェットプリンター40は、例えば、画像印刷用インク43aの種類毎に画像印刷用ヘッド43を備えていても良い。
画像印刷用インク43aとしては、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、グリーン、ブルー、ホワイト、パール、メタリックなど、様々な色のインクが採用されることが可能である。
画像印刷用インク43aとしては、紫外線が照射されて瞬間的に加熱されることによって、溶媒が瞬間的に気化させられて乾燥し定着するインク(以下「UV瞬間乾燥インク」と言う。)が使用される。例えば、画像印刷用インク43aとしては、重合発熱反応を生じる組成物(以下「重合発熱組成物」と言う。)と、重合を開始させるUV吸収剤とを含有する重合発熱組成物有インクと、UV吸収剤を含有するが重合発熱組成物を含有しない重合発熱組成物無インクとの何れかが採用されることが可能である。
重合発熱組成物有インクは、インク全量の15〜50重量%の重合発熱組成物と、インク全量の5〜10重量%のUV吸収剤と、インク全量の2〜10重量%の色材とが溶媒中に加えられたインクである。また、重合発熱組成物有インクには、必要に応じて、表面張力や粘度を調整する調整剤が付加されている。
ここで、重合発熱組成物有インクの溶媒の主成分は、水である。
重合発熱組成物は、例えば、重合反応がラジカル重合である場合、ジプロピレンジアクリレート、イソボニルアクリレート、メトキシブチルアクリレートなどのモノマーや、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどのオリゴマーが採用されることができる。重合発熱組成物は、例えば、重合反応がカチオン重合である場合、エポキシ、ビニルエーテル、オキセタンなどが採用されることができる。
重合発熱組成物有インクのUV吸収剤は、印刷対象の浸透性媒体12の素材に適しているものが採用される。重合発熱組成物有インクのUV吸収剤は、可視光領域の光の吸収力が、色材の発色を阻害しない程度の吸収力であるものが採用されることが好ましい。重合発熱組成物有インクのUV吸収剤は、画像印刷用照射装置44によって照射される紫外線を有効に吸収することができるもの、すなわち、紫外光領域の光の吸収力ができるだけ大きいものが採用されることが好ましい。重合発熱組成物有インクのUV吸収剤は、画像印刷用インク43aに紫外線が照射されることによって画像印刷用インク43aが瞬間的に加熱される場合の熱によって焦げたり、発色したりしない安定したものが採用されることが好ましい。
重合発熱組成物有インクのUV吸収剤は、例えば、重合反応がラジカル重合である場合、アセトフェノン系やアシルオキシム系のものが採用されることができる。重合発熱組成物有インクのUV吸収剤は、例えば、重合反応がカチオン重合である場合、紫外線が照射されることによって酸を発生するものが採用されることができる。
重合発熱組成物有インクの色材は、顔料および分散染料の少なくとも一方である。
重合発熱組成物無インクは、インク全量の5〜10重量%のUV吸収剤と、インク全量の10〜50重量%のバインダー樹脂成分と、インク全量の2〜10重量%の色材とが溶媒中に加えられたインクである。また、重合発熱組成物無インクには、重合発熱組成物有インクと同様に、必要に応じて、表面張力や粘度を調整する調整剤が付加されている。
ここで、重合発熱組成物無インクの溶媒の主成分は、重合発熱組成物有インクと同様に、水である。
重合発熱組成物無インクのUV吸収剤は、重合発熱組成物有インクと同様に、印刷対象の浸透性媒体12の素材に適しているものが採用される。重合発熱組成物無インクのUV吸収剤は、重合発熱組成物有インクと同様に、可視光領域の光の吸収力が、色材の発色を阻害しない程度の吸収力であるものが採用されることが好ましい。重合発熱組成物無インクのUV吸収剤は、重合発熱組成物有インクと同様に、画像印刷用照射装置44によって照射される紫外線を有効に吸収することができるもの、すなわち、紫外光領域の光の吸収力ができるだけ大きいものが採用されることが好ましい。重合発熱組成物無インクのUV吸収剤は、重合発熱組成物有インクと同様に、画像印刷用インク43aに紫外線が照射されることによって画像印刷用インク43aが瞬間的に加熱される場合の熱によって焦げたり、発色したりしない安定したものが採用されることが好ましい。
重合発熱組成物無インクのUV吸収剤は、例えば、重合反応がラジカル重合である場合、アセトフェミノン系UV硬化開始剤やα−アミノアセトフェノン系UV吸収剤、アシルフォスフィンオキサイドラジカル系UV吸収剤、O−アシルオキシム系UV吸収剤、チタノセン型UV硬化開始剤、2分子反応型UV硬化開始剤などのラジカル型UV硬化開始剤が採用されることができる。重合発熱組成物無インクのUV吸収剤は、例えば、重合反応がカチオン重合である場合、カチオン型UV硬化開始剤が採用されることができる。
重合発熱組成物無インクの色材は、重合発熱組成物有インクと同様に、顔料および分散染料の少なくとも一方である。
