JP4148521B2 - 球状微小銅粉および球状微小銅粉の製造方法 - Google Patents
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近年、パソコン,携帯電話,AV機器等の小型化に伴って電子回路基板(プリント基板)の配線のファインピッチ(高精細)化が求められており、高精細なスクリーン印刷を可能とするペーストが必要とされている。このような背景から、銅ペースト用の微小銅粉は、硬化した際に緻密な導体膜を形成して十分な導電性を有することが必要であり、導電性を確保するためには充填密度の高い銅ペースト用の微小銅粉が必要である。
また、多層プリント基板の導入により、スルーホールやビアホール等の内側に銅ペーストを充填し硬化させて導体層を作ることで、プリント基板の両面にある回路層の銅箔を導通させる方法が開発されており、銅ペーストをスルーホールやビアホール等に高充填密度で充填するためには流動性の高い銅ペースト用の微小銅粉が必要である。
このような不具合を解消するため、硬化した際に十分な導電性を有し、かつ流動性の高い(低粘性度の)銅ペースト用の微小銅粉が求められている。球状微小銅粉は、流動性が高い、充填密度が高い、比表面積が小さいといった特性を有しており、低粘性度の銅ペーストを製造することが期待でき、球状微小銅粉が注目されている。
湿式還元法は、他の製造方法に比べて均一な(粒度分布巾の狭い)微小銅粉を比較的容易に得られることから、現在では導電性の銅ペースト用の微小銅粉の製造方法の主流となっている。また、湿式還元法によって、形状が球状に近い微小銅粉(球状微小銅粉)を、粒径を制御しながら製造できるようになってきた。
そこで、導電性を高めるために、球状微小銅粉に他の形状の微小銅粉を混合することによって微小銅粉どうしの接触面積を増やすようにした銅ペースト用の微小銅粉が開発された(例えば特許文献2)。
しかし、このような混合微小銅粉では銅ペーストの粘性度を低くすることはできるが、導電性を高めるには至っていない。
水アトマイズ法は、冷却速度が速く、微小銅粉を製造することが可能であるが、その形状は不定形なものが多く、表面は凸凹している。また、水を媒体としているので微小銅粉の酸素含有量は比較的高くなってしまう。
一方、ガスアトマイズ法は、球状銅粉を比較的容易に製造することができ、高純度な不活性ガスを噴射ガスに用いることで、球状銅粉の酸素含有量を低く抑えられると共に不純物の少ない球状銅粉を製造する方法である。しかし、この製造方法で得られる球状銅粉の粒径は比較的大きく、最大直径が10μm以下の球状微小銅粉を得るためには微小銅粉を分級する必要があり、製造工程が複雑になるとともに分級後の歩留まりが悪くコスト高になってしまうという問題がある。
したがって、最大直径が15μm以下または10μm以下の球状微小銅粉を製造するには、ガスアトマイズ法と同様に微小銅粉を分級する必要があり、製造工程が複雑になるとともに分級後の歩留まりが悪くコスト高になってしまうという問題があった。
回転ディスク法により球状銅粉を製造する技術として、直径80 mm、厚さ40 mmの金属製(SC37)の大型のディスクを使用したものがある(例えば特許文献5)。この特許文献5で用いるディスクは、ディスクの重量が大きいため高速回転ができず、ディスクの回転数が1分間に5000回転という低速であり、球状微小銅粉を製造することはできなかった。
回転ディスク法において製造する球状微小銅粉の粒径を小さくするためには、ディスクを高速回転させる必要があるが、従来のディスクは直径および重量が大きいため、高速回転させるには大掛かりな装置が必要となってしまう。さらに、溶融温度が1100℃を超える高温の銅の溶湯をディスク上に流下させる時に、その熱衝撃に耐えうるディスク材料や、溶湯と反応して腐食しないディスク材料を選定する必要がある。
