JP2008105376A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材に依らず、色ムラ等の発生を抑制する。
【解決手段】式(I)又は(II)含有の下塗り液を付与後、半硬化させ、光硬化型インクで記録する〔R:H、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基;X:二価の連結基;R〜R:置換基;n:環状炭化水素構造の形成に必要な原子団(環状炭化水素構造は炭化水素結合と共に−C(O)−及び/又は−C(O)O−を含んでいてもよい);k=1〜6の整数、q,r=0〜5の整数〕。
Figure 2008105376

【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット法により高速に高画質画像を記録するのに好適なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インク吐出口からインクを液滴で吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、被記録媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンタに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを液滴吐出する熱インクジェット方式は、高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
現在、インクジェットプリンタにより、普通紙あるいは、プラスチックなど非吸水性の被記録媒体にインクを打滴して印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっている。
インクジェット記録は、インクの液滴を画像データにしたがって吐出し、被記録媒体上にこれら液滴にてラインを形成したり、画像を形成するものであるが、特に上記非吸収性の被記録媒体に記録を行なう場合には、打滴後の液滴の乾燥や被記録媒体への浸透に時間が掛かると、画像に滲みが生じやすく、また、被記録媒体上で隣接するインク液滴間で混合が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなるなど、実用上問題があった。液滴間での混合の際には、打滴された隣接の液滴が合一して液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、細線を描く場合には線幅の不均一が生じ、着色面を描く場合には色ムラ等が発生する。また、線幅の不均一と着色面の色ムラ発生の程度が被記録媒体表面のインク吸収性や濡れ性により異なるため、用いるインク及びその吐出条件を一定にしたとしても、種々の被記録媒体間で画像が異なってしまうという問題もあった。
画像の滲みや線幅の不均一等を抑制する方法として、液滴の定着を促進する方法がある。その例として、高精細な描画性を付与するために、反応性を有する2液式のインクを用い、被記録媒体上において両者を反応させるものがあり、例えば、塩基性ポリマーを有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献1参照)や、カチオン性物質を含む液体組成物を適用した後、アニオン性化合物と色材を含有するインクを適用する方法(例えば、特許文献2参照)、等が開示されている。
また、インクとして紫外線硬化型インクを適用し、被記録媒体上に吐出した紫外線硬化型色インクのドットにそれぞれの吐出タイミングに合わせて紫外線を照射し、増粘させて隣接するドットが互いに混合しない程度にプレ硬化させ、その後さらに紫外線を照射して本硬化させるインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、透明又は半透明な非吸収性被記録媒体上に、放射線硬化型白色インクを下塗り層として均一に塗設し、放射線照射により固化あるいは増粘させた後に、放射線硬化型色インクセットを用いたインクジェット記録を行なうことにより色インクの視認性、滲み、種々の被記録媒体間での画像が異なってしまう問題を改良する技術(例えば、特許文献4及び5参照)が提案されている。また、上記放射線硬化型白色インクに変えて、実質上、透明な活性光線硬化型インクをインクジェットヘッドにより塗設する技術(例えば、特許文献6参照)も提案されている。
上記以外に、2種類の溶液を噴射し、かつ、紫外線を照射して、印字ドットを形成することにより印字を行なう(例えば、特許文献7参照)等、硬化型のインクジェット記録方法に関する開示がある(例えば、特許文献8〜12参照)
特開昭63−60783号公報 特開平8−174997号公報 特開2004−42548号公報 特開2003−145745号公報 特開2004−42525号公報 特開2005−96254号公報 特許3478495号 特開平8−218018号公報 特開2001−348519号公報 特許3642152号 特開2000−135781号公報 特開2003−12971号公報
しかしながら、例えば、特許文献3に記載の方法では、滲みは抑制されるが、種々の被記録媒体間での画像が異なってしまう課題は残っており、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消には不充分である。また、特許文献4及び5に記載の方法では、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消には不充分である。更に、特許文献6に記載の方法によっても、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の課題が残る。上記のように、2液を用いた記録方法に関する検討は種々なされているものの、滲みや線幅の不均一、色ムラ等を回避できる技術が確立されるに至っていない。
また、画像を記録するにあたってはインクが打滴された打滴領域と非打滴領域とができるが、その領域間の境界では、打滴領域を形成しているドットと同じ形状や大きさを維持することが難しい。そのため、着滴したインクがインク量の少ない境界近傍に流れ、境界をなぞるように濃度変化を生じる課題もある。このような場合は額縁を付して縁取ったような画像に見えてしまう。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、被記録媒体に依らず、種々の被記録媒体間における画像均一性に優れ、インク滲み並びに液滴間の合一に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制できる(ドット再現性を有する)と共に、インクが打滴された打滴領域と非打滴領域との境界でドット形状を維持し、画像形態に関わらず細部にわたり再現よく記録できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、単純に液体の上にインクを打滴した場合、インクが打滴された部分と打滴されていない部分との境界では液のレベリング効果が生じ、このレベリングに由来して着滴したインクのドット形状に変化が発生しやすく、このドット形状の変化が細部にわたる画像全体の濃度に関わる再現維持に重要であるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 被記録媒体上に、下記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーを含有する下塗り液を付与する下塗り液付与工程と、付与された前記下塗り液を半硬化させる半硬化工程と、半硬化された前記下塗り液上に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを吐出して画像を記録する記録工程と、を含むインクジェット記録方法である。
Figure 2008105376
前記一般式(I)及び(II)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは二価の連結基を表し、R及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。nは、環状炭化水素構造の形成に必要な原子団を表し、環状炭化水素構造は炭化水素結合と共にカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。kは1〜6の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。k個存在するR及びX、q個存在するR、並びにr個存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。一般式(I)ではアダマンタン骨格中の一炭素原子がカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換されていてもよく、一般式(II)ではノルボルネン骨格中の一炭素原子がエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換されていてもよい。
<2> 前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーの少なくとも一種が単官能モノマーであることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録方法である。
<3> 前記一般式(II)で表されるモノマーは、下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表されるモノマーであることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法である。
Figure 2008105376
前記一般式(III)、(IV)及び(V)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは二価の連結基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。kは1〜6の整数を表し、s、t及びuはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。s個存在するR、t個存在するR、及びu個存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
<4> 前記下塗り液は、活性エネルギー線の照射により硬化することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<5> 前記下塗り液及び吐出された前記インクの硬化を更に促進する工程を更に含むことを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<6> 前記インクの硬化感度が、前記下塗り液の硬化感度と同等以上であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<7> 被記録媒体上に、下記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーを含有する下塗り液を付与する下塗り液付与手段と、前記被記録媒体の移動方向における前記下塗り液付与手段の下流に配置され、前記下塗り液の少なくとも一部にエネルギーを付与し、前記下塗り液を半硬化させる下塗り液半硬化手段と、前記被記録媒体の移動方向における前記下塗り液半硬化手段の下流に配置され、半硬化された前記下塗り液上に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを吐出して画像を記録する画像記録手段と、を備えたインクジェット記録装置である。
Figure 2008105376
上記と同様に、式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは二価の連結基を表し、R及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。nは、環状炭化水素構造の形成に必要な原子団を表し、環状炭化水素構造は炭化水素結合と共にカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。kは1〜6の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。k個存在するR及びX、q個存在するR、並びにr個存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。一般式(I)ではアダマンタン骨格中の一炭素原子がカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換されていてもよく、一般式(II)ではノルボルネン骨格中の一炭素原子がエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換されていてもよい。
<8> 前記被記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される前記被記録媒体の搬送路における前記画像記録手段の搬送方向下流に配置され、前記画像記録手段により画像が記録された被記録媒体に活性エネルギー線を照射し、前記下塗り液及び吐出された前記インクの硬化を更に促進させる活性エネルギー線照射手段と、を更に備え、前記画像記録手段は、前記被記録媒体の搬送方向と直交する方向と平行に配置され、前記被記録媒体の記録可能な全幅に対応した長さを有する少なくとも1つのライン型インクジェットヘッドを用いて、前記インクを吐出することを特徴とする前記<7>に記載のインクジェット記録装置である。
本発明によれば、被記録媒体に依らず、種々の被記録媒体間における画像均一性に優れ、インク滲み並びに液滴間の合一に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制できる(ドット再現性を有する)と共に、インクが打滴された打滴領域と非打滴領域との境界でドット形状を維持し、画像形態に関わらず細部にわたり再現よく記録できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体上に、以下に示す一般式(I)又は(II)で表されるモノマー(以下、「特定モノマー」ともいう。)を含有する下塗り液を付与する下塗り液付与工程と、付与された前記下塗り液を半硬化させる半硬化工程と、半硬化された前記下塗り液上に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを吐出して画像を記録する記録工程とを設けて構成したものである。また、必要に応じて、インクを半硬化させる工程等の他の工程を設けて構成することができる。
一般にインクジェット記録方法においては、高い画像濃度を得るために互いに重なり部分を有して付与された隣接のインク液滴が、乾燥前に被記録媒体上に留まって接触するため、隣接のインク液滴が互いに合一して画像の滲みや細線の線幅の不均一が発生し、先鋭な画像の形成性が損なわれやすい。しかし、本発明のインクジェット記録方法においては、被記録媒体上に下塗り液を付与し、下塗り液を半硬化させる構成とすることにより、半硬化された下塗り液上にインク液滴が互いに重なり部分を有して付与されても、下塗り液とインク液滴の相互作用により、これら隣接のインク液滴間の合一を抑えることができる。これにより、画像の滲み、画像中の細線などの線幅の不均一及び着色面の色ムラの発生が効果的に防止される。
しかも、本発明における下塗り液は特定モノマーを用いて構成することで、半硬化時に受ける酸素による重合阻害の影響を抑えて液内部のみならず酸素に触れる表面まで半硬化させた状態(すなわち液内部と表面との間の硬化差が小さい状態)を形成し、例えば唐松模様などインク着滴の有無が存在する場合のインクの着滴部から非着適部への流れが抑制されるので、着滴部と非着滴部の境界でのドット形状を維持することができ、境界を縁取るような濃度の変化や画像のボケを防止することができる。これにより、細部にわたる画像全体の濃度を再現良く保ち、くっきりとした良好な画像の再現性を向上させることができる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体として液体吸収性の低い非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体に画像を記録する場合に有効である。
ここで、隣接のインク液滴とは、単一色のインクを用いてインク吐出口から打滴される液滴であって重なり部分を有して打滴されるもの、あるいは色違いのインクを用いてインク吐出口から打滴される液滴であって重なり部分を有して打滴されるものを意味する。隣接のインク液滴は、打滴が同時である液滴であってもよいし、先行打滴と後続打滴の関係である先行液滴と後続液滴であってもよい。
本発明においては、画像を形成するための液体として、少なくとも1種のインクと少なくとも1種の下塗り液とを用いる。下塗り液はインクと組成が異なることが好ましい。また、下塗り液は、被記録媒体上にインク液滴の吐出によって形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に付与することが好ましい。
また、本発明におけるインクは、複数色のインクを多色インクセットとして用いることが好ましい。更に多色インクセットを用いる場合、各色のインク吐出後に更にそのインク液滴を半硬化(インク液滴内部のみを硬化)させる構成とすることができる。
本発明のインクジェット記録方法の具体的な構成の1つは、被記録媒体に打滴される複数色のインク液滴が画像を形成するための重合性又は架橋性の材料を含有しており、かつ、このインクと組成が異なり、後述の本発明における特定モノマーと共に重合性又は架橋性の材料を含有する下塗り液を、前記インク液滴で形成される画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与する工程と、被記録媒体上に付与された前記下塗り液に活性エネルギー線又は熱を与えて半硬化させる工程と、半硬化させた後、この下塗り液上に複数色のインク液滴を打滴する工程と、を設けた構成である。
また、上記のように予め下塗り液を付与しておき、その後に少なくとも所望のインク液滴(好ましくは多色のインク液滴)の全てを打滴した後には、インクに対する優れた定着性を得る観点から、例えばエネルギーを付与することで、下塗り液及び吐出されたインクの硬化を更に促進して記録画像を定着する工程(以下、定着工程と称する。)を設けることが好ましい。
−下塗り液付与工程、記録工程−
下塗り液付与工程では、被記録媒体上に下塗り液を付与する。下塗り液は、少なくとも一般式(I)又は(II)で表されるモノマー(特定モノマー)を含有し、好ましくはラジカル重合性組成物、界面活性剤を用いて構成することができる。また、必要に応じて更に他の成分を用いて構成することができる。下塗り層を構成する各成分及び被記録媒体の詳細については後述する。