画像印刷用照射装置44は、例えば、UV−LED(Light Emitting Diode)照射器などが採用されることができる。画像印刷用照射装置44によって照射される光の波長は、半導体LEDが発光可能な波長である250〜400nmが良い。360〜400nmの波長の紫外線を発光可能なLEDは入手し易いので、画像印刷用照射装置44によって照射される光の波長は、360〜400nmの波長が特に良い。
画像印刷用キャリッジ45は、水平方向のうち、矢印40bで示す主走査方向と、主走査方向に直交する副走査方向とそれぞれに移動可能に支持されており、水平方向に移動することによって台41に対して水平方向に相対移動する。
インクジェットプリンター40は、接着剤を含むUVインクである接着剤インク46aを鉛直方向における下側に吐出するインクジェットヘッドとしての接着剤付着用ヘッド46と、接着剤付着用ヘッド46によって吐出された接着剤インク46aに紫外線47aを照射するための紫外線照射装置としての接着剤付着用照射装置47とを搭載している接着剤付着用キャリッジ48を備えている。
接着剤インク46aに含まれる接着剤は、例えば、UV吸収剤ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱可塑性または熱硬化性などによって熱接着性を有するものである。接着剤インク46aも、画像印刷用インク43aと同様に、紫外線が照射されて瞬間的に加熱されることによって、溶媒が瞬間的に気化させられて乾燥し定着するUV瞬間乾燥インクが使用される。
接着剤付着用照射装置47は、例えば、UV−LED照射器などが採用されることができる。接着剤付着用照射装置47によって照射される光の波長は、半導体LEDが発光可能な波長である250〜400nmが良い。360〜400nmの波長の紫外線を発光可能なLEDは入手し易いので、接着剤付着用照射装置47によって照射される光の波長は、360〜400nmの波長が特に良い。
接着剤付着用キャリッジ48は、水平方向のうち、矢印40bで示す主走査方向と、主走査方向に直交する副走査方向とにそれぞれ移動可能に支持されており、水平方向に移動することによって台41に対して水平方向に相対移動する。
図4は、インクジェットプリンター40のブロック図である。
図4に示すように、インクジェットプリンター40は、繰り出しローラー42a(図3参照。)および巻き取りローラー42b(図3参照。)を回転させることによって浸透性媒体12(図3参照。)を矢印40b(図3参照。)で示す方向に搬送する媒体搬送装置51と、画像印刷用キャリッジ45(図3参照。)を水平方向に移動させる画像印刷用キャリッジ移動装置52と、接着剤付着用キャリッジ48(図3参照。)を水平方向に移動させる接着剤付着用キャリッジ移動装置53と、LANなどのネットワーク11(図1参照。)を介さずに有線または無線で直接に、または、ネットワーク11を介して、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部54と、インクジェットプリンター40全体を制御する制御部55とを備えている。
制御部55は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行するようになっている。
図5は、レーザーカッター60の概略正面図である。
図5に示すように、レーザーカッター60は、矢印60aで示す鉛直方向における下側から浸透性媒体12を支持するための台61と、レーザー光62aによる切断を実行するレーザー照射装置62を搭載しているキャリッジ63とを備えている。
台61は、浸透性媒体12を支持するための支持面61aが形成されている。支持面61aは、鉛直方向に直交する水平方向に延在している。
レーザー光62aは、パルスレーザーであっても良いし、CW(Continuous Wave)レーザーであっても良い。
キャリッジ63は、水平方向のうち、矢印60bで示す主走査方向と、主走査方向に直交する副走査方向とそれぞれに移動可能に支持されており、水平方向に移動することによって台61に対して水平方向に相対移動する。
なお、レーザーカッター60は、浸透性媒体12にレーザー光62aが照射された場合に発生する熱によって浸透性媒体12やインクが周囲の気体と反応して浸透性媒体12やインクに焦げや酸化が発生することを抑えるために、レーザー照射装置62による切断加工が不活性ガス中で実行されることが好ましい。
図6は、レーザーカッター60のブロック図である。
図6に示すように、レーザーカッター60は、キャリッジ63(図5参照。)を水平方向に移動させるキャリッジ移動装置64と、LANなどのネットワーク11(図1参照。)を介して、または、ネットワーク11を介さずに有線または無線で直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部65と、レーザーカッター60全体を制御する制御部66とを備えている。
制御部66は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行するようになっている。
図7は、接着装置70の概略正面図である。
図7に示すように、接着装置70は、接着剤13が付着されている浸透性媒体12を矢印70aで示す鉛直方向における下側から支持するための台71と、台71との間に浸透性媒体12を挟んで浸透性媒体12に圧力をかけながら接着剤13を加熱する熱ローラー72とを備えている。
