JP6195745B2 - 電気ニッケルめっき液、めっき液の製造方法および電気めっき方法 - Google Patents

電気ニッケルめっき液、めっき液の製造方法および電気めっき方法 Download PDF

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Description

本発明は、めっき処理によりニッケル皮膜を形成するための電気ニッケルめっき液およびその電気ニッケルめっき液を用いた電気めっき方法に関する。
従来、一般的な電子部品用めっきは銅および銅合金素地上に下地としてニッケルめっき皮膜を設け、その表面に金めっきを行う二層めっきが用いられている。電子部品用めっきは、「フープめっき」と呼ばれるリールトゥリールによる高速めっき法が用いられる。高速めっき法では、被めっき品を0.5〜15m/min程度の移動速度で移動させて装飾用めっきよりも高い電流密度で連続的にめっき処理が行われる。
装飾用の電気ニッケルめっきには、硫酸ニッケルと、塩化ニッケルと、ホウ酸とで構成された「ワット浴」が一般的に用いられるが、高速めっきの下地ニッケルめっきにはスルファミン酸ニッケルと、塩化ニッケルと、ホウ酸とで構成された「スルファミン酸ニッケルめっき浴」が用いられる。めっき浴に含まれるホウ酸は、ニッケルめっき浴のpHを一定に保ってニッケルを安定的に電析するためのpH緩衝剤である。
このスルファミン酸ニッケルめっき浴は、そのままではめっき外観にピットやピンホールと呼ばれる外観不良を引き起こす場合がある。そのため、ピットやピンホールの発生を抑制するためにめっき液の表面張力を低下させる界面活性剤等の添加剤がめっき液に添加される。
特開2001−172790号公報 特開2012−162786号公報
しかしながら、2001年7月1日施行の改正水質汚濁防止法においてホウ酸が規制対象物質に指定されたことから、電気ニッケルめっき液においてもホウ酸を含まないめっき液が求められるようになった。
そのため、例えば特許文献1には、pH緩衝剤であるホウ酸の代替としてクエン酸を用いた電気ニッケルめっき浴が開示されている。特許文献1には硫酸ニッケル:200〜360g/L、塩化ニッケル:30〜90g/L、クエン酸ニッケル:24〜42g/L(又はクエン酸:12〜21g/L)を含み、pH:3〜5であることを特徴とするホウ酸フリーの電気ニッケルめっき浴が開示される。特許文献1では、このめっき浴を用いて電流密度0.1〜15A/dmの範囲で、静止(引っかけ)あるいは回転(バレル)めっきによりめっきを行うとしている。
また特許文献2は、ホウ酸の代替としてリンゴ酸等のモノカルボン酸をpH緩衝剤として用いる高速用電気ニッケルめっき浴を開示する。特許文献2のめっき浴は、スルファミン酸ニッケル4水和物:10〜1000g/L、塩化ニッケル6水和物:100g/L、モノカルボン酸:1〜300g/Lを含み、pH:1〜6であることを特徴とするホウ酸フリーの高速用ニッケルめっき浴(スルファミン酸ニッケルめっき浴)である。金めっきの下地ニッケルめっきとしての記載はない。
しかし、特許文献1のめっき浴をリールトゥリールによる高速めっき法におけるめっき浴として用いると、めっき表面に焼けが生じ、表面の平滑な膜質の優れためっき皮膜を形成することができない。
また特許文献2のスルファミン酸ニッケルを用いためっき浴では、生成されためっきにピットが生じやすい。ピット防止のために界面活性剤などの添加剤をめっき浴に加えると、界面活性剤に含まれる成分がニッケル皮膜において共析し、ニッケル皮膜の耐食性を低下させるなどの原因となる。
そこで本発明は、ピット防止等のための添加剤やホウ素を含まない、高速電気めっきのめっき液として用いた場合にも、耐食性および外観に優れためっき皮膜が得られる電気ニッケルめっき液を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電気ニッケルめっき液は、被めっき物にニッケル皮膜を形成するための電気ニッケルめっき液において、硫酸ニッケル6水和物を250g/L以上400g/L以下、塩化ニッケル6水和物を1g/L以上20g/L以下、クエン酸3ナトリウムを100g/L以上250g/L以下含み、pHが3以上5以下であることを特徴とする。
