JP2010270322A - 水性インクジェット記録インク及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水性記録媒体にインク混じりが無く、光沢、耐擦性及び接着性に優れた画像を形成でき、かつ射出安定性、メンテナンスでの回復性にも優れた水性インクジェット記録インクを提供すること。
【解決手段】顔料、樹脂、有機溶剤及び界面活性剤を含有する水性インクジェット記録インクにおいて、該樹脂は、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーをコモノマーとする共重合性高分子であり、該アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーの総質量が、樹脂全質量の80〜100質量%であり、酸価が50mgKOH/g以上、200mgKOH/g未満であり、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上、100℃未満であり、かつ重量平均分子量(Mw)が20000以上、10万未満であることを特徴とする水性インクジェット記録インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクジェット記録インク及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
産業用途のインクジェットインクとして、塩化ビニルシートなどの非吸収性記録媒体上に直接印字できるインクジェットインクが、近年開発されている。これらのインクジェットインクとしては、有機溶剤をベヒクルとした溶剤インクジェットインクや、重合性モノマーを主成分とする活性光線硬化型インクジェットインクが挙げられる。溶剤インクジェットインクは、その溶剤を乾燥させて大気中に蒸発させるため、近年社会的に問題となっているVOC(揮発性有機化合物)が多いという課題がある、また、作業者に対しても、臭気や安全上の影響が懸念され、十分な換気等の設備対応が必要となる。活性光線硬化型インクジェットインクは、印字後直ちに硬化させるのでVOCはゼロに近いが、使用するモノマーによっては、皮膚感作性を有するものが多く課題を抱えており、また、高価な活性光線の照射光源をプリンタに組み込むという制約があり、印刷分野で実用化するという観点では課題を残しているのが現状である。加えて、光沢を有するシート等に印字した場合、著しく光沢感が損なわれてしまう。
このような背景の中で、環境負荷が少なく、従来からホーム用途で広く使用されている水を主成分とする水系インクジェットインクで、直接、非吸水性記録媒体に印字できるインクジェットインクの開発が盛んに行われている。
例えば、グリコールおよびグリコールエーテルよりなる群から選択される水と相溶性の溶媒を含有する水系インクジェットインク、あるいは、疎水性の主鎖と、非イオン性で親水性の側鎖とを有し、水性ビヒクルには溶解するが、水には不溶性であるグラフトコポリマーバインダーを含有するインクジェットインクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、該バインダーとして、酸性基を有する構造のものを使用することは開示されてない。また、本発明者らの検討では、特許文献1に記載された技術では、非吸水性記録媒体上での画質や得られた画像の耐久性も不十分であり、加えて、メンテナンスでの回復性も満足いくものではないことは判明した。
一方、インクジェット記録インクにおいて、水溶性樹脂を添加することは周知であり、例えば、インクジェットインクにスチレン−アクリル酸共重合性高分子を添加する方法が記載されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2で開示されているスチレンを含有する共重合性高分子は、形成した画像の光沢感は高い特性にある反面、疎水性記録媒体などに直接プリントした画像は、耐擦性や接着性が悪いという問題点を抱えている。一方、スチレンを含まない水溶性アクリル樹脂をインクに添加する方法が、本発明者らにより開示されている(例えば、特許文献3参照。)。顔料分散体として樹脂被覆顔料を用いることにより、塩化ビニル基材に直接プリントした場合でも、ある程度の画像耐久性が得られるが、特に、強い摩擦に対する耐擦性としては未だ改善の余地を残しており、加えて、溶剤系インクプリントに比較すると、耐久性にも差があるのが現状である。
よって、環境負荷が少なく、水を主成分とする水系インクジェットインクを用いて、直接、疎水性記録媒体にインク混じりのない高品位の画像が得られ、光沢が高く、耐擦性や接着性の高い画像を形成でき、かつメンテナンスでの回復性にも優れた水性のインクジェット記録インクの開発が要望されている。
特開2000−44858号公報 特開2006−249393号公報 特開2008−208153号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、疎水性記録媒体にインク混じりのない高品位な画質が印字でき、光沢、耐擦性及び接着性に優れた画像を形成でき、かつ射出安定性、メンテナンスでの回復性にも優れた水性インクジェット記録インクと、それを用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.顔料、樹脂、有機溶剤及び界面活性剤を含有する水性インクジェット記録インクにおいて、該樹脂は、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーをコモノマーとする共重合性高分子であり、該アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーの総質量が、樹脂全質量の80質量%以上、100質量%以下であり、酸価が50mgKOH/g以上、200mgKOH/g未満であり、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上、100℃未満であり、かつ重量平均分子量(Mw)が20000以上、10万未満であることを特徴とする水性インクジェット記録インク。
2.前記界面活性剤がシリコーン系もしくはフッ素系界面活性剤であることを特徴とする前記1に記載の水性インクジェット記録インク。
3.前記アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル及びメタクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1または2に記載の水性インクジェット記録インク。
4.前記アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸メチルの総質量が、前記樹脂全質量の80%以上、90%未満であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェット記録インク。
5.水溶性アルカノールアミン類を、0.3質量%以上、2.0質量%以下含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェット記録インク。