台71は、浸透性媒体12を支持するための支持面71aが形成されている。支持面71aは、鉛直方向に直交する水平方向に延在している。
熱ローラー72は、水平方向のうち、矢印70bで示す方向に直交する方向に延在する中心軸周りに回転しながら、矢印70bで示す方向に移動可能に支持されている。
次に、製造システム10を利用した製造方法について説明する。
図8は、製造システム10を利用した製造方法のフローチャートである。
図8に示すように、作業者は、まず、加工用データ24bを生成する加工用データ生成工程を実行する(S101)。
次いで、作業者は、S101の加工用データ生成工程において生成された加工用データ24bの画像印刷用データ24cに基づいて浸透性媒体に画像を印刷する画像印刷工程を実行する(S102)。
次いで、作業者は、S101の加工用データ生成工程において生成された加工用データ24bの接着剤付着用データ24dに基づいて浸透性媒体に接着剤を付着させる接着剤付着工程を実行する(S103)。
次いで、作業者は、S101の加工用データ生成工程において生成された加工用データ24bの裁断用データ24eに基づいて浸透性媒体を裁断して部品を生成する裁断工程を実行する(S104)。
最後に、作業者は、S104の裁断工程によって生成された部品を組み立てて浸透性媒体製品を完成させる組立工程を実行する(S105)。
以下、各工程について詳細に説明する。
なお、以下においては、浸透性媒体製品として、袖のない短い胴着であるチョッキを例に説明する。
まず、S101の加工用データ生成工程について説明する。
図9は、S101の加工用データ生成工程のフローチャートである。
図9に示すように、作業者は、顧客である人物の3D寸法を計測する(S131)。ここで、作業者は、例えば、3Dスキャナー30を使用して人物の3D寸法を計測しても良いし、メジャーを使用して手作業で人物の3D寸法を計測しても良い。
作業者は、S131の処理の後、コンピューター20を使用して、S131において計測した3D寸法と、顧客の好みとに応じて、チョッキの形状を表示部22の画面上で決定する(S132)。ここで、作業者は、チョッキの3次元画像をコンピューター20の表示部22で確認しながら、チョッキの形状の変更を操作部21から指示することができる。作業者は、S132において、例えば、フレアやウエストなどの絞り形状を、3次元画像の寸法に合わせて決定する。
図10(a)は、S132において形状が決定されたチョッキ200の、正面から観察した場合の3次元画像を示す図である。図10(b)は、図10(a)に示すチョッキ200の、2次元に展開された2次元画像を示す図である。なお、図10(b)は、表面の画像であるが、表面の画像と同様に、裏面の画像も存在しても良い。
図10に示すように、チョッキ200は、前身頃201と、後ろ身頃202と、裾203と、襟204と、着用者の右腕を通すための穴である腕通し205と、着用者の左腕を通すための穴である腕通し206とを備えている。
図9に示すように、作業者は、S132の処理の後、S132において形状が決定されたチョッキに印刷される画像を表示部22の画面上で決定する(S133)。ここで、作業者は、チョッキの画像をコンピューター20の表示部22で確認しながら、チョッキに印刷される画像の部品として予め用意されている画像部品画像や、作業者が直接デザインした直接デザイン画像を、表示部22の画面上でチョッキに貼り付けて、画像部品画像や直接デザイン画像の位置、大きさ、形状、彩色などの編集を操作部21から指示することができる。なお、作業者は、S133において、チョッキの3次元画像と、2次元に展開したチョッキの2次元画像との何れでも、チョッキの画像を表示部22の画面上で確認することができる。
図11(a)は、S133において生成されたデザインのチョッキ200の、正面から観察した場合の3次元画像を示す図である。図11(b)は、図11(a)に示すチョッキ200の、2次元に展開された2次元画像を示す図である。なお、図11(b)は、表面の画像であるが、表面の画像と同様に、裏面の画像も存在しても良い。
図11に示すチョッキ200は、背景の画像211が追加されている。また、図11に示すチョッキ200は、円形の画像212が多数追加されている。
図9に示すように、作業者は、S133の処理の後、チョッキに取り付けられる部品の画像(以下「部品画像」と言う。)を、S133において生成されたデザインのチョッキに表示部22の画面上で追加する(S134)。ここで、チョッキに取り付けられる部品としては、例えば、襟や袖部分などの芯材、ポケット、リボン、ボタン、紐留めなどが存在する。作業者は、S134において、チョッキの3次元画像と、2次元に展開したチョッキの2次元画像との何れでも、チョッキの画像を表示部22の画面上で確認することができる。なお、作業者は、チョッキに部品が取り付けられることを希望しない場合、S134の処理を省略することができる。
図12(a)は、S134において部品画像が追加されたデザインのチョッキ200の、正面から観察した場合の3次元画像を示す図である。図12(b)は、図12(a)に示すチョッキ200の、2次元に展開された2次元画像を示す図である。なお、図12(b)は、表面の画像であるが、表面の画像と同様に、裏面の画像も存在しても良い。