そこでこの発明の目的は、効率よく製造でき、導電性および流動性の高い球状微小銅粉を提供することにある。
飛散した溶湯を冷却して球状微小銅粉を形成する冷却ステップと、該球状微小銅粉の表面の付着物である他の微小銅粉を剥離する付着物剥離ステップを備え、
最大直径が15.0μm以下、最大直径と最小直径の比(最大直径/最小直径)である真球度が1.005ないし1.010かつ、複数の前記球状微小銅粉の粒度分布の標準偏差が0.05ないし0.20である球状微小銅粉を得ることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、銅原料を加熱溶融して溶湯する原料加熱溶融ステップと、前記溶湯をチャンバー内で回転する窒化珪素60〜80質量%、窒化アルミニウム15〜24質量%、アルミナ2〜8重量%、及びイットリア2〜8重量%を含む配合物を焼結してなる窒化珪素質ディスク上に注ぐ注湯ステップと、前記回転する窒化珪素質ディスク上に注湯された前記溶湯を遠心力で前記窒化珪素質ディスクの半径方向外側に飛散させる溶湯飛散ステップと、前記飛散した溶湯を冷却して球状微小銅粉を形成する冷却ステップとを備える球状微小銅粉の製造方法において、前記球状微小銅粉の表面の付着物である他の微小銅粉を剥離する付着物剥離ステップを備え、該付着物剥離ステップが、前記冷却した球状微小銅粉を酸素濃度200ppm以上1000ppm以下の剥離容器内に入れてなされることを特徴とする。
また、溶融した高温の溶湯を注いでも窒化珪素質ディスクが腐食せず耐久性がよく、長時間の製造を可能とし、効率よく球状微小銅粉を製造できる。
したがって、効率よく製造でき、導電性および流動性の高い球状微小銅粉を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、銅原料を加熱溶融して溶湯する原料加熱溶融ステップと、溶湯をチャンバー内で回転する窒化珪素60〜80質量%、窒化アルミニウム15〜24質量%、アルミナ2〜8重量%、及びイットリア2〜8重量%を含む配合物を焼結してなる窒化珪素質ディスク上に注ぐ注湯ステップと、回転する窒化珪素質ディスク上に注湯された溶湯を遠心力で窒化珪素質ディスクの半径方向外側に飛散させる溶湯飛散ステップと、飛散した溶湯を冷却して球状微小銅粉を形成する冷却ステップとを備える球状微小銅粉の製造方法において、球状微小銅粉の表面の付着物である他の微小銅粉を剥離する付着物剥離ステップを備え、その付着物剥離ステップが、冷却した球状微小銅粉を酸素濃度200ppm以上1000ppm以下の剥離容器内に入れてなされるので、球状微小銅粉どうしの付着を容易に剥離することができ、さらに、剥離された部分に酸素が付着して酸化膜を形成するので、球状微小銅粉どうしが再度凝集して付着することを防止することができる。したがって、真球度の高い球状微小銅粉を効率よく製造することができる。また、チャンバー内の残留酸素量が低い雰囲気中で噴霧を行うことで、球状微小銅粉の酸化を抑えることができる。
この発明の球状微小銅粉を製造する微小銅粉製造装置は、図1に示すように、銅を主とする原料を加熱溶融して銅の溶湯6とするための黒鉛質の坩堝(容器)2と、銅の溶湯6を注ぐための黒鉛質のノズル(注湯口)3と、回転し遠心力によって注がれた銅の溶湯6を飛散させるディスク(窒化珪素質ディスク)4を備える。
詳しくは、一部をチャンバー1内に設けた坩堝2の下端から下方に向かってノズル3を備える。坩堝2およびノズル3内には、それぞれ坩堝2とノズル3の温度制御をするための熱電対9を設ける。
ノズル3の下端の下方には円盤状のディスク4を備える。なお、ディスク4は回転中心上方にノズル3の下端が位置するように設ける。一方、ディスク4の裏面側の回転中心付近には回転軸を固定して設け、その回転軸にはモーター5を取り付ける。そして、チャンバー1の下部には銅粉回収部8を設ける。この銅粉回収部8には開閉可能な回収口が設けられている。
