JP5811021B2 - 光硬化型インクジェットインクおよびそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

光硬化型インクジェットインクおよびそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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本発明は、光硬化型インクジェットインクおよびそれを用いた画像形成方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は、簡便でかつ安価に画像を作成できる観点から、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印字分野に利用されている。インクジェット記録方式で用いられるインクジェットインクの例には、水を主溶媒とする水性インクジェットインクがある。また、室温では揮発しない不揮発性溶媒を主とする実質的に水を含まない油性インクジェットインク、室温で揮発する溶媒を主とする実質的に水を含まない非水系インクジェットインク、室温では固体のインクを加熱溶融して印字するホットメルトインクがある。さらには印字後に紫外線等の活性光線により硬化する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクなどがあり、プラスチック、紙、木工、無機質等の塗料、接着剤、印刷インキ、印刷回路基板及び電気絶縁関係等の用途に実用化されている。
紫外線硬化型インクジェットインクのピニング性を高める方法として、インクにゲル化剤を添加して、温度によりゾルゲル相転移させることが検討されている。即ち、高温で液体状態のインク液滴を吐出し、記録媒体に着弾させると同時に、インク液滴を冷却してゲル化させることで、ドットの合一を抑制することが検討されている。インクに添加されるゲル化剤には、ステアロン等が開示されている(特許文献1及び2参照)。
また、記録媒体に着弾した光硬化型インクジェットを硬化させる光源は、高圧水銀灯、LED、低圧水銀灯等でありえる。光硬化型インクジェットインクは消費電力のより少ないLEDや低圧水銀灯を用いても、硬化できることが望まれている。
一方で、画像の硬度を高めるために、光硬化型インクジェットインクにアミン変性オリゴマーや樹枝状ポリマーを添加することが検討されている(特許文献3〜5参照)。
米国特許出願公開第2007/0058020号明細書 国際公開第2007/025893号 特開2011−21118号公報 特開2009−108172号公報 特開2010−209199号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載のゲル化剤を含む光硬化型インクジェットインクを用いて画像形成を行った場合、記録媒体の種類によっては、画像の硬度が低下するという問題が生じることがあった。例えば、インク吸収性の高い記録媒体に滴下すると、粘度や分子量の低い硬化性モノマーが記録媒体中に吸収されてしまう。そのため、記録媒体上のインク液滴中の硬化性モノマーの量が少なくなってしまい、形成された画像の硬度が低下しやすい。
このような問題に対して、粘度や分子量の高い硬化性化合物を用いた場合、画像の硬度の低下は抑制されるが、インクの粘度が高なりやすく、射出性が低下しやすい。
また、光硬化型インクジェットインクをLEDのような低照度の光源で硬化させると、画像の硬度が不十分となりやすいという問題が生じることがあった。そのため、画像がべたついてしまう。光硬化型インクジェットインクにゲル化剤を添加しても、画像のべたつきは低減するが、画像の硬度は依然として不十分である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、射出安定性に優れ、記録媒体の種類にかかわらず硬度の高い画像を形成でき;比較的低照度の光源を用いても、硬度の高い画像を形成できる光硬化型インクジェットインク、及びそれを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、硬化型オリゴマーとして、樹枝状オリゴマーを用いることで、射出性を低下させることなく、硬度の高い画像を形成できることを見出した。インク吸収性の高い記録媒体に画像を形成する場合でも、樹枝状オリゴマーは高分子であるため、記録媒体中に吸収されにくい。また、樹枝状オリゴマーは、粘度が低いため、インクジェット記録装置から安定して射出できる。
また、本発明者らはガラス転移温度(Tg)が一定以上である多官能の硬化性オリゴマーを用いることで硬度の高い画像が得られることを見出した。多官能の硬化性オリゴマーにすることで硬化性オリゴマーの光反応性を高め、かつ硬化物の架橋度を高めることができる。さらには、硬化性オリゴマーのガラス転移温度(Tg)を40℃以上とすることで、実環境下でオリゴマーの分子運動を抑えて、硬化物の硬度の低下を抑制できる。
本発明は、以下に示す光硬化型インクジェットインク、及びそれを用いた画像形成方法
に関する。
[1] 硬化性(メタ)アクリレートモノマー、分子内結合開裂型の光重合開始剤又は分子内水素引き抜き型の光重合開始剤、ゲル化剤、色材及び硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する光硬化型インクジェットインクであって、
前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が2〜20の範囲内にあり、かつ、ガラス転移温度が40℃以上であり、
前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、前記インク全体の質量に対して2〜20質量%であることを特徴とする光硬化型インクジェットインク。
[2] 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が6〜20であることを特徴とする、[1]に記載の光硬化型インクジェットインク。
[3] 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが分枝鎖状オリゴマーまたは樹枝状オリゴマーであることを特徴とする、[1]または[2]に記載の光硬化型インクジェットインク。
[4] 前記硬化性(メタ)アクリレートモノマーの分子量が280〜1500であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[5] 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの25℃における粘度が100〜10000mPa・sであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[6] 前記色材は黒色顔料であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[7] 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが不飽和カルボン酸、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン及びN−ビニル化合物からなる群から選ばれる化合物に由来する重合性基を有することを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[8] 前記ゲル化剤が結晶性ゲル化剤であることを特徴とする、[1]〜[7のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[9] 前記ゲル化剤は、ジアルキルケトン、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸アミド及びオイルゲル化剤からなる群から選ばれるゲル化剤であることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[10] 前記ゲル化剤は、下記一般式(G1)または(G2)で表されるゲル化剤であることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
一般式(G1):R1−CO−R2
一般式(G2):R3−COO−R4
式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持っても良いアルキル鎖を表す。
[11] 前記ゲル化剤の含有量は、インク全量に対して2〜10質量%であることを、[1]〜[10]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[12] インクのゾルゲル相転移温度は30〜100℃であることを特徴とする、[1]〜[11]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[13] 硬化性(メタ)アクリレートモノマー、分子内結合開裂型の光重合開始剤又は水素引き抜き型の光重合開始剤、ゲル化剤、色材及び硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する光硬化型インクジェットインクであって、
前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが樹枝状オリゴマーであり、
前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、前記インク全体の質量に対して2〜20質量%であることを特徴とする光硬化型インクジェットインク。
[14] 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が6〜20であることを特徴とする、13に記載の光硬化型インクジェットインク。
[15] 前記硬化性(メタ)アクリレートモノマーの分子量が280〜1500であることを特徴とする、13または14に記載の光硬化型インクジェットインク。