6.疎水性記録媒体を35℃以上、55℃未満の温度に加熱しながら、前記1〜5のいずれか1項に記載の水性インクジェット記録インクをインクジェットヘッドより該疎水性記録媒体上に吐出して画像記録を行った後、該画像記録を行った疎水性記録媒体を、55℃以上、90℃未満の温度条件で加熱乾燥することを特徴とする画像形成方法。
本発明により、疎水性記録媒体にインク混じりのない高品位な画質が印字でき、光沢、耐擦性及び接着性に優れた画像を形成でき、かつ射出安定性、メンテナンスでの回復性にも優れた水性インクジェット記録インクと、それを用いた画像形成方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者らは、水性インクジェット記録インク(以下、単に水性インク、インクとも称す)、具体的には、水性インクジェット顔料インクについて、サイン用途に用いられる塩化ビニルシートをはじめ種々の樹脂基材や、印刷本紙などのインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりのない高画質な印字でき、かつ光沢が高く、耐擦性や接着性の高い画像を形成することを目的に検討を重ねた。高い光沢や、耐擦性や接着性の高い画像を得るには、従来技術にあるようにインク中に樹脂を加えることが有効な手段となる。本発明者らは、種々の樹脂について詳細に検討した結果、本発明に至ったものである。
インク中に樹脂を添加する第一の目的は、耐擦性や接着性の高い画像を形成するためである。樹脂成分は、着色剤である顔料のバインダー樹脂として機能し、基材との接着性を有し、かつ形成した画像膜の耐擦性を向上させる機能を有している。
第二の目的は、光沢が高く、光学濃度も高い画像を形成するためのものである。このためには、樹脂自体が画像膜中で高い透明性を持ち、顔料、あるいは顔料分散樹脂との相溶性があることも必要である。
第三の目的は、塩化ビニルシートをはじめ、種々の樹脂基材や印刷本紙などのインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりのない高画質な印字画像を得ることである。インク混じりを低減するには、2つの因子が必要なことを、本発明者らは検討の過程で見出した。一つ目の因子は、インクの基材に対する濡れ性であり、他の因子は、インクが基材に着弾してからの粘度上昇(増粘ともいう)のしやすさである。インクに添加する樹脂としては、インクの濡れ性を大幅に劣化させるものではならないし、また、着弾後の乾燥過程で、なるべく速やかに増粘するものが必要であることを見出した。
また、インクに樹脂を添加することにより、インクジェットヘッドのノズル部におけるインクの射出特性(飛翔安定性)を劣化させてはならず、また、連続プリントあるいは連続休止により、射出性が劣化した場合でも、メンテナンス作業により速やかに初期の安定した射出状態に回復することが必要である。
以上のように、インクに樹脂を添加することは、多くの目的に対して十分な効果が発揮できる様に、インクで使用する樹脂の設計、選択が重要な要件となる。
従って、本発明は、上記の様な状況を踏まえなされたものであり、本発明は、特定のアクリル樹脂をインクに添加することを特徴とするものである。
アクリル樹脂は、周知のごとく非常に多数のモノマーから自由に設計することができ、重合がし易く、また低コストで製造できるという利点を有している。特に、先に述べたように、インクに添加する際に求められる多数の要求に答えるには、設計自由度の大きいアクリル樹脂が適している。
市販のアクリル樹脂には、水分散型のアクリルエマルジョンと水溶性樹脂がある。エマルジョンタイプのアクリル樹脂は、一般的に分子量が水溶性のものより大きく、樹脂皮膜強度を高めやすいというメリットがある。一方で、乾燥した皮膜は水に溶解することはないため、一旦インクジェットヘッドのノズル部等で乾燥を起こした場合には、溶解除去することができず、物理的にこすってとることが必要となるいため、メンテナンスが困難であるものが多い。本発明は、明確に水溶性樹脂に限定するものではないが、水溶性樹脂を選択することがより好ましい態様である。
市販の水溶性樹脂としては、例えば、スチレン、及びα−メチルスチレンとアクリル酸などの酸モノマーとの共重合体が市販されている。これらは、インクジェットインクに用いた場合、高い光沢が得られる反面、耐擦性、接着性が非常に悪いという課題を有している。この理由は明確には判っていないが、スチレンと基材との密着性が悪い、あるいは塗膜が硬すぎ柔軟性に欠けるため、基材として軟質塩化ビニルなどを用いた場合には、軟質塩化ビニルなどが擦りで変形するのに追随できず、塗膜にひび割れや剥離を生じると推定している。一方、スチレンに代えてメタクリル酸メチルを用い、スチレン成分を含まない、オールアクリルタイプというアクリル樹脂も市販されている。スチレンを含まないこれらのタイプは、耐擦性は改善するがまだ不十分であり、さらに画像光沢が低下しやすいという課題がある。
本発明者らは、スチレン成分を含まない、もしくは少量しか含まない共重合体について詳細に検討した結果、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーをコモノマーとする共重合性高分子であり、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーの総質量が、樹脂全質量の80質量%以上、100質量%以下であり、酸価が50mgKOH/g以上、200mgKOH/g未満であり、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上、100℃未満であり、かつ重量平均分子量(Mw)が20000以上、10万未満である樹脂を用いることにより、本発明の目的を達成することを見出した。
〔樹脂〕
以下、本発明に係る樹脂の必要要件と本発明の目的との関係について説明する。
本発明に係る樹脂は、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーの総質量が、樹脂全質量の80質量%以上、100質量%以下であることを特徴の1つとする。80質量%以上であれば、目的とする耐擦性や接着性を得ることができ、同時に光沢も向上する。この要因に関しては定かではないが、以下のように推察している。アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーの3成分の樹脂は、多くの水性顔料分散体と安定に共存することができ、非常に均一性の高い塗膜を形成することができ、光沢低下が非常に少ない。また、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルは、基材との接着性も高めるため、耐擦性、接着性が高い。これに対して、スチレンあるいは置換基を有してもよいスチレンを多量に添加すると、基材との接着性が低下し、耐擦性、接着性が、非常に低下する。また、アクリル酸エステル成分は、多くの水性顔料分散体との安定な塗膜生成によくない影響を与えるため、塗膜均一性が低下し、透明性が損なわれ光沢低下や光学濃度の低下を引き起こすものと考えている。更に、メタクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が9以上になると、射出安定性が劣化するため好ましくない。