窒化珪素としては、セラミックス原料として一般に市販されているものであれば問題なく使用でき、その配合量は60〜80質量%の範囲とする。配合量が60質量%未満では、窒化珪素特有の高強度、耐熱衝撃性等の特性が損なわれ、80質量%を超えると、Al分として添加する窒化アルミニウムの量と、焼結時にガラスの液相を結晶粒界に形成しながら、窒化珪素が焼結する助剤として機能するアルミナ、イットリアの量が相対的に不足し、耐食性に優れた高強度の窒化珪素質ディスクにはならない。
アルミナとしては、セラミックス原料として一般に市販されているものであれば問題なく使用でき、その配合量は2〜8質量%の範囲とする。配合量が2質量%未満では、窒化珪素が焼結する助剤として機能するアルミナの量が不足し、耐食性に優れた高強度の窒化珪素質ディスクにはならない。一方、配合量が8質量%を超えると、ガラス成分が多くなり、耐食性に優れた窒化珪素質ディスクにはならない。
本発明の窒化珪素質ディスクは、一般的な窒化珪素やサイアロンの製法によって製造することができる。例えば、以下の製法によって製造できる。
(1)最大直径が15μm以下または10μm以下の球状微小銅粉を歩留良く製造する。
(2)製造された球状微小銅粉は真球度が高く、かつ酸素含有量を低くする。
(3)製造された球状微小銅粉は個々の粒子が付着することなく分散する。
最大直径が15μm以下または10μm以下の球状微小銅粉を歩留良く製造するためには、ディスク4の回転数を極めて高くする必要がある。そこで本発明者等は銅の溶湯6に対して耐久性のある窒化珪素質ディスク4を使用し、そのディスク4を高速回転可能なモーター5に取り付けて、ディスク4の回転数を1分間に70000回転(以下、1分間の回転数を「rpm」という。)以上で安定に噴霧することにより歩留まりの向上を可能にした。
このとき、得られる微小銅粉の形状は噴霧時のチャンバー1内の雰囲気に大きく依存する。従来の回転ディスク法(遠心噴霧法)で製造される微小銅粉は、形状が不定形になる場合や表面が凸凹状になる場合がある。その原因は、飛散した液滴7の表面が酸化・吸湿することで、飛散した液滴7の冷却過程で表面張力が低下して球状化を妨げるからである。
しかし、本発明者等による研究の結果、1.013×105Pa以上の不活性ガス中で噴霧を行った場合、ディスク4から飛散した液滴7が不活性ガス分子と衝突することによって液滴7の飛散距離が短くなるため、ディスク4の周辺の雰囲気中に浮遊する液滴7が多くなり、その浮遊した液滴7にディスク4から飛散してきた液滴7が次々と衝突することで不定形な微小銅粉や表面の凸凹した微小銅粉を発生していることが分かった。
このような付着性の強い球状微小銅粉に対する付着防止策として、微量の酸素を添加した不活性ガスを噴霧時の冷却ガスに使用する方法がある(例えば、特開平7−179912号公報)。これは、冷却ガスに含有する微量の酸素が、噴霧時の球状微小銅粉の表面に酸化被膜を形成させ、球状微小銅粉の凝集力を低下させて微小銅粉を分離させる方法である。
しかし、本発明者等はこの方法により球状微小銅粉の製造を試みたが、得られた球状微小銅粉の表面は酸化被膜によって凸凹してしまい、滑らかな表面を得ることは出来なかった。
そこで本発明者等は、この発明の球状微小銅粉を製造するにあたり、表面にへこみや傷を付けずに付着物を分離させる方法として、図2に示すような一般的な容器回転型の銅粉分離装置を用いることとした。すなわち、ステンレス製の円筒状の容器をV字型に形成して剥離容器10とし、その剥離容器10に回転軸11を延出して設け、その回転軸11を支持台12に回転自在に取り付ける。