記録工程では、後述の半硬化工程で半硬化された下塗り液上に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを吐出して画像を記録する。インクは、インクジェットノズル等を用いて液滴状にして半硬化された下塗り液上に付与される。
本発明のインクジェット記録方法においては、下塗り液を塗布装置又はインクジェットノズル等を用いて被記録媒体に付与することができる。
(i)塗布装置を用いた塗布
本発明においては、塗布装置を用いて下塗り液を被記録媒体上に塗布し、その後にインク液滴をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様が好ましい。なお、インクジェットノズルについては後述する。
前記塗布装置としては、特に制限はなく、公知の塗布装置の中から目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照できる。
(ii)インクジェットノズルによる吐出
本発明においては、インクジェットノズルによって下塗り液を吐出し、その後にインク液滴をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様もまた好ましく用いられる。なお、インクジェットノズルについては後述する。
インクジェットノズルによって下塗り液を塗布する条件としては、インク描画用のヘッドよりも吐出液滴量が大きくノズル密度の低いヘッドを被記録媒体の巾方向にフルラインヘッドユニットとして配置し、それによって下塗り液を吐出するのが望ましい。このような吐出液滴量が大きいヘッドは、一般に吐出力が大きいため、高粘度な下塗り液に対応しやすく、またノズルのつまりにも有利である。また吐出液滴量が大きいヘッドを使用した場合には、被記録媒体搬送方向の下塗り液の打滴解像力も落とせるため、駆動周波数が低い安価なヘッドを適用できるという利点もある。
また、上記いずれの態様においても、下塗り液及びインク液滴以外の他の液体を更に付与することができる。他の液体の付与については、塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる吐出など、いかなる方法で被記録媒体上に付与してもよく、付与のタイミングも特に限定されるものではない。他の液体が着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの吐出による方法が好ましく、下塗り液を付与した後に付与することが好ましい。
次に、インクジェットノズルによる吐出の方式(インクジェット記録方式)について説明する。
本発明においては、例えば、静電力を利用してインクを吐出させる静電誘引方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式、等の公知の方式が好適である。
なお、インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明において、半硬化した下塗り液上に吐出を行なうインクは、0.1pL(ピコリットル;以下同様)以上100pL以下の液滴サイズにて(好ましくはインクジェットノズルにより)打滴されることが好ましい。液滴サイズが前記範囲内であると、高鮮鋭度の画像を濃度で描写できる点で有効である。また、より好ましくは0.5pL以上50pL以下である。
また、下塗り液の付与量(単位面積あたりの質量比)としては、インク液滴量を1とした場合に0.05〜5の範囲内であることが好ましく、0.07〜4の範囲内がより好ましく、0.1〜3の範囲内が特に好ましい。
下塗り液を半硬化した後、インク液滴が打滴されるまでの打滴間隔としては、5μ秒以上10秒以下の範囲内であることが好ましい。打滴間隔が前記範囲内であると、本発明の効果を顕著に奏し得る点で有効である。インク液滴の打滴間隔は、より好ましくは10μ秒以上5秒以下であり、特に好ましくは20μ秒以上5秒以下である。
また、記録工程では、多色のインクを含むインクセットを用いて多色画像の記録を行なうことができる。この場合、微細像の再現、色再現の点で、被記録媒体上に吐出される複数色のインクのうち、1色もしくは2色以上のインクを半硬化させる工程を設けた構成が好ましい。
−半硬化工程−
半硬化工程では、前記下塗り液付与工程で付与された下塗り液を半硬化する。
本発明においては、下塗り液の付与後から記録工程における少なくとも1種のインク液滴の打滴までの間に、付与された下塗り液を半硬化させる工程を設ける。
ここで下塗り層の半硬化について説明する。
本発明において、「半硬化」とは、部分的な硬化(partially cured; partial curing)を意味し、下塗り層が部分的に硬化しているが完全に硬化していない状態をいう。被記録媒体(基材)上に適用された下塗り層が半硬化している場合、硬化の程度は不均一であってもよい。例えば、下塗り層は深さ方向に硬化が進んでいることが好ましい。
ラジカル重合性の下塗り層を、空気中又は部分的に不活性ガスで置換した空気中で使用する場合には、酸素のラジカル重合抑制作用のために、下塗り層の表面においてラジカル重合が阻害される傾向がある。この結果、硬化は不均一となり、下塗り層の内部でより硬化が進行し、表面の硬化が遅れる傾向となる。
カチオン重合性の下塗り層を、湿気を有する空気中で使用する場合にも、水分のカチオン重合阻害作用があるために、下塗り層の内部でより硬化が進行し、表面の硬化が遅れる傾向となる。
本発明において、ラジカル光重合性の下塗り層を、ラジカル重合抑制的な酸素の共存下で使用して、部分的に光硬化すると、下塗り層の硬化度は外部よりも内部の方が高くなる。
半硬化の状態の下塗り層上にインク(着色液)が打滴されると、被記録媒体上に形成される画像の品質に好ましい技術的効果をもたらす。また、その作用機構は画像が形成された被記録媒体の断面観察により確認できる。
基材上に設けられた、厚さが約5μmの半硬化状態の下塗り層上に約12pLのインクを打滴した場合の高濃度部分を一例として説明する。
本発明によれば、下塗り層は半硬化されており、基材に近い側の方が基材から遠い側よりも硬化度が高い。この場合には、3つの特徴が観察される。すなわち、図6に示すように、(1)インク24の一部は表面22に出ている、(2)インク24の一部は下塗り層20に潜り込んでいる、かつ、(3)インク24と基材26との間には下塗り液20が存在する。すなわち、半硬化状態の下塗り層20上にインク24を付与することによって得られた画像が形成された被記録媒体は、図6で模式的に示されるような断面を有している。上記の(1)、(2)及び(3)の状態を満たす場合には、半硬化した下塗り層にインクが付与されたといえる。この場合には、高密度に打滴されたインク滴は相互に繋がって着色膜を形成しており、均一で高い色濃度を与える。
これに対して、未硬化状態の下塗り層にインクを打滴した場合は、図7(a)のようにインク24の全部が下塗り層20に潜り込んだ状態、及び/又は、図7(b)のようにインク24と基材26との間に下塗り液20が存在しない状態となる。この場合は、高密度にインクを付与しても、液滴同士が独立するため、色濃度が低下する原因となる。このような未硬化状態の下塗り層20上にインク24を付与することによって得られた画像が形成された被記録媒体は、図7(a)及び図7(b)で模式的に示すような断面を有している。
また、完全に硬化した下塗り層にインクを打滴した場合は、図7(c)のように、インク24は下塗り層20に潜り込まない状態となる。このような状態は、打滴干渉の発生の原因となり、均一なインク膜が形成できず、色再現性の低下を招く。このような完全硬化状態の下塗り層上にインクを付与することによって得られた画像が形成された被記録媒体は、図7(c)で模式的に示されるような断面を有している。
高密度にインク液滴を付与した場合に液滴同士が独立することなく、均一なインクの液層を形成する観点、および、打滴干渉の発生を抑制する観点から、単位面積当たりの下塗り層の未硬化部の量は、単位面積当たりに付与するインクの最大液滴量よりも十分に少ないことが好ましい。すなわち、下塗り層の未硬化部の単位面積当たりの質量M(下塗り液)と単位面積当たりに吐出するインクの最大質量mの関係は、「m(インク)/30 < M(下塗り層) < m(インク)」であることが好ましく、「m(インク)/20 < M(下塗り層) < m(インク)/3」であることがさらに好ましく、「m(インク)/10 < M(下塗り層) < m(インク)/5」であることが特に好ましい。ここで、単位面積当たりに吐出するインクの最大質量は1色当たりの最大質量である。
m(インク)/30 < M(下塗り層)であると打滴干渉の発生を防止でき、さらに、ドットサイズ再現性に優れる。また、M(下塗り液) < m(インク)であると均一なインクの液層を形成でき、高い濃度が得られる。
尚、単位面積当たりの下塗り層の未硬化部の質量は、以下に述べる転写試験により求められるものである。半硬化過程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後)であってインクの液滴を打滴する前に、普通紙などの浸透媒体を半硬化状態の下塗り層に押し当てて、浸透媒体に転写された下塗り層の液の質量測定によって求められる。
例えば、インクの最大吐出量が、600×600dpiの打滴密度で、1画素当たり12ピコリットルであったとすると、単位面積当たりに吐出するインクの最大質量mは、0.04g/cmとなる(ここでは、インクの密度を約1.1g/cmと仮定)。従って、好ましい下塗り層の未硬化部の質量は、単位面積当たり0.0013g/cmより大きく0.04g/cm未満であり、更に好ましくは0.002g/cmより大きく0.013g/cm未満であり、特に好ましくは0.004g/cmより大きく0.008g/cmである。
また、2色のインク(ここでは、インクAおよびインクBとする。)で2次色を形成する場合には、一方を半硬化し、例えば半硬化状態のインクA上にインクBを付与することができる。半硬化状態のインクA上にインクBを打滴した場合は、図8に示すように、インクB28の一部がインクA24に潜り込み、かつ、インクB28の下層にはインクA24が存在する状態となる。すなわち、半硬化状態のインクA24上にインクB28を付与することによって得られた画像が形成された被記録媒体は、図8で模式されるような断面を有している。インクA硬化膜及びインクB硬化膜が積層された状態により、良好な色再現が可能となる。
これに対して、未硬化状態のインクAにインクBを打滴した場合は、図9(a)のようにインクB28の全部がインクA24に潜り込むか、及び/又は、図9(b)のようにインクB28の下層にインクA24が存在しない状態となる。この場合は、高密度にインクB液滴を付与しても、液滴同士が独立するため、2次色の彩度低下の原因となる。このような未硬化状態のインクA24上にインクB28を付与することによって得られた印刷物は、図9(a)及び図9(b)で模式されるような断面を有している。
また、完全に硬化したインクAにインクBを打滴した場合は、図9(c)のように、インクB28はインクA24に潜り込まない状態となる。このような状態は、打滴干渉の発生の原因となり、均一なインク層が形成できず、色再現性の低下を招く。このように完全硬化状態のインクA24上にインクB28を付与することによって得られた画像が形成された被記録媒体は、図9(c)で模式されるような断面を有している。
高密度にインクBの液滴を付与した場合に液滴同士が独立することなく、均一なインクBの液層を形成する観点、及び打滴干渉の発生を抑制する観点から、単位面積当たりのインクAの未硬化部の量は、単位面積当たりに付与するインクBの最大液滴量よりも充分に少ないことが好ましい。すなわち、インクA層の未硬化部の単位面積当たりの質量M(インクA)と単位面積当たりに吐出するインクB層の最大質量m(インクB)の関係は、「m(インクB)/30 < M(インクA) < m(インクB)」であることが好ましく、「m(インクB)/20 < M(インクA) < m(インクB)/3」であることが更に好ましく、「m(インクB)/10 < M(インクA) < m(インクB)/5」であることが特に好ましい。
m(インクB)/30 < M(インクA)であると打滴干渉の発生を防止でき、さらに、ドットサイズ再現性に優れる。また、M(インクA) < m(インクB)であると均一なインクの液層を形成でき、高い濃度が得られる。
尚、単位面積当たりのインクAの未硬化部の質量は、以下に述べる転写試験により求められるものである。半硬化過程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後)であってインクBの液滴を打滴する前に、普通紙などの浸透媒体を半硬化状態のインクA層に押し当てて、浸透媒体に転写したインクA層の液の質量測定によって求められる。
例えば、インクBの最大吐出量が、600×600dpiの打滴密度で、1画素当たり12ピコリットルであったとすると、単位面積当たりに吐出するインクBの最大質量m(インク)は、0.04g/cmとなる(ここでは、インクBの密度を約1.1g/cmと仮定)。従って、好ましいインクA層の未硬化部の質量は、単位面積当たり0.0013g/cmより大きく0.04g/cm未満であり、更に好ましくは0.002g/cmより大きく0.013g/cm未満であり、特に好ましくは0.004g/cmより大きく0.008g/cm未満である。
エチレン性不飽和化合物又は環状エーテルに基づく硬化反応の場合には、未重合率をエチレン性不飽和基又は環状エーテル基の反応率により定量的に測定することができる(後述)。
前記下塗り液及び/又はインクの半硬化状態を活性エネルギー線の照射や加熱によって開始する重合性化合物の重合反応によって実現する場合は、印刷物の擦過性を向上させる観点から、非重合率(A(重合後)/A(重合前))は、0.2以上0.9以下であることが好ましく、0.3以上0.9以下であることがより好ましく、0.5以上0.9以下であることが特に好ましい。
ここで、A(重合後)は、重合反応後の重合性基による赤外吸収ピークの吸収光度であり、A(重合前)は、重合反応前の重合性基による赤外吸収ピークの吸光度である。例えば、下塗り液および/またはインクの含有する重合性化合物がアクリレートモノマーもしくはメタクリレートモノマーである場合は、810cm−1付近に重合性基(アクリレート基、メタクリレート基)に基づく吸収ピークが観測でき、該ピークの吸収光度で、前記重合率を定義することが好ましい。また、重合性化合物がオキセタン化合物である場合は、986cm−1付近に重合性基(オキセタン環)に基づく吸収ピークが観測でき、該ピークの吸収光度で、前記重合率を定義することが好ましい。重合性化合物がエポキシ化合物である場合は、750cm−1付近に重合性基(エポキシ基)に基づく吸収ピークが観測でき、該ピークの吸収光度で、前記重合率を定義することが好ましい。
また、赤外吸収スペクトルを測定する手段としては、市販の赤外分光光度計を用いることができ、透過型および反射型のいずれでも良く、サンプルの形態で適宜選択することが好ましい。例えば、BIO−RAD社製赤外分光光度計FTS−6000を用いて測定することができる。
さらに、好ましい半硬化状態は、半硬化状態にした下塗り層上に打滴したインク液滴の断面を観察することによって判断することできる。
断面観察の方法は、特に限定されるものではないが、例えば市販のミクロトームと市販の光学顕微鏡を用いることができる。また、半硬化状態にした下塗り層上に打滴したインク液滴のサイズとしては、1ピコリットルから100ピコリットルの範囲内であることが好ましく、さらには、実際に用いるインク液滴サイズと等しいことが好ましい。また、断面観察時には半硬化膜を何らかの方法で固化させておくことが好ましい。固化させる方法としては特に限定されるものではないが、冷凍や重合による硬化などを用いることができる。
下塗り層を半硬化させる方法としては、(1)酸性ポリマーに対して、塩基性化合物を付与する、又は塩基性ポリマーに対して、酸性化合物、金属化合物を付与するなど、いわゆる凝集現象を用いる方法、(2)下塗り液を予め高粘度に調製し、これに低沸点有機溶媒を添加することによって低粘化しておき、低沸点有機溶媒を蒸発させて元の高粘度に戻す方法、(3)高粘度に調製した下塗り液を加熱して低粘化しておき、冷却することによって元の高粘度に戻す方法、(4)下塗り液に活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法など、既知の増粘方法が挙げられる。中でも(4)下塗り液に活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法が好ましい。
活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法とは、被記録媒体に付与された下塗り層の表面における重合性化合物の重合反応を不充分に行なう方法である。前記下塗り層の表面においてはその内部と比べて空気中の酸素の影響で重合反応が阻害され易い。したがって活性エネルギー線又は熱の付与条件を制御することにより、下塗り層の半硬化を起こさせることができる。
下塗り液の半硬化に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、活性エネルギー線によりエネルギーを付与する場合には、一般には1〜500mJ/cm程度が好ましい。また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
活性光や加熱などの活性エネルギー線又は熱の付与により、重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性又は架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応が促進される。
また、増粘(粘度上昇)も、活性光の照射、又は加熱によって好適に行なうことができる。
以上、下塗り層の半硬化を中心に説明したが、インクの半硬化においても同様である。
「半硬化」状態における下塗り液の粘度(25℃)は、5000mPa・s以上100000mPa・s未満であることが好ましい。下塗り液の粘度は、掻き集めた下塗り層(25℃)を市販の粘度計(例えば、マルヤス工業(株)製のラボ用ハンディ型デジタル粘度計ビスコスティック)で測定されるものである。
また、半硬化状態における下塗り液の内部の粘度(25℃)は、下塗り液とインク液滴との間の相互作用で隣接するインク滴間の合一を抑える点で、半硬化状態における表面部分の下塗り液の粘度(25℃)の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上であることが好ましい。
半硬化した下塗り液の重合性化合物の重合度の目安としては、1%以上70%以下が好ましく、5%以上60%以下がより好ましく、10%以上50%以下が特に好ましい。前記重合度はIRなどによって測定できる。