本発明によれば、ピット防止等のための添加剤やホウ素を含まない、高速電気めっきのめっき液として用いた場合にも、耐食性および外観に優れためっき皮膜が得られる電気ニッケルめっき液を提供することができる。
実施形態の電気ニッケルめっき液を用いた電気めっき処理を行う装置の一例である、リールトゥリールによる高速めっき法によりめっき処理を行う装置の概略図である。 実施例を作成した高速めっき処理の流れと本実施例において高速めっき処理を行った装置構成を示す図である。 ニッケルめっき時と金めっき時のそれぞれのめっき表面の写真である。 ニッケルめっき時と金めっき時のそれぞれのめっき表面の写真である。 実施例と比較例の試験前のめっき表面と試験開始から24時間経過後のめっき表面のそれぞれの写真である。 比較例の試験前のめっき表面と試験開始から24時間経過後のめっき表面のそれぞれの写真である。
以下、本発明に係る電気ニッケルめっき液の実施形態について説明する。本実施形態の電気ニッケルめっき液は、めっき対象物(被めっき物)にニッケル皮膜を電気めっき法で形成する際に用いる電気めっき液である。本実施形態の電気ニッケルめっき液は、硫酸ニッケルと塩化ニッケルとクエン酸3ナトリウムを含み、pHが3以上5以下に調整されためっき液である。
硫酸ニッケルは、電気ニッケルめっき液における含有量が硫酸ニッケル6水和物で250g/L以上400g/L以下であることが好ましい。電気ニッケルめっき液を生成する場合には、硫酸ニッケル6水和物を用いればよい。硫酸ニッケル6水和物のめっき液における含有量が250g/Lより少ないと、めっき皮膜の外観に曇りおよび焦げが生じる場合がある。また硫酸ニッケル6水和物の含有量が400g/Lより多いと、めっき液の比重が高くなり、ピットの発生を引き起こす場合がある。硫酸ニッケル6水和物は、300g/L以上400g/L以下めっき液に含まれることがより好ましい。
塩化ニッケルは、電気ニッケルめっき液における含有量が塩化ニッケル6水和物で1g/L以上20g/L以下含まれることが好ましい。塩化ニッケル6水和物のめっき液における含有量が1g/Lより少ないと、アノード板として用いるニッケルが不導態化し、ニッケルが不溶化するため、めっき反応を阻害する場合がある。また塩化ニッケル6水和物の含有量が20g/Lより多いと、めっき皮膜の内部応力が増大する場合がある。電気ニッケルめっき液を生成する場合には、塩化ニッケル6水和物を用いればよい。
クエン酸3ナトリウムは、電気ニッケルめっき液における含有量が100g/L以上250g/L以下含まれることが好ましい。トリカルボン酸であるクエン酸のナトリウム塩であるクエン酸3ナトリウムを含有することで、めっき皮膜を形成した場合にピットやピンホールなどがより発生しにくくなる。さらに皮膜の耐食性も向上する。一方、たとえばクエン酸3ナトリウムの代わりにモノカルボン酸を用いてめっきをした場合には、ピットやピンホールが発生しやすくなったり、形成される皮膜の耐食性が十分でない場合がある。また、クエン酸3ナトリウムではなく、クエン酸を用いた場合には、めっき液のpHが低くなり、塩基性炭酸ニッケルを用いてpHを上げる操作を必要とするため、好ましくない。クエン酸3ナトリウムのめっき液における含有量が100g/Lより少ないと、めっき時の水素の発生量が増大するため、電流効率が低下する場合がある。またクエン酸3ナトリウムの含有量が250g/Lより多いと、めっき液のpHが低くなりピットを生じやすくなるので、好ましくない。
また、本実施形態の電気ニッケルめっき液のpHは、3以上5以下であることが好ましい。めっき液のpHが3より小さいとめっき皮膜の外観にピットを生じやすくなる場合があり、pHが5より大きいとめっき皮膜に焦げを生じやすく、また内部応力の増大および皮膜が硬くなる場合がある。