まず、原料加熱溶融ステップにて、銅を主とする原料をチャンバー1内に設置した坩堝2に入れ加熱溶融して溶湯にする(S1)。なお、チャンバー1内の雰囲気は窒素ガス(不活性ガス)を主体とし、その雰囲気圧は1.013×105Paより低くする。
次に、ノズル3を加熱する(S2)。なお、坩堝2およびノズル3の加熱は、それらの周りに巻かれたコイルによる高周波誘導加熱により別々に加熱することができる。
さらに、ディスク4が加熱された時点で、モーター5を駆動してディスク4を高速回転させる(S4)。なお、チャンバー1内で高速回転する窒化珪素質のディスク4は最大100000rpmで回転する。
次に、注湯ステップにて、ノズル3を銅の溶融温度以上に加熱して、銅の溶湯6をチャンバー1内の回転する窒化珪素質のディスク4上に注ぐ(S5)。
そして、溶湯飛散ステップにて、回転する窒化珪素質のディスク4上に注湯された銅の溶湯6は、ディスク4の高速回転による遠心力でディスク4上を半径方向外側に薄く広がりながら移動し、ディスク4の周縁部から液滴7として飛散する(S6)。
そして冷却ステップにおいて、飛散した溶湯(液滴7)を冷却・凝固して球状微小銅粉を形成する。すなわち、液滴7はディスク4より飛散して表面張力により球状になるとともに、チャンバー1内の雰囲気により冷却されて固化し球状微小銅粉となる。その球状微小銅粉は落下して銅粉回収部8に回収される(S7)。なお、銅の溶湯6の温度測定には坩堝2及びノズル3内に設置した熱電対9を使用する。
剥離容器10が水平方向に回転軸11を備えるV字型円筒状であり、その剥離容器10を25rpmで30ないし90分間回転させることによって剥離容器10内にある球状微小銅粉どうしを衝突または摩擦させることによって球状微小銅粉に付着する別の球状微小銅粉である付着物を剥離する。
ディスク本体4aの直径は30〜40mmφ、ディスク本体4aの表面4sは平面状であり、その面粗度は23μm以下であることが好ましい。表面4sが平面状であるこのようなディスク本体4aを使用する理由は、噴霧時に銅の溶湯6をディスク本体4aの周縁部まで薄く一様に広がらせて飛散させ、不定形粒子の発生を防止することができることと、ディスク本体4aの加工が簡単で、表面4sを削り直せば再利用が可能であることである。
なお、ディスク4を取り付けるモーター5は、一般的な磁気浮上型を使用し、減圧状態でもディスク回転数が最大100000rpmまで安定して回転できるものを用いる。
なお、チャンバー1内のガス(雰囲気)の圧力は5.065×104以上1.013×105Pa未満の範囲とすることが特に好ましい。チャンバー1内のガスの圧力が5.065×104Pa未満になると、噴霧中に飛散した液滴の冷却ガスによる冷却効果が遅くなることで、微小銅粉が完全に球状化する前にチャンバー1の内壁に衝突してしまい、不定形粒子を発生させてしまう。噴霧時のチャンバー1内の雰囲気の温度は、70〜90℃,残留酸素量は300ppm以下とする。
そして、再び高純度窒素ガスによるガス置換を行った後、剥離容器10を室温で回転して付着物の分離を行う。このとき、剥離容器10内の酸素濃度は1000ppm以下、剥離容器10は25rpmで回転する。剥離容器10の回転時間は30〜90分が好ましい。回転時間が30分未満であると球状微小銅粉の分離が不十分であり、回転時間が90分を超えると剥離容器10内で分散した球状微小銅粉の再凝集を引き起こしてしまう。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。まず、本発明のディスク4の製造方法について説明する。
(ディスクの製造)
下記表1に示す配合割合で、各種の原料、水、成形助剤を加えて、ボールミルで混合し、スプレードライヤーにて顆粒を作製した。それぞれの顆粒をφ90mm×90mmのラバーモールドに充填後、CIP成形した。成形体はφ45mm×L40mmの傘型のディスク上にグリーン加工した。脱脂、焼成後研削加工して、図4に示すようなL=40mm、Φ1=35mm、Φ2=8mmのディスク4を得た。