活性エネルギー線の詳細については、後述の定着工程における場合と同様であり、例えば、紫外線、可視光線など、並びにα線、γ線、X線、電子線などが挙げられ、コスト及び安全性の点で、紫外線、可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
−定着工程−
定着工程は、上記の下塗り液付与工程、半硬化工程、及び記録工程の後に設けられる。この定着工程では、例えばエネルギーを付与することで、下塗り液及び吐出されたインクの硬化を更に促進して、記録画像を固定化する。
重合性又は架橋性材料を含む場合に、エネルギーの付与により、これらの重合又は架橋による硬化反応を促進させて、より強固な画像をより効率よく形成することができる。例えば重合開始剤を含む系では、活性エネルギー線や加熱などの活性エネルギーの付与により重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性又は架橋性材料の重合又は架橋による硬化反応が促進される。
エネルギーの付与は、活性エネルギー線の照射又は加熱によって好適に行なうことができる。
活性エネルギー線には、後述する画像固定用の活性光と同様のものを使用することができ、例えば、紫外線、可視光線など、並びにα線、γ線、X線、電子線などが挙げられ、コスト及び安全性の点で、紫外線、可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
また、加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行なうことができ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等の全面露光による加熱手段等が好適である。加熱手段としての露光に好適な光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
活性光の照射によりエネルギーを付与する場合に、硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般には100〜10000mJ/cm程度が好ましい。また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
(インク及び下塗り液の硬化感度)
本発明においては、前記インクの硬化感度が、前記下塗り液の硬化感度と同等又はそれ以上であることが好ましい。より好ましくは、インクの硬化感度が、下塗り液の硬化感度以上かつ下塗り液の硬化感度の4倍以下である。更に好ましくは、インクの硬化感度が、下塗り液の硬化感度以上かつ下塗り液の硬化感度の2倍以下である。
ここで硬化感度とは、水銀灯(超高圧、高圧、中圧等、好ましくは超高圧水銀灯)を使用してインク及び/又は下塗り液を硬化する場合において、完全に硬化するために必要なエネルギー量をいい、前記エネルギー量が小さいほど高感度である。したがって硬化感度が2倍であるとは前記エネルギー量が1/2であることを意味する。
また、硬化感度が同等であるとは、比較する両者の硬化感度の差が2倍以下であり、より好ましくは1.5倍以下であることをいう。
(インク及び下塗り液の物性)
インクジェット記録方式によって被記録媒体上に吐出されるインク(液滴)の物性については、装置により異なるが一般には25℃での粘度が、5〜100mPa・sの範囲内であることが好ましく、10〜80mPa・sがより好ましい。また、下塗り液の半硬化前の粘度(25℃)は100〜5000mPa・sの範囲内であることが好ましく、200〜3000mPa・s以内がより好ましい。
本発明においては、被記録媒体上に目的の大きさのドットを形成する観点から、下塗り液は界面活性剤を含有することが好ましく、下記の条件(A)、(B)及び(C)の全てを満たすことが好ましい。
(A)下塗り液の表面張力は、いずれかのインクの表面張力よりも小さい。
(B)下塗り液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、
γs(0)−γs(飽和)>0(mN/m)
の関係を満たす。
(C)下塗り液の表面張力は、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2
の関係を満たす。
ここで、γsは、下塗り液の表面張力の値である。γs(0)は、下塗り液の組成のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力の値である。γs(飽和)は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに表面張力が飽和した該液の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たす全ての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
〈条件(A)〉
本発明において、前述の通り、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、下塗り液の表面張力γsを、いずれかのインクの表面張力γkよりも小さくすることが好ましい。
さらに、着滴から露光までの間のインクドットの拡大をより効果的に防ぐ観点から、γs<γk−3(mN/m)であることがより好ましく、γs<γk−5(mN/m)であることが特に好ましい。
また、フルカラーの画像を印字する場合は、画像の鮮鋭性を向上させる観点から、下塗り液の表面張力γsは、少なくとも視感度の高い着色剤を含有するインクの表面張力よりも小さくすることが好ましく、全てのインクの表面張力より小さくすることがより好ましい。なお、視感度の高い着色剤としては、マゼンタ、ブラック及びシアンの色を呈する着色剤が挙げられる。
また、インクの表面張力γkと下塗り液の表面張力γsの値が上記の関係を満たしていても、両者の値が15mN/m未満であるとインクジェット打滴時に液滴の形成が困難になり不吐出が生じる場合がある。一方、50mN/mを超えると、インクジェットヘッドとの濡れ性が悪くなり不吐出の問題が生じる場合がある。したがって、吐出適正の観点から、インクの表面張力γkと下塗り液の表面張力γsとは、それぞれ15mN/m以上50mN/m以下の範囲内であることが好ましく、18mN/m以上40mN/m以下の範囲内であることがより好ましく、20mN/m以上38mN/m以下の範囲内であることが特に好ましい。
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温20℃、60%RHにて測定した値である。
〈条件(B)と条件(C)〉
本発明において、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、下塗り液は少なくとも1種類以上の界面活性剤を含有することが好ましい。なお、この場合は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、下記の条件(B)を満たすことが好ましい。
γs(0)−γs(飽和)>0(mN/m) …条件(B)
さらに、下塗り液の表面張力は、下記の条件(C)の関係を満たすことが好ましい。
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2 …条件(C)
既述のように、γsは、下塗り液の表面張力の値である。また、γs(0)は、下塗り液の組成のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力の値である。γs(飽和)は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに表面張力が飽和した該液の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、下塗り液に含有する界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たす全ての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
なお、前記γs(0)は、下塗り液の組成のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力値を測定することによって得られる。また、前記γs(飽和)は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の含有濃度を0.01質量%ずつ増加させた場合に、界面活性剤濃度の変化に対する表面張力の変化量が0.01mN/m以下になったときの該液の表面張力を測定することによって得られる。
以下、前記γs(0)、γs(飽和)、γs(飽和)最大について具体的に説明する。
例えば、下塗り液(例1)を構成する成分が、高沸点溶媒(フタル酸ジエチル、和光純薬工業(株)製)、重合性材料(ジプロピレングリコールジアクリレート、Akcros社製)、重合開始剤(TPO、下記の開始剤−1)、フッ素系界面活性剤(メガファック F475、大日本インキ化学工業(株)製)、炭化水素系界面活性剤(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム)とした場合、γs(0)、γs(飽和)(フッ素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)(炭化水素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)、及び、γs(飽和)最大は、下記の通りとなる。
Figure 2008105376
即ち、γs(0)は、下塗り液のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力値であり、36.7mN/mとなる。また、該液に前記フッ素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液の表面張力の飽和値をγs(飽和)としたとき、その値は20.2mN/mとなる。さらに、同様に該液に前記炭化水素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液の表面張力の飽和値をγs(飽和)としたとき、その値は30.5mN/mとなる。
前記下塗り液(例1)は、前記条件(B)を満たす界面活性剤を2種類含有するため、γs(飽和)は、フッ素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和))と炭化水素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和))の2つの値をとり得る。ここでγs(飽和)最大は、前記γs(飽和)及びγs(飽和)のうちの最大値であることから、γs(飽和)の値となる。
以上より、それらを纏めると下記のようになる。
γs(0)=36.7mN/m
γs(飽和)=20.2mN/m(フッ素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)=30.5mN/m(炭化水素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)最大=30.5mN/m
以上の結果から、下塗り液の表面張力γsとしては、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2=33.6mN/m
の関係を満たすことが好ましい。
なお、前記条件(C)については、着滴から露光までの間のインク滴の拡大をより効果的に防ぐ観点から、下塗り液の表面張力としては、
γs<γs(0)−3×{γs(0)−γs(飽和)最大}/4
の関係を満たすことがより好ましく、
γs≦γs(飽和)最大
の関係を満たすことが特に好ましい。
インク及び下塗り液は、所望の表面張力が得られるように組成を選択すればよいが、これらの液体は界面活性剤を含有することが好ましい。既述のように、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、下塗り液は少なくとも1種の界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤について以下に説明する。
(界面活性剤)
本発明における界面活性剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブチルカルビトール、シクロヘキサノン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、メタノール、水、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、好ましくは、ヘキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、特に好ましくは、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質である。
上記に列挙した溶媒に対して、ある化合物が強い表面活性を有する物質か否かは、下記の手順によって判断することができる。
(手順)
上記に列挙した溶媒から1種類の溶媒を選択し、該溶媒の表面張力γ溶媒(0)を測定する。前記γ溶媒(0)を求めた溶媒と同じ液に該化合物を添加し、該化合物の濃度を0.01質量%ずつ増加させ、該化合物濃度の変化に対する表面張力の変化が0.01mN/m以下になったときの溶液の表面張力γ溶媒(飽和)を測定する。前記γ溶媒(0)と前記γ溶媒(飽和)の関係が、
γ溶媒(0) − γ溶媒(飽和) > 1 (mN/m)
であれば、該化合物は該溶媒に対して強い表面活性を有する物質であると判断することができる。
下塗り液に含有する界面活性剤の具体例としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。その他、界面活性剤としては、例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。
−被記録媒体−
本発明のインクジェット記録方法においては、被記録媒体として、浸透性の被記録媒体、非浸透性の被記録媒体、及び緩浸透性の被記録媒体のいずれも使用することができる。中でも、本発明の効果がより顕著に奏される観点から、非浸透性ないし緩浸透性の被記録媒体が好ましい。ここで浸透性の被記録媒体とは、例えば、10pL(ピコリットル)の液滴を被記録媒体上に滴下した場合に、全液量が浸透するまでの時間が100ms以下である被記録媒体をいう。また、非浸透性の被記録媒体とは、実質的に液滴が浸透しない被記録媒体をいう。「実質的に浸透しない」とは、例えば、1分後の液滴の浸透率が5%以下であることをいう。また、緩浸透性の被記録媒体とは、10pLの液滴を被記録媒体上に滴下した場合に、全液量が浸透するまでの時間が100ms以上である被記録媒体をいう。
浸透性の被記録媒体としては、例えば、普通紙、多孔質紙及びその他液を吸収できる被記録媒体が挙げられる。
非浸透性ないし緩浸透性の被記録媒体としては、例えば、アート紙、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器及び木材等が挙げられる。また本発明においては、機能付加の目的で、これら材質を複数組み合わせて複合化した被記録媒体も使用できる。
前記合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も使用可能であるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられる。合成樹脂を用いた場合の被記録媒体の厚みや形状としては、特に限定されるものではなく、フィルム状、カード状、ブロック状のいずれの形状でもよく、また透明又は不透明のいずれであってもよい。
前記合成樹脂の使用形態としては、いわゆる軟包装に用いられるフィルム状にして用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチックス及びそのフィルムを用いることができる。プラスチックスフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム、PPフィルム等が挙げられる。その他プラスチックスとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などを使用できる。
前記樹脂コート紙としては、例えば、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体等が挙げられる。特に好ましいのは、紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
前記金属としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、シリコン、鉛、亜鉛等及びステンレス等、並びにこれらの複合材料が好適である。
また更に、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスク等を用いることも可能であり、レーベル面側にインクジェット記録することができる。
−インク及び下塗り液−
以下、本発明のインクジェット記録方法に用いるインク及び下塗り液について詳細に説明する。
インクは、少なくとも画像を形成するための組成となるように構成される。インクは、重合性又は架橋性材料の少なくとも1種を含むことが好ましく、必要に応じて重合開始剤、親油性溶剤、着色剤及び他の成分を用いて構成される。
下塗り液は、少なくとも下記一般式(I)又は(II)で表されるモノマー(特定モノマー)を含有し、前記インクと組成が異なるように構成されることが好ましい。また、下塗り液は、重合性又は架橋性材料の少なくとも1種を含むことが好ましく、必要に応じて重合開始剤、親油性溶剤、着色剤及び他の成分を用いて好適に構成することができる。
前記重合開始剤は、活性エネルギー線によって重合反応又は架橋反応を開始させ得るものであることが好ましい。これにより、被記録媒体に付与された下塗り液を活性エネルギー線の照射によって硬化させることができる。
また、下塗り液はラジカル重合性組成物を含むことが好ましい。本発明におけるラジカル重合性組成物とは、少なくとも1種のラジカル重合性材料と少なくとも1種のラジカル重合開始剤とを含む組成物である。これにより、下塗り液の硬化反応を高感度に短時間で行なうことができる。
本発明におけるインクは、着色剤を含有するものであることが好ましい。また、これと組合わせて用いられる下塗り液は、着色剤を含有しないもしくは着色剤の含有量が1質量%未満の構成、又は、下塗り液が着色剤として白色顔料を含む構成のいずれかであることが好ましい。以下、各液体を構成する各成分について詳述する。
(モノマー)
本発明における下塗り液は、下記一般式(I)又は(II)で表されるモノマー(特定モノマー)の少なくとも一種を含有する。一般に重合硬化は酸素による重合阻害の影響を受けて液内部より表面での進行が遅れる傾向にあるが、特定モノマー、特にアダマンタン骨格もしくはノルボルネン骨格を有するモノマーを下塗り液に含有することにより、半硬化させる際の液表面での重合進行が保たれる。すなわち、半硬化工程では液内部のみならず液表面も半硬化状態にできるので、半硬化していない表面にインクが着滴する場合に生ずる、インク着滴部から非着滴部へのインク流れを効果的に防止でき、インク着滴部と非着滴部の境界でのドット形状を維持することができる。
