JP5418894B2 - 電子部品用複合ボールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、BGA(Ball Grid Array)に代表されるエリアアレイ端子型パッケージの接続端子等に用いられるはんだめっき層を形成した電子部品用複合ボールの製造方法に関するものである。
近年、電子部品の実装密度の高密度化要求に対応するために、パッケージオンパッケージ(POP)やマルチチップモジュール(MCM)などの3次元高密度実装の検討が進んでいる。この問題を解決するために、はんだよりも融点が高い、例えばCuからなるコアボールに、はんだを被覆した電子部品用複合ボールによる実装が提案されている。(特許文献1)
特許文献1に開示される電子部品用複合ボールは、コアボールの表面にNi下地めっき層とはんだめっき層の2層を形成したものであり、コアボールを脱脂等の前処理後、Ni下地めっき層とはんだめっき層を電気めっきで連続的に形成することにより、均一な膜厚のめっき層が得ることができるとされている。
特開平11−317416号公報
特許文献1に開示されるめっき方法においては、コアボールにNi下地めっき層、はんだめっき層と、異なる組成の2層以上のめっき層を形成するには、Ni下地めっき工程からはんだめっき工程に移行する際、めっき液の入れ替えやめっき槽の交換、あるいは別のめっき装置への移動が必要になる。このとき、たとえばめっきのバッチ処理数が異なると、Ni下地めっき層を形成したボールを一旦保管する必要が生じる。
Ni下地めっき層を形成したボールを一旦保管すると、Ni下地めっき層表面に酸化皮膜が形成されたり、コアボール表面に塵等のめっき層の形成に有害な不純物が付着したりすることで、次工程ではんだめっき層を形成する際にめっき皮膜の密着性の低下や、めっき皮膜が形成できないというめっき未着の問題を引き起こすことがあり、電子部品用複合ボールを電子部品に適用したときに接続信頼性上大きな問題である。
本発明の目的は、はんだめっき皮膜の密着性の低下やめっき未着を解決し、均一なはんだめっき層が形成された電子部品用複合ボールの製造方法を提供することである。
本発明者は、電子部品用複合ボールの製造方法を見直し最適化を行なった結果、異なるめっき工程間において洗浄処理を行なうことにより、はんだめっきの密着性およびはんだめっきの未着を大きく改善でき、均一なはんだめっき層が形成された電子部品用複合ボールを得ることができることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、Cuの球体からなるコアボールを用意する工程と、
前記コアボールの表面を塩酸水溶液で洗浄する第1洗浄処理工程と、
前記コアボールを包囲するようにNi下地めっき層を形成する第1めっき処理工程と、
前記下地めっき層の表面をメタンスルフォン酸水溶液で洗浄する第2洗浄処理工程と、
前記下地めっき層を包囲するようにはんだめっき層を形成する第2めっき処理工程と、
前記はんだめっき層の表面を洗浄する第3洗浄処理工程
を経る電子部品用複合ボールの製造方法である。
前記コアボールは、溶融させて表面張力により球状凝固したボールであることが好ましい。
本発明によれば、異なるめっき工程間において洗浄処理を行なうことにより、均一なはんだめっき層が形成された電子部品用複合ボールを得ることができるため、接合精度に優れた電子部品の実用化にとって欠くことのできない技術となる。
本発明を用いて製作した電子部品用複合ボールの断面の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の電子部品用複合ボールの製造方法を、順序だって詳細に説明する。
(1)Cuの球体からなるコアボールを用意する工程
先ず、本発明は、Cuの球体からなるコアボールを用意する。
本発明において対象とするコアボールの素材は、Cuを用いる。Cuを用いる理由として、はんだ溶融温度以上の融点を有するからである。コアボールのサイズは、電子部品用としては、30μm〜1500μmの直径を有するものが多く用いられる。1500μmを超えるサイズのものは、電子部品用途としては多くなく、30μmよりも小径のサイズでは、ハンドリング性の問題からあまり用途が多くないからである。
(2)前記コアボールの表面を還元性水溶液で洗浄する第1洗浄処理工程
次に、本発明は、コアボールの表面を、還元性水溶液で洗浄する第1洗浄工程を設ける。Ni下地めっき層形成前のコアボールは、長期間の保管等により、表面に酸化皮膜が形成されたり、コアボール表面に塵等のめっき層の形成に有害な不純物が付着している場合がある。本発明では、コアボール表面に形成するNi下地層を密着性に優れ且つ均一に形成するために、コアボール表面の酸化皮膜や不純物を予め除去しておく。