図12に示すチョッキ200は、ポケット220が追加されている。図12に示すチョッキ200の2次元画像には、ポケット220が取り付けられる場所を示す画像201aが前身頃201に追加されている。図12に示すチョッキ200の3次元画像には、ボタン230が追加されている。また、図12に示すチョッキ200の2次元画像には、ボタン230を通すボタンホール221がポケット220に追加されている。また、図12に示すチョッキ200のポケット220には、背景の画像222と、顔の画像223とが追加されている。
図9に示すように、作業者は、S134の処理の後、接着剤が付着させられる接着剤付着部の画像(以下「接着剤付着部画像」と言う。)を、S134において生成されたデザインのチョッキに表示部22の画面上で追加する(S135)。ここで、作業者は、2次元に展開したチョッキの2次元画像の周縁の必要箇所に接着剤付着部画像を追加し、追加された接着剤付着部画像が反映されたチョッキの3次元画像を表示部22の画面上で確認することができる。
図13(a)は、S135において接着剤付着部画像が追加されたデザインのチョッキ200の、正面から観察した場合の3次元画像を示す図である。図13(b)は、図13(a)に示すチョッキ200の、2次元に展開された2次元画像を示す図である。なお、図13(b)は、表面の画像であるが、表面の画像と同様に、裏面の画像も存在しても良い。
図13に示すチョッキ200は、接着剤付着部241〜254および256〜263が追加されている。接着剤付着部241、242、247〜254および256には、背景の画像が付されている。
接着剤付着部241は、折り目を示す線(以下「折り目線」と言う。)241aを含んでいる。同様に、接着剤付着部242〜254および256〜263も、それぞれ、折り目線242a〜254aおよび256a〜263aを含んでいる。折り目線241a〜254aおよび256a〜263aは、全て山折りの折り目線である。しかしながら、折り目は、谷折りも存在する場合がある。折り目線は、山折りと、谷折りとでデザインが区別されても良い。例えば、折り目線は、山折りの場合に一点鎖線で、谷折りの場合に二点鎖線であっても良い。
図14(a)は、図13(b)に示すチョッキ200の、表面の接着剤付着用データ24dを示す図である。図14(b)は、図13(b)に示すチョッキ200の、裏面の接着剤付着用データ24dを示す図である。図15は、図13(b)に示すチョッキ200の裁断用データ24eを示す図である。
S135においては、図13(b)に示すようにチョッキ200に画像を印刷するための画像印刷用データ24c(図2参照。)だけでなく、図14に示す接着剤付着用データ24dや、図15に示す裁断用データ24eも生成される。なお、接着剤付着用データ24dにおいては、図14において濃く表した箇所が接着剤を付着させる箇所を示している。また、裁断用データ24eは、図13(b)に示す画像の外周線を示すデータである。
作業者は、S132の処理で決定した内容を、S132の処理の後の任意のタイミングで変更可能である。同様に、作業者は、S133〜S135の処理で決定した内容を、それぞれの処理の後の任意のタイミングで変更可能である。作業者は、S132〜S135の処理で決定した内容を最終決定する指示を操作部21を介して入力することによって、顧客の3D寸法に適したオリジナルデザインのチョッキの加工用データ24b(図2参照。)をコンピューター20に生成させる(S136)ことができる。すなわち、加工用データ24bには、画像印刷用データ24c、接着剤付着用データ24dおよび裁断用データ24eが含まれる。
次に、S102の画像印刷工程について説明する。
作業者は、S101の加工用データ生成工程において生成された加工用データ24bに含まれる画像印刷用データ24cをインクジェットプリンター40に送信することを操作部21を介してコンピューター20に指示することができる。コンピューター20の画像印刷手段25bは、作業者からの指示を受けて、画像印刷用データ24cを通信部23を介してインクジェットプリンター40に送信する。
なお、作業者は、コンピューター20によって生成された画像印刷用データ24cを、USBメモリーなどの記憶媒体経由でインクジェットプリンター40に入力しても良い。
インクジェットプリンター40の制御部55は、画像印刷用データ24cが通信部54などを介して入力されると、入力された画像印刷用データ24cに基づいて、画像印刷用ヘッド43、画像印刷用照射装置44および画像印刷用キャリッジ移動装置52を制御する。具体的には、制御部55は、画像印刷用キャリッジ移動装置52によって台41に対する副走査方向における画像印刷用キャリッジ45の位置を変更する度に、画像印刷用キャリッジ移動装置52によって主走査方向に画像印刷用キャリッジ45を移動させながら、画像印刷用ヘッド43および画像印刷用照射装置44によって画像印刷用インク43aによる画像を浸透性媒体12に印刷する。すなわち、インクジェットプリンター40は、画像印刷用ヘッド43によって画像印刷用インク43aを浸透性媒体12に付着させた直後に、この画像印刷用インク43aに所定の強度の紫外線を画像印刷用照射装置44によって照射することによって、この画像印刷用インク43aを瞬間的に乾燥させながら硬化させて、画像印刷用データ24cに基づいた画像を浸透性媒体12に印刷する。