また、製品の一部からサンプリングして、X線による結晶構造の同定とアルキメデス法による密度測定を行った。その結果を下記表1に示した。
なお、ディスク状の製品と同時に製造したサンプルより、JISR1601に準じて、曲げ試験片を加工、曲げ強さを測定した。その結果も表1に示した。
上記の要領で作成した窒化珪素質ディスク4を用いて、遠心噴霧機で溶銅を流下しながら、噴霧安定性、耐用時間の試験をした。以下にその試験方法を示す。なお、この試験で使用した遠心噴霧機は図1に示す微小銅粉装置である。
図3に示すフローでディスク4を試験した。すなわち、銅原料を黒鉛製の坩堝2に入れ、高周波誘導加熱により、コイルが巻かれている坩堝2および黒鉛製の出湯ノズル3を1200℃に加熱し、銅原料を溶融させる。なお、測温は坩堝2とノズル3に接触させている熱電対9で行った。
次に、ディスク4をモーター5で回転させ、ディスク4が出湯ノズル3の輻射により加熱された時点で銅の溶湯6を流下する。
本試験では、図4に示す出湯用のノズル3の下端部3bとディスク4の表面4sとの距離は20mm、ディスク4の回転数は70000rpm、遠心噴霧機のチャンバー1内は5.065×104Paの窒素雰囲気とした。
表1に噴霧試験結果を示した。比較例である試料No1,No2,No3は、ディスク本体4aの中心部に銅の溶湯6を流下することで、その周辺部分1mmが溶損しはじめて、平面でなくなり、噴霧の方向が水平方向でなく、上向きに角度がついた状態で噴霧された。この場合は、要求される球状の微小銅粉が得られなかったので、その時点で「噴霧不可能」とした。ここで、比較例の試料No1は、特願2002−151752号公報に記載のものと同等のものである。
一方、実施例の試料No4,No5,No6では、平均直径52.3±30μmの真球状の球状微小銅粉が得られた。比較例の試料No6は、強度が不足しているために、溶銅を流下後の熱衝撃により割れた。
次に、上述のディスク4を備える微小銅粉製造装置を使用して、球状微小銅粉を製造する手順を図1〜4を用いて説明する。まず、坩堝2に銅の原材料入れて加熱し、銅を溶融する(S1)。次に、ノズル3を加熱する(S2)とともに、そのノズル3の輻射熱でディスク4を加熱して(S3)、ディスク4を回転数100000rpmで回転させる(S4)。このとき、チャンバー1内の圧力6.078×104Pa(0.6atm)の高純度窒素ガス雰囲気(濃度0.1ppmの酸素を含む)は80℃とする。そして、ディスク4の表面4s上に、加熱されて1180℃となった銅の溶湯6を0.67kg/minの流下量でノズル3の下端部3bよりディスク4の表面4sに流下して(S5)、ディスク4の遠心力により銅の溶湯6を液滴7として飛散させて雰囲気中で冷却させる(S6)。液滴7は表面張力により球状となって冷却して固化しながら銅粉回収部8に向けて落下する。そして、銅粉回収部8より球状微小銅粉を回収する(S7)。
なお、このときのノズル3の下端部3bとディスク4の表面4sとの距離は、25mmとし、ノズル3より流下する銅の溶湯6はディスク本体4a上の回転中心部R(円心部分)より1mm外方に流下させる。
分散した球状微小銅粉は、空気分級機により最大直径10μm以下に分級した。詳しくは、空気分級機の円盤回転数1350rpm、風量6m3/minで分級した。
このようにして製造された最大直径10μm以下の球状微小銅粉の概要を下記表2に示す。また、球状微小銅粉の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、球状微小銅粉は分散していて凝集や付着は抑えられていた。また、回転による球状微小銅粉表面のへこみや損傷は見られなかった。