本実施形態の電気ニッケルめっき液の調製方法を説明する。まず、純水に硫酸ニッケル6水和物、塩化ニッケル6水和物を入れ、50℃程度に加熱して溶解させる。そして、その溶液にクエン酸3ナトリウムを加え、溶解させる。そして、希硫酸等を加えてpHを調整する。そして、必要に応じて溶液中の不純物を取り除くために、活性炭処理(活性炭を加えて撹拌後、吸引濾過)を行う。以上の工程により本実施形態の電気ニッケルめっき液が得られる。
次に、本実施形態の電気ニッケルめっき液を用いて電気ニッケルめっきを行う方法について説明する。本実施形態の電気ニッケルめっき液は、リールトゥリールによる高速めっき法のめっき液として用いた場合でも、ピットなどの外観不良が抑制され、かつ、耐食性に優れためっき皮膜を形成することができる。図1には、本実施形態の電気ニッケルめっき液を用いた電気めっき処理を行う装置の一例として、リールトゥリールによる高速めっき法によりめっき処理を行う装置の概略図を示す。図1に示す高速めっき装置1は、帯状の銅などの金属板であるめっき対象物50(被めっき物)をリールから送り出して連続してめっき処理を行い、リールで巻き取る装置である。図1の高速めっき装置1は、めっき対象物50の表面に下地ニッケル層を形成し、下地ニッケル層の表面に金めっきを行う装置であり、電子部品のめっき加工処理などに用いられる装置である。
高速めっき装置1は、前処理部2と、下地Niめっき部4と、Auめっき部6と、後処理部8と、乾燥部10と、送り出しリール12と、巻き取りリール14と、を備える。
前処理部2は、めっき対象物50の表面を、有機溶媒やアルカリ溶液によって脱脂を行ったり、酸による洗浄を行ったり、電解脱脂などを行う。どのような前処理を行うかは、めっき対象物の材料やめっき液の種類や形成するめっき皮膜の条件等に応じて適宜設定されればよい。
下地Niめっき部4は、前処理が行われためっき対象物50の表面に電気ニッケルめっきを行う。下地Niめっき部4で用いられるめっき浴は本実施形態の電気ニッケルめっき液である。高速めっき装置1は、高速めっき法でめっき処理を行う。そのため、リールによるめっき対象物の移動速度によっても変わるが、10A/dm以上40A/dm以下の電流密度で下地Niめっき処理が行われることが好ましい。当該範囲での電流密度でめっきが行われれば、めっき対象物を移動させながらめっきする高速めっき法で電気ニッケルめっきを行っても、十分な厚みや質を備えた下地Niめっき皮膜を形成することができる。電気ニッケルめっき液の温度は40℃以上60℃以下が好ましい。
Auめっき部6は、Niめっき皮膜が形成されためっき対象物50のNiめっき皮膜の表面にめっきにより金皮膜を形成する。Auめっき部6において行われる金めっき処理は、金を含むめっき浴を用いて電気めっき等の公知のめっき処理方法によって行うことができる。
後処理部8は、金めっき処理が行われためっき対処物50の水洗処理などを行う。また乾燥部10は、水洗処理等の後処理が行われためっき対象物50を乾燥させる。
送り出しリール12は、帯状のめっき対象物50をめっき処理を行うために連続的に送り出す。巻き取りリール14は、高速めっき処理によって一連のめっき処理がされためっき対象物50を巻き取って回収する。送り出しリール12と巻き取りリール14はめっき対象物50の高速めっき装置1における送り速度を調整することができる。送り速度は適宜設定されるが、0.5m/min〜15.0m/min程度に設定されれば良い。
本実施形態の電気ニッケルめっき液を用いて電気ニッケルめっきを行えば、上述の速度でめっき対象物50を送り、上述の電流密度で高速電気めっき処理を行った場合でも、ピット等の外観不良が抑制され、耐食性にも優れた、品質のより高いニッケルめっき皮膜を形成することができる。よって本実施形態の電気ニッケルめっき液を用いれば、より高品質の電子部品等のめっき物を効率よく製造することができる。
とくに、本実施形態の電気ニッケルめっき液を用いた場合には、ピットの発生を防止するピット防止剤や光沢剤などの添加剤を含まなくても、ピットなどの発生が抑制され、緻密で欠陥の非常に少ない、光沢を有するニッケル皮膜を形成することができる。