また、本発明に係る樹脂では、酸価が50mgKOH/g以上、200mgKOH/g未満であることが特徴の1つである。樹脂の酸価が50mgKOH/g以上であれば、たとえインクジェットヘッドのノズル部で乾燥を起こした場合でも、溶解除去、あるいは物理的な擦り操作により取り除くことできるため、良好なメンテナンス適性を付与することができる。また、酸価が200mgKOH/g未満であれば、良好な耐擦性、接着性、光沢を得ることができる。
また、本発明に係る樹脂では、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上、100℃未満であることを特徴の1つとする。Tgが20℃以上であれば、十分な耐擦性が得られると共に、ブロッキングの発生を抑制することができる。また、Tgが100℃未満であれば、良好な耐擦性を維持することができる。
また、本発明に用いる樹脂では、重量平均分子量(Mw)が20000以上、10万未満であることを特徴の1つとする。樹脂の重量平均分子量が20000以上であれば、十分な耐擦性を得ることができる。また、重量平均分子量が10万未満であれば、良好な射出安定性とメンテナンス性を得ることができる。耐擦性と射出安定性とメンテナンス性の全てをより向上させる観点からは、重量平均分子量が30000以上、60000未満とすることが好ましい。
以下、本発明に係る樹脂をより具体的に説明する。
本発明に係る樹脂において、共重合モノマーとしては、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーから構成されるモノマーに対し、必要に応じて、全樹脂成分の20%未満の範囲で、他の共重合性モノマーを添加しても良い。
本発明に係る樹脂において、メタクリル酸メチルは、好ましくは、全樹脂質量の20質量%以上、50質量%以下の範囲で共重合させることが、耐擦性、接着性を向上できる観点からより好ましい。
また、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル及びメタクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルは、1種もしくは複数種を共重合することができる。中でも、メタクリル酸エチルあるいはメタクリル酸n−ブチルの少なくとも一方を共重合させることは、射出安定性をより高める観点から好ましい。
アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルは、全樹脂質量の25質量%以上、70質量%の範囲で共重合させることが、耐擦性、接着性を向上できる観点からより好ましい。
酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステルなどを挙げることができ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸は、射出安定性がより高く、またメンテナンス性も良好である点で好ましい。
本発明に係る樹脂において、より好ましい態様は、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸メチルの総質量が、樹脂全質量の80%以上、90%未満であることで、優れた耐擦性、接着性を備えた皮膜を形成できる観点から好ましい。
また、本発明に係る樹脂においては、酸モノマーに相当する部分の全部あるいは一部をアルカリで中和したモノマーを用いることができる。中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等や、アミン類(例えば、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等)を用いることができる。特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、画像耐久性を向上することができる観点から好ましく、特に、アンモニアで中和した酸モノマーは、印字した後の乾燥性が速く、プリント後、直ちに印字物を重ねることができ、加えてインク混じりを防止できる観点からも好ましい。また、対塩としてN,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N−メチルアミノエタノールを用いることは、射出安定性上好ましい。
本発明に係る樹脂は、従来公知のポリマーの合成方法に従って得ることができる。以下に、本発明に係る樹脂の合成方法の一例を示す。
〈メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸(質量比39:46::15)の共重合樹脂の合成〉
500ml四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、窒素導入管、コンデンサー、滴下ロートをセットし、イソプロピルアルコール185gをフラスコに加え、窒素ガスをバブリングしながら加熱還流する。次いで、滴下ロートに、メタクリル酸メチル46g、メタクリル酸n−ブチル39g、メタクリル酸15g及び開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gを混合溶解したものを入れ、約2時間かけ加熱還流させた状態で、滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流し、更に、AIBN0.05gのイソプロピルアルコール溶液を、15分かけ滴下する。この後、更に5時間加熱還流する。
反応液を放冷後、溶媒のイソプロピルアルコールを減圧にて留去する。この残渣に、アルカリ中和塩基として28%アンモニア水を12.4g、イオン交換水を553gを添加し、加熱撹拌して溶解して、樹脂のアンモニア塩を調製した。この樹脂の固形分濃度は、約15質量%である。この樹脂の酸価をJIS K−0070の酸価測定、加水分解酸価測定(全酸価測定)にしたがって測定した結果、102mgKOH/gであり、ガラス転移温度を、DSCを用いて測定した結果、79℃であり、重量平均分子量をGPCで測定した結果、46000であった。なお、各特性値の測定方法の詳細は、後述の実施例に示す。
本発明に係る樹脂は、インク全質量の1質量%以上、15質量%以下の範囲で含有させることが好ましく、更に好ましくは、2質量%以上、10質量%以下である。
また、本発明の樹脂は、顔料固形分に対して、1倍ないし4倍質量添加することが好ましい。
次に、本発明のインクの樹脂以外の構成について詳細に説明する。
〔顔料〕
本発明のインクにおいては、色材として顔料を用いる。
本発明に用いる顔料は水系で安定に分散できるものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
高分子樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、高分子樹脂としては水溶性のものを用いることができる、水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等の水溶性樹脂を挙げることができる。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散手段を用いることができる。
