本発明の一実施形態は、基材と、ケイ素、酸素、および炭素を含む第1の層と、ケイ素、酸素、および炭素を含む第2の層と、をこの順に含み、第1の層および第2の層において酸素含有量は深さ方向に連続的に変化し、第1の層の膜厚方向における第1の層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率との関係を示す酸素分布曲線が、少なくとも2つの極値を有し、第2の層の膜厚方向における第2の層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率との関係を示す酸素分布曲線が、少なくとも2つの極値を有し、第1の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値が、30〜45at%であり、第2の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値が、第1の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値よりも10〜25at%大きい、ガスバリア性フィルムである。
本実施形態のガスバリア性フィルムは、高温高湿条件下であっても優れたガスバリア性を有する。
特開2011−73430号公報に記載のガスバリア性フィルムは、膜厚方向に炭素、ケイ素および酸素の組成が連続的に変化する(例えば、特開2011−73430号公報の図2)。しかしながら、かようなガスバリア性フィルムは、ガスバリア性能、特に、高温高湿環境下でのガスバリア性能が十分なものではないという問題があった。これは、深さ方向で組成が連続変化し、極値を有するガスバリア性フィルムは、高温高湿環境下で深さ方向に不均一な膜変化を起こすため、フィルム内の応力バランスが崩れてしまうためと推察される。このため、特開2011−73430号公報に記載のガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア性能を向上させるためには厚膜化する必要があり、厚膜化するとカールが大きくなるといった別の弊害が生じる。
本実施形態では、酸化度が小さい炭素含有SiO膜(第1の層)上に、酸化度が大きい炭素含有SiO膜(第2の層)を積層し、含有酸素量を適切な範囲としている。かような構成とすることで、フィルム内の応力バランスをとることが可能となり、高温高湿度環境であっても高いバリア性を発揮できると考えられる。また、本実施形態では、第1の層および第2の層の含有酸素量を特定範囲に規定するが、かような範囲から外れると、膜内の応力バランスをとれなくなるため、高温高湿条件下でのガスバリア性能が低下するものと考えられる。加えて、第2の層の酸素が少なすぎると経時で酸化されやすい膜となり、酸素が多すぎると硬くてもろい膜となるため、いずれも積層膜の高温高湿環境におけるバリア性能は不十分となると考えられる。
なお、上記メカニズムは推定であり、本発明はこれらメカニズムに何ら拘束されるものではない。
したがって、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、好適な一実施形態は、基材と、第1の層と、第1の層上に(直接)形成されてなる第2の層と、をこの順に有する形態である。そして、第1の層−第2の層という積層構造を、1つ有するものであっても複数有するものであってもよい。例えば、基材−第1の層−第2の層−第1の層−第2の層という積層構造としてもよい。第1の層−第2の層という積層構造は何セット有していてもよいが、効果の飽和と薄膜化との関係を考慮すると、1〜3セットであることが好ましい。
また、第1の層、および第2の層を有するガスバリア性ユニットは、基材の一方の表面上に形成されていてもよく、基材の両方の表面上に形成されていてもよい。また、該ガスバリア性ユニットは、ガスバリア性を必ずしも有しない層を含んでいてもよい。
また、本発明のガスバリア性フィルムは、後述の実施例に記載の方法により測定された透過水分量が1×10−2g/m2・day未満であることが好ましく、1×10−3g/m2・day未満であることがより好ましい。
以下、本発明を実施するための好ましい形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[第1の層]
第1の層は、ケイ素、酸素および炭素を含み、より好適にはケイ素、酸素および炭素を主成分とする。ここで、主成分とは、第1の層において、90atm%以上であることを指し、好適には100atm%(すなわち、ケイ素、酸素および炭素からなる)である。すなわち、ケイ素原子及び酸素原子に加えて炭素原子が存在する。かような組成とすることにより、通常のケイ素酸化物から構成される蒸着膜と比較して、高いガスバリア性能を有するとともに屈曲耐性が向上する。
第1の層は、ケイ素、酸素、および炭素を含み、酸素含有量は深さ方向に連続的に変化する。すなわち、第1の層の膜厚方向における第1の層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線が連続的に変化する(例えば、図3の酸素分布曲線)。ここで連続的に変化するとは、膜厚方向に酸素組成が連続的に増加または減少することを指す。具体的には、酸素分布曲線における酸素の原子比が膜厚方向に一定値となる部分を実質的に含まない(好適には含まない)ことを意味し、好適には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される膜厚方向の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(O、単位:at%)との関係において、下記数式(1)で表される条件を満たす。
以下、第2の層でも同様である。
第1の層の膜厚方向における第1の層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率との関係を示す酸素分布曲線において、少なくとも2つの極値を有する。かような組成とすることで、高いガスバリア性能を有するとともに屈曲耐性が向上する。ここで、極値とは極大値および極小値の双方を指す。酸素分布曲線における極値の数は、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。極値の上限は特に限定されるものではないが、通常30個以下である。また、酸素分布曲線において、少なくとも1つの極大値を有することが好ましく、極大値は1〜4個であることがより好ましい。また、酸素分布曲線において、少なくとも2つの極小値を有することが好ましく、極小値は、2〜8個であることがより好ましい。
ここで、酸素分布曲線における極大値とは、第1の層の表面からの距離を変化させた場合に、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子比の値が増加から減少に変わる点をいう。さらに、酸素分布曲線における極小値とは、第1の層の表面からの距離を変化させた場合に、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子比の値が減少から増加に変わる点のことをいう。以下、炭素分布曲線における極値(極大値、極小値)についても同様である。また、第2の層でも同様である。
第1の層および第2の層を図1に示す装置によって連続的に製造した場合には、一の層と、隣接する層(あるいは基材、または表面)との界面付近に組成変化による極値が存在し、一の層内の組成変化による極値と見掛け上区別がつかない場合がある。例えば、図3の酸素分布曲線を用いて説明すると、製造されたガスバリア性フィルムの表面からエッチングするため、第2の層の分布曲線がまず現れる。横軸であるSiO2換算膜厚(nm)0nm付近に現れる最初の極大値は、表面と第2の層との界面の組成変化を示す極値である。すなわち、SiO2換算膜厚(nm)で0nm付近に存在する極値点が、第2の層の極値数を計算する際の表面と第2の層との界面となる。したがって、この極大値は、第2層内の組成変化を示す極値ではないため、第2層の極値の計算には含まない。また、第1の層および第2の層を図1に示す装置によって連続的に製造した場合には、第1の層と第2の層との界面付近に2つの層の組成変化による極値が存在する。SiO2換算膜厚(nm)とTEM観察による膜厚とはほぼ相関する。実施例1における第2の層の膜厚はTEM観察で100nmであるから、SiO2換算膜厚(nm)で100nm付近に存在する極値点が、第1の層および第2の層の極値数を計算する際の第1の層と第2の層との界面となる(図3の第2の層の領域)。したがって、この極大値は、第1の層および第2の層内の組成変化を示す極値ではないため、第1の層および第2の層の極値には含まない。さらに、第1の層および第2の層を図1に示す装置によって連続的に製造した場合には、第1の層と基材との界面付近に組成変化による極値が存在する。実施例1における第1の層の膜厚はTEM観察で100nmであるから、SiO2換算膜厚(nm)で200nm付近に存在する極値点が、第1の層の極値数を計算する際の第1の層と基材との界面となる(図3の第1の層の領域)。したがって、この極大値は、第1の層内の組成変化を示す極値ではないため、第1の層の極値には含まない。
以下、炭素分布曲線における極値の計算においても同様である。
上記酸素分布曲線における酸素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)の差の絶対値は、ガスバリア性の観点から、5at%以上であることが好ましい。
また、本実施形態において、第1の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値が、30〜45at%である。このように、第1の層の酸素含有量を比較的低く設定することで、酸素含有量が第1の層よりも高い第2の層との積層構造による膜内の応力バランスが適度となり、高温高湿環境下でのバリア性能が向上する。第1の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の最大原子比率が、35〜40at%であることがより好ましい。また、酸素原子比率をかような範囲に設定することで、下層の有機層(例えば基材)との親和性が高まり、例えば、後述の磁場印可したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法により膜を形成する際に、酸炭化ケイ素粒子の成長が促進し、膜が緻密化する(第1の層が高密度化する)ため、ガスバリア性能が向上する。このため、本実施形態においては、第1の層がガスバリア性能を負うところが大きい。また、本実施形態においては、第2の層の酸素含有比率が第1の層よりも高いため、後述の磁場印可したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法により膜を形成する際には、第2の層の膜密度は第1の層の膜密度よりも低くなる。
