JPWO2015118611A1 - Cuボール、Cu核ボール、はんだ継手、はんだペースト、およびフォームはんだ - Google Patents
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Abstract
Description
(1)純度が99.9%以上99.995%以下であり、真球度が0.95以上であり、ビッカース硬さが20HV以上60HV以下であるCuボール。
本発明に係るCuボールのビッカース硬さは、60HV以下であることが好ましい。ビッカース硬さが60HVを超える場合、外部からの応力に対する耐久性が低くなり、耐落下衝撃性が悪くなると共にクラックが発生し易くなるからである。また、三次元実装のバンプや継手の形成時に加圧等の補助力を付与した場合において、硬いCuボールを使用すると、電極潰れ等を引き起こす可能性があるからである。さらに、Cuボール20のビッカース硬さが60HVを超える場合、結晶粒が一定以上に小さくなることで、電気伝導性の劣化を招いてしまうからである。本実施例では、生産性の高い急冷によりCuボールを製造した後、製造したCuボール20に対して結晶成長を促進させることによりビッカース硬さが60HV以下となるCuボール20を製造している。Cuボール20の結晶成長を促進させる手段としては、例えば、アニーリング処理の他に、Cuボール20の造球時に従来の急冷ではなく、徐冷工程を設けることも挙げられる。Cuボール20を造球する製造装置として落下式の装置を使用する場合は、徐冷に非常に高い塔高さが必要となり実現は困難であるが、加熱炉式の造球方法であれば、冷却速度を遅くしたり搬送距離を長く設定したりする徐冷プロセスを設けることで対応することができる。
UおよびThは放射性元素であり、ソフトエラーを抑制するにはこれらの含有量を抑える必要がある。UおよびThの含有量は、Cuボール20のα線量を0.0200cph/cm2以下とするため、各々5ppb以下にする必要がある。また、現在または将来の高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、UおよびThの含有量は、好ましくは、各々2ppb以下である。
本発明を構成するCuボール20は純度が99.9%以上99.995%以下であることが好ましい。Cuボール20の純度がこの範囲であると、Cuボール20の真球度が高まるための十分な量の結晶核を溶融Cu中に確保することができる。真球度が高まる理由は以下のように詳述される。
本発明を構成するCuボール20のα線量は、0.0200cph/cm2以下である。これは、電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量である。本発明では、Cuボール20を製造するために通常行っている工程に加え再度加熱処理を施している。このため、Cuの原材料にわずかに残存する210Poが揮発し、Cuの原材料と比較してCuボール20の方がより一層低いα線量を示す。α線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、好ましくは0.0020cph/cm2以下であり、より好ましくは0.0010cph/cm2以下である。なお、Cuボール20のビッカース硬さを小さくするためのアニーリング処理や徐冷プロセスを設けたことによってCuボール20のα線量が上昇することはない。
本発明を構成するCuボール20は、不純物元素としてSn、Sb、Bi、Zn、As、Ag、Cd、Ni、Pb、Au、P、S、U、Thなどを含有するが、特にPbまたはBiの含有量、もしくはPbおよびBiの両者を併せた含有量が合計で1ppm以上含有することが好ましい。本発明では、はんだ継手の形成時にCuボール20が露出した場合であっても、α線量を低減する上でCuボール20のPbおよびBiの少なくとも一方の含有量を極限まで低減する必要がない。これは以下の理由による。
本発明を構成するCuボール20は、基板間の適切な空間を保持する観点から真球度が0.95以上である。Cuボール20の真球度が0.95未満であると、Cuボール20が不定形状になるため、バンプ形成時に高さが不均一なバンプが形成され、接合不良が発生する可能性が高まる。さらに、Cuボール20を電極に搭載してリフローを行う際、Cuボール20が位置ずれを起こしてしまい、セルフアライメント性も悪化する。真球度は、より好ましくは0.99以上である。本発明において、真球度とは真球からのずれを表す。真球度は、例えば、最小二乗中心法(LSC法)、最小領域中心法(MZC法)、最大内接中心法(MIC法)、最小外接中心法(MCC法)など種々の方法で求められる。詳しくは、真球度とは、500個の各Cuボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。本発明での長径の長さ、および直径の長さとは、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350−PRO測定装置によって測定された長さをいう。
本発明を構成するCuボール20の直径は1〜1000μmであることが好ましい。この範囲にあると、球状のCuボール20を安定して製造でき、また、端子間が狭ピッチである場合の接続短絡を抑制することができる。Cuボール20をはんだペーストに用いる場合、Cuボール20の直径は1〜300μmであることが好ましい。