本発明において、顔料分散体の粗粒子分を除去する目的で、遠心分離装置あるいはフィルタを使用することも好ましい。
また、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用い水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4ないし10の水溶液に対する溶解度が2%未満の樹脂である。
このような水不溶性樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコーン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。また、本発明に係る樹脂として、疎水性モノマーと親水性モノマーを含有する樹脂を用いることができる。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジルなど)、スチレンなどをあることができる。また、親水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなどが挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
水不溶性樹脂の分子量としては、重量平均分子量として3000から500000のものを用いることができる。好ましくは、7000から200000のものを用いることができる。
水不溶性樹脂のTgは、−30℃から100℃程度のものを用いることができる。好ましくは、−10℃から80℃程度のものを用いることができる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合を用いることができる。重合はあらかじめ顔料と別途合成しても良いし、顔料を分散した系内にモノマーを供給して、重合してもよい。
顔料を水不溶性樹脂で被覆する方法としては、公知の各種方法を用いることができるが、好ましくは、転相乳化法や酸析法の他に、顔料を、重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法等を選択することがよい。
より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的もしくは完全に中和した後、顔料およびイオン交換水を添加して分散したのち、有機溶剤を除去し、必要に応じて加水して調製する製造方法を挙げることができる。
顔料と水不溶性樹脂の質量比率としては、顔料/水不溶性樹脂比で100/40〜100/150の範囲で選択することができる。特に、画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/60から100/110の範囲である。水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は、80〜し150nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
また、自己分散顔料としては、表面処理済みの市販品を用いることもでき、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(以上、キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業(株)社製)等を挙げることができる。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
〔溶剤〕
次に、本発明のインクに用いる溶剤について説明する。
本発明のインクには低表面張力溶剤を添加することが好ましい。低表面張力溶剤を添加することで、塩化ビニルシートをはじめ種々の樹脂基材や、印刷本紙などのインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりを一層抑えることができ、高画質な印字画像を得られる。低表面張力溶剤は、塩化ビニルなどに対してインクの濡れ性を改善する作用がある他、本発明に係る樹脂を用いた場合、インク中の水分の乾燥に伴うインクの増粘性を向上する作用があるためと考えられる。
本発明においては、低表面張力溶剤として、グリコールエーテル類もしくは1、2−アルカンジオール類を添加することは好ましい。
下記に本発明のインクに好適な低表面張力溶剤の一例を示す。なお、括弧内の数値は、溶剤の表面張力(mN/m)を表す。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(28.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(27.4)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(31.8)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(33.6)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(32.1)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(25.9)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(28.8)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(30.0)等が挙げられる。
また、1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール(28.1)、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
また、塩化ビニル等の記録媒体を溶解もしくは軟化あるいは膨潤しうる作用を有する溶剤を添加することにより、塩化ビニルと本発明に係る樹脂の接着性がより一層向上し、優れた画像の接着性、耐擦性が得られる観点から好ましい。
このような溶剤としては、窒素もしくはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、乳酸エステル、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテルモノエステル及びジメチルスルフォキシド等が挙げられる。
