JP5402626B2 - 水性のインクジェット記録インク - Google Patents
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- C09D11/00—Inks
- C09D11/30—Inkjet printing inks
Description
(1)非吸水性記録メディアに高画質で印字できること
(2)得られた画像の耐久性が高いこと
(3)非吸水性記録メディア上での乾燥性が速いこと
(4)安定に射出ができること
(5)長期にわたって安定にプリントでき、メンテナンスでの回復も容易なこと
しかしながら、従来技術では全ての要件を満足したインクはなく、早急な開発が望まれている。
1)インク溶解性樹脂の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基を有し、かつ酸価が80以上、300未満であり、
2)水溶性有機溶剤は、少なくとも下記A溶剤を5〜15質量%、B溶剤を2〜15質量%含有する。
A溶剤:グリコールエーテルまたは1,2−アルカンジオール類
B溶剤:窒素またはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、またはジメチルスルフォキシド
2.記録メディアを加熱して印字するのに用いる水性のインクジェット記録インクであって、少なくとも(1)高分子分散剤により前記インクに分散した顔料分散体、(2)固形分として2〜10質量%であり、前記高分子分散剤とは異なる構造式を有するインク溶解性樹脂、(3)水溶性有機溶剤、及び(4)シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤を含有し、前記インク溶解性樹脂及び前記水溶性有機溶剤が下記条件を満足することを特徴とする水性のインクジェット記録インク。
1)インク溶解性樹脂の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基を有し、かつ酸価が80以上、300未満であり、
2)水溶性有機溶剤は、少なくとも下記A溶剤を5〜15質量%、B溶剤を2〜15質量%含有する。
A溶剤:グリコールエーテルまたは1,2−アルカンジオール類
B溶剤:窒素またはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、またはジメチルスルフォキシド
3.前記インク溶解性樹脂が、重量平均分子量3000〜30000で、かつガラス転移温度が−30℃〜100℃で、かつ酸性モノマー由来の酸性基は、部分的あるいは完全に沸点が200℃未満のアミン類で中和したものであることを特徴とする前記1または2記載の水性のインクジェット記録インク。
4.前記200℃未満のアミンが、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミンから選ばれるものであることを特徴とする前記3項記載の水性のインクジェット記録インク。
5.水系分散型ポリマー微粒子を含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の水性のインクジェット記録インク。
1)インク溶解性樹脂の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基を有し、かつ酸価が80以上、300未満であり、
2)水溶性有機溶剤は、少なくとも下記A溶剤を5〜15質量%、B溶剤を2〜15質量%含有する。
B溶剤:窒素またはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、またはジメチルスルフォキシド。
本発明の水性のインクジェット記録インク(以下、単にインクともいう)に用いる顔料は水系で安定に分散できるものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
本発明のインクは、固形分として2〜10質量%のインク溶解性樹脂を含有する。インク溶解性樹脂とは、インクから顔料、分散樹脂、溶解性樹脂を除いた液体(インクベヒクル)に対して、室温(25℃)で固形分として10質量%以上溶解する樹脂である。
インク溶解性樹脂として、酸性モノマー由来の酸性基は、部分的あるいは完全に沸点が200℃未満のアミン類で中和したものを用いると、よりいっそうインク混じりを防止することができる。
先に説明したように、インクが着弾後、急速に増粘し流動性が低下することはインク混じりを防止するのに重要であるが、酸性モノマー由来の酸性基は、部分的あるいは完全に沸点が200℃未満のアミン類で中和した樹脂を用いると、着弾後、中和成分のアミン類が蒸発するため樹脂の溶解性が急激に低下し、粘度が急速に上昇することによると考えられる。メディアを加熱して印字するときは特に増粘効果が高く有効である。アミン類の沸点が200℃以上であるとアミン類の蒸発が遅くなってしまい大きな効果が得られない。また、アルカリ金属で中和した樹脂も同様に大きな効果が得られない。
本発明のインクは、少なくとも下記A溶剤を5〜15質量%、B溶剤を2〜15質量%含有する。
B溶剤:窒素またはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、またはジメチルスルフォキシド
A溶剤のグリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノエチル、エチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノブチル、トリエチレングリコールモノブチル、プロピレングリコールモノプロピル、ジプロピレングリコールモノメチル、トリプロピレングリコールモノメチル等が挙げられる。
インク溶解性樹脂として、酸性モノマー由来の酸性基は、部分的あるいは完全に沸点が200℃未満のアミン類で中和した樹脂を用いることは特に好ましいが、このような樹脂はアミンが蒸発しやすく、ヘッド部に付着した、インク残りなどが増粘しやすく、ワイピングなどで除去しにくい課題がある。しかしながら、本発明のB溶剤をインクに2−15%添加することで、除去性の容易になる効果がある。B溶剤は記録メディアである塩ビ上では、塩ビに浸透していくためか、樹脂の乾燥増粘を阻害することがない。このように、インク溶解性樹脂として、酸性モノマー由来の酸性基は、部分的あるいは完全に沸点が200℃未満のアミン類で中和した樹脂とB溶剤を併用することは特に好ましい。