[16] 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの25℃における粘度が100〜10000mPa・sであることを特徴とする、[13]〜[15]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[17] 前記色材は黒色顔料であることを特徴とする、[13]〜[16]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[18] 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが不飽和カルボン酸、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン及びN−ビニル化合物からなる群から選ばれる化合物に由来する重合性基を有することを特徴とする、[13]〜[17]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[19] 前記ゲル化剤が結晶性ゲル化剤であることを特徴とする、[13]〜[18]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[20] 前記ゲル化剤は、ジアルキルケトン、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸アミド及びオイルゲル化剤からなる群から選ばれるゲル化剤であることを特徴とする、[13]〜[19]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[21] 前記ゲル化剤は、下記一般式(G1)または(G2)で表されるゲル化剤であることを特徴とする、[13]〜[20]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
一般式(G1):R1−CO−R2
一般式(G2):R3−COO−R4
式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持っても良いアルキル鎖を表す。
[22] 前記ゲル化剤の含有量は、インク全量に対して2〜10質量%であることを特徴とする、[13]〜[21]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[23] インクのゾルゲル相転移温度は30〜100℃であることを特徴とする、[13]〜[22]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインク。
[24] [1]〜[23]のいずれか一つに記載の光硬化型インクジェットインクのインク液滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程と、前記記録媒体上に着弾した液滴にLED光源から360〜410nmの波長の光を照射して硬化させる工程と、を有する画像形成方法。
[25] 前記光硬化型インクジェットインクが記録媒体上に着弾する時の前記記録媒体の温度を、前記インクのゾルゲル相転移温度よりも10〜20℃低い温度であることを特徴とする、[24]に記載の画像形成方法。
[26] 前記LED光源のピーク照度が3W/cm 以上であることを特徴とする、[24]または[25]に記載の画像形成方法。
本発明によれば、ゲル化剤含有のインクジェットインクにおいて、射出性安定性に優れ、記録媒体の種類にかかわらず硬度の高い画像を形成できる。また比較的低照度の光源を用いた場合でも、硬度の高い画像を安定に形成できる。
ライン記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す図である。 シリアル記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す図である。
1.光硬化型インクジェットインクについて
本発明のインクジェットインクは、少なくとも硬化性モノマー、光重合開始剤、ゲル化剤、色材及び硬化性オリゴマーを含むことを特徴とする。
<硬化性オリゴマーについて>
本発明のインクジェットインクに含有される硬化性オリゴマーは、光の照射により架橋又は重合する化合物である。また、モノマーを構成単位とする繰り返しユニットを含む化合物であるが、繰り返しユニットを構成するモノマーの数は限定されない。
本発明のインクジェットインクに含まれる硬化性オリゴマーは、官能基数が2〜20の範囲内にあり、かつ、ガラス転移温度が40℃以上である硬化性オリゴマー(以下、硬化性オリゴマーAともいう)、または樹枝状の硬化性オリゴマー(以下、硬化性オリゴマーBともいう)のいずれかである。
(硬化性オリゴマーA)
硬化性オリゴマーAの分子量は、500〜20000の範囲であることが好ましい。分子量が上記の範囲より低い場合には、画像の定着性が低く、画像がもろくなりやすい。一方、分子量が上記の範囲より高い場合には、インクの粘度が高くなりやすく、射出性が低下しやすい。
硬化性オリゴマーAの官能基数は2〜20であり、4〜20であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。硬化性オリゴマーAが有する官能基とは光重合性官能基である。光重合性官能基とは、アクリロイル基などの炭素炭素二重結合などでありうる。光重合性官能基の数が多いと、硬化性オリゴマーAの硬化感度が高まり、かつ画像の硬度も高まる。一方で、光重合性官能基の数が多すぎると、硬化膜の収縮が生じやすくなり、画像形成した記録媒体が歪みやすくなる。
硬化性オリゴマーAのガラス転移温度(Tg)は40℃以上であり、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)、熱機械分析(TMA)等で測定できる。
硬化性オリゴマーAの粘度は特に制限はないが、インク取扱性およびインク粘度への影響を考慮して、25℃における粘度が、100〜10000mPa・sであることが好ましく、5000mPa・s以下がより好ましく、1000mPa・s以下がさらに好ましい。25℃における硬化性オリゴマーAの粘度は、AntonPaar社製 ストレス制御型レオメータ PhysicaMCRシリーズ用いて測定できる。なお、測定時の剪断速度は1000(/s)である。
硬化性オリゴマーAの主鎖は、ポリエポキシ、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアミン、またはポリアクリレートなどでありうる。硬化性オリゴマーAの主鎖に、前述の光重合性官能基が付加していることが好ましい。
硬化性オリゴマーAの光重合性官能基は、硬化性オリゴマーの主鎖に以下の光重合性官能基含有化合物を反応させて導入することができる。光重合性官能基含有化合物の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが含まれる。その他にN−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物には、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、及びそれらの誘導体などが含まれる。
硬化性オリゴマーAの好ましい例には、ポリエポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミン(メタ)アクリレート、脂肪族ポリウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ポリウレタン(メタ)アクリレート、脂肪族ポリエステル(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートなどが含まれる。
硬化性オリゴマーAのガラス転移温度(Tg)を高くするには、オリゴマーの主鎖に芳香環やアミド構造等を導入して、主鎖構造を剛直にしたり、オリゴマーの側鎖に大きな置換基を導入したりすればよい。
硬化性オリゴマーAは、直鎖状オリゴマーであっても、分岐鎖状オリゴマーであっても、樹枝状オリゴマーであってもよいが;分岐鎖状オリゴマーまたは樹枝状オリゴマーであることが好ましく、樹枝状オリゴマーであることがより好ましい。直鎖状オリゴマー、分岐鎖状オリゴマーおよび樹枝状オリゴマーは、比較的低粘度であるため、インクの粘度を高くさせにくいにも係わらず、画像の硬度を高めることができる。樹枝状オリゴマーとは、1分子中に複数の分岐鎖を有するオリゴマーを意味する。
樹枝状オリゴマーAの例には、デンドリマー、ハイパーブランチオリゴマー、スターオリゴマー及びグラフトオリゴマーなどが含まれる。デンドリマー、ハイパーブランチオリゴマー、スターオリゴマー及びグラフトオリゴマーは、公知の化合物でありうる。これらのなかでも、デンドリマー及びハイパーブランチオリゴマーであることが好ましく、ハイパーブランチオリゴマーがより好ましい。デンドリマーやハイパーブランチオリゴマーは、光硬化型インクジェットインクの粘度を高めにくい。
ハイパーブランチオリゴマーの例には、ポリエステル6官能アクリレート、ポリエステル9官能アクリレート、またはポリエステル16官能アクリレートなどが含まれる。
硬化性オリゴマーAの市販品の例には、CN292、CN2272、CN2303、CN2304、CN509、CN551、CN790、CN2400、CN2401、CN2402、CN9011(以上サートマー社製);EBECRYL600、EBECRYL605、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL1830、EBECRYL80、EBECRYL8210、EBECRYL8301(以上ダイセルサイテック);Etercure6147、Etercure6172−1、Etercure6153−1、Etercure6175−3、Etercure6234、Etercure6237(以上Eternal Chemical co.,LTD)等が含まれる。
ハイパーブランチオリゴマーの市販品の例には、CN2300、CN2301、CN2302(以上サートマー社製);Etercure6361−100、Etercure6362−100(以上Eternal Chemical co.,LTD)等が含まれる。
本発明のインクジェットインクに含まれる硬化性オリゴマーAの含有量は、インク全質量に対して2〜20質量%であり、4〜20質量%であることが好ましく、4〜15質量%であることがより好ましい。前記オリゴマーの含有量が2質量%未満であると、インク硬化物である画像の硬度が十分に高まらないことがある。一方、20質量%超であると、インク粘度が高くなり、インクジェット記録ヘッドのノズル詰まりが生じたり、サテライト(主液滴から離れて着弾する小さな液滴)が増えたり、またはインク硬化物の架橋密度が高すぎて、記録媒体が硬化収縮してしまう。