窒素原子を含有する環状溶剤としては、環状アミド化合物、特には5〜7員環が好ましく、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン1,3−ジメチルイミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミドゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン等が挙げられる。環状アミド以外の窒素原子を含有する環状溶剤としてはホルミルモルホリン、イオウ原子を含有する環状溶剤としては、環状アミド化合物が好ましく、5−7員環が好ましく、例えば、スルホラン等が挙げられる。環状エステル溶剤としてはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられ、乳酸エステルとしては、乳酸ブチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルキレングリコールジエーテルとしては、ジエチレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。アルキレングリコールモノエーテルモノエステルとしては、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテートが挙げられる。
本発明においては、インクジェットヘッドからのインク射出安定性、メンテナンス性及び形成した画像の光沢の観点から、溶剤の1つとして、水溶性アルカノールアミン類を、インク全質量の0.30質量%以上、2.0質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは、0.3質量以上、1.8質量%以下である。本発明に好ましく適用することのできる水溶性アルカノールアミン類としては、N,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N−メチルアミノエタノールを挙げることができる。
その他には、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、等が挙げられる。
(シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤)
次に、本発明のインクに用いることが好ましいシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤について説明する。
シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤の添加することにより、塩化ビニルシートをはじめ種々の樹脂基材や、印刷本紙などのインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりを一層抑えることができ、高品位な印字画像が得られる。また、低表面張力溶剤と併用することが、特に好ましい。
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
フッ素系の界面活性剤としては、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この中でも、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素系の界面活性剤のうち、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤と共に、下記に示す界面活性剤を併用することも可能である。
例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
(画像形成方法)
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の水系インクジェット記録インクを用いることで、疎水性記録媒体にインク混じりのない高品位な画像を印字でき、光沢が高く、耐擦性や接着性の高い画像を形成することができる。
本発明の画像形成方法においては、本発明のインクを用いることに加え、高画質で、耐擦性や接着性の高い画像を形成し、より高速での印字条件にも対応できるようにするため、記録媒体を35℃以上、55℃未満の温度に加熱しながら印字することを特徴とする。記録媒体を35℃以上に加熱することにより、本発明のインクの硬化を効率的に発揮させることができ、55℃以下であれば、記録媒体、例えば、塩化ビニルシート等への熱ダメージによる変形を抑制することができ、加えて、インクジェットヘッドでのインク乾燥により射出安定性の低下を抑制することができる。
また、加熱しながら印字して画像形成を行った後、印字物を55℃以上、90℃未満の温度で加熱乾燥することを特徴とする。
印字後の加熱で乾燥が促進すると共に、本発明に係る樹脂と基材との接着性をより一層向上させることができる。
これは、特に非吸収性媒体に記録するときに得られる効果である。すなわち、インク中に含まれる水よりも比較的高沸点の有機溶剤が乾燥しきれずに印字面の表面に残存することがあり、残存溶剤が印字表面で共重合樹脂とともに存在することで、共重合樹脂の成膜、硬化が不十分となって耐擦性や接着性が低下することがあり、印字後にさらに加熱乾燥をすることで、非吸収性記録媒体の表面にある残存溶媒が除去され、耐擦性、接着性をさらに向上させることができる。
加熱乾燥の温度としては55℃以上であれば残存溶媒の除去が促進されるため好ましく、90℃未満であれば記録媒体の熱による変形などを抑制できるため好ましい。
この現象は紙のような吸収性の記録媒体では残存溶剤が記録媒体中に吸収され、印字表面には存在しないために起こらない現象である。
具体的な印字後の加熱乾燥方法としては、印字後の記録媒体を裏面からヒーターで加熱する方法や、印字面側に温風をあてたり、ハロゲンランプなどを使った赤外線などの放射熱を利用する方法などで記録媒体を加熱して乾燥する方法があげられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《樹脂合成》
〔樹脂1の合成:アンモニア塩〕
500ml四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、窒素導入管、コンデンサー、滴下ロートをセットし、イソプロピルアルコール185gをフラスコに加え、窒素ガスをバブリングしながら加熱還流した。滴下ロートに、メタクリル酸メチル46g、メタクリル酸n−ブチル39g、メタクリル酸15g及び開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gを混合溶解したものを入れ、約2時間かけ加熱還流させた状態で、滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流し、更に、AIBN0.05gのイソプロピルアルコール溶液を、15分かけ滴下した。この後さらに5時間加熱還流した。
反応液を放冷後、溶媒のイソプロピルアルコールを減圧にて留去した。この残渣に、アルカリ中和塩基として28%アンモニア水を12.4g、イオン交換水を553g添加し、加熱撹拌して溶解した。この樹脂1(アンモニア塩)溶液中の樹脂固形分濃度は、約15質量%である。
上記調製した樹脂1の酸価、ガラス転移温度及び重量平均分子量を、下記の方法に従って測定した。
〈酸価の測定〉
樹脂10gを300mlの三角フラスコに秤量し、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50ml加えて樹脂を溶解した。次いで、フェノールフタレイン指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、滴定に用いた水酸化カリウムエタノール溶液の量から、下記計算式(1)で酸価(mgKOH/g)を求めた。なお、樹脂によって、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50mlに溶解しないものは、エタノール50ml、あるいは、エタノール/純水=1:1の混合溶媒約50mlのどちらか溶解するほうを選択して、他は同じ操作にて滴定を行った。