また、本実施形態の電気ニッケルめっき液を用いれば、めっき液にホウ酸を含まないので、ホウ酸フリーでめっき処理が可能となる。めっき液にホウ酸を含まないことで、めっき対象物を水洗した場合に排水等に含まれるホウ酸を取り除く処理を行う必要がない。また、ホウ酸が含まれないので、ホウ酸を含む排水等が自然界に放出されて環境に好ましくない影響を及ぼすこともない。
次に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(高速めっき法でのめっき皮膜の形成)
上述した実施形態の電気ニッケルめっき液をめっき浴に用いて、実際に高速めっき法でニッケル皮膜およびそのニッケル皮膜上に金めっき皮膜を形成するめっき処理を行った。高速めっき処理は、リールトゥリール方式の場合のようにめっき対象物をめっき浴中において移動させる代わりに、以下に示すような装置でめっき対象物の円板を回転させながら電気めっき処理を行うことで、めっき対象物が移動している場合と同様の状況を実現してめっき処理を行った。
図2は、実施例を作成した高速めっき処理の流れと本実施例において高速めっき処理を行った装置構成を示す図である。ニッケルめっき処理を行う電気ニッケルめっき装置20と、金めっき処理を行う電気金めっき装置20’は、めっき浴の組成が異なるだけであり基本的には同じ構成である。電気ニッケルめっき装置20および電気金めっき装置20’は、めっき浴槽22(22’)と、カソード24と、回転軸26と、モータ28と、アノード30と、電極板32と、を備える。
実施例で用いためっき対象物52は、円板状の銅板である。中心に穴が開いており回転軸26に固定してモータ28で回転させることができる。めっき対象物52を回転させながら電流を流すことで、めっき対象物52がめっき液に対して相対的に移動している状態でめっき処理を行うことができる。
めっき浴槽22(22’)は、めっき液をためる槽である。電気ニッケルめっき装置20のめっき浴槽22には電気ニッケルめっき液がためられ、電気金めっき装置20’のめっき浴槽22’には金めっき液がためられている。電気ニッケルめっき液の組成および金めっき液の組成は後述する。
このめっき浴槽22(22’)に回転軸26の先端に固定されたメッキ対象物52が浸漬される。そして円板状のめっき対象物52が固定された回転軸26は、モータ28に接続されており、モータ28によってめっき対象物52を回転させることができる。また、回転軸26とめっき対象物52は導通状態で固定され、さらに回転軸26とカソード24とが導通状態で接続されている。このように接続されることで、めっき対象物52がめっき液中におけるカソードとしてはたらき、めっき対象物52の表面に金属を析出させることができる。
アノード30はめっき浴槽22(22’)中に浸漬された電極板32に接続され、電極板32がめっき液中においてアノードとしてはたらく。
以上の電気ニッケルめっき装置20と電気金めっき装置20’とを用いて、めっき対象物52に金めっきの下地めっき皮膜としてニッケルめっき皮膜を形成し、ニッケルめっき皮膜の上に金めっき皮膜を形成して、以下の通り実施例を作成した。
(実施例1)
直径が6.4cm、厚みが0.3mmの円形の銅板をめっき対象物として用いた。まず、めっき対象物の前処理として、アルカリ性溶液を用いて電解脱脂処理を行い、希硫酸を用いて酸活性化処理を行った。
次にめっき対象物52に対して、上述の電気ニッケルめっき装置20により電気ニッケルめっき処理を行った。ニッケルめっき液は、硫酸ニッケル6水和物を325g/L、塩化ニッケル6水和物を5g/L、クエン酸3ナトリウムを138g/L含有し、pHを4.0に調整したものである。そして、浴温を50℃とし、電流密度を20A/dmとし、モータ28によってめっき対象物52を150rpmの回転速度で回転させて電気ニッケルめっき処理を行った。ニッケルめっき皮膜は3.0μmの厚みの皮膜を形成した。なお、回転速度150rpmでめっき対象物52を回転させた場合、円板上の位置(回転中心からの位置)によってめっき対象物の移動速度は異なるが、5〜25m/minの移動速度(円板の中心位置側が5m/min程度、円板の円周付近が25m/min程度)となり、通常のリールトゥリール方式の高速めっき法における一般的な移動速度である0.5〜15.0m/minと同程度以上の速度を実現できる。
