JP5417731B2 - 水系インクジェット記録用インクとそれを用いたインクジェット画像形成方法 - Google Patents

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本発明は、水系インクジェット記録用インクとそれを用いたインクジェット画像形成方法に関する。
水系インクジェット記録用インク(以下、適宜「水系インク」と略称する。)は普通紙およびインク吸収性層を有するインクジェット専用紙にプリントすることを主体に開発されてきた。従来の水系インク(「水性インク」ともいう。)を普通紙やインクジェット専用紙以外の媒体に記録した場合、インク混じりが発生し満足いく画像は得られない、また定着性が極端に悪いという課題があった。
一方、有機溶剤をベヒクルとした溶剤インクや、重合性モノマーを主成分とするUVインクなどは、塩ビ素材などの非吸収性媒体にも印字ができ、定着機能もあるため産業用途で使用が広がっている。
しかしながら、溶剤インクはその溶剤を乾燥させて大気中に蒸発させるため、近年社会問題となっているVOCが多いという課題がある、また作業者に対しても、臭気や安全上の影響が懸念され、十分な換気等の設備対応が必要である。UVインクは印字後すぐに硬化させるのでVOCはゼロに近いが、使用するモノマーによっては皮膚感作性を有するものが多く問題であり、また、高価なUV光源をプリンタに組み込むという制約がありどの分野にも使用できない。
水系インクに定着樹脂を添加し定着機能を付与した水系インクが、近年、提案されている。
特許文献1には、特定構造の水溶性オリゴマーで、ガラス転移温度が15℃以下、50〜200のカルボキシル価、数平均分子量が7000未満のものを水系インクジェットインクに添加することが開示されている。
特許文献2には、ガラス転移温度が10℃以下、酸価が130〜400、重量平均分子量が1000〜20000の樹脂を含有するインクが開示されている。
また、特許文献3には、カプセル顔料のカプセル樹脂として、ガラス転移温度が−20〜0℃、酸価30〜150、数平均分子量が2000〜20000の樹脂が開示されている。
しかしながら上記で開示された技術の範囲では、印刷用コート紙、フィルム基材、樹脂材料、布帛など様々な記録媒体に十分な定着性を有することはできていない。
特に、基材によっては接着性が弱い、折り曲げると画像部に折り跡ができるなどの問題がある。また、布帛にプリントした場合、摩擦耐性が不十分で、折り跡が出るなどの問題もあるが、上記従来技術ではこれらの問題が解決されていない。
また、十分な耐水性が得られないなどの問題もある。
さらに、普通紙、インクジェット専用紙以外の、印刷用コート紙、フィルム基材、樹脂材料、布帛などさまざまな媒体にプリントした場合、十分にインク混じりが防止できてない、あるいは、布帛では繊維にそったにじみが抑えきれないなどの問題もある。
しかしながら、上記の従来技術では、全ての要件を満足したインクはなく、早急な開発が望まれている。
特開平6−264017号公報 特開2003−105237号公報 特開平10−140065号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、第1に、印刷用コート紙、フィルム基材、樹脂材料、布帛など様々な記録媒体に十分な定着性を有する水系インクジェット記録用インク(以下「水系インク」という。)及びそれを用いた記録方法を提供することである。第2に、印刷用コート紙、フィルム基材、樹脂材料、布帛などさまざまな記録媒体にプリントした場合、十分にインク混じりが防止でき、布帛では繊維にそった滲みをおさえることのできる水系インク及びそれを用いた記録方法を提供することである。第3に、射出安定性、メンテナンス回復性が良好な水系インクを提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.高分子樹脂により分散された顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料からなる群から選択された顔料と、インク中で前記顔料に吸着していない遊離樹脂であり、インクの硬化時に前記顔料を記録媒体に定着させる水溶性定着樹脂と、を含有する水系インクジェット記録用インクであって、前記顔料は、顔料固形分をインク全質量に対して5〜10質量%含有し、かつ前記水溶性定着樹脂を前記顔料固形分に対して50〜300質量%含有し、前記水溶性定着樹脂の重量平均分子量が20000より大きく70000以下であり、かつガラス転移温度が−15℃〜20℃であり、前記水溶性定着樹脂の酸価が、70〜200mgKOH/gである水系インクジェット記録用インク。
2.前記水溶性定着樹脂が、アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方を共重合体を構成するモノマーとして含有し、アンモニアで部分的もしくは完全に中和されている前記1に記載の水系インクジェット記録用インク。
3.前記顔料を分散させる、前記高分子樹脂とは異なる水分散性樹脂をさらに含有している前記1または2に記載の水系インクジェット記録用インク。
4.前記水溶性定着樹脂の含有量が、前記水分散性樹脂の含有量より多いことを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