計算式(1)
A=(B×f×5.611)/S
式中、Aは樹脂の酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.1mol/リットル水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Sは、樹脂の質量(g)、5.611は、水酸化カリウムの式量(56.11/10)である。
上記方法により測定した樹脂1の酸価は、102mgKOH/gであった。
〈ガラス転移温度(Tg)の測定〉
DSC−7示差走査カロリメータ(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラ(パーキンエルマー社製)を用いてTgを測定した。
測定手順として、樹脂1の10.00mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。なお、リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。
測定条件としては、測定温度0〜130℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータをもとに解析を行った。なお、測定は窒素気流条件下で行った。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度とした。
上記方法により測定した樹脂1のガラス転移温度は、79℃であった。
〈重量平均分子量の測定〉
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: テトラヒドロフラン
カラム: 東ソー製TSKgel G4000+2500+2000HXL
カラム温度:40℃
注入量: 100μl
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13のサンプルによる校正曲線を使用した。13のサンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
上記方法により測定した樹脂1の重量平均分子量は、46000であった。
〔樹脂1Aの調製〕
上記樹脂1の調製において、アルカリ中和塩基として、28%アンモニア水12.4gに代えて、N,N−ジメチルアミノエタノールを18.2gを用いた以外は同様にして、ジメチルアミノエタノール塩である樹脂1Aを調製した。
また、樹脂1Aの酸価、ガラス転移温度、重量平均分子量を上記の方法で測定した結果を、表1に示す。
〔樹脂2〜16の調製〕
上記樹脂1の調製において、モノマー組成を表1に記載の様に変更した以外は同様にして、樹脂2〜16を調製した。なお、表1に記載の重量平均分子量となる様に、重合条件を適宜調整した。
得られた樹脂2〜16の酸価、ガラス転移温度、重量平均分子量を上記の方法で測定し、得られた結果を、表1に示す。
Figure 2010270322
なお、表1に略称で記載した各モノマー、アルカリ中和塩基の詳細は、以下の通りである。
〈モノマー〉
nBMA:n−ブチルメタクリレート
2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
tBMA:t−ブチルメタクリレート
EMA:エチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
St:スチレン
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
〈アルカリ中和塩基〉
A:アンモニア塩
B:ジメチルアミノエタノール塩
《顔料分散体の調製》
〔ブラック顔料分散体Bk〕
カーボンブラック 10.0部
顔料分散剤(efka4570:高分子分散剤efka4570(EFKA社製))
5.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0部
イオン交換水 80.0部
上記各添加剤を混合、撹拌した後、平均粒径が1.5mmのジルコニアビーズをペイント缶の50体積%となるように添加し、ペイントコンディショナーにて6時間振蓋した後、ビーズを除き、ブラック顔料分散体Bkを調製した。
〔イエロー顔料分散体Y、マゼンタ顔料分散体M、シアン顔料分散体Cの調製〕
上記ブラック顔料分散体Bkの調製において、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3に変更した以外は同様にして、イエロー顔料分散体Y、マゼンタ顔料分散体M、シアン顔料分散体Cを調製した。
実施例1
《インクの調製》
〔インク1の調製〕
顔料分散体:ブラック顔料分散体Bk 顔料固形分として2.0部
樹脂:樹脂1 3.5部
溶剤1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE) 5.0部
溶剤2:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE) 15.0部
溶剤3:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMID) 8.0部
界面活性剤:KF−351A(シリコーン系界面活性剤、信越化学工業製)0.8部
イオン交換水で、100部となる様に仕上げた。
上記各添加剤を添加、攪拌、混合した後、孔径が5μmのフィルタを用いてろ過を行って、インク1を調製した。
〔インク2〜18の調製〕
上記インク1の調製において、樹脂の種類を表2に記載の各樹脂に変更した以外は同様にして、インク2〜18を調製した。
Figure 2010270322
なお、表2に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
〈顔料分散体〉
Bk:ブラック顔料分散体
〈溶剤〉
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DEGEE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
DMID:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
〈界面活性剤〉
KF351A:シリコーン系界面活性剤、KF351A(信越化学工業製)
《インクの評価》
上記調製した各インクを用いて、下記の方法に従って画像形成し、各評価を行った。
〔画像形成〕
ピエゾ型のインクジェットヘッド(解像度:720dpi(dpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す)、インク液滴量14pl)4基を並列に配置した4色のプリントが可能なインクジェットプリント装置を用いて評価を行った。インクジェットプリント装置には、記録媒体を下方より接触式ヒーターにて任意に加温できる機能を備え、インクジェットヘッドの格納ポジションには、水性インクの空打ちポジションとブレードワイプ式のメンテナンスユニットを備え、任意の頻度でヘッドクリーニングができる。