すなわち、この例の製造方法によって製造された球状微小銅粉は、銅を主とする原料を加熱溶融して銅の溶湯6とするための坩堝(容器)2と、溶湯を注ぐためのノズル(注湯口)3と、回転し遠心力によって注がれた銅の溶湯6を飛散させる、窒化珪素60〜80質量%、窒化アルミニウム15〜24質量%、アルミナ2〜8重量%、及びイットリア2〜8重量%を含む配合物を焼結してなる窒化珪素質のディスク4とを備えた微小銅粉製造装置を用いて製造される、最大直径が10.0μm以下、真球度が1.007ないし1.009、酸素含有量が263ないし324ppm、タップ密度が5.35〜5.46g/cm3、比表面積が0.138〜0.142m2/gの球状微小銅粉であって、複数の球状微小銅粉の粒度分布の標準偏差が0.085ないし0.166である。
真球度DR(DR=DL/DS、但し、DLは最大直径、DSは最小直径とする)は、図5,6に示すように球状微小銅粉の走査型電子顕微鏡像をもとに測定した。最大直径、最小直径、真球度はいずれも走査型電子顕微鏡像にある球状微小銅粉を無作為に20個選択して測定した。測定は、20個の球状微小銅粉のそれぞれについて、略球状の直径の最大値と最小値を測定してそれぞれの真球度を算出した。表2中に記載されている最大直径、最小直径、真球度は、20個の球状微小銅粉それぞれから得られた最大直径、最小直径、真球度の平均値である。
酸素含有量の測定は、酸素・窒素分析装置(堀場製作所製、EMGA−523型)にて行った。
タップ密度の測定は、日本粉末冶金工業会発行の「金属粉のタップ密度試験法」JPMA P 08に記載の測定方法にて行った。
比表面積は、BET法により測定した。
上述の実施例1と同じ微小銅粉製造装置と銅粉分離装置とをそれぞれ同じ条件で使用して製造された球状微小銅粉を空気分級機により最大直径15μm以下に分級した。
なお、空気分級機の円盤回転数1100rpm、風量6m3/minで最大直径15μm以下に分級した。
このようにして製造された最大直径15μm以下の球状微小銅粉の概要を下記表3に示す。また、球状微小銅粉の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図7,8に示す。図から明らかなように、球状微小銅粉は分散していて凝集や付着は抑えられ、銅粉剥離装置による分散時の球状微小銅粉表面のへこみや損傷は見られなかった。
すなわち、この例の製造方法によって製造された球状微小銅粉は、銅を主とする原料を加熱溶融して銅の溶湯6とするための坩堝(容器)2と、溶湯を注ぐためのノズル(注湯口)3と、回転し遠心力によって注がれた銅の溶湯6を飛散させる、窒化珪素60〜80質量%、窒化アルミニウム15〜24質量%、アルミナ2〜8重量%、及びイットリア2〜8重量%を含む配合物を焼結してなる窒化珪素質のディスク4とを備えた微小銅粉製造装置を用いて製造される、最大直径が15.0μm以下、真球度が1.007ないし1.008、酸素含有量が206ないし262ppm、タップ密度が5.41〜5.53g/cm3、比表面積が0.096〜0.108m2/gの球状微小銅粉であって、複数の球状微小銅粉の粒度分布の標準偏差が0.111ないし0.140である。
真球度DR(DR=DL/DS、但し、DLは最大直径、DSは最小直径とする)は、図7,8に示す球状微小銅粉の走査型電子顕微鏡像をもとに測定した。最大直径、最小直径、真球度はいずれも走査型電子顕微鏡像にある球状微小銅粉を無作為に20個選択して測定した。測定は、20個の球状微小銅粉のそれぞれについて、略球状の直径の最大値と最小値を測定してそれぞれの真球度を算出した。表3中に記載されている最大直径、最小直径、真球度は、20個の球状微小銅粉それぞれから得られた最大直径、最小直径、真球度の平均値である。