Figure 2008105376
一般式(I)又は(II)におけるRは、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子など)、又は炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t−ブチルなど)を表す。原材料入手の容易性の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。また、k個存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(I)又は(II)におけるXは、二価の連結基を表す。二価の連結基としては、エーテル基(−O−)、エステル基(−C(O)O−もしくは−OC(O)−)、アミド基(−C(O)NR’−)、カルボニル基(−C(O)−)、イミノ基(−NR’−)、無置換でも置換基を有してもよい炭素数1〜15のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、ブチレン、オクチレンなど)、又はこれらを2以上組み合わせた二価の基が好適に挙げられる。R’は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t−ブチル、n-オクチル、イソオクチル、t-オクチル、ドデカニル、オクタデカニル、シクロヘキシルなど)、又は炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルなど)を表す。k個存在するXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、Xのビニル基と結合する端部は、Xのカルボニル炭素とビニル基とが結合するエステル基又はアミド基であることが好ましく、その場合、アダマンタン骨格もしくはノルボルネン骨格と結合するXの他の部分は、単結合であっても前記基から任意に選択されたもののいずれであってもよい。
一般式(I)又は(II)において、R及びXを含むビニル部分(HC=C(R)−X−)の置換数kは1〜6の整数を表す。R及びXを含むビニル部分は、各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。なお、「各脂環式炭化水素構造上」とは、一般式(I)におけるアダマンタン構造上、一般式(II)におけるノルボルネン構造上、及びnを含む環状炭化水素構造上をさす。
また、色材との親和性を向上させる観点から、一般式(I)又は(II)におけるXの脂環式炭化水素構造と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましく、一般式(I)又は(II)におけるXは、−C(O)O(CHCHO)−(pは1又は2を表す。)であることがさらに好ましい。
一般式(I)又は(II)におけるR及びRは、それぞれ独立に置換基を表し、各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、Rの置換数qは、0〜5の整数を表し、Rの置換数rは0〜5の整数を表す。q個存在するR、及びr個存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
q個存在するR、及びr個存在するRは、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよい。一価の置換基としては、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、置換もしくは無置換の総炭素数30以下の炭化水素基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t−ブチル、n-オクチル、イソオクチル、t-オクチル、ドデカニル、オクタデカニル、シクロヘキシルなど)もしくは複素環基(例えば、3−ピリジル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリルなど)であることが好ましく、多価の置換基としては、オキシ基(=O)であることが好ましい。
一般式(II)中のnは、環状炭化水素構造の形成に必要な原子団を表し、その両端はノルボルネン骨格の任意の位置で置換していてもよく、単環構造であっても、多環構造であってもよい。また、前記環状炭化水素構造として、炭化水素結合と共に、カルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。
また、一般式(I)では、アダマンタン骨格中の一炭素原子がカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換されていてもよく、一般式(II)では、ノルボルネン骨格中の一炭素原子がエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換されていてもよい。
上記のうち、一般式(I)としては、Rが水素原子又はメチル基であって、Xが−C(O)O(CHCHO)−(pは1又は2を表す。)であって、kが1であって、Rが水素原子である場合が特に好ましい。
前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーとしては、一般式(III)、一般式(IV)、又は一般式(V)で表されるモノマーが好ましい。
Figure 2008105376
前記一般式(III)、一般式(IV)、及び一般式(V)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは二価の連結基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。kは1〜6の整数を表し、s、t及びuはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、s個存在するR、t個存在するR、及びu個存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(III)、(IV)及び(V)中のR、X、及びkは、前記一般式(I)及び(II)におけるR、X、及びkとそれぞれ同義であり、好ましい範囲もそれぞれ同様である。
一般式(III)、(IV)及び(V)において、R及びXを含むビニル部分は、前記一般式(III)、(IV)、及び(V)における下記に示す各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。
Figure 2008105376
一般式(III)、(IV)及び(V)におけるR、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を表し、一般式(III)、(IV)、及び(V)における前記の各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。R、R又はRで表される置換基は、一般式(I)又は(II)のR又はRで表される置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(III)、(IV)又は(V)におけるs、t及びuは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、s個存在するR、t個存在するR、及びu個存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記のうち、一般式(III)、(IV)及び(V)としては、それぞれ、Rが水素原子又はメチル基であって、Xが−C(O)O(CHCHO)−(pは1又は2を表す。)であって、kが1であって、かつ一般式(III)ではRが水素原子であって、一般式(IV)ではRが水素原子であって、一般式(V)ではRが水素原子である場合が特に好ましい。
前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーとして、単官能モノマーの好ましい具体例(例示化合物M−1〜M−29)を以下に示す。なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
Figure 2008105376
Figure 2008105376
前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーとして、多官能モノマーの好ましい具体例(例示化合物M−30〜M−38)を以下に示す。
Figure 2008105376
上記の単官能モノマー及び多官能モノマーの中でも、本発明の下塗り液として用いた場合に酸素重合阻害を受けにくい点で、例示化合物M−1、M−10、M−11、M−12、M−13、M−16、又はM−35を用いることが特に好ましい。
また、特定モノマーの市販品としては、前記一般式(II)で表されるモノマーとして、例えば、日立化成(株)製のFA511A、FA512A、FA513A、FA512M、FA513M等、ダイセル・サイテック(株)製のIRR214等、日本化薬(株)製のR−684等、が挙げられる。
前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマー(特定モノマー)は、一種単独で用いる以外に、複数種を併用してもよい。
この特定モノマーの下塗り液中における含有量としては、下塗り液の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。上限については特に制限はないが、98質量%以下が好ましい。特定モノマーの含有量が前記範囲内であると、硬化性に優れ、粘度が適度であると共に、インクの着滴部と非着滴部の境界でのドット形状を維持するのに有効であり、境界を縁取るような濃度の変化や画像のボケを防止して、細部にわたる画像全体の濃度を再現良く保ち、くっきりとした良好な画像の再現性をより向上させることができる。
前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーのうち、少なくとも1つは単官能モノマーであることが好ましく、少なくとも1つは単官能アクリレートであることがより好ましい。単官能モノマーを用いると、良好な硬化性が得られ、硬化膜の柔軟性が得られる点で好ましい。
前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーとして、単官能モノマーを有する場合、単官能モノマーの下塗り液中に占める割合は、1〜90質量%であることが好ましく、2〜70質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。割合が前記範囲内であると、硬化性、柔軟性に優れ、適度の粘度が得られる。また、2官能以上のモノマー(多官能モノマー)を有する場合、多官能モノマーが下塗り層中に占める割合は、0.5〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、0.5〜20質量%であることがさらに好ましい。割合が前記範囲内であると、硬化性、柔軟性に優れ、適度の粘度が得られる。
(重合性又は架橋性材料)
本発明における、前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーと併用しうる重合性又は架橋性材料は、後述する重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合又は架橋反応を生起し、これらを含有する組成物を硬化させる機能を有するものである。
重合性又は架橋性材料としては、ラジカル重合反応、二量化反応など公知の重合又は架橋反応を生起する重合性又は架橋性材料を適用することができる。例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられる。中でも、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち2量体、3量体及びオリゴマー)及びそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
重合性又は架橋性材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における重合性又は架橋性材料としては、特に、ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を起こさせる各種公知のラジカル重合性のモノマーが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、ビニルエーテル類及び内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかをさし、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかをさす。
(メタ)アクリレート類としては、例えば以下のものが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等を挙げることができる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
前記芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3―オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類の具体例としては、単官能ビニルエーテルの例として、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
上記以外に、本発明におけるラジカル重合性モノマーとしては、更に、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
上記のうち、ラジカル重合性モノマーとしては、硬化速度の点から、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、特に硬化速度の点から、4官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。更には、インク組成物の粘度の観点から、多官能(メタ)アクリレートと、単官能もしくは2官能の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドとの併用が好ましい。
重合性又は架橋性材料の、インク及び下塗り液中における含有量としては、各液滴の全固形分(質量)に対して、50〜99.6質量%の範囲が好ましく、70〜99.0質量%の範囲がより好ましく、80〜99.0質量%の範囲がさらに好ましい。
また、液滴中における含有量としては、各液滴の全質量に対して、20〜98質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、50〜90質量%の範囲が特に好ましい。
(重合開始剤)
インク及び下塗り液は、重合開始剤の少なくとも1種を用いて好適に構成することができ、好ましくは少なくとも下塗り液に用いて構成される。この重合開始剤は、活性光、熱、あるいはその両方のエネルギーの付与によりラジカルなどの開始種を発生し、既述の重合性又は架橋性材料の重合又は架橋反応を開始、促進させ、硬化する化合物である。
重合性の態様において、ラジカル重合を起こさせる重合開始剤を含有することが好ましく、それらが光重合開始剤であることが特に好ましい。
光重合開始剤は、光の作用、増感色素の電子励起状態との相互作用によって化学変化を生じ、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物であり、中でも、露光という簡便な手段で重合開始させることができるという観点から光ラジカル発生剤であることが好ましい。
本発明における光重合開始剤としては、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
具体的な光重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用できる。例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993).や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A :Chemistry,73.81(1993).や、J.P.Faussier“Photoinitiated Polymerization−Theory and Applications”:Rapra Review vol.9,Report,Rapra Technology(1998).や、M.Tsunooka et al.,Prog.Polym.Sci.,21,1(1996).に多く、記載されている。さらには、F.D.Saeva,Topics in Current Chemistry,156,59(1990).、G.G.Maslak,Topics in Current Chemistry,168,1(1993).、H.B.Shuster et al,JACS,112,6329(1990).、I.D.F.Eaton et al,JACS,102,3298(1980).等に記載の、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も使用することができる。
好ましい光重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、等が挙げられる。
前記(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.FOUASSIER J.F.RABEK (1993)、p77〜117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
前記(b)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の第V、VI及びVII族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び同422570号各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び同2833827号各明細書に記載されるスルホニウム塩類、ジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び特公昭46−42363号各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、及び同52−14279号各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