上記インクジェットプリント装置のKインク用インクジェットヘッドに、表2に記載の各インクをそれぞれ導入し、溶剤インクジェットインクプリンタ用の軟質塩化ビニルシートに、Kインクを10%Dutyから100%Dutyまでの条件で、10%Duty刻みで10cm×50cmの長方形ベタ画像を各々プリントした。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が43℃となる条件で加熱した。プリント後、プリント物を室温(25℃)にて24時間乾燥した後、下記の記録画像およびプリント性の評価をした。
〔各評価条件〕
次いで、下記に示す各評価を行った。
(射出安定性の評価)
上記プリント条件により、20℃、相対湿度30%の環境下で連続5回プリントした。その後、5回目の100%Duty画像について目視観察し、下記の基準に従って射出安定性を評価した。
3:作成画像において、画像欠陥は認められない
2:画像の書き出し部(数mm)に、極僅かのかすれが認められる
1:作成画像において、インク射出不良に起因する画像欠陥が多数認められる
(メンテナンス適性の評価)
上記プリント条件により、20℃、相対湿度30%の環境下で連続5回プリントしたのち、キャップをせずに1時間放置した。次いで、ブレードワイプ式のメンテナンスユニットでメンテナンスを行った直後に、同じく、20℃、相対湿度30%の環境下で上記と同様にしてベタ画像を1回プリントし、得られた画像を目視観察し、下記の基準に従って、メンテナンス適性を評価した。
3:作成画像において、画像欠陥は認められない
2:作成画像において、メンテナンス不良に起因する画像欠陥が僅かに認められる
1:作成画像において、メンテナンス不良に起因する画像欠陥が多数認められる
(インク混じり耐性の評価)
30℃、相対湿度60%の環境下で、上記画像を1回プリントした。得られたプリント物の10%Dutyから100%Dutyまで10%Duty刻みの各画像を目視及びマイクロスコープで観察し、隣接ドットの合一(インク混じり)の有無を観察し、下記の基準に従って、インク混じり耐性を評価した。
3:目視でドット合一によるマダラ模様は認められず、マイクロスコープ観察でも各ドットの合一はほとんど認められない
2:目視でドット合一によるマダラ模様がみえる部分が僅かにあり、またマイクロスコープ観察でも各ドットの合一が僅かに認められる
1:目視での観察により、ドット合一によるマダラ模様が明確に認められ、実用上問題となる品質である
(光沢の評価)
20℃、相対湿度30%の環境下で、上記画像を1回プリントした後、100%Dutyで作成した画像の20°光沢度を測定した。光沢度の測定は、日本電色工業株式会社製変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いて20度光沢度を測定した。
次いで、得られた20度光沢度より、下記の基準に従って光沢を評価した。
5:20度光沢度が、100%以上である
4:20度光沢度が、85%以上、100%未満である
3:20度光沢度が、55%以上、85%未満である
2:20度光沢度が、30%以上、55%未満である
1:20度光沢度が、30%未満である
(耐擦性の評価)
上記方法で作成した画像表面を、綿布(カナキン3号)を用い9Nの荷重をかけてこすり、画像表面の傷発生、塗膜はがれの状態を目視観察し、下記の基準に従って耐擦性を評価した。
5:30往復こすっても、傷の発生はまったく認められない
4:10往復では傷の発生は認められないが、30往復では表面に僅かに傷が発生が認められる
3:10往復では表面に傷の発生が認められ、30往復では画像膜に剥がれが発生する
2:10往復で、画像膜に剥がれが生じる
1:5往復で、画像膜のはがれが認められる
(接着性の評価)
上記方法で作成した画像について、基盤目テープ剥離試験を行った。基盤目テープ剥離試験は、JIS K 5600(塗料一般試験法)の第5部(塗膜の機械的性質)第6節(付着性:クロスカット法)に規定する方法に従った。そして、1mm間隔で相互に直交するよう、11本ずつ切り込み線を付けた後、その基盤目上にセロハン製粘着テープ(ニチバン社製LP−24)を粘着させ、直ちにテープを引き剥がし、画像膜の剥離状態を目視観察し、下記の基準に従って接着性の評価を行った。
4:画像膜の剥離がまったく認められない
3:画像膜の一部で僅かに剥離が認められる
2:画像膜の一部で、明らかな剥離の発生が認められる
1:画像膜の大部分で、剥離を生じている
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 2010270322
表3に記載した結果より明らかな様に、本発明で規定する構成からなるインクは、比較例に対し、射出安定性、メンテナンス適性に優れ、また、形成した画像のインク混じり耐性、光沢、耐擦性及び基材(塩化ビニルシート)との接着性に優れていることが分かる。
実施例2
《インクの調製》
〔インク19〜27の調製〕
実施例1に記載のインク1の調製において、樹脂の種類と添加量、溶剤組成、界面活性剤の種類と添加量、加えてアルカノールアミン類の種類と添加量を、表4に記載の様に変更した以外は同様にして、インク19〜27を調製した。
Figure 2010270322
表4に略称で記載した添加剤の中で、実施例1においてその詳細を記載したものを除く添加剤について、以下に詳細を示す。
〈溶剤〉
DPGM:ジプロピレングリコールモノメチル
HD:1,2−ヘキサンジオール
SP:スルホラン
Pyd:2−ピロリドン
BL:乳酸ブチル
〈界面活性剤〉
BYK347:シリコーン系界面活性剤、BYK−347(ビックケミー・ジャパン社製)
BYK348:シリコーン系界面活性剤、BYK−348(ビックケミー・ジャパン社製)
E1010:ノニオン系界面活性剤、オルフィンE1010(日信化学社製)
《インクの評価》
上記調製した各インクを用いて、下記の方法に従って画像形成し、各評価を行った。
〔画像形成〕
実施例1に記載のインクジェットプリント装置のKインク用インクジェットヘッドに、表5に記載のインクを装填し、溶剤インクジェットインクプリンタ用の軟質塩化ビニルシートに、各インクを100%Dutyで、50cm×50cmの長方形ベタ画像および格子状細線画像をプリントした。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が47℃となる条件で加熱した。
〔各評価条件〕
次いで、下記に記載の方法に従って、各インクの射出安定性2と、形成画像の乾燥性を評価した。加えて、実施例1に記載の方法と同様にして耐擦性の評価を行った。
(射出安定性2の評価)
上記プリント条件で、上記画像を連続10枚プリントし、最後の1枚の100%Dutyベタ画像と、細線画像を目視観察し、下記の基準に従って射出安定性2の評価を行った。
3:ベタ画像部に画像欠陥の発生がなく、細線もきれいでドット再現され、画像の乱れは認められない