真球度が高いCuボールの作製条件を検討した。純度が99.9%のCuペレット、純度が99.995%以下のCuワイヤー、および純度が99.995%を超えるCu板を準備した。各々をるつぼの中に投入した後、るつぼの温度を1200℃に昇温し、45分間加熱処理を行い、るつぼ底部に設けたオリフィスから溶融Cuを滴下し、生成した液滴を室温(18℃)まで急冷してCuボールに造球した。これにより、平均粒径が600μmのCuボールを作製した。元素分析は、UおよびThについては誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS分析)、その他の元素については誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES分析)により行った。以下に、真球度の測定方法を詳述する。
真球度はCNC画像測定システムで測定した。装置は、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350−PROである。
Cuボールのビッカース硬さは、「ビッカース硬さ試験−試験方法 JIS Z2244」に準じて測定した。装置は、明石製作所製のマイクロビッカース硬度試験器、AKASHI微小硬度計MVK−F 12001−Qを使用した。
α線量の測定方法は以下の通りである。α線量の測定にはガスフロー比例計数器のα線測定装置を用いた。測定サンプルは300mm×300mmの平面浅底容器にCuボールを容器の底が見えなくなるまで敷き詰めたものである。この測定サンプルをα線測定装置内に入れ、PR−10ガスフローにて24時間放置した後、α線量を測定した。
次に、純度99.9%のCuペレットで製造したCuボールをカーボン製バットに入れた後、このバットを連続コンベア式電気抵抗加熱炉に搬入してアニーリング処理を行った。このときの、アニーリング条件を図2に示す。なお、炉内は、Cuボールの酸化を防止するために窒素ガス雰囲気にした。室温は25℃とした。
実施例2では、表1に示した純度が99.995%以下のCuワイヤーにより作製されたCuボールに対し、実施例1と同様の方法により、アニーリング処理を行うと共に酸化膜除去処理を行った。そして、得られたCuボールのビッカース硬さを測定した。また、アニーリング処理後におけるCuボールの真球度およびα線量のそれぞれを上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表2に示す。
比較例1では、表1に示した純度が99.9%のCuペレットにより作製されたCuボールのビッカース硬さを測定した。また、このCuボールの真球度およびα線量のそれぞれを上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表2に示す。
比較例2では、表1に示した純度が99.995%以下のCuワイヤーにより作製されたCuボールのビッカース硬さを測定した。また、このCuボールの真球度およびα線量のそれぞれを上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表2に示す。
比較例3では、表1に示した純度が99.995%を超えるCu板により作製されたCuボールのビッカース硬さを測定した。また、このCuボールの真球度およびα線量のそれぞれを上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表2に示す。
次に、上述したCuボールを用いたCu核ボールのアニーリング処理前後における真球度およびα線量について説明する。実施例3では、実施例1におけるアニーリング処理後のCuボールの表面に片側で2μmのNiめっき層を被覆することにより作製されたCu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
実施例4では、実施例2におけるアニーリング処理後のCuボールの表面に片側で2μmのNiめっき層を被覆することにより作製されたCu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
実施例5では、実施例1におけるアニーリング処理後のCuボールの表面に片側50μmのSn−3Ag−0.5Cu合金からなるはんだめっき層を被覆することにより作製されたCu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
実施例6では、実施例2におけるアニーリング処理後のCuボールの表面に片側50μmのSn−3Ag−0.5Cu合金からなるはんだめっき層を被覆することにより作製されたCu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
実施例7では、実施例3におけるNiめっきが被覆されたCu核ボールの表面にさらにはんだめっき層を被覆することにより作製された、Cu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。実施例7は、600μmの粒径のCuボールに、片側2μmのNiめっき層と片側50μmのはんだめっき層で被覆されており、704μmの粒径のCu核ボールとなる。これらの測定結果を下記表3に示す。