5.表面張力が25〜40mN/mの溶剤を10〜30%含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
6.シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
7.前記1〜6のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インクであって、その表面張力が、23〜30mN/mである水系インクジェット記録用インク。
8.前記水分散性樹脂のガラス転移温度が20℃〜80℃であることを特徴とする前記3〜7のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
9.前記1〜8のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インクを用いて、記録媒体にインクジェット記録方式で印字するインクジェット画像形成方法。
10.前記1〜8のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インクを用いて、記録媒体を加熱しながらインクジェット記録方式で印字するインクジェット画像形成方法。
11.前記記録媒体が、布帛である前記9又は10に記載のインクジェット画像形成方法。
本発明の上記手段により、印刷用コート紙、フィルム基材、樹脂材料、布帛など様々な記録媒体に適応できる優れた定着性、接着性、摩擦耐性、折り割れ耐性、インク混じり防止性、滲み防止性等の性能を備えた水系インクジェット記録用インク(以下「水系インク」という。)を提供することができる。また、それを用いたインクジェット記録方式による画像形成方法を提供することができる。
すなわち、請求項1に係る発明により、様々な記録媒体を用いたインクジェット記録方式による画像形成において、高濃度と高定着性を実現し、かつ良好なメンテナンス性を実現できる。
請求項2〜4に係る発明により、耐水性を向上させると共に、メンテナンス性を一層改善することができる。
請求項6〜9に係る発明により、画像の高画質化、印字性の向上等を実現することができる。
上記から明らかなように、本発明の水系インクジェット記録用インクは、インクジェット記録方式による画像形成において、様々な記録媒体に好適に用いることができる。
本発明の水系インクジェット記録用インクは、顔料固形分を5〜10質量%含有し、かつ水溶性定着樹脂を当該顔料固形分に対して50〜300質量%含有する水系インクジェット記録用インクであって、当該水溶性定着樹脂の重量平均分子量が20000より大きく70000以下であり、かつガラス転移温度が−20〜30℃であることを特徴とする。この特徴は、請求項1〜11に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記水溶性定着樹脂の酸価が、70〜200mgKOH/gである態様であることが好ましい。また、当該水溶性定着樹脂が、アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方を共重合体を構成するモノマーとして含有し、アンモニアで部分的もしくは完全に中和されていることが好ましい。
更に、本発明においては、前記水溶性定着樹脂と水分散性樹脂とを併用する態様である事が好ましい。この場合、前記水溶性定着樹脂の含有量は、前記水分散性樹脂の含有量より多いことが好ましい。
本発明の水系インクジェット記録用インクは、表面張力が25〜40mN/mの溶剤を10〜30%含有する態様であることが好ましい。なお、当該水系インクジェット記録用インクの表面張力は、23〜30mN/mであることが好ましい。また、当該インクは、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明の水系インクジェット記録用インクは、記録媒体にインクジェット記録方式で印字する画像形成方法に適している。この画像形成方法においては、記録媒体を加熱しながらインクジェット記録方式で印字する方法であることが好ましい。なお、本発明の水系インクジェット記録用インクは、記録媒体として、布帛を用いる場合に、特に優れた効果を発現する。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
(顔料)
本発明の水系インクジェット記録用インクは、顔料固形分を5〜10質量%含有していることを特徴とする。
本発明に用いる顔料は、水系で安定に分散できるものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
高分子樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、高分子樹脂としては水溶性のものを用いることができる、水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
なお、水溶性樹脂の中でも、顔料分散時にインク中で顔料に実質的に吸着していない遊離樹脂であってかつ、インクの硬化時に顔料を記録媒体(基材)に定着させる機能を有する水溶性樹脂を後述する水溶性定着樹脂成分とする。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
本発明の顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