本発明のインクジェットインクに硬化性オリゴマーAを含有させることで、高い硬度の画像を形成できる。硬化性オリゴマーAは、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上、かつ多官能の硬化性オリゴマーなので、実環境下において硬化性オリゴマーの分子運動を抑制でき、高い架橋度の硬化物が得られる。
(硬化性オリゴマーB)
硬化性オリゴマーBは、樹枝状オリゴマーに光重合性官能基を変性した化合物である。樹枝状オリゴマーは、大きく分けて、デンドリマーとハイパーブランチオリゴマーとの2つに大別されうる。
デンドリマーは、分岐度(DB:degree of branching)が1であり、規則正しい分岐構造を有している。一方、ハイパーブランチオリゴマーはランダムな分岐構造を有している。分岐度とは、例えば、AB型モノマーから得られる樹枝状オリゴマーにおいて、両末端が未反応であるターミナルユニットをTユニット、片末端のみ反応したリニアユニットをLユニット、両末端が反応したデンドリティックユニットをDユニットとしたときに、下記式(1)で表される(「高屈折率を示すフェロセン含有ハイパーブランチ型芳香族ポリアミドの合成と屈折率の評価」 東海大学紀要工学部 Vol.46,No.1,2006,pp.1−7参照)。
式(1):分岐度=(D+L)/(D+T+L)
デンドリマーは、中心のコアとなる分子に、世代ごとに分子を結合させて枝分かれさせていくDivergent法、またはあらかじめ枝の部分を合成して、最後にコアとなる分子を枝に結合させるConvergent法により合成される化合物である。デンドリマーの例には、アミドアミン系デンドリマーやフェニルエーテル系デンドリマー等が含まれる。
アミドアミン系デンドリマーは、米国特許第4,507,466号、米国特許第4,558,120号、米国特許第4,568,737号、米国特許第4,587,329号、米国特許第4,631,337号、米国特許第4,694,064号の各明細書に記載の化合物等であってもよく;その市販品の例には、Aldrich社の「StarburstTM(PAMAM)」等が含まれる。フェニルエーテル系デンドリマーは、Journal of American Chemistry 112巻(1990年、7638〜7647頁)記載の化合物等であってもよい。
ハイパーブランチオリゴマーは、一種の反応点を2つ以上有する分岐部分と、別種の反応点を1つ有するつなぎ部分と、を1分子内に含むモノマーを用いて、1段階で合成して得られる化合物である(Macromolecules、29巻(1996)、3831−3838頁)。ハイパーブランチオリゴマーの例には、ハイパーブランチポリエチレングリコール等が含まれる。また、ハイパーブランチオリゴマーの合成に用いるモノマーの例には、3,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体等が含まれる。
デンドリマーやハイパーブランチオリゴマーは、従来の直線状高分子や分岐型高分子と異なり、3次元的に枝分かれした構造を繰り返し、高度に分岐している。そのため、同一分子量の直線状高分子と比較して粘度を低くできる。
デンドリマーやハイパーブランチオリゴマーに光重合性官能基を変性することで、硬化性オリゴマーBが得られる。硬化性オリゴマーBはその立体配置の外側に光重合性官能基を配向させることができる。なお、樹枝状オリゴマーを変性する光重合性官能基含有化合物の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタン及びそれらの誘導体などが含まれる。その他にN−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物には、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、及びそれらの誘導体などが含まれる。
硬化性オリゴマーBであるデンドリマーは、アミドアミン系デンドリマーの末端アミノ基と、種々の(メタ)アクリル酸誘導体と、を反応させて合成した化合物等であってもよく;アミノ系デンドリマーに活性水素含有(メタ)アクリレート化合物をマイケル付加させて得られる多官能化合物に、イソシアネート基含有ビニル化合物を付加させて合成した化合物等であってもよく;アミノ系デンドリマーに(メタ)アクリル酸クロライド等を反応させて合成した化合物等であってもよい。なお、アクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸イソプロピルアミド等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類等でありうる。また、光重合性官能基を与えるビニル化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、それらの塩、または後述するエチレン性不飽和結合を有する硬化性モノマー等でありうる。
硬化性オリゴマーBであるハイパーブランチオリゴマーは、ハイパーブランチオリゴマーの末端水酸基と、種々のアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体と、を反応させて合成した化合物であってもよい。アクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体は上述したものと同様でありうる。
硬化性オリゴマーBの数平均分子量(Mn)は、1000〜100000の範囲であることが好ましく、2000〜50000の範囲であることがより好ましい。数平均分子量が1000未満であると、画像の定着性が低く、画像がもろくなりやすい。一方、数平均分子量が100000超であると、インクの粘度が高くなりやすく、射出性が低下しやすい。なお数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。
硬化性オリゴマーBの光重合性官能基数は、2〜20であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、6〜20であることがさらに好ましい。光重合性官能基の数が多いと、硬化性オリゴマーBの硬化感度が高まり、かつ画像の硬度も高まる。一方で、光重合性官能基の数が多すぎると、硬化膜の収縮が生じやすくなり、画像形成した記録媒体が歪みやすくなる。
硬化性オリゴマーBの粘度は、硬化性オリゴマーAと同様に、特に制限はないが、インク取扱性およびインク粘度への影響を考慮して、25℃での粘度が、100〜10000mPa・sであることが好ましく、5000mPa・s以下がより好ましく、1000mPa・s以下がさらに好ましい。
硬化性オリゴマーBの市販品の例には、上述のハイパーブラブランチオリゴマーである硬化性オリゴマーAの商品例として挙げたもの以外にも、V#1000、V#1020(以上大阪有機化学工業社製)等が含まれる。
本発明のインクジェットインクには、硬化性オリゴマーBは1種のみを単独で用いてもよいし、樹枝状オリゴマーが異なる他の硬化性オリゴマーBと併用してもよい。
本発明のインクジェットインクに含まれる硬化性オリゴマーBの含有量は、硬化性オリゴマーAと同様に、インク全質量に対して2〜20質量%であり、4〜20質量%であることが好ましく、4〜15質量%であることがより好ましい。
硬化性オリゴマーBは低粘度の樹枝状のオリゴマーなので、インクの粘度を高めにくい。また、硬化性オリゴマーBは、高分子であるため、記録媒体に吸収されにくく;デンドリマーまたはハイパーブランチオリゴマーのその立体配置の外側に光重合性官能基を配向させることができるので、光重合反応することで架橋樹脂を形成する。そのため、本発明のインクジェットインクに硬化性オリゴマーBを含有させることで、射出性を低下させることなく、硬度の高い画像を形成できる。
本発明のインクジェットインクは、前述の硬化性オリゴマー以外の他のオリゴマーを含有してもよい。例えば、他のオリゴマーとして、ガラス転移温度が低く(例えば40℃未満)、単官能基のオリゴマーを配合することで、インク硬化膜の柔軟性を高めたり、硬化収縮を抑制することができる。他のオリゴマーの市販品の例には、CN371、CN2285、CN2273、CN2304(サートマー社製)等が挙げられる。
<硬化性モノマーについて>
硬化性モノマーは、光の照射により架橋又は重合する化合物である。硬化性モノマーの分子量は、280〜1500であることが好ましく、300〜800であることがより好ましい。インクジェット記録ヘッドからインク液滴を安定に吐出するためには、吐出温度でのインク粘度を一定以下にする必要がある。分子量が280未満の硬化性モノマーとゲル化剤とが含まれる光硬化型インクジェットインクは、吐出温度前後でのインクの粘度変化が大きく、インク粘度を一定以下に調整しにくい。また、分子量が280以上の硬化性モノマーは、臭気が少ないため、光硬化型インクジェットインクや、その硬化物の臭気が少ない。一方、分子量が1500を超える硬化型モノマーが含まれると、インクのゾル粘度が過剰に高くなりやすい。
本発明のインクジェットインクに含まれる硬化性モノマーは、ラジカル重合性モノマー又はカチオン重合性モノマーであり、好ましくはラジカル重合性モノマーである。
ラジカル重合性モノマーは、各種公知のラジカル重合性のモノマーでありうる。特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料と、カチオン重合系の光硬化性樹脂とが知られている。最近では、可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系光硬化性樹脂も知られている(例えば、特開平6−43633号公報、特開平8−324137号公報等)。
ラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物である。ラジカル重合性モノマーは1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で二種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物などが含まれる。