実施例8では、実施例4におけるNiめっきが被覆されたCu核ボールの表面にさらにはんだめっき層を被覆することにより作製された、Cu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
比較例4では、比較例3におけるCuボールの表面に片側で2μmのNiめっき層を被覆することにより作製されたCu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
比較例5では、比較例3におけるCuボールの表面に片側50μmのSn−3Ag−0.5Cu合金からなるはんだめっき層を被覆することにより作製されたCu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
比較例6では、比較例3におけるCuボールの表面にNiめっき層およびはんだめっき層をこの順に被覆することにより作製された、Cu核ボールの真球度およびα線量を上述した方法により測定した。これらの測定結果を下記表3に示す。
以下の表4に示す組成でフラックスを作製した。フラックス(9)は、活性剤として有機酸であるステアリン酸を5質量%含み、ロジンとしてロジンエステルを5質量%含む。塗布前のフラックスは液状とする必要があるので、残部は溶剤としてイソプロピルアルコールを90質量%含む。
所望の真球度及びα線量が得られた実施例1のCuボールと、表4に示すフラックスを使用して、以下に示す実施例のフラックスコートCuボールを作製した。実施例9のフラックスコートCuボールは、表4に示すフラックス(9)に浸漬し、その後金属バットにCuボールを散布し、温風乾燥を行った。
フラックスで被覆した各実施例のフラックスコートCuボールと、フラックスで被覆しないCuボールを、それぞれ200℃の恒温槽で1分、加熱処理を行った。
所望の真球度及びα線量が得られた実施例5のCu核ボールを用いてフラックスコートCu核ボールを作製し、はんだ接合性を検証した。
以下の表6に示す組成でフラックスを作製した。フラックス(11)は、活性剤として有機酸であるステアリン酸を5質量%含み、ロジンとしてロジンエステルを5質量%含み、残部は溶剤としてイソプロピルアルコールを90質量%含む。
次に、所望の真球度及びα線量が得られた実施例5のCu核ボールと、上述した表6に示すフラックスを使用して、以下に示す実施例のフラックスコートCu核ボールを作製した。実施例11のフラックスコートCu核ボールは、実施例5のCu核ボールを表6に示すフラックス(11)に浸漬し、その後、金属バットにCu核ボールを散布し、温風乾燥を行った。
フラックスで被覆した各実施例のフラックスコートCu核ボールと、フラックスで被覆しないCu核ボールを、それぞれCu板に散布し、250℃で30秒、ホットプレート上で大気リフローを行った。
11,41 電極
12,42 はんだペースト
20 Cuボール
30 はんだバンプ
40 プリント基板
50 はんだ継手
60 電子部品
Claims (16)
- 純度が99.9%以上99.995%以下であり、真球度が0.95以上であり、ビッカース硬さが20HV以上60HV以下であるCuボール。
- Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、PbおよびBiの少なくとも一方の含有量の合計量が1ppm以上であり、α線量が0.0200cph/cm2以下である請求項1に記載のCuボール。
- 直径が1〜1000μmである請求項1または2に記載のCuボール。
- フラックス層が被覆されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のCuボール。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載のCuボールと、
前記Cuボールを被覆するはんだ層とを備えるCu核ボール。 - 請求項1〜3の何れか一項に記載のCuボールと、
前記Cuボールを被覆するNi、FeおよびCoから選択される1元素以上からなるめっき層と備えるCu核ボール。 - 前記めっき層を被覆するはんだ層をさらに備える請求項6に記載のCu核ボール。
- 真球度が0.95以上である請求項5〜7の何れか一項に記載のCu核ボール。
- 前記めっき層を被覆するはんだ層は、Uの含有量が5ppb以下であり、Thの含有量が5ppb以下であり、PbおよびBiの少なくとも一方の含有量の合計量が1ppm以上であり、α線量が0.0200cph/cm2以下である請求項5〜7の何れか一項に記載のCu核ボール。
- フラックス層が被覆されている請求項5〜9のいずれか1項に記載のCu核ボール。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のCuボールを使用したはんだ継手。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のCuボールを使用したはんだペースト。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のCuボールを使用したフォームはんだ。
- 請求項5〜10のいずれか1項に記載のCu核ボールを使用したはんだ継手。
- 請求項5〜10のいずれか1項に記載のCu核ボールを使用したはんだペースト。
- 請求項5〜10のいずれか1項に記載のCu核ボールを使用したフォームはんだ。
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