また、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用いる場合、水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4ないし10の水溶液に対する溶解度が2%未満の樹脂である。
このような樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。
また、本発明の樹脂として疎水性モノマーと親水性モノマーを含有する樹脂を用いることができる。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジルなど)、スチレンなどが上げられる。
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなどが上げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
樹脂の分子量としては、平均分子量で、3000から500000のものを用いることができる。好ましくは、7000から200000のものを用いることができる。
樹脂のTgは、−30℃から100℃程度のものを用いることができる。好ましくは、−10℃から80℃程度のものを用いることができる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合を用いることができる。重合はあらかじめ顔料と別途合成しても良いし、顔料を分散した系ないにモノマーを供給して、重合してもよい。
顔料を樹脂で被覆する方法としては公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、展相乳化法や酸析法の他に、顔料を重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。
より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的、もしくは完全に中和後、顔料およびイオン交換水を添加し、分散したのち、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し調整する製造方法が好ましい。
顔料と樹脂の質量比率は、顔料/樹脂比で100/10から100/150の範囲で選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/15から100/100の範囲である。
水不溶性樹脂で被服された顔料粒子の平均粒子径は、80ないし150nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
また、自己分散顔料としては、表面処理済みの市販品を用いることもでき、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業(株)社製)等を挙げることができる。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
(水溶性定着樹脂)
本発明の水系インクジェット記録用インクは、水溶性定着樹脂を当該顔料固形分に対して50〜300質量%含有することを特徴とする。ここで、「水溶性定着樹脂」とは、着色剤である顔料を記録媒体(基材)に定着させる機能を有する水溶性樹脂をいう。
本発明においては、当該水溶性定着樹脂の重量平均分子量が20000より大きく70000以下であり、かつガラス転移温度が−20〜30℃であることを特徴とする。
本発明に係る水溶性樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系の各樹脂を挙げることができる。
本発明においては、水溶性樹脂として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など酸性基を有するモノマーを共重合モノマーとする共重合体樹脂を好ましく用いることができる。
この場合、以下の3種のモノマーを共重合することが好ましい。
1)酸性基を有するモノマー
2)Tg>100℃
3)Tg<30℃
上記の共重合体の水溶性を高めるために、酸性基部分を部分的あるいは完全に塩基成分で中和することが好ましい。この場合の中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、たとえば水酸化Na,K等や、アミン類(アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等を用いることができる)を用いることができる。
特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、画像耐久性向上の観点から特に好ましい。特にアンモニアで中和することは好ましい。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸を共重合モノマーとして含有し、アンモニアで部分的もしくは完全に中和されている態様の樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明においては、上記の樹脂以外にウレタン、ポリエステル系の水溶性樹脂も好ましく用いることができる。
〈水溶性定着樹脂の重量平均分子量〉