酸素含有量の測定は、酸素・窒素分析装置(堀場製作所製、EMGA−523型)にて行った。
タップ密度の測定は、日本粉末冶金工業会発行の「金属粉のタップ密度試験法」JPMA P 08に記載の測定方法にて行った。
比表面積は、BET法により測定した。
2 坩堝(容器)
3 ノズル(注湯口)
3b 下端部
4 ディスク(窒化珪素質ディスク)
4a ディスク本体
4b 支持部
4s 表面
5 モーター
6 銅の溶湯(溶湯)
7 液滴
8 銅粉回収部
10 剥離容器
11 回転軸
12 支持台
13 開閉蓋
R 回転中心部
Claims (8)
- 最大直径が15.0μm以下、最大直径と最小直径の比(最大直径/最小直径)である真球度が1.005ないし1.010かつ、粒度分布の標準偏差が0.05ないし0.20であることを特徴とする球状微小銅粉。
- 前記球状微小銅粉の最大直径が10.0μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の球状微小銅粉。
- 酸素含有量が200ないし330ppmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の球状微小銅粉。
- 銅原料を加熱溶融して溶湯とするための容器と、
前記溶湯を注ぐための注湯口と、
回転し遠心力によって注がれた溶湯を飛散させる、窒化珪素60〜80質量%、窒化アルミニウム15〜24質量%、アルミナ2〜8重量%、及びイットリア2〜8重量%を含む配合物を焼結してなる窒化珪素質ディスクとを備えた微小銅粉製造装置を用い、
飛散した溶湯を冷却して球状微小銅粉を形成する冷却ステップと、該球状微小銅粉の表面の付着物である他の微小銅粉を剥離する付着物剥離ステップを備え、
最大直径が15.0μm以下、最大直径と最小直径の比(最大直径/最小直径)である真球度が1.005ないし1.010かつ、複数の前記球状微小銅粉の粒度分布の標準偏差が0.05ないし0.20である球状微小銅粉を得ることを特徴とする球状微小銅粉の製造方法。 - 銅原料を加熱溶融して溶湯する原料加熱溶融ステップと、
前記溶湯をチャンバー内で回転する窒化珪素60〜80質量%、窒化アルミニウム15〜24質量%、アルミナ2〜8重量%、及びイットリア2〜8重量%を含む配合物を焼結してなる窒化珪素質ディスク上に注ぐ注湯ステップと、
前記回転する窒化珪素質ディスク上に注湯された前記溶湯を遠心力で前記窒化珪素質ディスクの半径方向外側に飛散させる溶湯飛散ステップと、
前記飛散した溶湯を冷却して球状微小銅粉を形成する冷却ステップとを備える球状微小銅粉の製造方法において、
前記球状微小銅粉の表面の付着物である他の微小銅粉を剥離する付着物剥離ステップを備え、
該付着物剥離ステップが、前記冷却した球状微小銅粉を酸素濃度200ppm以上1000ppm以下の剥離容器内に入れてなされることを特徴とする、球状微小銅粉の製造方法。 - 前記チャンバー内の雰囲気が不活性ガスを主体としてなり、前記雰囲気圧を1.013×105Paより低くすることを特徴とする、請求項5に記載の球状微小銅粉の製造方法
。 - 前記付着物剥離ステップは、水平方向に回転軸を備える前記剥離容器を1分間に25回転の回転数で30ないし90分間回転させ前記剥離容器内に入れられた球状微小銅粉どうしを衝突または摩擦させることによって前記付着物を剥離することを特徴とする、請求項5又は6に記載の球状微小銅粉の製造方法。
- 前記チャンバー内で回転する窒化珪素質ディスクは1分間に最大10万回転することを特徴とする、請求項5〜7の何れか1項に記載の球状微小銅粉の製造方法。
Priority Applications (1)
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