ここで、本明細書において「第1の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値」とは、酸素分布曲線における極大値における酸素原子比率のうち、最大の酸素原子比率を指す。これは、上述のようにいわゆるXPSデプスプロファイル測定では、第1の層と第2の層との界面付近では隣接する層の原子比率の影響を受ける領域が存在するため、隣接層の組成比に影響を受けない酸素分布曲線における層内の最大値をとる必要があるためである。
第1の層の膜厚方向における第2の層に近い極値と基材に近い極値の間に存在するケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、30〜50at%であることが好ましく、30〜40at%であることがより好ましい。
また、第1の層および後述の第2の層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の含有量の原子比率は、20〜40at%であることが好ましく、30〜35at%であることがより好ましい。
ケイ素分布曲線(第1の層の膜厚方向における第1の層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示す曲線)、酸素分布曲線、炭素分布曲線(Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す曲線)は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。以下、第2の層においても同様である。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における第1の層の膜厚方向における第1の層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「第1の層の膜厚方向における第1の層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出される第1の層の表面からの距離(すなわち、SiO2換算膜厚(nm)=(エッチング時間(sec)×エッチング速度(nm/sec))を採用することができる。
なお、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線は、下記実施例に記載の測定条件にて作成した。
「第1の層の膜厚方向における第1の層の表面からの距離」は上記のように求められるため、製膜時の各層の形成膜厚または下記TEM観察による第1の層の膜厚とは完全に一致しない。
第1の層の炭素分布曲線は、少なくとも2つの極値を有することが好ましく、少なくとも3つの極値を有することがより好ましい。また、第1の層の炭素分布曲線において、極大値は2〜4個であることが好ましく、2〜8個であることがより好ましく、極小値は、1〜4個であることが好ましく、1〜2個であることがより好ましい。炭素分布曲線がかような極値を有することで、炭素原子比率が濃度勾配を有して連続的に変化し、屈曲時のガスバリア性能が高まる。
また、第1の層および後述の第2の層の膜厚方向に対する炭素および酸素原子の合計量はほぼ一定であることが好ましい。これにより、第1の層は適度な屈曲性を発揮し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生をより有効に抑制・防止されうる。より具体的には、第1の層の膜厚方向における該バリア層の表面からの距離(L)とケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する、酸素原子および炭素原子の合計量の比率(酸素および炭素の原子比)との関係を示す分布曲線(酸素炭素分布曲線)において、該分布曲線における酸素および炭素の原子比の合計の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「OCmax−OCmin差」とも称する)が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることがさらに好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。なお、OCmax−OCmin差の下限は、OCmax−OCmin差が小さいほど好ましいため、0at%であるが、0.1at%以上であれば十分である。
膜面全体において均一でかつ優れたガスバリア性を有する第1の層および後述の第2の層を形成するという観点から、第1の層および第2の層が膜面方向(第1の層/第2の層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。ここで、第1の層または第2の層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定により第1の層または第2の層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について酸素分布曲線、炭素分布曲線および酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、第1の層の炭素分布曲線は連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が連続とは、上記酸素分布曲線においての説明と同様である。
第1の層の厚みは特に限定されないが、ガスバリア性能を向上させ、一方で、欠陥を生じにくくするために、通常、20〜1000nmの範囲内である。従来は、ガスバリア性能を向上させるためには、蒸着膜の膜厚はある程度の厚みが必要であった。しかしながら、膜厚が厚くなると、層間に応力がかかりやすくなるため、膜内の層間密着性を高め、屈曲耐性を上げるためには、第1の層の膜厚はできるだけ薄いほうがよい。本発明の構成によれば、第1の層と第2の層との積層構造にすることにより顕著にガスバリア性能が向上することから、第1の層が薄膜であっても、高いガスバリア性能が得られる。かような観点から、第1の層の厚みは、薄膜であることが好ましく、具体的には、30〜150nmであることが好ましく、50〜100nmであることがより好ましい。なお、ここでいう膜厚は複数のサブレイヤーで構成されている場合、各サブレイヤーの合計である。また、第1の層が離れて(他の層を介して)複数存在する場合には、各第1の層の膜厚である。
第1の層(および後述の第2の層)の厚みは、製造時の成膜厚さをとってもよいし、製造後のガスバリア層を下記透過型顕微鏡(TEM)観察による膜厚測定法により測定した値をとってもよい。
<各層の膜厚の測定方法>
透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により、各層の膜厚を10箇所測定し、平均した値を膜厚とした。
(膜厚方向の断面のTEM画像)
断面TEM観察として、観察試料を以下のFIB加工装置により薄片作成後、TEM観察を行った。
(FIB加工)
装置:SII製SMI2050
加工イオン:(Ga 30kV)
試料厚み:100nm〜200nm
(TEM観察)
装置:日本電子製JEM2000FX(加速電圧:200kV)
第1の層は、複数のサブレイヤーからなる積層構造であってもよい(下記第2の層の厚みも同じ)。この場合サブレイヤーの層数は、2〜30層であることが好ましい。また、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
第1の層はガスバリア性能を有することが好ましい。ここで、ガスバリア性能を有するとは、基材上に第1の層のみを積層させ、後述の実施例に記載の方法により測定された透過水分量が0.1g/m2/day以下であることを指し、0.01g/m2/day以下であることがより好ましい。
[第2の層]
第2の層は、第1の層と同様に、ケイ素、酸素および炭素を含み、より好適にはケイ素、酸素および炭素を主成分とする。ここで、主成分とは、第2の層において、90atm%以上であることを指し、好適には100atm%(すなわち、ケイ素、酸素および炭素からなる)である。また、第2の層においても酸素含有量は深さ方向に連続的に変化する。かような組成とすることにより、ガスバリア性能を有するとともに屈曲耐性が向上する。
第2の層の膜厚方向における第2の層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率との関係を示す酸素分布曲線において、少なくとも2つの極値を有する。かような組成とすることで、高いガスバリア性能を有するとともに屈曲耐性が向上する。酸素分布曲線における極値の数は、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。極値の上限は特に限定されるものではないが、通常30個以下である。また、酸素分布曲線において、少なくとも1つの極大値を有することが好ましく、極大値は1〜4個であることがより好ましい。また、酸素分布曲線において、少なくとも2つの極小値を有することが好ましく、極小値は、2〜8個であることがより好ましい。