本発明に係る水溶性定着樹脂の重量平均分子量は、20000より大きく70000以下の範囲内であることを要する。好ましくは、25000以上70000以下である。
重量平均分子量が20000以下の場合は、十分な定着性が得られない。重量平均分子量が70000より大きい場合は、射出安定性が悪く、また、メンテナンス回復性も悪い。
本発明に係る水溶性定着樹脂の重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されるものである。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:テロラヒドロフラン
カラム:TSKgel Multipore(東ソー(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
〈水溶性定着樹脂のガラス転移温度〉
本発明に係る水溶性定着樹脂のガラス転移温度は、−20〜30℃の範囲内であることを要する。好ましくは、−15℃〜20℃の範囲である。
ガラス転移温度が−20℃より低いと、ブロッキングが発生し好ましくない。また、ガラス転移温度が30℃より高い場合は、十分な定着性が得られず、折り跡も発生しやすい。
本発明に係るガラス転移温度(Tg)の測定は、示差走査カロリーメーター「DSC−7」(パーキンエルマー社製)、熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。
操作手順としては、測定サンプル4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KitNo.0219−0041)に封入し、「DSC−7サンプルホルダー」にセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間の最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
また、ガラス転移温度の算出方法として、本発明では以下のような理論ガラス転移温度を算出してもよい。
ここで、理論ガラス転移温度とは、樹脂を構成するそれぞれの成分が、ホモポリマーを形成した場合のガラス転移温度にそれぞれの組成質量分率を乗じ、即ち加重平均して算出したものである。
即ち、理論ガラス転移温度Tg(絶対温度Tg′とする)は、樹脂を構成する成分のホモポリマーのガラス転移温度を用いて下記式(1)から算出される。
式(1):1/Tg′=W1/T1+W2/T2+・・・+Wn/Tn
(式中、W1、W2、・・・Wnは樹脂を構成する全重合性単量体(モノマー)に対する各重合性単量体の質量分率、T1、T2・・・Tnは各重合性単量体を用いて形成されるホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)を示す。)
水溶性樹脂のガラス転移温度の調整方法は、樹脂を構成するモノマーの選択と重合反応における重合度の調整等によって行うことができる。
〈水溶性定着樹脂の酸価〉
本発明に係る水溶性定着樹脂は、酸性基を有することが好ましく、樹脂の酸価としては、70〜200mgKOH/gであることが好ましい。この範囲の場合特に、耐水性とメンテナンス回復性が良好である。なお、「酸価」とは、酸価とは樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
酸価の測定方法は、JIS K 0070(1992)に準拠した方法により測定することができる。
〈水溶性定着樹脂の添加量〉
水溶性定着樹脂の添加量は、顔料固形分量に応じて設定するのが好ましく、顔料固形分の50〜300質量%の範囲内の量を使用することを要する。
50質量%未満では、十分な定着性が得られず、300質量%以上では、射出安定性が悪く、また、メンテナンス回復性も悪い。また、ブロッキングの発生も起こりやすくなり好ましくない。
(水分散性樹脂)
本発明の水系インクは、さらに水分散性樹脂を添加することが好ましい。水分散性樹脂を添加することで摩擦耐性がさらに向上する。なお、前記水溶性定着樹脂と水分散性樹脂を併用する場合においては、本発明の効果の発現等の観点から、前記水溶性定着樹脂の含有量が、水分散性樹脂の含有量より多いことが、好ましい。
本発明においては、水分散性樹脂を樹脂微粒子として用いることが好ましい。
樹脂微粒子は、水系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶媒系で重合された樹脂を水系に分散したものを用いてもよく、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリロニトリル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することができる。
インクの物性として、粘度に対するシェア依存性がないことが好ましく、この観点から樹脂微粒子の分散形態として活性剤などの乳化剤を極力低濃度にするか、乳化剤を用いないソープフリー型の分散樹脂粒子が好ましい。好ましい水系分散型樹脂微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを少なくとも単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン性の不飽和モノマーからなる組成物にカルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリで膨潤後、機械的せん断により粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。なお、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高めて高い光沢感が得られる観点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