本発明では、シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤を用いる。本発明で添加するグリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオール類を50質量%程度と多量に添加することでも、塩ビ等への濡れ性を確保することはできるが、画質は不十分なレベルであり、また、インク保存性、射出安定性等を確保することは難しい。よって本発明のように、グリコールエーテルまたは1,2−アルカンジオール類と、シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤により種々の記録メディアに対する濡れ性を得ることができる。
シリコーン系界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK347、BYK348等が挙げられる。
フッ素系の界面活性剤とは、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりにその一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。このうち分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。フッ素系界面活性剤のうち、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、ファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、また、ネオス社製からフタージェント(FTERGENT)なる商品名でそれぞれ市販されている。また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145、ネオス社製のフタージェント251等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
本発明のインクには、さらに.水系分散型ポリマー微粒子を含有することが好ましい。
本発明のインクは、塩ビシート等の非吸収性メディアへの印字はもとより、普通紙、コート紙、インクジェット専用紙等に印字するのに適している。
本発明では記録メディアを加熱して印字する。
《インクの調製》
(分散樹脂の合成)
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸n−ブチル75g、アクリル酸ブチル5g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、アクリル酸15gのモノマーとメチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、揮発した分のメチルエチルケトンを加え、分散樹脂D−1(固形分50質量%)の樹脂溶液を得た。
合成した分散樹脂D−1(固形分50質量%)溶液100gに、中和剤として20質量%水酸化ナトリウム水溶液を所定量加えて塩生成基を100%中和し、そこへ攪拌しながら、顔料(C:C.I.ピグメントブルー15:3、Y:C.I.ピグメントイエロー74、M:C.I.ピグメントレッド122またはBk:カーボンブラック)50gを少しずつ加えた後、ビーズミルで2時間混練した。得られた混練物にイオン交換水400gを加え攪拌後、減圧下、加温しメチルエチルケトンを留去した。さらに、イオン交換水を加え、顔料C、Y、M、Bkからそれぞれ顔料分散体P−1〜P−4(固形分15質量%)の顔料分散体を得た。
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、表1に記載のモノマーとメチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去した。イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で濃度を調整し、インク溶解性樹脂R−1〜R−7(固形分20質量%)のインク溶解性樹脂水溶液を得た。
表2に記載のように、顔料分散体、インク溶解性樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤を混合し、合計して100gになるようにイオン交換水を加えて調製後、5μmフィルターにてろ過し、本発明の単色インクC−1〜C−14、C−22〜C−30及び比較の単色インクC−15〜C−21を得た。
表3に記載のように、顔料分散体、インク溶解性樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤を混合し、合計して100gになるようにイオン交換水を加えて調整後、5μmフィルターにてろ過し、インクY−1、M−1、C−1、Bk−1からなる本発明のインクセット、及びインクY−2、M−2、C−2、Bk−2からなる比較のインクセットを得た。
合成した分散樹脂とインク溶解性樹脂の重量平均分子量Mwと酸価、及び顔料分散体の平均粒子径を下記方法で測定した。その結果を表4に示す。
重量平均分子量は高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
顔料分散体の平均粒子径は、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)により求めた。
酸価は、JIS K0070に準拠して測定した。
〔保存性の評価〕
作製したインクを密栓し、60℃で保存した。インクの平均粒子径の変化を電子顕微鏡で観察し、15%変動するまでの日数を評価した。
評価2:1週間までは変動は15%以内
評価3:2週間までは変動は15%以内
評価4:3週間までは変動は15%以内
評価5:4週間の時点で変動は15%以内
〔単色画像での評価〕
作製した単色のシアンインクを用いて、画質、耐久性、乾燥性、射出安定性、連続プリント性及びメンテナンス回復性の評価を行った。
ヘッド搬送速度:200mm/sec 双方向印字
メディア:塩ビシート(メタマーク社、digitalvinyl)