また、本実施形態において、第2の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値(以下、単に第2の層の最大酸素値とも称する)が、第1の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値(以下、単に第1の層の最大酸素値とも称する)よりも10〜25at%大きい。このように、第2の層の酸素含有比率を第1の層よりも高くすることで、フィルム内の応力バランスをとることができ、高温高湿度環境であっても高いバリア性を発揮できる。また、第2の層の酸素が少なすぎると経時で酸化されやすい膜となり、酸素が多すぎると硬くてもろい膜となるため、いずれも積層膜の高温高湿環境におけるバリア性能は不十分となる。また、例えば、後述の磁場印可したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法により第1の層および第2の層を形成すると、高温高湿条件下での第1の層のガスバリア性能の変化に比べて、第2の層のガスバリア性能の変化は小さいため、全体として高温高湿条件下であってもガスバリア性能が維持される。第2の層の最大酸素値は、第1の層の最大酸素値よりも、10〜20at%大きいことがより好ましい。ここで、本明細書において「第2の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値」とは、第1の層と同様、極大値における酸素原子比率のうち、最大の酸素原子比率を指す。
第2の層(上記極値の計算における第1の層との界面から表面との界面まで)中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、45〜65at%であることが好ましく、45〜60at%であることがより好ましい。
第2の層(上記極値の計算における第1の層との界面から表面との界面まで)中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、5〜20at%であることが好ましく、10〜15at%であることがより好ましい。
また、第2の層の炭素分布曲線は、少なくとも2つの極値を有することが好ましく、少なくとも3つの極値を有することがより好ましい。また、炭素分布曲線において、極大値は2〜4個であることが好ましく、2〜8個であることがより好ましく、極小値は、1〜4個であることが好ましく、1〜2個であることがより好ましい。炭素分布曲線がかような極値を有することで、炭素原子比率が濃度勾配を有して連続的に変化し、屈曲時のガスバリア性能が高まる。
第2の層(上記極値の計算における第1の層との界面から表面との界面まで)の全層厚の90%以上の領域において、炭素原子、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有することが好ましい。かような条件となることで、得られるガスバリア性フィルムにおいて、低カール性と耐屈曲性を両立し、高いガスバリア性を持つものを提供することができる。より好ましくは下記式(B)の関係を有する。
さらに、炭素分布曲線は連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が連続とは、上記酸素分布曲線においての説明と同様である。
第2の層の厚みは特に限定されないが、ガスバリア性能を向上させ、一方で、欠陥を生じにくくするために、通常、20〜1000nmの範囲内である。しかしながら、膜厚が厚くなると、層間に応力がかかりやすくなるため、膜内の層間密着性を高め、屈曲耐性を上げるためには、第2の層の膜厚はできるだけ薄いほうがよい。本発明の構成によれば、第1の層と第2の層との積層構造にすることにより顕著にガスバリア性能が向上することから、第2の層が薄膜であっても、高いガスバリア性能が得られる。かような観点から、第2の層の厚みは、薄膜であることが好ましく、具体的には、30〜150nmであることが好ましく、50〜100nmであることがより好ましい。なお、ここでいう膜厚は複数のサブレイヤーで構成されている場合、各サブレイヤーの合計である。この場合サブレイヤーの層数は、2〜30層であることが好ましい。また、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、第2の層が離れて(他の層を介して)複数存在する場合には、各第2の層の膜厚である。
(第1の層および第2の層の膜厚合計)
第1の層および第2の層の膜厚の合計は、薄膜化およびガスバリア性能の両立の観点から50〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。本発明の構成によれば、第1の層と第2の層との積層構造にすることにより顕著にガスバリア性能が向上することから、ガスバリア性層が薄膜であっても、高いガスバリア性能が得られる。なお、ここで「第1の層および第2の層の膜厚合計」とは、後述の実施例 試料13のように、第1の層−第2の層のセットの繰り返し構造の場合には、各層の膜厚の合計を指す。
(第1の層および第2の層の形成方法)
第1の層および第2の層は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD、PECVD(plasma−enhanced chemical vapor deposition)、以下、単に「プラズマCVD法」とも称する)により形成することができる。
プラズマCVD法としては、特に限定されないが、国際公開第2006/033233号に記載の大気圧または大気圧近傍でのプラズマCVD法、対向ロール電極を持つプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法が挙げられる。プラズマCVD法はペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
中でも、第1の層および第2の層は、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する(ロールツーロール方式の)放電プラズマ化学気相成長法により形成することが好ましい。上述したように、該放電プラズマ化学気相成長法を用いることにより、極値を有し、酸素濃度を一定範囲に制御した第1の層および第2の層を容易に作成可能であり、膜内の応力バランスが適切なガスバリア性フィルムを作製することができる。さらに、該放電プラズマ化学気相成長法を用いることにより、第1の層が緻密化し、ガスバリア性能が向上するとともに、第2の層による第1の層の高温高湿条件下でのダメージを補修する効果が発揮されやすい。
以下、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法により第1の層および第2の層を形成する方法について説明する。
プラズマCVD法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに基材(ここでいう、基材には、基材が処理された、または基材上に中間層を有する形態も含む)を配置して、一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できる。加えて、ローラーを使用しない通常のプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にできる。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。さらに、このようなプラズマCVD法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量未満であることが好ましい。また、第1の層および第2の層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
また、本発明に係るガスバリア性フィルムは、生産性の観点から、ロールツーロール方式で基材の表面上に第1の層を形成させることが好ましい。また、このようなプラズマCVD法によりバリア層を製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図1に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。
以下、図1を参照しながら、第1の層および第2の層の形成方法について、より詳細に説明する。なお、図1は、本発明に係る第1の層および第2の層を製造するために好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。また、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示す製造装置13は、送り出しローラー14と、搬送ローラー15、16、17、18と、成膜ローラー19、20と、ガス供給管21と、プラズマ発生用電源22と、成膜ローラー19および20の内部に設置された磁場発生装置23、24と、巻取りローラー25とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー19、20と、ガス供給管21と、プラズマ発生用電源22と、磁場発生装置23、24とが成膜(真空)チャンバー28内に配置されている。さらに、このような製造装置13において前記真空チャンバーは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。図1において、送り出しローラー14および搬送ローラー15は、搬送系チャンバー27内に配置され、巻取りローラー25および搬送ローラー18は搬送系チャンバー29内に配置されている。搬送系チャンバー27および29と、成膜チャンバー28とは、連結部30を介して接続している。例えば、連結部30に真空ゲートバルブを設けて成膜チャンバーと搬送系チャンバーとを物理的に隔離してもよい。真空ゲートバルブを用いることによって、例えば、成膜チャンバー内のみを真空系とし、搬送系チャンバー内は大気下とすることができる。また、成膜チャンバーと搬送系チャンバーを物理的に隔離することによって、成膜チャンバー内で発生したパーティクルによって搬送系チャンバーが汚染することが抑制される。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー19および成膜ローラー20)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源22に接続されている。そのため、このような製造装置13においては、プラズマ発生用電源22により電力を供給することにより、成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー19と成膜ローラー20とを電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー19および20)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー19および20)を配置することにより、ローラーを使用しない通常のプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にできる。そして、このような製造装置によれば、CVD法により基材12(ここでいう、基材には、基材が処理された、または基材上に中間層を有する形態も含む)の表面上に第1の層26を形成することが可能であり、成膜ローラー19上において基材12の表面上に第1の層成分を堆積させつつ、さらに成膜ローラー20上においても基材12の表面上に第1の層成分を堆積させることもできるため、基材12の表面上にバリア層を効率よく形成することができる。なお、第2の層を形成させるときには、基材上に形成された第1の層上に、同様に第2の層を形成させる。この際、基材上に第1の層を形成させた後、巻き取りローラーを経ずに、そのまま第2の層の製膜ゾーンに第1の層が形成された基材を搬送して、第2の層を形成させてもよい。