前記アルカリはアンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどのアミンであることが好ましく、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび2−メチルアミノエタノールが水系分散型ポリマー微粒子の分散安定性において得に好ましい。
前記のアクリルヒドロゾルは、ジョンソンポリマー株式会社のジョンクリル(商標)などが市販されている。
樹脂微粒子のガラス転移温度:Tgは、20〜80℃であることが好ましい。特に、35℃以上であることが、画像の耐擦過性を高める為に好ましく、より好ましくは49℃以上である。Tgの上限は特に制限されるものではないが、概ね100℃未満であれば柔軟なインク皮膜を得ることができ、プリント物の折り曲げ等による画像のひび割れ故障を防止できる。樹脂微粒子の酸化は、44以上、より好ましくは60以上であることが、インク乾燥皮膜の良好な再分散・溶解性が得られる点で好ましい。酸化の上限は特に制限されるものではないが、より安定な分散物を得やすい観点で110未満が好ましい。
樹脂微粒子の平均粒子径は、ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる点で300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、微粒子の製造安定性の観点から30nm以上が好ましい。なお、樹脂微粒子の平均粒子径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。また、樹脂微粒子の分散物を凍結乾燥し、透過型顕微鏡で観察される粒子から平均粒子径を換算することもできる。
樹脂微粒子の含有量は、0.7%以上、6%以下が好ましく、良好な定着性(耐擦過性、アルコール耐性)とインクの長期保存安定を得やすい。より好ましくは、1%以上、3%以下の範囲である。
(溶剤)
本発明の水系インクには、保存性、射出安定性、画質、画像耐久性等の観点から、表面張力が25〜40mN/mの溶剤を10〜30質量%含有することが好ましい。より好ましくは、表面張力が25〜35mN/mの溶剤を20〜45質量%含有する態様である。
表面張力が25〜40mN/mの溶剤としては、グリコールエーテル、1,2−アルカンジオール等の水溶性有機溶剤が挙げられる。
当該溶剤は、単独で20〜45質量%含有してもよいし、複数種用いて、それらの総計量が20〜45質量%含有するものであってもよい。
なお、本発明の水系インクジェット記録用インクの面張力は、23〜30mN/mであるように調整することが好ましい。
表面張力の測定方法については、一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができ、具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、垂直板法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができる。
具体的には、表面張力の測定においては、表面張力計CBVP式A−3型(協和科学株式会社)を用いて測定した。
具体的には、グリコールエーテルとしてはエチレングリコールモノエチルエーテル(28.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(27.4)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(31.8)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(33.6)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(32.1)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(25.9)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(28.8)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(30.0)等が挙げられる。
また、1,2−アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール(28.1)、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。なお、括弧内の数値は表面張力を表す。
本発明においては、グリコールエーテル若しくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤を20〜45%含有することが好ましく用いられる。その理由として以下のように推察している。