メディア加熱温度:印字面表面温度 50℃
評価画像:ウエッジ画像、文字、白抜き文字
評価環境:20℃、相対湿度55%
(画質)
はじきの有無や、インク混じりにより発生するビーディング発生、小文字描画性を下記基準で評価した。
2:はじきはないが、ビーディングが目立ち、小文字描画ができない
3:はじきはないが、ビーディングが極僅かに見られ、小文字描画ができるがやや不明瞭
4:はじき、ビーディングもなく、小文字描画ができるが、白抜き文字の描画性がやや不明瞭
5:はじき、ビーディングもなく、小文字描画、白抜き文字の描画性も明瞭
(耐久性)
画像の耐久性を下記基準で評価した。
2:乾いた布で拭いても画像は取れないが、水を浸した布では画像が取れる
3:乾いた布、水を浸した布では画像は取れないが、水/アルコール混合液では画像が取れる
4:乾いた布、水を浸した布では画像は取れないが、水/アルコール混合液では画像がわずかに取れる
5:乾いた布、水を浸した布、水/アルコール混合液でも画像は取れない
(乾燥性)
単色ベタ画像を作成後、メディア下方から50℃で引き続き加熱し続け、30秒ごとに綿棒で画像部をこすり、綿棒が着色しなくなるまでの時間を測定し、下記基準で評価した。
2:3分30秒以上、4分未満
3:3分以上、3分30秒未満
4:2分30秒以上、3分未満
5:2分30秒未満
(射出安定性)
上記評価画像(A4サイズ)を連続10枚作成後、60分間隔を置いて再度画像作成を行い画像を下記基準で評価した。
2:画像欠陥が見られる
3:画像欠陥はほとんどないが、小文字描写が劣化している。拡大観察すると、ドットにサテライトが見られる
4:画像欠陥はないが、画像の書き出し部(数mm)にごくわずかにかすれが見られる
5:画像の書き出し部も含め画像欠陥は見られない
(連続プリント性)
上記評価画像(A4サイズ)を連続100枚までノズルクリーニングなしで作成し、画質を下記基準で評価した。
2:20〜50枚で、射出欠が発生した
3:50枚までは初期プリント画質が得られるが、その後小文字描画性がやや劣化
4:70枚までは初期プリント画質が得られるが、その後小文字描画性がやや劣化
5:100枚まで初期プリント画質が得られる。
上記評価画像(A4サイズ)を連続10枚作成後、1日間隔を置いた。その後、ノズルクリーニングとして、インク空打ちとワイピングをセットとしたクリーニングを行い、再度連続50枚の画像作成を行い、画質を下記基準で評価した。
2:回復が不十分で、画像欠陥あり
3:回復しているが10枚以降で小文字描画性がやや劣化
4:回復しているが30枚以降で小文字描画性がやや劣化
5:回復し、50枚連続可能
インクの各評価の結果を表5に示す。
本発明のインクを全て用いたインクセットと比較インクセットを各々4つのヘッドに各々充填し、カラー画像を作成した。
作製した単色のシアンインクC−2を用い、メディア加熱温度(印字面表面温度)を25℃(加熱なし)〜85℃まで変えて、他は、単色画像での評価と同様にして画質、画像耐久性、乾燥性、射出安定性、連続プリント性及びメンテナンス回復性の評価を行った。
Claims (5)
- 記録メディアを加熱して印字するのに用いる水性のインクジェット記録インクであって、少なくとも(1)顔料、(2)固形分として2〜10質量%のインク溶解性樹脂、(3)水溶性有機溶剤、及び(4)シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤を含有し、前記インク溶解性樹脂及び前記水溶性有機溶剤が下記条件を満足することを特徴とする水性のインクジェット記録インク(ただし、前記水性のインクジェット記録インクは乳酸エステル化合物を有することはない)。
1)インク溶解性樹脂の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基を有し、かつ酸価が80以上、300未満であり、
2)水溶性有機溶剤は、少なくとも下記A溶剤を5〜15質量%、B溶剤を2〜15質量%含有する。
A溶剤:グリコールエーテルまたは1,2−アルカンジオール類
B溶剤:窒素またはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、またはジメチルスルフォキシド - 記録メディアを加熱して印字するのに用いる水性のインクジェット記録インクであって、少なくとも(1)高分子分散剤により前記インクに分散した顔料分散体、(2)固形分として2〜10質量%であり、前記高分子分散剤とは異なる構造式を有するインク溶解性樹脂、(3)水溶性有機溶剤、及び(4)シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤を含有し、前記インク溶解性樹脂及び前記水溶性有機溶剤が下記条件を満足することを特徴とする水性のインクジェット記録インク。
1)インク溶解性樹脂の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基を有し、かつ酸価が80以上、300未満であり、
2)水溶性有機溶剤は、少なくとも下記A溶剤を5〜15質量%、B溶剤を2〜15質量%含有する。
A溶剤:グリコールエーテルまたは1,2−アルカンジオール類
B溶剤:窒素またはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、またはジメチルスルフォキシド - 前記インク溶解性樹脂が、重量平均分子量3000〜30000で、かつガラス転移温度が−30℃〜100℃で、かつ酸性モノマー由来の酸性基は、部分的あるいは完全に沸点が200℃未満のアミン類で中和したものであることを特徴とする請求の範囲第1または2項記載の水性のインクジェット記録インク。
- 前記200℃未満のアミンが、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミンから選ばれるものであることを特徴とする請求の範囲第3項記載の水性のインクジェット記録インク。
- 水系分散型ポリマー微粒子を含有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項記載の水性のインクジェット記録インク。
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