本発明のインクジェットインクに含まれるラジカル重合性モノマーは、公知のあらゆる(メタ)アクリレートモノマーでありうる。(メタ)アクリレート基を有するモノマーは、単官能モノマーであっても、2官能モノマーであっても、3官能以上の多官能モノマーであってもよい。
単官能モノマーの例には、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレートなどが含まれる。
2官能モノマーの例には、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートなどが含まれる。
三官能以上の多官能モノマーの例には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが含まれる。
これらの中でも、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどが好ましい。
重合性モノマーとして、ビニルエーテルモノマーと(メタ)アクリレートモノマーを併用しても構わない。ビニルエーテルモノマーの例には、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が含まれる。
重合性モノマーとして、各種ビニルエーテル化合物とマレイミド化合物を併用してもよい。マレイミド化合物の例には、N−メチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N,N′−メチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、テトラエチレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N′−2,4−トリレンビスマレイミド、あるいは、また特開平11−124403号公報に開示されているマレイミドカルボン酸と種々のポリオール類とのエステル化合物である多官能マレイミド化合物などが挙げられるが、この限りではない。
ラジカル重合性モノマーの市販品の例は、NKエステルA−400(新中村化学社製)、SR499(サートマー社製)、SR494(サートマー社製)、Miramer M600(Miwon社製)等が挙げられる。
硬化性モノマーであるラジカル重合性モノマーの含有量は、インク全質量に対して60〜96質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
<ゲル化剤について>
光硬化型インクジェットインクに含まれるゲル化剤は、インクを温度により可逆的にゾルゲル相転移させる機能を有する。そのようなゲル化剤は、少なくとも1)ゲル化温度よりも高い温度で、光重合性化合物(硬化性モノマー、硬化性オリゴマー)に溶解すること、2)ゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化すること、が必要である。
1)において、「ゾルゲル相転移温度」とは、ゾル状態からゲル状態に変化(転移)する変化(転移)点の温度をいい、ゲル転移温度、ゲル溶解温度、ゲル軟化温度、ゾルゲル転移点ゲル化点と称される用語と同義である。
2)において、ゲル化剤がインク中で結晶化するときに、ゲル化剤の結晶化物である板状結晶が三次元的に囲む空間を形成し、前記空間に光重合性化合物を内包することが好ましい。このように、板状結晶が三次元的に囲む空間に光重合性化合物が内包された構造を「カードハウス構造」ということがある。カードハウス構造が形成されると、液体の光重合性化合物を保持することができ、インク液滴をピニングすることができる。それにより、液滴同士の合一を抑制することができる。カードハウス構造とは、その空間に液体の光重合性化合物が保持された状態のことをいう。
インクジェットインクのゾルゲル転移温度は、任意に設定されるが、インク液滴の安定した出射性、高温加熱に伴う弊害等の観点から、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。また、ゾルゲル転移温度は、インクジェット記録ヘッド内でのインク温度と記録媒体の温度の間であることが好ましい。
当該ゾルゲル転移温度の測定方法は、例えば、ヒートプレート上にゲル状の試験片を置き、ヒートプレートを加熱していき、試験片の形状が崩れる温度を測定し、これをゾルゲル相転移温度として求めることができる。また、市販の粘弾性測定装置(例えば、Physica社製粘弾性測定装置 MCR300)を用いても測定できる。
ゾルゲル転移温度は、後述するゲル化剤、光重合性化合物等の種類、添加量等により調整することが可能である。
本発明でいう「ゲル」状態とは、ラメラ構造、共有結合や水素結合した高分子網目、物理的な凝集によって形成される高分子網目、により溶質が独立した運動性を失って集合した構造を持ち、急激な粘度上昇や著しい弾性増加を伴って固化又は半固化した状態のことをいう。
一般にゲル化剤に必要な要件、すなわち、ゲル化剤に必要な構造には、疎水性部(例えば炭素数12以上のアルキル鎖)と親水性部(例えば極性基)を併せ持つことである。それにより、インクの温度が下がり溶媒である光重合性化合物の分子運動が低下した際に、疎水性部が分子間力により溶媒を取り囲みながら寄り集まり、かつ、親水性部同士が水素結合により寄り集まる、ことによりゲルを形成する。
ゲル化剤の例には、ジアルキルケトン、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸アミド、オイルゲル化剤等が含まれる。
ゲル化剤の具体例には、ステアロン(18−ペンタトリアコンタノン)、16−ヘントリアコンタノン、12−トリコサノン、UNILIN425等の脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン・脂肪酸デキストリン(レオパールシリーズとして千葉製粉より入手可能)、L−グルタミン酸誘導体(味の素ファインテクノ社より入手可能)、脂肪酸アミド(FATTY AMIDシリーズ、花王社より入手可能)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル(ノムコートHK−G、日清オイリオ)、ホホバエステル(Floraester70、池田物産社より入手可能)、特開2005−126507号公報や特開2005−255821号公報に記載のオイルゲル化剤、等の分子量1000未満の低分子な化合物が好ましく挙げられるが、この限りではない。
また、脂肪酸アミドであるゲル化剤の具体例には、FATTY AMID E:エルカ酸アミド、FATTY AMID T:オレイン酸アミド、FATTY AMID O−N:硬化牛脂酸アミド(以上、花王社より入手可能)、ニッカアマイドAP1:ステアリン酸アミド(日本化成社より入手可能)、GP−1:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド(味の素ファイテクノ社より入手可能)等がある。
本発明で、ゲル化能の観点から、特に好ましく用いられるゲル化剤には、下記一般式(G1)及び(G2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(G1):R−CO−R
一般式(G2):R−COO−R
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持っても良いアルキル鎖を表す。
これらのゲル化剤では、より安定に(再現性良く)ドットの合一が抑制でき好ましい。
より好ましいゲル化剤の具体例には、下記表1に記載のものが挙げられるがこの限りではない。
Figure 0005811021
本発明のインクジェットインクは、ゲル化剤を所定量含有するので、インクジェット記録ヘッドから吐出されて、インク液滴として記録媒体上に着弾して、ゾルーゲル相転移温度よりも低い温度にまで低下すると速やかにゲル状態となる。そのため、ドット同士の混じり合いやドットの合一が抑制されて、高速印字時の高画質形成が可能となる。その後、ゲル化したインク液滴が光照射を受けて硬化することにより、記録媒体上に定着され強固な画像膜を形成する。
本発明のインクジェットインクは、記録媒体に着弾したインク液滴が速やかにゲル化することで、記録媒体上でインク液滴が拡散しないため、インク液滴中に環境中の酸素が入り込みにくい。そのため、硬化が酸素阻害による影響を受けにくくなる。
ゲル化剤の含有量は、インク全質量に対して2〜10質量%であることが好ましく、3〜7質量%であることがより好ましい。2質量%未満であるとゲル形成が不十分でドットの合一が完全には抑制できず、また、10質量%を超えると活性光線照射後の画像膜の硬度が低下しやすくなる。
<光重合開始剤について>
本発明のインクジェットインクは、高感度を得る観点から、光重合開始剤含有することが好ましく、必要に応じて増感剤をさらに含有してもよい。
光重合開始剤は、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型とがある。分子内結合開裂型の光重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系;ベンジル及びメチルフェニルグリオキシエステル等が含まれる。
分子内水素引き抜き型の光重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が含まれる。
中でもアシルホスフィンオキシドやアシルホスフォナートは、感度の面から、好ましく用いることができる。具体的には、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド等が好ましい。
光重合開始剤の好ましい含有量は、インク全質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。
光硬化型インクジェットインクは、光重合開始剤として、光酸発生剤をさらに含んでもよい。光酸発生剤の例には、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。
また、前記光重合開始剤に対する増感剤または増感助剤の例には、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、エチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートなどのラジカル重合性モノマーと付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、前記光重合開始剤や増感剤は、ラジカル重合性モノマーへの溶解性に優れるものを選択して用いることが好ましい。