前記(c)「有機過酸化物」としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラキス(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラキス(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラキス(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラキス(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラキス(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
前記(d)ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
前記(e)ケトオキシムエステルとしては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
前記(f)ボレート化合物の例としては、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物が挙げられる。
前記(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、並びに特公昭46−42363号の各公報に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
前記(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号各公報記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
前記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
前記(i)活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、及び同0388343号各明細書、米国特許3901710号、及び同4181531号各明細書、特開昭60−198538号、及び特開昭53−133022号各公報に記載されるニトロベンジルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、及び同0101122号各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、及び同4431774号各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び特開平4−365048号各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、及び特開昭59−174831号各公報に記載される化合物等が挙げられる。
前記(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
本発明における光重合開始剤としては、例えば、以下に例示する化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
Figure 2008105376
なお、重合開始剤は感度に優れるものが好ましいが、保存安定性の観点から、80℃までの温度では熱分解を起こさない重合開始剤を選択することが好ましい。
重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、感度向上の目的で公知の増感剤を併用することもできる。
重合開始剤の下塗り液中における含有量としては、経時安定性と硬化性及び硬化速度との観点から、下塗り液中の重合性材料に対して0.5〜20質量%の範囲内が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。なお、含有量を前記範囲内とすることで、経時による析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりすることを抑制できる。
なお、重合開始剤を下塗り液に含有すると共にインクに含有させてもよく、この場合には、インクの保存安定性を所望の程度に保持できる範囲で適宜選択して含有することができる。この場合は、インク液滴中の含有量は、インク中の重合性又は架橋性化合物に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
(増感色素)
本発明においては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加してもよい。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
より好ましい増感色素の例としては、下記一般式(IX)〜(XIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008105376
式(IX)中、A1は硫黄原子又は−NR50−を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA1及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、Aは硫黄原子又は−NR59−を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
式(XII)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−又は−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Aは酸素原子、硫黄原子又は−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
前記一般式(IX)〜(XIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物(A−1)〜(A−20)などが挙げられる。
Figure 2008105376
Figure 2008105376
(共増感剤)
さらに、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えてもよい。
共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4−(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
(着色剤)
インク及び下塗り液は、着色剤の少なくとも一種を用いて好適に構成することができ、好ましくは少なくともインクに用いて構成される。なお、着色剤はインク以外に下塗り液やその他の液体に含有してもよい。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の水溶性染料、油溶性染料、及び顔料等から適宜選択して用いることができる。中でも、本発明に係るインク及び下塗り液は非水溶性の有機溶剤系に構成されるのが本発明の効果の観点から好ましく、非水溶性媒体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料、顔料を用いるのが好ましい。
着色剤は、好ましくはインク中の含有量が1〜30質量%であり、更に好ましくは1.5〜25質量%であり、特に好ましくは2〜15質量%である。また、下塗り液中が白色顔料を含有する場合には、好ましくは下塗り液中の含有量が2〜45質量%であり、より好ましくは、4〜35質量%である。
以下、本発明に好適な顔料を中心に説明する。
〈顔料〉
本発明においては、着色剤として、顔料を用いる態様が好ましい。顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用できるが、黒色顔料としては、カーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。また、一般には黒色、並びにシアン、マゼンタ、及びイエローの3原色の顔料が用いられるが、その他の色相、例えば、赤、緑、青、茶、白等の色相を有する顔料や金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料なども目的に応じて用いることができる。
有機顔料としては、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロン、イソビオラントロン系顔料及びそれらの混合物などが挙げられる。
更に詳しくは、例えば、C.I.ピグメント・レッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメント・レッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメント・バイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン系顔料、C.I.ピグメント・オレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメント・レッド194(C.I.番号71100)等のペリノン系顔料、C.I.ピグメント・バイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメント・バイオレット42、C.I.ピグメント・レッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメント・レッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメント・レッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメント・レッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメント・オレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメント・オレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン系顔料、C.I.ピグメント・イエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメント・レッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン系顔料、C.I.ピグメント・ブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメント・バイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメント・イエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメント・イエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメント・オレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメント・レッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン系顔料、C.I.ピグメント・イエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメント・イエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメント・イエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメント・イエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメント・イエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメント・オレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメント・オレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメント・オレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメント・レッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメント・レッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメント・レッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメント・レッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメント・レッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメント・レッド248、C.I.ピグメント・レッド262、もしくはC.I.ピグメント・ブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合系顔料、
C.I.ピグメント・イエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメント・イエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメント・イエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメント・レッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメント・レッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメント・イエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメント・イエロー150(C.I.番号48545)、C.I.ピグメント・レッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメント・レッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメント・オレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメント・レッド247(C.I.番号15915)等のアゾ系顔料、C.I.ピグメント・ブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン系顔料、C.I.ピグメント・グリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメント・グリーン36(C.I.番号74265)、ピグメント・グリーン37(C.I.番号74255)、ピグメント・ブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメント・ブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメント・ブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメント・ブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム系顔料、C.I.ピグメント・バイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメント・バイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメント・レッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン系顔料、C.I.ピグメント・レッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメント・レッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメント・レッド264、C.I.ピグメント・レッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメント・オレンジ71、もしくはC.I.ピグメント・オレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメント・レッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ系顔料、C.I.ピグメント・イエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメント・オレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメント・イエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメント・オレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメント・オレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメント・レッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン系顔料、又はC.I.ピグメント・バイオレット31(60010)等のイソビオラントロン系顔料が挙げられる。
本発明においては、2種類以上の有機顔料又は有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもできる。
また、シリカ、アルミナ、樹脂などの粒子を芯材とし、表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することができる。さらに、樹脂被覆された顔料を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販品が入手可能である。
液中に含有される顔料粒子の体積平均粒子径は、光学濃度と保存安定性とのバランスといった観点からは、10〜250nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200nmである。ここで、顔料粒子の体積平均粒子径は、例えば、LB−500(HORIBA(株)製)などの粒径分布測定装置により測定することができる。
着色剤は、1種単独のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、打滴する液滴及び液体ごとに異なる着色剤を用いてもよいし、同一の着色剤を用いてもよい。