成膜ローラー19および成膜ローラー20の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置23および24がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー19および成膜ローラー20にそれぞれ設けられた磁場発生装置23および24は、一方の成膜ローラー19に設けられた磁場発生装置23と他方の成膜ローラー20に設けられた磁場発生装置24との間で磁力線がまたがらず、それぞれの磁場発生装置23、24がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置23、24を設けることにより、各成膜ローラー19、20の対向側表面付近に磁力線が膨らんだ磁場の形成を促進することができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
また、成膜ローラー19および成膜ローラー20にそれぞれ設けられた磁場発生装置23および24は、それぞれローラー軸方向に長いレーストラック状の磁極を備え、一方の磁場発生装置23と他方の磁場発生装置24とは向かい合う磁極が同一極性となるように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置23、24を設けることにより、それぞれの磁場発生装置23、24について、磁力線が対向するローラー側の磁場発生装置にまたがることなく、ローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができため、ローラー幅方向に沿って巻き掛けられた幅広の基材12を用いて効率的に蒸着膜である第1の層26を形成することができる点で優れている。
各ローラーにおける基材への張力は、全て同じであってもよいが、成膜ローラー19または成膜ローラー20における張力のみ高くして成膜してもよい。成膜ローラーにおける基材への張力を高くすることによって、基材とローラーとの密着性が向上し、熱交換が効率的に行われ、膜均一性が向上し、また、熱シワも抑制されるという利点がある。
成膜ローラー19および成膜ローラー20としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー19および20としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー19および20の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、直径が100〜1000mmφの範囲、特に100〜700mmφの範囲が好ましい。成膜ローラーの直径が100mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が基材12にかかることを回避できることから、基材12へのダメージを軽減でき好ましい。一方、成膜ローラーの直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。各成膜ローラーはニップロールを備えていてもよく、ニップロールを備えることで、基材のローラーへの密着性が向上する。このため、基材とローラーとの間で熱交換が効率的に行われ、膜均一性が向上し、また、熱シワも抑制されるという利点がある。
このような製造装置13においては、基材12の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ローラー(成膜ローラー19と成膜ローラー20)上に、基材12が配置されている。このようにして基材12を配置することにより、成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の対向空間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ローラー間に存在する基材12のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、プラズマCVD法により、成膜ローラー19上にて基材12の表面上にバリア層成分を堆積させ、さらに成膜ローラー20上にてバリア層成分を堆積させることができるため、基材12の表面上にバリア層を効率よく形成することが可能となる。
基材12の基材幅は、成膜ロール幅より広くてもよいし、狭くてもよいし、同一であってもよい。基材幅を成膜ロール幅より広くすることによって、成膜ローラーが露出しないため、成膜ローラーがパーティクルによって汚染されることを抑制でき、メンテナンス性が向上し、性能が安定化するという利点がある。また、基材幅が成膜ロール幅より狭いことによって、成膜される膜の有効幅が広がるという利点がある。同様に、膜形成の有効幅を考慮し、成膜ローラー上の放電幅(成膜空間)と、基材端部との位置は基材幅を適宜選択することによって適宜調整することができる。
また、基材12は、成膜チャンバー28に搬送される前に加熱されてもよい。加熱温度としては、基材のガラス転移温度以上であることが好ましい。基材を加熱して、予め基材を収縮させることによって、製膜中の基材収縮を抑制することができる。
基材12の成膜時の基材温度は、特に限定されるものではないが、30℃以上150℃以下であることが好ましい。かような基材温度は、放電空間の温度および成膜ローラーの温度に依存する。成膜ローラーの温度としては、−30℃〜100℃であることが好ましく、かようなローラー温度に調整するために、ローラーを適宜加熱、冷却すればよい。
このような製造装置に用いる送り出しローラー14および搬送ローラー15、16、17、18としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー25としても、基材12上に第1の層(または第2の層)26を形成したガスバリア性フィルム11を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。搬送ローラーとしては、段付きロールを用いてもよい。段付きロールとは、ロールの両端部のみが基材と接触する搬送ロールであり、例えば、特開2009−256709号公報図2に記載の段付きロールなどを用いることができる。段付きロールを使用することによって、バリア表面に非接触で搬送することができ、接触によるフィルムの劣化を抑制することができる。また、送り出しローラーや巻き取りローラーはターレット式であってもよい。ターレットは2軸以上の多軸であってもよく、そのうち一部の軸のみを大気開放できる構造であってもよい。
また、ガス供給管21および真空ポンプとしては、原料ガス等を所定の速度で供給または排出することが可能なものを適宜用いることができる。
また、ガス供給手段であるガス供給管21は、成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の対向空間(放電領域;成膜ゾーン)の一方に設けることが好ましく、真空排気手段である真空ポンプ(図示せず)は、前記対向空間の他方に設けることが好ましい。このようにガス供給手段であるガス供給管21と、真空排気手段である真空ポンプを配置することにより、成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の対向空間に効率良く成膜ガスを供給することができ、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
なお、図1においては、ガス供給管21は、成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の中心線上にある。しかしながら、ガス供給管21の配置はかような形態に限定されず、例えば、成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の中心線から、どちらか一方側にずれていてもよい(左右方向に中心線からずらしてもよい)。ガス供給管21を成膜ローラー19と成膜ローラー20との間の中心線からずらすことによって、片方の成膜ローラーに近く、もう片方の成膜ローラーからは遠くなるため、原料ガスの供給が成膜ローラー19上で形成される膜組成と成膜ローラー20上で形成させる膜組成とが異なるようになり、膜質を変えたいときなどに適宜ガス供給管位置をずらせばよい。また、ガス供給管21は、適宜中心線上で成膜ローラーから離したり近づけたりしてもよい(上下方向に中心線上で配置位置を動かしてもよい)。ガス供給管21を成膜ローラーの中心軸上で遠ざけ、放電空間からガス供給管21を離すことによって、ガス供給管にパーティクルが付着することを抑制できるなどの利点があり、ガス供給管21を成膜ローラーの中心軸上で放電空間に近づけることによって成膜レートを向上させることができるなどの利点がある。図1において、ガス供給管21は1つであるが、ガス供給管21は複数あってもよく、各ノズルから異なる供給ガスを放出する形態であってもよい。
さらに、プラズマ発生用電源22としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源22は、これに接続された成膜ローラー19と成膜ローラー20とに電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源22としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源22としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜20kWとすることが好ましく、100W〜10kWとすることがより好ましく、かつ交流の周波数を50Hz〜13.56MHzとすることが好ましく、50Hz〜500kHzとすることがより好ましい。またプラズマプロセス安定化の点から、高周波電流波及び電圧波がどちらも正弦波となるような高周波電源を用いてもよい。