光重合開始剤と増感剤は、インク全質量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜12質量%であることがより好ましい。
その他に、欧州特許第1,674,499A号明細書に記載のデンドリマーコアに開始剤構造としてアミン系開始助剤を結合させたタイプ、欧州特許第2,161,264A号明細書、欧州特許第2,189,477A号明細書に記載の重合性基を有する開始剤、アミン系開始助剤、欧州特許第1,927,632B1号明細書に記載の複数のアミン系開始助剤を1分子内に有するタイプ、国際公開第2009/060235号に記載の分子内に複数のチオキサントンを含有するタイプ、Lamberti社より市販されているESACURE ONE、ESACUR KIP150に代表されるαヒドロキシプロピオフェノンが側鎖に結合したオリゴマータイプの光重合開始剤なども好ましく用いることができる。
光硬化型インクジェットインクは、必要に応じて重合禁止剤等をさらに含有してもよい。重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-tert-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が含まれる。
<色材について>
本発明のインクジェットインクは、各種公知の染料と顔料の少なくとも1つ以上を含有することが好ましく、特に顔料を含有することが好ましい。
本発明のインクジェットインクに含まれうる顔料を、以下に列挙する。
C.I.Pigment Yellow 1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,81,83,87,93,95,97,98,109,114,120,128,129,138,150,151,154,155,180,185,213
C.I.Pigment Red 5,7,12,22,38,48:1,48:2,48:4,49:1,53:1,57:1,63:1,101,112,122,123,144,146,168,184,185,202
C.I.Pigment Violet 19,23
C.I.Pigment Blue 1,2,3,15:1,15:2,15:3,15:4,18,22,27,29,60
C.I.Pigment Green 7,36
C.I.Pigment White 6,18,21
C.I.Pigment Black 7
顔料の平均粒径は0.08〜0.5μmであることが好ましく、顔料の最大粒径は0.3〜10μmであり、好ましくは0.3〜3μmである。顔料の粒径を調整することによって、インクジェット記録ヘッドのノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
一方、インクジェットインクに含まれうる染料は、油溶性染料等でありうる。油溶性染料は、以下の各種染料が挙げられる。
マゼンタ染料の例には、MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上、三井東圧社製)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR−31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)が含まれる。
シアン染料の例には、MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
イエロー染料の例には、MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(三井東圧)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY−68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
ブラック染料の例には、MS Black VPC(三井東圧社製)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB−202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
顔料又は染料の含有量は、インク全質量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.4〜10質量%であることがより好ましい。顔料又は染料の含有量が少なすぎると、得られる画像の発色が十分ではなく、多すぎるとインクの粘度が高くなり、射出性が低下するからである。
また、本発明のインクジェットインクは、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを含有していてもよい。分散剤及び分散助剤の合計量は、顔料に対して1〜50質量%であることが好ましい。
前記顔料は、インクジェットインク中に分散していなければならない。そのため、本発明のインクジェットインクは、顔料分散液を調製し、更に顔料分散液と他のインク成分とを混合して得ることが好ましい。
顔料分散液の調製は、分散媒体に顔料を分散して得る。顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いて行えばよい。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤には、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤にはAvecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。
顔料分散液の分散媒体は、溶剤又は重合性化合物でありうるが;本発明のインクジェットインクは、記録媒体に着弾した直後にゲル化することが好ましいので、無溶剤であることが好ましい。また、溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じるので、無溶剤インクであることが好ましい。よって、顔料分散液の分散媒体は、溶剤ではなく重合性化合物、なかでも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
本発明のインクジェットインクは、インク吸収性の記録媒体を用いた場合でも、またはLEDのような低照度の光源を用いた場合でも、記録媒体に着弾したインク液滴が記録媒体から剥がれないことが望まれる。しかしながら、黒色顔料を用いた場合には、インク液滴に照射される光が硬化膜表面の黒色顔料に吸収されてしまい、硬化膜内部の硬度が不十分となりやすい。そのため、黒色顔料を含有するインク液滴は記録媒体に定着できずに剥がれやすくなってしまう。一方、本発明のインクジェットインクは、高分子の樹枝状の硬化性オリゴマー、またはガラス転移温度を有する多官能の硬化性オリゴマーを含有している。そのため、黒色顔料を用いた場合でも、インクが硬化しやすくなり、画像が剥がれにくくなる。
<その他の成分について>
光硬化型インクジェットインクは、必要に応じて他の成分を更に含んでもよい。他の成分は、各種添加剤や他の樹脂等であってよい。添加剤の例には、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、インクの保存安定性を高めるための塩基性化合物等も含まれる。塩基性化合物の例には、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミン等の塩基性有機化合物等が含まれる。他の樹脂の例には、硬化膜の物性を調整するための樹脂等が含まれ、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、及びワックス類等が含まれる。
<ゾルゲル相転移型のインクジェットインクについて>
光硬化型インクジェットインクは、前述のようにゲル化剤を含むため、温度により可逆的にゾルゲル相転移する。ゾルゲル相転移する光硬化型インクは、高温(例えば80℃程度)では液体(ゾル)であるため、インクジェット記録ヘッドからゾル状態で吐出することができる。高温下で光硬化型インクジェットインクを吐出すると、インク液滴(ドット)が記録媒体に着弾した後、自然冷却されてゲル化する。これにより、隣り合うドット同士の合一を抑制し、画質を高めることができる。
インク液滴の射出性を高めるためには、高温下におけるインクの粘度が一定以下であることが好ましい。具体的には、光硬化型インクジェットインクの、80℃における粘度が3〜20mPa・sであることが好ましい。一方、隣り合うドットの合一を抑制するためには、着弾後の常温下におけるインクの粘度が一定以上であることが好ましい。具体的には、光硬化型インクジェットインクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
インクのゲル化温度は、ゲル化剤に関する記述の項で述べた通りである。
インクの80℃における粘度、25℃における粘度及びゲル化温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。具体的には、インクを100℃に加熱し、剪断速度11.7(/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃まで冷却したときの、粘度の温度変化曲線を得る。そして、80℃における粘度と25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
レオメータは、Anton Paar社製 ストレス制御型レオメータ PhysicaMCRシリーズを用いることができる。コーンプレートの直径は75mm、コーン角は1.0°とすることができる。
<インクジェットインクの製造方法について>
光硬化型インクジェットインクは、前述の光重合性化合物と、ゲル化剤とを含む各成分を、加熱下において混合することにより得ることができる。好ましくは、一部の重合性化合物に色材(特に顔料)を分散させた顔料分散剤を用意し、顔料分散材と、他の重合性化合物を含む他のインク成分と混合することで得る。