(その他成分)
上記した成分以外に、公知の添加剤などを目的に応じて併用することができる。
〈貯蔵安定剤〉
本発明に係るインク及び下塗り液(好ましくはインク)には、保存中における好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性又は架橋性材料と共存させて用いることが好ましく、また、含有する液滴又は液体あるいは共存の他成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
貯蔵安定剤としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシルアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
貯蔵安定剤の添加量は、重合開始剤の活性や重合性又は架橋性材料の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と硬化性とのバランスの点で、液中における固形分換算で、0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
〈導電性塩類〉
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性がよい場合には、適当量添加してもよい。
前記導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
〈溶剤〉
本発明においては、必要に応じて公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、液(インク)の極性や粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整、及び印字性能の調整などの目的で使用できる。
なお、溶剤は、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことが、速乾性及び線幅の均一な高画質画像を記録する点で好ましいことから、高沸点有機溶媒を用いた構成とするのが望ましい。
本発明における高沸点有機溶媒としては、構成素材、特にモノマーとの相溶性に優れる性質を有するものが好ましい。
具体的には、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルが好ましい。
公知の溶剤としては、100℃以下の有機溶剤である低沸点有機溶媒も挙げられるが、硬化性に影響を与える懸念があり、また、低沸点有機溶媒は環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましい。使用する場合には、安全性の高いものを用いることが好ましく、安全性が高い溶媒とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶媒であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、メタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
溶剤は1種単独で用いる以外に複数組み合わせて使用することができるが、水及び/又は低沸点有機溶媒を用いる場合には、両者の使用量は各液中0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないことが好ましい。本発明に係るインク及び下塗り液に水を実質的に含まないことで、経時による不均一化、染料の析出等に起因する液体の濁りが生じる等の経時安定性の点、及び非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体を用いたときの乾燥性の点で好適である。なお、実質的に含まないとは、不可避不純物の存在を容認することを意味する。
〈その他添加剤〉
さらに、ポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
また、上記のほか、混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物をそれぞれ、本発明に係るインクと下塗り液とに分けて含有することができる。前記1組の化合物は、凝集体を急速に形成させるか、あるいは液を急速に増粘させる特徴を有するものであり、これにより互いに隣接する液滴間の合一をより効果的に抑制することができる。
前記1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
次に、本発明のインクジェット記録装置について説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体上に既述の一般式(I)又は(II)で表されるモノマーを含有する下塗り液を付与する下塗り液付与手段と、被記録媒体の移動方向における下塗り液付与手段の下流に配置され、下塗り液の少なくとも一部にエネルギーを付与し、下塗り液を半硬化させる下塗り液半硬化手段と、被記録媒体の移動方向における下塗り液半硬化手段の下流に配置され、半硬化された下塗り液上に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを吐出して画像を記録する画像記録手段とを設けて構成されたものである。
なお、一般式(I)又は(II)で表されるモノマーの詳細については既述の通りであり、既述の通り、ここでも一般式(II)で表されるモノマーの中では、既述の一般式(III)、(IV)又は(V)で表されるモノマーが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置は、更に、被記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される被記録媒体の搬送路における画像記録手段の搬送方向下流に配置され、画像記録手段により画像が記録された被記録媒体に活性エネルギー線を照射し、下塗り液及び吐出されたインク(すなわち画像)の硬化を更に促進させる活性エネルギー線照射手段とを設けて構成することができる。
また、上記の画像記録手段は、被記録媒体の搬送方向と直交する方向と平行に配置され、被記録媒体の記録可能な全幅に対応した長さを有する少なくとも1つのライン型インクジェットヘッドを用いて、インクを吐出するものである場合が好ましい。
〜画像の記録原理及び記録装置〜
以下、打滴干渉を回避しつつ、被記録媒体に画像を再現よく記録する本発明の原理について、図1を参照して1例を具体的に説明する。
まず、図1(a)に示すように、着色剤を含まない下塗り液を被記録媒体16に付与し、被記録媒体16の表面に下塗り液からなる液体膜81を形成する。このような下塗り液の付与態様は、図では塗布による態様を示しているが、インクジェットヘッドによる打滴(「吐出」ともいう)、スプレー塗布等いずれの態様であってもよい。
付与した下塗り液の液体膜の厚みは、付与された下塗り液の体積を下塗り液が付与された部分の面積で除した平均厚みである。下塗り液が打滴にて付与される場合は、打滴された体積と下塗り液が打滴された部分の面積より求めることができる。下塗り液の液体膜の厚みは、均一で局所的な厚みの違いはないことが望ましい。この観点から、インクジェットヘッドから安定に吐出できる範囲で、下塗り液の被記録媒体上で濡れ拡がり易い物性、つまり静的な表面張力が小さいことが望ましい。
次に、図1(b)に示すように、光源Wによる活性光線の照射により下塗り液を半硬化させた(半硬化された下塗り膜81a)後に、インク液滴82aを打滴する。この打滴により、図1(c)に示すように、半硬化された下塗り膜81aにインクの液滴82aを着弾させる。このとき、下塗り層の表面は半硬化状態であるため、インク液滴82aとなじみやすい。
さらに、図1(d)に示すように、被記録媒体16上の下塗り液からなる半硬化膜81aが存在する領域内であって、先に打滴した第1の液滴82aの着弾位置近傍に、後続インク液滴82bを打滴する。この時、下塗り層の表面は半硬化状態であるため、インク液滴82bとなじみやすい。インク液滴82aとインク液滴82bに対して合一しようとする力が働くが、インク液滴と下塗り層表面の密着性が良いこと及び合一しようとする際に硬化状態にある下塗り層内部がインク液滴間の合一に対する抵抗力となること、により打滴干渉が抑制される。
従来は、打滴干渉を回避するためには、インクに含まれる着色材が凝集又は不溶化する化学反応を起こさせる物質を下塗り液に含有させていたが、本発明では、このような物質を下塗り液に含有させることなく、打滴干渉を回避できる。
また、図1(d)に示すように打滴干渉が回避されてインク液滴82a、82bの形状が保たれている間に(本発明の場合、数百ミリ秒から5秒間)、すなわちドット形状が崩れないうちに、インク液滴82a、82bを硬化あるいは形状が崩れない程度に半硬化ないし完全硬化させて、インク液滴82a、82b中の色材を被記録媒体16に定着させる。少なくともインクは、活性エネルギー線硬化型の重合性化合物を含有し、紫外線などの活性エネルギー線が照射されると、いわゆる重合反応により硬化する。下塗り液にも、重合性化合物を含有させることも可能であり、吐出した液体全体が硬化するので、密着性を高めるために好ましい。
次に、本発明のインクジェット記録装置を備えた画像記録装置の1例としてインラインラベル印刷機の全体構成について、図面を参照して説明する。
図2は、インラインラベル印刷機(画像記録装置)100の一例を示す全体構成図である。この画像記録装置100は、本発明のインクジェット記録部100Aと、描画された被記録媒体に後加工を施す後加工部100Bと、インクジェット記録部100Aと後加工部100Bとの間に緩衝部としてのバッファ104からなる。
本発明のインクジェット記録装置はインクジェット記録部100Aに適用されるものである。インクジェット記録部100Aは、着色剤を含まず被記録媒体(ラベル)16上に半硬化下塗り液膜を形成するための下塗り液膜形成部100A1、及び着色材を含む4種のインクを被記録媒体16の所定位置に付与して、所望の画像を被記録媒体16に形成する描画部100A2から構成される。
被記録媒体としては、特に浸透性がない被記録媒体(例えば、OPP(Oriented Polypropylene Film)、CPP(Casted Polypropylene Film)、PE(polyethylene)、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(Polypropylene)、浸透性が低い軟包材、ラミネート紙、コート紙、アート紙など)を用いたときに良好な画像を形成することができる。
図2において、インクジェット記録部100Aは、下塗り液をロールコータ102Pで塗布し、インクをインクジェット打滴により被記録媒体16に付与する描画部100A2を備えている。
また、画像記録装置100は、下塗り液膜形成部100A1及び描画部100A2に供給する下塗り液及びインクを貯蔵しておく不図示の遮光された液体貯蔵/装填部と、被記録媒体16を供給する給紙部101と、描画部100A2によるインクの打滴結果(インク滴の着弾状態である)としての画像を読み取る画像検出部104cと、記録済みの被記録媒体を巻き取る巻き取り部109を備えている。
図2においては、給紙部101の一例としてロール紙(連続用紙)を給紙するものを示しているが、予めカットされているカット紙を給紙するものを用いてもよい。
インクジェット記録部100Aについてさらに説明する。インクジェット記録部100Aは、シングルパスで被記録媒体16にインクを打滴するインク用の打滴ヘッド102Y、102C、102M、102Kを含む描画部100A2、そしてロールコーター102P及び半硬化用光源103Pを含む下塗り液膜形成部100A1によって構成されている。詳細には、被記録媒体16の記録可能幅の全幅に対応した長さのライン型ヘッドを媒体搬送方向(図2中に矢印Sで示す)と直交する方向に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。なお、図2中のように、102Y、102C、102Mのそれぞれの下流側には各色インクで打滴されたドットを少なくともそれらのドット形状が崩れない程度に硬化させるピニング光源103Y、103C、103Mを配置することもできる。
ロールコーター、各打滴ヘッド102Y、102C、102M、102Kは、インクジェット記録部100Aが対象とする最大サイズの被記録媒体16の少なくとも一辺を超える長さにわたってコーター及び複数のノズル(液体吐出口)が配列されている。
また、媒体搬送方向Sに沿って、上流側(図2の左側)から、イエロー色のインク(Y)、シアン色のインク(C)、マゼンタ色のインク(M)、黒色のインク(K)の順に、各液体に対応した打滴ヘッド102Y、102C、102M、102Kが配置されており、被記録媒体16上にカラーの画像を形成し得る。
具体的には、まず、ロールコーター(102P)により被記録媒体16に下塗り液が均一塗布され、半硬化用紫外線光源103Pにより下塗り液の半硬化が行なわれる。次に、イエローインク用打滴ヘッド102Yから被記録媒体16に向けてインクが打滴される。このとき、ヘッド102Yの下流に配置されたピニング光源103Yにより被記録媒体上のイエローインクが、表面が硬化しておらず且つ少なくともその形が崩れない程度に半硬化されてもよい。続いて、ヘッド102C、102Mで、上記イエローインクと同様な工程が繰り返され、最後に黒インク用打滴ヘッド102Kで打滴が行なわれる。ここでも、打滴後に下塗り液及び全てのインクが完全に硬化させる能力を有する最終硬化光源103Kにより硬化を完了させてもよい。ここで、下塗り液の半硬化及び必要に応じて更にインクの付与後にその半硬化することにより、打滴干渉がより回避できる。
また、フルライン型の打滴ヘッドからなる描画部100A2によれば、媒体搬送方向について被記録媒体16と描画部100A2を相対的に移動させる動作を一回行なうだけで、被記録媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、被記録媒体を搬送しつつ、媒体搬送方向と直交する方向に打滴ヘッドを往復動作させるシャトル型ヘッドに比べて高速プリントが可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、YCMKの標準色(4色)の構成を例示したが、インクの色数や色の組み合わせについては本実施形態に示す例には限定されず、必要に応じて、淡インク、濃インク、白色又は他色の特色インク、透明インク等を追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する打滴ヘッドを追加する構成、又は白色インクによる背景の描画を行なう構成、透明インクによる光沢度調整等を行なう構成も可能である。
UV光源103P(並びに場合により103Y、103C、103M及び103K)は、重合性化合物を含むインクを硬化させるために記録媒体16に向けて紫外線を照射するものである。紫外線発光光源としては公知の光源、例えば中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、紫外用蛍光灯、紫外LED、紫外LD等を用いることができるが、実用性の面から高圧水銀灯、超高圧水銀灯又はメタルハライドランプを用いるのが好ましい。またUV光源としては200nm〜400nmの波長範囲内に光量のピークをもつものが好ましく、光量ピーク波長において1〜500mW/cmの範囲の照射光強度を持つものが好ましい。UV光源はリフレクタにコールドミラー、カバーガラスに赤外線カットガラスを用いることで、熱線照射による被記録媒体の温度上昇を防ぐ構成とするのが好ましい。
また、図示しないが、重合性化合物を含むインクを硬化させるための手段として電子線照射装置を用いてもよい。
上記では、重合性化合物を硬化させる手段として、UV光源の例と電子線照射装置とを例示したが、これらの手段はここで示す例に限定されるものではなく、その他の輻射線、例えばα線、γ線、X線等を用いてもよい。
画像検出部104cは、描画部100A2の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った画像からノズルの目詰まりその他の吐出異常をチェックする手段として機能する。
インクジェット記録部100Aと後加工部100Bとの間に緩衝部としてのバッファ104がある。インクジェット記録された被記録材料は数個の上ローラ104aと数個の下ローラ104bから成るバッファ104の間を数回上下しながら通過する。バッファ104は上流のインクジェット記録部100Aと後述する下流の後加工部100Bの作業速度(記録媒体16の搬送速度)が異なるので、この速度の差を吸収する調整部である。
バッファ104の下流はニスコーター105である。ニスコーター105で、ラベルの表面に薄くニスを塗って、ラベル表面の耐擦過性を向上するようにしている。
ニスコーター105の下流のラベルカッティング部106は、マーキングリーダ106aと、ダイカッタドライバ106bと、刃を有する巻き物(版)106eを装着したダイカッター106cと、対向ローラ106dとから構成される。
ラベルカッティング部106のダイカッター106cでカッティングされたラベルは、分岐ローラ107の下流で、製品としてのラベルをラベル巻取り部109で巻取り、これ以外のカスは剥がして、カス取り部108で廃棄物として廃棄する。
*打滴ヘッドの構造
図3(a)は、図2に示した打滴ヘッド102Y、102C、102M、102Kを代表する打滴ヘッドに符号50を付して、その打滴ヘッド50の基本的な全体構造の一例を示す平面透視図である。
図3(a)に一例として示す打滴ヘッド50は、いわゆるフルライン型のヘッドであり、被記録媒体16の搬送方向(図中に矢印Sで示す副走査方向)と直交する方向(図中に矢印Mで示す主走査方向)において、被記録媒体16の幅Wmに対応する長さにわたり、記録媒体16に向けて液体を吐出する多数のノズル51(液体吐出口)を2次元的に配列させた構造を有している。
打滴ヘッド50は、ノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、及び、液体供給口53を含んでなる複数の圧力室ユニット54が、主走査方向M及び主走査方向Mに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って配列されている。なお、図3(a)では、図示の便宜上、一部の圧力室ユニット54のみ描いている。
ノズル51は、具体的には、主走査方向Mに対して所定の鋭角θをなす斜め方向において、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Mに沿った一直線上に「d×cosθ」の間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。
打滴ヘッド50を構成する一吐出素子としての前述の圧力室ユニット54について、図3(a)中のb−b線に沿った断面図を図3(b)に示す。