図1においては、1つの発生用電源22で成膜ローラー19および成膜ローラー20の双方に給電している(両成膜ロール給電)が、かような形態に限定されるものではなく、一方の成膜ローラーに給電し(片側成膜ロール給電)、他方の成膜ローラーをアースする形態であってもよい。また、成膜ローラーへの給電方法としては、ローラー端の一方のみから給電するロール片端給電でもよいし、ローラーの両端から給電するロール両端給電であってもよい。高周波帯を供給する場合には、均一な供給が可能となることから、ロール両端給電であってもよい。また、給電方法としては、異なる周波数を印加する2周波給電を行ってもよく、一方の成膜ローラーに異なる2周波を印加する形態であっても、一方の成膜ローラーと他方の成膜ローラーとで異なる周波数を印加する形態であってもよい。かような2周波給電により、プラズマ密度が上がり、成膜速度を向上させることができる。
また、図1には図示していないが、放電空間のプラズマ発光強度を外部からモニタリングし、所望の発光強度でない場合には、磁場間距離(対向ロール間距離)、磁場強度、電源の印加電力、電源周波数、供給ガス量などを調整して所望のプラズマ発光強度とするフィードバック回路を有していてもよい。かようなフィードバック回路を有することによって、成膜/生産を安定にすることができる。
また、磁場発生装置23、24としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。さらに、基材12としては、本発明で用いられる基材の他に、第1の層(または第2の層)26を予め形成させたものを用いることができる。このように、基材12として第1の層(または第2の層)26を予め形成させたものを用いることにより、第1の層(または第2の層)26の厚みを厚くすることも可能である。
このような図1に示す製造装置13を用いて、例えば、ケイ素、酸素、および炭素を含む第1の層および第2の層を製造することができる。この際、第1の層および第2の層の酸素原子の含有量の原子比率の最大値を制御する方法は特に限定されるものではないが、用いられる原料の比率(酸素:HMDSOの供給比率)、電力、圧力などを制御することにより、酸素原子の含有量の原子比率の最大値を制御することができる。
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができ、0.5Pa〜50Pa程度であることが好ましく、0.5Pa〜10Paとすることがより好ましい。
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー19と成膜ローラー20との間に放電するために、プラズマ発生用電源22に接続された電極ドラム(本実施形態においては、成膜ローラー19および20に設置されている)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような印加電力が100W以上であれば、パーティクルが発生を十分に抑制することができ、他方、10kW以下であれば、成膜時に発生する熱量を抑えることができ、成膜時の基材表面の温度が上昇するのを抑制できる。そのため基材が熱負けすることなく、成膜時に皺が発生するのを防止できる点で優れている。
基材12の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜100m/minの範囲とすることがより好ましい。
ガス供給管21から対向空間に供給される成膜ガス(原料ガス等)としては、原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電ガスが単独または2種以上を混合して用いることができる。第1の層26の形成に用いる成膜ガス中の原料ガスとしては、形成する第1の層26の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えば、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物や炭素を含有する有機化合物ガスを用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラン(HMDS)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性および得られるバリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。これらの有機ケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。また、炭素を含有する有機化合物ガスとしては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレンを例示することができる。中でも、本実施形態の膜組成に容易に調整できることから、原料ガスとして有機ケイ素化合物を含むことが好ましい。
また、成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。本実施形態の第1の層および第2の層は、酸素を含むことから、反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができ、簡便性の観点から酸素を用いることが好ましい。また、その他、窒化物を形成するための反応ガスを用いてもよく、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素;窒素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことで、形成される第1の層および第2の層によって、優れたバリア性や耐屈曲性を得ることができる点で優れている。また、成膜ガスが有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下、前記成膜ガスとして、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CH3)6Si2O)と、反応ガスとしての酸素(O2)を含有するものとを用い、ケイ素−酸素系の薄膜を製造する場合を例に挙げて、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスとの好適な比率等について、より詳細に説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CH3)6Si2O)と、反応ガスとしての酸素(O2)と、を含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式(1)で表されるような反応が起こり、二酸化ケイ素が生成する。
このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまう(炭素分布曲線が存在しない)ため、炭素を含有する第1の層および第2の層を形成することができなくなってしまう。そのため、第1の層および第2の層を形成する際には、上記反応式(1)の反応が完全に進行してしまわないように、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくすることが好ましい。なお、実際のプラズマCVDチャンバー内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素とは、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。
このような比でヘキサメチルジシロキサンおよび酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がバリア層中に取り込まれる。なお、有機EL素子や太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板への利用の観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
なお、本実施形態では、第1の層においてケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の最大原子比率を、30〜45at%と比較的低い値に制御することに特徴がある。このため、第1の層を成膜する際の成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、等倍〜10倍であることが好ましく、等倍〜6倍であることがより好ましく、等倍〜3倍であることがさらに好ましい。また、本実施形態では、第2の層の最大酸素値が第1の層の最大酸素値よりも10〜25at%大きい。このため、第2の層を成膜する際の成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、6〜30倍であることが好ましく、6〜15倍であることがより好ましい。
上記図1に示す製造装置13を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー19および20)間に放電を発生させることにより、成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー19上の基材12の表面上および成膜ローラー20上の基材12の表面上に、第1の層(または第2の層)26がプラズマCVD法により形成される。この際、成膜ローラー19、20のローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場が形成して、磁場にプラズマを収束させる。
このため、図1に示す製造装置を用いることによって、膜厚方向に各原子の組成が連続的に変化することとなる。