第1は、インクの乾燥増粘を特に促進し、高画質を実現できる効果があるからと考えている。
第2は、画像耐久性が良好となるためである。この原因としては以下のように推察している。グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールは、水混和性溶剤の中では比較的疎水性の部類であり、このことが本発明に係る顔料として水不溶性樹脂で被服された顔料を用いるインクでは、インクの乾燥定着過程で顔料を被覆している樹脂を軟化もしくは部分的に溶解することで、顔料同士、または顔料とインク溶解性樹脂との密着性を高めていることで画像耐久性を高めているものと考えている。
また、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールはポリ塩化ビニル等の記録媒体を軟化しやすく、このことも耐久性向上に効果を発揮しているものと考えている。特に本発明のように、記録媒体を加熱して印字するためのインクとしては、その効果が顕著である。
更に、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤を20%以上添加することで比較的高い保湿効果も同時に得られ、顔料、バインダー樹脂の添加したインクでも乾燥固化しにくく、インクはき捨て等の軽度のメンテナンスで速やかに定常状態に回復するメリットがある。
しかしながら、45%以上の添加は顔料の分散安定性を著しく損ない、また初期粘度が高くなりすぎ、安定な射出が得られない。
本発明の水系インクには、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオール以外にも水溶性有機溶剤を添加することができる。
好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
(界面活性剤)
本発明では、シリコーン系若しくはフッ素系の界面活性剤を用いることが好ましい。本発明で添加することができる、グリコールエーテル若しくは1,2−アルカンジオール類を50%程度と多量に添加することでも、ポリ塩化ビニル等への濡れ性を確保することはできるが、画質は不十分なレベルであり、またインク保存性、射出安定性等を確保することは難しい。よって、本発明にあるようにグリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオール類とシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を併用することにより種々の記録媒体に対する濡れ性を得ることが好ましい。
特に、前処理をしてない種々の布帛に対して高画質で印字するのにも重要である。前処理をしてない布帛に対してインク混じりを低減させて高画質を得るには、布帛中の糸に沿ったインクの拡散を低減する必要がある。この目的には本発明の作用機構の一つと考えているインクを着弾後高速で増粘させ、流動性を低下させることが重要であると思われる。
また、布帛の場合、糸を構成する更に微細な空隙へのインクの浸透によってもインクが濃縮され、増粘していると考えている。この浸透に対して、シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤をグリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤を20%以上45%未満含有することと併用することで大幅に向上するものと考えている。
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK347、BYK348などが挙げられる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
(記録媒体)
本発明のインクは、ポリ塩化ビニルシート等の非吸収性媒体への印字はもとより、普通紙、コート紙、インクジェット専用紙、及び布帛等の低吸収もしくは吸収性媒体に印字するのに適している。
非吸収性媒体としては、高分子シート、ボード(軟質塩ビ、硬質塩ビ、アクリル板、ポリオレフィン系等)、ガラス、タイル、ゴム、合成紙等が挙げられる。
低吸収もしくは吸収性媒体としては、種々の布帛(綿、絹、毛、ポリエステル等)、普通紙(コピー紙、印刷用普通紙)、コート紙、アート紙、インクジェット専用紙、インクジェット光沢紙、ダンボール、木材等が挙げられる。特に布帛に対して効果的である。
本発明のインクは布帛に用いることが特に好ましい。通常インクジェット用に用いる布帛は、布帛前処理として糊成分やカチオン性物質をあらかじめ布帛に付与したものを用いるが、本発明のインクは布帛前処理を施していない布帛に対しても適しており、布帛前処理をした布帛はもとより、布帛前処理を施していない布帛に記録することが特に好ましい。
布帛としては、綿、絹、羊毛、ナイロン、ポリエステル、アセテート、レーヨン、ポリプロピレン、ビニロン、アクリル系繊維等種々の繊維素材が挙げられ、又、これらの混紡、交織物、不織布等のものであってもよい。また、上記のような布帛を構成する糸の太さとしては10〜100dの範囲が好ましい。
(記録時の加熱)
本発明では、記録媒体を加熱して印字することが好ましい。
記録媒体を加熱することでインクの乾燥増粘速度が著しく向上し、高画質が得られるようになる。また、画像の耐久性も向上する。