図3(b)に示すように、各圧力室52は液体供給口53を介して共通液室55と連通している。共通液室55は図示を省略した液体供給源たるタンクと連通しており、そのタンクから供給される液体が共通液室55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成する振動板56の上には圧電体58aが配置され、この圧電体58aの上には個別電極57が配置されている。振動板56は、接地されており、共通電極として機能する。これらの振動板56、個別電極57及び圧電体58aによって、液体吐出力を発生する手段としての圧電アクチュエータ58が構成されている。
圧電アクチュエータ58の個別電極57に所定の駆動電圧が印加されると、圧電体58aが変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力室52内の圧力の変化によって、ノズル51から液体が吐出される。液体吐出後、圧力室52の容積が元に戻ると共通液室55から液体供給口53を通って新しい液体が圧力室52に供給される。
なお、図3(a)には、被記録媒体16に高解像度の画像を高速で形成し得る構造として、複数のノズル51が2次元配列されている場合を例に示したが、本発明における打滴ヘッドは、複数のノズル51が2次元配列された構造に特に限定されるものではなく、複数のノズル51が1次元配列された構造であってもよい。また、打滴ヘッドを構成する吐出素子として図3(b)に示した圧力室ユニット54は、一例であって、このような場合に特に限定されない。例えば、圧力室52よりも下(すなわち圧力室52よりも吐出面50a側)に共通液室55を配置する代りに、圧力室52よりも上(すなわち吐出面50aとは反対側)に共通液室55を配置してもよい。また、例えば、圧電体58aを用いる代りに、発熱体を用いて、液体吐出力を発生するようにしてもよい。
なお、本発明のインクジェット記録装置においては、下塗り液の被記録媒体上への付与手段として、塗布によるもののほかに、ノズルからの下塗り液の吐出等、他の手段を用いてもよい。
前記塗布に用いる装置としては特に制限はなく、公知の塗布装置を目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。
*液体供給系
図4は、画像記録装置100における液体供給系統の構成を示した概要図である。
液体タンク60は、打滴ヘッド50に液体を供給するための基タンクである。液体タンク60と打滴ヘッド50を繋ぐ管路の途中には、液体タンク60から打滴ヘッド50へ液体を送液する液体供給ポンプ62が設けられている。液体タンク60及び打滴ヘッド50及び両者を繋ぐ管路は温度検出手段とヒーターにより内部のインクとともに温度調節されることが好ましい。このときのインク温度は40℃〜80℃に調節されることが好ましい。
また、画像記録装置100には、長期の吐出休止期間におけるノズル51のメニスカスの乾燥を防止又はメニスカス近傍の粘度の上昇を防止する手段としてのキャップ64と、吐出面50aを清掃する手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。キャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によって打滴ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から打滴ヘッド50の下方のメンテナンス位置に移動されるようになっている。
キャップ64は、図示しない昇降機構によって打滴ヘッド50に対して相対的に昇降される。昇降機構は、キャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、打滴ヘッド50に密着させることにより、吐出面50aの少なくともノズル領域をキャップ64で覆うようになっている。
また、好ましくは、キャップ64の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したクリーニングブレード用の移動機構により打滴ヘッド50の吐出面50aにおいて摺動可能である。吐出面50aに液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66を吐出面50aにおいて摺動させることで吐出面50aを拭き取り、吐出面50aを清浄するようになっている。
吸引ポンプ67は、打滴ヘッド50の吐出面50aをキャップ64が覆った状態で、その打滴ヘッド50のノズル51から液体を吸引し、吸引した液体を回収タンク68へ送液する。
このような吸引動作は、画像記録装置100に液体タンク60が装填されて液体タンク60から打滴ヘッド50へ液体を充填するとき(初期充填時)のほか、長時間停止して粘度が上昇した液体を除去するとき(長時間停止の使用開始時)にも行なわれる。
ここで、ノズル51からの吐出について整理しておくと、第1に、紙などの被記録媒体に画像形成するために被記録媒体に向けて行なう通常の吐出があり、第2に、キャップ64を液体受けとしてそのキャップ64に向けて行なうパージ(空吐出ともいう)がある。
また、打滴ヘッド50のノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内の粘度上昇があるレベルを超えたりすると、前述の空吐出では液体をノズル51から吐出できなくなるので、打滴ヘッド50の吐出面50aにキャップ64を当てて打滴ヘッド50の圧力室52内の気泡が混入した液体又は増粘した液体を吸引ポンプ67で吸引する動作が行なわれる。
ここで、打滴ヘッド50、液体タンク60、液体供給ポンプ62、キャップ64、クリーニングブレード66、吸引ポンプ67、回収タンク68、及びこれらを繋ぐインク流路、並びにその他インクが直接触れる部材及び機器は、耐溶解性、耐膨潤性を持つことが好ましい。またこれらの部材及び機器は遮光性を持つことが好ましい。
*制御系
図5は、画像記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。
図5において、画像記録装置100は、主として、描画部102、画像検出部104c、UV光源103、通信インターフェース110、システムコントローラ112、メモリ114、画像バッファメモリ152、搬送用のモータ116、モータドライバ118、ヒータ122、ヒータドライバ124、媒体種別検出部132、インク種別検出部134、照度検出部135、環境温度検出部136、環境湿度検出部137、媒体温度検出部138、給液部142、給液ドライバ144、プリント制御部150、ヘッドドライバ154、及び、光源ドライバ156を含んで構成されている。
なお、描画部102は、図2に示した打滴ヘッド102Y、102C、102M、102Kを代表して表すものであり、UV光源103は図2に示した硬化光源103P、並びに場合により103Y、103C、103M及び103Kを代表して表すものであり、画像検出部104cは図2に記載したものと同一であり既に説明したので、ここでは説明を省略する。
通信インターフェース110は、ホストコンピュータ300から送信される画像データを受信する画像データ入力手段である。通信インターフェース110には、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394などの有線、又は、無線のインターフェースを適用することができる。この通信インターフェース110を介して画像記録装置100に入力された画像データは、画像データ記憶用の第1のメモリ114に一旦記憶される。
システムコントローラ112は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、第1のメモリ114に予め記憶された所定のプログラムに従って画像記録装置100の全体を制御する主制御手段である。すなわち、システムコントローラ112は、通信インターフェース110、モータドライバ118、ヒータドライバ124、媒体種別検出部132、インク種別検出部134、プリント制御部150等の各部を制御する。
搬送用のモータ116は、被記録媒体を搬送するためのローラやベルト等に動力を与える。この搬送用モータ116によって、描画部102を構成する打滴ヘッド50と被記録媒体とが相対的に移動する。モータドライバ118は、システムコントローラ112からの指示に従って搬送用のモータ116を駆動する回路である。
ヒータ122は、不図示のヒータ(あるいは冷却素子)122を駆動する回路であり、被記録媒体の温度を一定温度に保持するものである。ヒータドライバ124は、システムコントローラ112からの指示にしたがってヒータ122を駆動する回路である。
媒体種別検出部132は、記録媒体の種別を検出するものである。記録媒体の種別の検出態様には各種ある。例えば、不図示の給紙部にセンサを設けて検出する態様、ユーザの操作により入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力された画像データ(例えば、解像度や色)又はその画像データの付加データを解析することにより自動で検出するようにした態様がある。
インク種別検出部134は、インクの種別を検出するものである。インクの種別の検出態様には各種ある。例えば、不図示の液体貯蔵/装填部にセンサを設けて検出する態様、ユーザの操作により入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力された画像データ(例えば、解像度や色)又はその画像データの付加データを解析することにより自動で検出するようにした態様がある。
照度検出部135は、UV光源103から発せられた紫外線の照度を検出するものである。照度の検出態様としては例えば図2のUV光源103の近傍に照度センサを設けて検出する態様がある。この照度センサの出力に基づきUV光源の出力をフィードバックする。
環境温度検出部136は、外気又は画像記録装置内の温度を検出するものである。環境温度検出態様としては例えば装置外部又は装置内部に温度センサを設けて検出する態様がある。
環境湿度検出部137は、外気又は画像記録装置内の湿度を検出するものである。環境湿度検出態様としては例えば装置外部又は装置内部に湿度センサを設けて検出する態様がある。
媒体温度検出部138は、記録媒体の画像形成時の温度を検出するものである。媒体温度検出態様には各種ある。例えば、接触式の温度センサを設けて検出する態様、記録媒体16の上方に非接触式の温度センサを設けて検出する態様があり、前述のヒータ122により被記録媒体の温度を一定に保つ。
給液部142は、図4の液体タンク60から描画部102へインクを流動させる管路及び給液ポンプ62などによって構成されている。
給液ドライバ144は、描画部102に液体が供給されるように、給液部142を構成する給液ポンプ62などを駆動する回路である。
プリント制御部150は、画像記録装置100に入力される画像データに基づいて、描画部102を構成する各打滴ヘッド50が被記録媒体に向けて吐出(打滴)を行なうために必要なデータ(打滴データ)を生成する。すなわち、プリント制御部150は、システムコントローラ112の制御に従い、第1のメモリ114内の画像データから打滴データを生成するための各種の加工、補正などの画像処理を行なう画像処理手段として機能し、生成した打滴データをヘッドドライバ154へ供給する。
プリント制御部150には第2のメモリ152が付随しており、プリント制御部150における画像処理時に打滴データ等が第2のメモリ152に一時的に格納される。
なお、図5において第2のメモリ152はプリント制御部150に付随する態様で示されているが、第1のメモリ114と兼用することも可能である。また、プリント制御部150とシステムコントローラ112とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ154は、プリント制御部150から与えられる打滴データ(実際には第2のメモリ152に記憶された打滴データである)に基づき、描画部12を構成する各打滴ヘッド50に対して吐出用駆動信号を出力する。このヘッドドライバ154から出力された吐出用駆動信号が各打滴ヘッド50(具体的には図3(b)に示すアクチュエータ58)に与えられることによって、打滴ヘッド50から被記録媒体に向けて液体(液滴)が吐出される。
光源ドライバ156は、プリント制御部150からの指示と照度検出部135によって検出された照度、環境温度検出部136によって検出された環境温度、環境湿度検出部137によって検出された環境湿度、媒体温度検出部138によって検出された媒体温度に基づいてUV光源103に入力する電圧、時間、タイミングを制御し、UV光源103を駆動する回路である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
<シアン顔料分散物P−1の調製>
PB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)16g、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)48g、及びソルスパース32000(ゼネカ(株)製)16gを混合し、スターラーで1時間攪拌した。攪拌後の混合物をアイガーミルにて分散し、顔料分散物P−1を得た。
ここで、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間1時間とした。
<シアンインクジェット記録用液体I−1の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、シアン画像記録用のインクジェット記録用液体I−1を調製した。シアンインクジェット記録用液体I−1の表面張力(25℃)は27mN/mであり、粘度(25℃)は15mPa・sであった。
〈組成〉
・上記の顔料分散物P−1 …2.16g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) …9.84g
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・下記重合開始剤Irg907 …1.5g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記増感剤ダロキュアITX …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記増感剤ダロキュアEDB …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
Figure 2008105376
<マゼンタ分散物P−2の調製>
前記シアン顔料分散物P−1の調製において、顔料であるPB15:3(IRGALITE BLUE GLO)をPV19(CINQUASIA MAGENTA RT−355D;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)に代え、分散剤であるソルスパース32000をBYK168(ビックケミー社製)に代えたこと以外は、シアン顔料分散物P−1と同様にして、マゼンタ分散物P−2を調製した。
<イエロー分散物P−3の調製>
前記シアン顔料分散物P−1の調製において、顔料であるPB15:3(IRGALITE BLUE GLO)をPY120(NOVOPERM YELLOW H2G;クラリアント社製)に代え、分散剤であるソルスパース32000をBYK168(ビックケミー社製)に代えたこと以外は、シアン顔料分散物P−1と同様にして、イエロー分散物P−3を調製した。
<ブラック分散物P−4の調製>
前記シアン顔料分散物P−1の調製において、顔料であるPB15:3(IRGALITE BLUE GLO)をカーボンブラック(SPECIAL BLACK 250;デグサ社製)に代え、分散剤であるソルスパース32000をソルスパース5000(ゼネカ(株)製)に代えたこと以外は、シアン顔料分散物P−1と同様にして、ブラック分散物P−4を調製した。
<マゼンタインクジェット記録用液体I−2の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、マゼンタ画像記録用のインクジェット記録用液体I−2を調製した。マゼンタインクジェット記録用液体I−2の表面張力(25℃)は27mN/mであり、粘度(25℃)は16mPa・sであった。
〈組成〉
・上記の顔料分散物P−2 …5.86g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) …6.14g
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・前記重合開始剤Irg907 …1.5g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアITX …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアEDB …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
<イエローインクジェット記録用液体I−3の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、イエロー画像記録用のインクジェット記録用液体I−3を調製した。イエローインクジェット記録用液体I−3の表面張力(25℃)は27mN/mであり、粘度(25℃)は16mPa・sであった。
〈組成〉
・上記の顔料分散物P−3 …4.68g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) …7.32g
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・前記重合開始剤Irg907 …1.5g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアITX …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアEDB …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
<ブラックインクジェット記録用液体I−4の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、ブラック画像記録用のインクジェット記録用液体I−4を調製した。ブラックインクジェット記録用液体I−4の表面張力(25℃)は27mN/mであり、粘度(25℃)は15mPa・sであった。
〈組成〉
・上記の顔料分散物P−4 …3.3g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) …8.7g