具体的には、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、および炭素分布曲線において、基材12が、図1中の成膜ローラー19のA地点および成膜ローラー20のB地点を通過する際に、炭素分布曲線の極大値と酸素分布曲線の極小値が形成される。これに対して、基材12が、図1中の成膜ローラー19のC1およびC2地点、ならびに成膜ローラー20のC3およびC4地点を通過する際に、第1のバリア層で炭素分布曲線の極小値と酸素分布曲線の極大値が形成される。このため、2つの成膜ローラーに対して、炭素/酸素分布曲線は、通常、5つの極値が生成する。また、第1の層および第2の層を図1に示す装置によって連続的に製造した場合には、一の層と、隣接する層(あるいは基材、または表面)との界面付近に組成変化による極値が存在し、一の層の極値と見掛け上区別がつかない場合がある。したがって、2つの層の界面付近に存在する極値は、下記実施例においては、各層の極値としてはカウントしていない。すなわち、第1の層および第2の層を図1の装置を用いて製造した場合には、各層内の酸素分布曲線において少なくとも3つの極値(2つの極小値および1つの極大値)が存在することとなる(図3参照)。
かような極値の存在は、膜内の炭素、および酸素の存在比が均一ではない層であることを示すものであり、部分的に炭素原子が多い部分が存在することで、層全体がフレキシブルな構造となり、屈曲性が向上する。また、図1の装置において、対向ロール数(TR数、対極する二つのロールセット数)がn個の場合には(nは1以上の整数)、理論上の極値の数は、約(5+4×(n−1))個となる。しかしながら、実際の極値数は基材の搬送速度などにより、理論上の極値数となるとは限らず、増減する場合がある。
なお、このような成膜に際しては、基材12が送り出しローラー14や成膜ローラー19等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより基材12の表面上に第1の層(または第2の層)26が形成される。
上記したように、本実施形態のより好ましい態様としては、第1の層および第2の層を、図1に示す対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いたプラズマCVD法によって成膜することを特徴とするものである。これは、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いて量産する場合に、可撓性(屈曲性)に優れ、高温高湿下でのガスバリア性能が高く、機械的強度、特にロールツーロールでの搬送時の耐久性と、バリア性能とが両立するバリア層を効率よく製造することができるためである。このような製造装置は、太陽電池や電子部品などに使用される温度変化に対する耐久性が求められるガスバリア性フィルムを、安価でかつ容易に量産することができる点でも優れている。
[基材]
ガスバリア性フィルムは、通常、基材として、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、バリア性積層体を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
ガスバリア性フィルムを有機EL素子等のデバイスの基板として使用する場合は、基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつTgが100℃以上300℃以下の樹脂基材が使用される。該基材は、電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての必要条件を満たしている。即ち、これらの用途にガスバリア性フィルムを用いる場合、ガスバリア性フィルムは、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリア性フィルムにおける基材の線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下であることで、熱耐性に強く、またフレキシビリティがよいものとなる。基材のTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。
基材として用いることができる熱可塑性樹脂のより好ましい具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:70℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報に記載の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標):260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報に記載の化合物:300℃以上)等が挙げられる(括弧内はTgを示す)。特に、透明性を求める場合には脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
ガスバリア性フィルムは有機EL素子等のデバイスとして利用されうることから、プラスチックフィルムは透明であることが好ましい。すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
ただし、ガスバリア性フィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、プラスチックフィルムとして不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
ガスバリア性フィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、平滑層等の機能層を有していても良い。機能層については、上述したもののほか、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に記載されているものを好ましく採用できる。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
基材の両面、少なくともバリア層を設ける側には、接着性向上のための公知の種々の処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、プラズマ処理、もしくは平滑層の積層等を、必要に応じて組み合わせて行うことができる。
[中間層]
上述の基材、第1の層、および第2の層間または表面には、本発明の効果を損なわない範囲で別途中間層を設けてもよい。
(アンカーコート層)
本発明に係る基材の表面には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。アンカーコート層の構成材料、形成方法等は、特開2013−52561号公報の段落「0229」〜「0232」に開示される材料、方法等が適宜採用される。
(平滑層)
ガスバリア性フィルムは、基材のバリア層を有する面、好ましくは基材と下地層との間に平滑層を有していてもよい。平滑層は突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために、あるいは、樹脂基材に存在する突起により、バリア層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。平滑層の構成材料、形成方法、表面粗さ、膜厚等は、特開2013−52561号公報の段落「0233」〜「0248」に開示される材料、方法等が適宜採用される。
(ブリードアウト防止層)
ガスバリア性フィルムは、ブリードアウト防止層をさらに有することができる。ブリードアウト防止層は、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、樹脂基材中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。ブリードアウト防止層の構成材料、形成方法、膜厚等は、特開2013−52561号公報の段落「0249」〜「0262」に開示される材料、方法等が適宜採用される。
[電子デバイス]
上記したような本発明のガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性、透明性、屈曲性を有する。このため、本発明のガスバリア性フィルムは、電子デバイス等のパッケージ、光電変換素子(太陽電池素子)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等の等の電子デバイスに用いられるガスバリア性フィルムおよびこれを用いた電子デバイスなど、様々な用途に使用することができる。
(電子素子本体)
電子素子本体は電子デバイスの本体であり、本発明に係るガスバリア性フィルム側に配置される。電子素子本体としては、ガスバリア性フィルムによる封止が適用されうる公知の電子デバイスの本体が使用できる。例えば、有機EL素子、太陽電池(PV)、液晶表示素子(LCD)、電子ペーパー、薄膜トランジスタ、タッチパネル等が挙げられる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子素子本体は、有機EL素子または太陽電池であることが好ましい。これらの電子素子本体の構成についても、特に制限はなく、従来公知の構成を有しうる。
以下、具体的な電子素子本体の一例として有機EL素子およびこれを用いた有機ELパネルについて説明する。
(有機EL素子)
有機ELパネル9において、ガスバリア性フィルム10で封止される有機EL素子5について説明する。
本発明に係るガスバリア性フィルム10を封止フィルムとして用いた電子機器である有機ELパネル9の一例を図2に示す。有機ELパネル9は、図2に示すように、ガスバリア性フィルム10と、ガスバリア性フィルム10上に形成されたITOなどの透明電極4と、透明電極4を介してガスバリア性フィルム10上に形成された有機EL素子5と、その有機EL素子5を覆うように接着剤層6を介して配設された対向フィルム7等を備えている。なお、透明電極4は、有機EL素子5の一部を成すともいえる。このガスバリア性フィルム10におけるガスバリア層が形成された面に、透明電極4と有機EL素子5が形成されるようになっている。また、対向フィルム7は、アルミ箔などの金属フィルムのほか、本発明に係るガスバリア性フィルムを用いてもよい。対向フィルム7にガスバリア性フィルムを用いる場合、ガスバリア層が形成された面を有機EL素子5に向けて、接着剤層6によって貼付するようにすればよい。
以下に有機EL素子5の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極