ここで、画像印刷用インク43aは、インクジェットプリンター40によって瞬間的に硬化させられるので、浸透性媒体12における滲みが抑えられる。したがって、浸透性媒体12は、前処理や後処理がされる必要がない。例えば、前処理としては、インクの滲みを抑えるために、水溶性澱粉、キトサン、ポリビニルアルコール樹脂などの接着剤を主成分とする前処理剤をコーティングする処理が存在する。しかしながら、浸透性媒体12は、上述したように、このような前処理がされる必要がない。
なお、画像印刷用データ24cが浸透性媒体12の両面に印刷するためのデータである場合、画像印刷用データ24cに基づいた画像は、浸透性媒体12の両面に印刷される。
図16は、画像印刷用データ24cに基づいて図13(b)に示す画像が印刷された浸透性媒体12の正面図である。
S102の画像印刷工程においては、画像印刷用データ24cに基づいた画像が図16に示すように浸透性媒体12に印刷される。なお、図16は、表面のみを示しているが、表面に加えて裏面に画像が印刷されていても良い。
次に、S103の接着剤付着工程について説明する。
作業者は、S101の加工用データ生成工程において生成された加工用データ24bに含まれる接着剤付着用データ24dをインクジェットプリンター40に送信することを操作部21を介してコンピューター20に指示することができる。コンピューター20の接着剤付着手段25cは、作業者からの指示を受けて、接着剤付着用データ24dを通信部23を介してインクジェットプリンター40に送信する。
なお、作業者は、コンピューター20によって生成された接着剤付着用データ24dを、USBメモリーなどの記憶媒体経由でインクジェットプリンター40に入力しても良い。
インクジェットプリンター40の制御部55は、接着剤付着用データ24dが通信部54などを介して入力されると、入力された接着剤付着用データ24dに基づいて、接着剤付着用ヘッド46、接着剤付着用照射装置47および接着剤付着用キャリッジ移動装置53を制御する。具体的には、制御部55は、接着剤付着用キャリッジ移動装置53によって台41に対する副走査方向における接着剤付着用キャリッジ48の位置を変更する度に、接着剤付着用キャリッジ移動装置53によって主走査方向に接着剤付着用キャリッジ48を移動させながら、接着剤付着用ヘッド46および接着剤付着用照射装置47によって接着剤インク46aを、浸透性媒体12のうち、接着剤付着用データ24dによって示された箇所に印刷する。すなわち、インクジェットプリンター40は、接着剤付着用ヘッド46によって接着剤インク46aを浸透性媒体12に付着させた直後に、この接着剤インク46aに所定の強度の紫外線を接着剤付着用照射装置47によって照射することによって、この接着剤インク46aを瞬間的に乾燥させながら硬化させて、接着剤付着用データ24dによって示された箇所に接着剤を付着させる。
ここで、接着剤インク46aは、インクジェットプリンター40によって瞬間的に硬化させられるので、浸透性媒体12における滲みが抑えられる。したがって、浸透性媒体12は、前処理や後処理がされる必要がない。
なお、接着剤付着用データ24dが浸透性媒体12の両面に接着剤を付着させるためのデータである場合、接着剤は、浸透性媒体12の両面に付着される。
接着剤は、チョッキ200に印刷される画像ほど高い精度が要求されない。したがって、接着剤インク46aは、UV瞬間乾燥インクでなくても良い。例えば、接着剤インク46aは、接着剤を含んでいれば、通常のUVインクであっても良いし、通常のUVインクを溶媒で希釈したUVインクでも良い。ここで、UV瞬間乾燥インクは、硬化前に気化する溶媒の割合が大きいので、硬化時に厚みが薄くなる。一方、通常のUVインクは、UV瞬間乾燥インクと比較して溶媒の割合が小さいので、UV瞬間乾燥インクと比較して硬化時に厚みが厚くなる。また、通常のUVインクを溶媒で希釈したUVインクは、UV瞬間乾燥インクと比較して溶媒の割合が小さいので、UV瞬間乾燥インクと比較して硬化時に厚みが厚くなるが、通常のUVインクと比較して溶媒の割合が大きいので、通常のUVインクと比較して硬化時に厚みが薄くなる。したがって、例えば、接着剤の厚みが厚くても良い袖や襟などの場合には、接着剤インク46aとして、通常のUVインクや、通常のUVインクを溶媒で希釈したUVインクが使用されても良い。
図17は、図14(a)に示す接着剤付着用データ24dに基づいて図16に示す浸透性媒体12に接着剤13が付着された場合の浸透性媒体12の正面図である。
S103の接着剤付着工程においては、図17に示すように、接着剤付着用データ24dによって示された箇所に接着剤13が付着される。図17においては、濃く表した箇所に接着剤13が付着されている。なお、図17は、表面のみを示しているが、表面に加えて裏面に接着剤13が付着されていても良い。
次に、S104の裁断工程について説明する。