次にニッケル皮膜が形成されためっき対象物52を水洗し、電気金めっき装置20’により電気金めっき処理を行った。金めっき液はシアン浴であり、シアン金カリウムを13.5g/L、クエン酸を73.5g/L、硫酸コバルト7水和物を0.3g/L含有し、pHを4.0に調整したものである。そして、浴温を50℃とし、電流密度を2A/dmとし、めっき対象物52を150rpmの回転速度で回転させて電気金めっき処理を行い、0.05μmの厚みの金めっき皮膜を形成した。移動速度は上述の電気ニッケルめっき装置20と同じ5〜25m/minとなる。そして、金めっき皮膜を形成しためっき対象物52を水洗して、下地ニッケルめっき皮膜と金めっき皮膜が形成された実施例1の銅板を得た。なお、後述する耐食性試験の評価のために、同様の方法で0.5μmの厚みで金めっき皮膜を形成したものも作成した。
(比較例1)
実施例1において、電気ニッケルめっき液をスルファミン酸浴としてニッケルめっき皮膜を形成した。用いたスルファミン酸浴は、スルファミン酸ニッケルを400g/L、塩化ニッケルを5g/L、ホウ酸を30g/L含有し、pHを4とした組成である。電気ニッケルめっき液をこのスルファミン酸浴に変更した以外は、実施例1と同様の手順、条件でニッケルめっき、金めっきを行い、比較例1のめっき処理された銅板を得た。
(比較例2)
実施例1において、電気ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル6水和物を280g/L、塩化ニッケルを45g/L、クエン酸を30g/L含有するニッケルめっき液を用いて電気ニッケルめっき処理を行った。これ以外は実施例1と同様にしてニッケルめっき処理と金めっき処理を行い、比較例2のめっき処理された銅板を得た。
以上の実施例および比較例の浴組成を表1に示す。
(めっき皮膜の外観評価試験)
以上の実施例、比較例のめっき処理された銅板のめっき面の外観評価を行った。外観の評価は、各実施例、比較例の銅板にニッケルめっき皮膜を形成した時点と、ニッケルめっき皮膜の上に金めっき皮膜を形成した時点で、めっき皮膜表面を目視して、ピットやピンホール等の有無を確認することにより行った。評価は、外観不良がなければ二重丸(◎)、外観不良があっても問題ないレベルであれば丸(○)、電子部品等の製品に利用できないレベルの外観不良であればバツ(×)で評価した。評価結果を表2に示す。また、実施例と比較例のニッケルめっき時と金めっき時のそれぞれのめっき表面の写真を図3および図4に示す。
表2と図3、図4に示すように、実施例1はニッケルめっき皮膜および金めっき皮膜のいずれにもピット等の外観不良は生じず、極めて良好な外観のめっき皮膜が形成された。
一方比較例1は、ニッケルめっき皮膜と金めっき皮膜の両方にピットが発生しており、外観不良が生じた。また、比較例2は、ピットは発生しなかったものの、曇りが生じた。
以上の外観評価試験の結果より、本発明の実施例ではピット防止剤などの添加剤を加えなくても、外観が極めて良好なめっき皮膜が形成されたことが分かった。
(耐食性試験)
次に、ニッケルめっき皮膜の上に金めっき皮膜が形成された実施例および比較例について耐食性を評価するために行った試験について説明する。耐食性試験は、実施例、比較例の金めっき皮膜の表面に中性の塩水を噴霧して24時間放置して、腐食の有無や状態を目視で確認し評価した。腐食が発生していないまたはほとんど発生していない状態を二重丸(◎)、腐食が一部確認できる状態を丸(○)、腐食が広範にわたってはっきりと確認できる状態を三角(△)、腐食が進み銅素地まで露出した状態をバツ(×)で評価した。なお、上述のように耐食性試験では、実施例および比較例の金めっきの皮膜の厚みを0.5μmとしたものについても試験を行った。試験結果を表3に示す。また、実施例と比較例の試験前と24時間経過後のめっき表面の写真を図5および図6に示す。