2.インクジェット記録装置とそれを用いた画像形成方法
本発明の画像形成方法は、少なくとも以下の2工程を含む。
(1)光硬化型インクジェットインクを、インクジェット記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程
(2)前記記録媒体上に着弾した液滴にLED光源からの光を照射して前記インク液滴を硬化させる工程
(1)工程について
光硬化型インクジェットインクは、上述したインクジェットインクであればよい。
インクジェット記録ヘッド部でインク液滴を射出する。インク液滴の射出性を高めるためには、インクジェット記録ヘッド内のインクジェットインクの温度を、ゲル化温度よりも10〜30℃高い温度に設定することが好ましい。インクジェット記録ヘッド内のインク温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、インクジェット記録ヘッド内もしくはノズル表面でインクがゲル化して、インク液滴の射出性が低下しやすい。一方、インクジェット記録ヘッド内のインクの温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
そのため、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ヘッドに接続したインク流路又はインク流路に接続したインクタンク中のインクジェットインクを加熱して、前記温度のインクジェットインク液滴を吐出すればよい。
インクジェット記録ヘッドの各ノズルから吐出される1滴あたりの液滴量は、画像の解像度にもよるが、0.5〜10plであることが好ましく、高精細の画像を形成するためには、0.5〜2.5plであることがより好ましい。
記録媒体に着弾したインク液滴は冷却されてゾルゲル相転移により速やかにゲル化する。これにより、インク液滴が拡散せずに、ピニングすることができる。更には、上述したように、光重合性化合物の酸素阻害を低減することができる。
記録媒体は、紙であってもよいし、樹脂フィルムであってもよい。紙の例には、印刷用コート紙、印刷用コート紙Bなどが含まれる。また、樹脂フィルムの例には、ポリエチレンテレフタレートフィルムや塩化ビニルフィルムなどが含まれる。
インクジェット記録ヘッドからインク液滴を吐出することによって、記録媒体上にインク液滴が付着する。インク液滴が着弾する際の記録媒体の温度は、前記インクのゲル化温度よりも10〜20℃低い温度に設定されることが好ましい。記録媒体の温度が低すぎると、インク液滴が過剰に迅速にゲル化してピニングしてしまうため、インク液滴のレベリングが十分に生じず、画像光沢が低下することがある。一方で、記録媒体の温度が高すぎると、インク液滴がゲル化しにくくなり、インク液滴の隣り合うドット同士が混じりあうことがある。記録媒体の温度を適切に調整することで、インク液滴の隣り合うドット同士が混じり合わない程度の適度なレベリングと、適切なピニングとが実現される。
記録媒体の搬送速度は、30〜120mm/sであることが好ましい。搬送速度が速いほど画像形成速度が速まるので好ましいが、搬送速度が速すぎると、画像品質が低下したり、インクの光硬化(後述)が不十分になったりする。
(2)工程について
記録媒体に着弾したインク液滴に光を照射することで、インク液滴に含有される光重合性化合物が架橋又は重合してインク液滴が硬化して、画像となる。
記録媒体に付着したインク液滴に照射する光は、LED光源からの紫外線であることが好ましい。具体的には、Phoseon Technology社製 395nm、水冷LEDを用いることができる。紫外線の光源には、メタルハライドランプ等もありうるが、LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によってインク液滴が溶けることによる、インク液滴の硬化膜表面の硬化不良を防ぐという効果が得られる。
光源としてのLEDは、インク液滴を硬化させるために、360〜410nmの紫外線を画像表面におけるピーク照度が3W/cm以上となるように設置することが好ましく、5〜15W/cmとなるように設置することがより好ましい。画像に照射される光量には、350mJ/cm未満となるようにすることが好ましい。輻射熱がインク液滴に照射されることを抑制するためである。
インク液滴への光照射は、隣り合うインク液滴同士が合一するのを抑制するために、インク液滴が記録媒体上に付着した後10秒以内、好ましくは0.001秒〜5秒以内、より好ましくは0.01秒〜2秒以内に行うことが好ましい。光照射は、ヘッドキャリッジに収容された全てのインクジェット記録ヘッドからインク液滴を吐出した後に行われることが好ましい。
インクジェット記録装置について
本発明の画像形成方法は、光硬化型インクジェット方式のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。光硬化型インクジェット方式のインクジェット記録装置には、ライン記録方式(シングルパス記録方式)のものと、シリアル記録方式のものと、がある。求められる画像の解像度や記録速度に応じて選択されればよいが、高速記録の観点では、ライン記録方式(シングルパス記録方式)が好ましい。
図1は、ライン記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す図である。このうち、図1(a)は側面図であり、図1(b)は上面図である。
図1に示されるように、インクジェット記録装置10は、複数のインクジェット記録ヘッド14を収容するヘッドキャリッジ16と、ヘッドキャリッジ16に接続したインク流路30と、インク流路30を通じて供給するインクを貯留するインクタンク31と、記録媒体12の全幅を覆い、かつヘッドキャリッジ16の(記録媒体の搬送方向)下流側に配置された光照射部18と、記録媒体12の下面に配置された温度制御部19と、を有する。
ヘッドキャリッジ16は、記録媒体12の全幅を覆うように固定配置されており、各色毎に設けられた複数のインクジェット記録ヘッド14を収容する。インクジェット記録ヘッド14にはインクが供給されるようになっている。たとえば、インクジェット記録装置10に着脱自在に装着された不図示のインクカートリッジ等から、直接又は不図示のインク供給手段によりインクが供給されるようになっていてもよい。
インクジェット記録ヘッド14は、各色ごとに、記録媒体12の搬送方向に複数配置される。記録媒体12の搬送方向に配置されるインクジェット記録ヘッド14の数は、インクジェット記録ヘッド14のノズル密度と、印刷画像の解像度によって設定される。例えば、液滴量2pl、ノズル密度360dpiのインクジェット記録ヘッド14を用いて1440dpiの解像度の画像を形成する場合には、記録媒体12の搬送方向に対して4つのインクジェット記録ヘッド14をずらして配置すればよい。また、液滴量6pl、ノズル密度360dpiのインクジェット記録ヘッド14を用いて720×720dpiの解像度の画像を形成する場合には、2つのインクジェット記録ヘッド14をずらして配置すればよい。dpiとは、2.54cm当たりのインク液滴(ドット)の数を表す。
インクタンク31は、ヘッドキャリッジ16に、インク流路30を介して接続されている。インク流路30は、インクタンク31中のインクをヘッドキャリッジ16に供給する経路である。インク液滴を安定して吐出するため、インクタンク31、インク流路30、ヘッドキャリッジ16及びインクジェット記録ヘッド14のインクを所定の温度に加熱して、ゲル状態を維持する。
光照射部18は、記録媒体12の全幅を覆い、かつ記録媒体の搬送方向についてヘッドキャリッジ16の下流側に配置されている。光照射部18は、インクジェット記録ヘッド14により吐出されて、記録媒体12に着弾した液滴に光を照射し、液滴を硬化させる。
温度制御部19は、記録媒体12の下面に配置されており、記録媒体12を所定の温度に維持する。温度制御部19は、例えば各種ヒータ等でありうる。
以下、ライン記録方式のインクジェット記録装置10を用いた画像形成方法を説明する。記録媒体12を、インクジェット記録装置10のヘッドキャリッジ16と温度制御部19との間に搬送する。一方で、記録媒体12を、温度制御部19により所定の温度に調整する。次いで、ヘッドキャリッジ16のインクジェット記録ヘッド14から高温のインク液滴を吐出して、記録媒体12上に付着(着弾)させる。そして、光照射部18により、記録媒体12上に付着したインク液滴に光を照射して硬化させる。
硬化後の総インク液滴膜厚は、2〜25μmであることが好ましい。「総インク液滴膜厚」とは、記録媒体に描画されたインク液滴膜厚の最大値である。
図2は、シリアル記録方式のインクジェット記録装置20の要部の構成の一例を示す図である。図2に示されるように、インクジェット記録装置20は、記録媒体の全幅を覆うように固定配置されたヘッドキャリッジ16の代わりに、記録媒体の全幅よりも狭い幅であり、かつ複数のインクジェット記録ヘッド24を収容するヘッドキャリッジ26と、ヘッドキャリッジ26を記録媒体12の幅方向に可動させるためのガイド部27と、を有する以外は図1と同様に構成されうる。
シリアル記録方式のインクジェット記録装置20では、ヘッドキャリッジ26がガイド部27に沿って記録媒体12の幅方向に移動しながら、ヘッドキャリッジ26に収容されたインクジェット記録ヘッド24からインク液滴を吐出する。ヘッドキャリッジ26が記録媒体12の幅方向に移動しきった後(パス毎に)、記録媒体12を搬送方向に送る。そして、光照射部28により、記録媒体12上に付着したインク液滴に光を照射する。これらの操作以外は、前述のライン記録方式のインクジェット記録装置10とほぼ同様にして画像を記録する。
以下に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
《顔料分散液の調製》
以下の手順で顔料分散液を調製した。以下2種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌溶解した。
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製) 9質量部
トリプロピレングリコールジアクリレート(M−200、東亞合成社製) 71質量部