(陽極)
有機EL素子5における陽極(透明電極4)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜として形成し、その薄膜をフォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。また、陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
有機EL素子5における陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が陰極として好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。また、陰極の膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子5の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば、発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極の説明で挙げた上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層には電子注入層と正孔注入層があり、電子注入層と正孔注入層を必要に応じて設け、陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させる。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、特開平9−260062号公報、特開平8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、特開平9−17574号公報、特開平10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
(発光層)
有機EL素子5における発光層は、電極(陰極、陽極)または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
有機EL素子5の発光層には、以下に示すドーパント化合物(発光ドーパント)とホスト化合物(発光ホスト)が含有されることが好ましい。これにより、より一層発光効率を高くすることができる。
(発光ドーパント)
発光ドーパントは、大きく分けて蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
蛍光性ドーパントの代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
リン光性ドーパントの代表例としては、好ましくは元素の周期表で8属、9属、10属の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。発光ドーパントは複数種の化合物を混合して用いてもよい。
(発光ホスト)
発光ホスト(単にホストとも言う)とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物(単に、ドーパントとも言う)」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。更に発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。
発光ホストとしては構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、またはカルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。中でも、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体等が好ましく用いられる。
そして、発光層は上記化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。この発光層はドーパント化合物やホスト化合物が1種または2種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する電子輸送材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
(有機EL素子の作製方法)
有機EL素子5の作製方法について説明する。
ここでは有機EL素子5の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製方法について説明する。
まず、ガスバリア性フィルム10上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング、プラズマCVD等の方法により形成させ、陽極を作製する。
次に、その上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の有機化合物薄膜を形成させる。この有機化合物薄膜の成膜方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる成膜法を適用してもよい。成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子5の作製は、一回の真空引きで一貫して陽極、正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子5を備える多色の表示装置(有機ELパネル9)に、直流電圧を印加する場合には、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
〔試料1の作製:実施例〕
(樹脂基材の準備)
2軸延伸のポリエチレンナフタレートフィルム(略称:PENフィルム、厚さ:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を、樹脂基材として用いた。
(アンカーコート層の形成)
上記樹脂基材の易接着面側に、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を用い、乾燥後の層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件として、80℃で3分間の乾燥を行った。次いで、空気雰囲気下で、高圧水銀ランプを使用し、硬化条件;1.0J/cm2で硬化を行い、アンカーコート層を形成した。
(ガスバリア層の形成:ローラーCVD法)
図1に記載の磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、この方法をローラーCVD法と称す)を用い、樹脂基材のアンカーコート層を形成した面とは反対側の面(裏面)が成膜ローラーと接触するようにして、樹脂基材を装置に装着し、下記の成膜条件(プラズマCVD条件)によりアンカーコート層上に第1の層を100nm成膜した後、第1の層上に下記成膜条件で第2の層を100nm積層し、ガスバリア層とした。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:200sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈プラズマCVD条件(第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:800sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈元素分布プロファイルの測定〉
上記形成したガスバリア層について、下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、膜厚方向の薄膜層の表面からの距離に対する、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線を得た。
エッチングイオン種:アルゴン(Ar+)
エッチングレート(SiO2熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO2換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800×400μmの楕円形
以上のようにして測定した全層領域におけるケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線より、各元素組成における連続変化領域の有無、極値の有無、酸素の原子比率の最大値を求めた。
その結果、図3に示すように、第1の層の酸素元素分布曲線において、酸素含有量は深さ方向に連続的に変化し、2つの極小値と1つの極大値が有った。また、第2の層の酸素元素分布曲線において、酸素含有量は深さ方向に連続的に変化し、2つの極小値と1つの極大値が有った。なお、図3において、基材および第1の層、第1の層および第2の層、第2の層および表面の各界面には組成比の変化による極値が存在するが、これは膜内における極値とは異なるため、カウントしていない。
また、第1の層の酸素原子比率の最大値が36at%、第2の層の酸素原子比率の最大値が56at%であり、前記第2の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値が、前記第1の層におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率の最大値よりも20at%大きかった。