還元性水溶液を洗浄に用いる理由としては、水溶液の還元作用によりコアボール表面に形成された酸化皮膜を溶解し、除去するためである。還元性水溶液の種類については、次工程のNiめっき液へ還元性水溶液が持込まれ、Niめっき液が劣化する可能性があるため、Niめっき液に通常含まれる酸である塩酸を用いる。塩酸を用いる場合は、コアボールの素地を溶解せずに酸化膜を除去できる塩酸溶液濃度5%〜10%が好ましく、次工程への酸の持込みを最小限にするために、さらに純水で洗浄を行なうとよい。
また、還元性水溶液を形成するための還元剤の種類としては、硫酸、硝酸、リン酸、ヒドラジンなどの無機酸や、メタンスルフォン酸、有機スルフォン酸、シュウ酸、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸などの水溶性有機酸を用いることができる。
また、コアボール表面を粗さないために、還元性水溶液は常温(20〜25℃)で使用することが好ましい。
洗浄の方法としては、例えば、ポリ容器やガラス容器にボールおよび還元性水溶液を投入し、容器ごと振動させて攪拌したり、撹拌プロペラを容器中に入れて撹拌したり、容器を回転させるなどの手段を適宜選択することができる。特に、攪拌による洗浄は、還元性水溶液の濃度を均一にして、還元性水溶液とコアボールとの接触機会を増加させることができ、均一に洗浄を行なうことができるため、好ましい。
(3)前記コアボールを包囲するようにNi下地めっき層を形成する第1めっき処理工程
本発明は、第1洗浄処理工程後に、前記コアボールを包囲するようにNi下地めっき層を形成する第1めっき処理工程を設ける。
Ni下地めっき層を形成する方法としては、電解めっき法、無電解めっき法など適宜選択できる。電解めっき法では、均一にめっきを施すために、例えば、回転バレル装置や傾斜バレル装置、高速回転めっき装置等を用いることができる。また、めっき液はワット浴やスルファミン酸浴を用いることができる。
Ni下地めっき層は、Cuの球体からなるコアボールからのCu拡散防止のためにバリア層としてコアボールを包囲するように形成するものであり、Ni下地めっき層の厚さは薄すぎるとバリア層としての機能を果たさないため、2μm以上が好ましい。
(4)前記Ni下地めっき層の表面を還元性水溶液で洗浄する第2洗浄処理工程
本発明は、第1めっき処理工程でNi下地めっき層を形成した後に、Ni下地めっき層表面を還元性水溶液で洗浄する第2洗浄工程を設ける。第1めっき処理工程でNi下地めっき層を形成したボールは、長期間の保管等により、表面に酸化皮膜が形成されたり、塵等のめっき層の形成に有害な不純物が付着している場合がある。本発明では、Ni下地めっき層表面に形成するはんだめっき層を密着性に優れ且つ均一に形成するために、Ni下地めっき層表面の酸化皮膜や不純物を予め除去しておく。
還元性水溶液を洗浄に用いる理由としては、水溶液の還元作用によりNi下地めっき層の表面に形成された酸化皮膜を溶解し、除去するためである。還元性水溶液の種類については、次工程のはんだめっき液へ還元性水溶液が持込まれ、はんだめっき液が劣化する可能性があるため、はんだめっき液に通常含まれる酸であるメタンスルフォン酸を用いる。メタンスルフォン酸を用いる場合は、Ni下地めっき層の素地を溶解せずに酸化皮膜を除去できる溶液濃度5%〜10%が好ましく、還元性水溶液の次工程への持込みを最小限にするために、さらに純水洗浄を行なうとよい。
また、還元性水溶液を形成するための還元剤の種類としては、硫酸、硝酸、リン酸、ヒドラジンなどの無機酸や、メタンスルフォン酸、有機スルフォン酸、シュウ酸、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸などの水溶性有機酸を用いることができる。
また、Ni下地めっき層の表面を粗さないために、還元性水溶液は常温(20〜25℃)で使用することが好ましい。
洗浄の方法としては、第1洗浄処理工程と同様な方法でよく、例えば、ポリ容器やガラス容器にボールおよび還元性水溶液を投入し、容器ごと振動させて攪拌したり、撹拌プロペラを容器中に入れて撹拌したり、容器を回転させるなどの手段を適宜選択することができる。特に、攪拌による洗浄は、還元性水溶液の濃度を均一にして、還元性水溶液とコアボールとの接触機会を増加させることができ、均一に洗浄を行なうことができるため、好ましい。
(5)前記下地めっき層を包囲するようにはんだめっき層を形成する第2めっき処理工程
本発明は、第2洗浄処理工程後に、前記下地めっき層を包囲するようにはんだめっき層を形成する第2めっき処理工程を設ける。
はんだめっき層を形成する方法としては、第1めっき処理工程と同様な方法でよく、電解めっき法、無電解めっき法などを適宜選択できる。電解めっき法では、均一にめっきを施すために、例えば、回転バレル装置や傾斜バレル装置、高速回転めっき装置等を用いることができる。また、めっき液には、メタンスルフォン酸系のめっき液が使用できる。
本発明において対象とするはんだめっきのはんだ組成は、電子部品として典型的なSn、Sn−Bi、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu、Sn−Au、Sn−Cu等が適用でき、通常融点が300℃以下のものが使用される。また、はんだめっき層の厚さは、0.01μmから50μmの厚さが典型的であり、要求特性に基づいて適宜選択される。