室温まで冷却した後、これに下記のいずれかの顔料20質量部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓した。これをペイントシェーカーにて下記時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
顔料1:Pigment Black 7(三菱化学社製、#52) 5時間
顔料2:Pigment Blue 15:4(大日精化製、クロモファインブルー6332JC) 5時間
顔料3:Pigment Red 122(大日精化製、クロモファインレッド6112JC) 8時間
顔料4:Pigment Yellow 150(LANXESS社製、E4GN−GT CH20015) 8時間
《インクの調製》
以下の成分を用いて、各実施例および比較例のインクを調製した。
(硬化性モノマー)
ポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−400、新中村化学社製)
6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499、サートマー社製)
4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494、サートマー社製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Miramer M600、Miwon社製)
(硬化性オリゴマー)
ハイパーブランチポリエステルアクリレート(V#1000、大阪有機化学工業社製、25℃における粘度:400〜700mPa・s、官能基数:14)
ハイパーブランチポリエステルアクリレート(V#1020、大阪有機化学工業社製、25℃における粘度:1500〜2500mPa・s、官能基数:14)
ハイパーブランチポリエステルアクリレート(Etercure6361-100、Eternal Chemical社製、25℃における粘度:150〜250mPa・s、官能基数:8、Tg:51.6℃)
ハイパーブランチポリエステルアクリレート(Etercure6362-100、Eternal Chemical社製、25℃における粘度:400〜800mPa・s、官能基数:12〜15、Tg:70℃)
脂肪族ポリウレタンヘキサアクリレート(Etercure6147、Eternal Chemical社製、25℃における粘度:5000〜6000mPa・s、官能基数:6、Tg:85.5℃)
ポリエポキシ変性アクリレート(Etercure6234、Eternal Chemical社製、25℃における粘度:3500〜5000mPa・s、官能基数:2、Tg:80.4℃)
ポリエステルアクリレートオリゴマー(CN2303、サートマー社製、25℃における粘度:350mPa・s、官能基数:6、Tg:104℃)
ポリアミンアクリレート(CN371、サートマー社製、25℃における粘度1488mPa・s:、官能基数:2、Tg:−39℃)
脂肪族ポリエステルアクリレート(CN2273、サートマー社製、25℃における粘度:100mPa・s、官能基数:2、Tg:−45℃)
芳香族ポリエステルアクリレート(CN2285、サートマー社製、25℃における粘度:350mPa・s、官能基数:1、Tg:32℃)
(ゲル化剤)
ステアリン酸ステアリル(エキセパールSS、花王社製)、(ユニスター M−9676、日油社製)、(EMALEX CC−18、日本エマルジョン社製)、(アムレプスSS、高級アルコール工業社製)
ベヘニン酸ベヘニル(ユニスター M−2222SL、日油社製)
(光重合開始剤)
DAROCURE TPO(BASF社製)
ITX(DKSH社製)
(界面活性剤)
KF−352(信越化学社製)
(増感助剤)
KayacureEPA(日本化薬社製)
表2に記載されたインクK1〜K17の組成にしたがって各成分と前記顔料分散液を各質量部混合して、80℃に加熱して攪拌した。得られた溶液を加熱下において、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行った。
Figure 0005811021
(実施例1)
《インクジェット画像形成方法》
調製したインクK1〜K17のそれぞれを、インクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に装填した。インクジェット記録ヘッドは、ピエゾ型インクジェットノズルを備えている。このインクジェット記録装置を用いて、菊半サイズのコート紙(OKトップコート、王子製紙社製)、上質紙(OKプリンス上質、王子製紙社製)に、画像形成を行った。なお、記録媒体の搬送速度は、60mm/sで行った。
インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェット記録ヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、インクジェット記録ヘッドからなる。インクタンクからインクジェット記録ヘッド部分までのインクを100℃に加温した。インクジェット記録ヘッドは、2plの液滴になるように電圧を印加した。それぞれ解像度が360dpiの4つのインクジェット記録ヘッドにインクK1〜17をセットした。これらのインクジェット記録ヘッドから液滴を吐出して、1440×1440dpiの単色の黒色ベタ画像を形成した。
印字後、Phoseon Technology社製LEDランプ(395nm、8W/cm、water cooled unit)で硬化した。LEDランプの管面から記録媒体までの距離を5mmとした(搬送方向の照射幅20mm)。
《各種評価》
〈出射性〉
上記インクジェット記録装置を用いて、30分間の連続出射を行った後、ノズル欠の有無について目視観察を行った。下記の基準により出射性の評価を行った。
○:30分連続射出でノズル欠、サテライトが発生しない
△:30分連続吐出でサテライトが発生するか、4個以下のノズル欠が発生する
×:30分連続吐出で5個以上のノズル欠が発生する
〈タック感度〉
各インクを用いて、上質紙にベタ画像を形成した。ベタ画像を指で触って、下記の基準によりタック感度の評価を行った。
○:べとつきなし
△:わずかにべとつき、指紋が残る
×:べとつく
〈硬化性(鉛筆硬度)〉
各インクを用いて、コート紙にベタ画像を形成した。10枚目の100%印字部を25℃・60%RHの環境下に24時間放置した後、JIS−K−5400に準じて表面の鉛筆硬度を測定した。下記の基準により硬化性の評価を行った。
○:鉛筆硬度が2H以上
×:鉛筆硬度がH以下
〈折り曲げ耐性〉
各インクを用いて、コート紙にベタ画像を形成した。10枚目の100%印字部を25℃60%RHの環境下に24時間放置した後、コート紙を二つ折りにした。下記の基準により折り曲げ耐性の評価を行った。
○:画像膜が割れない
×:画像膜が折り曲げ部分で割れる
画像形成評価の結果を表3に示す。
Figure 0005811021
実施例のインクK1〜7、11〜14は、全ての評価項目で良好な結果を示した。これにより、官能基数が2〜20の範囲内にあり、かつ、ガラス転移温度が40℃以上である硬化性オリゴマー(硬化性オリゴマーA)をインクに含むことで、低照度の光照射においても硬度の高い画像が得られうる。また、樹枝状の硬化性オリゴマー(硬化性オリゴマーB)をインクに含むことで、高い架橋性を持つため、吸収性の記録媒体(コート紙)中にインクが吸収されにくく、硬度の高い画像が得られうる。また、硬化性オリゴマーAと硬化性オリゴマーBのいずれかをインクに含有させることで、黒色顔料を用いても、記録媒体に定着できることが示された。
一方、樹枝状でなく、ガラス転移温度(Tg)が40℃未満の硬化性オリゴマーを含有する比較例のインクK15〜17は鉛筆硬度が不良であった。これは、ガラス転移温度(Tg)が低いため、硬化性オリゴマーの分子運動が大きくなったことが考えられる。
また、硬化性オリゴマーAの含有量が過剰であるインクK8は、折り曲げ耐性が不良であった。これは、硬化性オリゴマーAが硬化しすぎたことが考えられる。
一方、硬化性オリゴマーAの含有量が過小であるインクK6、7は、鉛筆硬度が不良であった。これは、硬化性オリゴマーAの含有量が少なく、硬化物の架橋密度が低下したことが考えられる。
(実施例2)
実施例1の顔料分散液1(12.5質量部)を顔料分散液2(12.5質量部)、顔料分散液3(21.0質量部)、顔料分散液4(15.0質量部)に置換えた。インクの合計質量部が100質量部になるように、過不足分をNKエステル量で調整して、C、M、Yインクを調製した。C、M、Yインクに、Kインクを加え4色のインクセット1〜17とした。
《インクジェット画像形成方法》
調製したインクセット1〜17のそれぞれを、前記インクジェット記録装置に装填した。このインクジェット記録装置を用いて、菊半サイズのコート紙(OKトップコート、王子製紙社製)、上質紙(OKプリンス上質、王子製紙社製)に、画像形成を行った。なお、記録媒体の搬送速度は、30mm/sで行った。
インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェット記録ヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、インクジェット記録ヘッドからなる。インクタンクからインクジェット記録ヘッド部分までのインクを100℃に加温した。インクジェット記録ヘッドは、2plの液滴になるように電圧を印加した。解像度がそれぞれ360dpiの4つのインクジェット記録ヘッドにインクセット1〜17をセットした。これらのインクジェット記録ヘッドから液滴を吐出して、1440×1440dpiのYMCKの単色ベタ画像、RGB二次及び3色K(Y+M+C)色ベタ画像を形成した。
印字後、Phoseon Technology社製LEDランプ(395nm、8W/cm2、water cooled unit)で硬化した。LEDランプの管面から記録媒体までの距離を5mmとした(搬送方向の照射幅20mm)。
《各種評価》
〈硬化性(鉛筆硬度)〉
実施例1の評価基準と同様である。
〈硬化収縮〉
単色、二次色及び3色K(Y、M、C各100%)のベタ画像部と非画像部の境界部分の紙のゆがみを目視評価した。
○:紙のゆがみは見られない
△:3色Kと非画像部の境界でわずかにゆがみが見られる
×:二次色と非画像部の境界でゆがみが見られる
画像形成評価の結果を表4に示す。