作業者は、S101の加工用データ生成工程において生成された加工用データ24bに含まれる裁断用データ24eをレーザーカッター60に送信することを操作部21を介してコンピューター20に指示することができる。コンピューター20の裁断手段25dは、作業者からの指示を受けて、裁断用データ24eを通信部23を介してレーザーカッター60に送信する。
なお、作業者は、コンピューター20によって生成された裁断用データ24eを、USBメモリーなどの記憶媒体経由でレーザーカッター60に入力しても良い。
レーザーカッター60の制御部66は、裁断用データ24eが通信部65などを介して入力されると、入力された裁断用データ24eに基づいて、レーザー照射装置62およびキャリッジ移動装置64を制御する。具体的には、制御部66は、キャリッジ移動装置64によって台61に対する副走査方向におけるキャリッジ63の位置を変更する度に、キャリッジ移動装置64によって主走査方向にキャリッジ63を移動させながら、レーザー照射装置62によって浸透性媒体12を、裁断用データ24eによって示された通りに裁断する。
図18は、図15に示す裁断用データ24eに基づいて図17に示す浸透性媒体12から切り出された部品の正面図である。
S104の裁断工程においては、図18に示すように、裁断用データ24eによって示された通りに裁断される。
なお、S104の裁断工程においては、レーザーカッター60以外の方法によって浸透性媒体12から部品が切り出されても良い。例えば、作業者は、図17に示す浸透性媒体12における画像の外周線に沿ってハサミを使って手動で切り出しても良い。作業者がハサミを使って手動で切り出す場合、裁断用データ24eは不要である。
次に、S105の組立工程について説明する。
作業者は、S104の裁断工程によって生成された部品を、折り目線で折って、接着剤13が付着されている箇所を接着装置70によって熱圧接着することによって、浸透性媒体製品を完成させる。
なお、S105の組立工程においては、接着剤13が付着されている箇所が、接着装置70以外の方法によって熱圧接着されても良い。例えば、作業者は、アイロンを使って手動で熱圧接着を行っても良い。
例えば、図18に示す部品は、S105の組立工程において、図13(a)に示すように組み立てられる。
S105の組立工程においては、必要であれば、手縫いやミシンなどによって縫製されることによって、接着剤13による接着部分が補強されても良い。
図13(a)に示すチョッキ200は、ボタンホール221(図12参照。)が形成されている。ここで、ボタンホール221は、図19に示す補強部品271、272によって補強されても良い。
図19(a)は、ボタンホール221を補強するための補強部品271、272の正面図である。図19(b)は、補強部品271、272の背面図である。
図19に示すように、補強部品271、272は、正面の全面に接着剤13が付着している。補強部品271は、ボタンホール221が形成されているポケット220(図12参照。)の裏面に貼り付けられる本体部分271aと、本体部分271aと一体に形成されていてポケット220の表面に貼り付けられるベロ部分271bとを備えている。補強部品271は、正面側において本体部分271aと、ベロ部分271bとの連結部分に谷折りの折り目線271cが描かれていて、裏面側において本体部分271aと、ベロ部分271bとの連結部分に山折りの折り目線271dが描かれている。同様に、補強部品272は、ボタンホール221が形成されているポケット220の裏面に貼り付けられる本体部分272aと、本体部分272aと一体に形成されていてポケット220の表面に貼り付けられるベロ部分272bとを備えている。補強部品272は、正面側において本体部分272aと、ベロ部分272bとの連結部分に谷折りの折り目線272cが描かれていて、裏面側において本体部分272aと、ベロ部分272bとの連結部分に山折りの折り目線272dが描かれている。
図20(a)は、補強部品271のベロ部分271bがボタンホール221に挿し込まれた状態でのポケット220の正面図である。図20(b)は、補強部品271が貼り付けられた状態でのポケット220の正面図である。図20(c)は、補強部品272が貼り付けられた状態でのポケット220の正面図である。図20(d)は、補強部品271、272によってボタンホール221が補強された状態でのポケット220の正面図である。
まず、図20(a)に示すように、ポケット220の裏面から補強部品271のベロ部分271bがボタンホール221に挿し込まれる。次いで、図20(b)に示すように、ベロ部分271bが折り目線271c(図19参照。)で谷折りされた後、補強部品271に付着されていた接着剤13(図19参照。)でポケット220および補強部品271が熱圧接着される。次いで、補強部品272についても、図20(c)に示すように、補強部品271と同様にして、補強部品272に付着されていた接着剤13でポケット220および補強部品272が熱圧接着される。最後に、図20(d)に示すように、ボタンホール221の延在方向における両端部が糸で縫われることによって糸縫い補強部273が形成されて完成する。