(6)前記はんだめっき層の表面を洗浄する第3洗浄処理工程
最後に、本発明は、はんだめっき層を形成した後にはんだめっき層の表面を洗浄する第3洗浄処理工程を設ける。
これは、はんだめっき層を形成した後、はんだめっき液がはんだめっき層を腐食する場合があるため、水洗浄を行なう必要がある。洗浄の方法としては、第1および第2洗浄処理工程と同様の方法でもよく、ビーカーやはんだめっき処理工程で用いた容器中で攪拌等により行なうとよい。
本発明で用いるCuの球体からなるコアボールは、Cuを溶融させて表面張力により球状凝固する方法で形成することが好ましい。たとえば、特開2004−137530号公報に開示される均一液滴噴霧法や、特開2005−2428号公報に開示される熱プラズマ法を適宜選択することができる。特に均一液滴噴霧法は、高い真球度のコアボールが得られるため、電子部品として用いたときの寸法精度が向上することから、より好ましい。
先ず、特開2005−2428号公報に開示される熱プラズマ法を用いて、純度が99.99質量%以上のCu金属片を熱プラズマ中に導入して溶融し、球状凝固させて、φ200μmのCuの球体からなるコアボールを作製した。
第1洗浄処理工程では、還元性水溶液として、塩酸を10%含む常温の塩酸水溶液を100ml用意し、上記のCuコアボール25gを塩酸水溶液中へ投入し、容器を手で振動させて攪拌しながら3分間洗浄を実施した。その後、Cuコアボールを純水で洗浄した。
第1めっき処理工程では、先ず、硫酸Niを237g/L、塩化Niを40g/Lを含むNiめっき液を用意した。このNiめっき液を用いて、Niを陽極電極として、電流密度1.0A/dm2、浴温60℃とし、バレルめっき装置で電解めっきを行ない、第1洗浄処理を行なったCuコアボールを包囲するようにNi下地めっき層を2μm形成した。次いでNi下地めっき層を形成したボールを、純水で洗浄した後、エタノールで洗浄し、常温(25℃)で乾燥させた。
第2洗浄処理工程では、還元性水溶液として、メタンスルフォン酸5%を含む常温のメタンスルフォン酸水溶液100mlを用意し、Ni下地めっき層を形成したボールをメタンスルフォン酸水溶液中へ投入し、容器を手で振動させて攪拌しながら3分間の洗浄を実施した。その後、Ni下地めっき層を形成したボールを純水で洗浄した。
第2めっき処理工程では、先ず、メタンスルフォン酸Sn(Snとして22g/L)、メタンスルフォン酸Ag(Agとして1.0g/L)、メタンスルフォン酸Cu(Cuとして2.0g/L)を含む溶液にアンモニアを添加して、pH4.0に調整したはんだめっき液を用意した。このはんだめっき液を用いて、Snを陽極電極として、電流密度1.0A/dm2、常温(25℃)で、高速回転めっき装置で電解めっきを行ない、第2洗浄処理を行なったNi下地めっき層を包囲するようにSn−3.0Ag−0.5Cu質量%のはんだめっき層を28μm形成した。
第3洗浄処理工程では、はんだめっき層を形成した電子部品用複合ボールを純水中へ投入し、容器を手で振動させて攪拌しながら洗浄した後、エタノールで洗浄し、常温(25℃)で乾燥させた。
上記で作製した電子部品用複合ボールの断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図1に示す。図1に示すように、本発明の電子部品用複合ボールの製造方法によれば、コアボールの表面を還元性水溶液で洗浄することにより、均一なNi下地めっき層を形成することができ、Ni下地めっき層の表面を還元性水溶液で洗浄することにより、均一なはんだめっき層を形成できることが確認できた。本発明は、めっき層形成前にボール表面を洗浄することで、めっき層の密着性低下や未着などの問題を起こす可能性を低減でき、電子部品用複合ボールを接続端子部として用いた電子部品を実用化する上で、電気的な接続信頼性を大いに向上することが可能となる。

Claims (2)

  1. Cuの球体からなるコアボールを用意する工程と、
    前記コアボールの表面を塩酸水溶液で洗浄する第1洗浄処理工程と、
    前記コアボールを包囲するようにNi下地めっき層を形成する第1めっき処理工程と、
    前記下地めっき層の表面をメタンスルフォン酸水溶液で洗浄する第2洗浄処理工程と、
    前記下地めっき層を包囲するようにはんだめっき層を形成する第2めっき処理工程と、
    前記はんだめっき層の表面を洗浄する第3洗浄処理工程
    を経ることを特徴とする電子部品用複合ボールの製造方法。
  2. 前記コアボールは、溶融させて表面張力により球状凝固したボールであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用複合ボールの製造方法。
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