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・前記重合開始剤Irg907 …1.5g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアITX …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアEDB …0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
<下塗り液II−1の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、比較用の下塗り液II−1を調製した。この下塗り液II−1は、既述の一般式(I)又は(II)で表されるモノマーを含有しないものである。また、下塗り液II−1の表面張力(25℃)は22mN/mであり、粘度(25℃)は22mPa・sであった。
〈組成〉
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) …11.85g
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・前記重合開始剤Irg907 … 1.5g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアITX … 0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・前記増感剤ダロキュアEDB … 0.75g
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・BYK−307(ビックケミー社製) … 0.15g
<下塗り液II−2〜II−13の調製>
前記下塗り液II−1の調製において、DPGDAをこれと等質量の下記表1に示すモノマーに代えたこと以外は、下塗り液II−1の調製と同様にして、下塗り液II−2〜II−13を調製した。
Figure 2008105376
上記の下塗り液II−2〜II−13の25℃での表面張力、粘度は各々下記の通りであった。
Figure 2008105376
なお、本実施例において、表面張力の測定は、表面張力計CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて行ない、粘度の測定は、ラボ用ハンディ型デジタル粘度計ビスコスティック(マルヤス工業(株)製)を用いて行なった。
<画像記録及び評価>
画像記録装置として、駆動ローラを回転させて被記録媒体をロール搬送する搬送手段である搬送機構と、被記録媒体上に下塗り液を塗布するための下塗り液付与手段であるロールコーターと、塗布後の下塗り液を半硬化させる下塗り液半硬化手段である半硬化用光源(被記録媒体の搬送方向と直交する方向(すなわち被記録媒体に記録する際の主走査方向(幅方向))と平行に複数個の超高圧水銀灯が配列されている)と、画像記録手段であるヘッドユニット(東芝テック社製;打滴周波数:6.2KHz、ノズル数:636、ノズル密度:300npi(ノズル/インチ、以下同様)、ドロップサイズ:6pl〜42plを7段階に可変のヘッドを2つ配列して600npiとしたものがフルライン配列されたヘッドセットが4組搭載されている)を搭載したインクジェットプリンタ部と、被記録媒体上の下塗り液及び記録画像をさらに硬化させる活性エネルギー線照射手段であるメタルハライドランプと、を備えた実験機を準備した。
被記録媒体が搬送される搬送路には、図2に示すように、上流から下流側に向かって、ロールコーター、半硬化用光源が順に配置されており、この光源の下流側は、ヘッドの直下を被記録媒体が移動可能な構造に構成すると共に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の各吐出用ヘッドを有するヘッドユニットが配置されている。ヘッドは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の各吐出ヘッドが被記録媒体の搬送路の搬送方向上流側から順に機体に固定された構成となっている。また、ブラック吐出用ヘッドの被記録媒体の搬送方向のさらに下流には、メタルハライドランプ(最終硬化光源)が配置されている。
本実施例では、上記の実験機に、下塗り液II−1を装填すると共に、そのインクジェットプリンタ部に上記の4色のインクジェット記録用液体I−1〜I−4を装填し、以下のようにして、被記録媒体上に600dpi×600dpiの画像を記録した。
まず、上記の実験機を用い、ロールコーターにより下塗り液を5μmの厚みに均一に塗布した(塗布速度400mm/s)。下塗り液の塗布後、半硬化用光源で露光を行ない(光強度500mW/cm)、塗布された下塗り液を半硬化させた。
このとき、被記録媒体上の下塗り液を掻き集めて25℃での粘度を上記と同じデジタル粘度計にて測定したところ、粘度は1000mPa・sであった。
非浸透媒体として普通紙(富士ゼロックス社製コピー用紙C2、商品コードV436)を用いて転写試験を実施した。抜き取った被記録媒体上の半硬化状態の下塗り液又は半硬化状態の着色液に、均一な力(500mN/cm)で普通紙を押し付け、約1分間静置した。その後、静かに普通紙を剥がし、普通紙の重量を測定することによって、未硬化液量を求めた。
その後、インクジェット記録用液体I−1〜I−4が装填されたヘッドによって、前記下塗り液が付与された被記録媒体上にインクジェット記録用液体I−1〜I−4を各々単独で吐出し、メタルハライドランプにより紫外線(波長365nm)を光強度300mW/cmにて照射(硬化)して固定化した。このとき、インクジェット記録用液体I−1〜I−4を各々単独で吐出して描画した単色画像は、主走査方向600dpi、副走査方向150dpiにて描画したライン(1drop使用:6pL打滴)と、主走査方向150dpi、副操作方向150dpiで2センチ四方の唐松模様(2drop使用:12pL打滴)である。
また、これとは別に、全ての色を重ねて前記同様に多色の唐松模様を描画した。但し、この場合には各々1drop使用:6pLとした。
12ピコリットルで画像形成した場合、未硬化液量は0.10mg/cm2〜0.12mg/cm2であった。本実施例において、単位面積当たりに吐出するインクの最大質量mは、600dpi×600dpi 12ピコリットルの場合、0.74mg/cm2〜0.87mg/cm2である。
従って、下塗り液の未硬化部の単位面積当たりの質量M(下塗り液)と単位面積当たりに吐出する着色液の最大質量m(記録用液体)の関係は、「m(記録用液体)/10<M(下塗り液)<m(記録用液体)/5」である。
さらに、上記と同様にして下塗り液の塗布及び半硬化を行なった後、前記下塗り液が付与された被記録媒体上に、インクジェット記録用液体I−1〜I−4が装填されたヘッドによってインクジェット記録用液体I−1〜I−4の全てを吐出し、主走査方向600dpi、副操作方向600dpiの人物(女性)のフルカラー実技画像を描画した(被記録媒体の搬送速度:400mm/s、6〜12pLの3階調描画、アンチエリアジング処理を実施)。その後、メタルハライドランプにより紫外線(波長365nm)を光強度3000mW/cmにて照射(硬化)し、フルカラー実技画像を固定化した。
上記において、下塗り液の半硬化終了から1色目のイエローインクジェット記録用液体I−3の打滴までの間隔は0.2秒とした。
また、被記録媒体には、リンテックユポ80(リンテック社製)を用いた。
下塗り液II−1を用いた画像記録の後、下塗り液II−1を上記の下塗り液II−2〜II〜13に代えて上記と同様に画像を描画した。
単位面積当たりに吐出するインクの最大質量mは、600dpi×600dpi 12ピコリットルの場合、0.74mg/cm2〜0.87mg/cm2であった。
さらに、ピニング用光源露光後のイエロー液の未硬化液量、ピニング用光源露光後のシアン液の未硬化液量、ピニング用光源露光後のマゼンタ液の未硬化液量を、各工程の後でサンプルを抜き取り、転写試験によって測定した。いずれの液に対しても未硬化の液量は、12ピコリットルで画像形成した場合、未硬化液量はいずれも、0.10mg/cm2〜0.12mg/cm2であった。
従って、異なる色相を有する液の組合せにおいて、先に被記録媒体上に付与する液Aの未硬化部の単位面積当たりの質量M(液A)と後で付与する液Bの単位面積当たりの最大重量m(液B)の関係は、「m(液B)/10<M(液A)<m(液B)/5」であった。
上記より得た各画像について、以下に示す測定、評価を行なった。測定、評価した結果は下記表3〜7に示す。
−1.ライン幅の測定−
描画されたライン画像の幅をドットアナライザーDA6000(王子計測機器(株)製)により測定した。
−2.単色及び多色の唐松模様の評価−
唐松模様中のインクが着滴している部分を顕微鏡で観察し、着滴した部分の中心部と周辺部のドットの大きさの比(周辺部ドット面積Dp/中心部ドット面積Dc)を算出した。Dp/Dcの値は1に近いほど、周辺部でのドット形状が中心部と同様に保たれ、唐松模様の画像中に額縁状となって見える局所的な濃度上昇がなく、良好であると評価することができる。
−3.実技画像の評価−
各フルカラー実技画像を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:画像濃度が高く、くっきりした良好な画像が得られた。
B:髪の毛の輪郭部分が僅かにぼやけたが、比較的くっきりとした画像が得られ、実用上支障はなかった。
C:濃淡のある髪の毛の輪郭部分が縁取られたような額縁状の画像になってしまった。
D:ぼやけた画像であった。
Figure 2008105376
Figure 2008105376
Figure 2008105376
Figure 2008105376
Figure 2008105376
前記表3〜表7に示すように、既述の一般式(I)又は(II)で表される特定のモノマーを用いて半硬化させた実施例では、細線再現性を維持すると共に、インクが着滴した部分と着滴していない部分の境界でも着滴部分の中心部と同様のドット形状を維持することができた。これに対し、特定のモノマーを用いない比較例もしくは下塗り液の半硬化を行なわない比較例では、インクの着滴の有無など打滴状況によりドット形状の均一性を維持することができず、ボケが生じたり縁取ったような濃度変化を伴ない、くっきりとした品質の良好な画像は得られなかった。
上記の実施例では、一般式(I)又は(II)で表されるモノマーのうち幾つかを選択して構成した場合を中心に説明したが、一般式(I)又は(II)に含まれる他の化合物もアダマンタン骨格もしくはノルボルネン骨格を有するものであり、上記と同様の効果を得ることができる。
画像形成原理を説明するための工程図である。 本発明のインクジェット記録方法により画像を記録する画像記録装置の全体構成を示す概略断面図である。 (a)は図2の打滴ヘッドの基本的な全体構造の例を示す平面図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。 画像記録装置を構成する液体供給系統の構成例を示す概略図である。 画像記録装置を構成する制御システムの構成例を示すブロック図である。 下塗り層上にインク液滴を打滴したときのインク液滴の様子を説明するための断面模式図である。 本発明における半硬化状態を説明するための断面模式図であり、(a)及び(b)は未硬化状態の下塗り層にインクを打滴した場合を示す図であり、(c)は完全硬化した下塗り層にインクを打滴した場合を示す図である。 インクA層上にインクBの液滴を打滴したときのインク液滴の様子を説明するための断面模式図である。 本発明における半硬化状態を説明するための断面模式図であり、(a)及び(b)は未硬化状態のインクAにインクBを打滴した場合を示す図であり、(c)は完全硬化したインクAにインクBを打滴した場合を示す図である。
符号の説明
16 被記録媒体
20 下塗り層
22 下塗り層面
24 インク,インクB
28 インクA
81 下塗り液
81a 半硬化された下塗り液
82a,82b インク液滴
100 画像記録装置
100A インクジェット記録部
100A1 液膜形成部
100A2 描画部
102P ロールコーター
102Y,102C,102M,102K インク用打滴ヘッド
103P 半硬化用紫外線光源
103Y,103M,103C ピニング光源
103K 最終硬化光源
104 バッファ
104a 上ローラ
104b 下ローラ
104c 画像検出部
100B 後加工部
105 ニスコーター
106 ラベルカッティング部
106a マーキングリーダー
106b ダイカッタドライバ
106c ダイカッタ
106d 対向ローラ
106e 刃付版
107 分岐ローラ
108 カス取り部
109 ラベル巻取り部
50 打滴ヘッド
50a 吐出面
51 ノズル
52 圧力室
53 液体供給口
54 圧力室ユニット
55 共通液室
56 振動板
57 個別電極
58a 圧電体
58 圧電アクチュエータ
60 液体タンク
64 キャップ
66 クリーニングブレード
67 吸引ポンプ
68 回収タンク
102 描画部
103 UV光源
110 通信インターフェース
112 システムコントローラ
114,152 メモリ
116 搬送用のモータ
118 モータドライバ
122 ヒータ
124 ヒータドライバ
132 媒体種別検出部
134 インク種別検出部
135 照度検出部
136 環境温度検出部
137 環境湿度検出部
138 媒体温度検出部、
142 給液部
144 給液ドライバ
150 プリント制御部
154 ヘッドドライバ
156 光源ドライバ

Claims (8)

  1. 被記録媒体上に、下記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーを含有する下塗り液を付与する下塗り液付与工程と、
    付与された前記下塗り液を半硬化させる半硬化工程と、
    半硬化された前記下塗り液上に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを吐出して画像を記録する記録工程と、
    を含むインクジェット記録方法。
    Figure 2008105376

    〔一般式(I)及び(II)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは二価の連結基を表し、R及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。nは、環状炭化水素構造の形成に必要な原子団を表し、環状炭化水素構造は炭化水素結合と共にカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。kは1〜6の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。k個存在するR及びX、q個存在するR、並びにr個存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
  2. 前記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーの少なくとも一種が単官能モノマーであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記一般式(II)で表されるモノマーは、下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表されるモノマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
    Figure 2008105376

    〔一般式(III)、(IV)及び(V)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは二価の連結基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。kは1〜6の整数を表し、s、t及びuはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。s個存在するR、t個存在するR、及びu個存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
  4. 前記下塗り液は、活性エネルギー線の照射により硬化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記下塗り液及び吐出された前記インクの硬化を更に促進する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インクの硬化感度が、前記下塗り液の硬化感度と同等以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 被記録媒体上に、下記一般式(I)又は(II)で表されるモノマーを含有する下塗り液を付与する下塗り液付与手段と、
    前記被記録媒体の移動方向における前記下塗り液付与手段の下流に配置され、前記下塗り液の少なくとも一部にエネルギーを付与し、前記下塗り液を半硬化させる下塗り液半硬化手段と、
    前記被記録媒体の移動方向における前記下塗り液半硬化手段の下流に配置され、半硬化された前記下塗り液上に、活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを吐出して画像を記録する画像記録手段と、
    を備えたインクジェット記録装置。
    Figure 2008105376

    〔一般式(I)及び(II)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは二価の連結基を表し、R及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。nは、環状炭化水素構造の形成に必要な原子団を表し、環状炭化水素構造は炭化水素結合と共にカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。kは1〜6の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。k個存在するR及びX、q個存在するR、並びにr個存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
  8. 前記被記録媒体を搬送する搬送手段と、
    搬送される前記被記録媒体の搬送路における前記画像記録手段の搬送方向下流に配置され、前記画像記録手段により画像が記録された被記録媒体に活性エネルギー線を照射し、前記下塗り液及び吐出された前記インクの硬化を更に促進させる活性エネルギー線照射手段と、を更に備え、
    前記画像記録手段は、前記被記録媒体の搬送方向と直交する方向と平行に配置され、前記被記録媒体の記録可能な全幅に対応した長さを有する少なくとも1つのライン型インクジェットヘッドを用いて、前記インクを吐出することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
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