〔試料2の作製:実施例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件を第1の層のみ以下のように変更した以外は同様にして、第1の層の膜厚は100nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料2を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:160sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料3の作製:実施例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件を第1の層のみ以下のように変更した以外は同様にして、第1の層の膜厚は100nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料3を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:550sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料4の作製:実施例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件を第2の層のみ以下のように変更した以外は同様にして、第1の層の膜厚は100nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料4を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:600sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料5の作製:実施例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件を以下のように変更した以外は同様にして、第1の層の膜厚は200nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料5を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:200sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:400sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈プラズマCVD条件(第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:800sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料6の作製:比較例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件を第2の層のみ以下のように変更した以外は同様にして、第1の層の膜厚は100nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料6を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:550sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料7の作製:比較例〕
試料1のプラズマCVD条件において、第1の層と第2の層の成膜条件を逆にした以外は試料1と同様にし、第1の層の膜厚は100nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料7を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:800sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈プラズマCVD条件(第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:200sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:2.5m/min
〔試料8の作製:比較例〕
試料1の作製において、第2の層の成膜は実施しなかった以外は同様にし、第1の層の膜厚は100nmとなるよう試料8を作製した。
〔試料9の作製:比較例〕
試料1の作製において、第1の層のプラズマCVD条件を以下に変更し、第2の層の成膜は実施しなかった以外は同様にし、第1の層の膜厚は100nmとなるよう試料9を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:800sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料10の作製:比較例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件のうち第1の層及び第2の層の成膜条件を以下とした以外は同様にして第1の層の膜厚は100nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料10を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層及び第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:200sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料11の作製:比較例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件のうち第1の層及び第2の層の成膜条件を以下とした以外は同様にして第1の層の膜厚は100nm、第2の層の膜厚は100nmとなるよう試料11を作製した。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層及び第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:800sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料12の作製:実施例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料12を作製した。第1の層の膜厚は200nm、第2の層の膜厚は200nmであった。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:200sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:400sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈プラズマCVD条件(第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:200sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:1600sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〔試料13の作製:実施例〕
試料1の作製において、プラズマCVD条件を以下のように変更し、更に第1の層(第3の層)、第2の層(第4の層)を積層した以外は同様にして、試料13を作製した。第1の層、第2の層、第3の層、第4の層の膜厚は全て50nmであった。第1の層における最大酸素含有量(at%)および各層の酸素含有量最大値の差分を表1に示す。
〈プラズマCVD条件(第1の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:100sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈プラズマCVD条件(第2の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:400sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈プラズマCVD条件(第3の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:100sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
〈プラズマCVD条件(第4の層)〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(略称:HMDSO))の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:400sccm
真空チャンバー内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:5m/min
[バリア性能評価]
(水蒸気バリア性評価用セルの作製)
各ガスバリア性フィルム試料のバリア層面(最表面)に、真空蒸着装置(日本電子株式会社製、真空蒸着装置 JEE−400)を用い、透明導電膜を付ける前のガスバリア性フィルム試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、カルシウム蒸着面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料(評価用セル)を85℃、85%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算した。
なお、ガスバリア性フィルム面以外からの水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてガスバリア性フィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な85℃、85%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認した。
以上により測定された各ガスバリア性フィルム試料の透過水分量(g/m2/day;表中の「WVTR」)をCa法によって評価した。
(評価基準)
◎:1×10−4g/m2/day未満
○:1×10−4g/m2/day以上、5×10−4g/m2/day未満
○△:5×10−4g/m2/day以上、1×10−3g/m2/day未満
△:1×10−3g/m2/day以上、5×10−2g/m2/day未満
△×:5×10−2g/m2/day以上、1×10−1g/m2/day未満
×:1×10−2g/m−1/day以上
結果を下記に示す。
上記結果より、試料1〜5、および12〜13のガスバリア性フィルムは、試料6〜11のガスバリア性フィルムと比較して高温高湿条件下でのバリア性能に非常に優れるものであった。
本出願は、2014年1月15日に出願された日本特許出願番号2014−005499号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。