加熱温度としては、記録媒体の記録表面温度を40〜80℃になるように加熱することが好ましい。40℃未満の加熱では画質が不十分であること、十分な画像耐久性が得られないことに加え、乾燥に時間がかかり好ましくない。80℃を超えると、インク射出に大きな影響が出て安定にプリントすることができない。より好ましくは記録媒体の記録表面温度を40℃乃至60℃とすることである。
加熱方法としては、記録媒体搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、記録媒体下方より接触式で加熱する方法が特に好ましい。ランプ等により下方もしくは上方から非接触で加熱方法を選択することができる。
以下に本発明の実施例を記すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(顔料分散体の調製)
〈分散樹脂の合成〉
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、表1記載量(g)のモノマーとメチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、更に6時間、加熱還流した。放冷後、揮発した分のメチルエチルケトンを加え、固形分濃度50質量%の樹脂溶液を得た。
Figure 0005417731
〈顔料分散体D−1の調製〉
合成した分散樹脂のメチルエチルケトン50%溶液、60gに、中和剤としてアンモニア水を所定量加えて塩生成基を100%中和し、そこへ攪拌しながらC.I.ピグメントブルー15:3、100gを少しずつ加えた後、ビーズミルで2時間混練した。得られた混練物にイオン交換水400gを加え攪拌後、減圧下、加温し、メチルエチルケトンを留去した。更にイオン交換水を加え、固形分濃度15%の顔料分散体D−1を得た。
顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
(水性定着樹脂の合成)
〈R−2の合成〉
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、70℃に加温した。そこへ、表2記載量(g)のモノマーとメチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、更に16時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱し、メチルエチルケトンを留去した。イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当の表1記載の中和用塩基を溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で調整し、固形分濃度20%の樹脂水溶液を得た。
同様の操作により、水性定着樹脂R−1とR−3〜R−7を合成した。表2に合成した樹脂の酸価とTgを記載した。
Figure 0005417731
(インク調製)
表1に記載のインク中濃度になるように、顔料分散体、水溶性樹脂、溶剤、活性剤及び水分散性樹脂を加え、残部を100質量%になるようにイオン交換水で調整した。調製後、5μmフィルターにてろ過した。
表3、表4中の、活性剤N−1はサーフィノール465、Si−1はビッグケミー・ジャパン製のシリコン系活性剤BYK347を表す。
〔評価1〕
作製したインクを用いて以下の評価を行った。評価結果は同じく表3、表4に記載する。
ピエゾ型ヘッド(720dpi(dpiとは、1インチ当たりのドット数を表す)、液適量14pl)を4ヶを並列した4色プリント可能なプリント装置を用いて評価を行った。該装置には、記録媒体を下方より接触式ヒーターにて任意に加温できる。また、ヘッド格納ポジションにインク空打ちポジションとブレードワイプ式のメンテナンスユニットを備え、任意の頻度でヘッドクリーニングができる。
(画質評価)
上記評価装置の1つのヘッドに作製したインクを各々導入し、単色画像を作製して画質評価を行った。評価条件は以下の通りである。
印字解像度:720dpi×720dpi
ヘッド搬送速度:200mm/sec(双方向印字)
記録媒体: 表3、表4中の紙は、印刷用コート紙(日本製紙製:オーロラコート)
同じく、PETは、表面未処理のPETフィルム
同じく、PESは、布帛(前処理をしていないポリエステル布、ポリエステルトロピカル)
記録媒体加熱温度:印字面表面温度、50℃
評価画像:ウエッジ画像、文字、白抜き文字
評価環境:20℃、相対湿度55%。
(インク混じり評価)
画質はじきの有無やインク混じりにより発生するビーディング発生、小文字描画性を下記のように評価した。
1:局所的なはじきが見られ、ビーディングも激しく、小文字描画できず。
2:はじきはないが、ビーディングが目立ち、小文字描画できず。
3:はじきはないが、ビーディングがごく僅かに見られ、小文字描画できるがやや不明瞭。
4:はじき、ビーディングもなく、小文字描画できるが、白抜き文字の描画性がやや不明瞭。
5:はじき、ビーディングもなく、小文字描画、白抜き文字の描画性も明瞭。
(摩擦耐性評価)
綿布(カナキン3号)に9Nの荷重をかけて画像表面をこすり、面布への着色を評価した。
1:5回こすりでも着色見られる。
2:10回こすると着色見られるが、5回こすりなら着色はごくわずかである。
3:15回こすると着色見られるが、10回こすりなら着色はごくわずかである。