Figure 0005811021
実施例のインクセット1〜7、11〜14は、単色のインクK1〜7、11〜14と同様に、全ての評価項目で良好な結果を示した。インクセット4、5は、鉛筆硬度は良好であるものの、硬化収縮がやや不良であった。これは、硬化性オリゴマーAの含有量がやや多く、硬化密度の架橋密度も高くなったため、記録媒体を歪めたことが考えられる。
一方、樹枝状でなく、ガラス転移温度(Tg)が40℃未満の硬化性オリゴマーを含有する比較例のインクセット13〜15は鉛筆硬度が不良であった。これは、ガラス転移温度(Tg)が低く硬化性オリゴマーの分子運動大きくなったため、硬化物の硬度が低下したと考えられる。
また、硬化性オリゴマーAの含有量が過剰である比較例のインクセット8は、硬化収縮が不良であった。これは、硬化物の架橋密度が高すぎるために、紙を歪めたことが考えられる。
一方、硬化性オリゴマーAの含有量が過小である比較例のインクセット9、10は鉛筆硬度が不良であった。これは、硬化性オリゴマーAの含有量が少なく、硬化物の架橋密度が低下したことが考えられる。
本発明によれば、ゲル化剤含有のインクジェットインクにおいて、射出安定性に優れ、記録媒体の種類にかかわらず硬度の高い画像を形成でき;比較的低照度の光源を用いても、硬度の高い画像を形成できる光硬化型インクジェットインク、及びそれを用いた画像形成方法を提供することをすることを目的とする。
10、20 インクジェット記録装置
12 記録媒体
14、24 インクジェット記録ヘッド
16、26 ヘッドキャリッジ
18、28 光照射部
19 温度制御部
27 ガイド部
30 インク流路
31 インクタンク

Claims (26)

  1. 硬化性(メタ)アクリレートモノマー、分子内結合開裂型の光重合開始剤又は水素引き抜き型の光重合開始剤、ゲル化剤、色材及び硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する光硬化型インクジェットインクであって、
    前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が2〜20の範囲内にあり、かつ、ガラス転移温度が40℃以上であり、
    前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、前記インク全体の質量に対して2〜20質量%であることを特徴とする光硬化型インクジェットインク。
  2. 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が6〜20であることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化型インクジェットインク。
  3. 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが分枝鎖状オリゴマーまたは樹枝状オリゴマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載の光硬化型インクジェットインク。
  4. 前記硬化性(メタ)アクリレートモノマーの分子量が280〜1500であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  5. 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの25℃における粘度が100〜10000mPa・sであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  6. 前記色材は黒色顔料であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  7. 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが不飽和カルボン酸、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン及びN−ビニル化合物からなる群から選ばれる化合物に由来する重合性基を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  8. 前記ゲル化剤が結晶性ゲル化剤であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  9. 前記ゲル化剤は、ジアルキルケトン、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸アミド及びオイルゲル化剤からなる群から選ばれるゲル化剤であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  10. 前記ゲル化剤は、下記一般式(G1)または(G2)で表されるゲル化剤であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
    一般式(G1):R1−CO−R2
    一般式(G2):R3−COO−R4
    式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持っても良いアルキル鎖を表す。
  11. 前記ゲル化剤の含有量は、インク全量に対して2〜10質量%であることを、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  12. インクのゾルゲル相転移温度は30〜100℃であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  13. 硬化性(メタ)アクリレートモノマー、分子内結合開裂型の光重合開始剤又は水素引き抜き型の光重合開始剤、ゲル化剤、色材及び硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する光硬化型インクジェットインクであって、
    前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが樹枝状オリゴマーであり、
    前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、前記インク全体の質量に対して2〜20質量%であることを特徴とする光硬化型インクジェットインク。
  14. 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が6〜20であることを特徴とする、請求項13に記載の光硬化型インクジェットインク。
  15. 前記硬化性(メタ)アクリレートモノマーの分子量が280〜1500であることを特徴とする、請求項13または14に記載の光硬化型インクジェットインク。
  16. 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーの25℃における粘度が100〜10000mPa・sであることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  17. 前記色材は黒色顔料であることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  18. 前記硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーが不飽和カルボン酸、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン及びN−ビニル化合物からなる群から選ばれる化合物に由来する重合性基を有することを特徴とする、請求項13〜17のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  19. 前記ゲル化剤が結晶性ゲル化剤であることを特徴とする、請求項13〜18のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  20. 前記ゲル化剤は、ジアルキルケトン、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸アミド及びオイルゲル化剤からなる群から選ばれるゲル化剤であることを特徴とする、請求項13〜19のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  21. 前記ゲル化剤は、下記一般式(G1)または(G2)で表されるゲル化剤であることを特徴とする、請求項13〜20のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
    一般式(G1):R1−CO−R2
    一般式(G2):R3−COO−R4
    式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持っても良いアルキル鎖を表す。
  22. 前記ゲル化剤の含有量は、インク全量に対して2〜10質量%であることを特徴とする、請求項13〜21のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  23. インクのゾルゲル相転移温度は30〜100℃であることを特徴とする、請求項13〜22のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインク。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載の光硬化型インクジェットインクのインク液滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程と、前記記録媒体上に着弾した液滴にLED光源から360〜410nmの波長の光を照射して硬化させる工程と、を有する画像形成方法。
  25. 前記光硬化型インクジェットインクが記録媒体上に着弾する時の前記記録媒体の温度を、前記インクのゾルゲル相転移温度よりも10〜20℃低い温度であることを特徴とする、請求項24に記載の画像形成方法。
  26. 前記LED光源のピーク照度が3W/cm以上であることを特徴とする、請求項24または25に記載の画像形成方法。
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