2:ベタ画像部には画像欠陥の発生は認められないが、細線画像に若干乱れが生じ、ミストの発生もやや認められる
1:ベタ画像部に部分的な画像欠陥が発生し、細線画像にも明らかな乱れが発生している
(乾燥性の評価)
プリント直後の画像を、60℃の温風乾燥機で乾燥した。乾燥後、綿布帛を当ててインクで汚れなくなるまでの時間(分)を計測し、この時間を乾燥性の尺度とした。数値が小さいほど、乾燥性に優れていることを表す。
以上により得られた結果を、表5に示す。
Figure 2010270322
表5に記載の結果より明らかな様に、本発明のインクにおいては、アルカノールアミン類を併用することにより、乾燥性に影響を与えることなく、射出安定性2、耐擦性がより向上することが分かる。
実施例3
《インクセットの調製》
〔インク28〜35の調製〕
実施例1に記載のインク1の調製において、顔料分散体の種類と顔料の含有量、樹脂の種類と添加量を、表6に記載の様に変更した以外は同様にして、インク28〜35の各色インクを調製した。
Figure 2010270322
表6に略称で記載した顔料分散体の詳細は、以下の通りである。
Y:イエロー顔料分散体Y
M:マゼンタ顔料分散体M
C:シアン顔料分散体C
Bk:ブラック顔料分散体Bk
〔インクセット1〕
上記調製したインク28(Y)、29(M)、30(C)、31(Bk)を組み合わせ、これをインクセット1とした。
〔インクセット2〕
上記調製したインク32(Y)、33(M)、34(C)、35(Bk)を組み合わせ、これをインクセット2とした。
《インクの評価》
上記調製した各インクを用いて、下記の方法に従って画像形成し、各評価を行った。
〔画像形成〕
実施例1に記載のインクジェットプリント装置のYインク用インクジェットヘッド、Mインク用インクジェットヘッド、Cインク用インクジェットヘッド、Bkインク用インクジェットヘッドに、それぞれインクを充填し、実施例1に記載の方法と同様にして、10cm×10cmの高精細カラーデジタル標準画像を印字した。
〔各評価条件〕
次いで、下記に記載の方法に従って、インク混じり耐性2を評価した。加えて、実施例1に記載の方法と同様にして、光沢及び耐擦性の評価を行った。
(インク混じり耐性2の評価)
印字した高精細カラーデジタル標準画像における各色間のカラーブリードの発生や、インク量の多い2次色でのビーディングによるまだら発生の有無を目視観察し、下記の基準に従って、インク混じり耐性2の評価を行った。
3:カラーブリード、まだら発生のない高画質なプリントである
2:カラーブリード、まだらの部分的な発生が認められる
1:カラーブリード、まだら発生が著しい
以上により得られた結果を、表7に示す。
Figure 2010270322
表7に記載の結果より明らかな様に、本発明のインクにより構成したインクセットは、比較例に対し、形成した画像のインク混じり耐性、光沢及び耐擦性に優れていることが分かる。
実施例4
実施例3で使用したインクセットを用いて実施例3と同様にしてプリントをした後、プリント後の乾燥を室温(25℃)で24時間するかわりに、プリント直後に表8、9に記載の温度で3分間乾燥後さらに室温で6時間乾燥させたプリント記録画像を作製した。なお、プリント後の加熱乾燥は温風乾燥機で行った。
得られた記録画像について、下記の評価を行った。
(耐擦性2)
記録画像の100%Dutyベタ画像部分について、画像を乾いた木綿(カナキン3号)で18Nの荷重をかけて擦り、画像表面の傷の発生、塗膜の剥がれの状態を目視観察し、下記基準に従って耐擦性を評価した。
5:30往復こすっても傷の発生は認められない
4:10往復では傷の発生は認められないが、30往復では表面に僅かに傷が発生する
3:10往復で表面に傷の発生が認められ、30往復では画像面に剥がれが発生する
2:10往復で画像面に剥がれが発生する
1:5往復で画像面に剥がれが発生する
上記評価ランクにおいて、3〜5が実用上好ましいランクと判断した。
(接着性2)
記録画像の100%Dutyベタ画像部分にセロファンテープを3cm貼り付け、その後はがすという操作を同じ場所で5回繰り返し、その後の画像表面状態を観察した。
4:まったく変化がない
3:わずかに跡が残る
2:画像の一部がわずかにはがれて一部濃度が低下する
1:画像の大部分がはがれて、基材の白地が見える
上記評価ランクにおいて、3〜4が実用上好ましいランクと判断した。
評価結果を表8、9に示す。
Figure 2010270322
Figure 2010270322
表8、9に記載の結果より明らかなように、本発明のインクからなるインクセットで軟質塩化ビニルに画像記録した際の耐擦性と接着性の特性は比較例よりも優れており、さらに加熱乾燥した場合のほうが室温のみでの乾燥した場合よりも特性が向上している。

Claims (6)

  1. 顔料、樹脂、有機溶剤及び界面活性剤を含有する水性インクジェット記録インクにおいて、該樹脂は、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーをコモノマーとする共重合性高分子であり、該アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル及び酸モノマーの総質量が、樹脂全質量の80質量%以上、100質量%以下であり、酸価が50mgKOH/g以上、200mgKOH/g未満であり、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上、100℃未満であり、かつ重量平均分子量(Mw)が20000以上、10万未満であることを特徴とする水性インクジェット記録インク。
  2. 前記界面活性剤がシリコーン系もしくはフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の水性インクジェット記録インク。
  3. 前記アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル及びメタクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性インクジェット記録インク。
  4. 前記アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸メチルの総質量が、前記樹脂全質量の80%以上、90%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェット記録インク。
  5. 水溶性アルカノールアミン類を、0.3質量%以上、2.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェット記録インク。
  6. 疎水性記録媒体を35℃以上、55℃未満の温度に加熱しながら、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性インクジェット記録インクをインクジェットヘッドより該疎水性記録媒体上に吐出して画像記録を行った後、該画像記録を行った疎水性記録媒体を、55℃以上、90℃未満の温度条件で加熱乾燥することを特徴とする画像形成方法。
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