4:20回こすると着色見られるが、15回こすりなら着色はごくわずかである。
5:20回こすっても着色はごくわずかである。
(耐水性評価)
下記の基準に基づき評価した。
1:1分浸漬で画像がにじむ。
2:1時間浸漬で画像がにじむ。
3:1時間浸漬で画像にじみはないが、そのまま引き出しつるし干しするとインクが流れた跡が残る。
4:1時間浸漬で画像にじみはないが、そのまま引き出しつるし干しをしても、跡が残らないが、乾燥前に綿布(カナキン3号)でこすると綿布にインク色がつく。
5:乾燥前に綿布(カナキン3号)でこすっても綿布に色はほとんど付かない。
(接着性)
画像面にセロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製)を20cm張り付け、指で強くこすり接着させたあと、セロテープ(登録商標)を垂直方向に一気にはがし、画像部濃度低下を評価した。
1:ほとんど全部の画像が取れてしまう。
2:5割未満の濃度が残る。
3:濃度低下はあるが、5割以上濃度は残る。
4:濃度低下はない。
(折り割れ評価)
評価画像を折り、折り目に荷重をかけ8時間置いた後、折り目部分を観察評価した。
1:折り目の画像が割れ、折り目が白っぽくなり大変目立つ
2:折り目の濃度低下が目立つ
3:折り目のところが濃度低下しているように少し目立つ
4:折り目がほとんど目立たない
(メンテナンス性)
評価画像(A4サイズ)を連続10枚作製後、1日間隔を置いた。その後、ノズルクリーニングとして、インク空打ちとワイピングをセットとしたクリーニングを行い、再度連続50枚の画像作製を行った。なお、再度50枚連続画像作製時も連続10枚プリント毎に全ノズルからインク空打ちをしてプリント作製をした。
1:回復してなく、画像欠陥が多数
2:回復不十分で、画像欠陥あり
3:回復しているが、10枚以降で小文字描画性がやや劣化
4:回復しているが、30枚以降で小文字描画性がやや劣化
5:回復し、50枚連続可能。
以上の各種評価結果を表3、表4にまとめて示す。
Figure 0005417731
Figure 0005417731
表3、表4に示した結果から明らかなように、本発明のインクは、インク混じり、摩擦耐性、耐水性、接着性、メンテナンス性等の性能において優れていることが分かる。

Claims (11)

  1. 高分子樹脂により分散された顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料からなる群から選択された顔料と、
    インク中で前記顔料に吸着していない遊離樹脂であり、インクの硬化時に前記顔料を記録媒体に定着させる水溶性定着樹脂と、を含有する水系インクジェット記録用インクであって、
    前記顔料は、顔料固形分をインク全質量に対して5〜10質量%含有し、かつ前記水溶性定着樹脂を前記顔料固形分に対して50〜300質量%含有し、
    前記水溶性定着樹脂の重量平均分子量が20000より大きく70000以下であり、かつガラス転移温度が−15℃〜20℃であり、
    前記水溶性定着樹脂の酸価が、70〜200mgKOH/gであることを特徴とする水系インクジェット記録用インク。
  2. 前記水溶性定着樹脂が、アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方を共重合体を構成するモノマーとして含有し、アンモニアで部分的もしくは完全に中和されていることを特徴とする請求項1に記載の水系インクジェット記録用インク。
  3. 前記顔料を分散させる、前記高分子樹脂とは異なる水分散性樹脂をさらに含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の水系インクジェット記録用インク。
  4. 前記水溶性定着樹脂の含有量が、前記水分散性樹脂の含有量より多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
  5. 表面張力が25〜40mN/mの溶剤を10〜30%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
  6. シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インクであって、その表面張力が、23〜30mN/mであることを特徴とする水系インクジェット記録用インク。
  8. 前記水分散性樹脂のガラス転移温度が20℃〜80℃であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インク。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インクを用いて、記録媒体にインクジェット記録方式で印字することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の水系インクジェット記録用インクを用いて、記録媒体を加熱しながらインクジェット記録方式で印字することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  11. 前記記録媒体が、布帛であることを特徴とする請求項9又は10に記載のインクジェット画像形成方法。
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