図21(a)〜(h)は、本実施の形態に係る製造方法における、接着剤13による浸透性媒体12の接着の各種のパターンを表す図である。
図21(a)〜(h)の各図において、左側の図が接着前の状態を表しており、右側の図が接着後の状態を表している。図21(a)〜(c)は、1枚の浸透性媒体12の端部の処理のパターンを示している。図21(d)は、1枚の浸透性媒体12の端部以外の部分での貼り合わせのパターンを示している。図21(e)〜(h)は、2枚の浸透性媒体12の貼り合わせのパターンを示している。接着剤13による浸透性媒体12の接着のパターンは、1枚の浸透性媒体12の端部の処理、1枚の浸透性媒体12の端部以外の部分での貼り合わせ、2枚の浸透性媒体12の貼り合わせなど、用途によって選択されることができる。また、接着剤13による浸透性媒体12の接着のパターンは、必要強度によっても選択されることができる。接着剤13による浸透性媒体12の接着のパターンは、図21(a)〜(h)に示すパターン以外にも、様々に存在し得る。
図22(a)は、本発明の一実施の形態に係る製造方法において、互いに貼り合わせられている2枚の浸透性媒体12の一部の断面図である。図22(b)は、接着部分14の途中で切断された状態での2枚の浸透性媒体12の一部の断面図である。
まず、図22(a)に示すように、2枚の浸透性媒体12が接着剤によって互いに貼り合わされる。すなわち、図22(a)に示す状態において、2枚の浸透性媒体12は、接着部分14で互いに貼り合わされている。次いで、図22(b)に示すように、レーザーカッター60やハサミによって接着部分14の途中で切断される。図22(b)に示す状態において、2枚の浸透性媒体12は、端部に接着部分14を備えているので、端部でのほつれが生じ難くなる。
以上においては、チョッキ200を例に説明している。しかしながら、製造システム10は、チョッキ以外の様々な浸透性媒体製品も製造することが可能である。例えば、製造システム10によって製造可能な浸透性媒体製品としては、チョッキ以外の衣服や、スカーフ、ハンカチなどのファッション雑貨や、カーテン、装飾品、おもちゃなど、様々な物が存在する。すなわち、製造システム10は、アパレルオンデマンド、ファッションオンデマンド、テキスタイルオンデマンドなど、様々な浸透性媒体製品のオンデマンドでの製造に利用されることができる。
例えば、製造システム10は、浸透性媒体製品として、図23に示す7角形の布製の敷物300を製造することができる。
図23(a)は、敷物300の上面図である。図23(b)は、敷物300の底面図である。図24(a)は、敷物300の組み立て前の部品310の上面図である。図24(b)は、部品310の底面図である。
S104の裁断工程によって、図24に示す部品310が生成される。部品310には、裏面の一部に接着剤13が付着されている。また、部品310は、谷折りの折り目線311が裏面に描かれている。
作業者は、折り目線311で谷折りした後、接着剤13が付着されている箇所を接着装置70によって熱圧接着することによって、図23に示す敷物300を完成させる。
以上に説明したように、本実施の形態に係る製造方法は、加工用データ24bに基づいて浸透性媒体12に画像をインクジェット印刷し(S102)、その浸透性媒体12を加工用データ24bに基づいた形状に裁断して部品を生成し(S104)、その部品を組み立てて製品を生成する(S105)ので、任意の画像が印刷された、任意の形状の浸透性媒体製品をオンデマンドで製造することができる。すなわち、本実施の形態に係る製造方法は、浸透性媒体製品のデザインと制作の自由度を向上することができる。
本実施の形態に係る製造方法は、加工用データ24bに基づいて浸透性媒体12に接着剤13を付着させ(S103)、その浸透性媒体12を加工用データ24bに基づいた形状に裁断して部品を生成し(S104)、その部品を組み立てて製品を生成する(S105)ので、任意の形状の浸透性媒体製品をオンデマンドで製造することができる。すなわち、本実施の形態に係る製造方法は、浸透性媒体製品の制作工程の短縮とデザインの自由度を向上することができる。
本実施の形態に係る製造方法は、接着剤13による接着を実行するので、縫製の必要性を抑えることができ、浸透性媒体製品の製造を容易化し、誰でも衣類等を簡単に製作することを可能にする。例えば、本実施の形態に係る製造方法は、縫製に関する専門技術を習得していない作業者であっても、自由なデザインの浸透性媒体製品をオンデマンドで容易に製造することができる。
また、部分的に主要な形状維持部分のみを選択接着させることにより、従来の縫製法で行われる仮縫いのように、デザイン形状や絵柄の配置を人物や人形を使って予め仕上がり具合を確認することができる。確認後、全ての接着箇所を接着することにより、接着ずれや位置間違い等のミスを無くすることができる。
本実施の形態に係る製造方法は、画像印刷用インク43aに紫外線44aが照射されて画像印刷用インク43aが瞬間的に加熱されることによって、画像印刷用インク43aの溶媒が瞬間的に気化させられて乾燥し定着するので、浸透性媒体12に前処理などの特別な処理が施されなくても、画像印刷用インク43aの滲みを抑えた高精彩な画像を浸透性媒体12にオンデマンドで直接に印刷することができ、浸透性媒体12の選択の自由度を向上することができる。