表3と図5、図6に示すように、実施例1は、金めっき皮膜の厚みが0.05μmのものは皮膜の荒れが確認されたが、問題ないレベルであった。金めっき厚みが0.5μmのものは皮膜の荒れは、ほぼ発生しなかった。
一方比較例1は、金めっき皮膜の厚みが0.05μmのものも、0.5μmのものも両方とも金めっきやニッケルめっきの剥がれ等が確認でき、赤色の銅素地まで露出してしまった状態となった。また、比較例2は、0.05μmのものはニッケル由来の白色および緑色腐食生成物および赤色の銅素地の露出が確認されたが、金めっきの厚みが0.5μmのものは、皮膜の荒れが問題ないレベルであった。
以上の耐食性評価試験の結果より、本発明の実施例では非常に耐食性に優れた皮膜が形成されたことが分かった。
本発明のいくつかの実施形態・実施例を説明したが、これらの実施形態・実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態・実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態・実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 高速めっき装置
50 めっき対象物
20 電気ニッケルめっき装置
20’ 電気金めっき装置

Claims (8)

  1. 被めっき物にニッケル皮膜を形成するための電気ニッケルめっき液において、硫酸ニッケル6水和物を250g/L以上400g/L以下、塩化ニッケル6水和物を1g/L以上20g/L以下、クエン酸3ナトリウムを100g/L以上250g/L以下含み、ピット防止のための添加剤及びホウ素を含まない、pHが3以上5以下であることを特徴とする電気ニッケルめっき液。
  2. 被めっき物にニッケル皮膜を形成するための電気ニッケルめっき液の製造方法であって、硫酸ニッケル6水和物を250g/L以上400g/L以下、塩化ニッケル6水和物を1g/L以上20g/L以下、クエン酸3ナトリウムを100g/L以上250g/L以下の含有量で混合し、pHを3以上5以下に調整した、ピット防止のための添加剤及びホウ素を含まないことを特徴とする電気ニッケルめっき液の製造方法。
  3. 硫酸ニッケル6水和物を250g/L以上400g/L以下、塩化ニッケル6水和物を1g/L以上20g/L以下、クエン酸3ナトリウムを100g/L以上250g/L以下含み、ピット防止のための添加剤及びホウ素を含まない、pHが3以上5以下の電気ニッケルめっき液を用いて電気ニッケルめっき処理を行い、被めっき物にニッケル皮膜を形成することを特徴とする電気めっき方法。
  4. 40℃以上60℃以下の温度の前記電気ニッケルめっき液を用いて被めっき物にニッケル皮膜を形成することを特徴とする請求項3に記載の電気めっき方法。
  5. 10A/dm以上40A/dm以下の電流密度で前記電気ニッケルめっき処理を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の電気めっき方法。
  6. 前記被めっき物を前記電気ニッケルめっき液中において0.5m/min以上25m/min以下の速度で移動させながらめっき処理を行うことを特徴とする請求項3から5のいずれか1つに記載の電気めっき方法。
  7. 前記被めっき物が銅であることを特徴とする請求項3から6のいずれか1つに記載の電気めっき方法。
  8. ニッケル皮膜が形成された前記被めっき物に対してさらに電気金めっき処理を行い、ニッケル皮膜の上に金皮膜を形成することを特徴とする請求項3から7のいずれか1つの記載の電気めっき方法。
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