本実施の形態に係る製造方法は、接着剤インク46aに紫外線47aが照射されて接着剤インク46aが瞬間的に加熱されることによって、接着剤インク46aの溶媒が瞬間的に気化させられて乾燥し定着するので、浸透性媒体12に前処理などの特別な処理が施されなくても、接着剤インク46aの滲みを抑えて接着剤13の付着位置の精度を向上することができる。
本実施の形態に係る製造方法は、浸透性媒体12に前処理などの特別な処理が施される必要がないので、製造コストや製造時間を低減することができる。
前処理を実行する機械は、通常、サイズが大きな浸透性媒体のみに前処理を実行可能な構造であり、サイズが小さな浸透性媒体に前処理を実行することができない。本実施の形態に係る製造方法は、浸透性媒体12に前処理などの特別な処理が施される必要がないので、作業者が所有している小さなサイズの浸透性媒体など、サイズが小さな浸透性媒体を使用して浸透性媒体製品を製造することができる。
本実施の形態に係る製造方法は、浸透性媒体12に前処理などの特別な処理が施される必要がないので、浸透性媒体から前処理剤を落とす際に生じる廃液などが発生せず、環境汚染を防止することができる。
本実施の形態に係る製造方法は、浸透性媒体製品のデザインから完成までの全ての工程が街中の販売店や家庭において実行されることが可能であるので、オリジナルデザインの浸透性媒体製品をオンデマンドで容易に製造することができる。
なお、本実施の形態に係る製造方法は、予め用意されていた加工用データが使用される場合、加工用データ生成工程が省略されても良い。
本実施の形態に係る製造方法は、インクジェット印刷された画像が浸透性媒体製品に不要である場合、画像印刷工程が省略されても良い。
本実施の形態に係る製造方法は、作業者が縫製を実行するために浸透性媒体への接着剤の付着が不要である場合、接着剤付着工程が省略されても良い。
本実施の形態に係る製造方法は、複雑な縫製物では作業者が縫製を実行する段階を複数回に分けても良い。従来法の仮縫製のように、形状を維持するための主要部分のみを予め画像としてマーキングされた予め決められた仮縫製の目印となる仮縫製マーク位置あるいは縫製者の判断による位置に、小型のアイロンヒーターなどを圧接して部分加熱して仮縫製接着し、形状やデザインの配置やズレの確認のための仮縫製工程を設けても良い。
インクジェットプリンター40は、本実施の形態において、画像印刷用キャリッジ45および接着剤付着用キャリッジ48を備えている。しかしながら、画像印刷用キャリッジ45および接着剤付着用キャリッジ48は、それぞれ別のインクジェットプリンターに備えられていても良い。すなわち、画像印刷工程において使用されるインクジェットプリンターと、接着剤付着工程において使用されるインクジェットプリンターとは別々であっても良い。
インクジェットプリンター40と、レーザーカッター60とは、本実施の形態において別々である。しかしながら、インクジェットプリンター40は、浸透性媒体12を裁断するための装置を備えるようにすれば、レーザーカッター60の代わりに裁断工程にも使用可能である。
インクジェットプリンター40は、本実施の形態において、シリアル方式である。しかしながら、浸透性媒体12へのインクの付着後に、このインクに紫外線を照射可能な位置に紫外線照射装置が配置されているのであれば、インクジェットプリンター40は、ラインプリンタ方式でも良い。インクジェットプリンター40は、ラインプリンタ方式の場合、インクジェットヘッドが複数存在するとき、インクジェットヘッドに対する浸透性媒体12の相対移動方向において、インクジェットヘッド毎に、その下流側に紫外線照射装置を1つずつ備えていても良いし、全てのインクジェットヘッドに対して纏めて、それらの下流側に1つの紫外線照射装置を備えていても良い。
インクジェットプリンター40は、キャリッジにおいてインクジェットヘッドに対して主走査方向の片側にのみ紫外線照射装置を備えている。しかしながら、インクジェットプリンター40は、キャリッジにおいてインクジェットヘッドに対して主走査方向の両側に紫外線照射装置を備えていても良い。
インクジェットプリンター40の紫外線照射装置の照射強度および照射時間で決まる、照射エネルギーの最大供給エネルギーが、インクの焦げが発生しないエネルギーとなるように、インクジェットプリンター40の紫外線照射装置の照射強度および照射時間は、プリント速度、パス数、プリントドット密度などのプリント条件に応じて制御部55が自動的に変更することが好ましい。もちろん、作業者が手動で変更しても良い。
本発明に用いる画像印刷用インクは、UV瞬間乾燥インクが最も適しているが、受像層の無コートの布地や紙等の浸透性媒体に滲みを低減して印刷できる特性のあるインクなら、使用することができる。例えば、ラテックスインク、UV硬化インク、水溶性UV硬化染料インク等が使用可能である。
また、本発明に用いる接着剤インクも、UV瞬間乾燥インクが最も適しているが、受像層の無コートの布地や紙等の浸透性媒体に滲みを低減して印刷できる特性のあるインクなら、使用することができる。例えば、水性インク、ラテックスインクおよびUV硬化インクが使用可能である。